当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策や日本銀行の金融政策等により、企業収益や雇用環境の改善傾向が見られるものの、個人消費については未だ回復の兆しが見られない状況が続いております。また、中国をはじめとする新興国経済の減速や、不安定な為替・株式市場などから先行き不透明な状況が続きました。
このような状況の中、当社グループでは高度化する市場の要望に対応するため生産技術の向上を図るとともに、グローバルマーケットに通用する先端ファブリックの開発を加速させました。また、海外企業との提携を含め、海外市場の拡大を積極的に進めました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は37,981百万円(前期比3.6%増)となり、営業利益は863百万円(前期比109.2%増)、経常利益は1,394百万円(前期比45.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は864百万円(前期比36.7%増)となりました。
事業別の概況
衣料ファブリック部門は、海外市場を中心に市場の維持拡大を図り、高感性・高機能素材の積極的な提案により、ファッション分野、スポーツ分野並びに民族衣装の全分野で順調に拡大し、当部門全体は増加となりました。
資材ファブリック部門は、車輌、生活関連資材が順調に推移し、医療・福祉のメディカル分野もほぼ計画通りとなりましたが、リビング分野は減少となりました。また、グリーンビズなどの環境共生素材は、新たな炭素繊維複合材料の開発や広報活動を継続しております。以上の結果、当部門全体は微減となりました。
製品部門は、計画通り不採算部門の見直しを継続しており減少となりました。
以上の結果、当連結会計年度の当事業の売上高は36,789百万円(前期比3.4%増)、セグメント
利益(営業利益)は753百万円(前期比145.3%増)となりました。
物流並びに物販分野の当連結会計年度の売上高は1,191百万円(前期比9.4%増)、セグメント利益(営業利益)は99百万円(前期比23.2%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下資金という)は5,079百万円であり、前連結会計年度末に比べ1,605百万円減少いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動により得られた資金は2,547百万円(前期比2,019百万円増)であり、売上債権の増加により資金が403百万円減少したものの、税金等調整前当期純利益1,292百万円や減価償却費1,219百万円の計上などがそれを上回ったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動により使用した資金は3,236百万円(前期比3,013百万円増)であり、有価証券の償還による収入1,300百万円により資金が増加したものの、投資有価証券の取得により2,228百万円、固定資産の取得により2,334百万円を使用したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動により使用した資金は897百万円(前期比3百万円減)であり、配当金の支払いにより537百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得により376百万円を使用したことによるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
繊維事業 | 30,876 | 5.7 |
物流物販事業 | ― | ― |
合計 | 30,876 | 5.7 |
(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
繊維事業 | 30,982 | 7.4 | 2,374 | △1.2 |
物流物販事業 | ― | ― | ― | ― |
合計 | 30,982 | 7.4 | 2,374 | △1.2 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
繊維事業 | 36,789 | 3.4 |
物流物販事業 | 1,191 | 9.4 |
合計 | 37,981 | 3.6 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
東レ㈱ | 5,389 | 14.7 | 6,033 | 15.9 |
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
今後の経営環境は依然として不透明且つ厳しい状況であることが予想されますが、当社グループは既存事業や先端材料事業を強化するとともに、新規マーケットを視野に入れた用途開発や、新たな加工技術を駆使した商品の創造に取り組みます。また、生産効率の向上を追求し、収益性を高める製造改革を継続することで、強固な事業基盤への転換に取り組みます。
当社は、マーケットインの思考で付加価値のある商品開発を強化し、社会や市場に価値を認めていただける品質やサービスを創り込み、安定した成長と持続した収益の向上を図ってまいります。
体質強化を図るため、競争力ある商品の開発と提供を強化してまいります。製造改革の推進を継続し、商品開発のみならず省力化や省エネ化、生産性向上への設備投資を継続的に進めてまいります。また、社員教育についても製造現場のみならず、全部門を対象として質的向上を図ってまいります。
美・健康・快適・安全・環境の5つのテーマを軸に繊維の新しい価値を創造してまいります。有力企業との業務提携はもとより、産官学との戦略的連携、適地生産のための水平連携等、既存事業や先端材料事業における新たな価値や市場の創造に努めるとともに、近年の「種まき」の成果が業績で認識できるよう取り組みます。
海外市場並びに非衣料分野の拡大を積極的に取り組んでまいります。欧州をはじめとする海外売上高比率を長期的目標として50%に定め、国内外の業務提携企業との更なる関係強化を図ってまいります。また、当社の強みであるファッション衣料分野と同様に、非衣料分野へも継続的に経営資源を投入し、海外でのブランディング向上と市場開拓を強化して成長を目指します。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に対する事項は、当連結会計年度末(平成28年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの製品は、製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本はもとより、当社グループの主要な市場であるアジア、中東、欧州及び北米における景気並びに需要が減少した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの海外での生産及び販売活動は、アジア、中東、欧州及び北米を中心に行っております。これらの海外市場への進出の際には以下に掲げるようなリスクの検討を行いながら進めております。しかし、予期しないリスクが発生した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
・不利な政治又は経済要因
・法律又は規制の変更
・ストライキ等の労働争議
・人材の採用と確保の難しさ
・テロ・戦争・その他の要因による社会的混乱
当社グループの事業には、全世界における製品の生産と販売が含まれております。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、円換算し連結財務諸表を作成しております。換算時の為替レートにより、これらの項目はもとの現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、外国通貨建て取引については、予測を超えた為替変動が当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは主に合成繊維の加工及び販売を行っており、原材料並びにエネルギーコストが売上原価における大きなウェイトを占めております。原油価格の高騰に伴いこれらの調達コストが高騰し、販売価格への転嫁や生産性向上による内部努力による吸収が出来ない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、他社製品と差別化できるノウハウを保持しております。これらの技術とノウハウは今後の当社グループの発展には不可欠なものであり、これらの資産の保護には最善の努力を行っております。しかし、特定の地域においては、知的財産権による完全な保護が困難であったり、限定的にしか保護されない状況にあります。そのため、第三者が当社グループの知的財産を使用して類似した製品を製造することを防止できない可能性があります。
当社グループは「小松精練環境白書」のもと環境負荷の低減につとめておりますが、事業活動を通じて一切の環境汚染が発生しないという保証はありません。今後新たな汚染が判明した場合は、浄化処理施設の設置等の対策費用が発生し、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの国内生産拠点は石川県に集中しております。このため、当該地域において地震、台風等の大規模災害が発生した場合や、新型インフルエンザ等の感染症が発生した場合には、生産設備の破損や物流機能の麻痺等により操業停止等が生じ、生産活動に重大な影響を与える可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、技術開発本部を核として、本体及びグループ各社との連携を強化し、また、産地協力企業とのクラスター活動や、多くの大学や公設試験場と共同研究を推進し、「世界に冠たる先端ファブリックメーカー」として事業戦略に沿った要素技術及び商品の開発を推進しております。なお、当社グループの当連結会計年度末現在の特許及び実用新案の所有は99件、出願中は62件であり、研究開発費は、644百万円であります。
ファッション分野では、昨年開発した環境配慮型ハイブリッド素材『ONIBEGIE(オニベジ)』(天然色素成分によるナイロンベースでの染色加工技術)が石川県主催の『いしかわエコデザイン賞2015』の大賞を受賞いたしました。環境配慮型素材の注目度の高さとお客様から高い評価を頂いております。特に海外のお客様の評価は高く、世界中に広がっております。また、2007年8月より販売している最上質うるし調素材『ルガーノ』を更に進化させた『ウルトラ・ルガーノ』を9月のパリで開催されましたプルミエール・ヴィジョンにて発表を行い上市いたしました。当社独自設計にて開発した機械と匠技のような加工技術とを融合させることで、新領域の上品な艶感で流れ落ちるような水飴調の光沢表現を成功させました。しなやかでかつ扁平で硬くならず、高いドレープ性は非常に高い評価を受けております。
スポーツ・アウトドア分野では、1月に世界最大級のスポーツ用品見本市「ISPO MUNICH 2016」にファッション(感性) + ファンクション(機能)をテーマで出展しております。『モナリザ』、『ウルトラ・ルガーノ』といった視覚的表現力の高い商品と『クワトローニ』等の高機能加工技術を組合せた素材は高い評価を得ており、この分野における当社ブランドの構築と販路拡大に繋がっています。
安全分野では、当社技術を駆使した特殊ハイブリット着色加工技術を開発し、ISO 20471基準をクリアする高視認性素材『ミエール』を発表しております。この技術並びに素材は国内外から高い評価を得ており、国内で歴史と権威のある繊研合繊賞を受賞いたしております。作業される方々のより高い安全性を保てる作業服として大きく期待できるものです。
熱可塑性炭素繊維複合材料『CABKOMA(カボコーマ)』を使用したストランドロッドの開発を行い、当社旧本社棟の耐震工事の耐震補強材として使用しファブリック・ラボラトリー「fa-bo(ファーボ)」として生まれ変わりました。このfa-boの設計・デザインは世界的建築家 隈 研吾先生(東京大学教授)によるものです。このfa-boは炭素繊維複合材料の開発・販売戦略の牽引役として活用されております。
介護施設や病院向け防水シーツ・マットレスカバーなど特殊素材の機能の多様化に対応し、抗菌加工や高い耐薬品性を付与したDIMA素材の開発・提案を積極的に行い、拡販に結びついております。
超微多孔セラミックス『グリーンビズ』については、6月に科学技術館(東京)において夏の暑さ対策に特化した専門展 『夏の暑さ対策展2015』(後援:環境省、東京都)に日本道路(株)と共同で出展し、ヒートアイランド現象の緩和などに効果がある『グリーンビズグラウンド』、『グリーンビズルーパー』を出品しております。2020年 東京オリンピック・パラリンピックに向けた暑熱に対応する材料としてのアピールや都市環境整備に向けた販路拡大に大きな手応えを感じております。
以上の結果、当連結会計年度における研究開発費の金額は、644百万円となりました。
当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月27日)現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成には、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の発生及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
① 流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は18,734百万円で、前連結会計年度末に比べて4,225百万円減少しております。主に有価証券が3,010百万円、原材料及び貯蔵品が741百万円減少したことによるものです。
② 固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は25,574百万円で、前連結会計年度末に比べて3,632百万円増加しております。主に投資その他の資産において投資有価証券が1,389百万円、建物及び構築物が894百万円、機械装置及び運搬具が654百万円増加したことによるものです。
③ 流動負債
当連結会計年度末における流動負債の残高は7,529百万円で、前連結会計年度末に比べて136百万円増加しております。主に未払法人税等が128百万円増加したことによるものです。
④ 固定負債
当連結会計年度末における固定負債の残高は4,371百万円で、前連結会計年度末に比べて88百万円増加しております。
⑤ 純資産
当連結会計年度末における純資産の残高は32,408百万円で、前連結会計年度末に比べて818百万円減少しております。主にその他有価証券評価差額金が675百万円減少したことによるものです。
① 売上高
当連結会計年度の売上高は、37,981百万円(前連結会計年度の売上高36,662百万円に比べ1,319百万円増加)となりました。これは、中東市場などの海外市場が好調に推移したことによるものです。
② 営業利益
当連結会計年度の営業利益は、863百万円(前連結会計年度の営業利益412百万円に比べ450百万円増加)となりました。これは、民族衣装向け素材、海外のスポーツ衣料の販売が好調だったことによるものです。
③ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は、1,394百万円(前連結会計年度の経常利益957百万円に比べ437百万円増加)となりました。これは、営業利益が増加したことによるものです。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
税金等調整前当期純利益は1,292百万円(前連結会計年度の税金等調整前当期純利益894百万円に比べ397百万円増加)となり、税効果会計適用後の法人税等負担額は454百万円(前連結会計年度307百万円に比べ146百万円の増加)となりました。その結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は864百万円(前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益632百万円に比べ232百万円増加)となりました。
次期の経営環境については、低調な国内消費マインドのほか、不安定な国際情勢や新興国経済の鈍化に加え、円高・株安傾向による下振れ懸念もあり、依然として厳しい状況が続くことが予想されます。
このような環境の中、当社グループは安定した成長と持続した収益の向上を図るため、高次加工による商品の差別化と生産性向上の製造改革を推進してまいります。
次期の連結業績は、売上高38,000百万円(前期比0.0%増)、営業利益1,200百万円(前期比39.0%増)、経常利益1,600百万円(前期比14.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,200百万円(前期比38.8%増)を予想しております。
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
「第2 事業の状況 3 対処すべき課題」に記載のとおりであります。