第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、染色を基盤に豊富な事業領域をカバーする「化学素材メーカー」への転身を目指し、「美・健康・快適・安全・環境」の5つのテーマを軸に、人々の生活を豊かにする素材の開発・製造・販売を行います。
 特に、事業環境が急激に変化する現在、こうした環境変化をいち早く感知し柔軟に対応してゆくための組織体制の強化と積極的な経営投資を実行します。具体的にはヘルスケア、機能性素材開発、地球環境保護の取り組みを強化してまいります。また、デジタル技術を活用した新規事業や新たなビジネスモデルをニューノーマル時代に合致させ、継続的に生み出せるような新体制を構築してまいります。このように、新規分野への開拓を通して新商品開発を積極的に進め、社会に貢献できる企業経営を目指します。
 さらに、当社グループ内においては、激しい経営環境の変化に適切に対応し、グループ企業全体の事業活動の効率化、収益性の向上、キャッシュ・フロー重視の経営を行うとともに、地球環境保護、低エネルギー社会への対応やコンプライアンスを重視した経営を行ってまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは継続的な企業価値の向上を実現するためには、事業の成長性と収益性を高めることであると認識しています。なかでも収益性の追及は欠かせないものと考え、売上高営業利益率7%以上を目標として、たゆまぬ努力を継続してまいります。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 今後の経営環境は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により先行き需要は落ち込みが避け難く、従来までの事業構造の転換及び、経営方針の抜本的対策が求められます。また、日本品への回帰現象等にみるように、まさにニューノーマルな時代の到来であると認識しております。こうしたなか、当社グループでは、中期経営計画の策定を進め、同計画に従い、主力であるファッション・スポーツ分野をはじめとする衣料ファブリックの維持拡大を図りながら、資材関連事業や海外市場向けの拡大強化に取り組んでまいります。
 具体的にはビジネス環境の変化に呼応し、EC事業をはじめとする新事業の創設・拡大により販売力強化をめざすとともに、必要に応じ組織体制を整備してまいります。加えて、生産性向上、品質向上、納期短縮を一体的に進めるとともに、先端技術を駆使し付加価値を創造することにより商品開発力を強化してまいります。
 さらに、当社グループを取りまく環境が目まぐるしく変化するなか、グループ全体が一体となり、「常にワンチーム、小松マテーレ’ズ」をスローガンに掲げ、積極的に創造し続ける「提案型企業」たるべく、みずからが行動してまいります。

 

①新規事業の創設及び業態転換にむけた取り組み(BtoCモデルの導入)

BtoBメーカーとしての事業展開に加え、関連商品の販売拡大をめざしBtoCモデルの導入による業態転換を果たしてまいります。先ずは、急速に進むデジタル化の動きに応じ、EC事業を積極的に推し進めます。さらに、新商品開発を加速するため新規事業を立ち上げ、新たな時代に先駆けた経営投資を行ってまいります。

 

②生産性向上及びコスト削減にむけた取り組み

生産部門のみならず、全ての事業部門において業務のスピードアップと生産納期の短縮を進めることにより、生産性の向上を目指します。この目標達成にむけ生産工程の合理化、計画的な設備投資、ITの活用を進めるとともに、原材料及び調達ルートの見直しにより徹底したコスト削減に努めます。
 また、市場の変化を感知し、変化する以上のスピードで対応できるようお取組先と緊密に連携し、国内外、社内外のあらゆる業務をあらゆるレベルで水平、垂直に繋げてまいります。

 

③先端技術を活かした新たな価値の創造(協業の本格化に向けて)

染色技術のみならず、高次機能加工、炭素繊維複合材料開発などの先端技術を活かし、これまでとは異なる用途展開を図り、新たな価値を生み出してまいります。
 また、「美・健康・快適・安全・環境」の5つのテーマを軸に、異業種・異業界との協業や取り組みを拡大し、新商品の開発と市場への訴求を継続し、これまでにない市場の開拓を目指します。さらに、産官学による戦略的連携や適地生産のための水平連携を組み合わせ、既存事業においても技術開発を加速させてまいります。なかでも、ヘルスケア及び環境に関する開発は、特に重要視したいと考えております。

 

④海外市場・非衣料分野の強化

 海外市場並びに非衣料分野の拡大を積極的に進めてまいります。海外売上高の拡大を目標に掲げ、海外でのブランディング向上及び、アジア・欧米諸国における新規市場開拓を続け、その実現にむけ国内外の業務提携企業とさらなる関係強化を図ってまいります。中東向けの民族衣装では、高品質な素材の安定供給を維持してまいります。
 さらに、当社の強みであるファッション衣料分野と同様に、非衣料分野へも継続的に経営資源を投入してまいります。とくに医療・福祉、車輌、生活関連資材の各分野につきましては、より積極的に商品開発、及び市場開拓を展開し、さらなる成長を目指します。
 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済状況

当社グループの製品は、製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本はもとより、当社グループの主要な市場であるアジア、中東、欧州及び北米における景気並びに需要が減少した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 国際的活動及び海外進出に関するリスク

当社グループの海外での生産及び販売活動は、アジア、中東、欧州及び北米を中心に行っております。これらの海外市場への進出の際には以下に掲げるようなリスクの検討を行いながら進めております。しかし、予期しないリスクが発生した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

・不利な政治又は経済要因

・法律又は規制の変更

・ストライキ等の労働争議

・人材の採用と確保の難しさ

・テロ・戦争・その他の要因による社会的混乱

 

(3) 為替レートの変動

当社グループの事業には、全世界における製品の生産と販売が含まれております。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、円換算し連結財務諸表を作成しております。換算時の為替レートにより、これらの項目はもとの現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、外国通貨建て取引については、予測を超えた為替変動が当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 原油価格の変動

当社グループは主に合成繊維の加工及び販売を行っており、原材料並びにエネルギーコストが売上原価における大きなウェイトを占めております。原油価格の高騰に伴いこれらの調達コストが高騰し、販売価格への転嫁や生産性向上による内部努力による吸収が出来ない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) 知的財産保護の限界

当社グループは、他社製品と差別化できるノウハウを保持しております。これらの技術とノウハウは今後の当社グループの発展には不可欠なものであり、これらの資産の保護には最善の努力を行っております。しかし、特定の地域においては、知的財産権による完全な保護が困難であったり、限定的にしか保護されない状況にあります。そのため、第三者が当社グループの知的財産を使用して類似した製品を製造することを防止できない可能性があります。

 

(6) 環境汚染に関するリスク

当社グループは「小松マテーレ環境方針」のもと環境負荷の低減につとめておりますが、事業活動を通じて一切の環境汚染が発生しないという保証はありません。今後新たな汚染が判明した場合は、浄化処理施設の設置等の対策費用が発生し、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 自然災害等に関するリスク

当社グループの国内生産拠点は石川県に集中しております。このため、当該地域において地震、台風等の大規模災害が発生した場合や、新型インフルエンザ・新型コロナウイルス等の新興感染症が発生した場合には、生産設備の破損や物流機能・サプライチェーンの寸断等により操業停止等が生じ、生産活動に重大な影響を与える可能性があります。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、当社グループでは社員の感染予防・感染拡大防止と適切な事業継続のための取り組みとして、衛生管理の徹底、在宅勤務及び時差出勤等を行っております。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、米中間の経済摩擦に見るように、各国の保護主義的な政策が全面的に打ち出され、総じて厳しい状況となりました。また、諸資源の価格変動は大きく、供給不安が経済混乱を引き起こすなど予断なく苦しく、引き続き注視すべき状況にあります。
 国内需要については、大手SPAが事業を拡大し、ECサイトによるオンライン店舗が急増する一方、従来型の百貨店を含む小売業態は低迷が続き、ビジネスモデルは大きく変化し始めております。また、昨年10月の消費増税以降は将来への不安等を背景とした生活者の節約志向はさらに強まり、消費は総じて弱含みの状況が続いております。
 このような経済環境のもと、当社グループでは高度化並びに多様化する市場の要望に対応するため、品質向上を第一とし、グローバルマーケットに通用する先端ファブリックの開発を加速させてまいりました。また、海外のラグジュアリーブランドとの取引においては、拡大と深耕を図りました。加えて、SDGsの達成を含む環境事業を推進し、環境保全のための目標の設定や環境改善活動の実施・監査等の環境マネジメントに積極的に取り組みました。なお、環境事業として、当社グループが開発した環境共生素材が新国立競技場に採用されました。
 しかしながら、当期期末には新型コロナウイルス感染症の影響から、極めて不透明で厳しい事業環境へと変化しました。これに対し、当社グループでは新型コロナウイルス感染拡大への防止策として、お取引先及び地域の皆様からの信頼回復に努めるため、2週間の自主的な事業停止に踏み切りました。当然、事業計画遂行及び、業績の観点からは、マイナスインパクトは避けられませんでした。(売上高で約20億円の減収、営業利益で約6億円の減益要因)しかしながら、当社グループによる事業停止への早期判断とその後の対応については他に先駆けた模範事例として、NHKや全国放送をはじめとする各種メディアから高く評価され、全国的に報道されました。
 以上の結果、当連結会計年度の売上高は365億25百万円(前期比6.5%減)となり、営業利益は16億12百万円(前期比25.5%減)、経常利益は21億52百万円(前期比22.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は13億75百万円(前期比35.5%減)となりました。

 

セグメントの業績につきましては、次のとおりであります。

 

(繊維事業)

 衣料ファブリック及び資材ファブリックの両部門において、当期期末の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、事業環境は大きく変化し、厳しい状況に置かれることとなりました。
まず、衣料ファブリック部門に関し、国内外において高感性・高機能素材の開発と市場導入を進めてまいりました。なかでも欧州向けのラグジュアリーファッション、北米向けのスポーツ分野及び、中東向けの民族衣装については堅調に推移し増収となりました。
 しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大を要因・契機として、ファッション分野においては、国内は総じて減収となり、海外では欧州のアッパーミドル向けが減収となりました。また、スポーツ分野においては特に欧州向けが減収となったことから、当部門全体は減収となりました。
 次に、資材ファブリック部門では、医療・福祉のメディカル分野及び、建材については概ね計画通りに推移しました。しかしながら、リビング分野については、カーテン等の定番品をはじめとする不採算商品からの撤退を図ったことにより減収、さらに生活関連資材についても消費の落ち込みにより減収となったため、当部門全体では減収となりました。
 製品部門におきましては、不採算アパレルからの撤退を行なった結果、減収となりました。
 以上の結果、当連結会計年度の当事業の売上高は359億6百万円(前期比6.4%減)、セグメント利益(営業利益)は15億94百万円(前期比23.0%減)となりました。

 

(物流物販事業)

物流並びに物販分野の当連結会計年度の売上高は6億18百万円(前期比13.6%減)、セグメント利益(営業利益)は31百万円(前期比64.0%減)となりました。

 

 当連結会計年度末における総資産は、459億73百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億75百万円減少しました。負債は、111億18百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億74百万円減少しました。純資産は、348億55百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億円減少しました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ38億17百万円増加し、85億96百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は30億31百万円(前年同期は18億54百万円の資金の増加)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益19億37百万円、減価償却費12億84百万円であり、支出の主な内訳は、仕入債務の減少額9億19百万円、法人税等の支払額4億99百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の増加は15億2百万円(前年同期は18億12百万円の資金の減少)となりました。収入の主な内訳は、投資有価証券の売却及び償還による収入20億91百万円であり、支出の主な内訳は、固定資産の取得による支出10億79百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は6億91百万円(前年同期は5億25百万円の資金の減少)となりました。支出の主な内訳は、配当金の支払額6億44百万円であります。

 

③生産、受注及び販売の状況

(生産実績)

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

繊維事業

31,413

△3.1

物流物販事業

合計

31,413

△3.1

 

(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(受注状況)

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

繊維事業

36,273

△5.8

2,551

16.8

物流物販事業

合計

36,273

△5.8

2,551

16.8

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(販売実績)

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

繊維事業

35,906

△6.4

物流物販事業

618

△13.5

合計

36,525

△6.5

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

東レ㈱

5,994

15.3

7,152

19.6

 

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループに関する経営成績等の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成には、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の発生及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 なお、有価証券報告書提出日現在において新型コロナウイルス感染症による会計上の見積りに与える重要な影響はございません。

 

② 財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は211億円で、前連結会計年度末に比べて10億82百万円増加しております。有価証券が15億円、受取手形及び売掛金が11億9百万円減少したものの、現金及び預金が38億23百万円増加したことによるものであります。

 

 (固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は248億73百万円で、前連結会計年度末に比べて23億58百万円減少しております。繰延税金資産が5億64百万円増加したものの、投資有価証券が29億62百万円減少したことによるものであります。

 

 (流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は70億47百万円で、前連結会計年度末に比べて4億40百万円減少しております。主に設備関係未払金が2億96百万円増加したものの、支払手形及び買掛金が9億30百万円減少したことによるものであります。

 

 (固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は40億70百万円で、前連結会計年度末に比べて1億34百万円減少しております。主に退職給付に係る負債が62百万円減少したことによるものであります。

 

 (純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は348億55百万円で、前連結会計年度末に比べて7億円減少しております。主に利益剰余金が7億30百万円増加したものの、その他有価証券評価差額金が13億69百万円減少したことによるものであります。

 

③ 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、365億25百万円(前連結会計年度の売上高390億78百万円に比べ25億53百万円減少)となりました。これは、新型コロナウィルス感染拡大を要因・契機としてファッション・スポーツ分野、生活関連資材分野を中心に減収となったことによるものであります。

 

 (営業利益)

当連結会計年度の営業利益は、16億12百万円(前連結会計年度の営業利益21億65百万円に比べ5億52百万円減少)となりました。これは売上高の減少及び、原燃料の価格が上昇したことなどによるものであります。

 

 (経常利益)

当連結会計年度の経常利益は21億52百万円(前連結会計年度の経常利益27億78百万円に比べ6億25百万円減少)となりました。これは、持分法による投資利益が減少したこと及び為替差損が増加したことによるものであります。

 

 (親会社株主に帰属する当期純利益)

税金等調整前当期純利益は19億37百万円(前連結会計年度の税金等調整前当期純利益27億17百万円に比べ7億80百万円減少)となり、税効果会計適用後の法人税等負担額は5億58百万円(前連結会計年度5億85百万円に比べ27百万円の減少)となりました。その結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は13億75百万円(前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益21億31百万円に比べ7億55百万円減少)となりました。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

・資本の財源

当社グループは、事業の成長と収益性を高めることにより資本の財源としております。

当連結会計年度においては、営業活動による資金の増加は30億31百万円、投資活動による資金の増加は15億2百万円、財務活動による資金の減少は6億91百万円となりました。

 

・資金の流動性に係る情報

資金の流動性については、今後継続的な企業価値の向上を実現するための資金需要に対して、迅速かつ確実に資金を確保することを基本としております。

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は85億96百万円となりました。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは継続的な企業価値の向上を実現するため、事業の成長性と収益性を高めることを重視し、なかでも収益性の追求は欠かせないものと考え、売上高営業利益率7%以上を重要な目標指標として位置付けております。当連結会計年度における売上高営業利益率は4.4%であり、引き続き、生産性の向上及びコスト削減等に努め、当該指標の達成に向け取り組んでまいります。

 

⑦ 今後の見通し

 今後の新型コロナウイルス感染拡大の影響や収束時期は、現時点で合理的に予想することが困難な状況にあります。また、貿易摩擦の影響を含む各国の関税政策や為替動向など不透明な要因にくわえ、原油価格に落ち着きがなく、予断を許さない状況が続くものと思われます。このような急激な変化を受け、当社グループを取りまく外的環境は著しく変化し、事業の環境及び構図はこれまでとは様相を異にすると見られます。まさにニューノーマルな時代の到来が予測され、関連ビジネスは大きな転換が求められるようになっております。例えば、店舗を置かずインターネットを利用するEC事業の導入と拡大が今後、ますます進むと予想されます。当社グループにおきましても、こうした変化に対応すべく、ブランディング戦略を重視しつつ、EC事業を積極的に展開し、新商品の認知度を高め効果的に訴求してまいります。また、デジタル技術を最大限に活用し、新時代に柔軟に対応すべく経営投資を惜しみなく行ってゆかねばならないと考えております。
 なお、2021年3月期第2四半期(累計)の連結業績見通しについては、売上高163億円、営業利益5億円となっており、現時点で当社が把握可能な情報に基づいて、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を見込んでおりますが、当予想は大きく変動する可能性があります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、技術開発部を核として、本体及びグループ各社の連携を強化し、また産地協力企業とのクラスター活動や、多くの大学や公設試験場と共同研究を推進し、世界を席巻するブランドへの飛躍をめざし、かつSDGsへの取り組みをこれまで以上に推進しつつ、事業戦略に沿った要素技術及び商品の開発を推進しております。なお、当社グループの当連結会計年度末現在の特許及び実用新案の所有は132件、出願中は46件であり、研究開発費は、790百万円であります。

 

繊維事業

①衣料開発分野

機能面でダントツ性能を目指す第一弾として、『ダントツ撥水』を上市しました。環境配慮としてフッ素系撥水剤において、環境への影響があるPFOAを含まない水系撥水剤を使用し、水キレの良さと100回家庭洗濯でもしっかり水を弾く高耐久性を両立させております。素材内見会で、多くの引合いを頂いており、また、日刊工業新聞社主催の第30回「読者が選ぶネーミング大賞」にて、「インパクトネーミング賞」を受賞しております。
 ファッション分野では、社内コンテスト「RE-CREATION」を企画し、社外からプルミエールヴィジョントレンド協議会委員を務める池西 美智子様を招待し、厳正な審査からアドバイスまでご指導頂き、質の高いものづくりに繋げております。その中でグランプリとなった商品は、プルミエールヴィジョンに出展したところ、早速引き合いを頂いております。今後も継続して企画、開催し、新商品提案に繋げてまいります。
 ヘルスケア関連としては、東芝マテリアル㈱の技術協力を得ながら、可視光応答型の光触媒と特殊吸着剤のハイブリッド技術開発により、インフルエンザウイルスの感染能力を抑制する特殊素材『ウイルスシールド』の開発に至り、第一弾として、マスクインナーを商品化し、自社販売をスタートさせております。新型コロナウイルス対策の一助となるべく、継続開発、用途開拓を進めてまいります。

 

②非衣料開発分野

熱可塑性炭素繊維複合材料『CABKOMA(カボコーマ)ストランドロッド』を含む製品規格として、JIS A5571「耐震補強用引張材-炭素繊維複合材料より線」を、ようやく制定することができ、今後普及が促進されることが見込まれております。また、鋼管柱脚補強材『CABKOMA・Pシート』を用いた信号柱や標識柱の延命対策(YCK工法)が長野県、和歌山県、群馬県で順次導入されております。
 さらに、隈 研吾先生が設計を手掛けた新国立競技場においては、入場ゲートに『グリーンビズ Ground』が広く用いられ、外周プランターにはバサルト(玄武岩)繊維で50年耐久設計のボンディング素材が採用されるなど、多くの製品が採用されております。
 第18回屋上・壁面緑化技術コンクールにおいて、グリーンビズの上にセダムを植栽した『軌道敷内緑化システム』が壁面・特殊緑化部門にて「環境大臣賞」を受賞、高い技術水準と都市緑化技術の模範になる点が評価されております。
 こうした事例を踏まえて、用途開拓を推進し、拡販へ繋げてまいります。