文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものですが、予測しえない経済状況の変化等さまざまな要因があるため、その結果について当社が保証するものではありません。
(1)企業集団の経営戦略
当社グループは、「革新的価値の創造」、「未来と世界への貢献」、「環境・社会との共生」を経営理念とし、「領域をこえ 未来へ」向かって、中長期的な企業価値向上に取り組んでいます。
これらの経営理念の下、「森のリサイクル」、「紙のリサイクル」、「水のリサイクル」という、バリューチェーンを通じた3つの資源循環を引き続き推進し、事業を通じて社会に対し価値を提供していくことで、真に豊かな社会の実現に貢献していきます。また、企業存続の根幹である「安全・環境・コンプライアンス」を経営の最優先・最重要課題と認識しており、労働災害リスクの撲滅、環境事故の防止、企業としての社会的責任を果たすための法令遵守等、経営層から世界中の従業員まで確実に浸透させる取り組みを続けていきます。
近年の経営環境は大きくかつ急速に変化していますが、変わり続ける時代のニーズを充足し、新しい未来を支えるモノづくりを行い、持続可能な社会の発展を目指していきます。現在取り組んでいる2019年度から2021年度を対象とする中期経営計画では、「国内事業の収益力アップ」、「海外事業の拡充」、「イノベーションの推進」をグループ経営戦略の基本方針に据え、「持続可能な社会への貢献」を通じて連結営業利益1,000億円以上を安定的に継続するグローバルな企業集団を目指すにあたり、これまでと同様、事業の選択と集中を進め、当社グループ全体としての最適生産体制を築くと同時に、成長が見込まれる有望事業の強化や新しい軸となり得る新規事業の創出に取り組んでいきます。一方で、経営環境の変化には迅速かつ的確に対応していきます。これまで、世界情勢、国内情勢を機敏に察知し、先回りして様々なアクションを取りながら、多彩なポートフォリオを築いてまいりました。幅広く展開している事業の領域、地域の領域、そのそれぞれが補完し合い、相乗効果を生み、さらなる成長を追求できるよう、これまで以上に強靭で外部環境に対する耐性を持った事業ポートフォリオの構築を推し進めていきます。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は内外経済を下振れさせており、当社グループにつきましても、国内外で印刷用紙を中心に足元で需要が落ち込んでいます。今後は緩やかに回復するものと思われますが、引続き、グループ経営戦略に沿った諸施策を着実に推し進め、収益力の強化、中長期的な企業価値向上に努めてまいります。
なお、当中期経営計画の最終年度である2021年度の経営数値目標は以下のとおりです。
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2021年度経営目標 |
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連結営業利益 |
海外売上高比率 |
ROE |
ネットD/Eレシオ※ |
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1,500億円以上 |
40% |
10.0% |
0.7倍 (2018年度実績を維持) |
※ネットD/Eレシオ=純有利子負債残高/純資産
「国内事業の収益力アップ」では、国内需要の変化に応じて生産体制再構築や保有設備の有効活用等によって資本効率化を図る一方、有望事業に経営資源を集中し、キャッシュを稼ぐ力を強化いたします。「海外事業の拡充」では、既存拠点からの有機的拡大や事業、拠点間シナジーの創出を進めていきます。また、「イノベーションの推進」では環境・社会ニーズに対応した新事業・新製品の開発推進と早期事業化を図り、これらの取り組みを通して「持続可能な社会への貢献」を進めていきます。
具体的には以下の取り組みを行っています。
(a)生活産業資材
・産業資材(段ボール原紙・段ボール加工事業、白板紙・紙器事業、包装用紙・製袋事業)
海外においては、事業基盤をより強固なものとするため、マレーシアで段ボール原紙マシンの増設(2021年4月稼働予定)とエネルギー供給及び用排水設備更新を進めています。また、2019年7月にベトナムで5箇所目、2020年2月にカンボジアで3箇所目、2020年3月にインドで4箇所目の段ボール工場が稼働し、インドネシアでは初となる段ボール工場(2020年中稼働予定)の建設を進めています。さらに、ニュージーランドでは、クライストチャーチ市にある段ボール工場の新設・移転を進めています(2021年上期稼働予定)。今後も、東南アジア・インド・オセアニアにおける事業展開をさらに進めるために、既存の現地拠点からの有機的拡大を図っていきます。
国内では、段ボール需要の伸びが特に大きいと期待される関東において国内最大規模の段ボール工場を船橋地区で建設(2020年7月より営業生産開始予定)を進めるとともに、段ボール原紙についても製造設備の停機・移設等により生産体制の再構築を実施し、国内需要の構造的な変化に対応しています。また、グループ全体のパッケージングに関する研究開発を一元的に担うパッケージング推進センターを中心に、段ボール原紙・白板紙・包装用紙から段ボール・紙器・製袋まで一貫した製造・販売・製品開発・提案等のトータルパッケージングを推進しています。その具体的な取り組みの一つとして、次世代の包装ソリューションとして包装資材の削減や省人化、配送費削減などにつながる「OJI FLEX PACK’AGE」の提供及びその包装資材である連続段ボールシート「らくだん」の販売を開始しました。
また、2019年12月に石塚硝子株式会社と紙容器関連事業に協同で取り組み、本事業に参入することを決定しました。経営資源及びノウハウを相互に活用して、本事業の基盤強化及び新製品開発による新たな領域への進出を図るとともに、世界的な環境意識の高まりを背景に拡大する紙素材のニーズに対応していきます。
全国に広がる販売チャネルと素材・加工一貫による提案力を軸に幅広く事業を拡大し、競争力・収益力の向上を図っていきます。
・生活消費財(家庭紙事業、紙おむつ事業)
家庭紙事業では、森林認証を取得した環境配慮型製品や「鼻セレブ」に代表される高品質製品を取り揃えた製品展開により、一層の「ネピア」ブランドの価値向上に努めています。また、昨年開始した三菱製紙株式会社との家庭紙合弁事業では、同社八戸工場の充実したインフラや東北地区で初となる家庭紙事業拠点の立地を生かした拡販と物流合理化等を進めています。さらに2020年7月から中国の家庭紙原紙製造設備、2020年8月からその原紙を活用した関東地区の新加工拠点が稼働する予定となっており、首都圏での拡販を進めて市場プレゼンスを高めるとともに、今後も安定した需要が期待される家庭紙事業の拡大を図っていきます。
紙おむつ事業の子供用分野では、国内外の統一ブランドとして展開しており、2020年5月にリニューアルを行った「Genki!(ゲンキ!)」の拡販に加えて、新技術で赤ちゃんの快適性を追求した最高品質のブランド「Whito(ホワイト)」で高品質・高価格帯市場を開拓することにより、おむつ事業においても「ネピア」ブランドの価値向上に努めていきます。中国では「Genki!(ゲンキ!)」に加え「Whito(ホワイト)」の販売を開始し拡販に努めており、マレーシアでは2拠点での製造販売を展開しています。さらにインドネシアでは合弁会社での販売に加え、2020年1月に現地紙おむつ工場が稼働することで、コスト競争力の確保と事業基盤の強化を図るなど、周辺国を含めて一層の事業拡大を図っています。大人用紙おむつについては、高齢化が進むわが国の介護現場が抱える課題を解決する商品の開発を続けていきます。
(b)機能材(特殊紙事業、感熱紙事業、粘着事業、フィルム事業)
東南アジアでの中心事業である感熱紙・粘着紙については、原反生産・販売の川上事業をより強固で確実なものとするため、マレーシアで感熱紙・粘着紙の加工・印刷及び販売を行う川下事業会社のM&Aにより素材加工一体型ビジネスを推し進め、エンドユーザーニーズを適時的確に把握し、事業領域の拡大を図っています。
また、ブラジルでは南米での旺盛な感熱紙需要に対応するため、生産能力をほぼ倍増とする設備増強・増設工事を行うことを決定しました(2021年12月完成予定)。今後も東南アジア・南米・中東・アフリカ等の新興国市場の経済発展に伴って拡大する需要に応じて、これまで培ってきた「抄紙」や「紙加工(塗工・粘着)」、「フィルム製膜」といった当社グループの強みであるコア技術を梃子に新たな事業エリアの拡大を図っていきます。
国内については、生産体制の継続的な見直し等により、競争力・収益力を高めることで既存事業の基盤を強化しています。具体的には2019年11月にノーカーボン紙事業について、生産・販売を三菱製紙株式会社へ完全移管することを決定しました。これは、需要構造の変化や電子化によるノーカーボン紙市場の縮小が続く中、同事業の生産及び販売を三菱製紙株式会社へ集約することで、王子グループでは経営資源の選択と集中を進め、生産性の向上及び競争力の強化を図るものです。一方、三菱製紙株式会社でもシェア拡大と収益性の改善を見込んでいます。
特殊紙事業においては、脱プラスチック化の対応として紙トレー・容器・ストロー等に使用される各種素材の提案を進めています。このほかセルロースを他素材と組み合わせた複合素材や耐熱性・低誘電性に優れた耐熱ガラスペーパーなどの開発を行っており、引き続き様々な分野のニーズに応えるべく新製品の開発・普及を進めていきます。
今後も、コア技術と新素材との融合により、高機能・高付加価値製品の迅速な開発を継続し、また、研究開発型ビジネスのたゆまざる追求により、電気自動車用コンデンサフィルムの拡販等の新たな事業領域の拡大に取り組んでいきます。
(c)資源環境ビジネス(パルプ事業、エネルギー事業、植林・木材加工事業)
パルプ事業では、パルプ市況の変動に耐え得る事業基盤を強化するため、主要拠点において戦略的収益対策を継続して実施しています。ニュージーランドでは、当社グループのノウハウや操業管理手法等を導入・活用し、操業の安定化及び効率化対策に取り組み、ブラジルでは製造設備の最新鋭化等による継続的な収益対策を進めています。国内の溶解パルプ事業ではレーヨン用途向け製品に加えて、医療品材料や濾過材用途等の高付加価値品の生産を開始し、事業拡大を進めています。
エネルギー事業では、さらなる事業拡大を進めており、三菱製紙株式会社との合弁事業によるバイオマス発電設備が2019年に稼働しました。さらに、伊藤忠エネクス株式会社と合弁で徳島県にバイオマス発電設備を建設することを決定し、2022年の稼働に向けて準備を進めています。また、エネルギー事業の拡大にあわせバイオマス燃料事業の強化を進めており、国内では、未利用木材資源を活用した燃料用チップの生産拡大、海外では、インドネシアやマレーシアにおける燃料用パーム椰子殻の調達増に向けた取り組みを行っています。
木材加工事業では、アジア・オセアニア地域を中心に製材製品や木材加工品の仕入販売及び生産能力増強に取り組んでいます。また、中国・東南アジアに設立した販売拠点で、パルプ・木材製品等の拡販を進めています。
2019年11月に原料調達コストの削減を目的として製紙事業の主原料である輸入木材チップについて、中越パルプ工業株式会社並びに三菱製紙株式会社と3社で共同調達を開始しました。これにより、チップ船の効率的な運用、直接貿易の拡大、調達先の最適化、業務の効率化などによるコスト削減を進めていきます。
(d)印刷情報メディア(新聞用紙事業、印刷・出版・情報用紙事業)
国内では、ICT化の進展等に伴う事業環境の変化を見極めつつ、生産性・稼働率の向上等を図るべく洋紙マシンの停止や段ボール原紙マシンへの改造による最適生産体制の構築及び保有設備の有効活用を進め、国際競争力の強化を進めるとともにキャッシュ・フローの増大を図っていきます。また、交錯輸送の解消によるコストダウン等、三菱製紙株式会社との業務提携効果を早期に発現させ、競争力・収益力の向上を図っていきます。
また、中国では数少ない紙パルプ一貫生産体制の強みを最大限に活かしたコストダウンを継続して行い、さらなる競争力強化に取り組んでいます。
(e)イノベーションの推進と持続可能な社会の実現に向けた取り組み
当社グループは、経営理念の一つである「環境・社会との共生」の下、環境経営の推進を掲げ、環境と調和した企業活動を展開しています。柔軟かつ効率的な研究開発活動を充実させ、新たなニーズの探索に取り組み、イノベーションの推進による新製品・新事業の創出を通じて、真の豊かさと持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
次世代素材として幅広い産業に応用が期待されているセルロースナノファイバー(CNF)については、これまで、CNFスラリーの「アウロ・ヴィスコ」がカーケミカル用品の増粘剤や生コンクリートの圧送先行剤として採用されてきました。加えて、2018年にオランダで開催された世界最大級の化粧品原料展でシルバー賞を受賞した「アウロ・ヴィスコCS」を、2019年4月に製品化しました。そして、2019年10月には「東京モーターショー」の環境省ブースにて、CNFとポリカーボネートを複合した樹脂ガラスが自動車部品として展示されました。この複合材は、無機ガラスに比べて軽量なため、自動車重量の大幅な低減効果が期待されています。さらに、当社独自の技術開発により実現したCNFシート「アウロ・ヴェール」が2020年2月に卓球ラケット用素材に採用されました。これらの用途で採用されたスラリー、複合樹脂、シートの他に、有機溶剤に分散可能なCNFパウダーも多様なCNFのラインアップに加え、今後もより幅広い分野での用途開発を進め、CNF実用化を牽引し、市場普及を積極的にリードしていきます。
海洋プラスチック問題への対応として世界中でプラスチックに替わる紙製品の需要が高まっているなか、地球環境に配慮した素材・製品開発に積極的に取り組んでいます。素材の開発においては、生分解性プラスチックとパルプの複合材、再生循環型の包装材料、耐水性・耐熱性を持ったパルプ製トラベラーリッド等の開発を加速し、採用間近の製品も出てきています。プラスチックストローの代替では、耐水性を有するストローの原紙が国内ストローメーカーに採用されました。また、水蒸気と酸素の両方に対してバリア性を有する紙素材「SILBIO BARRIER」は、多くの引き合いに対応し、製品化を進めながら、さらなる機能向上にも取り組んでいます。そして、市場においては、Nestlé Group製品のパッケージ素材に当社グループ紙製品がプラスチック代替として、タイに続き日本でも採用されました。今後もパッケージ素材のサプライヤーとして、地球環境へ配慮した取り組みに貢献していきます。
パルプを原料としたプラスチックの製造についても目下開発中です。従来の石油を原料としたプラスチックから、持続可能なバイオマスを原料としたバイオマスプラスチックに置き換えることにより、化石燃料由来のCO2排出を抑制し、地球温暖化防止に貢献することを目指していきます。一般的なバイオマスプラスチックはトウモロコシなどの可食原料から製造されますが、当社グループのバイオマスプラスチックは非可食である樹木由来のパルプを原料とすることで食品資源との競合を無くし、持続可能な社会にさらに深く貢献していきます。
土木分野においては、従来から仮設資材に利用されていた鋼材や木材の代替として、人と環境に優しく、取扱いが容易な紙素材を活用した仮設施工の生産性向上技術である「KAMIWAZA」を清水建設株式会社と共同開発しました。引き続き、紙素材を活用した新たなソリューションを進めていきます。
また、木質成分の1つであるヘミセルロースにおいては、当社グループの独自技術により抽出・精製した「加水分解キシラン」を上市し、化粧品原料素材として高い評価を受け、2019年1月に製品化しています。さらに、ヘミセルロースを化学的に変化させた新規の「硫酸化ヘミセルロース(既存の医薬品原料であるポリ硫酸ペントサンナトリウムの類似物質)」を医薬品として開発することを進めています。医薬事業への参入に向けた取り組みを加速するため、2020年4月に「王子ファーマ株式会社」を設立し、大学や製薬企業とのコラボレーションを推進しています。
水処理技術の分野では、長年培ってきた用水製造・排水処理技術を活かし、競争力のある水処理システムを実用化しています。当社水処理システムはタイの工業団地で稼働しているほか、新たにミャンマー最大手のビール会社の用水製造設備や、2020年竣工予定のミャンマーの大型複合施設の生活用水製造設備並びに排水処理設備でも採用されました。排水処理設備、工業用水設備、生活用水製造設備の全てにおいて、IoT技術を活用した遠隔監視機能を組み込むことができ、より最適な水処理設備の運用をサポートしています。これからも水処理システムの技術革新を進めながら普及拡大を目指し、国内外の水環境改善に貢献していきます。
今後も地球温暖化対策、生物多様性保全、環境配慮型製品の提供等も含め、地球環境に配慮した取り組みを進めていくとともに、持続可能な森林経営を推進し、木材原料をはじめとする原材料の責任ある調達に努めていきます。
また、中長期的な企業価値向上を図り、持続的発展を遂げるため、多様な人材が活躍できるよう働き方改革とダイバーシティの推進に取り組んでいきます。
多様なステークホルダーとの信頼関係を構築しながら、経営の効率性、健全性及び透明性を確保し、企業価値の向上と社会から信頼される会社を実現するため、コーポレートガバナンスの充実を経営上の最重要課題の一つと位置づけ、継続的に強化に努めていきます。
当社グループはこれらの諸施策を通して、社会に様々な価値を提供し、持続可能な開発目標(SDGs)達成の貢献をすると共に、常に時代のニーズを先取りし、イノベーションに挑戦して、持続的に成長する企業グループを目指していきます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のようなものがあります。
なお、これらはすべてのリスクを網羅的に記載したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在し、それらのリスクが投資家の判断に影響を与える可能性があります。また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
また、リスク管理の体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレートガバナンスの状況等」に記載しています。
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(1)長期的な課題に対するリスク |
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主要なリスクの内容 |
主要なリスクへの主な対応策 |
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気候変動に関するリスク 地球温暖化による気候変動は、異常気象による自然災害の甚大化や、森林の減少・砂漠化、生物の絶滅等、地球規模で深刻なリスクを生じさせます。これらのリスクは、当社グループが保有する森林資産の消失や生産設備の損壊、サプライチェーンの機能不全、規制強化等によるコスト増加等、事業活動の多方面に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループは、『広く地球的視点に立って環境と調和した企業活動を展開し、真に豊かで持続可能な社会の実現への貢献』を王子グループ環境憲章に定め、環境経営を推進しています。 中でも、気候変動に関するリスクへの対応は、世界的に意識が高まっており、当社グループでは、地球の温暖化防止に貢献していくとともに、持続可能な社会に貢献するよう、再生可能エネルギー等への転換、省エネルギー推進等によるGHG排出原単位の削減、植林・森林保全によるCO2の吸収・固定量の拡大、資源の有効活用等、森のリサイクル、紙のリサイクル、水のリサイクルと、バリューチェーンを通じた資源循環に取り組んでいます。 |
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パンデミックに関するリスク 現在、新型コロナウィルスの感染拡大は、世界各国で甚大な影響を及ぼしています。また、今後も同様に、感染症が世界的に拡大した場合、様々な方面で甚大な影響を及ぼすことが想定されます。 このような感染症の拡大は、当社グループに対して影響を及ぼす可能性があります。
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当社グループでは、グループリスク管理基本規程を定め、グループ全体で対応すべき重大な事案が発生した場合には、グループ緊急時対策本部を設置し、従業員の安否確認や被災状況の把握、顧客企業への供給継続のための対応を図ることとしています。また、BCP(事業継続計画)の継続的な見直しや、製造、マーケティング、事務処理等へのデジタルトランスフォーメーションの推進などにより、事業活動への影響を最小化するよう努めていきます。 なお、今回の新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、資金については、従来から締結している取引銀行との貸出コミットメントライン契約に加え、現預金残高の積み上げにより一定程度の手許流動性を確保しています。 |
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(2)グループ経営戦略に関するリスク
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主要なリスクの内容 |
主要なリスクへの主な対応策 |
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イノベーションの進展による構造的な需要の変容 ICTの急速な進展や普及拡大による新聞・印刷情報用紙の市場縮小といった構造的な需要の変容は、製品の販売数量の減少や販売価格の低下を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に対し影響を及ぼす可能性があります。また、長期的なトレンドでの需要減少による収益力の低下は、投資回収期間の長期化による設備更新の遅れ、調達量の減少による原料調達活動の非効率化、余剰設備の停止等にも繋がり、当社グループの事業ポートフォリオそのものに影響を及ぼす可能性があります。
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当社グループでは、中期経営計画として「国内事業の収益力アップ」「海外事業の拡充」を掲げ、新聞・印刷情報用紙等、市場が縮小している国内事業については、生産体制再構築等の取り組みや、業界他社と輸入チップを共同調達する等、コスト削減を徹底しつつ効率的な設備投資により、キャッシュ・フローの確保に努め、得られたキャッシュを需要の伸びが期待できる国内事業や海外において経済発展が見込まれる地域への投資、及び新素材の製品開発等に振り向け、ポートフォリオの拡充を図っています。また、その他にも中長期的な企業価値向上を図り、持続的発展を遂げるため、多様な人材が活躍できるよう働き方改革とダイバーシティの推進にも取り組んでいきます。 |
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需要の変動によるリスク 国内における景気の変動や、人口の継続的な減少等は、当社グループの製品需要に影響を及ぼす可能性があります。需要の減少により、販売数量の減少や販売価格の低下が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に対し影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、徹底したコストダウン等により市況変動に耐え得る事業基盤の強化に取り組んでいます。 また、産業資材分野においては、トータルパッケージングの推進や、素材・加工一貫経営によって製品開発力を強化することにより他社との差別化を図り、需要が変動した場合でも販売への影響を抑制するとともに、コスト競争力を確保する取り組みを行っています。その他の事業分野でも、プラスチック容器代替となる紙製品や新たな特性を付与した機能紙等、新製品の開発を進め、収益の向上に努めています。 |
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国際市況の変動に関するリスク 当社グループのチップ・重油等の原燃料調達価格は、需要動向や各国の貿易政策の変化、国際紛争等の影響を受け変動します。また、各種パルプの販売価格は国際市況価格と連動します。これらの価格変動は、当社グループの財政状態及び経営成績に対して影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、原燃料調達関連市場のモニタリングや多様な調達先の確保等に努め、有利調達を推進するため、当社グループ横断的に調達戦略を担う部門を設置しています。 また、「王子グループ・パートナーシップ調達方針」を定め、サプライチェーン全体で原材料の安全性・合法性を確認し、さらなる環境や社会に配慮した調達活動に取り組むとともに、サプライヤーとの関係を強化しつつ、安定調達を図っています。 古紙の調達については、古紙リサイクルシステムの維持に努めるとともに、関係各社との関係強化により、古紙の安定調達を図っています。 これらの取り組みやコストダウン等の推進により国際市況変動影響の緩和に努めています。 |
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海外事業に関するリスク 当社グループでは、中期経営計画として「海外事業の拡充」を掲げ、経済発展が見込まれる地域への事業進出を進めています。しかしながら、これらの地域の一部の国では、政治・社会情勢の不安、経済成長の鈍化、法規制・税制等の改定、金融情勢の不安定化等のリスクがあり、当社グループの現行の海外プロジェクトや将来の計画に対して影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、周辺国の政治・経済・社会情勢に関する情報収集を専門的に行う地域統括会社を設置し、リスクが顕在化する前に、先回りした対応が取れるように努めています。また、事業展開においては、幅広い国々に展開することにより、リスクを分散しています。さらに、現地の有力企業と合弁で事業展開をすることにより、情報収集力を高めるとともに、投資額を抑制し、かつリスク低減を図っています。金融リスクに対しては、状況に応じて、デリバティブの活用による為替変動影響の緩和策の実施やグループファイナンス等の活用により手許流動性を確保しています。 |
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(3)事業遂行の過程で発生するリスク |
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主要なリスクの内容 |
主要なリスクへの主な対応策 |
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災害等の発生リスク 当社グループは、災害等による影響を最小限に留めるための万全の対策をとっていますが、災害等によるすべての影響を防止・軽減できる保証はありません。当社グループは、国内外に多くの生産拠点を持ち、各々が多くの取引先とサプライチェーンで繋がっています。そのため、甚大な被害をもたらす自然災害等は、当社グループに対し、その影響を直接的、間接的に与えます。また、火災や労働災害、環境事故等の不測の事態が発生する可能性もあります。 災害等による影響を防止・軽減できなかった場合、事業活動の停滞、停止等により、当社グループの財政状態及び経営成績に対して影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、災害等による事業中断リスクに対して、BCP(事業継続計画)を策定するとともに、防災教育や防災訓練を定期的に実施しています。また、グループ防災事務局を常設し、最新情報を迅速に入手できる体制を整えるとともに、災害における事例の原因や対策を当社グループ内で横断的に情報共有し、被害極少化に努めています。環境面では、環境規制値よりも自主管理値を厳しく設定する等、環境事故の防止に努めています。安全面では、生産設備の安全対策や安全作業手順書の整備、周知徹底を図るとともに、安全衛生管理体制を構築し、労働災害の防止に努めています。 |
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法規制等に関するリスク 当社グループの事業は、環境関連、知的財産、製品及び原材料の品質・安全性、競争関連、労働関連、税務関連等の様々な法規制等の適用を受けており、それらの法規制等を遵守し、事業活動を行っていますが、グローバル化の進展により国内だけでなく、様々な国の法規制等への対応が必要となってきており、法規制等について、遵守できなかった場合や変更・改正があった場合、当社グループに対して財政状態及び経営成績に対して影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、コンプライアンスの遵守は、当社グループの企業活動における重要経営課題の中でも最上位に位置づけています。「王子グループ企業行動憲章・行動規範」は国内だけでなく、各海外拠点においてもそれぞれの言語に翻訳、周知し、実践に努めるとともに、所管する部門が中心になって法規制等についての研修を行う等、法令違反となる行為が発生しないよう、徹底を図っています。 |
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訴訟等に関するリスク 当社グループの事業の過程で訴訟、紛争、その他の法的手続きの対象となった場合、訴訟等のリスクにさらされる可能性があります。訴訟等の結果によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に対して影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループへの訴訟等に対しては、取引先との協議や契約内容の明確化により紛争を未然に防止するとともに、訴訟等を受けた場合は、弁護士事務所と連携し、対応する体制を整備しています。 また、訴訟等によりレピュテーションに悪影響を及ぼす事象が生じた場合は、対象の事象に迅速に対応するとともに、必要に応じて適切な情報を公表し、当社グループのレピュテーションの維持に努めます。 |
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製造物責任に関するリスク 当社グループの製品は、製造物責任に基づく損害賠償請求を受ける対象となっています。現在のところ重大な損害賠償請求を受けていませんが、将来的に直面する可能性があります。なお、製造物責任に係る保険(生産物賠償責任保険)を付保していますが、当社が負う可能性がある損害賠償責任を補償するには十分ではない可能性があります。 |
当社グループでは、グループ品質管理規程を定め、品質管理体制を構築し、関連法規の遵守及び自主管理値に従った品質設計及び製造を行うことで、安全・安心な製品の提供を行っています。 また、グループ製品安全管理規程を定め、グループ各社の品質管理部門が行う製品の安全管理を、グループ横断的に統括する部門が支援及び監査を行い、製造物責任に関するリスクの発生防止に努めています。 |
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為替変動リスク 当社グループは、東南アジア、中国、ブラジル、ニュージランド等、世界各地に拠点を持ち、製品販売、原材料調達等の事業活動において、様々な通貨を用いて取引を行っており、為替レートの変動は、当社グループの財政状態及び経営成績に対して影響を及ぼす可能性があります。 また、連結財務諸表は、日本円で表示するため、為替レートの変動により換算額に影響を受けます。 |
為替の動向や当社グループの業績への影響等を適宜モニタリングし、必要に応じ、先物為替予約取引や通貨オプション取引及び通貨スワップ取引等のデリバティブを活用してヘッジを行います。 また、国内においては、外貨建ての営業債権と外貨建ての営業債務をグループ国内会社間で相互に融通しあうことで、為替変動リスクの一定部分をヘッジしています。 |
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情報漏洩に関するリスク 当社グループでは、販売管理、操業管理等、様々な活動で情報システムを活用しており、外部からのサイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により、機密情報が流出する可能性があります。このような事態が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、グループ情報システム利用・リスク管理規程により、リスク管理運用体制・組織及びその役割について明確化するとともに、情報システム利用者が遵守すべき事項を網羅的に定めることにより、グループ横断的なリスク管理を行っています。また、機密性の高い情報については、規程による利用方法の厳格化を行い、不正アクセス、データ盗取、メールのなりすまし等に対する防止策等を講じています。 |
(1)経営成績等の状況及び経営者の視点による分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものですが、予測しえない経済状況の変化等さまざまな要因があるため、その結果について当社が保証するものではありません。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計方針に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計上の見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を総合的に勘案して合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社は、特に以下の会計上の見積りが、当社の連結財務諸表に重要な影響を与えるものと考えています。
(a)固定資産の減損
当社グループは、有形固定資産、のれんを含む無形固定資産等について、資産又は資産グループの減損の兆候の有無を判定しています。資産又は資産グループが減損している可能性を示す兆候が存在する場合には、当該資産又は資産グループの回収可能価額の見積りを行っています。資産又は資産グループの回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額としており、資産又は資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回るものについて、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該損失を減損損失として認識しています。使用価値の算定にあたっては、資産又は資産グループの経済的残存使用年数や将来キャッシュ・フロー、割引率等について、一定の仮定に基づいています。当社グループは、これらの仮定は経営者の最善の見積りと判断により決定しており適切であると考えていますが、将来の事業計画や経済条件等の変化によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、将来の連結財務諸表において認識する金額に影響を与える可能性があります。
(b)繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、将来減算一時差異、繰越欠損金及び未使用の繰越税額控除について、それらに係る税金の額から将来の会計期間において回収が見込まれない税金の額を控除して繰延税金資産を計上しています。この計上は、経営者の最善の見積りと判断により決定しており適切であると考えていますが、将来の事業計画等状況の変化や関連法令の改正・公布によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、将来の連結財務諸表において認識する金額に影響を与える可能性があります。
(c)退職給付費用及び退職給付に係る負債
当社グループは、従業員の退職給付に備えるため、連結会計年度末における見込額に基づき、退職給付債務から年金資産の額を控除した額を計上しています。退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上の仮定に基づいて算出しています。この仮定には割引率、年金資産の長期期待運用収益率、退職率、死亡率等が含まれています。当社グループは、これらの仮定は経営者の最善の見積りと判断により決定しており適切であると考えていますが、経済状況の変化による割引率や死亡率等の変化によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、将来の退職給付費用及び退職給付に係る負債に影響を与える可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期を含む仮定に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表(1) 連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。
②経営成績に関する説明
当社グループは、2019年度から2021年度を対象とする中期経営計画において、「国内事業の収益力アップ」、「海外事業の拡充」、「イノベーションの推進」をグループ経営戦略の基本方針に据え、「持続可能な社会への貢献」を通じ、連結営業利益1,000億円以上を安定的に継続するグローバルな企業集団を目指しています。
このような基本方針のもと、国内事業では、需要の構造的な変化に対応すべく、生産体制の再構築を行うことで資本の効率化を進める一方、有望事業には経営資源を集中し、キャッシュを稼ぐ力の強化に取り組みました。また、海外事業では、海外拠点数の拡大に加え、既存のインフラを活用した新事業の展開等、既存拠点からの有機的拡大を図るとともに、事業・拠点間のシナジー創出を進めました。
当連結会計年度の売上高は、国内事業では価格の修正効果等がありましたが、海外事業でパルプ市況の軟化影響等があり、前期を434億円(△2.8%)下回る15,076億円となりました。なお、当社グループの海外売上高比率は、前期を2.1ポイント下回る29.9%となりました。
営業利益は、国内事業では増益だったものの、海外事業は減益となり、前期を41億円(△3.7%)下回る1,061億円となりました。
営業外損益は、持分法による投資利益の減少等により、前期に対し130億円の減益となり、経常利益は前期を171億円(△14.4%)下回る1,013億円となりました。
特別損益は、減損損失の減少等により、前期に対し244億円の増益となり、税金等調整前当期純利益は前期を73億円
(+8.1%)上回る981億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期を62億円(+11.9%)上回る582億円となりました。
なお、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は内外経済を下振れさせており、当社グループにつきましても、国内外で印刷用紙を中心に足元で需要が落ち込んでいます。今後は緩やかに回復するものと思われますが、引続き、グループ経営戦略に沿った諸施策を着実に推し進め、収益力の強化、中長期的な企業価値向上に努めてまいります。
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち、経済的特徴、製品の製造方法又は製造過程、製品を販売する市場又は顧客の種類等において類似性が認められるものについて集約を実施し、「生活産業資材」、「機能材」、「資源環境ビジネス」、「印刷情報メディア」の4つとしています。報告セグメントに含まれない事業セグメントは、「その他」としています。
各セグメントの主要な事業内容は以下のとおりです。
生活産業資材・・・・・ 段ボール原紙・段ボール加工事業、白板紙・紙器事業、包装用紙・製袋事業、
家庭紙事業、紙おむつ事業
機能材・・・・・・・・ 特殊紙事業、感熱紙事業、粘着事業、フィルム事業
資源環境ビジネス・・・ パルプ事業、エネルギー事業、植林・木材加工事業
印刷情報メディア・・・ 新聞用紙事業、印刷・出版・情報用紙事業
その他・・・・・・・・ 不動産事業、エンジニアリング、商事、物流 他
○生活産業資材
当連結会計年度の売上高は、前期比0.7%増収の6,861億円、営業利益は、製品の価格修正効果により、同82.7%増益の409億円となりました。
国内事業では、段ボール原紙・段ボールは食品・通販向け等が堅調に推移し、販売量が前年に対し増加しました。白板紙は国内・輸出販売共に販売量が前年に対し減少しました。包装用紙は、国内販売は自動車用や輸出関連製品の需要減により、販売量が前年に対して減少しました。輸出販売は前年に対し減少しました。紙おむつは、子供用おむつは国内販売が減少しましたが、輸出販売は販売量が前年に対し増加しました。大人用おむつは、販売量が前年に対し減少しました。家庭紙は王子製紙株式会社春日井工場の火災による操業停止等の影響により、販売量が前年に対し減少しましたが、売上高は価格修正効果により前年に対し増加しました。
海外事業では、段ボール原紙は、東南アジアにおいて販売量が前年に対し増加しましたが、売上高は市況軟化の影響により減少しました。オセアニアでは販売量が前年に対し減少しました。段ボールは、東南アジアでは飲料・加工食品関連を中心に堅調に推移しました。オセアニアでは販売量が前年に対しほぼ横ばいでした。紙おむつは、中国ではWhitoの拡販及びECサイトでの販売好調、マレーシアでは自社ブランド品の浸透、インドネシアでは拡販の継続により、それぞれ販売量が前年に対し大幅に増加しました。
連結売上高: 6,861億円(前期比 0.7%増収)
連結営業利益: 409億円(前期比 82.7%増益)
○機能材
当連結会計年度の売上高は、前期比4.2%減収の2,147億円、営業利益は一部製品の減販影響等により、同16.4%減益の154億円となりました。
国内事業では、特殊紙の国内販売は新製品開発・新規顧客開拓を進めましたが、電子・工業部門向け等が低調に推移し、販売量が前年に対し減少しました。輸出販売は、中国・韓国経済の減速影響等により、販売量が前年に対し減少しました。感熱紙は、堅調に推移し販売量が前年に対し増加しました。
海外事業では、感熱紙は、欧州・東南アジアにおいて販売量が前年に対し減少しましたが、北米・南米では販売量が前年に対し増加しました。
連結売上高: 2,147億円(前期比 4.2%減収)
連結営業利益: 154億円(前期比 16.4%減益)
○資源環境ビジネス
当連結会計年度の売上高は、前期比12.5%減収の2,856億円、営業利益はパルプ市況軟化の影響等により、同55.4%減益の288億円となりました。
国内事業では、パルプ事業は販売量が前年並みでした。エネルギー事業は青森県八戸市においてエム・ピー・エム・王子エコエネルギー株式会社がバイオマス発電設備を稼働したことにより、売電量が前年に対し増加しました。
海外事業では、パルプ事業は販売量が前年に対し増加しましたが、売上高は市況軟化の影響等により減少しました。
連結売上高: 2,856億円(前期比 12.5%減収)
連結営業利益: 288億円(前期比 55.4%減益)
○印刷情報メディア
当連結会計年度の売上高は、前期比3.4%減収の2,927億円、営業利益は製品の価格修正効果等により、同161億円増益の113億円となりました。
国内事業では、新聞用紙は発行部数減及び頁数減の影響等により、販売量が前年に対し減少しました。印刷・情報用紙は需要減の影響等により、販売量が前年に対し減少しました。
海外事業では、江蘇王子製紙有限公司が印刷用紙の販売量を伸ばしましたが、売上高は市況軟化の影響等により減少しました。
連結売上高: 2,927億円(前期比 3.4%減収)
連結営業利益: 113億円(前期は48億円の連結営業損失)
○その他
当連結会計年度は、売上高はエンジニアリング事業及び不動産事業の減収により前期比1.6%減収の2,894億円、営業利益は、同8.8%減益の90億円となりました。
連結売上高: 2,894億円(前期比 1.6%減収)
連結営業利益: 90億円(前期比 8.8%減益)
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比(%) |
|
生活産業資材 |
728,617 |
0.5 |
|
機能材 |
200,278 |
△4.7 |
|
資源環境ビジネス |
210,029 |
△13.1 |
|
印刷情報メディア |
269,358 |
△6.6 |
|
報告セグメント計 |
1,408,283 |
△3.9 |
|
その他 |
9,051 |
2.3 |
|
計 |
1,417,335 |
△3.8 |
(注)1.生産高は自家使用分を含めて記載しています。
2.金額は販売価格によるものであり、消費税及び地方消費税を含みません。
(b)受注実績
当社グループは、エンジニアリング等一部の事業で受注生産を行っていますが、その割合が僅少であるため、記載を省略しています。
(c)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
|
生活産業資材 |
631,606 |
0.6 |
|
機能材 |
200,709 |
△4.1 |
|
資源環境ビジネス |
239,667 |
△11.5 |
|
印刷情報メディア |
251,837 |
△2.2 |
|
報告セグメント計 |
1,323,820 |
△3.0 |
|
その他 |
183,787 |
△1.0 |
|
計 |
1,507,607 |
△2.8 |
(注)1.セグメント間取引については相殺消去しています。
2.上記の金額には、消費税及び地方消費税を含みません。
④財政状態
当社グループは、2019年度から2021年度を最終年度とする中期経営計画に取り組んでおり、2021年度の経営数値目標の達成に向けて、「国内事業の収益力アップ」、「海外事業の拡充」、「イノベーションの推進」を積極的に実施するとともに、政策保有株式の売却等を進めて有利子負債を圧縮し、財務基盤の強化を進めています。その結果、当期の純有利子負債残高(有利子負債-現金及び現金同等物等)は4,973億円となり、前連結会計年度末に対して376億円減少し、ネットD/Eレシオ(純有利子負債残高/純資産残高)は0.6倍、ROEは8.5%となりました。引き続き、中期経営計画の各戦略を着実に遂行し、経営数値目標の達成を目指していきます。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に対して661億円減少し、18,853億円となりました。流動資産は、前連結会計年度末が金融機関の休日だった影響等による受取手形及び売掛金の減少等により、前連結会計年度末に対して330億円減少し、固定資産は、有形固定資産の取得、及び当社グループのIFRS適用会社がIFRS第16号「リース」の適用によって使用権資産を認識した影響等により増加しましたが、投資有価証券の売却、及び有価証券評価差額金の減少等により、前連結会計年度末に対して331億円減少しました。なお、有形固定資産の取得は、セグメント別には、生活産業資材ではGS Paperboard & Packing Sdn.Bhd.の段ボール原紙マシンの増設等により増加し、また、資源環境ビジネスでは王子グリーンエナジー徳島株式会社のバイオマス発電設備設置等により増加しました。
負債は、IFRS第16号「リース」の適用によってリース負債を認識した影響による増加がありましたが、前連結会計年度末が金融機関の休日だった影響等による支払手形及び買掛金の減少、及び有利子負債の減少等により、前連結会計年度末に対して823億円減少し、10,536億円となりました。
純資産は、円高による為替換算調整勘定やその他有価証券評価差額金が減少しましたが、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に対して163億円増加し、8,317億円となりました。
⑤キャッシュ・フローの状況
当社グループでは、市場が縮小している新聞・印刷情報用紙事業では、生産体制再構築等によってコスト削減を徹底し、キャッシュ・フローの確保を図る一方、需要の伸びが期待できる国内事業や海外の経済発展が見込まれる地域へ投資を行い、ポートフォリオの拡充を図っています。
当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に減価償却費を加えたキャッシュ・インが1,615億円(前連結会計年度は1,603億円)となり、法人税等の支払い等を含めた合計は、前連結会計年度に対して161億円収入が減少し、1,245億円の収入(前連結会計年度は1,406億円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出が増加しましたが、投資有価証券の売却による収入の増加等により、前連結会計年度に対して18億円支出が減少し、648億円の支出(前連結会計年度は666億円の支出)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローの支出の主な内容は、既存分野における設備維持・更新、品質改善、生産性向上、安全及び環境のために必要な投資の他、中期経営戦略に掲げている成長戦略投資である王子グリーンエナジー徳島株式会社のバイオマス発電設備設置、GS Paperboard & Packaging Sdn.Bhd.の段ボール原紙マシン増設等に関する支出によるものです。
営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除したフリー・キャッシュ・フローは主として有利子負債の圧縮、配当金の支払い等に充当し、その結果、財務活動によるキャッシュ・フローは581億円の支出(前連結会計年度は455億円の支出)となりました。また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に対して4億円減少し、824億円となりました。
⑥資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a)資金需要の主な内容
当社グループの営業活動に関する資金需要は、生産・販売活動のために必要な運転資金(製品製造のための原燃料の購入・製造費や人件費、製品の輸送・保管費等)や研究開発費等が主な内容です。投資活動に関する資金需要は、経営戦略の遂行に必要な投資や品質改善・省力化・生産性向上・安全・環境のために必要な設備投資等が主な内容です。
今後も海外事業や有望な事業等の成長分野に対しては、M&Aや設備投資、研究開発投資等を積極的に行っていく予定であり、所要資金の調達については、自己資金と外部調達との最適なバランスを検討し実施していきます。
(b)財務政策
営業活動を通じて獲得したキャッシュ・フローは配当及び投資資金に充当し、有利子負債残高を適正水準に保ちながら、不足資金については借入金やコマーシャル・ペーパー、社債の発行等による資金調達を行い、余剰資金については有利子負債の削減に充当します。
なお、長期借入金や社債等の長期資金については、中期経営計画に基づく資金需要見通しや金利動向等の調達環境、既存の借入金や社債償還時期等を総合的に勘案の上、調達規模、調達手段等を適宜判断して実施することとしています。
当社は、主要連結子会社との間でグループファイナンスを行い、資金の一元管理を行うことにより、運転資金の効率的な運用を図っています。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響に備えて、従来から締結している取引銀行との貸出コミットメントライン契約に加え、現預金残高の積み上げにより一定程度の手許流動性を確保しています。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、全体の研究開発を統括するイノベーション推進本部と各事業会社の研究開発部門、各工場の研究技術部等が連携しながら取り組んでいます。イノベーション推進本部は、新事業の創出並びに既存事業の競争力強化を念頭に、技術革新のシーズ開発から、よりビジネスに密着した新市場の開拓と新製品開発を行っています。
グループ全体の既存事業の競争力強化として、植林、パルプ、抄紙、塗工の各分野で蓄積・体系化された技術と、海外拠点との連携、新製品開発及び既存製品の品質改善に取り組んでいます。国内外の工場では、品質向上・操業の安定化、コストダウンの推進を図っています。
当連結会計年度末における当社グループの保有特許権・実用新案権・意匠権の総数は国内2,130件、海外647件です。また保有商標権の総数は国内834件、海外911件です。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
(1)生活産業資材
産業資材事業では、古紙利用拡大、抄紙条件、薬品の最適化によるコストダウン、品質・操業性改善を推進してきました。これらの国内で培った基盤技術を活用して新製品開発を進めるとともに、カンパニーの枠を越え、当社グループ会社の各海外拠点へ水平展開を進めています。
パッケージング関係では、紙容器関連事業のさらなる発展のため、牛乳紙パックの製造技術を開発しました。石塚硝子株式会社(以下「石塚硝子」)と共同で本事業を取り組むことにより、当社グループの原紙製造技術と石塚硝子の充填機・メンテナンス技術が融合し、新たな事業分野を構築することが可能になります。これら日本国内での一貫した生産体制を基盤に、大きな需要が期待される海外での事業も拡大していきます。
段ボール事業では、インターネット通販市場の急速な拡大に伴うさまざまな業界での梱包・物流に関する課題解決に向けて、次世代の包装ソリューション「OJI FLEX PACK’AGE」の提供を開始しました。「OJI FLEX PACK’AGE」では、当社グループの連続段ボールシート「らくだん」を使用した、商品のサイズにぴったりあわせた梱包を可能とする「3辺可変システム」等のラインナップを取り揃えており、梱包作業の省人化や配送料削減など物流におけるコスト全般の削減をサポートします。
さらに、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みの一貫で、紙素材を活用した仮設施工の生産性向上技術を「KAMIWAZA」として、清水建設株式会社と共同発表しました。従来から仮設資材に利用されていた鋼材や木材の代替として、取り扱いが容易な紙素材を使用することにより、作業員の負担を軽減し、仮設施工の生産性を向上することが可能となります。今後、トンネル工事や建設現場等、様々な施工現場への提供を進めていきます。
当事業に係る研究開発費は
(2)機能材
機能材事業では、海洋プラスチック問題への解決策として、環境配慮型製品を積極的に開発しています。また、当社グループのコア技術であるシートの製造・加工技術を活用した新製品開発も進めています。
環境配慮型製品としては、酸素や水蒸気の侵入を防ぎ、内容物の劣化を抑えることができるバリア性紙素材として、プラスチックに代わる紙素材「SILBIO BARRIER」を開発しました。一般的なバリアフィルムより高い、蒸着フィルム並みのバリア性を有する高性能品の開発も加速させ、各種包装用途としての引き合いに対応しています。
また、生分解性プラスチックとパルプの複合材は、さまざまな成型法に適応できるよう、開発を促進しています。耐水性を持ったパルプ製トラベラーリッド(紙コップ用の蓋)の開発では、リッドだけではなくパッケージにも活用できる技術に展開しています。
特殊紙事業では、半導体や二次電池などの製造工程で使用される各種高機能フィルター用素材として、より高性能かつ環境に配慮した無機繊維ペーパーを開発しています。また、医療用包材や衛生用品向け不織布など、成長市場に向けた様々な製品開発も進めています。
粘着事業では、機能進化するタッチパネルに対応した各種粘着シートや高機能フィルム開発に注力しています。タッチペン適性を向上させる粘着シート、性能劣化を抑制する粘着シート、画面の見やすさを向上させるフィルム等の製品は、スマートフォンやノートPC、ゲーム機などへ採用されました。さらに、最新デザインに対応した高機能粘着シートやフレキシブルディスプレイ向けの製品開発も進めています。進化する車載ディスプレイ向け製品でも、高度な耐久性を有しながら、高級感も付与できる粘着シートなどが好評を得ており、今後も新たな市場開拓を目指した製品開発に取り組んでいきます。
フィルム事業では、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの技術によるコンデンサ用フィルムの開発や、高機能フィルムの開発を進めています。ハイブリッド車や電気自動車の電気駆動系に用いられるフィルムコンデンサは、その主力材料である高性能ポリプロピレンフィルムの厚みが薄いほど小型化が可能になります。当社グループは高耐電圧ポリプロピレンフィルムの超薄型化技術の開発を推進し、世界的な需要拡大が見込まれる電動車両向けの電子部品の小型軽量化に貢献しています。高機能フィルムでは、コンデンサ用フィルムの技術を活かし、バイオプラスチックフィルム等の開発を開始しています。
メディカル事業では、病院や介護向け医療用雑貨として、温かさが長持ちする身体清拭用シート「清拭ほっとクロス」を開発し、2019年4月より販売を開始しました。現在は一部の病院や介護施設で使用されています。また、本製品はさまざまな身体清拭のシーンに対応できることから、さらなる用途開発を進めています。例として、美容サロン向けに「マルチクロス」として販売促進を行うなど、新たな市場創出に取り組んでいます。
当事業に係る研究開発費は
(3)資源環境ビジネス
資源環境ビジネス事業では、王子製紙株式会社米子工場で生産している溶解パルプに関する技術開発を行っています。溶解パルプは、レーヨン、医薬品や食品の添加剤、セルロース誘導体などの原料として使用され、今後は世界的な人口増加により需要拡大が期待されています。既に繊維原料メーカーや医薬品原料メーカーへの販売を行っており、現在は高価格品の生産性アップやコストダウンによる収益向上を進めています。
当事業に係る研究開発費は
(4)印刷情報メディア
印刷情報メディア事業では、古紙パルプの品質と歩留まりを両立する技術開発や、使用薬品や操業条件の最適化によるコストダウン、欠点・断紙削減等の操業性改善、代替薬品の利用促進によるBCP(事業継続計画)対応強化を推進し、収益向上に繋げています。
当事業に係る研究開発費は
(5)その他の研究開発活動
グループ内の関連部門と強く連携しながら、イノベーション推進本部を中心に機動的かつ効率的な研究開発活動を実施しています。セルロースナノファイバー(CNF)や、水処理技術をはじめ、木材成分のヘミセルロースを利用した医薬品原薬、パルプからのバイオマスプラスチック開発等の多角的な革新的価値創造に取り組んでいます。
次世代素材として注目をされているセルロースナノファイバー(CNF)については、引き続き用途開発に精力的に取り組んでいます。CNFスラリー「アウロ・ヴィスコ」については、個々のお客様のニーズに応じてスラリーの特性である透明性や粘度などをカスタマイズした開発を推進し、より幅広い分野での適用を目指します。用途開発の具体例としては、これまでにおけるカーケミカル用品の増粘剤や生コンクリートの圧送先行剤への採用に加え、2018年にオランダで開催された世界最大級の化粧品原料展でシルバー賞を受賞した「アウロ・ヴィスコ CS」が、2019年4月に製品化され、現在も新しい化粧品原料として、国内外の化粧品メーカーによる製品開発が進んでいます。
また、2019年10月には「東京モーターショー」の環境省ブースにて、当社グループが技術提供したCNFとポリカーボネートを複合した樹脂ガラスが、自動車部品として展示されました。この複合材は、無機ガラスに比べて軽量なため、大幅な自動車重量の低減効果が期待され、今後も製品化に向けた開発を継続していきます。さらに当社グループ独自のCNFシート「アウロ・ヴェール」につきましても、個々のお客様のニーズに応じ、シートの特性である強度やフレキシブル性などをカスタマイズした開発を進め、様々な産業分野における適用性検討を継続しています。実用化例として、反発力や弾力を両立したCNFシートが、2020年2月に卓球ラケット用素材に採用され、市場において早速好評を得ています。
今後も上記の用途に加え、樹脂、ゴムの補強等、より幅広い分野での用途開発を進め、CNFの実用化を牽引し、市場普及を積極的にリードしていきます。
水処理技術の分野では、当社グループが長年培ってきた製紙技術を通じて蓄積された用水製造・排水処理のノウハウを多様なニーズと組み合わせることにより、あらゆる水環境に適した水処理システムを提供しています。国内のみならず東南アジア各国で、水質分析・ラボ試験・パイロット試験などの現地調査を実施し、より適切な設備の設計・施工を進めるための体制も確立しています。また新たな技術として、用水製造及び排水処理向けに展開してきた当社グループ独自の膜処理設備においては、IoTを導入した遠隔監視システムを組み込み、設備全体を遠隔でサポートするサービスにも対応しています。今後も、水処理システムの技術革新を進めながら普及拡大を目指し、日本国内のみならず東南アジアをはじめとする新興国の水環境発展に貢献していきます。
その他、新規開発分野として、独自の微細構造形成技術「ナノドットアレイ」を用いて、反射防止構造体や光取出し構造体等、各種光学材料分野の開発を行っています。さらに、ライフサイエンス分野への展開を進めており、iPS創薬や再生医療開発などに役立つ微細構造つき細胞培養基材などを開発し、小型培養シャーレを2020年5月に製品化しています。
また、木材成分の一つであるヘミセルロースは、当社グループの独自技術により抽出・精製した「加水分解キシラン」を上市し、化粧品原料素材として高い評価を受け2019年1月に製品化しています。一方で、木質資源のさらなる高付加価値化を目指し、ヘミセルロースを化学修飾した新規の医薬品原薬「硫酸化ヘミセルロース(既存の医薬品原料であるポリ硫酸ペントサンナトリウムの類似物質)」の開発も進めています。医薬事業への参入に向けた取り組みを加速するため、2020年4月に「王子ファーマ株式会社」を設立し、大学や製薬企業とのコラボレーションを推進しています。
パルプを原料としたプラスチックの製造についても目下開発中です。従来の石油を原料としたプラスチックを、持続可能なバイオマスを原料としたバイオマスプラスチックに置き換えることにより、化石燃料由来のCO2排出を抑制し、地球温暖化防止に貢献することを目指します。一般的なバイオマスプラスチックはトウモロコシなどの可食原料から製造されますが、当社グループのバイオマスプラスチックは非可食である樹木由来のパルプを原料とすることにより食品資源との競合を無くすことができます。これにより、持続可能な社会にさらに深く貢献できる非可食バイオマスプラスチックの普及を目指すことができます。
その他の研究開発活動に係る研究開発費は4,862百万円です。
なお、(1)~(4)の各セグメントに関わる研究開発活動のうち、事業化段階に無い、探索段階及び開発段階の研究開発活動の研究開発費が含まれます。