文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「『伝統の継承』と『新たな挑戦』の融合で豊かな未来を創造します」を企業理念として掲げ、事業活動を展開しております。
(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき課題
新型コロナウイルスの世界規模での感染の影響により、国内景気は足下で大幅に下押しされており、今後の見通しにつきましては、全く予断を許さない状況が続いております。
紙・パルプ業界においては、新型コロナウイルスによる景気の減速に加え、ペーパーレス化の進展等による需要減少に伴い、洋紙設備の停止が予定されるなど、依然として厳しい経営環境が続くと予想されます。
2017年度から2019年度までの3ヵ年を対象とした前中期経営計画は、当初の見込みを上回るペースで国内・紙パルプ市場の縮小が進んだことなどの影響により、最終年度の売上高・営業利益ともに目標未達となりました。
縮小する紙・パルプ市場に対応するため、当社グループは、より競争力を強化し経営基盤を盤石にすることを目指し、新たな中期経営計画を策定いたしました。
その基本方針と具体的施策は、以下のとおりであります。
① 総合抄紙用具企業を目指した基盤強化
国内市場における紙・パルプ用フェルトのシェア拡大及びワイヤー・シュープレス用ベルトの拡販
② 家庭紙・板紙向け市場を中心とした海外事業の強化グループ総合力を活かした品質面の競争力強化及びセールス体制の強化による販売力増強
③ 産業資材事業の収益基盤の強化コスト改善・製品開発の推進による競争力強化
国内紙パ営業部門との連携強化によるフィルター・耐熱製品の拡販
④ 設備増強と生産体制の見直しによる工場の生産性向上
設備の更新・新設と生産効率化による生産性向上
⑤ 研究開発体制の強化
得意先のニーズに迅速・的確に対応できるよう開発体制を強化
⑥ 不動産事業の拡大による収益確保及び新規事業の創出
保有不動産の有効活用と新規物件の検討
M&A・業務提携による事業拡大と新規事業創出に向けた体制整備
⑦ 人材育成 **「人材」から「人財」へ**
コア人材・グローバル人材の採用及び育成
⑧ 環境に配慮した事業活動
働く人に優しい職場作りと、地球環境に配慮した企業活動
これらの方策を実施することで、豊かな社会の実現に寄与する企業として今後も力強く前進してまいります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大による影響につきましては、「事業等のリスク」、「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日(2020年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)紙・パルプ業界向け売上
当社グループは、紙・パルプ業界向けの売上高が全体の約8割を占めております。そのため、同業界の景気後退による需要の減少、市況の下落、また製紙用具メーカーの競争激化や製品市況の動向が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうした状況の中で、当社は、紙・パルプ用フェルトのシェア拡大及びワイヤー・シュープレス用ベルトの拡販に努めてまいります。あわせて、フィルター・耐熱製品の販売強化並びに既存事業領域以外における新規事業創出に向けたシーズ開発をすすめてまいります。
(2)賃料
賃貸物件の老朽化等による賃料の減額は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。適宜適切なメンテナンスによる賃料維持に努めてまいります。
(3)原材料の調達
当社グループは、特殊な原材料を使用しており、その調達は一部の仕入先に依存しております。仕入先との取引は安定的に推移しておりますが、今後取引関係が継続困難になった場合や、供給状況、価格動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)退職給付債務
当社グループは、従業員の退職給付債務の算定にあたり、割引率、年金資産の期待運用収益率等については、現在想定される前提条件に基づいて計算しておりますが、今後低金利の長期化による割引率の低下や年金資産の運用利回りの悪化等が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、退職給付制度の変更により、未認識の過去勤務費用が発生する可能性があります。
(5)金融情勢
今後の金利の急激な上昇等の金融情勢の変化により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)自然災害等による生産の停滞・遅延
当社グループは、埼玉工場、栃木工場を主力拠点として生産活動を行っておりますが、自然災害・火災などにより生産の停滞・遅延が起こった場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、地震により発生する損害に対しては、地震保険を付保しておりますが、その補償範囲は限定されております。
(7)訴訟リスク
当社グループは、業務を遂行するにあたり法令遵守に努めておりますが、訴訟リスクが皆無ではありません。
(8)株価の下落
当社グループは、市場性のある株式を保有しており、株価の大幅な下落が、その他有価証券評価差額金の減少や評価損の発生など、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染拡大の影響について
新型コロナウイルス感染拡大が当社グループの業績や運営状況に影響を与える可能性がありますが、下記の感染防止策を講じながら、社会的責任を果たすべく事業活動を継続しております。
お得意先様への対応
・不急の出張の自粛
・当社への工場見学の一時停止
・電話・メールによるサポート体制の強化
・工場の安定稼働による、調達不安の無い製品供給体制の確保
お取引先様への対応
・テレビ会議システムの活用
・除菌用アルコールの設置と来場者記録表への記名依頼の実施
・応接エリアでの大人数での会議禁止と定期的な換気の実施
・原材料等の在庫確保と安定調達への取り組み実施
社員ならびにその家族・地域社会の皆様への対応
・在宅勤務の積極的導入
・時差出勤の実施と車通勤の奨励
・飛沫感染防止シートの設置とフィジカルディスタンスの確保および定期的な換気の実施
・社員の検温と記録を徹底
・マスクの着用義務化と除菌用アルコールの職場入口への設置
・社員(家族を含む)への不要不急の外出の自粛要請
時々刻々と状況が変わる新型コロナウイルス禍に対しては、経済活動の動向、市場の変化を絶えず見据え、迅速かつ柔軟に対応してまいります。
(1)当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、雇用・所得環境の改善が続くなかで緩やかな回復が続いたものの、米中貿易摩擦や自然災害の影響など、先行き不透明な状況で推移いたしました。
当社グループの主要な得意先であります紙・パルプ業界につきましては、電子媒体へのシフトや人口減など構造的な需要変化により、依然として厳しい経営環境が続いております。
このような状況におきまして、当社グループは迅速かつ積極的な営業活動、併せてきめ細やかな技術サービスを提供するとともに生産の効率化に努めてまいりましたが、当連結会計年度の売上高は、前期比6.1%減の10,841百万円となりました。
営業利益は、売上高の減少から前期比30.5%減の428百万円、経常利益は前期比17.6%減の572百万円となりました。特別利益に政策保有株式の縮減に伴う投資有価証券売却益48百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比16.9%減の418百万円となりました。
なお、当連結会計年度より、賃貸不動産収益の金額的重要性が増していることから、受取賃貸料は「営業外収益」、賃貸費用については「営業外費用」に計上していたものを、売上高および売上原価に計上する方法に変更しております。前連結会計年度についても表示を組替えており、増減額についても組替え後の比較となっております。
なお、セグメントの業績は以下となります。
<フェルト事業>
品種別の売上高は以下のとおりとなります。
|
品 種 |
売 上 高 |
増 減 率 |
||
|
紙・パルプ用フェルト |
8,258 (1,662) |
百万円
|
前期比
|
6.6%減 (7.6%減) |
|
工業用その他の製品 |
2,106 |
|
|
11.0%減 |
|
合 計 |
10,364 |
|
|
7.5%減 |
(注)紙・パルプ用フェルト( )は国外売上高で、上段の数字に含まれております。
紙・パルプ用フェルトの売上高は、国内については高シェアを維持できたものの、大手得意先の抄紙機械の停止などがあり総需要が減少、446百万円の減収(前期比6.3%減)となりました。
国外の売上高につきましても、操業の低下傾向が見受けられ136百万円の減収(前期比7.6%減)、工業用その他の売上高につきましては、フィルターの販売数量減少等により261百万円の減収(前期比11.0%減)となりました。
セグメント利益(営業利益)につきましては938百万円(前期比23.4%減)となりました。
<不動産賃貸事業>
前連結会計年度末に2件の賃貸物件が稼働、当連結会計年度より本格的に収益が発生したこと等により、売上高は143百万円増収の477百万円(前期比43.0%増)となりました。なお当連結会計年度末に2件の新規不動産事業用建物が完成し、これらについては翌連結会計年度より本格的に収益が発生いたします。
セグメント利益(営業利益)につきましては242百万円(前期比56.7%増)となりました。
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ700百万円減少しております。これは、現金及び預金が543百万円、有形固定資産が551百万円、繰延税金資産が290百万円増加した一方、受取手形及び売掛金が878百万円、仕掛品が120百万円、投資有価証券が1,008百万円減少したことなどによるものです。
負債は前連結会計年度末に比べ46百万円減少しております。これは、支払手形及び買掛金が53百万円、リース債務(流動・固定)が118百万円、長期未払金が17百万円減少した一方、流動負債その他が116百万円、受入保証金が43百万円増加したことなどによるものです。
純資産は前連結会計年度末に比べ654百万円減少しております。これは、その他有価証券評価差額金が669百万円減少した一方、利益剰余金が166百万円増加したことなどによるものです。また自己株式の取得を142百万円、譲渡制限付株式報酬として21百万円の自己株式の処分をしております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ546百万円増加し3,344百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は2,060百万円の収入(前期は892百万円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が616百万円、減価償却費が623百万円、売上債権の減少が879百万円、たな卸資産の減少が148百万円となった一方、法人税等の支払が182百万円あったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、976百万円の支出(前期は1,163百万円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が1,052百万円あった一方、投資有価証券の売却による収入が103百万円あったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、530百万円の支出(前期は396百万円の支出)となりました。これは自己株式の取得による支出が142百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出が129百万円、配当金の支払が250百万円あったことなどによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
ⅰ) 生産実績
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前期比(%) |
|
フェルト事業 |
9,565,308 |
△6.9 |
|
合計 |
9,565,308 |
△6.9 |
(注)1.金額は、販売価格に換算しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ⅱ) 受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期比(%) |
|
フェルト事業 |
10,541,975 |
1.8 |
5,164,539 |
2.3 |
|
合計 |
10,541,975 |
1.8 |
5,164,539 |
2.3 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ⅲ) 販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前期比(%) |
|
フェルト事業 |
10,364,546 |
△7.5 |
|
不動産賃貸事業 |
477,388 |
43.0 |
|
合計 |
10,841,934 |
△6.1 |
(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
日本製紙㈱ |
1,581,790 |
14.1 |
1,407,795 |
13.0 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日(2020年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして当社グループは、資産、負債、損益の計上金額に影響する見積りを行う必要があり、合理的な要因に基づき継続的にこれを行っております。実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
特に以下の重要な会計方針が見積りに影響いたします。
1.当社グループは、顧客の支払不能による損失の見積額について貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化し支払能力が低下した場合、追加の引当が必要となる可能性があります。
2.当社グループは、従業員退職給付費用及び債務を、割引率、年金資産の期待運用収益等、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。前提条件の変化や実際の結果との差異は、将来の費用及び債務に影響いたします。
新型コロナウイルス感染拡大にかかる会計上の見積り金額への影響は、「連結財務諸表等」「注記事項」(追加情報)、「個別財務諸表等」「注記事項」(追加情報)をご参照下さい。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績)
経営成績は財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりです。
当社グループは、2017年度から2019年度までの3ヵ年について中期経営計画を策定しております。3年目となる当連結会計年度の計画に対する実績は下記のとおりであります。
|
|
2019年度 計画 |
2019年度 実績 |
計画比 |
|
売上高 |
123億円以上 |
108億円 |
△14.5億円(△11.9%) |
|
営業利益 |
9.4億円以上 |
4.2億円 |
△5.1億円(△54.4%) |
フェルト事業の主要な得意先である紙・パルプ業界は電子媒体へのシフトが進んでいる中、得意先の抄紙マシン廃台など当初見込みを上回るペースで需要が減少しており、売上高は12.9%減少となりました。営業利益につきましても、修繕費や販売費経費の削減があったものの売上の減少を吸収するにはいたらず39.9%の減収となりました。
不動産賃貸事業につきましては、当初の計画に加えて、本社ビル賃貸可能フロアの増床や、埼玉工場の西側土地を賃貸用に転用を実施したことにより売上高は19.3%増加、営業利益は73.5%増加いたしました。
当社グループ全体では、売上高は11.9%の減少、営業利益につきましてはフェルト事業の売上原価、一般管理費は固定費の割合が大きく、売上高の減少を吸収できず54.4%の減少となりました。
(経営成績に重要な影響を与える要因について)
当社グループの主力製品であります紙・パルプ用フェルトは、国内外の製紙用具メーカーとの厳しい競争にさらされており、製紙会社の生産設備の海外移転や景気変動等に伴う需要状況、販売シェア及び販売価格の動向が、当社グループの業績に影響を及ぼすことがあります。今後につきましては、紙・パルプ用フェルトの国内シェア拡大、中国、東南アジアへの販売を拡充すると共にワイヤー・シュープレス用ベルト等のフェルト以外の製品も収益の柱となるよう生産設備、販売体制の充実を図ってまいります。
費用面では、原油の価格動向により、原燃料費が変動する可能性に加え、従業員の退職給付債務の算定にあたり、金利の動向による割引率の改定、年金資産の運用状況、退職給付制度の変更等により、退職給付費用が大きく変動する可能性があります。
新型コロナウイルスの拡大感染による影響については、フェルト事業においては、ウイルス感染拡大が経済へ与える影響度合いが見えない中、需要が減少する可能性があります。不動産賃貸事業については順調に安定収益をあげておりますが、リスク分散の観点から高齢者施設、賃貸マンション、学生寮等多岐にわたった活用を心掛けております。今後もより幅広い運用を展開していく予定です。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの資金需要として主なものは設備資金、製造費、販売費及び一般管理費等の運転資金、配当金の支払等があります。
当社グループはこれら事業運営上必要な資金の流動性及び資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金については自己資金及び金融機関からの短期借入とし、大型の設備投資についてはファイナンス・リース又は金融機関からの長期借入をすることを基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金を含む有利子負債は997百万円であります。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,344百万円であります。
該当事項はありません。
当社グループは、製紙用フェルト分野においては高機能製品、製紙用フォーミングファブリック分野においては新しい織り構造、工業資材分野においては高機能フィルターに重点をおいた開発を行っております。
開発のスタッフはグループ全体で14名であり、これは全従業員の2.2%であります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
当連結会計年度における研究の目的、研究成果は次のとおりであります。
(1)紙・パルプ用フェルト
プレスフェルトの主要な機能である搾水性に重点をおいたノンウーブン基布製品、高機能製品の改良、開発を進めております。
(2)製紙用フォーミングファブリック
耐久性において高い評価を得ている新しい織り構造を持った製品の改良、開発を進めております。
(3)工業用フェルト
各種環境用フィルター・耐熱性を持つフェルト・チューブ状フェルトなど、得意先のニーズに対応できるよう、新製品の開発を進めております。