第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは「スポーツを通じて、豊かで健やかな暮らしを実現する」を企業理念として掲げて、スポーツ衣料・スポーツ用品の企画・製造・販売、およびその他関連事業を行っております。

経営指針である「強い・速い・きれいな経営」のもと、持続可能な企業体質を求め、企業を取り巻く環境の変化に対応するよう絶えず経営体質の改善・改革に取り組んでおります。

また、平成24年からタグラインとして「スポーツファースト」を掲げ、グループ社員一同が、スポーツを第一に考え、スポーツを愛し、自ら実践し、スポーツのチカラを信じて日々の業務に精励しております。これはスポーツ基本法に掲げられる精神、「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことが人々の権利である」に合致するものであり、当社は引き続きこの精神の浸透に努めてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

主たる経営指標としては、自己資本利益率(ROE)の向上を目標とし、収益性・効率性の高い経営を目指しております。

具体的には、引き続きキャッシュ・フロー重視の経営を推進することで、ROE18%以上を目標として取り組みます。

また、積極的に投資を推進する方針でありますが、経営の健全性を保つために有利子負債比率(D/Eレシオ)は0.3倍以下の維持を目標に取り組みます。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題

当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症への警戒は続いているものの、消費行動は「withコロナ」へのシフトが進んでいる状況でもあります。

また世界的なインフレの加速、地政学的リスクの高まりによって、原材料価格および物流費用が高騰し、個人消費へ悪影響を与えることが懸念されています。

一方、コロナ禍での在宅時間の増加による日常着需要の増加や、密を避けたアクティビティとしてキャンプ需要が継続している等、働き方、暮らし方の多様化によって、当社を取り巻く顧客層の裾野の拡大が期待されています。

このような環境の下、当社グループでは、顧客や市場の変化に柔軟に対応することで、ブランド事業の収益基盤を強化し、企業価値を高める施策(課題)に取り組んでおります。顧客起点のさらなる強化戦略として、次の戦略を掲げております。

 

①  マルチブランド戦略

単一ブランドでは出来ない新しい市場を創造し、カテゴリー分類別にマルチブランド戦略を実践し、スポーツスタイルの提案を強化します。また、スポーツマーケットの領域を超え、ライフスタイル、ファッションマーケットに対しても、ブランドの地位を確立し存在感を発揮してまいります。

 

②  自主管理売場の強化

直営店とECサイト上での購買体験(オフラインとオンライン)の融合による小売機能の強化を図り、消費者ニーズを直接・間接的に汲み上げると同時にクリエイティブな提案を積極的に行います。

 

③  商品力の優位性の確立

各分野において、今まで以上に世界でもトップクラスの高機能・高品質を誇れる製品を開発し、市場においてもお客様にとっても絶対必要なブランドとしての地位を確立します。

 

④  グローバル市場への挑戦

国内のみならず海外市場においても、当社グループの商品力の優位性を背景に、オリジナルブランドを世界で展開していくための戦略の構築、布石に積極的に取り組んでいきます。

 

⑤  CSR・コンプライアンス体制

社会の中で信頼の置ける必要な会社であると認められるためには、取扱商品への高いニーズ・信頼性にはじまり、企業倫理・法令遵守はもとより、環境問題への積極的な取り組みをはじめとする持続可能な社会の実現に貢献することが重要な課題となります。

 

基本方針「成長分野への投資とレジリエンスを両立すべく、盤石な財務基盤の構築を図る」に基づき、重点課題として以下の施策を遂行すべくグループ全社を挙げて取り組んでまいります。

 

● 成功モデルの波及:THE NORTH FACEの成長余地の探求と成功モデルを波及させる

● 販売チャネルの多様化:VUCAの時代に対応した実需型ビジネスモデルの磨き上げを図る

● 環境配慮素材への移行:全ブランドで環境配慮素材への積極転換を進め、製品開発を強化する

● 高ROE経営の推進:盤石な内部留保を構築しつつ、成長領域への投資の両立を図る

 

(4) 気候変動への取り組みとTCFDへの対応

当社グループでは、長期ビジョン「PLAY EARTH 2030」のもと、「事業と環境の二つの側面におけるサステナビリティの両立」を目指し、事業構造を改革しております。2022年度、その取り組みの一環として、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明するとともに、当社グループの気候変動への取り組みを改めて整理いたしました。

①ガバナンス

当社グループでは、「ESG経営推進委員会」を設置し、気候変動をはじめとするサステナビリティに関連した重要事項の審議を実施しております。また、ESG経営推進委員会での審議結果は、内容の重要度を鑑み一年に一度、「取締役会」に報告され監督される体制となっております。

「ESG経営推進委員会」では、代表取締役社長を委員長とし、気候変動をはじめとするサステナビリティに関する基本方針や目標、実行計画の策定、目標に対する進捗状況に関する審議が行われます。ESG経営推進委員会は四半期に一度開催され、当社の取締役・監査役をはじめ、役員、部長職以上の全員とグループ会社社長が参加しております。「取締役会」では、気候変動に係る基本方針や重要事項を踏まえ、事業戦略の策定、投融資審査等を総合的に審議・決定しております。さらに、気候変動をはじめとする地球環境問題の改善に向けた実践組織として「EMS推進委員会」を設置しております。また、全社の製品や技術開発の中核を担う「開発委員会」の下部組織「GREEN IS GOODワーキンググループ」と連動して、グループ全体での環境への取り組みを推進しております。

 

②戦略

当社グループでは、2022年度に将来的な気候変動の影響を評価するためのシナリオ分析を実施いたしました。気候関連リスク・機会の分析においては、国際的に認められた複数の気候変動シナリオを参照しております。気候変動が当社グループに及ぼすリスク・機会の抽出と、長期戦略を検討するにあたり、国際エネルギー機関(IEA)が2021年に発表したNet Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2014年に発表した第5次評価報告書のRepresentative Concentration Pathways (RCP8.5)を参照し、分析いたしました。

事業戦略の妥当性や、2030年に向けた成長戦略の検討に向けて、1.5℃シナリオ、4℃シナリオの2つの気候変動シナリオに基づき、移行リスク・機会及び物理リスク・機会を抽出しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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③リスク管理

当社グループは、経営課題に内在するさまざまなリスクに対応するため、ESG経営推進委員会、ガバナンス委員会をはじめとする各種の社内委員会を設定し、リスク管理、コーポレート・ガバナンスの充実に努めております。

気候変動に伴うリスクと機会には、脱炭素社会への移行に起因するものと、気候変動の物理的な影響に起因するものが想定されます。こうした気候変動に伴う外部環境の変化を整理し、さらにアパレル産業への影響を評価した上で、当社グループの事業活動への影響度を鑑み、重要なリスクと機会を特定しております。特定したリスクと機会に関しては、ESG経営推進委員会にて報告され、対応方針、施策、目標の策定とともに審議されております。審議された内容は取締役会に報告され、その監督の下、最終決定されます。

また、経営戦略に関する意思決定など、経営判断に関するリスクについては必要に応じて法律事務所などの外部の専門家の助言を受け、関係部門において分析・検討を行っております。

 

④指標と目標

当社グループでは、長期ビジョン「PLAY EARTH 2030」のもと、環境問題への取り組みを最重要課題のひとつとして2030年、2050年を見据えた目標を設定しております。

地球環境の改善に向けた環境重要課題として「グリーンデザインの推進」「脱炭素社会の実現」「循環型社会の実現」を掲げ、中期・長期の目標設定と環境改善に向けた具体策を進めております。

具体的には「グリーンデザインの推進」として環境負荷低減素材への移行を目標に、ブリュード・プロテインの開発拡大やリサイクル素材への転換推進、環境負荷低減副資材の活用などにより、2050年までに環境負荷低減素材を使用した製品比率100%(2030年までに環境負荷低減素材を使用した製品比率90%)を目指します。また、「脱炭素社会の実現」については、再生可能エネルギーへの転換を進めるとともに、サプライチェーンマネジメントの強化により、2050年にはサプライチェーンを含むカーボンニュートラル達成(2030年に全事業所・直営店におけるカーボンニュートラル達成)を目指しております。「循環型社会の実現」については、ファッションロス・ゼロを目標に、発注流動強化による総量規制やファッションロス・ゼロに向けた業界連携などを推し進め、2050年までにサプライチェーンを含む廃棄ゼロの達成(2030年までに製品・材料廃棄ゼロ達成)を目指す計画です。

 

 

2【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価および財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、記載内容のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

1.為替レート変動に伴うリスク

当社グループの製品調達は、海外生産比率が高く、為替レートの変動は外貨建ての直接取引および商社等を経由する間接取引の製品調達に影響を及ぼす可能性があります。為替レートの変動リスクを回避するために為替予約取引等の手段を講じておりますが今後の為替レートの変動によっては、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

2.製造物責任に関するリスク

当社グループは、品質管理基準に従って生産および仕入を行っております。しかしながらすべての製品に不良がなく、製造物責任賠償が発生しないという保証はありません。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、製造物責任問題の発生で企業責任を問われることによる社会的評価の低下は、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

3.海外展開に関するリスク

当社グループは、海外に生産・販売拠点を有しておりますが、展開する国又は地域における法律の改正や規制の強化、政治的・社会的・経済的な混乱、紛争やテロ等が発生した場合には、業績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

4.個人情報の取扱いに係るリスク

当社グループは売上の一部を通信販売によっていることから、顧客の個人情報を保有しております。個人情報については社内管理体制を整備し、情報管理への意識を高めるとともに、安易に情報が漏洩することの無いように、取り扱いには留意しております。

しかしながら、外部からのハッキングなど、不測の事態により、万が一、個人情報が外部に漏洩するような事態となった場合には当社グループの信用失墜による売上の減少、または損害賠償による費用の発生等が起こることも考えられ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

5.固定資産の減損に係るリスク

当社グループが保有する固定資産について、資産の収益性低下等により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。これに伴い「固定資産の減損に係る会計基準」に規定される減損処理が必要になった場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

6.他社との提携に関するリスク

当社グループは、シナジー効果による市場での優位性を確保するために技術提携およびコラボレーション等共同での活動を行っております。今後も継続していく予定でありますが、当事者間において市場や事業運営等につき大きな見解の相違が生じた場合は当該事業の継続が困難になり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

7.消費者の嗜好の変化ならびに気象状況などによるリスク

当社グループが扱う商品は景気の変動による個人消費の動向、そして消費者の嗜好の変化に影響を受けやすく、また特定の季節に利用される商品においては、天候不順、暑さ寒さなど気象条件が、大きく売上に影響を及ぼす可能性があります。

8.大規模自然災害等の天災に関するリスク

想定外の自然災害、政治経済状況の変化、感染症・伝染病等の流行、法律・規制の変更、テロ・戦争・その他社会情勢の混乱などが、販売、回収活動等に影響を及ぼす可能性があります。その場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

9.知的財産権に関するリスク

当社は、多くの商標権等の知的財産権を所有しております。知的財産権に関する侵害事件の発生など、商品開発への悪影響やブランドイメージの低下等を招く可能性があります。知的財産権に関する侵害訴訟は解決までに相当な時間と費用を要し、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

10.人財育成及び確保に関するリスク

当社グループにとって人財は経営の基盤であり、人財の確保・育成が計画通りに進まない場合や今後の人口態様の変化により適正な労働力を確保できない場合には、事業の遂行や展開に支障をきたす恐れがあり、業績等に影響

を及ぼす可能性があります。また、各種労働法令の改正や社会保険等従業員の処遇に関連した法改正が行われた場合、対応コストや人件費等が増加する可能性があり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

11.原材料価格変動に伴うリスク

当社グループが製造・販売する商品の原材料は資源価格の変動リスクにさらされており、不測の資源価格の上昇が発生した場合には、原材料コストの増大によって当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

12.株価下落のリスク

当社の発行済株式は、東京証券取引所にて売買可能であり、大株主による当社株式の大量売却が発生した場合、当社株式の市価を低下させる可能性があります。

 

13.事業投資に伴うリスク

当社グループの事業展開においては、出資を行い持分を取得するケースがあります。投資先の財政状態及び経営成績によっては減損損失を計上することとなり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

14.新型コロナウイルス感染症に関するリスク

新型コロナウイルス感染症の拡大によりインバウンド需要の低迷や外出自粛による消費マインドの低下といった影響を受けております。今後も感拡大染防止に向けた緊急事態宣言の発出により、直営店舗等において営業時間の短縮や臨時休業が長期に渡って続いた場合には、業績に悪影響を与える可能性があります。

 

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.業績等の概要

(1)業績

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響の長期化により、東京2020オリンピック・パラリンピックが無観客での開催になる等、外出自粛が常態化したことにより回復に向けた動きは鈍く、依然として先行き不透明な状況が続いております。

一方、当社グループの属するスポーツアパレル業界においては、2021年3月期と比較して、首都圏、関西圏等の都市部での一斉休業がなかったことや、昨年11月後半以降の記録的寒波の到来によって防寒衣料が堅調に推移する等、わずかではありますが好転の兆しも見られました。

当社グループにおいても、THE NORTH FACEを中心に顧客から選ばれる魅力のある商品づくり、安定したサプライチェーンの構築、直営店に加え、卸先、EC売上等のバランスのとれた販売チャネルの構築等によって、コロナ禍にあっても業績は堅調に推移し、当連結会計年度の業績は、売上高98,235百万円(前期比8.6%増)、営業利益16,501百万円(前期比11.2%増)、経常利益20,285百万円(前期比26.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は14,350百万円(前期比33.7%増)となりました。

 

 

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は25,036百万円となり、前連結会計年度末より4,748百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られたキャッシュ・フローは18,049百万円(前連結会計年度比10,647百万円の収入増)となりました。主な要因は、法人税及び住民税の支払6,728百万円があったものの、税金等調整前当期純利益20,131百万円および仕入債務の増加3,447百万円があったためであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用したキャッシュ・フローは1,567百万円(前連結会計年度比1,694百万円の支出減)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出1,722百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用したキャッシュ・フローは11,853百万円(前連結会計年度比11,691百万円の支出増)となりました。これは主に、借入金の純減少額5,557百万円、配当金の支払3,520百万円および自己株式取得による支出2,140百万円によるものであります。

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

平成30年3月期

平成31年3月期

令和2年3月期

令和3年3月期

令和4年3月期

 自己資本比率(%)

49.6

51.0

56.8

57.8

63.9

 時価ベースの自己資本比率(%)

205.5

470.3

331.4

351.4

283.6

 債務償還年数(年)

1.1

0.5

0.3

1.3

0.2

 インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

72.5

105.4

148.8

57.1

223.8

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

債務償還年数:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注1)各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

(注2)株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

(注4)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている短期借入金、長期借入金(1年以内返済分を含む)および社債(1年以内返済分を含む)を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

当社グループは、製品の種類、性質、製造方法および販売市場等の類似性から判断して、同種・同系列のスポーツ用品を専ら製造販売しているため、生産および販売の実績についての記載を省略しております。また、受注状況についても一部の特殊商品のみ受注生産を行っておりますが、全体に占める割合が僅少であるため、記載を省略しております。

 

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されておりますが、その中で以下に掲げる重要な会計方針および見積りにつきましては特に、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因になっていると考えております。

なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関する影響は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

①  売上高の計上基準

当社グループの売上高は、取引先との契約により、先方に対して製品が出荷された時点、あるいは取引先または当社グループの運営店舗が消費者に売り上げた時点で計上されるのが基本であります。

 

②  製品・商品・原材料の評価

棚卸資産のうち、製品・商品についてはあらかじめ設定された販売適用時期を過ぎたものについて、過去の販売実績に基づき開発年度ごとに算定した評価率を乗じて時価(正味売却価額)を算出し、その時価の見積り額と原価との差額を評価減しております。

原材料は生地等の今後の使用可能性とともに、一定の滞留期間を経過したものについて、処分価格を基準として評価減しております。

 

③  固定資産の減損処理

固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたっては、主として営業店舗等を基本単位とした資産のグルーピングを行っております。業績不振により収益性が著しく低下したグループについては、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損処理しております。

 

④  有価証券の減損処理

市場価格のある有価証券については、基本的に連結会計年度末の市場価格が取得原価を50%以上下回ったものは全て、下落率が30%以上50%未満のものは、回復可能性を一定の基準で判定し減損処理を行っております。また、市場価格のない会社への投資については、当該会社の1株当たり純資産額が取得原価を30%以上下回った場合に、回復可能性を一定の基準で判定し減損処理しております。

(2)財政状態の分析

①  流動資産

当連結会計年度末における流動資産の残高は55,486百万円となり、前連結会計年度末と比べ4,318百万円増加いたしました。その主な要因は、商品及び製品の減少1,881百万円があったものの、現金及び預金の増加4,870百万円、受取手形及び売掛金の増加1,750百万円があったためであります。

・売上債権(受取手形及び売掛金、電子記録債権)

当連結会計年度末の売上債権回転月数につきましては、前連結会計年度末1.65ヵ月から当連結会計年度末1.69ヵ月となりました。

・棚卸資産(商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品)

当連結会計年度末の棚卸資産は13,423百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,730百万円減少いたしました。棚卸資産回転月数につきましては、前連結会計年度末2.01ヵ月から当連結会計年度末1.64ヵ月となりました。

 

②  固定資産

当連結会計年度末における固定資産の残高は43,598百万円となり、前連結会計年度末と比べ3,390百万円増加いたしました。その主な要因は、投資有価証券の増加2,451百万円等によるものであります。

・投資有価証券

投資有価証券には、関連会社の株式18,912百万円のほか、長期・安定的な取引関係維持のために所有している主要取引金融機関や主要仕入先等の株式が含まれております。当連結会計年度末における投資有価証券の残高は24,060百万円となり、前連結会計年度末と比べ2,451百万円増加いたしました。

 

③  負債(流動負債および固定負債)

当連結会計年度末における負債合計の残高は35,673百万円となり、前連結会計年度末と比べ2,785百万円減少いたしました。主な要因は、電子記録債務の増加2,092百万円、支払手形及び買掛金の増加1,360百万円があったものの、借入金の減少5,557百万円があったためであります。

 

④  純資産

当連結会計年度末における純資産合計の残高は63,411百万円となり、前連結会計年度末と比べ10,494百万円増加いたしました。主な要因は、剰余金の配当金3,520百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上14,350百万円があったためであります。

 

・自己資本比率

当連結会計年度末の自己資本比率は63.9%となり、前連結会計年度末と比べ6.1ポイント上昇いたしました。

・ROE

当連結会計年度末のROEは24.7%となり、前連結会計年度末と比べ3.1ポイント上昇いたしました。

 

(3)資本の財源および資金の流動性に係る情報等

①  キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末より4,748百万円増加し、25,036百万円となりました。

これは、営業活動の結果得られた収入18,049百万円に対し、固定資産の取得等の投資活動による支出が1,567百万円あったことおよび借入金の返済等の財務活動による支出が11,853百万円あったことによるものです。

当社グループは、運転資金および設備投資について、営業活動から獲得する自己資金ならびに金融機関からの借入による調達を行うものとしております。

なお、手元現預金等に加え、主力銀行を中心とした取引金融機関の協力も得て、資金の充分な流動性を確保しており、当社の当面の資金繰り、及び財務の安定性に懸念はございません。

 

②  財務政策

現在、当社グループの財務政策の重点課題として、「グループキャッシュ・フロー重視経営の徹底」を掲げております。有利子負債の削減を目的としてキャッシュ・フロー管理の徹底を図り、ブランド事業ごとの収益基盤の強化および社内カンパニー制度を推進し、財務体質を強化いたします。また、財務の健全性を高めるため、長期安定資金の比率を高めるとともに総資産の圧縮を進めます。

主たる経営指標としては、自己資本利益率(ROE)の向上を目標とし、収益性・効率性の高い経営を目指しております。

具体的には、引き続きキャッシュ・フロー重視の経営を推進することで、ROE18%以上の維持を目標として取り組みます。

また、積極的に投資を推進する方針でありますが、経営の健全性を保つために有利子負債比率(D/Eレシオ)は0.3倍以下の維持を目指して取り組んでまいります。

 

(4)経営成績の分析

①  売上高

当連結会計年度においても引き続き、直営店のみならず、大型スポーツ量販店等の卸店舗とブランドの持つ価値観を共有した実需型ビジネスを推進したことで、幅広いお客様にTHE NORTH FACEを中心とした当社製品のブランド価値のさらなる訴求が進みました。

また、主力のメンズに加えてキッズやレディースにつながるファミリー層をメインターゲットとした郊外型店舗での販売が好調に推移したことに加え、直営店とEC販売との連携を強化したことで顧客利便性を大幅に向上させることができました。

特に昨年10月には、登山用のテクニカル商品を中心としたECサイト「THE NORTH FACE MOUNTAIN ECサイト」をオープンする等、直営店との連携をさらに進めたことで、コロナ禍で不透明な状況が続く中ではあるものの、中期経営計画でのKPIとして設定したEC売上高比率は、当連結会計年度で13.4%、自主管理売上高61%と初年度の目標を上回る推移を示しております。

これらの結果、コロナ前の令和2年3月期に記録した過去最高を2年ぶりに更新し、当連結会計年度の売上高は98,235百万円(前期比8.6%増)となりました。

 

②  売上総利益

当連結会計年度の売上総利益は売上高の増加により、51,743百万円(前期比7.8%増)となりました。また、直営店やeコマース販売等の自主管理型売上が拡大したこと、さらに発注流動管理強化による販売ロス削減、プロパー販売比率改善等により売上総利益率は52.7%となりました。

 

③  営業利益

自主管理売上比率の上昇により、当連結会計年度の営業利益は16,501百万円(前期比11.2%増)となりました。販売費及び一般管理費につきましては、期初予想では、広告宣伝費を中心に増加を見込んでおりましたが、コロナ禍によって集客を伴ったイベント開催の多くを中止したことに加えて、SNS等を活用するなど投資対効果を重視すべく経費負担抑制に取り組んだ結果、35,241百万円(前期比6.3%増)となりました。

 

④  経常利益

営業利益の増益に加え、韓国における持分法適用関連会社であるYOUNGONE OUTDOOR Corporationの業績が堅調に推移したことで、経常利益は20,285百万円(前期比26.9%増)となりました。

 

⑤  親会社株主に帰属する当期純利益

上記経常利益の増益により、法人税等が増加したものの、親会社株主に帰属する当期純利益は14,350百万円(前期比33.7%増)となりました。

 

(5)目標とする経営指標の達成状況

当社グループでは、5年先の将来を見据えた中期経営計画として、計画最終年度の令和8年3月期の売上高125,000百万円、営業利益21,000百万円とした目標を設定しました。当該中期経営計画では、事業と環境における2つのサスティナビリティの両立を目指すべく、その実現に向けて、新製品の研究開発に加えて、基幹システムや物流システムのインフラ整備への投資を行うとともに、環境負荷低減への取り組みも同時に行ってまいります。このように、将来の成長に向けた積極的な投資に伴い、新中期経営計画2年目となる令和5年3月期の業績予想につきましては、売上高は前期比7.9%増収となる106,000百万円を見込むものの、営業利益は前期比3.0%増益となる17,000百万円、経常利益は前期比5.5%増益となる21,400百万円を予定しております。

(単位:百万円)

 

平成31年

3月期

(実績)

令和2年

3月期

(実績)

令和3年

3月期

(実績)

令和4年

3月期

(実績)

令和5年

3月期

(予想)

令和8年

3月期

(予想)

連結売上高

84,934

97,899

90,479

98,235

106,000

125,000

連結営業利益

18,612

17,480

14,838

16,501

 17,000

 21,000

連結経常利益

12,982

16,375

15,984

20,285

 21,400

 22,500

ROE

24.7%

25.0%

21.6%

24.7%

18.0%以上

 

4【経営上の重要な契約等】

(1) 技術導入契約

当社の営業に関し次のとおり技術導入契約を締結しております。

契約締結先

内容

三井物産㈱    (日本)

スイムウエア、アスレチックウエアおよび関連グッズ等の製造権、販売権ならびに商標権の使用許諾契約

 

5【研究開発活動】

当社グループはスポーツ衣料を中心としたスポーツ用品関連で、品質・機能・価格・デザインのあらゆる面で対応していくため、各分野にわたって研究開発に取り組んでおり、とくにファッションに対する感性を主とする企画強化とともに高機能製品の研究開発を重点的にすすめております。

現在の研究開発は当社の事業部および子会社の企画事業部門のほか、グループ全体として開発委員会を設置し、新製品の企画開発を中心に推進しております。

当連結会計年度における研究開発費は、当社、㈱ナナミカ、㈱カンタベリーオブニュージーランドジャパンおよびブラックアンドホワイトスポーツウェア㈱の事業部における新製品の企画・開発関係費、海外デザイナー・海外提携先との提携費、素材メーカー等との開発費や当社商品本部の生産技術面の研究開発費、商品開発費等が主なもので、総額として780百万円となっております。

なお、当社グループは、スポーツ用品関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。