当第2四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものですが、予測しえない経済状況の変化等さまざまな要因があるため、その結果について当社が保証するものではありません。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績に関する説明
当社グループは、2019年度から2021年度を対象とする中期経営計画において、「国内事業の収益力アップ」、「海外事業の拡充」、「イノベーションの推進」をグループ経営戦略の基本方針に据え、「持続可能な社会への貢献」を通じ、連結営業利益1,000億円以上を安定的に継続するグローバルな企業集団を目指しています。
このような基本方針のもと、国内事業では、需要の構造的な変化に対応すべく、生産体制の再構築を行うことで資本の効率化を進める一方、有望事業には経営資源を集中し、キャッシュを稼ぐ力の強化に取り組んでいます。また、海外事業では、海外拠点数の拡大に加え、既存のインフラを活用した新事業の展開等、既存拠点からの有機的拡大を図るとともに、事業・拠点間のシナジー創出を進めています。イノベーションの推進では、環境・社会ニーズに対応した新事業・新製品の開発推進と早期事業化を図り、「持続可能な社会への貢献」を進めています。
新型コロナウイルスの感染拡大により経営環境が大きく変化し、消費構造やライフスタイル・働き方の多様化など、多くのチャンスとリスクが拡大することが想定されます。引き続き、「中期経営計画」のグループ経営戦略の基本方針に基づいた企業価値向上施策を着実に実行するとともに、コロナ禍による環境変化を見据えた事業構造改革等を迅速かつ適切に行っていきます。
当第2四半期連結累計期間の売上高は、新型コロナウイルスの感染拡大により停滞した経済活動の再開が進むにつれ、緩やかに需要が回復しつつあることに加え、パルプ販売価格の上昇を受け、前年同四半期を561億円(8.6%)上回る7,085億円となりました。なお、当社グループの海外売上高比率は前年同四半期を3.8ポイント上回る32.4%となりました。
営業利益は販売量の増加やパルプ販売価格の上昇に加え、グループ全体でコストダウンに取り組んだこと等により、前年同四半期を344億円(117.3%)上回る637億円となりました。経常利益は営業利益の増加に加え、外貨建債権債務の評価替えによる為替差益の発生等により、前年同四半期を467億円(211.5%)上回る688億円となり、税金等調整前四半期純利益は前年同四半期を456億円(205.1%)上回る678億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同四半期を353億円(343.0%)上回る456億円となりました。
なお、第1四半期連結会計期間の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更しています。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりです。
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち、経済的特徴、製品の製造方法又は製造過程、製品を販売する市場又は顧客の種類等において類似性が認められるものについて集約を実施し、「生活産業資材」、「機能材」、「資源環境ビジネス」、「印刷情報メディア」の4つとしています。報告セグメントに含まれない事業セグメントは、「その他」としています。
各セグメントの主要な事業内容は以下のとおりです。
生活産業資材・・・・・ 段ボール原紙・段ボール加工事業、白板紙・紙器事業、包装用紙・製袋事業、
家庭紙事業、紙おむつ事業
機能材・・・・・・・・ 特殊紙事業、感熱紙事業、粘着事業、フィルム事業
資源環境ビジネス・・・ パルプ事業、エネルギー事業、植林・木材加工事業
印刷情報メディア・・・ 新聞用紙事業、印刷・出版・情報用紙事業
その他・・・・・・・・ 不動産事業、エンジニアリング、商事、物流 他
なお、会計方針の変更に記載のとおり、第1四半期連結会計期間の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更したため、事業セグメントの利益又は損失の算定方法を同様に変更しています。
当該変更により、従来の方法に比べて、当第2四半期連結累計期間の「生活産業資材」の売上高は12億円減少、「機能材」の売上高は66億円減少、「資源環境ビジネス」の売上高は3億円減少、「印刷情報メディア」の売上高は133億円減少、「その他」の売上高は26億円減少しています。なお、各セグメント利益に与える影響は軽微です。
〈生活産業資材〉
当第2四半期連結累計期間の売上高は前年同四半期比11.0%増収の3,436億円、営業利益は同39.4%増益の181億円となりました。
国内事業では、段ボール原紙・段ボールの国内販売は、全体的な需要回復がみられることに加え、新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛等から通販向けが引き続き堅調なこと等により、販売量は前年に対し増加しました。段ボール原紙の輸出販売は、前年に対し減少しました。白板紙の国内販売は、前年には同感染拡大防止のためのイベント中止や外出自粛によって減少したイベント関連、土産物及び贈答関係の需要が回復しつつあり、販売量は前年に対し増加しました。輸出販売は、前年に対し増加しました。包装用紙の国内販売は、全体的な需要の回復により、販売量は前年に対し増加しました。輸出販売は、東南アジアを中心に前年に対し増加しました。紙おむつは、子供用おむつの国内及び輸出販売量ともに前年に対し減少しました。大人用おむつの販売量は、前年に対し減少しました。家庭紙は、同感染拡大の影響で自粛されていた販促企画及びイベント等が増加したため、販売量は前年に対し増加しました。マスク、ウエットティシュ等加工品の販売量は、前年の同感染拡大に伴う一時的な需要の増加が落ち着き、前年に対し減少しました。
海外事業では、東南アジアにおいて、段ボール原紙は、顧客である加工会社の旺盛な需要により、販売量及び売上高ともに前年に対し増加し、段ボールは、昨年末から続く好調な販売及び値上げの浸透等により、販売量及び売上高ともに前年に対し増加しました。紙おむつは、インドネシアではコンビニエンスストアでの拡販継続により、販売量は前年に対し増加しましたが、マレーシアでは同感染拡大に伴う大手小売店での販売不調のため減少しました。オセアニアでは、段ボール原紙は、コンテナ不足による海上輸送スケジュールの乱れもあり、輸出向けの販売量は前年に対し減少しました。段ボールは、ニュージーランド、オーストラリアともに販売量は前年に対し増加しました。
〈機能材〉
当第2四半期連結累計期間の売上高は前年同四半期比0.5%増収の914億円、営業利益は同40.5%増益の72億円となりました。
国内事業では、同感染拡大に伴う乗車券や高級パッケージの需要の減少は続いていますが、電動車(電気、ハイブリッド、プラグインハイブリッド及び燃料電池)向けのコンデンサフィルムやスマートフォン製造工程用のセパレートフィルム及び電子部材用の工程紙が堅調に推移したことにより、全体としては販売量、売上高ともに前年に対し増加しました。感熱紙は、需要は回復傾向にあり、販売量は前年に対し増加しました。
海外事業では、感熱紙は、北米、東南アジア、南米では販売量は前年に対し増加しましたが、欧州では前年に顧客の在庫積み増しの動きが顕著だったため、前年に対し減少しました。
〈資源環境ビジネス〉
当第2四半期連結累計期間の売上高は前年同四半期比18.7%増収の1,416億円、営業利益は同256.6%増益の237億円となりました。
国内事業では、パルプ事業は、主に溶解パルプの中国向け輸出が、同感染拡大に伴う経済活動停滞から回復したことにより、販売量は前年に対し増加しました。エネルギー事業は、エム・ピー・エム・王子エコエネルギー株式会社の設備の定期事業者検査等の影響により、売電量は前年に対し減少しました。木材事業は、販売量は前年に対し増加しました。
海外事業では、パルプ事業は、販売量は前年に対し減少しましたが、パルプ販売価格の上昇を受けて売上高は前年に対し増加しました。木材事業は、販売量は前年に対し増加しました。
〈印刷情報メディア〉
当第2四半期連結累計期間の売上高は前年同四半期比3.0%増収の1,176億円、営業利益は同1,463.0%増益の108億円となりました。
国内事業では、新聞用紙は需要の減少傾向が継続し、販売量は前年に対し減少しました。印刷用紙は、前年の同感染拡大に伴う経済活動停滞の反動から、販売量は前年に対し増加しました。印刷用紙の用途別では、出版用途においては、女性誌、旅行誌、スポーツ誌等の定期誌の発行部数減少等により、販売量は前年に対し減少しました。商業印刷用途においては、前年のイベント自粛等によるカタログ、ポスター、チラシ等の需要減少が大きく、販売量は前年に対し増加しました。情報用紙は、前年はテレワークの普及によるオフィスでの需要減少が大きく、販売量は前年に対し増加しました。
海外事業では、江蘇王子製紙有限公司において、中国国内での同感染状況が収束傾向となり、経済活動が回復し始めたことから、販売量は前年に対し増加しました。
② 財政状態に関する説明
当第2四半期連結累計期間は、新型コロナウイルスの感染拡大により停滞した経済活動の再開が進むにつれ、緩やかに需要が回復しつつあることに加え、年初における海外でのパルプ販売価格の上昇や円安外貨高による為替差益の発生等もあり、当社グループの業績は前年同四半期に対し大幅な増収増益となりました。このような中、同感染拡大による影響の収束を見据え、将来のための成長戦略を進めており、2021年5月にはCelulose Nipo-Brasileira (セニブラ)社の親会社である日伯紙パルプ資源開発株式会社が非支配株主の保有する株式を自己株式として取得し、当社グループは同社の全議決権を保有しました。この取得に当たっての必要資金は、外部からの調達と手許現金により充当しました。この結果、当第2四半期末の純有利子負債(有利子負債-現金及び現金同等物等)は前連結会計年度末に対し745億円増加し、5,860億円となり、ネットD/Eレシオ(純有利子負債残高/純資産残高)は0.7倍となりました。
当第2四半期連結会計期間末の総資産は現金及び預金等が減少しましたが、有形固定資産及び棚卸資産等の増加により、前連結会計年度末に対して493億円増加し、20,307億円となりました。負債は、有利子負債及び支払手形及び買掛金等の増加により、前連結会計年度末に対して627億円増加し、11,785億円となりました。純資産は、利益剰余金及び為替換算調整勘定等が増加しましたが、非支配株主持分等の減少により、前連結会計年度末に対して134億円減少し、8,522億円となりました。
なお、第1四半期連結会計期間の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更しています。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりです。
(2) キャッシュ・フローの状況
当社グループでは、市場が縮小している事業では、生産体制再構築等によってコスト削減を徹底し、キャッシュ・フローの確保を図る一方、需要の伸びが期待できる国内事業や海外の経済発展が見込まれる地域へ投資を行い、ポートフォリオの拡充を図っています。
当第2四半期連結累計期間末日の現金及び現金同等物の残高は、1,056億円(前年同四半期は1,065億円)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同四半期に対して134億円収入が増加し、631億円の収入(前年同四半期は498億円の収入)となりました。主なキャッシュの増加は、税金等調整前四半期純利益に減価償却費を加えた金額987億円(前年同四半期は524億円)、及び仕入債務の増加136億円(前年同四半期は233億円の減少)であり、主なキャッシュの減少は、棚卸資産の増加166億円(前年同四半期は89億円の減少)及び法人税等の支払額134億円(前年同四半期は264億円の支払い)によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出等により、483億円の支出(前年同四半期は417億円の支出)となりました。有形及び無形固定資産の取得による支出の主な内容は、能力増強・更新や品質改善、省力化、生産性向上、安全、環境のために必要な設備投資です。
財務活動によるキャッシュ・フローは、子会社の自己株式取得による支出、長期借入れによる収入等により、475億円の支出(前年同四半期は183億円の収入)となりました。
当社グループは、今後も海外事業や有望な事業等の成長分野に対しては、M&Aや設備投資、研究開発投資等を積極的に行っていく予定であり、所要資金の調達については、自己資金と外部調達との最適なバランスを検討し実施していきます。
営業活動を通じて獲得したキャッシュ・フローは配当及び投資資金に充当し、有利子負債残高を適正水準に保ちながら、不足資金については借入金やコマーシャル・ペーパー、社債の発行等による資金調達を行い、余剰資金については有利子負債の削減に充当します。
なお、長期借入金や社債等の長期資金については、中期経営計画に基づく資金需要見通しや金利動向等の調達環境、既存の借入金や社債償還時期等を総合的に勘案の上、調達規模、調達手段等を適宜判断して実施することとしています。
当社は、主要連結子会社との間でグループファイナンスを行い、資金の一元管理を行うことにより、運転資金の効率的な運用を図っています。
(3) 経営方針・経営戦略等
当社グループは、「革新的価値の創造」、「未来と世界への貢献」、「環境・社会との共生」を経営理念とし、「領域をこえ 未来へ」向かって、中長期的な企業価値向上に取り組んでいます。
これらの経営理念の下、「森のリサイクル」、「水のリサイクル」、「紙のリサイクル」という、バリューチェーンを通じた3つの資源循環を引き続き推進し、事業を通じて社会に対し価値を提供していくことで、真に豊かな社会の実現に貢献していきます。また、企業存続の根幹である「安全・環境・コンプライアンス」を経営の最優先・最重要課題と位置づけ、労働災害リスク撲滅、環境事故防止、企業としての社会的責任を果たすための法令遵守等、全役員・全従業員に確実に浸透させる取り組みを続けていきます。
現在取り組んでいる2019年度から2021年度を対象とする中期経営計画では、「国内事業の収益力アップ」、「海外事業の拡充」、「イノベーションの推進」をグループ経営戦略の基本方針に据え、「持続可能な社会への貢献」を通じて連結営業利益1,000億円以上を安定的に継続するグローバルな企業集団を目指していきます。
新型コロナウイルスの感染拡大によりグローバルで経営環境が大きく変化し、消費構造やライフスタイル・働き方の多様化など、多くのチャンスとリスクが拡大することが想定されます。引き続き、「中期経営計画」のグループ経営戦略の基本方針に基づいた企業価値向上施策を着実に実行するとともに、コロナ禍による環境変化を見据えた事業構造改革等を迅速かつ適切に行っていきます。なお、当中期経営計画の最終年度である2021年度の経営数値目標は以下のとおりです。
※ ネットD/Eレシオ=純有利子負債残高/純資産
「国内事業の収益力アップ」では、国内需要の変化に応じて生産体制再構築や保有設備の有効活用等によって資本効率化を図る一方、有望事業に経営資源を集中し、キャッシュを稼ぐ力を強化します。「海外事業の拡充」では、既存拠点からの有機的拡大や事業、拠点間シナジーの創出を進めていきます。また、「イノベーションの推進」では環境・社会ニーズに対応した新事業・新製品の開発推進と早期事業化を図り、これらの取り組みを通じて「持続可能な社会への貢献」を進めていきます。
具体的には以下の取り組みを行っています。
・産業資材(段ボール原紙・段ボール加工事業、白板紙・紙器事業、包装用紙・製袋事業)
海外では、事業基盤をより強固なものとするため、地域・市場ごとにリスクとリターンを見極め、新拠点の設立とM&Aにより、事業拡大を進めています。東南アジアでは、マレーシアで2021年10月に段ボール原紙の新マシンの稼働と、エネルギー供給及び用排水設備の更新を実施し、コスト競争力の強化を図っています。さらに、2021年3月に稼働したインドネシアでは初となる段ボール工場に加え、ベトナム、マレーシア南部・中部においても段ボール新工場の建設を進めており、2021年度下期から2022年度上期にかけて順次稼働予定です。また、2021年10月にはインドで段ボールの製造・販売を行うEmpire Packages社の発行済み株式の80%を取得し、対象会社が持つ顧客基盤とその信頼関係を通じてインドにおける段ボール事業のより一層の拡大を目指しています。ニュージーランドでは、クライストチャーチ市にある段ボール工場の新設・移転を進めています(2021年稼働予定)。
国内では、段ボール需要の伸びが特に大きいと期待される関東において、船橋地区で国内最大規模となる段ボール工場が2020年7月に営業生産を開始しました。さらに、宇都宮地区で段ボール原紙工場敷地内への段ボール工場の移転・新設(2022年10月稼働予定)を決定し、段ボールの原紙加工一貫工場とすることで、より品質の高い製品を持続的かつ効率的に供給する体制を整えます。国内需要の構造的な変化への対応としては、段ボール原紙製造設備の停機・移設等により生産体制の再構築を実施しています。さらに、段ボール原紙・白板紙・包装用紙から段ボール・紙器・製袋まで、素材加工一貫の製造・販売・製品開発・提案等、グループ総合力を活かしたトータルパッケージングを推進しています。その具体的な取り組みの一つとして、包装資材の削減や省人化、配送費削減などにつながる自動包装システム「OJI FLEX PACK’AGE」の提供及びその包装資材である連続段ボールシート「らくだん」の販売を開始しています。この取り組みは、環境への配慮や包装の改善・合理化が評価され、日本ロジスティクスシステム協会主催の2021年度ロジスティクス大賞において「SDGs社会貢献賞」を、日本包装技術協会主催の第45回木下賞においては、「改善合理化部門」を、それぞれ受賞しました。さらに、2021年9月より、野村不動産株式会社による物流業務における課題解決を目的とした企業間共創プログラム「Techrum(テクラム)」へ参画し、ロボティクスやICT、搬送機器などの物流関連技術を有する様々なパートナー企業との連携を図りながらお客様のニーズに合わせた包装ソリューションの提供を進めています。
また、2020年9月より「石塚王子パッケージング株式会社」として、石塚硝子株式会社と協業にて参入した液体紙容器事業では、当社グループと総合容器メーカーである石塚硝子株式会社の経営資源及びノウハウを相互に活用しながら、原紙から飲料パッケージまでの国内一貫生産システムを構築しています。今後も、事業基盤の強化及び新製品開発による新たな事業領域への進出を図り、国内外への販路を広げていきます。
引き続き産業資材事業全般において、素材から加工まで幅広く事業を拡大し、競争力・収益力の向上を図っていきます。
・生活消費財(家庭紙事業、紙おむつ事業)
家庭紙事業では、森林認証を取得した環境配慮型製品や「鼻セレブ」に代表される高品質製品を取り揃えた製品展開により、一層の「ネピア」ブランドの価値向上に努めています。2020年7月に中国の家庭紙原紙製造設備が稼働し、2020年9月からはその原紙を活用した関東地区の新加工拠点も稼働させるとともに、さらに同拠点に自社物流倉庫(2022年8月稼働予定)の設置を決定しています。家庭紙加工拠点と配送拠点の一体化により関東圏での家庭紙・おむつ製品市場の拡大を図っています。
紙おむつ事業の子供用分野では、国内外で統一ブランドとして展開しており、2021年4月に「ストレスフリーおむつ(「肌ストレスフリー」「動きのストレスフリー」「おむつ替えのストレスフリー」)」としてリニューアルを行った「Genki!(ゲンキ!)」とともに、新技術で赤ちゃんの快適性を追求した最高品質のブランド「Whito(ホワイト)」で高品質・高価格帯市場を開拓することにより、おむつ事業においても「ネピア」ブランドの価値向上に努めていきます。特に中国では高付加価値、高価格帯おむつ市場の成長が著しく、品質と性能をさらに高めた「Whito Premium(ホワイトプレミアム)」の販売を2020年10月から開始し拡販を進めています。また、マレーシアでは紙おむつ加工機の新設を含む生産体制再構築により生産能力を増強し、インドネシアでは合弁会社での販売に加え、現地紙おむつ工場の稼働によって、コスト競争力の確保と事業基盤の強化を図り、周辺国を含めて一層の事業拡大を進めています。国内における大人用紙おむつについては、要介護・要支援人口の増加に伴い成長が見込まれていることを受け、福島県に加工機を増設することを決定しています(2022年9月稼動予定)。2021年8月には、利用者の体型の変化に細やかに対応し、フィット性を高めることで、より快適な介護の実現を目指した「ネピアテンダーテープタイプ 小さめLサイズ」を発売しました。引き続き、高齢化が進むわが国の介護現場が抱える課題を解決する商品の開発を進めていきます。
新型コロナウイルス感染症の流行以降、医療現場での資材不足への対応として、医療用ガウンの素材供給を開始するとともに、全ての材料を日本製とし国内にて加工を行ったAll Made in Japanの自社開発医療用ガウン製品の提供も開始しています。さらに、全国的なマスク需要の高まりを受け、同じくAll Made in Japanのマスク製造設備を増設するとともに、より幅広いお客様のニーズに応えるべくラインナップの拡充を進めており、2021年9月には小さめサイズの発売を開始しました。当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大の早期終息に少しでも貢献できるよう今後も努めていきます。
(b) 機能材(特殊紙事業、感熱紙事業、粘着事業、フィルム事業)
海外では、南米での旺盛な感熱紙需要に対応するため、ブラジルで生産能力をほぼ倍増とする設備増強・増設工事を行うことを決定しています(2021年12月稼働予定)。東南アジア・南米・中東・アフリカ等の新興国市場の経済発展に伴って拡大する需要に応じて、これまで培ってきた「抄紙」や「紙加工(塗工・粘着)」、「フィルム製膜」といった当社グループの強みである基幹技術をベースに新たな事業エリアの拡大を図っていきます。
国内では、パルプ設備の停止等、生産体制の継続的な見直しを行い、競争力・収益力を高めることで既存事業の基盤を強化しています。また、三菱製紙株式会社との協業ではノーカーボン紙事業の譲渡(2020年9月)、プレスボード事業の譲受(2021年10月)をそれぞれ実施しました。これらの施策は、機能材市場の需要構造の変化に応じて王子グループ及び三菱製紙株式会社における経営資源の選択と集中を進め、両者の生産性と収益性の改善、及び競争力の強化を図るものです。また、脱炭素社会への転換がグローバルに進行し電動車(電気、ハイブリッド、プラグインハイブリッド及び燃料電池用)が急速に普及していることを受け、電動車のモーター駆動制御装置のコンデンサに用いられるポリプロピレンフィルムの生産設備を滋賀県に増設することを決定しています(2023年稼働予定)。
今後も、高機能・高付加価値製品の迅速な開発を継続し、また、研究開発型ビジネスのたゆまざる追求により新たな事業領域拡大に取り組んでいきます。
(c) 資源環境ビジネス(パルプ事業、エネルギー事業、植林・木材加工事業)
パルプ事業では、パルプ市況の変動に耐え得る事業基盤を強化するため、主要拠点において戦略的収益対策を継続して実施しています。ニュージーランドのOji Fibre Solutions社では当社グループのノウハウや操業管理手法等を導入・活用し、操業の安定化及び効率化対策に取り組み、ブラジルのCelulose Nipo-Brasileira社では製造設備の最新鋭化等による継続的な収益対策を進めています。国内の溶解パルプ事業ではレーヨン用途向け製品に加えて、医療品材料や濾過材用途等の高付加価値品の生産を行い、収益力の強化を進めています。なお、2021年5月にCelulose Nipo-Brasileira社の親会社である日伯紙パルプ資源開発株式会社が、非支配株主が保有する株式を自己株式として取得しました。これにより当社グループが同社の全議決権を保有することになり、グループ経営基盤の強化及び機動的な事業運営を図り、パルプ事業の生産・販売をより一層強化していきます。
エネルギー事業では、再生可能エネルギーの利用拡大を目指しさらなる事業拡大を進めており、伊藤忠エネクス株式会社と合弁で徳島県にバイオマス発電設備を建設することを決定し、2022年9月の稼働に向けて準備を進めています。また、エネルギー事業の拡大に合わせバイオマス燃料事業の強化を進めており、国内では未利用木材資源を活用した燃料用チップの調達増、海外ではインドネシアやマレーシアにおける燃料用パーム椰子殻の調達増に向けた取り組みを行っています。
植林・木材加工事業では、アジア・オセアニア・ブラジル地域を中心に持続可能な森林資源の確保及び生産能力増強に取り組んでいます。また、中国・東南アジアに設立した販売拠点で、パルプ・木材製品等の拡販を進めています。
(d) 印刷情報メディア(新聞用紙事業、印刷・出版・情報用紙事業)
国内では、新型コロナウイルス感染症流行により人々の生活様式が変化しており、また企業においてもテレワークの活用等、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが加速しています。これら事業環境の変化に伴うグラフィック用紙市場への影響を見極め、生産性・稼働率の向上等を図るべく洋紙マシンの停止や段ボール原紙マシンへの改造による最適生産体制の構築及び保有設備の有効活用を進め、国際競争力の強化を進めるとともにキャッシュ・フローの増大を図っており、2021年10月には王子製紙苫小牧工場にて新聞用紙マシンから改造した段ボール原紙マシンが営業運転を開始しました。また、既に実施している交錯輸送の解消によるコストダウン等、三菱製紙株式会社との業務提携効果をさらに発現させ、競争力・収益力の向上を図っていきます。
また、中国では数少ない紙パルプ一貫生産体制の強みを最大限に活かしたコストダウンを継続して行い、さらなる競争力強化に取り組んでいます。
(e) イノベーションの推進と持続可能な社会の実現に向けた取り組み
当社グループは、「環境・社会との共生」の経営理念の下、環境経営の推進を掲げ、環境と調和した企業活動を展開しており、また、「革新的価値の創造」を行うべく、柔軟かつ効率的な研究開発活動を充実させ、新たなニーズの探索に取り組み、イノベーションの推進による新製品・新事業の創出を進めています。これらの活動により、真の豊かさと持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
次世代素材として幅広い産業に応用が期待されているセルロースナノファイバー(CNF)については、生コンクリートの圧送先行剤用添加剤や、化粧品原料「アウロ・ヴィスコCS」の化粧品メーカーでの採用に加え、グローバルに大きな市場がある工業用製品向け添加剤としても採用されています。また、CNFシートの卓球ラケット本体への採用拡大等、多方面での活用が進んでいます。さらに、自動車の窓ガラス用途での開発を進めているCNFとポリカーボネートを複合した樹脂ガラスは、無機ガラスに比べて軽量なため、走行時のCO2排出量削減に寄与するものとして期待を集め、実用化に向けた取り組みを継続しています。今後は、ポリカーボネート以外の汎用樹脂との複合化についても技術開発を積極的に推し進めCNFの普及に貢献していきます。
地球規模の課題である気候変動や海洋プラスチック問題への対応として、プラスチックに替わる紙パルプ製品の需要が高まっている中、環境配慮型素材・製品の開発に積極的に取り組んでいます。紙マーク対応製品であるマルチバリア紙「SILBIOシリーズ」は、水蒸気と酸素の両方にバリア性を有する既存の「SILBIO BARRIER」に加え、2021年9月にバリア性、遮光性を高めた「SILBIO ALBA」、ヒートシール性や中身が見える機能を付与した「SILBIO CLEAR」、シーラントが不要で容易なヒートシール機能に特化した「SILBIO EZ SEAL」など、特徴的な3製品をラインナップに加えました。これにより、「SILBIO BARRIER」ではカバーできなかった軽包装の幅広い用途への対応が可能となりました。またプラスチック代替として、当社グループ紙製品がマレーシアにおいてNestlé Group製品のパッケージ素材に採用されました。今回でNestlé社への採用はタイ、日本に続き3か国目となり、より幅広い普及が実現しました。また、滑らかな表面と自由な立体成形性が特徴のパルプモールド製品「PaPiPress」においても様々な分野のお客様からの引き合いに対応し、2021年6月には全日本空輸株式会社(ANA)の国際線エコノミークラスでの機内使用紙コップ蓋に、7月にはアルビオンの化粧品容器に採用されました。今後もさらなる展開を進めていきます。
プラスチック代替となるバイオマス素材の製造技術についても開発中です。石油資源を原料とする従来のプラスチックに替わり、植物を起点とした糖液(グルコース)から、乳酸やエタノールを製造し、さらにポリ乳酸やポリエチレンを製造する実証試験を進めています。これにより、化石燃料由来のCO2排出を抑制し、地球温暖化防止についても貢献することを目指していきます。また、当社の二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)製造で培った原料樹脂の混合技術と高度な製膜技術を駆使し、植物由来原料のポリ乳酸樹脂を配合した環境配慮型OPPの開発に成功しました。従来のOPPの特徴である強度や耐熱性を損なわず、また、植物由来のポリ乳酸を配合することにより石油由来のポリプロピレンの使用量が削減されバイオマス認証の取得も可能です。私たちの暮らしに欠かせないプラスチックフィルムを石油由来から資源循環型の素材に切り替えていくことで、環境問題の解決へ貢献していきます。
木質由来の成分であるヘミセルロースにおいては、化学合成した「硫酸化ヘミセルロース」の医薬品化を王子ファーマ株式会社が進めています。また、同じく木質由来の医薬品開発を進める株式会社レクメドへの出資を実施し、共同開発を進めています。今後も、大学や製薬企業との連携を推進し、木質資源由来の医薬品開発を推進していきます。
水処理技術の分野では、当社グループが長年培ってきた技術や操業ノウハウを活かした幅広いニーズに対応できる水処理システムを提供し、工業・生活用水の製造設備や排水処理設備が国内外で採用されています。また、これらの設備にIoT技術を活用した遠隔監視機能を組込むことにより最適な水処理設備の運用のサポートを可能にしています。今後も、安定した技術を提供し限りある水資源を有効活用することで、持続可能な社会の実現を目指します。
なお、当社グループは、環境問題を経営の最重要課題の一つと位置づけており、環境に関する長期ビジョンとして「環境ビジョン2050」を、また、その達成に向けて、2030年度を目標達成年度とし2021年度より取り組みを開始する「環境行動目標2030」を新たに制定しました。「環境ビジョン2050」の中核は、森林保全・植林を通じ、森林のCO2吸収固定能力を最大限に活用しながら、製造部門・物流部門の徹底した省エネルギー化と、再生可能エネルギー利用量の拡大等にも取り組み、2050年のネット・ゼロ・カーボン(温室効果ガス(GHG)排出の実質ゼロ)を目指すものです。その過程として、2030年度までにGHG排出量について2018年度対比70%以上の削減目標を設定し、併せて、資源の有効活用の推進や様々な環境負荷の低減、生物多様性の維持保全等について、総力を挙げて取り組み持続可能な社会の実現に貢献していきます。さらに、当社グループは、各国の金融関連省庁及び中央銀行からなる金融安定理事会により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するために設置した気候変動関連財務情報開示タスクフォース(以下TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に賛同しました。今後は、TCFDの提言に基づいた「気候変動が事業に与えるリスク・機会」について、ガバナンス・戦略・リスク管理等を俯瞰した情報開示を進めていきます。
また、中長期的な企業価値向上を図り、持続的発展を遂げるため、多様な人材が活躍できるよう働き方改革とダイバーシティの推進に取り組んでいきます。
多様なステークホルダーとの信頼関係を構築しながら、経営の効率性、健全性及び透明性を確保し、企業価値の向上と社会から信頼される会社を実現するため、コーポレートガバナンスの充実を経営上の最重要課題の一つと位置づけ、継続的に強化に努めていきます。
当社グループはこれらの諸施策を通じて、社会に様々な価値を提供し、持続可能な開発目標(SDGs)達成の貢献をするとともに、常に時代のニーズを先取りしイノベーションに挑戦して持続的に成長する企業グループを目指していきます。
(4) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、4,594百万円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第2四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。