当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「信用を重んじ、堅実を旨とする」「人の和と開かれた心で活力ある企業を築く」「創意を生かし、社業を通じて社会に貢献する」を企業経営の目標を達成するための活動指針である「社是」に掲げ、事業に対する信頼性と堅実性を経営の基本に位置付け、長期的視野から安定した経営基盤の確立に努めるとともに、卓越した開発力、技術力で多くの新しい商品を世に送り出し、事業活動を通じて社会貢献することを基本理念としております。
また、会社の存在意義、ありたい姿と価値観を明確にするため「ミッション・ビジョン・バリュー」を策定し、社内の意思統一をはかるためにスローガンを作成しておりますが、今回の新たな中期経営計画の策定にあたり、目指すべき方向性を明確にするため、「ミッション・ビジョン・バリュー」の見直しを行い、ビジョンを更新いたしました。
≪スローガン≫ つむぐ技術(ちから)、つなげる未来
①『ミッション』 “私たちの使命は、命と暮らしを守る製品を提供することです”
ミッションは当社の存在意義です。
当社の製品の多くは、事故や災害時に人命を守ることや救助すること、また暮らしの中で事故・災害を未然に防ぐことを目的に使われます。このような製品を確実な品質で提供することにより、当社は社会から存在意義を認められます。
②『ビジョン』 “私たちは、繊維で培ったコア技術を活かして社会課題を解決する企業であり続けます”
ビジョンは当社がミッションを通して目指す会社の姿です。
当社は、1878年の創業以来、繊維を基にした様々な製品展開をしてきており、当社はこれからも、原点である繊維で培ってきたコア技術を活かし、社会課題を解決し成長する企業であり続けるという目指す姿をグループ全体で統一し、また、広くステークホルダーの皆さまにお示しするものです。
③『バリュー』 “私たちは、誠実に、ルールを守り、品質最優先のものづくりに取り組みます”
バリューは当社が重んじる価値観です。
ミッションを果たしビジョンを達成するためには、製品に求められる品質が揺るがぬよう、あらゆる意思決定と業務実施の場面において高い規範意識が必要となります。
「社是」を経営理念として最上位に位置付け、新たな「ミッション・ビジョン・バリュー」と一体であるべき姿を目指す会社の『道標』とし、日々業務を遂行していく上での指針としております。
(2)目標とする経営指標
当社は、2025年から3ヵ年に亘る「第126~128期(2026年3月期~2028年3月期)中期経営計画」を2025年5月に策定いたしました。当該中期経営計画においては事業評価としてROICを重要な指数とし、2028年3月期に「5%以上」を目標としております。
また、配当については、新たにDOE目標を設け、純利益の額に左右されずに安定した配当を株主の皆様に還元することに努めてまいります。
(3)経営戦略
2025年4月からの中期経営計画“Road to 150”は「更なる成長のための基盤整備を推進する期間」と位置付けており、「2030年に向けた足場固めと攻めの投資」を行ってまいります。2030年度の連結売上高900億円、連結営業利益60億円に向けて、向こう3年間で総額210億円の設備投資と研究開発投資を計画しています。当面は投資が先行する計画ですが、従来以上の配当を安定的に行い、投資と株主還元のバランスの取れた経営を行ってまいります。
各事業および財務・投資戦略は以下のとおりです。
(自動車安全部品事業)
「交通事故死者ゼロに向けた、衝突安全規制の強化」が解決すべき課題であると認識しております。この課題解決のため、豊田合成株式会社とのアライアンスによるエアバッグ、シートベルトの拡販をさらに進めてまいります。
グローバル市場において、小回りが利くという当社の強みを活かし、他社にない価値を提供し、存在感のあるビジネスパートナーを目指します。
自動車市場は現在、法規の動向、BEVの進展に伴い、技術競争が激化しております。また、「コストダウンの標準化ニーズ」と「商品力アップのための差別化ニーズ」に対しての迅速な対応が求められております。このような環境に対応するため、4つの重点施策に取り組みます。
①商品戦略
次世代シートベルトや内装品のラインナップ拡充を行います。また、豊田合成株式会社との協業による両社の強みを活かした、エアバッグの更なる拡販とシートベルトとのセット拡販に取り組みます。
②品質・生産戦略
ビジネスパートナーを含めた品質アップ活動の拡充に取り組みます。また、現在一部拠点でしか展開できていないTPS(トヨタ流ものづくり)を全拠点に展開し、生産性の更なる向上と事業効率化を行います。
③販売戦略
拠点運営基盤を安定させ、各市場において拡販体制強化に取り組みます。
④人材戦略
各階層教育を強化し、次世代幹部職とコア人材の育成に取り組みます。
(機能製品事業)
インフラの老朽化、災害・減災、環境保全、物流2024年問題などの社会問題に対応する製品・サービスの開発・販売を進めてまいります。これらを進めていくにあたり、各事業領域でそれぞれ以下の課題があると考えております。
パルテム関連では、下水道分野における競争激化や、上水道分野への参入の壁、防災関連では、市場自体に新規参入が少なく、限られた会社間の競争の中でどのようにシェアを上げていくか、産業資材関連では、取り扱う製品の種類が多く、どのように差別化を行い独自性をだしていくか、ということです。このような環境のなかで、各事業領域では次の重点施策に取り組みます。
パルテム関連は、「上下水道管の老朽化への対応」が解決すべき課題であると認識しております。下水道分野は、新工法の開発と新工場の建設で需要の増加に対応してまいります。また、今まではあまり参入できていなかった上水道分野についても、管轄が下水道と同じ国土交通省に変わったことを機会ととらえ、本格参入をできるよう取り組みます。
防災関連は、「自然災害や大規模火災の増加への対応」が課題と認識しており、「高機能消防・排水ホースの販売拡充」、「大規模事業所向けの、大容量送水ビジネスの提案力の強化」、「防災新資機材の開発」に取り組みます。
産業資材関連は、「建設土木、物流業界の人手不足等への対応」が課題と認識しており、「広巾の高付加価値製品や物流省力化製品の拡販」、「地盤改良製品の国内外での販売強化」、「金属代替繊維製品の開発」に取り組みます。
機能製品事業全体で、「人材の確保」、「顧客志向や現場力の向上」、「技術の承継」に取り組みます。
(財務・投資戦略)
今までの「守りの投資」から脱却し、未来の収益基盤を整備する「攻めの投資」への転換を進めてまいります。「攻めの投資」により、有利子負債が増加する見込みですが、以前に比べ充実した自己資本を背景に、財務健全性は維持されます。
研究開発において、「軽量繊維コンポジット材の商品開発」などの新規分野の開発や「製織技術の向上」といった機能製品事業支援を行う予定です。
設備投資につきましては、成長投資枠として80億円、設備更新枠として80億円を見込んでおります。成長投資は、「パルテム関連の新工場建設」、「自動車安全部品事業の新製品の製造設備等への投資」、設備更新は既存設備の生産性向上・環境・省力化に留意した設備への更新等を進める予定です。
イノベーション戦略につきましては、創業以来培ってきた4つのコア技術を活かし、先ほどの説明のとおり、各事業での製品開発をさらに進めてまいります。そのため、研究開発費は前中期経営計画の3年間で約37億円でしたが、本中期経営計画の3年間では、約50億円に増大させる計画です。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
事業ごとの課題認識と取組みについては以下のとおりです。
(自動車安全部品事業)
当社が製造する自動車安全部品は、安全規制の強化もあり、今後も需要拡大が見込まれる一方で、更なる安全性能の向上やコスト低減等のニーズが高まるものと予想されます。これらに対応するため、当社は豊田合成株式会社との協業をさらに深化させ、共同調達や設計仕様の統一及び競争力の高い商品開発に継続して取り組むとともに、TPS(トヨタ流ものづくり)の定着により、さらなる生産性の向上と不具合品の撲滅および品質向上をはかります。貿易関税、為替や原材料市況の変動等の外部環境変化や生産変動に対して、耐性のある収益体質の構築が最重要課題の一つと認識しております。加えて、一部の海外グループ会社でのさらなる収益改善が必要であると認識しており、ガバナンスの強化とグローバルでの生産体制の最適化を着実に進めてまいります。
(機能製品事業)
機能製品事業では、内閣官房による「国土強靭化基本計画」において進められている防災インフラ整備・ライフライン強靭化・地域防災力強化等により、今後も需要の増加が見込まれています。「総合インフラ防災メーカー」としての地位確立に向けて以下の施策に取り組んでまいります。
パルテム関連は、主力の下水道分野の管路更生需要に対する生産性向上とシェアアップを目的とした次世代工法開発への投資、また上水道・農業用水分野において低環境負荷である管路更生工法の認知度向上と販売拡大を継続して進めます。
防災関連は、主力事業であるホースの製造・販売における品質面・収益面での安定化を図ります。また注力分野である大口径ホースシステム、防災関連資機材の販売拡大のために経営資源の投入を積極的に進めます。
産業資材関連は、物流の効率化等の諸課題に積極的に取り組むとともに、既存ビジネスの構造改革を進め、「地盤改良商品」「高機能繊維製品」を事業の新たな柱とすべく対応してまいります。また「地盤改良商品」については、新たな市場での販売拡大を進めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「地球環境問題への対応を重要な経営課題と認識し、持続可能な社会の実現のため積極的、能動的に取り組む」ことを企業行動指針に定め、以下の取り組みを行っております。
(1)ガバナンス
当社グループのガバナンスについては、
取締役社長を委員長とし、常勤取締役及び執行役員、常勤監査役、関連する部署の部門長で構成される「サステナビリティ委員会」を四半期毎に開催し、サステナビリティに関する課題の審議を行い、気候変動等による当社にとってのリスクと新たな機会・ビジネスチャンスを抽出し、それらへの対応策・対応方針を取締役会に報告し、「サステナブルな経営」を推進しております。
(2)戦略
当社グループではSDGsへの取組みに向けた5つの「マテリアリティ(重要課題)」を定めております。
①気候変動
物理的リスクについては、ハザードマップや過去の風水害による影響も考慮して評価いたしました。また、移行リスクについては、炭素税の導入やエネルギー費の高騰等が予想されますが、現時点での影響は限定的と考えております。
自動車業界では脱化石燃料の流れが進んでおりますが、当社自動車安全部品事業の主要な製品であるシートベルト、エアバッグ及び内装品については、引き続き需要の拡大が見込まれます。また機能製品事業では、パルテム関連(管路更生事業)は掘削工法に比べて環境負荷が少なく、防災関連の排水ホースや災害用テント、産業資材関連の物流省力化商品等、サステナブルな商品供給により、事業を通じて社会に貢献できる機会は増加するものと考えております。
②コンプライアンス
当社グループは、「国の内外を問わず、全ての法律やルール及びその精神を遵守し、公正で自由な企業活動を行う」ことを企業行動指針に定めております。コンプライアンス室を事務局として、Eラーニングを活用し、ハラスメント、贈収賄防止を始め、業務に関連する各種法令についての研修を実施する他、「コンプライアンスガイドブック」や「芦森グループ従業員行動規範」を定着させるべくサークル活動を行っております。コンプライアンスへの取り組みについては、取締役社長を委員長とする「コンプライアンス委員会」を設置してモニタリングしております。
③環境への対応
日本政府が目標に定める、2030年には温室効果ガス排出量を2013年比で46%削減、2050年に完全なカーボンニュートラルを実現することに向けて、当社グループとして取組んでおります。具体的には、循環型社会へ向けた取り組みを継続して行っており、3R(リデュース、リユース、リサイクル)を徹底し、廃棄物の発生量削減に努める他、工業用水のリサイクル技術の活用などにより水資源の確保に努めております。なお、CO2排出量の推移は、「
④人材育成方針
当社グループは、人は最も重要な経営資本と考え、人材の育成と確保に注力しております。2025年4月を始期とする中期経営計画において、「人材がいきいきと活躍し、チームワークを発揮できる会社風土」を築くため、アシモリ ルネサンス プログラムを策定し実行していきます。
本プログラムにおきましては特にキーワードとして「公正な処遇」、「働きやすい環境」、「教育の充実」の3つを柱とし、これらを推進するために「上司とメンバーのコミュニケーション強化」に重点を置きます。
本プログラムにつきましては、人に関する施策を一つのプログラムと考え個別施策が有機的に構造の中で
一体化することでより効果的な投資を行ってまいります。
なお、本プログラムの達成指標は「
(3)リスク管理
リスク管理体制
当社グループでは、芦森グループリスク管理委員会を設置し、社会的動向の変化を踏まえ、リスクと機会について変動の有無を検証し、活動に反映しております。当委員会は、取締役社長を委員長とし、年2回以上開催し全社的なリスクマネジメント活動を推進しております。
当社のサステナビリティに関するリスク管理のプロセスについて
芦森グループリスク管理委員会では地球環境、社会人権の尊重、腐敗防止、サイバーセキュリティ等、サステナビリティに関連したリスクも含めて、グループ全体及び各事業におけるリスクを抽出、分類、定量化(※)し、その防止あるいは軽減策を確認しリスク管理体制の強化に努めております。
(※)リスクマネジメント活動の起点として、リスクに関するアセスメントを実施、影響度と発生確率で評価した結果に基づき、重大なリスクについては当委員会でリスク対策の妥当性を検証しております。
各マテリアリティの主なリスク及び機会
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マテリアリティ |
リスク |
機会 |
対応 |
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環境との調和 |
・脱炭素への政策強化や社会的要求の厳格化よるコスト増 ・地球温暖化の進行・異常気象の増加による就業環境の悪化、事業被害の発生 ・「脱炭素」「リサイクル社会」への対応遅れによる信頼低下、企業価値の毀損 |
・環境配慮の重要性の高まりによる、省資源で高効率な生産プロセスへの移行 ・エネルギー使用量、原材料使用量の削減による収益向上 ・環境負荷低減のための製品開発やリサイクルの推進による信頼向上 ・リサイクル技術、エネルギーおよび原材料の使用量の削減による収益向上 |
・2050年のカーボンニュートラルに向けた中間目標への各種施策の推進 (省エネ取組みの深化、フォークリフトのEV化、高経年設備の更新、再生可能エネルギー電力の調達調査・検討など) ・リサイクルや温室効果ガスの排出低減を意識した製品の開発 ・産業廃棄物低減への取組みによる温室効果ガス排出量の削減 ・老朽化した上下水道管などの管路を掘り起こすことなく補修・更新する「非開削工法」の拡販・市場拡大を通じた環境への負荷低減 |
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確かな品質と適正な価格での製品提供 |
・製品の品質や安全性に問題を発生させることによる顧客からの信頼低下と訴訟リスク ・品質に対するクレームの内容や不具合の規模による、地域社会からの信頼低下 ・原材料の調達難や価格高騰による収益性悪化と生産面での支障発生 |
・製品の設計、製造、流通、廃棄に至るライフサイクル全体で品質を最優先とする製品を提供することによる、顧客からの信頼向上 ・TPS(トヨタ流ものづくり)導入による品質向上と原価低減 ・原材料調達先の多様化や製品構成の柔軟性確保による、収益力の安定性強化 |
・品質安全総点検活動による品質管理のレベルアップ ・ビジネスパートナーを含めた品質向上活動の拡充 ・TPS(トヨタ流ものづくり)の全拠点展開 |
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人材育成とダイバーシティ |
・人材が生き生きと活躍し、チームワークを発揮できる会社風土の醸成に失敗することによる、従業員の士気・発想力・イノベーションの低下 ・公平な評価体制の確立失敗による定着率の低下、ノウハウの不十分な蓄積と継承 ・市場要望に合致した商品・サービスの投入遅れによる、ビジネス機会の損失 |
・従業員の定着率向上による組織力強化と、安定したノウハウの蓄積と継承 ・多様な人材から生まれる発想・イノベーションによる技術力・生産性の向上 ・一人ひとりに合った指導・社員教育・能力開発による技術力・生産性の向上 |
・「アシモリ ルネサンス プログラム」の施策実施(評価・処遇制度の変更、教育制度の充実、多様な人材が働きやすい人事制度の整備、職場環境の改善など) ・各階層教育の強化による次世代幹部職とコア人材の育成 ・人材の確保、顧客志向や現場力の向上、技術の承継 |
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ガバナンスの充実 |
・ガバナンス不全による戦略進捗の遅れと収益低下 ・ガバナンス不全に伴う過小または過大な事業行動による収益低下、損失発生 |
・ガバナンス体制の充実による組織力の安定化、持続的な成長、企業価値の向上 ・ガバナンス体制の強化による戦略推進の加速、変化への対応力向上 ・適切なリスクテイクによる競争力の向上 |
・投資家との対話、認知度の向上、情報開示の拡充 (決算説明会の開催、機関投資家への能動的な対応(個別説明)など) ・個人投資家増加に向けた対応検討 (外部機関を通じたアンケート調査の検討や、その結果にもとづいた施策の立案・実施など) |
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法令・ルール遵守の徹底 |
・サプライチェーンを含め、コンプライアンス違反による損失発生と社会的信用の失墜 |
・内部統制の強化、コンプライアンスガイドブックや芦森グループ従業員行動規範の定着活動による、従業員、取引先の遵法意識の向上 |
・従業員行動規範(含むコンプライアンスガイドブック)の周知と実践活動(従業員行動規範を改定のうえ、全社員で読み合わせを実施) |
(4)指標及び目標
①CO2排出量の推移
当社及び当社グループ連結(国内・海外)の2021年3月期から2025年3月期までのCO2排出量(Scope1及びScope2)の推移は以下グラフのとおりです。
2024年度は、直接排出量であるScope1は減少したものの、間接排出量であるScope2は、主に排出係数の上昇や一部海外拠点での電力使用量の増加により増加し、Scope1とScope2の合計で増加しましたが、売上当りのCO2排出量は減少しました。
②ロードマップ
当社は2022年に温室効果ガス(≒ CO2)排出量を初めて算出・開示し、今後これを削減してカーボンニュートラルを達成するための計画(ロードマップ)を作成しています。
(ⅰ)日本政府の目標に合わせ、温室効果ガスの排出量を2030年度に2013年度比46%削減、2050年度(まで)にカーボンニュートラルを達成する当社グループの計画を策定いたしました。
(ⅱ)国内外の全グループ会社を含めた、Scope1(直接排出)とScope2(購入電力などの間接排出)を対象とし、Scope3(購入原料、部品などの生産過程での他社での間接排出)は対象としておりません。
(ⅲ)計画達成の手段は主に①運用改善や省エネ設備への更新、②創エネ(太陽光発電)、③オフセットです。
(ⅳ)運用改善による効果や追加投資額は、実地調査の対象となった大阪工場、篠山工場および芦森工業山口株式会社に限って算定しております。
③人的資本
アシモリ ルネサンス プログラムにおきましては、特にキーワードとして「公正な処遇」、「働きやすい環境」、「教育の充実」の3つを柱とし、これらを推進するために「上司とメンバーのコミュニケーション強化」に重点を置きます。
本プログラムの達成指標として下記を定め、全従業員と共有しております。
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項目 |
目標値 |
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1on1面談実施 |
100%実施 2025/4~ |
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管理職に占める女性労働者の割合(連結) |
2030年度 15% |
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従業員教育時間 |
一人当たり 本社教育8時間/年以上 部門教育5時間/年以上 |
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離職率低下 |
5%以下 |
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従業員アンケート |
2025年度中に実施 |
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男性育休取得率(国内連結) |
2030年度 90% |
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平均年休取得率 |
90%以上 |
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況は、今後起こりうる様々な要因により大きな影響を受ける可能性があります。以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)特定販売先への依存について
当社グループの事業は自動車安全部品の売上高構成比率が高く、2025年3月期における売上高のうち、販売実績上位2社の占める割合は約50%に達しております。今後新規販売先の開拓やその他事業の売上増により特定販売先への依存度を低下させる方針でありますが、特定販売先への依存度低下が進捗しない段階で、当該販売先による当社グループ及び当社グループ製品に対する取引方針が変化した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。また、当該リスクが顕在化した場合の影響度を見積もることは困難であると認識しております。
(2)製品の欠陥について
2025年3月期における売上高の約73%を占める自動車安全部品は、製品の特性上、極めて高い品質が求められます。これに対し、当社グループでは世界的に認められた品質管理基準に従って各種製品を製造し、品質管理に万全を期す一方、製品の品質に起因して発生した損失を補填する保険にも加入しております。しかし、万が一、大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥が発生した場合、当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上高が低下するほか、多額の追加コストが発生し、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
(3)原材料等の供給不足・供給価格の高騰について
当社グループの事業においては、十分な品質の原材料、部品等を調達することが不可欠であります。しかし、供給業者での不慮の事故、天災などにより供給が中断した場合や不安定となった場合、当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループと供給業者は、契約によりその供給価格を決定しておりますが、原油価格上昇等により原材料・部品価格が高騰する可能性があり、この場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
(4)為替レートの変動について
当社グループは、芦森工業本体における外貨建取引に加えて、芦森科技(無錫)有限公司(中国)、ASHIMORI (Thailand)CO.,LTD.(タイ)、Ashimori India Private LTD.(インド)、ASHIMORI KOREA CO.,LTD.(韓国)及びASHIMORI INDUSTRIA de MEXICO,S.A. de C.V.(メキシコ)において自動車安全部品の製造・販売を行っており、今後、生産移管を進めるに従って海外事業の比率が高くなることが予想されます。当社グループは、通常の営業過程における輸出入取引に係る為替変動リスクに対して為替予約取引を行う等、為替変動リスクの軽減を行っておりますが、これらにより全てのリスクを回避することは困難であると認識しております。また、連結財務諸表作成時には海外各国における現地通貨建財務諸表を円換算しているため、為替レートの変動が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
(5)知的財産権について
当社グループは、知的財産を企業の競争力を高めるための重要な経営資源であると考え、開発した商品や技術について、知的財産権による保護に努めておりますが、知的財産権の侵害の問題を完全に回避することは困難であり、第三者との間で知的財産権にかかわる紛争が生じる可能性があります。その場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。また、現段階において、将来的な顕在化の影響を定量的に見積もることは困難であると認識しております。
(6)米国の経済政策によるリスクについて
米国の関税や貿易に関する経済政策が直接的及び間接的に当社グループの事業に与える影響は大きく、売上高の著しい減少をもたらす懸念があります。その場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
(7)地政学的リスクについて
ウクライナや中東情勢の悪化・長期化で、資源価格の上昇による原材料価格やエネルギー費、物流費の高騰等、間接的な影響が顕在化しており、今後も引き続き利益が圧迫される可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は過去最高の72,604百万円(前年度比4,214百万円の増収)となりました。損益面におきましても、営業利益、経常利益ともそれぞれ過去最高の4,618百万円(前年度比864百万円の増益)、4,213百万円(前年度比11百万円の増益)となりました。一方、当社の自動車安全部品事業において過去に製造した製品に対して、顧客が実施した保証延長対応に伴う費用負担見込額として、当連結会計年度において製品保証損失を990百万円、また機能製品事業(防災関連)において、製造過程で発生した品質不良に伴う製品保証損失、棚卸資産評価損、製品補償対策費を合計145百万円、それぞれ特別損失として計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益 は、2,758百万円(前年度比458百万円の減益)となりました。
当連結会計年度末の総資産は54,271百万円であり、前連結会計年度末に比べ409百万円増加いたしました。これは、現金及び預金の増加1,017百万円、売上債権の増加276百万円、棚卸資産の減少683百万円、有形固定資産の減少425百万円等が影響したものです。
負債は29,315百万円であり、前連結会計年度末に比べ1,979百万円減少いたしました。これは、支払手形及び買掛金の減少54百万円、電子記録債務の減少1,852百万円、短期借入金の増加1,963百万円、1年内償還予定の社債の減少3,000百万円、未払金の増加121百万円、長期借入金の減少762百万円、製品保証引当金の増加972百万円等が影響したものです。
純資産は24,955百万円であり、自己資本比率は45.9%(前連結会計年度は41.8%)となりました。
以下、各事業セグメント別に概況をご報告申し上げます。
当社は、事業本部制を基礎とした製品・サービス別のセグメントから構成されており、「自動車安全部品事業」「機能製品事業」の2つを報告セグメントとしております。
a.自動車安全部品事業
当連結会計年度においては、一部で生産調整の影響がありましたが、円安効果と原材料価格の市況変動分及び労務費上昇分の一部を売価に転嫁した結果、当事業の売上高は52,855百万円(前年度比2,816百万円の増収)となりました。
また、豊田合成株式会社との協業活動による生産性の向上及び業務効率アップや経費削減の自助努力と為替影響により、損益面は大幅に改善し、営業利益は3,379百万円(前年度比1,062百万円の増益)となりました。
今後も貿易関税、為替変動及び原材料価格の上昇、生産変動等のリスクはありますが、固定費削減、経費削減などの収益改善施策に引き続き取り組んでまいります。
b.機能製品事業
パルテム関連(管路更生事業)は、売上高10,928百万円(前年度比677百万円の増収)、営業利益は1,737百万円(前年度比300百万円の減益)となりました。下水道分野における繰越工事が多く、売上高は前年度を上回る水準となりましたが、原材料高騰や労務費上昇などのコストアップ、加えて将来の成長に向けた投資も増加し、収益率は低下しています。主力の下水道分野の受注確保と共に、その他分野における管路更生工法浸透のための活動を継続して進めてまいります。
防災関連は、売上高2,192百万円(前年度比282百万円の減収)、営業損失は19百万円(前年度比162百万円の減益)となりました。前年度は大口径ホースシステム関連の石油コンビナート向け大型案件納入があったこと、また品質問題が発生した消防用・消火栓用ホースの販売が低調に推移したことが前年度比減収減益の主要因ですが、一方で大口径ホース、排水ホース、消防関連資機材は受注も活発で堅調に推移しており、今後も安全・品質を最優先に活動を進めてまいります。
産業資材関連は、売上高6,603百万円(前年度比1,008百万円の増収)、営業利益は175百万円(前年度比172百万円の増益)となりました。全般的な市況回復傾向により、自動車産業や防火スクリーン用途の広巾織物の販売が堅調に推移しました。
当連結会計年度上期には、地盤改良商品の大型土木工事案件の施工・納入がありましたが、次年度も受注獲得を目指して土木工事案件やその他新市場への対応を精力的に進めてまいります。また、市況回復が他分野と比べ遅れている陸上・海上輸送向け物流関連製品も、受注が好転しつつあり、新製品を上市するなど販売拡大の活動を進めてまいります。
この結果、当事業の売上高は19,723百万円(前年度比1,402百万円の増収)、営業利益につきましては1,892百万円(前年度比291百万円の減益)となりました。
c.その他
当事業の売上高は25百万円、営業利益は9百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は6,287百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,031百万円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は4,286百万円(前連結会計年度は3,173百万円の獲得)となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益3,412百万円、減価償却費1,756百万円、製品保証引当金の増加額973百万円、売上債権の増加額247百万円、棚卸資産の減少額540百万円、仕入債務の減少額1,854百万円、法人税等の支払額947百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,178百万円(前連結会計年度は725百万円の使用)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出1,549百万円、有形固定資産の売却による収入435百万円、無形固定資産の取得による支出141百万円、投資有価証券の売却による収入81百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2,254百万円(前連結会計年度は1,901百万円の使用)となりました。主な内訳は、短期借入金の純増額1,924百万円、長期借入れによる収入2,644百万円、長期借入金の返済による支出3,199百万円、社債の償還による支出3,000百万円、配当金の支払額600百万円等であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
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自動車安全部品事業(百万円) |
52,666 |
104.7 |
|
機能製品事業(百万円) |
17,957 |
108.3 |
|
合計(百万円) |
70,625 |
105.6 |
(注)金額表示の基準は、販売価額によります。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
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機能製品事業 |
7,100 |
63.8 |
3,763 |
67.2 |
(注)1.機能製品事業のパルテム部門以外は主として見込生産を行っており、受注に基づく生産は、ほとんど行っておりません。
2.前連結会計年度において、パルテム部門の受注残高に著しい変動がありました。これは主に大型工事案件の受注が増加したことによるものであります。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
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自動車安全部品事業(百万円) |
52,855 |
105.6 |
|
機能製品事業(百万円) |
19,723 |
107.7 |
|
その他(百万円) |
25 |
86.3 |
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合計(百万円) |
72,604 |
106.1 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
マツダ(株) |
28,302 |
41.4 |
29,475 |
40.6 |
|
スズキ(株) |
6,130 |
9.0 |
6,669 |
9.2 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
自動車安全部品事業においては、原材料価格の市況変動分及び労務費上昇分の売価への転嫁を進めたこと、豊田合成株式会社との協業活動による生産性の向上及び業務効率アップや経費削減の自助努力と為替の好影響があったことにより、前年度比で増収増益となりました。
機能製品事業においては、下水道分野を中心とする管路更生工事が堅調であり、産業資材分野でも全般的な市況回復傾向が見られましたが、原材料価格の高騰や労務費上昇などのコストアップの影響を大きく受け、前年度比で増収減益となりました。
また、当連結会計年度においては両事業セグメントとも増収傾向にありましたが、同時に棚卸資産の削減に注力した結果、有利子負債が前年度比で大幅に減少いたしました。堅調な利益水準と併せ、当社グループの財務体質は前年度に引き続いて向上いたしました。
セグメントごとの経営成績の詳細は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性について
キャッシュ・フローの分析については「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資本の財源及び資金の流動性について)
当連結会計年度において、社債3,000百万円を償還いたしました。その際、新たな有利子負債の発生を抑制し財務体質の強化を図るため、設備投資の総額については減価償却費を大きく上回らない水準に抑制いたしました。
また、当連結会計年度においては両事業セグメントとも増収傾向にありましたが、同時に棚卸資産の削減に注力する等、資金効率の重要性を踏まえ、その向上に継続して取り組んでまいりました。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載しておりますが、連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目は以下のとおりであります。
(a)貸倒引当金
当社グループの保有する債権に係る損失が見込まれる場合、その損失に充てる必要額を見積り、引当金を計上しております。一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。
貸倒懸念債権等特定の債権の回収可能性の評価は、将来の不確実な経済条件の変動などによる影響を受け、債務者の財務状況等が悪化した場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する貸倒引当金及び貸倒引当金繰入額の金額に影響を与える可能性があります。
(b)固定資産の減損
当社グループでは、固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合は、減損の要否を判定しております。この判定は、連結グループ個社単位で行うこととしており、事業用資産については、製品グループを考慮して資産グループを決定し、共用資産については、会社全体をグルーピングの単位として将来キャッシュ・フローの見積りを行い、この見積りに基づいて行っております。また、事業の用に供していない遊休資産については、個別物件ごとにグルーピングを行っており、個別に比較可能な正味売却価額に基づいて行っております。将来キャッシュ・フローの見積りについては、合理的に算定された事業計画及び回収可能価額に基づいて行っておりますが、将来の予測不能な予算策定上の前提条件等の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
(c)繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税負担を軽減する効果を有するかどうかで判断しており、当該判断にあたっては、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性があるかどうかを判断しております。
収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたり、一時差異解消見込年度における課税所得を見積っておりますが、この課税所得は、過去の推移を基礎として、合理的に算定された事業計画に基づいて、見積りを行っております。
当該見積りについて、将来の予測不能な前提条件の変動等により見直しが必要となった場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に影響を与える可能性があります。
(d)製品保証引当金
当社グループは、製品の品質保証期間内でのクレームによる補償支出に備えるため、過去の実績を基礎にした発生見込額を計上しております。また、得意先において市場回収処理(リコール等)を行うことに伴う発生見込み額を計上しております。
引当金の見積り時等において想定していなかった製品の不具合等が発生する場合は、見積り額の修正が必要となる可能性があります。
④ 経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況について
次期連結会計年度は、自動車市場の不透明性による生産台数減を見込んだこと、及び当社グループの製品構成の変化に加え、当期実績よりも円高を想定したことにより、連結売上高66,000百万円、営業利益3,000百万円、経常利益3,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,200百万円を見込んでおります。
(単位:百万円)
|
指標 |
2025年3月期 実績 |
2026年3月期 計画 |
増減 |
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売上高 |
72,604 |
66,000 |
△6,604( 9.1%減) |
|
営業利益 |
4,618 |
3,000 |
△1,618(35.0%減) |
|
(営業利益率) |
6.4% |
4.5% |
1.8ポイント減 |
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経常利益 |
4,213 |
3,000 |
△1,213(28.8%減) |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
2,758 |
2,200 |
△558(20.2%減) |
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、安全、安心、快適な製品、技術を生み出すことを目的としております。主な研究開発活動は、当社が主体的に取り組んでいますが、「パルテム」においては工法開発がメインとなるため、子会社である芦森エンジニアリング株式会社と共同で技術開発を行っております。
研究開発部門では、将来の軸となるコモディティ化し難い商品やシステムの技術開発に取り組んでおります。特に新規事業の育成につなげるため、先進ユーザー、ビジネスパートナー、大学等の外部機関と連携し、新たな価値創造に繋がる活動を実施しております
当連結会計年度におけるセグメント別の研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであり、研究開発費の総額は
(1)自動車安全部品事業
EV化などの様々な車の進化に対応し、ユーザーに安全・安心・快適を提供するための技術開発を行っております。
安全部品であるシートベルト、エアバッグでは、交通事故死亡者ゼロとなる社会の実現に向けて、時代の要請に応えた高性能なシステム開発を進めております。また、内装品では、グローバル市場でのユーザーの快適性・利便性を向上するための製品開発に取り組んでおります。
当連結会計年度における自動車安全部品事業の研究開発費は
(2)機能製品事業
パルテム関連(管路更生事業)では、令和6年能登半島地震や埼玉県八潮市道路陥没事故など、私たちの生活を脅かす災害から、下水道や上水道などライフラインの耐震化および補強要求が高まっています。そこで次の取組みを実施しました。
①パルテムHL工法:国土交通省との共同研究に参画し上水道管路更生の基準作りに取組んでいます。また水管橋施工時の課題であった空気弁箇所の分岐処理工法を開発いたしました。
②パルテムSZ工法:過去最大延長を出荷し、安定的に実績を伸ばしています。更に環境対策への取組み、安全性と信頼性を両立する改良を実施しています。
③パルテム・フローリング工法:蓋掛け水路や無筋トンネルへの適用拡大として、自立構造の評価を実施いたしました。
④その他:栃木県に新工場新設用地を取得し2027年度操業に向け、材料の安定供給や省力化を進めます。
防災関連では、当期に発生した品質問題に対して原因究明を行い、開発段階においても設計手順から見直しを行って再発防止に取り組み、その上で新たなモデルの開発を進めています。電力会社向け大口径ホースについては顧客要望からホースの軽量・柔軟化仕様の開発を進めるとともに、石油コンビナート向けでの更なる大口径化を見据えた織機の製作を行いました。加えて大口径ホースシステムでは積雪時にも対応可能な全天候型ホース展張回収車の開発を進めつつ、400Aホースの優位性についてのPR活動を行いました。資機材関係では、呼吸器ボンベ用コンプレッサーのメンテナンス作業体制の構築を図りました。
産業資材関連では、トラック物流機器分野において、省力化搬送装置の開発に取り組んでおり、完成車向けエアーロールシステムを上市することができました。続いて自走式エアーロールシステムの実車モニターを開始し、今年度中の上市を目指します。ゴム資材用織物分野においては、特殊搬送ベルト等の一般産業用途での開発を進めており、今年度の海外向けでの上市を計画しております。新規分野への取り組みにおいては、パレスシートの住宅分野への応用を目指し、建築技術性能証明書を取得いたしました。今年度から本格販売に向けて取り組んで参ります。自動車専用船で使用される輸送用固縛ベルトにおいて、市場競争力を高めた商品を目指して開発に取り組んで参ります。
当連結会計年度における機能製品事業の研究開発費は
(3)その他
技術企画部では、将来の市場動向を見据え、当社のコア技術を活用した商品開発に取り組んでいます。
①新規市場開拓技術
軽量繊維コンポジット材やファイバーセンシング技術、金属代替製品の開発を進め、環境分野では温暖化防止システムにも注力しています。
②円筒織物技術を活用した製品開発
革新織機や押出成形などの加工技術を活用した軽量・低挙動ホースと送水システムの開発を行っております。
③生産革新
大気圧プラズマを応用したホース生産技術や、環状織機の自動化に取り組んでいます。
当連結会計年度におけるその他の研究開発費は