文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「『伝統の継承』と『新たな挑戦』の融合で豊かな未来を創造します」を企業理念として掲げ、事業活動を展開しております。
(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき課題
今後の見通しにつきまして、新型コロナウイルス感染症の影響による行動制限の緩和などにより個人消費の回復が期待されますが、原燃料費の高騰やウクライナ情勢の影響もあり、予断を許さない状況が続いております。
当社グループの主要な取引先であります紙・パルプ業界は、前年度に比べ回復の動きが見られたものの、電子媒体へのシフトや人口減などの構造的な変化により、依然として厳しい経営環境が続くと予想されます。
このような状況におきまして、当社グループは2020年度から2022年度までの3か年を対象とした中期経営計画の基本方針に基づいた施策に取り組んでおります。
基本方針と具体的施策は以下のとおりです。
① 総合抄紙用具企業を目指した基盤強化
国内市場における紙・パルプ用フェルトのシェア拡大及びワイヤー・シュープレス用ベルトの拡販
② 家庭紙・板紙向け市場を中心とした海外事業の強化
グループ総合力を活かした品質面の競争力強化及びセールス体制の強化による販売力増強
③ 産業資材事業の収益基盤の強化
コスト改善・製品開発の推進による競争力強化
国内紙パ営業部門との連携強化によるフィルター・耐熱製品の拡販
④ 設備増強と生産体制の見直しによる工場の生産性向上
設備の更新・新設と生産効率化による生産性向上
⑤ 研究開発体制の強化
得意先のニーズに迅速・的確に対応できるよう開発体制を強化
⑥ 不動産事業の拡大による収益確保及び新規事業の創出
保有不動産の有効活用と新規物件の検討
M&A・業務提携による事業拡大と新規事業創出に向けた体制整備
⑦ 人材育成 **「人材」から「人財」へ**
コア人材・グローバル人材の採用及び育成
⑧ 環境に配慮した事業活動
働く人に優しい職場作りと、地球環境に配慮した企業活動
以上の取り組みにより、豊かな社会の実現に寄与する企業として今後も力強く前進してまいります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大による影響につきましては、「事業等のリスク」、「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日(2022年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)紙・パルプ業界向け売上
当社グループは、紙・パルプ業界向けの売上高が全体の約8割を占めております。そのため、同業界の景気後退による需要の減少、市況の下落、また製紙用具メーカーの競争激化や製品市況の動向が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)賃料
賃貸物件の老朽化等による賃料の減額は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。適宜適切なメンテナンスによる賃料維持に努めてまいります。
(3)原材料の調達
当社グループは、特殊な原材料を使用しており、その調達は一部の仕入先に依存しております。仕入先との取引は安定的に推移しておりますが、今後取引関係が継続困難になった場合や、供給状況、価格動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、国際情勢の影響により、原材料・燃料価格の高騰や物流の混乱が生じております。当社グループでは原料在庫の積み増し等の対応を行っていますが、今後の価格動向等によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)退職給付債務
当社グループは、従業員の退職給付債務の算定にあたり、割引率、年金資産の期待運用収益率等については、現在想定される前提条件に基づいて計算しておりますが、今後低金利の長期化による割引率の低下や年金資産の運用利回りの悪化等が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、退職給付制度の変更により、未認識の過去勤務費用が発生する可能性があります。
(5)金融情勢
今後の金利の急激な上昇等の金融情勢の変化により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)自然災害等による生産の停滞・遅延
当社グループは、埼玉工場、栃木工場を主力拠点として生産活動を行っておりますが、自然災害・火災などにより生産の停滞・遅延が起こった場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、地震により発生する損害に対しては、地震保険を付保しておりますが、その補償範囲は限定されております。
(7)訴訟リスク
当社グループは、業務を遂行するにあたり法令遵守に努めておりますが、訴訟リスクが皆無ではありません。
(8)株価の下落
当社グループは、市場性のある株式を保有しており、株価の大幅な下落が、その他有価証券評価差額金の減少や評価損の発生など、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)新型コロナウイルス感染拡大
新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の制限等の措置や、従業員内での感染発生等が、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症拡大により社会活動が制限される中、ワクチン接種の推進と行動制限の緩和などにより徐々に回復に向かいましたが、物流の混乱や原燃料高などの影響を受け、予断を許さない状況が続いております。
当社グループの主要な取引先であります紙・パルプ業界は、電子媒体へのシフトや人口減などの構造的な変化により需要が低迷しておりますが、前年度に比べ回復の動きが見られました。
このような状況におきまして、当社グループは、取引先のニーズにお応えする品質・サービスの提供に努めてまいりました結果、売上高は9,839百万円(前期比1.7%減)となりました。前期比165百万円の減収となっておりますが、当期より「収益認識に関する会計基準」を適用している影響を含んでおります。また、国内向け紙・パルプ用フェルトの売上高が一部回復したこと、生産性の向上やコストダウンを進めたことなどにより営業利益は629百万円(前期比171.1%増)、経常利益は829百万円(前期比73.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失に投資有価証券評価損134百万円を計上しましたが、499百万円(前期比51.4%増)となりました。
なお、セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
<フェルト事業>
品種別の売上高は以下のとおりであります。
|
品 種 |
売 上 高 |
増 減 率 |
||
|
紙・パルプ用フェルト |
7,841 (1,563) |
百万円
|
前期比
|
4.2%増 (8.5%減) |
|
工業用その他の製品 |
1,402 |
|
|
27.1%減 |
|
合 計 |
9,244 |
|
|
2.2%減 |
(注)紙・パルプ用フェルト( )は国外売上高で、上段の数字に含まれております。
紙・パルプ用フェルトの売上高につきましては、国内は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて減少した紙・板紙の需給に一部回復の動きが見られたことに加え、高シェアを維持したことにより463百万円の増収となりました。一方、国外は中国での電力供給制限や新型コロナウイルス感染症の影響により生産調整を行った取引先もあり、145百万円の減収となりました。工業用その他の製品の売上高につきましては、ワイヤーの販売が増収だったものの、「収益認識に関する会計基準」の適用による一部仕入商品の売上計上方法の変更に伴う497百万円減少の影響などがあり、522百万円の減収となりました。
セグメント利益(営業利益)につきましては991百万円(前期比65.1%増)となりました。
<不動産賃貸事業>
本社ビルのテナントフロアを増床したことにより、賃貸収入が増加し、売上高は595百万円(前期比7.0%増)となりました。
セグメント利益(営業利益)につきましては306百万円(前期比1.4%増)となりました。
(注)1.各セグメント利益(営業利益)の合計額と連結業績における営業利益との差異、668百万円は各セグメントに配分していない全社費用であります。「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」もご参照下さい。
2.当期より「収益認識に関する会計基準」を適用しており、前期比較は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ139百万円増加しております。これは、現金及び預金が639百万円、商品及び製品が57百万円、原材料及び貯蔵品が40百万円増加した一方、流動資産その他が39百万円、有形固定資産が102百万円、無形固定資産が47百万円、投資有価証券が431百万円減少したことなどによるものです。
負債は前連結会計年度末に比べ32百万円増加しております。これは、支払手形及び買掛金が60百万円、未払法人税等が105百万円、流動負債その他が173百万円増加した一方、リース債務(流動・固定)が44百万円、繰延税金負債が53百万円、退職給付に係る負債が202百万円減少したことなどによるものです。
純資産は前連結会計年度末に比べ106百万円増加しております。これは、利益剰余金が203百万円、為替換算調整勘定が102百万円、退職給付に係る調整累計額が89百万円増加した一方、その他有価証券評価差額金が206百万円減少したことなどによるものです。また、自己株式の取得を134百万円、譲渡制限付株式報酬として12百万円の自己株式の処分をしております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ639百万円増加し4,758百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,281百万円(前期は1,054百万円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が702百万円、減価償却費が524百万円、投資有価証券評価損が134百万円となった一方、法人税等の支払が100百万円あったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、251百万円の支出(前期は690百万円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が270百万円あったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、431百万円の支出(前期は411百万円の収入)となりました。これは、自己株式の取得による支出が134百万円、配当金の支払が246百万円あったことなどによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
ⅰ) 生産実績
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前期比(%) |
|
フェルト事業 |
9,125,364 |
3.2 |
|
合計 |
9,125,364 |
3.2 |
(注)金額は、販売価格に換算しております。
ⅱ) 受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期比(%) |
|
フェルト事業 |
10,001,616 |
1.6 |
6,281,856 |
12.1 |
|
合計 |
10,001,616 |
1.6 |
6,281,856 |
12.1 |
ⅲ) 販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前期比(%) |
|
フェルト事業 |
9,244,298 |
△2.2 |
|
不動産賃貸事業 |
595,551 |
7.0 |
|
合計 |
9,839,850 |
△1.7 |
(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
日本製紙㈱ |
1,225,329 |
12.2 |
1,218,723 |
12.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日(2022年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして当社グループは、資産、負債、損益の計上金額に影響する見積りを行う必要があり、合理的な要因に基づき継続的にこれを行っております。実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
また、新型コロナウイルス感染症拡大にかかる会計上の見積り金額への影響は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」をご参照下さい。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績等の状況の分析)
経営成績については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
フェルト事業売上高は、「会計方針の変更」に記載のとおり「収益認識に関する会計基準」の影響を受けて減少しておりますが、出荷高は増加しており、実質は増収となっております。これは前期、新型コロナウイルス感染症拡大による景気減退を受け、出荷高が減少していたものが一部回復したことによるものであります。しかし、フェルト事業の主要な得意先である紙・パルプ業界は電子媒体へのシフトが進んでおり、得意先の抄紙マシン廃台などにより需要が減少している状況は継続すると考えております。セグメント利益(営業利益)につきましては、前期比65.1%増加となりました。実質的な売上高の増加を受けたこと、減価償却費の減少などにより増益となりました。また、販売費及び一般管理費については、前期に引き続き、新型コロナウイルス感染症の拡大で得意先への出張の自粛による販売経費の減少傾向が継続しております。
不動産賃貸事業につきましては、本社ビルのテナントフロアを増床したことにより売上高は前期比7.0%増加いたしました。賃貸原価は、新たなテナント増床フロアの改修費用の増加などありましたが、セグメント利益(営業利益)は前期比1.4%増加いたしました。
当社グループ全体では、売上高は前期比1.7%減少、営業利益につきましては前述のとおり実質の売上増を受け、前期比171.1%増加となりました。経常利益についても前期比73.7%増加でありますが、雇用調整助成金収入が前期より減少したことなどにより、営業利益の増加率よりやや縮小しております。
また、当社グループは、3か年ごとの中期経営計画策定を基本としており、2020年度から2022年度までの中期経営計画を策定しております。その基本方針は次のとおりであります。
1. 総合抄紙用具企業を目指した基盤強化
2. 家庭紙・板紙向け市場を中心とした海外事業の強化
3. 産業資材事業の収益基盤の強化
4. 設備増強と生産体制の見直しによる工場の生産性向上
5. 研究開発体制の強化
6. 不動産事業の拡大による収益確保及び新規事業の創出
7. 人材育成 **「人材」から「人財」へ**
8. 環境に配慮した事業活動
なお、新型コロナウイルス感染症の影響下、当社を取り巻くマーケットは極めて不透明なため、具体的数値目標については開示を見送っておりますが、進むべき方向は一貫しております。従いまして、基本方針を変更することなく、高シェアの維持や板紙向けに掛入性の優れたフェルト製品の拡販を進める等の諸策を粛々と実行し、総合抄紙用具企業を目指し前進してまいります。
(経営成績に重要な影響を与える要因について)
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。特に原燃料の調達につきましては、ロシアのウクライナ侵攻等により原油が急騰しており、当社の主要材料である合成繊維や燃料価格に大きく影響が表れております。今後の動向を注視していく必要があります。
新型コロナウイルス感染症の拡大による影響について、フェルト事業は、(経営成績等の状況の分析)に記載のとおりであります。不動産賃貸事業については大きな影響はなく、順調に安定収益をあげておりますが、リスク分散の観点から高齢者施設、賃貸マンション、学生寮等多岐にわたった運用を心掛けております。
(キャッシュ・フローの状況の分析)
キャッシュ・フロー状況については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。なお、新型コロナウイルス感染症の経済に与える影響が不透明であったことから前期に銀行より借入を行ったことやコミットメントライン契約により財務の安定化を図っております。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの資金需要として主なものは設備資金、製造費、販売費及び一般管理費等の運転資金、配当金の支払等があります。
当社グループはこれら事業運営上必要な資金の流動性及び資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金については自己資金及び金融機関からの短期借入とし、大型の設備投資についてはファイナンス・リース又は金融機関からの長期借入をすることを基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金を含む有利子負債は1,620百万円であります。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,758百万円であります。
該当事項はありません。
当社グループは、製紙用フェルト分野においては高機能製品、製紙用フォーミングファブリック分野においては新しい織り構造、産業資材分野においては高機能フィルターに重点をおいた開発を行っております。
開発のスタッフはグループ全体で13名であり、これは全従業員の2.2%であります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
当連結会計年度における研究の目的、研究成果は次のとおりであります。
(1)紙・パルプ用フェルト
プレスフェルトの主要な機能である搾水性に重点をおいた特殊基布製品、高機能製品の改良、開発を進めております。
(2)製紙用フォーミングファブリック
脱水性において高い評価を得ている新しい織り構造を持った製品の改良、開発を進めております。
(3)工業用フェルト
各種環境用フィルター・耐熱性を持つフェルト・チューブ状フェルトなど、得意先のニーズに対応できるよう、新製品の開発を進めております。