第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

(1) 経営方針

当社グループは、“業界一流のメーカーとして、本業を極め、本業に徹し、一流の商品をお客様にご提供することを通じて、社会の発展に貢献する”を経営理念とし、顧客ニーズに沿った商品開発に注力するとともに、自然環境の保護と社会の発展に貢献すべく企業活動を展開しています。

 

(2) 経営戦略等

当社グループでは、これからの厳しい競争時代を勝ち抜くため、着実に業績の伸展を目指し、次のような施策を実践していきます。

① 森林資源を保全する法正林施業(植林、育林、間伐、伐採)を採用したニュージーランドの育林事業により安定した品質と量の原材料確保を図ります。

② 貴重な資源を更に活かす為、高度な木材加工技術の更なる向上を図ります。

③ 木が持つ潜在能力を梃子(てこ)に、新成長市場であるアジア市場や国内のリフォーム、非住宅、商環境市場などで、“勝てる市場×勝てる仕掛け”を創造します。

④ 変化する市場の本質を見極め、魅力ある商品・サービスを提案し、新たなファンを創造します。

⑤ 新たな戦略を全社で迅速に推進する為、国内外の製造ネットワークを更に整備し、効率的な運営とコスト低減を図るとともに、社内の仕組みを再構築します。

⑥ 認証材を活用した国内外のニーズに応えていきます。

当社グループの森林経営に対する基本方針は、正しい林業を行うことで、二酸化炭素を吸収する森林面積を減らすことなく、一定の周期で毎年一定の木材を永続的に収穫することです。正しい林業は、まさに資源の循環にほかならず、環境経営そのものと認識しています。また、木材は、切削、曲げ、接着など加工時においてもその加工性の良さから、もともと消費エネルギーの少ない素材です。当社グループはその木材を更に無駄なく効率よく使う方法を常に考え続け、生産過程で生じる木くずもバイオマス発電に使用しています。経済効率を上げることは、同時に環境にも貢献することになります。当社グループは、収益を上げ、雇用を生み出し、税金を納め、社会の発展に貢献することが、第一の社会的責任であると考えています。企業が社会性のある集合体であり、社会の中で生かされている以上、社会に対してどれだけ貢献できるかが問われることは当然のことと認識しています。上記の通り、当社グループの経営戦略の実践は、サステナビリティについての取組でもあります。

当社グループの強みであるニュージーランドで産出される木材を、一貫生産・国際分業体制をもって、さらに競争力のある製品として作り上げるべく、研究開発や知的財産投資を進めるとともに、適正価格で顧客に提供するために、グローバルな視点で商品開発・生産・販売・管理の各部門を運営することのできる人材を育成するための人的資源投資を積極的に行ってまいります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、企業価値の向上と財務体質の強化を図るための経営指標として自己資本利益率(ROE)の向上を目指し、労働生産性の向上などによる収益性の改善や自己資本比率の維持・向上に取り組んでいます。また、事業の拡大と安定的な収益を獲得するために、グループ全体で連結売上高1,000億円を目指しています。

 

(4) 経営環境

当社グループの経営環境は、構造的な人口減少問題等により市場が縮小していく「量の面での変化」とともに、住宅の高性能化や住宅環境まで視野に入れた「質の面での変化」が同時に起こっており、当社グループがこれからの時代を生き抜き成長するためには、住まい手にとって魅力のある商品や提案を強化するとともに、リフォームや非住宅施設などの新しい市場を開拓していかなければなりません。また、住宅業界における職人不足による住宅品質の低下や工期遅れ、コスト高なども大きな課題となっています。このような環境下で、市場の変化をいち早く察知し、現状を肯定することなく自己変革に努め、常に当社グループ自らが環境の変化に合わせて変わっていくことが必要となっています。AIやIoTといったデジタル技術などを活用し、生産性を向上させることで、新たな付加価値の創造と売上・収益の向上を目指しています。

具体的には、国内においては新築戸建市場に加えてリフォーム、非住宅、商環境市場などの新市場の開拓、また海外においては発展が期待されるアジア圏の市場の開拓を主題とする成長戦略を策定し、当社グループ一丸となってこれらに取り組んでいます。

1990年にニュージーランド北島で森林経営権を取得し、当社グループが培ってきたノウハウによる植林事業を開始してから30年の時が経過しました。毎年、植林面積の拡大を図り、現在では約40,000haの森林について、森を30区画に分けて木の植林―育林―伐採を繰り返す持続可能な森林経営を行っています。手間ひまかけて育ててきたラジアータパインの優良原木がこれから大量に伐期を迎えますが、このことは当社グループが、同業者の追随を許さない品質の高い「無垢材」という強力な武器を大量に獲得することを意味します。大量に出材されるラジアータパインやその他国内外で調達する無垢材をふんだんに使い、価格競争に巻き込まれない高品質で付加価値の高い商品をもって新市場へ進出します。当社グループが永年に亘り築きあげた山林から木材加工までの一貫生産体制を最大限に発揮して商品を開発・生産・販売する仕組みを構築し、独創的に新市場を開拓していきます。

 

(5) ESG(サステナビリティ)への取組みについて

① 環境(E)

環境については、当社グループでは「気候変動の深刻化と森林資源の枯渇」を課題と捉え、木の価値を最大限に生かした地球を守る経営を目指し、持続可能性や環境に配慮した木材・資材調達のため、自ら森を育て、加工・販売までを一貫して行う森林経営の徹底と違法伐採木材の不使用により、森林資源の持続的な活用と保全を行っています。

主な取組みとして、ニュージーランドで木を植え、育て、伐採し、また木を植える、木の年間生長分だけ毎年伐採を行う法正林施業によって持続可能な森林経営を行うとともに、ニュージーランド以外から調達する木材については、違法伐採木材を使用せず、合法的な木材利用を進め、森林資源の保全にも努めています。また、カーボンニュートラル(ゼロ)を目指し、バイオマス発電の実施や再生可能エネルギーによる電力の利用推進、クリーンな材料調達の証明としてニュージーランド子会社の全森林・全工場、香港子会社、フィリピン子会社工場および国内の木質建材工場における森林認証の取得を行っています。

② 社会(S)

社会については、当社グループでは「高齢化社会=労働生産人口の減少」を課題と捉え、木を知りつくし、木とともに歩んできた木質総合建材メーカーとして、木のぬくもりに包まれた高品質で安心・安全で、快適な空間の実現を目指しています。

主な取組みとして、長寿命化住宅実現のための技術・部材開発(耐久性の高い部材やリフォームしやすい内装部材開発、耐震性の高い構造躯体の実現)や設計から品質管理まですべてのラインにおけるISO9001/14001認証取得と継続的改善を実施しています。また、建築現場における労働生産性向上のため、省施工商品の開発や施工説明書のデジタル化などデジタルコンテンツの充実を行っています。

③ ガバナンス(G)

ガバナンスについては、当社グループでは「企業活動の健全性と公益性の維持・向上」を課題と捉え、挑み、成長できる組織作りや公正かつ健全な事業活動の継続を目指し、人材育成のための人的資源投資を積極的に行うとともに、健康経営や働き方改革の推進を通じて、従業員一人ひとりの挑戦を応援し、のびのびと成長できる職場づくりを目指しています。

主な取組みとして、経営理念手帳による企業理念の浸透や、自ら挑む人材の育成に向けた階層別・職務別研修、資格取得奨励一時金の給付、ハラスメント行為の禁止徹底に向けた継続的啓発と内部通報制度の整備、全従業員へのストレスチェックとカウンセラーによるメンタルヘルスケアによる心身の健康サポートを実施しています。また、公正かつ健全な事業活動の実践として内部管理体制の構築とコンプライアンス規程の整備、継続的啓発の実施等の徹底のもと、高い企業倫理の育成と健全な企業風土の醸成を図り、トップを含めたすべての従業員が、公正かつ健全な事業活動を実践しています。

 

(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

新設住宅着工戸数が今後も減少を続ける見通しの中、当社グループがこれからの時代を生き抜き成長するためには、既存市場でこれまで以上の存在感を示し続けるとともに、新しい市場に経営資源を段階的にシフトさせて行くことが課題と考えています。

当社グループは、新しい市場であるリフォーム、非住宅、商環境施設や海外市場に向けて新たな商品を開発し、新たな生産・販売体制、仕掛けで既存の新築市場の動向に左右されない企業を目指します。

国内事業では、製品ユニット単位の商品戦略を軸に商品開発を行うとともに販売・プロモーション、生産などの各機能の強化を図ります。

商品開発に関しては、お客様から選ばれ喜ばれる木質商品として、木材の特性を活かした本物志向の無垢商品や収納商品、職人不足に対応した省施工商品などを開発します。また、ラジアータパインのプルーン材(枝打材)を活用し、メイン商材(ドア・フロア)に続く商品の開発や端材を有効活用した商品の開発を行います。

販売・プロモーション機能に関しては、新たな手法・体制・仕組みで、既存市場に加えて、新市場・成長市場の開拓を目指します。そのためには、人材活用の多様化やITツールの活用等による営業組織力の拡充により、新たな市場への販売体制強化、オンライン型営業による商品訴求力向上・顧客接点強化と、訪問型営業の高効率化を行います。

生産機能に関しては、品質や生産性の向上を目指し、コスト競争力を強化します。また、マスカスタマイゼーションへの対応(一品一様のカスタム品を高度な生産技術で実現)やモノづくりの継承を推進するとともに、情報の一気通貫や自動化(AI・IoT・ロボット)等により部分最適から全体最適を目指します。

また、間接機能に関しては、システム部門では販売・生産などに関わるユーザーが活用しやすいデジタルツールの開発により、属人化した定型業務から、創造的業務へのシフトを推進します。物流部門では運転手不足や待機ロス等の課題により生じる配送リスクへの対応を進めています。管理部門では人事マネジメントシステムの一段の高度化に取り組みます。

海外事業では、ニュージーランド子会社は当社グループ工場向けの生産数量を確保した上で外販の促進を行い、インドネシア子会社はさらなるインドネシア国内市場の開拓と欧米の海外販路開拓を進めています。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、後述のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 業績の変動要因について

① 新設住宅着工戸数の減少や職人不足による工期遅れの影響について

当社グループは、住宅建材及び住宅設備機器の製造販売を主たる事業としており、国内販売に関しては新設住宅着工戸数の減少や職人不足による工期遅れがもたらす販売減が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

主な対応策として、新築戸建市場に加えてリフォーム市場や非住宅市場の開拓や海外での販路拡大など新しい顧客開拓に注力するとともに、職人不足に対応した省施工を可能にする商品開発等でその影響の軽減を図っています。

 

② 原材料の調達リスク及び価格変動リスクによる影響について

当社グループは、床材を主体とした木材の二次加工品の製造及び造作材等木質建材商品の加工販売を主要な事業としており、原材料である木材について、調達が困難となった場合や価格が高騰した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

主な対応策として、ニュージーランド子会社Juken New Zealand Ltd.において30年サイクルの循環型の持続可能な山林経営を行い、当社グループの原材料の主要な供給元とすることで木材の調達リスクや価格変動リスクを軽減しています。また、国内産の木材など、ニュージーランド子会社以外からの木材調達についても、調達先の多様化などで安定的な調達に努めています。

 

③ 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響について

新型コロナウイルス感染症の感染拡大について、経済面では、対面での顧客サービスを行う産業などに依然として影響が残るものの、政府の経済支援策等もあり、全般的には一時の大幅な景気低迷は脱した状況にあります。一方、感染力の強い変異株のまん延などで、一部地域では以前にも増して感染者数が急増しており、今後の動向に留意が必要な状況となっています。こうした感染者の急増が当社グループの国内・海外の営業拠点・製造拠点で発生した場合、営業・生産活動が低迷・中断することで当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

主な対応策として、当社グループ各社において、各国政府・保健当局等の要請・指導に沿った感染防止対策・クラスター防止対策を徹底するほか、生産、供給面においては海外子会社を含めたサプライチェーンの一層の強化を、販売面においてはニューノーマル(コロナ禍後の新常態)を見据えた新たな営業プロセスとして従来の「訪問型営業」に「オンライン型営業」を加え、顧客接点の増強や営業生産性の向上を図っています。また、ITツールの整備、活用、定着化を進め、生産性を向上し経費削減に努めながら、テレワークなどにも柔軟に対応しています。なお、万一、上記のような事態が発生した場合、社内で定めた緊急時の対応を実施し、影響を最小限にとどめるよう対応します。

 

④ 為替変動による影響について

当社グループは、ニュージーランド子会社Juken New Zealand Ltd.からの木材の仕入れに関しては決済条件を円建てとしており、当社は為替の変動による影響は受けないものの、Juken New Zealand Ltd.ではニュージーランドドルの為替相場の変動によって、為替差損益が発生する可能性があります。また、海外子会社の借入金につきましても、現地通貨以外の通貨建てによる借入金において為替差損益が発生する可能性があります。

主な対応策として、為替変動が当社グループに与える影響度合いを勘案する中で、必要に応じて為替予約等によるリスクヘッジを行っています。

 

⑤ 木質バイオマス燃料の安定確保の影響について

木質バイオマス発電の運営におきましては、安定的に燃料を確保することが重要となりますが、当社では、森林から直接産出する「間伐材等由来の木質バイオマス」、当社グループ内も含め製材所や木材加工所から生じる端材・木屑などの「一般木質バイオマス」、建築解体現場から排出される「建設資材廃棄物」に加えて、フィリピン子会社で加工した木質燃料を輸入するなど、安定的に燃料調達を行っています。しかしながら、近隣での新たな大規模バイオマス発電所の稼働や自然災害などの不測の事態等により、社内外からの木質バイオマス燃料の供給が中断または減少した場合や品薄等により燃料価格が高騰した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、発電所が重故障等による長期停止に及んだ場合は電力売上が減少する可能性があります。

 

主な対応策として、フィリピン子会社で加工した木質燃料の輸入を増やすことで自社調達比率を上げ、外部調達の影響を縮小しています。加えて「間伐材等由来の木質バイオマス」の供給業者を増やし自然災害リスクの分散を図っています。

発電所の重故障等による長期停止対応策として粗悪な燃料を排除するためのふるい機や選別機の活用やメーカーによる定期点検と所員による日常点検等の徹底、予兆診断等の所員のレベルアップを徹底しています。

 

⑥ 地震・津波・台風等の大規模な自然災害による影響について

地震・津波・台風等の大規模な自然災害が発生した場合、当社グループの生産・物流・販売活動に影響を与え、財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。

大規模な自然災害による被害を完全に回避できるものではありませんが、主な対応策として、当社グループで策定した規程・ルールに基づき、非常時を想定した全社的なリスク管理体制を構築、運営しています。

具体的には安否確認システムの導入や防災訓練の定期的な実施、地震保険への加入などを実施しています。

 

⑦ 海外展開にともなうリスクについて

当社グループは、ニュージーランド、フィリピン、インドネシアなど海外での投資や事業展開を進めています。これら海外への事業進出には、予期しない法律又は規制の変更、政治又は治安混乱、雇用環境の変化、テロ・戦争等といったリスクを内在しており、これらは今後の事業に影響を及ぼす可能性があります。

主な対応策として、海外の政治・経済情勢の情報収集に努め、必要に応じて外部専門家の助言等も得る中で的確かつ迅速に対応しています。

 

⑧ 固定資産の減損会計による影響について

当社グループは、有形固定資産や美術品等の固定資産を保有していますが、これらの資産については減損会計を適用しています。有形固定資産は当該資産から得られる将来キャッシュ・フローによって資産の帳簿価額を回収できるかどうかを検証しており、美術品は美術専門家等の第三者より入手した価格に基づき算定した価格を回収可能価額として、減損が必要な資産については適切に会計処理を行っています。しかし、将来の環境変化により固定資産の将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合や美術品の回収可能価額が大きく下落した場合、追加の減損処理により、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

主な対応策として、これらの資産価値を定期的に確認し、可能な限り価値低下を招かない方策を継続的に検討・実施しています。

 

⑨ 情報システムに関するリスクについて

当社グループは、生産、販売、管理等の情報をコンピュータにより管理しています。情報システム及び情報ネットワークは欠くことのできない基盤であり、これらの情報システムの運用については、大規模災害による被災、コンピュータウイルス感染によるシステム障害、ハッキングによる被害等によるシステムダウン及び外部への社内情報の漏洩が生じた場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社の想定を超えた技術による情報システムへの不正アクセスやコンピュータウイルスへの感染などにより、当社グループの情報システムに障害が発生したり、外部へ社内情報が流出する事態が発生したりした場合、当社グループの財政状態及び業績に、より大きな影響を及ぼす可能性があります。

主な対応策として、適切なウィルス対策ソフトの導入、ソフトウェア更新による脆弱性解消、不正アクセス常時監視等のセキュリティ対策を講じるとともに、インシデント発生時の対応体制の強化に取り組んでいます。

 

⑩ 温室効果ガス削減(脱炭素)への世界的な取り組みの進展について

2021年に開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)における論議や、同時期に発表されたIFRS財団による国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)設立の動きは、企業の気候変動への取組みを劇的に変える可能性があります。これまで2015年に国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)においてパリ協定が採択され、各国で批准されたのを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガス(GHG)の削減を目的とした取り組みが世界的に進められています。今後、地球温暖化対策として規制の強化等により、これらに関連する対策費用が増加する場合や、特定地域における法令又は規制を遵守することが困難になった場合、当該地域における当社グループの事業運営が影響を受ける可能性があります。

主な対応策として、ニュージーランド子会社Juken New Zealand Ltd.(JNL)において30年サイクルの循環型の持続可能な山林経営を行い、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガス(GHG)の削減に努めています。

 

当社グループが目指すべき環境に対する主な取り組みは、木を活かしたものづくりを通じて、森林を保全し、自然環境を守ることです。森林は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスのひとつである二酸化炭素の削減に向けた有効な手段として注目されています。JNLが経営する約40,000haの森林におけるラジアータパインによる二酸化炭素の吸収量は年間70万トンになります。温室効果ガスである二酸化炭素は森林で樹木に吸収された後も炭素として木材中に固定されています。木材製品を生産することは植林で吸収した二酸化炭素を炭素として固定する貯蔵庫を生産しているといえます。JNLが2021年度に創出した木材の量は17.3万トンでこれによる炭素固定量を二酸化炭素に換算すると14.5万トンでした。今後、当社グループは、温室効果ガスの削減(脱炭素)に継続的に取り組み、様々な媒体を使って適時に情報開示に努めていきます。

 

(2) ニュージーランドにおける事業内容及び業績・総資産の推移について

当社グループは、ニュージーランドにおいてJuken New Zealand Ltd.を通じてラジアータパイン等の植林を含む山林経営を行っています。

山林経営は木材市況変化への対応力を高めると同時に原材料調達の安定化や部材調達コストの低減に役立っています。山林経営につきましては、立木の伐採可能量の増加に対応して設備投資が必要となっています。そのため、連結キャッシュ・フローにおきましては、投資活動により使用する資金の多くはニュージーランドにおける投資に充当しています。

 

ニュージーランドに関する内部取引を含む売上高、経常利益、総資産の推移は次のとおりです。

(ニュージーランドの売上高、経常利益、総資産の推移)

 

 

2018年3月期

(百万円)

2019年3月期

(百万円)

2020年3月期

(百万円)

2021年3月期

(百万円)

2022年3月期

(百万円)

ニュージーランド

売上高

(注)

17,092

(7,097)

15,481

(7,004)

15,344

(7,200)

15,882

(6,711)

18,270

(6,209)

経常利益又は

経常損失(△)

31

△1,075

△38

491

△287

総資産

32,540

29,786

27,695

33,465

37,936

 (注) 売上高下段の括弧内数値は、所在地間の内部売上高又は振替高です。

 

(3) 有利子負債依存度について

当社グループにおける有利子負債依存度は、2022年3月期末35.4%となっています。当社グループにおきましては、今後も経営資源の効率化等により、有利子負債を適正水準に保つ方針ですが、今後の金利動向等金融情勢の変化によっては当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(有利子負債残高、有利子負債依存度の推移)

 

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

総資産(百万円)

86,372

83,884

80,688

91,142

95,062

純資産額(百万円)

40,850

38,976

36,497

41,129

44,188

有利子負債残高(百万円)

33,398

32,361

30,921

35,622

33,639

自己資本比率(%)

46.0

45.2

44.2

44.0

45.2

有利子負債依存度(%)

38.7

38.6

38.3

39.1

35.4

(注) 期末有利子負債残高は、社債及び借入金の合計額です。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大を受け、都市部を中心に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が断続的に講じられましたが、ワクチン接種が進み、経済活動は徐々に回復してきました。一方、海外での急速な景気回復による全般的な品不足や価格高騰、これを受けた米国などでの金利上昇や為替相場の変動などの経済環境の変化が生じ、さらにロシアによるウクライナ侵攻をめぐる国際情勢不安もあり、わが国経済の先行きも不透明性が高い状況となっています。

住宅業界においては、当社グループの主力販売分野である持家・分譲戸建住宅の着工戸数については2021年4月以降、回復傾向で推移しており、特に8月以降は、単月ではコロナ禍前である前々年度を上回る水準まで回復しています。一方、いわゆる「ウッドショック」による木材、木製品の供給不足や価格の高騰などから建築資材の欠品・納期遅延が発生する事業者もあり、国内での建築着工や工期の遅れが顕著になる等、先行きが不透明な状況となっています。

当社グループはこのような事業環境のもと、無垢商品や省施工商品といった付加価値が高い商品を核とした内装建材等の拡販に注力するとともに、国内のリフォーム・非住宅市場や海外市場といった新たな市場のさらなる開拓を進めています。また、デジタル技術などを活用した労働生産性の向上や経費削減への継続的な取り組みに加え、生産企画・設計工程および製造ラインにおけるデータ利活用の高度化や、営業部門の業務プロセス改革による効率化と顧客サービスレベルの更なる向上を目指したDX推進プロジェクトに取り組んでいます。

「脱炭素社会の実現」という世界的な課題に対しては、当社のコア事業から生まれる価値を可視化するため、2022年度発刊のカタログより、ニュージーランドの自社森林で育てた木材から加工製造した無垢商品(ピノアース)のCO₂固定化量の掲載を開始しました。今後、お客様に木質建材を選択いただく際の新たな指標として活用してまいります。また、事業活動における環境負荷軽減のため、2022年4月1日より、自社のバイオマス発電所で発電された再生可能エネルギー由来で実質的にCO₂排出量ゼロの電気を自社工場で使用いたします。

国内販売については、「商品にサービスを加えて提供する建材サービス業」を目指し、省施工商品のようにお客様にとって付加価値のある商品の拡販に取り組んでいます。また、ニューノーマル(コロナ禍後の新常態)下での営業プロセスとして「オンライン型営業」による顧客接点強化を継続し、「訪問型営業」と併せた営業活動の高効率化も推進しています。なお、昨今の原材料価格や運賃の高騰に対応して、これまで生産性向上によるコストダウンやサプライチェーンの強化を進めてまいりましたが、秋口以降の急激な原材料不足の拡大と海上輸送の混乱、資材調達コストの一段の上昇などから、やむなく一部木製品の受注制限や床材・造作材等の販売価格の値上げを行いました。

商品開発については、2021年4月に立ち上げた商品企画開発部を中心に、木材の特性を活かした本物の無垢商品や、サイズ・カラーが豊富で組み合わせ自由な収納商品、職人不足など建築現場での課題に対応した省施工商品といった新商品の開発にスピード感をもって取り組んでいます。

リフォーム市場については、2020年4月に専担部署として立ち上げた開発営業部が、ショールームを起点にオンライン相談やバーチャルショールームなども活用して新たな顧客の開拓を進めています。また、非住宅市場については、構造システム営業部、商環境開発部といった各専担部署がオンラインセミナーなども活用し、中大規模木造建築の新規物件獲得や施設・店舗向け内装材案件の獲得に取り組んでいます。

海外事業については、ニュージーランド子会社では、当社グループ向けの生産数量を確保した上で、原木や木製品を米国やニュージーランド国内市場、アジア市場などへ販売しています。また、2020年12月に新工場に移転したインドネシア子会社では、インドネシア国内や欧米市場向けの販路開拓を続け、拡販に努めています。

こうした状況の中、当連結会計年度の連結売上高は、66,582百万円(前年同期比12.7%増)、営業利益は2,351百万円(同0.3%増)、経常利益は2,147百万円(同3.8%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,308百万円(同11.7%増)となりました。なお、中華人民共和国の連結子会社については生産・販売体制の見直しを進める中、当連結会計年度に子会社清算損156百万円を計上しています。

当連結会計年度における連結財政状態は、為替の影響もあり、資産は前連結会計年度に比べ3,919百万円増加し95,062百万円、負債は前連結会計年度に比べ860百万円増加し50,873百万円、純資産は前連結会計年度に比べ3,059百万円増加し44,188百万円となりました。資産3,919百万円の増加は、流動資産が1,182百万円減少、固定資産が5,102百万円増加したものです。固定資産5,102百万円の増加は、主にニュージーランド子会社において設備投資および山林投資を行ったことによるものです。負債860百万円の増加は、主に有利子負債の一部返済などにより借入金及び社債が減少したものの、「収益認識に関する会計基準」を当連結会計年度の期首から適用したことにより契約負債が増加したことや、ニュージーランド子会社での山林投資によりリース債務が増加したものです。純資産3,059百万円の増加は、主に利益剰余金の増加及び為替換算調整勘定の増加によるものです。

セグメント別の経営成績は次のとおりです。

a.住宅建材設備事業

住宅建材設備事業では、全国の営業拠点と特需営業部(大手ハウスメーカーやフランチャイズ(FC)/ボランタリーチェーン(VC)本部等担当)や構造システム営業部(構造材担当)などの専担部署との連携を強化し、ターゲット顧客や見積案件の見える化(情報共有)などに取り組みました。また、「第1回新築戸建オンラインセミナー」の開催(5月)や住まい手の生活スタイルに合わせた空間を提案するスタイルブック「木づかい、戸そだて、家づくり。」のリニューアル(5月)など、新たな営業手法をタイムリーに織り込みながら、顧客接点の増強に努めました。さらに、国土交通省が主導する「グリーン住宅ポイント制度」を活用して、高い省エネ性能を持つ新築住宅「ワンズキューボ」や、断熱・バリアフリー商品によるリフォーム等の提案を行いました。

当連結会計年度においては、無垢商品では「無垢の木の洗面」、収納商品では「仕上げてる棚板」、「無垢の木の収納」が、また、建設現場で課題となっている職人不足に対応する省施工商品では「ジャストカット階段」などの階段商品群や「天井野縁システム」が引き続き好調に推移しています。

新商品については、シート内装・建具では従来の「ソフトアートシリーズ」を「DOORETUS(ドレタス)シリーズ」に一新しました(6月)。無垢商品では「ピノアースオーダーペイントドア」に自然塗料5色、エナメル調ウレタン仕上げ7色をラインナップ(6月)。収納商品では「仕上げてる棚板」に合わせて自由にコーディネートできる箱物収納「仕上げてる収納」を追加(10月)。また、収納商品のさらなる拡販に向け、スマートフォンからいつでも棚板が注文できる「いつもの棚板」や、収納場所に合わせたプランが当社ウェブサイト上ですぐに選べる「収納プランセレクトツール」を追加(10月)。キッチン商品では「木を感じる暮らしを。」を製品コンセプトに、新素材のワークトップを採用した特別仕様の「スイージー2021 Special Edition」を2022年2月末までの期間限定で追加しました(9月)。

リフォームの分野では、開発営業部が、無垢の木のキッチン・洗面・収納を中心に、新宿・名古屋・大阪・福岡のウッドワンプラザを最大限に活用し、マンションリノベーション・戸建てリフォームの顧客開拓を推進しました。非住宅においては、構造システム営業部が「中大規模木造建築オンラインセミナー」を開催(6月)、JWOOD新工法による中大規模木造建築の工法・事例・設計面でのサポートを案内し、非住宅における新規物件の獲得強化を図りました。また、商環境開発部では施設・店舗向け床材・壁材、特に「KITOIRO」の拡販に努め、設計事務所への提案を強化して非住宅物件向け内装材案件の獲得に努めました。こうした活動の結果、リフォーム・非住宅向けの売上高は前年・前々年を上回る水準まで回復しました。

海外事業については、ニュージーランド子会社では、原木や木製品の世界的な需要の高まりを背景に、米国やニュージーランド国内市場、アジア市場向けの販売が好調に推移しました。2021年8月に現地の新型コロナウイルス感染症対策が強化され、2週間程度、工場での生産停止を余儀なくされましたが、9月3日には生産活動を再開しています。また、インドネシア子会社では、新工場の稼働により突板ドアの生産体制が強化されたことで生産数量が増加しました。インドネシア国内向けの販売量は、原材料価格の高騰やコロナ禍による工事進捗の遅れにより低下したものの、欧米市場への販売は引き続き好調に推移しました。

こうした活動の結果、当連結会計年度における住宅建材設備事業の売上高は65,478百万円(前年同期比13.2%増)、営業利益は2,154百万円(同3.7%増)となりました。

 

b.発電事業

発電事業では、本社敷地内に設置している木質バイオマス発電設備が安定的に稼働し、電気事業者に計画通り売電を行いました。前連結会計年度末において5年間の激変緩和措置が終了し、固定価格買取制度(FIT)に上乗せされていたプレミアム価格が廃止されたことにより、売上、営業利益とも減少しました。

木質バイオマス発電において排出されるCO₂は、木が成長する過程で大気から吸収したものであり、大気中のCO₂の実質的な増加には繋がらない(「カーボンニュートラル」)とされるものです。森林から直接産出する「間伐材等由来の木質バイオマス」、当社グループ内も含め製材所や木材加工所から生じる端材などの「一般木質バイオマス」、建築解体現場から排出される「建設資材廃棄物」、加えてフィリピン子会社の端材等も燃料用に加工して輸入するなど安定的に燃料の調達を行っています。また、粗悪な燃料を排除するためのふるい機や選別機を活用し、ここ数年間に渡り故障停止することなく安定稼働と出力を維持しています。

この結果、当連結会計年度における発電事業は、売上高が1,147百万円(前年同期比9.5%減)、営業利益が196百万円(同25.9%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動により4,599百万円増加、投資活動により3,925百万円減少、財務活動により3,804百万円減少しました。

営業活動により増加した資金4,599百万円(前年同期は4,088百万円の資金増加)は、主に棚卸資産が685百万円増加したことや法人税等で621百万円の支払いがあったことにより資金が減少したものの、税金等調整前当期純利益1,991百万円に非資金項目である減価償却費3,286百万円を加え、仕入債務が527百万円増加したことにより資金が増加したものです。

投資活動により減少した資金3,925百万円(前年同期は5,270百万円の資金減少)は、主に国内およびニュージーランド子会社等において設備投資および山林投資に3,659百万円支出したことによるものです。

財務活動により減少した資金3,804百万円(前年同期は2,835百万円資金増加)は、主に有利子負債の調達及び返済に3,170百万円、配当金として223百万円を支出したことによるものです。

この結果、現金及び現金同等物は2,858百万円の減少となり、当連結会計年度末残高は5,479百万円(前連結会計年度比34.3%減)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績を品目ごとに示すと、次のとおりです。

品目

金額(百万円)

前年同期比(%)

床材

4,384

102.8

造作材

17,436

111.9

その他建材

17,472

128.7

住宅設備機器

1,866

107.4

住宅建材設備事業 計

41,160

117.1

発電事業

856

94.9

合計

42,016

116.5

(注)金額は製造原価により表示しており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。

 

b.受注状況

 当社グループの生産は見込み生産を主体とし一部受注生産を行っていますが、その比率は僅少であるため、記載を省略しています。

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績を品目ごとに示すと、次のとおりです。

品目

金額(百万円)

前年同期比(%)

床材

7,660

103.2

造作材

32,498

110.5

その他建材

20,831

124.5

住宅設備機器

4,444

104.9

住宅建材設備事業 計

65,435

113.2

発電事業

1,146

90.5

合計

66,582

112.7

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

住友林業㈱

7,927

13.4

8,642

13.0

SMB建材㈱

7,757

13.1

8,310

12.5

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、企業価値の向上と財務体質の強化を図るための経営指標として自己資本利益率(ROE)の向上を目指し、収益性の改善や自己資本比率の維持・向上に取り組むとともに、事業の拡大と安定的な収益を獲得するため、グループ全体で連結売上高1,000億円を目指しています。

当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進み、当社グループの主力販売分野である持家・分譲戸建住宅の着工戸数も回復傾向で推移したため、売上高は前年同期と比べ7,506百万円増収の66,582百万円(前年同期比12.7%増)となりました。一方、海外での急速な景気回復による全般的な品不足や価格高騰、これを受けた米国などでの金利上昇や為替相場の変動など、急激な経営環境の変化を踏まえ、今年度も引き続き利益の確保に重点を置き、付加価値の高い商品の拡販や生産の効率化を進めるとともに、全社的な取り組みによる経費の抑制に努めました。

しかしながら、年度後半からの急速な円安の進展、原材料や補助材料価格の高騰、海上運賃の高止まりなどから売上総利益率は前年同期比1.6ポイント低下しました。販管費率は同1.2ポイント低下したものの、売上総利益率の低下をカバーするには至らず、営業利益率は前期の4.0%から当期は3.5%に低下、経常利益率は前期3.5%から当期は3.2%に低下しました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益率は前期2.0%でしたが当期も2.0%と同水準を維持しています。その結果、自己資本利益率は前期3.1%であったところ当期も3.1%と同水準を維持し、自己資本比率は前期44.0%から当期45.2%に向上しました。

 

a.経営成績

当連結会計年度は、国内においては、主力販売分野である持家・分譲戸建住宅の着工戸数が回復傾向で推移し、海外においても、海外子会社のグループ外への販売が増加したことから、連結売上高は66,582百万円(前年同期比12.7%増)となりました。急激な円安や原材料価格等の高騰もあり、売上総利益率は28.9%(同1.6ポイント減)となりましたが、前年同期に比べ売上高が増加したことで売上総利益は19,270百万円(同6.7%増)となりました。また、販売費及び一般管理費は、売上高増加に伴い配送運賃等が増加し、16,918百万円(同7.6%増)となりましたが、全社的な経費抑制の効果もあり、販管費率では25.4%(同1.2ポイント減)にとどまりました。その結果、営業利益は前年同期に比べ7百万円増加し2,351百万円(同0.3%増)となりました。経常利益は、主に借入金の減少により支払利息が減少したことで、前年同期に比べ79百万円増加し2,147百万円(同3.8%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として中華人民共和国の子会社清算損を156百万円計上したものの、前年同期に比べ137百万円増加し1,308百万円(同11.7%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

当連結会計年度における住宅建材設備事業の売上高は65,478百万円(前年同期比13.2%増)となりました。付加価値の高い商品の売上増加や、全社的な経費抑制の取組みにより、営業利益は2,154百万円(同3.7%増)となりました。

品目別では、床材の売上高は7,660百万円(同3.2%増)となり、前年同期に比べ239百万円増加しました。無垢の床材などを中心に前年を上回る実績となりました。

造作材の売上高は32,498百万円(同10.5%増)となり前年同期に比べ3,079百万円増加しました。特に高付加価値商品として注力している無垢商品・収納商品・省施工商品のいずれも前年を上回る実績となり、無垢商品では「無垢の木の洗面」、収納商品では「仕上げてる棚板」、省施工商品では「ジャストカット階段」や「天井野縁システム」といった商品の販売実績が好調でした。

その他建材の売上高は20,831百万円(同24.5%増)となり前年同期に比べ4,099百万円増加しました。特に構造材等の販売実績が好調でした。

住宅設備機器の売上高は、4,444百万円(同4.9%増)と前年同期に比べ208百万円増加しました。

発電事業では、本社敷地内に設置している木質バイオマス発電設備が安定的に稼働し、電気事業者に売電を行っています。前連結会計年度末において5年間の激変緩和措置が終了し、固定価格買取制度(FIT)に上乗せされていたプレミアム価格が廃止されたことにより、当連結会計年度は、売上高が1,147百万円(同9.5%減)、営業利益が196百万円(同25.9%減)となりました。今後も当社グループ内外で発生した木材を燃料としたバイオマス発電により、CO₂の排出削減に努め、地球温暖化防止に対する社会的要請に応えてまいります。

 

b.財政状態

当連結会計年度における連結財政状態は、為替の影響もあり、前連結会計年度に比べ資産が3,919百万円増加、負債が860百万円増加、純資産が3,059百万円増加しました。
 資産3,919百万円の増加は、流動資産が1,182百万円減少、固定資産が5,102百万円増加したことによるものです。流動資産1,182百万円の減少は、主に棚卸資産が940百万円増加、受取手形、売掛金が390百万円増加したものの、現金及び預金が2,898百万円減少したことによるものです。また、固定資産5,102百万円の増加は、主にニュージーランド子会社の立木と林地のリース契約更新により有形固定資産が5,123百万円増加(為替影響除きでは1,579百万円増加)したことによるものです。

負債860百万円の増加は、主に2020年に借り入れた新型コロナウイルス感染症対策資金やインドネシア子会社の有利子負債の一部返済などにより借入金及び社債が1,982百万円減少(為替影響除きでは3,155百万円減少)したものの、支払手形及び買掛金が538百万円増加、「収益認識に関する会計基準」を当連結会計年度の期首から適用したことにより契約負債が596百万円増加、その他流動負債が486百万円増加、ニュージーランド林地のリース債務等でその他固定負債が976百万円増加したことによるものです。

純資産3,059百万円の増加は、主に利益剰余金が594百万円、為替換算調整勘定が2,332百万円増加したことによるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資金需要は、主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。運転資金需要は、主に材料・外注費及び人件費などの商品の生産活動や販売費及び一般管理費等の営業活動によるものです。また、設備資金需要は、山林投資及び生産設備の新設・更新ですが、通常は減価償却費の範囲内を目安として支出しています。当連結会計年度の設備投資は、主に国内およびニュージーランド子会社における設備投資および山林投資に支出しました。

当社グループは、運転資金と設備資金については、営業収支資金より充当し、不足が生じた場合は有利子負債の調達を実施しています。長期の借入金、社債などの長期資金の調達は、事業計画に基づき調達計画を策定し、金利動向等の調達環境や既存の借入金の償還時期を考慮して調達しています。なお、当連結会計年度については、2020年に借り入れた新型コロナウイルス感染症対策資金やインドネシア子会社の有利子負債の一部を返済しました。今後、不測の事態により想定を超えて資金面で悪影響が生じることが見込まれる場合には、従来から確保しているコミットメントライン等を活用していく予定です。

なお、当連結会計年度末における借入金及び社債(有利子負債)の残高は、33,639百万円となっています。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,479百万円となっています。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

5【研究開発活動】

当社グループでは、ニュージーランドで経営する森林から得られる植林木(森林認証を取得したラジアータパイン)を有効に活用し、「ともに暮らす。木と人と、地球と。」をテーマに、無垢の木のぬくもりある暮らしのご提供を目指しています。近年は、「環境への配慮」と「品質の向上と安定化」のために認証材活用や木材加工技術・品質管理技術の向上を進めるとともに、「安全・健康」と「木からの創造」をテーマとする商品開発を中長期的課題として研究開発を行っています。

当連結会計年度における住宅建材設備事業セグメントでは研究開発費の総額は253百万円です。

当連結会計年度は、無垢の素材の良さをお届けできるように、「素材感」「心地よさ」「お手入れ」「省施工」をテーマとした商品の開発を行い、また、お客様が商品を選択する際の指標の一つとしてご活用いただくことを目的に、林野庁のガイドラインに沿ってカタログに自社森林由来の商品のCO₂固定化量を掲載し、商品の環境価値を見える化いたしました。

 

住宅用建材では、「お手入れしながら、ともにそだつ。」をテーマに、内装ドア「ピノアースオーダーペイントドア」に自然塗装を追加しました。自然塗装はひとと環境にやさしく、自然素材の木と自然塗料で仕上げたドアをお手入れしながら永くご使用いただけるなど、本物の木だからこそできる商品です。また、収納商品では豊富なカラーとサイズを揃え、木口までしっかり仕上げることで施工現場の時間短縮を可能とする「仕上げてる棚板」に、従来に比べ耐荷重性能が高く、間口の広いクローゼットでも仕切りなしで収納可能な「27ミリタイプ」を追加しました。非住宅向け商品では「デザインウォール」に、無垢ならではの木の温かみとシンプルなデザインで、和洋問わず様々なインテリアスタイルにマッチする4種のデザインを追加するとともに、防火性能に優れ、商業施設やホテル、オフィスなど公共空間の仕上げにも最適な「フラットパネル不燃タイプ」などの商品を発売しました。

 

住宅設備機器では、「無垢の木のキッチン スイージー」に、「木を感じる暮らしを。」を製品コンセプトとして新素材のワークトップを採用した特別仕様の「スイージー2021 Special Edition」を2022年2月末までの期間限定で発売するなど、より一層顧客ニーズに応える商品を展開しました。

 

また、リフォーム市場へのニーズにお応えするため、「L字開口納まり枠セット」の発売や、簡易特注システム「カスタムオーダー」対応の充実を図りました。

 

当社グループでは、今後も新築住宅、リフォーム、商環境及び非住宅分野など様々な市場で求められるニーズに応える商品やサービスを提供してまいります。