当第1四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものですが、予測しえない経済状況の変化等さまざまな要因があるため、その結果について当社が保証するものではありません。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績に関する説明
当社グループは、2022年度から2024年度を対象とする中期経営計画において、2030年までの長期ビジョンである「成長から進化へ」をグループ基本方針に据え、「環境問題への取り組み -Sustainability-」、「収益向上への取り組み -Profitability-」、「製品開発への取り組み -Green Innovation-」を通じ、2024年度には連結営業利益1,500億円以上の達成、また連結純利益1,000億円の安定的な継続を目指しています。
このような基本方針のもと、当社グループは気候変動問題への対応として温室効果ガス削減や森林によるCO2純吸収量の拡大を推進するなど、環境問題への対応に継続して取り組むと同時に、最適生産体制の構築等を通じた既存事業の深化・海外パッケージング事業や環境配慮型製品等の有望事業の伸長を図り、事業価値を高めていきます。さらに、紙づくり・森づくりで培った多様なコア技術をベースに、環境配慮型素材・製品をはじめとした木質由来の新製品・新素材等の開発・早期事業化を進め、「森林を健全に育て、その森林資源を活かした製品を創造し、社会に届けることで、希望あふれる地球の未来の実現に向け、時代を動かしていく」企業として、社会へ貢献してまいります。
当第1四半期連結累計期間の売上高は、新型コロナウイルスの感染拡大により停滞していた経済活動の再開による需要の回復やパルプ市況の上昇、また足元の原燃料価格高騰影響を受けた価格修正の実施により、前年同四半期を565億円(16.5%)上回る3,992億円となりました。なお、当社グループの海外売上高比率は前年同四半期を4.5ポイント上回る37.0%となりました。
営業利益は、上記の価格修正の取り組みに加え、販売量も増加しましたが、原燃料価格高騰影響が大きく、前年同四半期を125億円(△44.5%)下回る156億円となりました。経常利益は、外貨建債権債務の評価替えによる為替差益の発生がありましたが、前年同四半期を16億円(△4.6%)下回る330億円となりました。税金等調整前四半期純利益は前年同四半期を9億円(△2.6%)下回る330億円となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は、連結子会社による自己株式取得や子会社株式の追加取得により非支配株主に帰属する四半期純利益が減少したため、前年同四半期を27億円(13.0%)上回る233億円となりました。
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち、経済的特徴、製品の製造方法又は製造過程、製品を販売する市場又は顧客の種類等において類似性が認められるものについて集約を実施し、「生活産業資材」、「機能材」、「資源環境ビジネス」、「印刷情報メディア」の4つとしています。報告セグメントに含まれない事業セグメントは、「その他」としています。
各セグメントの主要な事業内容は以下のとおりです。
生活産業資材・・・・・ 段ボール原紙・段ボール加工事業、白板紙・紙器事業、包装用紙・製袋事業、
家庭紙事業、紙おむつ事業
機能材・・・・・・・・ 特殊紙事業、感熱紙事業、粘着事業、フィルム事業
資源環境ビジネス・・・ パルプ事業、エネルギー事業、植林・木材加工事業
印刷情報メディア・・・ 新聞用紙事業、印刷・出版・情報用紙事業
その他・・・・・・・・ 不動産事業、エンジニアリング、商事、物流 他
〈生活産業資材〉
当第1四半期連結累計期間の売上高は前年同四半期比12.2%増収の1,877億円、営業利益は同89億円減益の3億円の損失となりました。
国内事業では、段ボール原紙・段ボール、白板紙等、多くの品種において全体的な需要回復がみられることに加え、価格修正の実施により、売上高は前年に対し増収となりました。また、紙おむつは前年に対し減収となりましたが、家庭紙は前年に引き続き堅調に推移しました。
海外事業では、段ボール原紙・段ボールは主に東南アジア・インドでの好調な販売、値上げの浸透に加え、マレーシアにおいて2021年10月から段ボール原紙の新マシンが稼働したことにより、売上高は前年に対し増収となりました。
〈機能材〉
当第1四半期連結累計期間の売上高は前年同四半期比16.2%増収の525億円、営業利益は同11.2%増益の37億円となりました。
国内事業では、特殊紙は前年に対し減収となりましたが、感熱紙・粘着紙は、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴い減少した需要が回復傾向にあったことに加え、電動車向けのコンデンサフィルムや一般工業用フィルム、食品・雑貨等の包装用フィルムが堅調に推移したことにより、売上高は前年に対し増収となりました。
海外事業では、感熱紙は国内事業と同様需要が回復傾向にあったことに加え、ブラジルにおいて設備増強・増設工事を実施し2022年1月から稼働したことにより、売上高は前年に対し増収となりました。
〈資源環境ビジネス〉
当第1四半期連結累計期間の売上高は前年同四半期比36.5%増収の913億円、営業利益は同35.4%増益の131億円となりました。
国内事業では、パルプ事業は前年に引き続き堅調に推移しました。エネルギー事業は、エム・ピー・エム・王子エコエネルギー株式会社の定期点検に伴う設備停止期間が前年に対して短くなり、売上高は前年に対して増収となりました。
海外事業では、パルプ事業は市況の上昇を受けて、売上高は前年に対し増収となりました。
〈印刷情報メディア〉
当第1四半期連結累計期間の売上高は前年同四半期比10.1%増収の637億円、営業利益は同64億円減益の16億円の損失となりました。
国内事業では、新聞用紙は需要の減少傾向が継続しているものの、印刷用紙は輸入紙の減少により国内品への需要が高まっており、売上高は前年に対し増収となりました。
海外事業では、江蘇王子製紙有限公司において、売上高は前年に対し増収となりました。
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、有形固定資産、受取手形、売掛金及び契約資産、棚卸資産等の増加に加え、円安の進行による為替換算差もあり、前連結会計年度末に対し1,092億円増加し、21,630億円となりました。負債は有利子負債等の増加により、前連結会計年度末に対し619億円増加し、12,402億円となりました。純有利子負債残高(有利子負債-現金及び現金同等物等)は前連結会計年度末に対し643億円増加し、6,590億円となりネットD/Eレシオ(純有利子負債残高/純資産残高)は経営目標である0.7倍を維持しています。純資産は為替換算調整勘定や利益剰余金等の増加により、前連結会計年度末に対し473億円増加し、9,228億円となりました。
(2) 経営方針・経営戦略等
当社グループは、「革新的価値の創造」、「未来と世界への貢献」、「環境・社会との共生」を経営理念とし、「領域をこえ 未来へ」向かって、中長期的な企業価値向上に取り組んでいます。
これらの経営理念の下、「森のリサイクル」、「水のリサイクル」、「紙のリサイクル」という、バリューチェーンを通じた3つの資源循環を引き続き推進し、事業を通じて社会に対し価値を提供していくことで、真に豊かな社会の実現に貢献していきます。また、企業存続の根幹である「安全・環境・コンプライアンス」を経営の最優先・最重要課題と位置付け、労働災害リスク撲滅、環境事故防止、企業としての社会的責任を果たすための法令遵守等、全役員・全従業員へ確実に浸透させる取り組みを続けていきます。
2022年5月、当社がさらなる発展を遂げるために、経営理念を踏まえ、当社グループのあるべき姿として、「森林を健全に育て、その森林資源を活かした製品を創造し、社会に届けることで、希望あふれる地球の未来の実現に向け、時代を動かしていく」という存在意義を新たに定義しました。
健全に育て管理された森林は、二酸化炭素を吸収、固定するだけではなく、洪水緩和、水質浄化等の水源涵養、防災という機能の他に、生物多様性や人間の癒し、健康増進等にも貢献する効果があります。そして、森林資源を活かした木質由来の製品は、その原料が再生可能であり、化石資源由来のプラスチック、フィルムや燃料等を置き換えていくことができます。当社グループは、森林を健全に育て管理し、その森林資源を活かした製品を創造し、社会に届けることで、地球の温暖化や環境問題に取り組み、希望あふれる地球の未来の実現に向け、時代を動かしていきます。
また、当社グループのあるべき姿の実現に向け、2030年までの長期ビジョンとして、「成長から進化へ」をグループ基本方針に据え、具体的な取り組みとして「環境問題への取り組み -Sustainability-」、「収益向上への取り組み -Profitability-」、「製品開発への取り組み -Green Innovation-」の三本柱を掲げています。「環境問題への取り組み -Sustainability-」では、石炭使用量ゼロに向けた燃料転換、再生可能エネルギーの利用拡大による温室効果ガス削減の推進や、植林地を取得・拡大し、有効活用することによる森林による純吸収量の拡大など、環境問題への対策を継続して進めていくことで事業の価値を高めていきます。「収益向上への取り組み -Profitability-」では、更なる最適な生産体制の構築等を通じ、既存事業を掘り下げ深めると同時に、海外パッケージング事業や、環境配慮型製品の拡販等、有望及び新規市場へ事業を伸ばしていくことで事業の価値を高めていきます。「製品開発への取り組み -Green Innovation-」では、環境配慮型素材や製品の開発、プラスチック代替品の商品化等、木質由来の製品を新しく世に出していくことで事業の価値を高めていきます。これらの取り組みを通じ、2030年度までに売上高2.5兆円、及び2020年9月に制定した「環境行動目標2030」を達成し、「森林を健全に育て、その森林資源を生かした製品を創造し、社会に届けることで、希望あふれる地球の未来の実現に向け、時代を動かしていく」企業として、社会へ貢献してまいります。
この2030年までの長期ビジョンに基づき、その目指すべき姿の実現のためにこれからの3年間で取り組むべき戦略・目標を中期経営計画としてまとめました。この2022年度から2024年度を最終年度とする新たな中期経営計画では、以下の数値目標を設定しています。
※ ネットD/Eレシオ=純有利子負債残高/純資産
具体的には以下の取り組みを行っています。
(a) 生活産業資材
・産業資材(段ボール原紙・段ボール加工事業、白板紙・紙器事業、包装用紙・製袋事業)
海外では、引き続き東南アジア地域を中心にパッケージング事業の拡大を図ります。東南アジアでは、2021年10月にマレーシアで稼働した段ボール原紙マシンを活かし、同地域における原紙・加工一貫での事業展開を一段と推し進め、コスト競争力を強化していきます。川下の段ボール事業では、旺盛な需要に応えるべく、新工場建設やM&Aにより積極的に事業を拡大しています。2022年度上期にはマレーシアとベトナムで3つの段ボール新工場が稼働し、さらに2023年度上期に新たに1工場が稼働予定です。インドでは2021年10月に段ボールの製造・販売を行うEmpire Packages社の発行済み株式の80%を取得しました。これにより、同社が持つ顧客基盤とその信頼関係を通じてインドにおける段ボール事業をより一層推進していきます。ニュージーランドでは、クライストチャーチ市にある段ボール工場の移転を行い、2021年11月以降順次稼働を開始するなど、事業基盤のさらなる強化に努めています。
国内では、原紙・加工一貫での生産体制を一層強化し、より品質の高い製品を持続的かつ効率的に供給する体制を整えます。2021年10月には王子製紙苫小牧工場において段ボール原紙マシンが稼働し、収益力向上を図っているほか、段ボール需要の伸びが特に大きいと期待される関東において、船橋地区では段ボール新工場を稼働させ、宇都宮地区では段ボールの原紙加工一貫工場の建設(2023年1月完成予定)を進めています。
顧客のニーズに合わせた新製品の開発・提供にも引き続き注力していきます。2021年10月には、新型コロナウイルスの感染拡大による衛生意識の高まりにより拡大する空気清浄機の需要に応じ、「用途別脱臭フィルター」を開発しました。加えて、世界的な環境意識の高まりに伴い、紙製品への一層の期待が集まる中、脱プラスチック製品の開発・拡販を一段と進めていきます。さらに、既存事業である液体紙容器についても国内外への販路をますます拡大していきます。
・生活消費財(家庭紙事業、紙おむつ事業)
家庭紙事業では、森林認証を取得した環境配慮型製品や「鼻セレブ」に代表される高品質製品を取り揃えた製品展開により、一層の「ネピア」ブランドの価値向上に努めています。関東地区の新加工拠点では、中国で製造した家庭紙原紙を加工しており、さらに自社物流倉庫の設置を決定しています(2022年8月稼働予定)。家庭紙加工拠点と配送拠点の一体化により関東圏での家庭紙・紙おむつ事業の拡大を図っていきます。環境配慮型製品の開発にも積極的に取り組んでおり、2022年1月には、クラフト紙で包装したティシュ製品「nepia krafco mini」を、同4月には、パッケージを紙素材に変更した「ネピeco」シリーズのキッチンタオルとボックスティシュを発売しました。
2022年3月には、「ネピeco」シリーズから、不織布に植物由来の素材を80%使用した「ネピア ネピeco バイオマスマスク」を、同4月には、株式会社タイタンとコラボレーションした新しい包装形態のマスク「ネピア 鼻セレブポケットマスク ふつうサイズ」を発売しました。本製品は、予備のマスクを小さなカバンやポーチに入れて運びたいというニーズを捉えたアイデア商品です。2022年5月には、「ネピア 鼻セレブマスク」シリーズのラインアップに、紙製パッケージを使用しリサイクル可能で中身が見える「ネピア 鼻セレブマスク 紙エールパッケージ」を追加しました。当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大の早期終息に少しでも貢献できるよう今後も努めていきます。
紙おむつ事業の子供用分野では、国内外での統一ブランド「Genki!」の販売を通して、紙おむつ事業においても「ネピア」ブランドの価値向上に努めていきます。マレーシアでは紙おむつ加工機の新設を含む生産体制再構築により生産能力を増強し、インドネシアでは合弁会社における現地紙おむつ工場での製造及び販売によって、コスト競争力の確保と事業基盤の強化を図り、周辺国を含めて一層の事業拡大を進めています。さらに、中国では品質と性能をより高めた「Whito Premium(ホワイトプレミアム)」の拡販を進めるとともに、現地消費者のニーズを取り込んだ薄型商品の拡販を進めています。国内における大人用紙おむつについては、要介護・要支援人口の増加に伴い、成長が見込まれていることを受け、2022年9月に福島県で新たな加工機の稼働を予定しています。
また、2022年3月には、医療・福祉施設向け製品「ネピアテンダー」シリーズから、介護をする方・される方、双方の介護負担軽減を目指した周辺商品を発売しました。引き続き、高齢化が進むわが国の介護現場が抱える課題を解決する製品の開発を進めていきます。
今後も、環境への配慮や品質を重視した製品展開をもとに、顧客ニーズ、時代の変化に応じ、「ネピア」ブランドの再構築を行い、さらなる新製品の開発、価値創出を目指していきます。
(b) 機能材(特殊紙事業、感熱紙事業、粘着事業、フィルム事業)
海外では、南米での旺盛な感熱紙需要に対応するため、ブラジルで生産能力をほぼ倍増とする設備増強・増設工事を実施、2022年1月から稼働しました。欧州においても感熱紙の設備増強(2024年1月稼働予定)を決定しました。東南アジア・南米・中東・アフリカ等の新興国市場の経済発展に伴って拡大する需要に応じて、これまで培ってきた「抄紙」や「紙加工(塗工・粘着)」、「フィルム製膜」といった当社グループの強みである基幹技術をベースに事業エリアの拡大を図ると同時に、既存拠点での競争力強化を目指していきます。
国内では、高機能・高付加価値製品の迅速な開発に継続して取り組んでおり、2021年12月には、従来両立が困難であった高い遮熱性と光線透過性を両立した自動車用ウィンドウフィルムの開発に成功しました。環境配慮型製品の開発にも積極的に取り組んでおり、2022年2月には、従来は廃棄されていた繊維・端切れ・回収衣料等を紙原料として配合した循環資源混抄紙「MEGURISH(綿)」を開発しました。また、2022年3月には、植物由来のセルロースとポリ乳酸を主原料とし、生分解性を有した不織布素材「キナリト」を開発しました。「キナリト」は、立体成型が可能で、プラスチック容器の代替やデザイン性を重視したアイテムへの展開が期待されることに加え、茶葉やコーヒーかす等の従来は廃棄されてきたバイオマスを配合することができるため、廃棄物削減等の新たな価値を提案することも可能です。さらに、機能材市場の需要構造の変化に応じて生産体制の継続的な見直しを行い、競争力・収益力を高めることで既存事業の基盤を強化しています。また、脱炭素社会への転換がグローバルに進行し電動車が急速に普及していることを受け、電動車のモーター駆動制御装置のコンデンサに用いられるポリプロピレンフィルムの生産設備を滋賀県に2基増設することを決定しています(2023年、2024年稼働予定)。これにより、生産能力は2022年2月時点に対し、倍増する予定です。
今後も環境配慮型素材及び製品の開発を進めるとともに、市場ニーズを先取りし、期待を超える製品やサービスを迅速に提供できるよう、新たな事業領域の拡大に積極的に取り組んでいきます。
(c) 資源環境ビジネス(パルプ事業、エネルギー事業、植林・木材加工事業)
パルプ事業では、パルプ市況の変動に耐え得る事業基盤を強化するため、主要拠点において戦略的収益対策を継続して実施しています。ニュージーランドのOji Fibre Solutions社では、操業の安定化及び効率化対策に取り組み、ブラジルのCelulose Nipo-Brasileira社では製造設備の最新鋭化等による継続的な収益対策を進めています。国内の溶解パルプ事業ではレーヨン用途向け製品に加えて、医療品材料や濾過材用途等の高付加価値品の生産を行い、収益力の強化を進めています。
エネルギー事業では、再生可能エネルギーの利用拡大を目指しさらなる事業拡大を進めています。2022年9月には、伊藤忠エネクス株式会社と合弁で建設しているバイオマス発電設備が徳島県で稼働予定です。また、エネルギー事業の拡大に合わせバイオマス燃料事業の強化を進めており、国内では未利用木材資源を活用した燃料用チップの生産増、海外では適法性と持続性を確保しつつ、インドネシアやマレーシアにおける燃料用パーム椰子殻の調達増に向けた取り組みを行っています。
植林・木材加工事業では、アジア・オセアニア・ブラジル地域を中心に持続可能な森林資源の確保及び生産能力増強に取り組みます。また、国内では建築資材分野での拡販等を通じ、収益力の強化を図ります。
(d) 印刷情報メディア(新聞用紙事業、印刷・出版・情報用紙事業)
新型コロナウイルス感染症の流行等により事業環境はさらに厳しさを増していますが、引き続きグラフィック用紙市場への影響を見極め、他事業との連携を通じたグループ全体での最適生産体制の構築やコストダウンを徹底するとともに、キャッシュフローの増大を図ります。具体的な取り組みとして、国内では王子製紙苫小牧工場において、新聞用紙マシン1台の段ボール原紙製造への生産品種転換に加え、2022年4月には王子マテリア名寄工場より移設した特殊ライナー・特殊板紙マシンを稼働しています。また、三菱製紙株式会社との業務提携を継続して進め、収益力の強化を図ります。
中国では、数少ない紙パルプ一貫生産体制の強みを最大限に活かしたコストダウンを継続して行い、さらなる競争力強化に取り組んでいます。
(e) イノベーションの推進と持続可能な社会の実現に向けた取り組み
当社グループでは、再生可能な森林資源の持つ可能性を最大限に引き出し、社会的課題の解決に向けてイノベーションを推進することにより、新たな価値創造を目指しています。
まず、国内外に保有する豊富な森林資源を活用し、循環型社会の実現に向けて様々な木質由来の新素材開発を進めています。具体的には、化石燃料由来のプラスチック依存からの脱却を目指し、木質由来のセルロースからポリ乳酸などのバイオマスプラスチックを製造する取り組みを進めています。一方で、当社のポリプロピレンフィルムの製造加工技術を用い、ポリ乳酸を配合したバイオマスプラスチックフィルム「アルファンG」を開発しました。この製品は石油由来のポリプロピレンの使用量を削減することが可能で、日本有機資源協会のバイオマスマーク商品に認定され、2022年2月より販売を開始しています。また、多分野での活用が期待されるセルロースナノファイバーは、建築現場やスポーツ用品、化粧品等、具体的な製品への採用事例も増えており、さらに複合材料用途(樹脂・ゴム等)の実用化を目指した開発も進めています。そして、当社独自の不織布技術を応用し開発したセルロースマットのサンプル提供も開始しました。この製品は、木質由来のセルロース繊維が補強材料としてはたらき、熱加工することで変形に強く割れにくい成形体となります。従来のポリプロピレン樹脂成形体に比べ石油由来のプラスチック使用量を最大70%削減することが可能で、自動車部材などへの活用が期待されています。その他にも、食品等の包装材料として、内容物の劣化進行を抑えられる紙製バリア素材の「SILBIOシリーズ」は、従来のバリア性に加え、遮光性、透明性、ヒートシール性などの機能を追加し、ラインナップを拡大しました。幅広い軽包装材のニーズへの対応を進め、2022年5月にはコーヒー豆などの食品向け包装材としても新たに採用されています。さらに、紙コップなどの用途として、2022年4月にはポリ乳酸を使用したラミネート紙を開発し、7月にはマテリアルリサイクルに対応した環境配慮型の水系塗工コップ原紙の開発に成功する等、木質由来の新素材を次々と生み出しています。
次に、メディカル&ヘルスケア領域として、森林資源や独自技術を医療分野に活かす取り組みを行っています。具体的には、独自技術を用いた微細構造付きの細胞培養基材を開発し、順天堂大学等と共同研究を進め、再生医療や創薬への貢献を目指しています。また、木質成分の「ヘミセルロース」を化学修飾して得られる「硫酸化ヘミセルロース」の医薬品開発を王子ファーマ株式会社が進めており、動物用関節炎の治療薬として先行申請を進めています。その他、輸入に依存している漢方薬原料である甘草の国内安定供給に向け、王子薬用植物研究所株式会社で大規模栽培に取り組む等、新しい領域に挑戦しています。
最後に、現代社会の様々な環境問題を解決するための新しいビジネスモデルの構築を進めています。ぴったりサイズの段ボールで配送コストを削減させる自動包装システム「OJI FLEX PACK’AGE」は、顧客やパートナー企業との連携を含め販路拡充を進めています。さらに、近年の脱プラスチック等のニーズに応えるため、日常生活における様々なアイテムを紙に置き換える提案を行い、紙を知り尽くした当社グループならではの「紙製品による脱プラスチックソリューション」を展開しています。また、水処理分野においても、長年培ってきた技術や操業ノウハウを活かし、国内外のお客様に水処理システムを提供しており、水資源の有効活用に貢献しています。
(3) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、2,361百万円です。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。