(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府、日銀による金融緩和政策の継続により、引き続き緩やかな回復基調を維持してきましたが、所得の伸び悩みなどから消費には力強さが見られません。また、中国を始め新興国の経済減速や、中東や欧州などの地政学的リスクに伴う下振れ懸念が高まるなど、先行きの不透明感が強まりつつあります。
ファッションアパレル業界におきましては、一部に高所得者や訪日外国人による消費の下支えが見られたものの、全般には、消費者の節約志向の強まりに加え、初冬の暖冬傾向により、冬物衣料品の売れ行きは総じて低調で、縫製を請け負う国や地域によってばらつきが見られるものの、日本向け衣料品の生産は全般には抑制傾向が続いており、縫い糸需要も回復が見られません。
このような状況のなか、当社グループでは収益回復のための中長期の課題に取り組み、国内を中心に徐々にその成果も現れつつあります。これらの結果、中国事業は一段と厳しさが増しましたが、国内事業の増収や為替レート変動の影響もあって、当連結会計年度の売上高は6,864百万円(前期比2.0%増)となりました。
一方利益面は、中国事業における減益やタイ事業の収益回復遅れがあったものの、国内事業においては、売上高の増加や人件費を始めとする販管費減少などの増益要因もあって、営業損失は59百万円(前期は149百万円の損失)、経常損失は14百万円(前期は88百万円の損失)となりました。
なお、前期には中国子会社の移転に伴う受取補償金を特別利益に計上しましたが、当期にはその計上がないこともあり、親会社株主に帰属する当期純損失は2百万円(前期は67百万円の利益)となりました。
日本
当連結会計年度における国内消費は、増加する訪日外国人による下支えがあったものの、所得の伸び悩みや年初以降の株式相場の下落などにより、消費者の節約志向が一段と強まる傾向にあり、個人消費はまだら模様で力強さが見られません。
また、このような状況に加えて、初冬の暖冬傾向により冬物衣料品の売れ行きも低調に推移したこともあって、節約志向の続く手作りホビー関連分野も含めて、縫い糸需要は全般に低調で厳しい状況が続きました。
当社グループにおきましては、事業年度の末日を、当社は3月末日、国内子会社は1月末日と定めていることや、それぞれの事業分野や販売地域も異なるために、前述の情勢や市況の影響は、各社ごとに若干の相違があるものの、国内収益力回復のための各社の諸策は徐々に成果も出始めております。また、昨夏に実施しました工業用縫い糸の販売価格改定の効果などもあって、当セグメントの売上高は5,297百万円(前期比2.6%増)となりました。
また利益面につきましては、原材料、染料価格等の高止まりや国内工場操業度の低下が引き続き製造コストを圧迫しておりますが、売上高の増加と販管費の削減効果などにより、セグメント利益は1百万円(前期は117百万円の損失)となりました。
アジア
当セグメントに属する全ての海外子会社は、事業年度の末日を12月末日と定めており、当連結会計年度には、平成27年1月から12月までの業績が連結されております。
当社グループにおきましても、これらの状況を受けて、ベトナムやタイの子会社においては、売上高も増加傾向を維持しましたが、当セグメントにおいて最も売上高比率が高い中国においては、受注の減少傾向に歯止めがかからず、事業環境は一段と厳しさが増しました。
しかしながら、為替換算レートの円安傾向への変動もあって、当セグメントの売上高は1,567百万円(前期比0.1%減)となりました。
一方、利益面につきましては、ベトナムの子会社は増益傾向にあるものの、中国子会社の売上高の減少や工場操業度の低下による減益要因が大きく、タイ事業の収益回復遅れもあって、セグメント損失は87百万円(前期は15百万円の損失)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,389百万円となり、前連結会計年度末より29百万円減少いたしました。活動別キャッシュ・フローの状況は、次の通りです。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失が38百万円(前期は169百万円の純利益)、法人税等の支払額が218百万円(前期は26百万円の支払)となったものの、減価償却費をはじめとする非資金項目が276百万円(前期比10百万円増)、たな卸資産の減少115百万円(前期は9百万円の増加)、仕入債務の増加76百万円(前期は204百万円の減少)となったことなどにより、262百万円の流入(前期は147百万円の流入)となりました。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入109百万円(前期は収入なし)、定期預金の預入・払戻による純収入が29百万円(前期比284百万円減)となったことなどにより、200百万円の流出(前期は54百万円の流出)となりました。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額が86百万円(前期比0百万円減)などにより、72百万円の流出(前期は129百万円の流出)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(千円) | 前年同期比(%) |
日 本 | 3,231,827 | △7.3 |
アジア | 1,878,548 | 1.4 |
合 計 | 5,110,375 | △4.3 |
(注) 金額は販売価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。
当社グループは、受注生産を行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
日 本 | 5,297,101 | 2.6 |
アジア | 1,567,421 | △0.1 |
合 計 | 6,864,522 | 2.0 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
今後の見通しにつきましては、政府、日銀による金融緩和政策の継続などにより、引き続き景気回復傾向の維持が期待されるものの、中国や新興国の経済減速や中東、欧州などの地政学的リスクに伴う下振れ懸念も高まりつつあり、先行きの不透明感は一層増しております。
また、所得の伸び悩みや節約志向の強まりを背景として、国内の個人消費も弱含みに推移する可能性があることから、ファッションアパレル業界や手作りホビー業界においても先行きは不透明であり、当社グループを取り巻く事業環境も早期の回復は見込めません。
しかしながら、中長期的な事業環境については、当社グループは次のように考えております。
①工業用縫い糸の事業については、今後のアジア諸国のそれぞれの政治状況、人件費の動向やインフラの整備状況等により、縫製業の盛衰は変化するものの、中長期的には、経済成長が続く中国や東南アジア諸国などにおいて、高級な衣料品や自動車等の消費拡大に伴って、縫製品位や縫製効率の向上に不可欠な高品質な縫い糸需要の拡大が見込まれ、衣料用、非衣料用ともにアジア地域における高品質縫い糸の販売拡大が期待できる。
また、海外への生産移転と縫製従事者の減少により市場の縮小を余儀なくされている日本国内においては、独自性や機能性の高い縫い糸の開発や高質なサービスの提供などにより、シェアの拡大が可能である。
②家庭用縫い糸の事業については、近年、国内の手作りホビー分野におけるソーイング(縫い物)需要は、女性のライフスタイルの変化などを背景に漸減傾向が続いているものの、価値観の多様化に伴い、中長期的には新たな潜在需要の掘り起こしが可能である。
また、欧米市場においては、当社製品のシェアは極めて低く、独自性の高い製品の開発によって、市場への参入が可能であるほか、中長期的に経済成長が見込まれる中国や東南アジア諸国においては、富裕層の増加やライフスタイルの変化に伴い、手作りホビー市場の成長が期待できる。
当社グループは、これらの中長期的な事業環境を踏まえた上で経営戦略を構築し、下記の諸課題に取り組むことにより、業績の回復と将来の成長を目指してまいります。
①連結子会社 株式会社FTCとともに、縫い糸メーカーとして引き続き付加価値の増大を目指して技術開発、製品開発に努め、家庭用から工業用、衣料用から非衣料用まで、独自性があり、高品質且つ幅広い品揃えを有するメーカーグループとなること。
②経済成長とともに高品質な衣料品や自動車などの需要や生産が拡大しつつある中国および東南アジア市場を見据えて、アジア事業のリスクも踏まえつつ、今後も海外子会社とともに生産体制や販売拠点の見直しに努め、グループとしての品質の均一化や供給体制の効率化と確実性、利便性を高めつつ、アジア事業の拡大を一層推し進めること。
③近年、縮小傾向を余儀なくされてきた国内縫製市場においては、国内連結子会社3社との連携を強化して、より一層シナジー効果を高めるとともに、衣料用・非衣料用ともに独自性や機能性の高い製品の開発と高質なサービスの提供などにより、さらなるシェア拡大を図ること。
④漸減傾向の続いてきた手作りホビーの国内市場に対して提案や情報発信を継続し、潜在需要の掘り起こしに努めるとともに、独自の製品や蓄積したノウハウを活かして、欧米諸国はもちろん、今後成長が期待される中国および東南アジア諸国も含めて、海外手作りホビー市場の開拓に努めること。
⑤男女を問わず人材の育成と活性化の図れる環境を整備し、長寿企業として事業のさらなる継続を目指して技術やノウハウの継承を行うこと。
⑥社会的信頼の維持はもとより、環境負荷の軽減をはじめ、企業としての社会的責任を果たすこと。
企業が抱える一般的な事業リスク(消費や景気動向、国際情勢、気象状況や天災・事故、法的規制や社会的信頼等)につきましては、当社グループに限らず全ての企業が同様に抱えておりますが、特に当社グループの事業の現状や特徴を踏まえ、業績に重要な影響を及ぼすと思われる事項は以下のとおりです。
当社グループは平成5年以降、中国における日本向け衣料品の生産拡大に対応するため、同国に順次生産及び販売子会社を設立し、生産コストの低減と同国市場における販売拡大を目指してまいりました。
さらに、近年では、衣料品縫製の東南アジア諸国への分散化が進んでおり、当社グループもこれに対応すべく、当連結会計年度末現在、タイ国及びベトナムにおいて連結子会社を有するほか、製品の委託を含めた生産も開始するなど、生産及び販売両面におけるアジア事業展開を拡大しつつあります。
しかしながら、これらのアジア事業においては、為替変動はもちろん、国家統治の変化や法律・税制などの突然の改定、また急速な賃金上昇や雇用環境の変化など、日本にはない政治的、経済的なカントリーリスクが避けられず、当社グループにおきましてもアジア事業の拡大に伴ってそのリスクは増大しております。
縫い糸は、衣料品の生産には不可欠な副資材であり、縫製現場への迅速な供給が宿命であることから、当社グループとしましては、今後もこれらのカントリーリスクを踏まえつつ、縫製業のアジア諸国への分散化に対応し、市場のグローバル化と顧客のニーズに対応してまいります。
なお、本項におきましては、将来に関する事項が含まれておりますが、別段の表示がない限り、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
該当事項はありません。
当社グループにおいては、報告セグメント(日本)に属する当社の研究開発室が中心となって集中的に研究開発活動を行っております。
昨今、ものづくりにおいて、環境に配慮し継続的発展が可能な製造技術開発も求められるようになる中、競争力強化のための製造技術開発や新製品の芽となるような先行研究の一環として大学や企業との連携による開発にも取り組むなど、独自性の高い製品や独自技術の開発により一層注力しております。
なお、当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は73,085千円であり、報告セグメント(日本)の支出であります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える要因について
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える要因として、以下の4点があると認識しております。
① 国内個人消費が伸び悩む中にあってのファッションアパレル業界の動向
② ライフスタイルや価値観の変化に伴う個人消費の動向と手作りホビー業界の動向
③ 中国や東南アジア諸国の政治・経済の先行きと縫製業の動向
④ 合弁先企業の動向
(2) 当連結会計年度の財政状態に関する分析
資産の部については、流動資産は、前連結会計年度末に比べて280百万円減少し、7,133百万円となりました。これは、主として受取手形及び売掛金が115百万円、たな卸資産(商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品)が179百万円それぞれ減少したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて359百万円減少し、3,790百万円となりました。これは、主として有形固定資産が35百万円増加したものの、無形固定資産が24百万円、投資その他の資産が370百万円それぞれ減少したことなどによります。
これらの結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて640百万円減少し、10,923百万円となりました。
負債の部については、流動負債は、前連結会計年度末に比べて106百万円減少し、989百万円となりました。これは、主として買掛金が59百万円増加したものの、未払法人税等が165百万円減少したことなどによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて39百万円減少し、848百万円となりました。これは、主として、長期借入金が23百万円、退職給付に係る負債が45百万円それぞれ増加したものの、繰延税金負債が101百万円減少したことなどによります。
これらの結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて146百万円減少し、1,837百万円となりました。
純資産の部については、前連結会計年度末に比べて494百万円減少し、9,085百万円となりました。これは、主として利益剰余金が103百万円、その他有価証券評価差額金が160百万円、為替換算調整勘定が117百万円、非支配株主持分が72百万円それぞれ減少したことなどによります。
(3) 当連結会計年度の資金の流動性に関する分析
営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費をはじめとする非資金項目が276百万円(前期比10百万円増)、たな卸資産の減少115百万円(前期は9百万円の増加)、仕入債務の増加76百万円(前期は204百万円の減少)となったことなどにより、262百万円の流入(前期は147百万円の流入)となりました。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための原材料購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の支出であります。
資金調達に関しましては、借入に依存しない財務体質を作り上げるなど、常に健全な財務体質を目指しており、今後の成長に必要な資金は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金で対応可能であります。
(4) 当連結会計年度の経営成績の分析
ファッションアパレル業界におきましては、一部に高所得者や訪日外国人による消費の下支えが見られたものの、全般には、消費者の節約志向の強まりに加え、初冬の暖冬傾向により、冬物衣料品の売れ行きは総じて低調で、縫製を請け負う国や地域によってばらつきが見られるものの、日本向け衣料品の生産は全般には抑制傾向が続いており、縫い糸需要も回復が見られません。
このような状況のなか、当社グループでは収益回復のための中長期の課題に取り組み、国内を中心に徐々にその成果も現れつつあります。これらの結果、中国事業は一段と厳しさが増しましたが、国内事業の増収や為替レート変動の影響もあって、当連結会計年度の売上高は6,864百万円(前期比2.0%増)となりました。
一方利益面は、中国事業における減益やタイ事業の収益回復遅れがあったものの、国内事業においては、売上高の増加や人件費を始めとする販管費減少などの増益要因もあって、営業損失は59百万円(前期は149百万円の損失)、経常損失は14百万円(前期は88百万円の損失)となりました。
なお、前期には中国子会社の移転に伴う受取補償金を特別利益に計上しましたが、当期にはその計上がないこともあり、親会社株主に帰属する当期純損失は2百万円(前期は67百万円の利益)となりました。
(5) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、それぞれの担当分野において現在および将来の情勢や事業環境を把握した上で、社外取締役の客観的な見解も取り入れながら、最善の経営戦略の立案及び実行に努め、中長期的には前述の「対処すべき課題」に取り組んでおりますが、経営の基本方針に沿って、長期安定的な経営基盤を再構築するため、当面は収益力の回復が最大の課題であると認識しております。