第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は、住宅内装システムの専門メーカーとして室内ドア、収納ボックス、化粧造作材を受注生産し、顧客へジャストインタイムで提供できる独自のシステムを構築し、様々な製品を社会に送り出し高い評価を得てまいりました。

 今後においても、自社システムの強みを生かし、新製品の開発、新規顧客の開拓を進め、業容の拡大と安定した収益を確保してまいります。

 当社は、住空間を構成する内装部材及び周辺分野における顧客ニーズに対して、優れた技術と最高のサービスを提供することにより、社会に貢献してまいります。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、事業効率の向上と株主価値の最大化を経営の目標としています。経営指標としては、事業の収益力を表す営業利益及び営業キャッシュ・フローを重視し、これらの拡大を目指してまいります。また、EPS(1株当たり当期純利益)の成長を通じた持続的な株主価値の向上に努めています。連結・個別ともに継続的に達成できるための強い体質を確立することを目標としております。目標達成策として、合理化、原価低減、高い効率の設備投資等により一人当たりの生産性を高め、長年かけて創り上げた多品種少量生産のIT技術を有効に活用し、また、従業員のスキルアップを図るための教育訓練の実施により、従業員一人ひとりが常に利益を意識した活動を行ってまいります。

 今後も目標達成に向けて各施策を実施し、経営成績及び株主価値の向上を図ってまいります。

(3)中長期的な会社の経営戦略

今後の木質内装業界は、国内においては少子高齢化が進むことから、当社の経営成績に大きく影響のある新設住宅着工戸数の大きな増加は期待できず、厳しい受注、価格競争が継続するものと予想されます。反面、中国においては、経済成長が鈍化傾向ではありますが、「都市化」と「内装付住宅の推進」を背景に地域(省)毎に格差はありますが、堅調な需要は見込めるものと考えております。このような状況下にあって、国内外を問わず、当社の持つ受注生産の強みを発揮できる分譲マンション市場に加え、医療介護や戸建分野等への新たな販路を開拓してまいります。また、一戸当たりに占める自社製品の占有率のアップとコスト競争力を確保し、着実な業容拡大と安定した利益確保に努めてまいります。

 ①日本国内では、営業力強化と販売網拡充を図るため、セールスエンジニアの育成や地方都市に営業所を設置するなど、より充実した営業体制を構築してまいります。また、当社のマス・カスタマイゼーションの能力に磨きをかけ、付加価値の向上を目指してまいります。

 ②中国国内の需要に対応するため、中国国内の広域にわたって品質の高い施工管理体制の構築と維持を図ります。生産体制については、生産技術力の高い工場となる取組みを積極的に進めてまいります。また、販売体制の強化に向けては、営業管理体制の拡充を図り、当社グループのブランドを確立させ、財務基盤が強固で信用力のある取引先の新規開拓を推進し拡販を図ってまいります。さらに、販売代理店網を生かしたスケルトン市場向けの販売についても戦略的に進めてまいります。

 ③日本・中国国内とも、生産体制においては、生産品目に即したレイアウト変更と省力化を図り、生産性と技術力の向上に取組んでまいります。また、市場ニーズに適応する新工法による製品開発にも積極的に取組んでまいります。

 

(4)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題等

今後の経済見通しにつきましては、物価上昇やアメリカ合衆国の政策動向、金融資本市場の変動等による影響が懸念される一方で、雇用の改善や賃上げによる所得環境の改善等を背景に、緩やかな景気回復が期待されるものと予想されます。

このような状況の中で、日本におきましては引き続き、当社の強みであるマス・カスタマイゼーションを駆使した営業活動を行い、顧客ニーズを的確に掴み、受注獲得に努めてまいります。また、製造面においては、創業60周年を迎える今秋に向け、工場のリニューアル工事が進んでおり、生産性はもとより、作業環境改善を行い、安心・安全な工場を目指してまいります。

中国におきましては、中国政府による各種政策が打ち出され、中古住宅市場では都市部で回復の兆しも見受けられるようになりましたが、不動産市場の低迷は暫くの間続くものと思われます。このような状況の中、台湾での業務提携に加え、ルート販売、商業施設向け販売等の販売チャネルの拡大を行うと同時に、商品ラインナップの拡充を行うこと等により売上の拡大を図ってまいります。一方で債権回収を進め、V字回復を目指してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性があります。

 

(1)ガバナンス

 当社では、ESG経営に関わるあらゆる取組が社会の常識や期待と合致しているのかをチェックしながら、その活動方針を取締役会にて定めております。気候変動対応は取締役会の重要議題の一つであると位置づけており、活動方針の妥当性や進捗状況の評価を行っております。具体的には、当社グループではISO14001規格による環境マネジメントシステムに則り環境方針を制定し環境負荷低減の取組を推進しております。

 また、環境経営に関する本社部門の管理職を中心とした、全社横断の「環境部会」を設置し毎月開催しており、GHG(温室効果ガス)排出量や産業廃棄物の削減等について、より具体的で詳細な検討及び施策の実施を行っております。また、環境部会での活動内容については、毎月開催される安全衛生委員会にて報告されております。

 今後は状況に応じて、サステナビリティ委員会の設置等の体制強化を検討してまいります。

 

(2)戦略

 気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、事業活動や財務計画に直接影響を与えるような気候変動に係るリスクは低いと考えていますが、当社グループでは、目指すべき事業全般の脱炭素化への歩みを着実に進めるために、今後起こり得る様々な事態を想定して、環境負荷低減の取り組みと事業活動を通じた環境保全に取り組んでまいります。

 また、サステナビリティに関しての取組に関しては、当社ホームページにて情報開示を行っております。

(CSR)https://www.nfnf.co.jp/csr/index.shtml

 

 当社グループでは、多様性を考慮して人材の育成に取り組んでおり、管理職登用は能力や適性を総合的に判断し、性別・国籍・採用ルートの制約は一切設けておりません。

 

(3)リスク管理

 気候変動を含むサステナビリティ活動を所管する総務部にて、社内の関連部署及びグループ会社に係るリスク及び機会の特定を指示し、リスクを識別し、取締役会に報告しております。

 取締役会は、識別された気候変動に係るリスクについて気候関連リスクの潜在的な大きさを評価し、重要度に応じて対策を検討したうえで、リスク低減活動を各部門に指示し、各部門は対策の実施を行います。

 今後の状況に応じて、サステナビリティ委員会の設置等、サステナビリティに係るリスク管理の強化を検討してまいります。

 

(4)指標及び目標

 当社グループは、温室効果ガスの削減と企業の成長を両立させた環境経営を強化し、2050年のカーボンニュートラルおよび持続可能な循環型社会の実現に向けて企業の責任を果たしてまいります。

 また、当社の事業が環境に与える負荷を把握するため、GHG(温室効果ガス)排出量を算定しています。2025年3月期における排出量は、スコープ1が135t-Co2、スコープ2(他社供給の電気等の使用に伴う間接排出)は1,603t-Co2でありました。このことから、当社の事業の環境に与える負荷の大部分は電気の使用量であります。中でも電力消費量のうち約9割を占める本社工場においては、工場照明のLED化や省電力設備の導入、時間外労働の削減を進め、2025年3月期においては、対2017年3月期比較で生産数量は4.6%増加しておりますが、電力使用量は23.8%減となっております。

 今後も事業活動におけるGHG排出量を定期的に把握し、必要に応じて指標又は目標を設定し、低炭素社会の実現化を進めてまいります。

 産業廃棄物の削減に関しては、環境部会にて年間の削減目標を定め、毎月の排出量を把握し、削減に努めております。毎月の排出量、削減目標の達成状況については、毎月開催される安全衛生委員会にて報告されております。

 

 人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績については、現状では国内では女性管理職の登用はありませんが、海外子会社では女性の役員、管理職の登用実績があります。今後、国内でも能力のある女性を積極的に管理職に登用してまいります。中途採用者については、管理職における割合が3割を超えているため、特段今後の目標は定めておりません。

 詳細は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載してありますのでご参照ください。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業の状況、及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及び投資者の判断に重要な影響をおよぼすと考えられる事項は、下記のとおりであります。また、記載事項のうち将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものであります。なお、経営成績に影響を与える要因はこれらに限定されるものではありません。

(1)住宅着工件数等の動向について

 当社グループは、内装システム部材事業を日本及び中国をセグメントとして運営しており、今後の景気動向、社会情勢、金利の上昇等により住宅購入予定者の取得意欲が減退し、住宅着工件数の減少が起こる場合等、建築市況の動向の影響を受けます。特に当社グループの場合は、主要な顧客が分譲マンション業者(ゼネコン、デベロッパー等)であり、構造計算書偽造に端を発する2007年6月施行の改正建築基準法による建築確認の承認遅延が発生したように、長期間に亘り建築着工が遅延した場合等、分譲マンション市場の動向により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響をおよぼす可能性があります。

(2)災害等の影響について

 当社グループの生産体制は、当初の1工場体制から現在の5工場体制(日本国内は、本社工場、北海道工場、海外は中国の昆山日門建築装飾有限公司の工場、日門(青島)建材有限公司の工場及び日門(江西)建材有限公司の工場)へと生産拠点の分散を行いリスク回避に努めております。当社グループは引き続き、危機管理対応を継続してまいりますが、地震・津波・火事・感染症の拡大等の不測の事態の発生により当社グループ工場が影響を受け生産体制に問題が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響をおよぼす可能性があります。

(3)海外業務に関するリスクについて

 当社グループの中国の子会社が製造する製品は、基本的に中国国内の市場向けに販売を行っております。当社グループ製品の生産・販売・調達等を行う中国において、政治的・経済的不安定要素、予期せぬ法律又は規制の変更、貿易保護措置及び輸出入許可要件変更、税制の変更、為替相場の変動、及び中国建築業界特有の商慣習に基づく売掛債権回収のリスク等が生じた場合等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響をおよぼす可能性があります。
 また、中国国内の経済環境は、過去の不動産開発業者に対する総量規制は全面撤廃され、また、都市部での購入制限も大幅緩和、住宅ローン金利や頭金比率の引き下げ、都市部の住宅購入者への都市戸籍の付与等の政策が進められ、都市部を中心に回復の兆しも見えつつありますが、依然として不動産市場は低迷しており、暫くは厳しい状況が続くと予想されます。当社グループにおいても得意先のデベロッパー等の物件について竣工まで至らず、工事が進捗していない物件が増えております。このため、当社グループは債権の回収活動にあたって、現預金での回収の他、代物弁済による不動産での回収を進めております。そのため、将来的に当該不動産の価値が下落するリスクが潜在的に存在します。

(中国)推移表                          単位:千円

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

売上高

17,771,379

15,670,720

14,454,043

売上債権残高

18,116,930

17,474,649

14,214,785

貸倒引当金残高

251,892

702,665

3,515,119

投資不動産残高

1,454,990

3,561,660

6,104,000

貸倒引当金繰入額

97,815

440,107

2,673,151

減損損失

-

-

1,152,251

 

(4)原材料価格の変動について

 当社グループの製品の主な原材料である木材及び表面材等の価格変動に対処するため当社グループでは、生産性向上及びコスト削減を行ない、また、市場環境を注視しながら、顧客に対する販売価格への転嫁の要請等を実施しております。しかし、今後、各種原材料が大幅に高騰した場合には、適時・適切に販売価格へ転嫁できる保証はなく、当社グループの経営成績及び財政状態に影響をおよぼす可能性があります。

 

(5)法的規制について

 当社グループの事業は、製造物責任法、労働安全衛生法、建設業法(許認可の名称、一般建設業・許可番号第19464号・有効期限 2027年1月24日)並びに貿易管理令等の各種法規制を受けております。

 当社グループは各種法規制の遵守に努めておりますが、今後、何等かの理由により、当社グループが法令上の義務に違反していると判定され、当社グループの事業展開を制限又は停止された場合、あるいは当社グループの事業展開に関連のあるこれらの法的規制が強化・改正され、又は新たな法的規制が新設・追加されることにより、当社グループの事業が計画どおりに進展しない場合や、相当額の出費が発生する場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響をおよぼす可能性があります。

(6)マンションデベロッパー及びハウスメーカーへの依存について

 当社グループは、マンションデベロッパー及びハウスメーカー(以下、マンションデベロッパー等)に対し、物件毎に新製品等を提案し、事業を展開しております。

 さらに、当社グループは、新製品の優先提供あるいはメンテナンス、アフターフォロー等の製品納品後の対応を重視し、良好な取引関係の維持及び取引の深耕に努めているため、国内外とも特定のマンションデベロッパー等の物件への依存度が高くなっており、今後も高い水準で推移することが見込まれます。

 従って、マンションデベロッパー等の着工戸数が減少すること等、何等かの要因により、当社グループの受注が減少した場合には、当社グループの経営成績に影響をおよぼす可能性があります。

 

(7)経営成績の偏重について

 当社グループの取り扱う内装システム部材は、マンション等の建築スケジュールのうち、後工程において取り付けられることが一般的であります。物件の引渡時期については、物件の販売時期や入居時期のニーズに対応した工期で事業年度末にかけて増加する傾向があるため、当社グループの売上、利益とも下期に偏重する傾向にあります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善及び、円安によるインバウンド需要の回復により、個人消費や企業の設備投資の増加基調が持続し、景気は緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、世界的にはウクライナ情勢の長期化に伴う資源、エネルギーの高騰や物価の上昇、また世界的な金融引き締めや円安の進行など、依然として先行きは不透明な状況が続く事業環境でありました。

このような事業環境のもと、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ26億42百万円減少し、423億9百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ8億79百万円減少し、112億72百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ17億63百万円減少し、310億36百万円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の売上高は、239億76百万円(前年同期比7.4%減)、営業利益は、7億74百万円(同48.3%減)、経常利益は、11億2百万円(同42.3%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は、27億92百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益13億29百万円)となりました。

当連結会計年度における各セグメントの概況は、次のとおりです。

(日本)

国内の住宅市場においては、2024年の住宅着工戸数は792千戸(前年比3.3%減)で2年連続の減少であると同時に、リーマンショック後の2009年以来、15年振りの80万戸割れとなりました。また、2024年は首都圏ほか3大都市圏及びその他地域も、分譲住宅のうち分譲マンションは102千戸(同5.1%減)と低水準が続いており、厳しい環境が続いております。

このような状況の中、営業面では、今年のテーマである輸送の効率化と、建設現場での間配りや取付施工の省力化に取り組みました。また、生産面では、工場の各ラインの省力化、効率化のため、フラッシュドア工場として基幹である接着工程への新設備の導入と、材料費の削減に成功いたしました。

この結果、日本においては、売上高は、95億27百万円(前年同期比6.9%減)、営業利益は、10億9百万円(同9.4%減)となりました。

(中国)

中国においては、新型コロナウイルス感染症の影響の沈静化と、同時に不動産開発業者に対する総量規制(通称、3つのレッドライン)は実質撤廃されておりますが、中国政府の不動産対策も、効果は限定的なものに留まっております。そこで当社は、従来の不動産開発業者に対する販売チャネルに加え、代理店販売、及び商業店舗向け商品の販売会社である日門(昆山)建材科技有限公司も順調に立ち上げました。

なお、2020年2月頃の新型コロナウイルス感染症発生からの約4年間、中国全土における営業活動の停止による様々のアクシデントは、想像を超えるものがありました。コロナ禍に続く不動産業者に対する総量規制は、一流企業、国営企業を問わず与信不和を呼びました。

このような状況の中、世茂集団の資金繰りの悪化による回収遅延により、当期の決算において世茂集団向け債権全額について、貸倒引当金を計上し、貸倒引当金繰入額24億11百万円を特別損失として計上いたしました。

また、債権回収の一環として代物弁済にて投資不動産を取得してまいりましたが、中国不動産市場の経営環境が不透明なため、当期の決算において、不動産鑑定評価額等を取得し、時価が簿価を下回っている全ての投資不動産について減損損失11億52百万円を特別損失として計上いたしました。

この結果、中国においては、売上高は、144億54百万円(前年同期比7.8%減)、営業損失は、2億34百万円(前年同期は営業利益3億85百万円)となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、46億32百万円となり、前連結会計年度末より4億92百万円増加となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動による資金の増加は25億42百万円(前期比49.2%増)となりました。これは、主に貸倒引当金の増加額26億64百万円、税金等調整前当期純損失25億22百万円の計上によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動による資金の減少は11億91百万円(前期は15億57百万円の減少)となりました。これは、主に定期預金の預入による支出8億9百万円、有形固定資産の取得による支出5億53百万円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  当連結会計年度において財務活動による資金の減少は9億38百万円(前期は21億69百万円の減少)となりました。これは、主に配当金の支払額8億19百万円によるものです。

③生産、受注及び販売の実績

(a)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

日本

8,206,627

91.0

中国

5,608,949

80.1

合計

13,815,576

86.2

 (注)金額は販売価格によっております。

 

(b)受注実績

 当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

日本

10,057,497

91.2

9,767,658

105.7

中国

11,595,035

99.7

9,408,589

83.5

合計

21,652,532

95.6

19,176,247

93.5

 (注)金額は販売価格によっております。

 

(c)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

日本

9,522,513

93.1

中国

14,454,043

92.2

合計

23,976,557

92.6

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

万科企業股份有限公司及びそのグループ会社

5,963,234

23.0

4,567,644

19.1

大和ハウス工業株式会社及びそのグループ会社

2,804,307

10.8

2,580,664

10.8

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りを行っている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。

 将来に関する事項につきましては、当社グループが当連結会計年度末現在で実績や状況に応じ、合理的な基準に従って見積り及び判断したものでありますが、実際の結果は、予測困難な不確実性があるため、これら見積りと大きく異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 財政状態の分析

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は、256億38百万円となり、前連結会計年度末に比べ54億67百万円減少いたしました。主な要因は、売掛金が33億28百万円減少、貸倒引当金を35億52百万円計上したことによるものです。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産の残高は、166億70百万円となり、前連結会計年度末に比べ28億24百万円増加いたしました。主な要因は、投資不動産が25億42百万円増加したことによるものです。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は、102億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億74百万円減少いたしました。主な要因は、契約負債が5億5百万円、未払金が2億60百万円、電子記録債務が2億36百万円減少したことによるものです。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債の残高は、10億22百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億95百万円増加いたしました。主な要因は、長期借入金が1億92百万円、繰延税金負債が2億9百万円増加したことによるものです。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は、310億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億63百万円減少いたしました。主な要因は、利益剰余金が36億13百万円減少したことによるものです。

 

(b) 経営成績の分析

(売上高)

 当社グループの売上高は、前年同期に比べ19億22百万円減少し、239億76百万円となりました。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

 売上原価は、前年同期に比べ11億55百万円減少し、182億79百万円となりました。売上原価率は、前年同期に比べ1.2ポイント増加し、76.2%となりました。

 販売費及び一般管理費は、前年同期に比べ42百万円減少し、49億22百万円となりました。対売上高販管費率は、年同期に比べ1.3ポイント増加し、20.5%となりました。

(営業利益)

 当連結会計年度の営業利益は、前年同期に比べ7億25百万円減少し、7億74百万円となりました。対売上高営業利益率は、前年同期に比べ2.6ポイント減少し、3.2%となりました。

(営業外損益)

 当連結会計年度の営業外収益は、前年同期に比べ20百万円減少し、4億47百万円となりました。また、営業外費用は前年同期に比べ61百万円増加し、1億19百万円となりました。

(経常利益)

 当連結会計年度の経常利益は、前年同期に比べ8億7百万円減少し、11億2百万円となりました。対売上高経常利益率は、前年同期に比べ2.8ポイント減少し、4.6%となりました。

(特別損益)

 当連結会計年度において、特別損失が36億38百万円発生しております。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、27億92百万円となりました。

(c) キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 全体的には、新設住宅着工戸数の動向が当社グループの経営成績に重要な影響を与える大きな要因となりますが、関連する新設着工床面積、及び当社の強みを活かせる分譲マンションの新設着工戸数の動きにも影響を受けます。

 また、当社グループ製品の主要材料である木材の価格変動、原油価格の変動に起因する表面材の価格変動による調達コスト変動要因があり、また一方で競争激化に伴う販売価格の下落要因もあるため、これらの市況動向は当社グループの収益に重要な影響を与える可能性があります。

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが25億42百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが11億91百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが9億38百万円の支出となり、現金及び現金同等物は前連結会計年度末から4億92百万円増加し、46億32百万円となっております。

 当社グループでは製品製造のための原材料の調達、経費等の支払いを始めとした運転資金のほか、安定した製品の生産を行うための設備投資資金、新製品開発を行う研究開発費等の資金需要がありますが、基本的には海外子会社を含めた設備投資資金、国内における運転資金については自己資金により充当し、海外子会社における運転資金については国内、海外との金利差、為替リスク等を総合的に検討し、現地金融機関を含め、有利な金融機関の利用を適宜行っております。

 

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

また、当社グループは、事業効率向上と株主価値の最大化を図るために、EPS(1株当たり当期純利益)を重要な指標として位置付けており(第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)、当連結会計年度におけるEPSは△122.71円(前年同期は56.04円)でありましたが、当該指標の改善に邁進していく所存であります。

 

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、材料価格の高騰を受け、原価低減活動に取り組みました。従来の既成概念を捨て、新工法に取り組んでおり、今後も継続して積極的に活動を進めてまいります。

 玄関収納に足元灯を追加、2700タイプの戸袋パネル・壁収納パネルの開発を進めております。

 さらに、品質を維持したコスト削減、安全性や生産性を考慮した製品設計、クレーム発生時における即時対応策の検討、材料評価基準の策定など、これまで培ってきた技術開発力を活かし、競争優位性の向上に取り組んでおります。

 顧客の真のニーズを掴むためにも、市場の最新動向を把握すると共に、直接顧客のもとに伺い、打ち合わせの場を持たせていただくことにより、付加価値を高める製品・技術をご提案しております。

 さらに、特許や技術ノウハウなどの知的財産が重要な経営資産であるという認識のもと、その管理強化を図っております。

 

なお、当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発費は、日本15,216千円、中国で65,048千円、その総額は80,264千円となっております。主な活動は次のとおりです。

 

(日本の研究の成果)

(1) 玄関収納足元灯の開発

玄関収納に足元灯を設置することができる商品を開発しました。

 

(2) 2700タイプの戸袋パネル、壁収納パネルの開発

従来の2400タイプから、より背の高い2700タイプの戸袋パネル、壁収納パネルを開発しました。

 

(3) 原価低減活動

材料価格の高騰を受け、使用材料、製品構造および新工法など全てにおいて検討し、原価低減活動を進めています。