第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、当社が社是として掲げております「創意・誠実・努力」を基本理念に「挑戦」を加え、基本方針とし、社会に役立つ製品を開発し、これを合理的な価格で提供していくことこそ、メーカーの社会的使命であるとの強い信念を持ち安易に模倣することを恥ずべき事と考えて、1910年創立以来、一貫して研究開発に多大な努力をはらってまいりました。

また、長期的な視野にたち、株主、ユーザー、その他取引先及び従業員の期待にこたえることを優先し、合理的な価格達成のために、経営の合理化、コストダウンを絶えず追求し続けてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

   ① 売上高経常利益率 6%

   ② 自己資本比率   30%

   ③ 配当性向     30%

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

   2016年5月に当社グループの経営戦略として以下の5項目を設定しております。

   ① 海外売上高目標を30億円

     チリとタイの現地法人を中心として、中南米・東南アジアに拡販を図る。

      ② 高付加価値製品・サービスの開発と販売

         常にお客様の目線を忘れずに、他社との差別化を図る。

      ③ 原反・消耗品の販売強化

         安定的な収入源として、リピート品の販売の強化を図る。

      ④ 連結グループ会社の経営一元管理体制推進

         人材、技術、資金の一元管理により、技術の継承を図る。

      ⑤ 業界のリーダーとしての自覚を持ち新たな時代の先頭に立ち行動

         業界の基軸となるべく、業界に様々な角度からの提案を図る。

 

(4)会社の対処すべき課題

当社グループの経営は、主要営業基盤であるわが国の水産業界の動向や世界的に増加している水産物の消費の傾向にも注視していく必要があります。長期的には漁船漁業による漁獲量の確保や水産物の安定供給における養殖業の重要性は今後ますます高まるものと考えられることから、幅広いお客様のご要望に機動的な対応が可能な体制を構築していくことが重要と認識しております。

しかし、国内では漁業関連従事者の就業人口の減少や高齢化に歯止めが掛からず、将来的に人手不足の解消が厳しい状況にあることや近隣諸国の乱獲による漁獲量の減少が継続していることも懸念材料となっております。

最近では、雇用や所得環境の改善やインバウンド需要の拡大により、経済活動は回復基調で推移しておりますが、ウクライナ情勢や中東情勢の長期化、原材料や物価の上昇に加え、為替の変動等の影響により、人々の生活環境や経済情勢に大きな変化が生じております。「環境・社会・ガバナンス」と持続可能な社会への貢献が世界的に重要なテーマとされる中、過去の慣習や価値観に捉われることなく、事業環境の変化や各種のリスクにリアルタイムで対応できる体制、組織づくりも重要となります。

また、自然環境、人材育成に配慮した事業活動、製商品、サービスの提供も企業価値向上に繋がる重要なテーマです。

① オリジナル商材の開発と差別化

持続的な成長と収益力の強化を実現するため、産学官連携による商品開発に取り組んでおります。これにより独自性の高い商品を市場に提供することが可能となり、他社との差別化を図り、将来的な収益力の高いビジネスモデルの構築を推進してまいります。

② 漁網の拡販戦略

主力製品である漁網の拡販は、重要課題の一つであります。事業環境としては厳しい面も多い中、他社との差別化を図るべく、作業の平準化が困難な仕立部門の強化に取り組んでまいります。

③ 人材の確保・育成

少子高齢化や働き方の多様性により、優秀な人材の確保と育成はますます重要な課題となっております。社員の定着率の向上を図るため、人材育成の拡充や採用戦略の強化に取り組んでまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は、企業活動の基本理念として「創意」「誠実」「努力」を掲げております。ステークホルダーの皆様から期待と信頼を得られるように、サステナビリティに関する諸問題に対し、その基本理念に沿って取り組みを進めてまいります。当社事業は、環境・社会・ガバナンスの実践を通じて、持続可能な社会実現に貢献していきます。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、持続可能な社会の実現に向けて、取締役会を中心として、営業・製造・経営管理の各本部の連携により、組織横断的にサステナビリティに関する経営課題に取り組んでおります。重要な事項については、取締役会、監査役会、ガバナンス委員会等へ適宜報告・協議する体制を整備しております。

 

(2)戦略

当社グループは、漁網・漁業資材に係る地球環境への負荷を軽減する取り組みを原料メーカー、ユーザー及びリサイクル業者等と連携して実施しております。従来、漁網製造時の工程端材は、産業廃棄物として処理されていましたが、材質・色ごとに分別の上、再資源化に継続して取り組んでおります。また、漁網から漁網へのリサイクルの研究開発にも取り組んでおります。この取り組みを通して、持続可能な社会への貢献とともに、CO2排出削減効果でも貢献するものと考えており、漁網製造時の工程端材を循環資源として有効活用する資源循環型社会の実現に繋げてまいります。

また、当社グループは、持続可能な企業の成長のために多様な人材の採用・登用及び人材育成が必要と考えております。多様な人材採用・登用として性別等に関係なく能力・適性に基づいた採用を行い、障害者雇用や女性活躍の推進を確保すべく、組織運営の構築に努めており、社員のワークライフバランスに配慮した取り組みとして「ノー残業デー」を推進しております。また、人材育成として、職場では若手社員向けのOJTを通じた教育に加え、階層別研修の拡充や専門知識の習得のための勉強会を行っております。さらにコンプライアンス・ハラスメント研修会等により法令等の遵守や人権尊重に対する意識向上に努めております。

 

(3)リスク管理

当社グループのリスク管理は、営業・製造・経営管理の各本部会議において、サステナビリティに関するリスクを識別・評価を実施しております。また、担当役員より対応策の進捗状況やリスクの見直し等は、三本部会議等において審議され、重要な事項については取締役会に報告されます。

 

(4)指標及び目標

当社は、資源循環型社会の実現を目標とし、漁網製造時の工程端材や漁業で使用された後の製品を回収し、再資源化に取り組んでおります。資源循環型の実現の指標につきましては、具体的な時期や目標数値を定めておりませんが、原料メーカー、ユーザー及びリサイクル業者等と連携して実施してまいります。

また、当社では、多様性のある人材を確保するための指標として、全社員に占める女性社員の比率を2027年4月期までに32%以上とする目標を設定しております。

なお、当事業年度における実績値は下記のとおりです。

・全社員に占める女性社員の比率:34%

・新入社員の女性採用の比率  :11%

・パート社員からの正社員の登用:7名

 

 

3 【事業等のリスク】

本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす事項は、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 当社グループの主要な事業である「漁網の製造販売」・「漁業関連商品の販売」は、漁業者の経営動向に左右されます。この漁業者の経営リスクは、下記のリスク等があります。
・異常気象、海洋環境の変化による漁獲量の減少
・輸入魚、海洋輸入加工品の増加及び個人消費嗜好の変化、消費の後退等に伴う魚価の下落
・漁業者の原油高等に伴う事業費用の増加
・海洋国際管理機関、国内の漁業団体等による漁獲量の制限・漁獲禁止
 現況は売上債権の回収懸念リスクに対応し、貸倒引当金を計上しておりますが、これらのリスク要因により漁業者の経営が更に悪化した場合、当社グループの製品の購入手控えや売上債権の回収長期化につながるリスクを含んでおり、業績と財務内容に悪影響を与える可能性があります。

② 原材料の調達に関するリスク

  当社グループ漁網製品は主原材料である原糸の大半を石油精製品に依存しており、原油価格が高騰すれば、原材料の調達価格の上昇につながり、当社グループの業績と財務内容に悪影響を与える可能性があります。

③ 調達金利の上昇リスク

  当社グループの有利子負債は、総資産に占める割合が依然として高水準となっていることから、今後、市場金利が上昇した場合には、金融コストが増加します。

④ 為替変動リスク

  当社グループの海外売上高は、当社の経営戦略により少しずつではありますが、その割合は増加しており、急激な円高が進行した場合等の為替の変動により、業績に悪影響を与える可能性があります。

⑤ 情報セキュリティに関するリスク

  当社グループは、事業活動を行う上で多くの機密情報や個人情報を保有しており、情報セキュリティ管理規程を定め、年々変化するサイバー犯罪の手法に対して情報システムの対策を検討してまいりました。しかし、当社の想定を超えた技術による不正アクセスやコンピューターウイルス、その他予測不可能な事象などにより、顧客情報や技術情報の漏えい、業務システムの停止等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

a. 経営成績の概要

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用、所得環境の改善やインバウンド需要の拡大により、緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、ウクライナ情勢や中東情勢の長期化、原材料や物価の上昇に加え、為替の変動等の影響で、先行き不透明な状況となっております。

当社グループ主力ユーザーの水産業界におきましては、海洋環境や気象状況の変動による漁獲量の減少や、人件費、資材等のコストの上昇もあり、事業収益の圧迫要因となっております。しかし、多くの魚種では、魚価の回復も見られ、外食産業や輸出向けの需要も堅調に推移しており、地域差はあるものの漁業資材への投資意欲は概ね回復傾向にあります。

このような状況のもと、当社グループの売上高は、漁業関連事業では、魚価が堅調に推移したことから漁業者も計画的に設備投資を継続し、旋網部門及び養殖網部門が活況となり、また、漁業子会社の水揚高が好調であったこと等により増加しました。陸上関連事業では、獣害防止ネットや防風・防砂・飛散防止ネットが好調であったこと等から前期に比べて売上高は増加しました。営業利益は、原材料費や人件費等のコストの上昇はありましたが、価格転嫁を円滑に進める努力をしたことや適正な在庫を確保し、製商品の短納期化を推進したこと等により前期と比べて増加しました。また、営業外収益として奨励金収入を計上し、営業外費用として為替差損を計上しました。特別損益としては、政策投資株式の一部見直しを行い、投資有価証券売却益を計上しました。

この結果、当連結会計年度の売上高は、21,600百万円(前期比3.4%増)、営業利益は680百万円(前期比57.7%増)、経常利益は828百万円(前期比0.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は534百万円(前期比2.2%減)となりました。

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

[漁業関連事業]

魚価が堅調に推移したことから旋網部門や養殖網部門が活況となり、また、漁業子会社の水揚高が好調であったこと等により、売上高は17,446百万円(前期比2.5%増)となりました。利益面は、定置網漁の水揚高の増加が寄与したことや原材料費や人件費等のコストの上昇はありましたが、価格転嫁を円滑に進める努力をしたことや適正な在庫を確保し、お客様のニーズに合った製商品の短納期化を推進したことにより、セグメント利益は383百万円(前期比16.5%増)となりました。

[陸上関連事業]

獣害防止ネットや防風・防砂・飛散防止ネットが好調であったこと等から、売上高は4,150百万円(前期比7.1%増)となりました。利益面は、経費は全般的に上昇しましたが、当社グル-プのオリジナル製品の拡販効果により、セグメント利益は296百万円(前期比187.2%増)となりました。

[その他]

前期に引き続き機械部品加工等の受注は低調に推移し、売上高は3百万円(前期比53.1%減)となりました。利益面は売上高の減少及び材料費等の増加が影響し、セグメント損失は0百万円(前期は1百万円の損失)となりました。

 

b. 財政状態の概要

 [資産]

流動資産は、前連結会計年度末と比べ911百万円増加し17,292百万円となりました。これは、売掛金や棚卸資産が増加したこと等によるものです。

固定資産は、前連結会計年度末と比べ338百万円減少し、12,803百万円となりました。これは、有形固定資産が減価償却により減少したこと等によるものです。

 [負債]

流動負債は、前連結会計年度末と比べ709百万円増加し、15,360百万円となりました。これは、短期借入金が増加したこと等によるものです。

固定負債は、前連結会計年度末と比べ646百万円減少し、7,279百万円となりました。これは、長期借入金が減少したこと等によるものです。

 [純資産]

純資産は、前連結会計年度末と比べ510百万円増加し、7,456百万円となりました。これは、利益剰余金が増加したこと等によるものです。
 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の現金及び現金同等物につきましては、営業活動により993百万円増加し、投資活動により644百万円減少し、財務活動により265百万円減少した結果等により、当連結会計年度末残高は1,132百万円となり、前連結会計年度と比べ97百万円の増加となりました。

   (単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前年度比増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー

139

993

853

投資活動によるキャッシュ・フロー

△906

△644

261

財務活動によるキャッシュ・フロー

995

△265

△1,261

現金及び現金同等物の期末残高

1,034

1,132

97

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益は845百万円となり、増加要因として、減価償却費971百万円等がありましたが、減少要因として、売上債権の増加127百万円及び棚卸資産の増加589百万円等により993百万円となりました。
 この結果、営業キャッシュ・フローは前連結会計年度と比べ853百万円の増加となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出594百万円等により△644百万円となりました。
 この結果、投資キャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ261百万円の支出の減少となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、長短借入金の借入・返済による純減額148百万円、配当金の支払額128百万円等により△265百万円となりました。
 この結果、財務キャッシュ・フローは前連結会計年度と比べ1,261百万円の減少となりました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

漁業関連事業

8,830,274

106.5

陸上関連事業

1,966,902

102.6

 報告セグメント計

10,797,176

105.7

その他

1,375

16.6

合計

10,798,552

105.7

 

(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。

2 金額は、販売価格によっております。

 

b. 受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

漁業関連事業

17,451,645

102.0

1,361,066

100.4

陸上関連事業

4,206,322

108.4

549,913

111.3

 報告セグメント計

21,657,967

103.2

1,910,979

103.3

その他

2,554

37.7

1,211

70.6

合計

21,660,522

103.2

1,912,190

103.3

 

 (注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。

2 金額は、販売価格によっております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

漁業関連事業

17,446,620

102.5

陸上関連事業

4,150,378

107.1

 報告セグメント計

21,596,999

103.4

その他

3,059

46.9

合計

21,600,058

103.4

 

(注) セグメント間取引については相殺消去しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績)

当連結会計年度の経営成績は、売上高については21,600百万円(前期比3.4%増)となりました。これは、漁業関連事業では、多くの魚種で魚価の回復がみられ、外食産業や輸出向けの海産物の需要も堅調に推移しており、漁業者は計画的に漁業資材の設備投資を継続したため、旋網部門及び養殖部門は活況となり、また漁業子会社の水揚げ高も好調であったことにより売上高が増加しました。陸上関連事業でも、獣害防止ネット・防砂・飛散防止ネットの受注が好調であったこと等から、前期と比べ売上高は増加しました。売上総利益は、原油価格の高騰や円安の影響による原材料費の上昇等がありましたが、価格転嫁を円滑に進め、製造経費の圧縮等の経費削減に努めた結果、4,166百万円(前期比6.7%増)となりました。営業利益は、人件費等のコストの上昇が収益圧迫の要因となりましたが、売上高の増加や価格改定を推進したことで適正な在庫を確保し、お客様のニーズにあった製商品の短納期化を推進したこと等により、680百万円(前期比57.7%増)となりました。経常利益は、営業外収益として奨励金収入を計上し、営業外費用として為替差損を計上し、828百万円(前期比0.9%減)となりました。また、特別利益として、政策保有株式の一部見直しを行い投資有価証券売却益を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は534百万円(前期比2.2%減)となりました。

当社グループは、独自性のある付加価値の高い製品の開発や販売を行い、他社との差別化を図り、収益力の高いビジネスモデルの構築を推進してまいります。また、他社との競合に対応し、シェアを拡大するため、お客様のニーズに合った提案、適正な在庫を確保し、製商品の短納期化を図っております。

(財政状態)

  当連結会計年度末の財政状態は、総資産については、前連結会計年度末と比べ572百万円の増加となり30,095百万円となりました。これは、売掛金や棚卸資産が増加したこと等によるものです。在庫については前期より増加しておりますが、当社グループは適正在庫を揃え、競争力強化を目指しており、引き続き適正在庫水準の維持を目指します。

 負債は、前連結会計年度末と比べ62百万円の増加となり22,639百万円となりました。これは主に短期借入金が増加したこと等によるものです。

(キャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、993百万円の収入(前連結会計年度は139百万円の収入)となりました。税金等調整前当期純利益は845百万円となり、増加要因として、減価償却費971百万円等があり、減少要因として、売上債権の増加127百万円及び棚卸資産の増加589百万円等によるものです。

当社グループは継続的に安定した営業キャッシュ・フローを確保できるよう、売上債権の管理に努めてまいります。

(資本の財源及び資金の流動性)

当社グループの運転資金及び設備資金につきましては、自己資金及び銀行等の金融機関からの借入により充当しております。借入金による資金調達は、運転資金は短期借入金、設備投資等は長期借入金、割賦契約に基づく長期未払金及びリース契約により調達しております。

なお、当連結会計年度末における借入金、長期未払金(割賦)及びリース債務を含む有利子負債の残高は16,479百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,132百万円となっております。

 

 

② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、会計基準の範囲内で行われている部分があります。これらの見積りにつきましては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果とは異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

なお、漁獲量、物価、資源価格及び為替相場等の影響は不確定要素が多く、将来の影響を客観的に見積ることが困難ではありますが、期末時点で入手可能な情報をもとに会計上の見積りを行っております。

 

5 【重要な契約等】

(シンジケートローン契約)

当社は、2021年3月15日に株式会社広島銀行、株式会社北陸銀行をアレンジャーとしたシンジケートローン契約を締結しております。

 

1.シンジケートローン契約締結の目的

新事業所の建設工事費、機械設備等の事業資金需要に充当することを目的として本契約を締結するものです。

 

2.シンジケートローン契約の内容

形式

コミットメント期間付タームローン

総借入限度額

7,400百万円

契約締結日

2021年3月15日

コミットメント期間

2021年3月18日から2023年12月29日

契約期限

2038年12月30日

借入金利

基準金利+スプレッド

担保

福山事業所の土地・建物

アレンジャー

株式会社広島銀行、株式会社北陸銀行

エージェント

株式会社広島銀行

参加金融機関

株式会社広島銀行、株式会社北陸銀行、株式会社日本政策投資銀行

 

 

3.財務制限条項

(1) 2021年4月期以降、各年度の決算期末における連結の貸借対照表における純資産の部の金額を前年同期比75%以上に維持すること。

(2) 2021年4月期以降、各年度の決算期における連結の損益計算書に示される経常損益が、2期連続して損失とならないようにすること。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループにおいて研究活動は、連結財務諸表を提出する当社が中心となり、株式会社温泉津定置他が当社とともに行っております。

当社の研究開発活動は、主に技術部が担当し、製造部門、販売部門並びに管理部門とも密接に連携をとりながら生産工程の省力化、効率化、多機能化等、漁業関連事業に関する短期間で解決が必要な研究課題と中長期的視点にたった基礎技術の研究や、新製品の開発に積極的に取り組んでおります。

最近では、当社グループ外との連携にも注力しており、産官学の共同研究への参加、他の機関、企業への研究依頼等、その活動範囲を広げております。

当連結会計年度の研究開発費の総額は186百万円であり、研究開発費は漁業関連事業に係わるものが186百万円、陸上関連事業に係わるものが0百万円であります。なお、網の技術開発は主に漁業関連事業部門で行っており、並行して他の事業にも応用を進めております。

当連結会計年度中の成果・進捗状況としては、漁業関連事業において新素材漁網の開発や漁網リサイクルに関する研究を進めるとともに、既存製品の改良及び新製品の販売を目指して試験を継続しております。

今後も現在開発中である製品の早期製品化を含め、水産業界を核とし、各種業界の発展に寄与すべく不断の研究開発を続けていきます。