文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「信用を重んじ、堅実を旨とする」「人の和と開かれた心で活力ある企業を築く」「創意を生かし、社業を通じて社会に貢献する」を企業経営の目標を達成するための活動指針である「社是」に掲げ、事業に対する信頼性と堅実性を経営の基本に位置付け、長期的視野から安定した経営基盤の確立に努めるとともに、卓越した開発力、技術力で多くの新しい商品を世に送り出し、事業活動を通じて社会貢献することを基本理念としております。
(2)目標とする経営指標
当社では、企業価値の向上を目指すにあたり、営業利益と営業利益率を重要な経営指標と位置づけ、その向上に取り組むとともに、有利子負債の削減と自己資本比率の向上を目標とした財務体質の強化に取り組んでおります。
(3)中長期的な会社の経営戦略ならびに会社の対処すべき課題
当社グループは、激変を続ける事業環境のなか、事業規模の拡大や収益基盤の強化を通じて企業価値を向上させるべく、各種施策にグループ一丸となって取り組んでまいります。
事業ごとの取り組みについては以下のとおりです。
自動車安全部品事業
新興国をはじめとした成長市場での安全部品の需要増加や、顧客の品質・コストへの要求の高まりが継続するなか、自動車安全部品事業では以下を重点活動方針に掲げ、取り組んでまいります。
①全グループ会社が連携し、グローバル品質のものづくり体制を強化、深耕させる。
②環境変化に柔軟に対応できる製・技・販体制を構築し、事業連結利益の最大化をはかる。
③次世代を見据えた顧客要求を満足する製品開発を推進し、顧客から選ばれる企業になる。
具体的には、高付加価値部品の内製化の検討やFA化の推進による省人化・品質安定化などにより海外現地法人を
含む全拠点における収益力向上活動を強力に推進するとともに、「ニーズの先取り」「高付加価値」をキーワードと
した次世代商品の開発にも注力いたします。
なお、中期計画との対比では、国内販売は今後も順調に推移することを見込んでおりますが、中国、メキシコの現
地法人における事業環境が中期計画策定時と比較して厳しさを増しており、売上、利益面とも中期計画を下回ること
が予想されます。昨年6月にドイツに開設した欧州事務所における情報収集活動などを積極的に推進するほか、引き
続き各種収益力向上施策に取り組むとともに、現在、芦森工業山口株式会社で建設中の第三工場など、需要拡大が見
込まれる国内外の拠点において設備投資を積極的に進め、中期計画との乖離縮小に努めます。また第120期(2020年3
月期)には現在の中期計画最終年度の数値目標を達成できるよう収益基盤の強化に注力してまいります。
機能製品事業
国内の防災・減災意識の高まり、国土強靭化政策を受けたインフラ強化といった流れから、今後もパルテム・防災分野の需要増加が見込まれます。
市場ニーズと当社の独自技術をマッチングさせた商品・システムの新規開発や付加価値向上に一層注力し、各分野の受注拡大をはかり、収益規模の拡大と「総合インフラ防災メーカー」の地位確立に引き続き取り組んでまいります。
さらに、新たに設置した営業拠点の運営を活性化させ、顧客の声を直接聞く営業活動を通じて、利益拡大に努めてまいります。
パルテム関連では、国内管更生需要の伸びに対応し、コスト低減や次世代製品の開発を推し進め、北米他への海外分野にも挑戦し、さらなるシェアの拡大と収益向上を目指します。
防災関連では、消防用・消火栓用ホースの販売体制をより一層強化することでシェアの拡大をはかります。また大
口径システムや防災資機材のラインナップを早期拡充し、中期計画との乖離縮小に努めます。さらに最終ユーザーと
の関係を築く営業活動を推し進め、新たな防災市場の開拓に取り組んでまいります。
産業資材関連では、連結子会社のオールセーフ株式会社との連携をさらに強化し、物流や建築などの堅調な分野へ
の販売を引き続き確保するとともに、中期計画との乖離要因となっている土木関係の新商品の開発やアジアを中心と
した海外事業展開を加速し、事業規模の拡大をはかります。
なお、機能製品事業本部においては、業績は好調に推移しており中期計画を上回る見込みとなっております。ま
た、関連会社となったヤシロコンポジット株式会社における生産能力の増強と連結子会社となった株式会社柴田工業
との協業により、事業基盤の一層の強化をはかってまいります。
上記の取り組みに加え、全社的な生産性向上への取り組みや経費削減活動を通じて収益力強化をはかるとともに、当社グループ全体のガバナンス強化、コンプライアンス体制の拡充にも引き続き取り組んでまいります。
当社グループ(当社及び連結子会社)の業績は、今後起こりうる様々な要因により大きな影響を受ける可能性があります。以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)特定販売先への依存について
平成30年3月期における売上高のうち、販売実績上位2社の占める割合は約35%に達しております。当社グループにおける自動車安全部品の売上高構成比率が高いためであり、新規販売先の開拓やその他部門の売上増により特定販売先への依存度を低下させる方針であります。しかし、特定販売先への依存度低下が進捗しない段階で、当該販売先による当社グループ及び当社グループ製品に対する取引方針が変化した場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(2)製品の欠陥について
平成30年3月期における売上高のうち、約71%を占める自動車安全部品は、製品の特性上、特に品質面において完璧が求められております。当社グループでは世界的に認められている品質管理基準に従い各種製品を製造し、品質管理には万全を期しており、保険にも加入しております。しかし、万が一、大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥が発生した場合、当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上高が低下し、当社グループの業績と財政状態に影響を与える可能性があります。
(3)為替レートの変動について
当社グループは、芦森科技(無錫)有限公司及び無錫芦森国際貿易有限公司(中華人民共和国)、ASHIMORI (Thailand)CO.,LTD.(タイ王国)、Ashimori India Private LTD.(インド国)、ASHIMORI KOREA CO.,LTD.(大韓民国)及びASHIMORI INDUSTRIA de MEXICO,S.A. de C.V.(メキシコ合衆国)において自動車安全部品の製造・販売を行っており、今後、生産移管をはじめ海外事業の比率が高くなることが予想されます。当社は、通常の営業過程における輸出入取引及び貸付金に係る為替変動リスクに対して為替予約取引を行うなど、為替変動リスクの軽減を行っておりますが、為替レートの変動が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(4)知的財産権について
当社グループは、知的財産を企業の競争力を高めるための重要な経営資源であると考え、開発した商品や技術について、知的財産権による保護に努めておりますが、第三者との間で知的財産権にかかわる紛争が生じる可能性があり、その場合、当社グループの業績と財政状態に影響を与える可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、米国の政策運営やアジア情勢の緊迫化をはじめとする地政学リスク等があったものの、雇用・所得環境の改善継続や各種政策の効果などにより、全体として景気は緩やかな回復傾向となりました。
このような情勢のなかで当社グループは、顧客志向の商品開発強化に取り組むとともに、収益や成長が見込まれる分野への拡販を推進し、業績の向上に努めてまいりました。
主力の自動車安全部品事業において海外売上が増加したことや受注車種の販売が好調に推移したことなどにより、当連結会計年度の売上高は567億14百万円で前年度比63億83百万円増となりました。損益面については、営業利益は18億79百万円で前年度比3億69百万円増、経常利益は為替差損益の改善もあり19億46百万円で前年度比5億84百万円増となりましたが、本社ビル譲渡にともなう特別損失4億97百万円および繰延税金資産の取り崩しにともなう法人税等調整額3億80百万円を計上したこと等により親会社株主に帰属する当期純利益は4億57百万円で、前年度比では5億61百万円減となりました。
以下、各事業セグメント別に概況をご報告申し上げます。
当社は、事業本部制を基礎とした製品・サービス別のセグメントから構成されており、「自動車安全部品事業」「機能製品事業」の2つを報告セグメントとしております。
a.自動車安全部品事業
シートベルトについては、韓国、中国の現地法人において販売が減少したものの、タイ、インドの現地法人における販売が順調に推移し、売上が増加いたしました。エアバッグについては、国内において受注車種の販売が好調に推移したことや、韓国の現地法人において現地カーメーカー向け新規受注品の量産が開始されたことにより売上が大幅に増加いたしました。しかしながら、内装品その他につきましては、国内、タイの現地法人において販売が伸び悩み、売上が減少いたしました。
この結果、当事業の売上高は399億91百万円で前年度比39億84百万円増となりました。一方で、中国の現地法人における販売価格低減による利益率の低下や、メキシコの現地法人における受注車種の減産などが影響し、営業利益は11億65百万円と前年度比6百万円減となりました。
b.機能製品事業
パルテム関連は、ライフライン(下水道・上水道・ガス等)の管更生分野において、特に下水道が伸長したほか、農業用水、上水道分野の受注も好調に推移し、売上は大幅に増加、損益面でも増益となりました。
防災関連は、消防用ホースの年度初めの物件数が少なく、大口径送水ホースも需要の一巡やメンテナンス物件などの先送りもあり、売上はやや増加したものの損益面では減益となりました。
産業資材関連は、ロープの売上が減少しましたが、物流省力化システム関連が好調で、昨年度連結子会社化したオールセーフ株式会社の業績も寄与した結果、売上は増加、損益面でも増益となりました。
この結果、当事業の売上高は167億16百万円で前年度比23億98百万円増となり、営業利益は20億5百万円で前年度比4億52百万円増となりました。
c.その他
当事業の売上高は7百万円、営業利益は5百万円と、前年度に比べ横ばいとなりました。
② キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動による資金の収入は、税金等調整前当期純利益15億8百万円、減価償却費16億50百万
円、売上債権の増加20億4百万円、たな卸資産の増加5億10百万円、仕入債務の増加9億38百万円等により、前連結会計年度に比べ12百万円減少して19億17百万円となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動による資金の支出は、有形固定資産の取得による支出38億55百万円、有形固定資産の売却による収入23億37百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出7億円及び関係会社株式の取得による支出6億10百万円等により、前連結会計年度に比べ7億29百万円増加して29億44百万円となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動による資金の収入は、社債の発行による収入28億87百万円、社債の償還による支出20億円、長期借入れによる収入11億24百万円、長期借入金の返済による支出11億69百万円、配当金の支払額1億81百万円等により、前連結会計年度に比べ16億73百万円減少して2億82百万円となっております。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度に比べ、7億39百万円減少して24億80百万円となっております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
自動車安全部品事業(百万円) |
30,527 |
99.4 |
|
機能製品事業(百万円) |
12,095 |
114.0 |
|
合計(百万円) |
42,623 |
103.2 |
(注)1.金額表示の基準は、販売価額によります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
機能製品事業 |
6,956 |
115.0 |
2,362 |
108.4 |
(注)1.機能製品事業のパルテム部門以外は主として見込生産を行っており、受注に基づく生産は、ほとんど行っておりません。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
自動車安全部品事業(百万円) |
39,991 |
111.1 |
|
機能製品事業(百万円) |
16,716 |
116.7 |
|
その他(百万円) |
7 |
100.9 |
|
合計(百万円) |
56,714 |
112.7 |
(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
マツダ(株) |
13,205 |
26.2 |
16,261 |
28.7 |
|
スズキ(株) |
4,403 |
8.7 |
3,666 |
6.5 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれおりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
営業活動から発生する営業利益や営業利益率が重要な指標となりますが、一方で資産効率向上に取り組み自己資本利益率や総資産利益率も重視しております。
中期経営計画では自己資本利益率を指標として掲載しておりますが、総資産にしめる負債の状況から総資産利益率が指標として適切と判断しております。
当連結会計年度では総資産経常利益率は4.6%となっておりますが、総資産回転率については、ここ数年1.3~1.4で推移しており資産効率のアップが課題のひとつと認識しております。
② 当社グループの当連結会計年度の経営成績等
当連結会計年度は、中期経営計画(平成29年3月期から平成31年3月期まで)の中間の会計年度にあたっております。売上高は567億14百万円、営業利益は18億79百万円で前年度比増収増益となっておりますが、中期経営計画比では売上高は2億86百万円、営業利益は6億21百万円それぞれ未達となっております。
メキシコや中国の現地法人など海外事業で、受注先の減産や販売価格の下落など環境が厳しくなったことが主因であります。
③ セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.自動車安全部品事業
売上高は399億91百万円で前年度比増収となったものの、中国やメキシコの現地法人での収益の悪化が響き、営業利益は11億65百万円で、前年度比微減益となっております。
営業利益率は3%を割り込んでおり、販売商品の取捨選択を図ることも選択肢となりますが、かたや顧客に安定して自動車部品を供給する社会的使命もあり、M&Aなど行うことで新たな商材を獲得することも視野に入れた検討を今後、行ってまいります。
b.機能製品事業
売上高は167億16百万円、営業利益は20億5百万円で前年度比増収増益となっておりますが、これはライフラインの管更生事業でありますパルテム関連の好調によるものであり、防災関連は増収減益、また産業資材関連は増収増益であるもののオールセーフ株式会社の通年寄与が効いた結果であり、従来の分野では苦戦となっております。
今後、防災関連、産業資材関連での収益改善策を検討してまいります。さらに新規市場の開拓、新商品の早期開発と拡販、当社グループ会社の連携強化と協業による事業規模の拡大を図ってまいります。
④ 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
a.顧客の要因
当連結会計年度における売上高のうち約70%を自動車安全部品事業が占めております。さらに全売上高の35%を販売実績上位2社で占めております。結果、受注先の生産状況が当社の業績に重要な影響を与えております。
b.為替の要因
当連結会計年度における売上高のうち約30%を海外が占めております。結果、為替相場の動向が当社の業績に重要な影響を与えております。
⑤ 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について
当連結会計年度は38億3百万円の設備投資を行っております。うち、北米顧客向けの拠点であるメキシコ現地法人第2工場新設など自動車安全部品事業に32億37百万円を支出しております。今後も欧州事務所の設置など海外顧客増を見込んだ海外投資はもとより、国内の老朽化した生産設備の更新等は継続して行なってまいりますので、大きな資金需要は今後も続きます。
一方、当連結会計年度期末日の借入金や社債が長期短期合わせて124億42百万円と総資産442億78百万円の28%強を占めておりますことから、財務内容悪化の懸念から個々の投資案件につきましては採算性や将来の財務内容への影響等を十分検討して実施してまいります。
さらに昨年9月に旧本社土地建物の売却を行いましたように、適時資産の組み換え等も行い外部からの資金調達の圧縮と資産の効率を図ってまいります。
当連結会計年度において、新たに締結した経営上の重要な契約等の締結は次のとおりです。
当社は、固定資産の有効利用の一環として、本社・大阪工場南西部の駐車場を含む一部土地の売却を決定し、固定資産の譲渡契約を平成29年10月31日に締結いたしました。
1.固定資産譲渡の内容
|
資産の名称および所在地 |
譲渡価格 |
帳簿価格 |
譲渡益 |
現況 |
|
芦森工業株式会社 本社・大阪工場南西部の一部土地約10,039 ㎡ (摂津市千里丘七丁目 106番1) |
- (注) |
- (注) |
2,624百万円 |
本社・大阪工場の一部 |
(注)譲渡価額および帳簿価額については、譲渡先の強い要請により開示を控えさせていただきますが、不動産鑑定評価を踏まえて決定しております。譲渡益は、譲渡価額から帳簿価額を控除した額です。
2.譲渡先の概要等
譲渡先につきましては国内の一般事業法人ですが、先方の強い要請により公表は控えさせていただきます。
また、譲渡先と当社との間には、記載すべき資本関係、人的関係、取引関係はなく、関連当事者にも該当いたしません。
3.譲渡の日程
取締役会決議日 平成29年10月20日
譲渡契約締結日 平成29年10月31日
物件引渡日 平成35年4月28日までの予定
※契約締結後、引渡日までの期間、当該固定資産は賃貸可能な状況になれば譲渡先へ賃貸する予定です。
なお物件引渡は平成35年4月28日までに行うとしており、引渡日が早まる可能性がございます。
4.今後の見通し
当該取締役会決議により、物件引渡日が平成35年4月28日の場合は、平成36年3月期第1四半期連結会計期間において2,624百万円を特別利益に計上する見込みであります。引渡日が早まる等、変更が生じた場合は、速やかに開示いたします。なお、当該固定資産譲渡による当期連結業績への影響はございません。また、本件売却資金につきましては、設備投資等に活用する予定です。
当社グループ(当社及び連結子会社)における研究開発活動は、自動車安全部品事業、機能製品事業各関連において、より安全、安心、快適な複合材や製品、技術を生み出す事を目的としております。
大半の研究開発活動については、当社(芦森工業(株))が母体となっておりますが、工事を主体とする『パルテム』に関わる工事関連の研究開発については、子会社(芦森エンジニアリング(株))と共同開発を行っております。
当社では創業140年(2018年)のあるべき姿「Ashimori 2018 Vision」を具現化、達成することを目指し(1)ATP(Ashimori Technology Platform:当社のコア技術プラットフォーム)の構築、(2)LT(Launched Technology:ATPからの発進技術)の企画化及びその実行の仕組みづくりの構築を推進しております。
具体的には、この活動を通じ、当社が関連する市場の中から伸びる市場を洗い出し、そこに「コア技術」を強化・進化させた新技術・新商品を発進する活動であります。
当連結会計年度におけるセグメント別の研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであり、研究開発費の総額は10億59百万円であります。
(1)自動車安全部品事業
シートベルトは、先進・高度化する自動車安全技術に対応するための新デバイス開発、並びに信頼性および生産性向上に適したデバイスの開発、商品化を進めております。
エアバッグは、欧米新アセスメントやリアルワールドでの安全性向上に向け、新衝突モード対応デバイス開発、信頼性向上、並びにグローバル生産に適した開発、商品化を進めております。
内装部品は、各種シェード、トノカバー、並びにカーゴネット類の高機能製品開発、新素材開発、付加価値向上などに取り組み、海外市場展開・顧客拡大に向けた商品化を進めております。
当連結会計年度における自動車安全部品事業の研究開発費は4億49百万円であります。
(2)機能製品事業
パルテム関連では、パルテム・フローリング工法は、ポリエチレン部材接合部の水密性の更なる改良による品質の向上に着手しました。また、鋼製リングの配置等を変えることで、より耐荷性能の高い更生管の形成を実現し、同工法の適用範囲の拡大に努めてまいりました。パルテムSZ工法は、中大口径管きょの更生工事を対象に、施工時間の短縮に努めています。パルテムHL工法は、プラント分野において、施工から30年以上経過した更生管の追跡調査を行い、経年更生材料の健全性を検証しました。また、上水道分野においては、大学および研究機関等と更生管の耐震性理論深耕に努め、更生管の付加価値の立証に注力してまいりました。
産業資材関連では、ゴム資材用広幅織物では、エンジン内のオイルに浸漬されるという過酷な使用環境に晒される高機能ベルト用帆布について、量産段階に移行し、更なる高負荷にも耐えうる次世代の高機能ベルト用帆布の開発を継続するとともに、将来の内燃機関エンジンの減少を見据え、今後成長が見込まれる一般産業用途の開拓にも力を入れ、開発に着手しました。合成繊維ロープでは、海洋構造物等の係留について、引き続き各機関と適用評価試験を継続しており、一部実海試験へと進む予定です。墜落防護分野では、安全帯の規格改定に沿う形で、これまで以上に衝撃吸収能力の優れた安全帯の開発に着手しました。トラック物流機器については、旺盛な需要にこたえると共に、顧客ニーズに応じた改善改良を継続し、更なる輸送品質向上のニーズに応えてまいりました。
防災関連では、通水時の圧力損失が低い消防ホースドルフィンシリーズのラインナップ拡充および量産体制が確立しました。同ホースによるシェアアップに注力してまいります。消防団の操法大会用ホースについては、2018年モデルとして操作性と通水性の更なる改良・改善を施し、市場導入してまいります。防災資機材については、大型除染エアテントおよび可搬式コンプレッサー、防音パネル等の防災資機材の開発が完了しました。拡販に注力していくとともに、更なる商品の充実化を図ってまいります。また、プラント等の大規模火災やテロ対策として取り組んでいた自動放水システムは、デモンストレーション機が完成し、今後はPR活動に努めてまいります。
当連結会計年度における機能製品事業の研究開発費は4億58百万円であります。
(3)その他
当社の研究開発活動において、新商品の開発を管轄している技術企画部があり、長期の視点に立ち各事業の将来の市場性を睨みながらあるべき姿を定め、将来の戦略要素技術の研究開発を進めております。とくに当社のコア技術である「織る」「被覆する」「固定する」「膨らませる」を組み合わせ、応用して、その強みを最大限に発揮させた新規ビジネスモデルを構築することで事業拡大や新規事業の創出、強み伝えによるリスク軽減活動を進めております。
① 円筒織物活用製品、システムの開発
当社の保有する革新織機や押出成形の加工技術を最大限に活かした、「長尺」「大口径」かつ「高耐圧」な織物構造を具備した新ホース、新システム化に取組んでおります。具体的には「自動放水システム」「アシストスーツ」等であります。また、製産革新、自動化の技術開発も推進しております。
② 次の世代を担う管路更生材料・工法の開発
年々増加する「管路更生市場」が要求する環境負荷が少なく高品質で安価な新しい更生材料(繊維強化熱可塑性樹脂コンポジット)の開発、材料の自社生産化を進めています。
当連結会計年度におけるその他の研究開発費は1億51百万円であります。