第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

  当連結会計年度におけるわが国経済は、政府・日銀による経済・金融政策等により、企業業績や雇用情勢は緩やかに回復しておりますが、世界的な保護主義傾向の広がりや中国をはじめとする新興国経済の成長鈍化、中東・東アジアの地政学リスクの影響などにより、先行きは依然として不透明な状況が続きました。我々アパレル業界、ワーキングウェア業界においては、個人消費は将来への不安から節約志向、低価格志向が継続し、ネット通販の拡大も相まって、量販店などに代表される従来の流通ルートは苦戦を強いられています。

  このような状況のもと当社グループにおきましては、ワーキングウェア事業においては、広告宣伝活動を継続的に行い、主要ブランド「JICHODO(ジチョウドウ)」、次世代戦略ブランド「Jawin(ジャウィン)」、世界戦略ブランド「Z-DRAGON(ジィードラゴン)」を中心に自社ブランドの育成・強化に努め、ブランド力・商品力を武器に売上・利益の拡大を図ってまいりました。ユーザー様によるブランドの指名買いも増加しており、当社自社ブランドの認知度は着実に向上しております。また、商品開発を強化し、各ブランドのコンセプトに沿った新商品を積極的に投入し、新たな需要の掘り起こしを図ってまいりました。フットウェアにおいても「Z-DRAGON(ジィードラゴン)」ブランドの商品を展開するなどブランド力の強化に努めるとともに、商品展開を拡大し、個人購入だけでなく、法人需要の獲得にも力を入れてまいりました。医療用白衣・介護ウェアの分野においても、新商品を積極的に投入して商品ラインナップを拡充するとともに、「WHISeL(ホワイセル)」ブランドの知名度向上に努め、新たな主力事業として育成・強化してまいりました。メンズカジュアル事業においては、流通ルートの変革、多様化に対応すべく、新規流通ルートの開拓、強化など、事業構造の転換を進めてまいりました。

 生産面におきましては、在庫推移予測の精度を向上させ、商品ごとにきめ細かく生産量、納期を調整することにより在庫圧縮に努めるとともに、子会社であるジェイアイディ、玄海ソーイングと連携して国内外の生産体制の見直しを行うことで納期対応力を強化し、顧客サービスの向上に取り組んでまいりました。また、技術指導員を海外の協力工場に定期的に派遣し、品質の維持・向上と、納期管理に努めてまいりました。

  以上の結果、ユニフォーム、フットウェア、医療用白衣・介護ウェアが順調に売上を伸ばし、苦戦が続いていたメンズカジュアルにおいても底入れ感が出てきたことから、当連結会計年度の業績は、売上高は17,089百万円(前連結会計年度比2.9%増)と、前年を上回る結果となりました。営業利益は、粗利率の改善と販管費率の低減により、3,026百万円(前連結会計年度比16.0%増)となり、26年ぶりに営業最高益を更新いたしました。経常利益は、輸入取引に係る為替変動リスクをヘッジする目的で行っております為替予約取引に係る時価評価によるデリバティブ評価益655百万円を営業外収益に計上したことなどにより3,871百万円(前連結会計年度比285.8%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は2,771百万円(前連結会計年度比378.9%増)となり、当連結会計年度においては増収増益となりました。

 なお、当社グループは衣料品製造販売事業の単一セグメントに該当するため、セグメント情報は記載しておりません。

(注) 上記記載金額には、消費税等を含んでおりません。

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は前連結会計年度より3,308百万円増加し、7,505百万円(前連結会計年度比78.8%増)となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は4,372百万円(前連結会計年度は784百万円の使用)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益3,870百万円、減価償却費140百万円、たな卸資産の減少2,538百万円等による増加と、デリバティブ評価益655百万円、売上債権の増加128百万円、仕入債務の減少1,752百万円等による減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は147百万円(前連結会計年度は798百万円の獲得)となりました。これは主に保険積立金の積立による支出138百万円等による減少によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は923百万円(前連結会計年度は1,459百万円の使用)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出191百万円、配当金の支払額726百万円等による減少によるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当社グループは、衣料品製造販売事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年7月1日

至 平成29年6月30日)

 

 前年同期比(%)

 

衣料品製造販売事業(千円)

126,515

△10.6

 (注)  金額は、販売価格により算出しており、消費税等を含んでおりません。

 

(2)製品仕入実績

 当社グループは、衣料品製造販売事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の製品仕入実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年7月1日

至 平成29年6月30日)

 

 前年同期比(%)

 

衣料品製造販売事業(千円)

5,893,335

△2.4

 (注) 金額は、仕入価格により算出しており、消費税等を含んでおりません。

 

(3)受注実績

 当社グループは、主として需要見込みによる生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(4)販売実績

 当社グループは、衣料品製造販売事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年7月1日

至 平成29年6月30日)

 

 前年同期比(%)

 

衣料品製造販売事業(千円)

17,089,383

2.9

 (注) 販売実績金額には、消費税等を含んでおりません。

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の、将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において、当社グループが判断したものであります。

 当社グループを取り巻く環境は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、インフラの整備など公共事業の拡大が見込まれることから、ワーキングウェアの需要拡大も期待されますが、中長期的には少子高齢化に伴う労働人口の減少による市場規模の縮小が懸念され、経営を取り巻く環境は引き続き厳しい状況が続くものと想定されます。また、ネット通販の拡大など、流通の変革、多様化が更に進行しており、こうした市場環境の変化への対応が求められています。

 このような環境のもと当社グループといたしましては、主力のワーキングウェア事業においては、引き続き商品開発を強化し、広告宣伝を更に拡大し、「JICHODO」、「Jawin」、「Z-DRAGON」のブランド力を今まで以上に向上させてまいります。また、各ブランドの新商品を積極的に投入していくことで需要の喚起を図るとともに、新規開拓を積極的に行い、市場シェアの拡大に努めてまいります。更には、フットウェアや医療用白衣・介護ウェアなどを中心に、新規分野の育成・強化を進め、事業領域の拡大を図ってまいります。メンズカジュアル事業においては、流通ルートの多様化に対応し新たな流通ルートを開拓することで、売上拡大に努めてまいります。また、こうした売上拡大のための施策を支援していく体制整備として、営業、生産、物流の業務合理化、効率化を進め、業務の生産性を向上させ、コスト抑制に努めてまいります。

 

 目標とする経営指標といたしましては、当社グループにおきましては、自己資本利益率(ROE)の維持・向上を重要な経営課題と認識しております。

 当社グループの主力事業であるユニフォーム事業においては、需要予測のもとメーカーである当社が製品在庫を保有し、販売代理店を経由したユーザー様からのご注文に対し、即座に納品する体制を整えています。そのため機会ロスを低減するよう豊富な在庫を準備しており、このような備蓄型ビジネスモデルが当社経営戦略の重要な柱の一つであります。この備蓄型ビジネスモデルを中長期的に実施していくためには健全な財務基盤が必要であり、ROEの向上を過度に追求することは、株主様に対する継続的かつ長期的な利益還元につながらないと考えております。ROE5%を目安としながら、更なる資本効率の向上を図ってまいります。

 なお、当社グループにおきましては、ROEの計算に際しては、「為替デリバティブ評価損益」を除くものとしております。当社グループでは、外貨建取引の為替ヘッジを目的とした為替デリバティブ取引を行っており、期末時点において為替デリバティブ評価損益を計上しております。この為替デリバティブ評価損益は、期末日時点の時価評価であり、実現した損益ではありません。このような為替デリバティブ時価評価損益を損益計上した当期純利益を基準としてROEを計算すると、当社グループの場合、実態と乖離した数値となる可能性が高くなります。従ってROE計算の前提条件としては、「為替デリバティブ評価損益」を除いて算出しております。以上の前提による当連結会計年度の、実質ROEは7.8%となります。

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)特定の地域への生産の依存について

 当社グループは、衣料用繊維製品の製造・販売を主な事業内容としておりますが、その製品の多くが海外拠点において生産されております。現在海外生産拠点の分散化を推進してはおりますが、現状では、特に中華人民共和国に集中しております。当該国における何らかの要因により生産活動に支障が生じた場合には、他地域への生産の振替を行う必要が発生いたしますが、振替がスムーズに行えなかった場合、当社グループの業績及び今後の事業展開に悪影響を与える可能性があります。

 

(2)為替変動について

 当社グループは輸入仕入比率が高く、仕入価格は直接又は間接的にUSドル及び人民元と連動していることから、為替変動の影響を受け仕入コストが変動する要因となります。このため、為替予約取引によりリスクヘッジを行っておりますが、これにより当該リスクを完全に回避できるものではありませんので、為替の動向により当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)デリバティブ取引について

 当社グループにおきましては、輸入取引に係る為替変動のリスクに対応するため、デリバティブ取引を実施しております。デリバティブ取引については、時価による損益処理を行っておりますので、各期末における為替レートや日米金利差等により評価損益が計上され、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4)棚卸資産等の評価について

 当社グループにおきましては、需要予測による見込み生産を行っております。過去の実績や市況の動向などを勘案し、生産量を算定しておりますが、市況の急激な変化や天候不順などの理由により見込み違いとなる可能性があります。その結果、棚卸資産の増加や、見切り販売による利益率の低下などにより財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5)株式保有について

 当社グループは、金融機関や販売または仕入に係る取引会社の株式を保有しているため、株式市場の価格変動リスクを負っております。

5【経営上の重要な契約等】

 特記すべき事項はありません。

6【研究開発活動】

 特記すべき事項はありません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。

 (1)当連結会計年度の経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高につきましては、概ね計画どおりに推移し、前連結会計年度に比べ487百万円増加し17,089百万円となりました。

 売上総利益は、粗利率が改善したことにより、前連結会計年度に比べ442百万円増加し5,968百万円となりました。

 営業利益は、売上総利益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ417百万円増加し3,026百万円となりました。

 経常利益は、前連結会計年度において営業外費用にデリバティブ評価損1,866百万円を計上していたものが、当連結会計年度においては営業外収益にデリバティブ評価益655百万円を計上したことなどにより、前連結会計年度に比べ2,867百万円増加し、3,871百万円となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益が2,689百万円増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ2,192百万円増加し2,771百万円となりました。

(2)財政状態に関する分析

 当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ1,348百万円増加し、34,784百万円となりました。

 流動資産は24,704百万円となり、前連結会計年度末に比べ559百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金3,308百万円、受取手形及び売掛金が128百万円、繰延税金資産が138百万円増加したことと、商品及び製品が1,528百万円、原材料及び貯蔵品が1,009百万円、流動資産その他が475百万円減少したことなどによるものであります。

 固定資産は10,079百万円となり、前連結会計年度末に比べ789百万円増加いたしました。これは主に、投資有価証券が751百万円、投資その他の資産その他が202百万円増加したことと、建物及び構築物(純額)が115百万円減少したことなどによるものであります。

 流動負債は3,561百万円となり、前連結会計年度末に比べ509百万円減少いたしました。これは主に、未払法人税等が1,030百万円、流動負債その他が138百万円増加したことと、支払手形及び買掛金が1,752百万円減少したことなどによるものであります。

 固定負債は1,557百万円となり、前連結会計年度末に比べ526百万円減少いたしました。これは主に、繰延税金負債が173百万円増加したことと、固定負債その他が691百万円減少したことなどによるものであります。

 純資産は29,665百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,385百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が628百万円、その他有価証券評価差額金が531百万円増加したことと、自己株式(△表記)が1,225百万円減少したことなどによるものであります。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当連結会計年度においては、前述の「4.事業等のリスク」に記載した需要予測に大きな差異は発生せず、また、海外における生産についても計画どおり順調に推移いたしましたので、経営成績に重要な影響を与える要因は発生しておりません。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、4,372百万円の資金を獲得しております。投資活動によるキャッシュ・フローでは、保険積立金の積立などにより147百万円の資金を使用しており、財務活動によるキャッシュ・フローでは、自己株式の取得、配当金の支払額などにより923百万円の資金を使用しております。これにより現金及び現金同等物は前連結会計年度に比べ3,308百万円増加し7,505百万円となりました。資金残高は適正水準であると判断しております。