文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、高い技術力を活かした製品を顧客に提供し社会に貢献することを経営理念とし、この経営理念のもと以下の企業グループを目指してまいります。
・ 世界市場で顧客の信頼に応える企業グループ
・ 常に技術の先端を行く企業グループ
・ 地球環境保全、循環型社会に貢献する企業グループ
「新しいステージに立った事業基盤の強化と多様化」を基本方針とし、以下を重点戦略とする「新中期経営計画」(2019年4月~2022年3月)を策定いたしました。王子グループとのアライアンスによる強固な経営基盤の確立、既存事業の再構築と充実及び新たな収益の柱の育成による事業基盤の多様化により、当社の健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の最大化を図ります。
① 王子グループとのアライアンスによる強固な経営基盤の確立
・王子グループ及び当社グループの経営資源及びノウハウを相互に活用して生産、販売、原材料調達、物流、エンジニアリング、設備投資、研究開発及び間接部門など全ての事業分野において強固な協業関係を構築することにより、効率化とコストダウン効果を早期に発現させ、競争力強化を図ります。また、財務基盤の強化により、経営基盤の安定化と有利子負債の一層の削減を進めます。
・洋紙事業は、王子グループとの相互OEMの強化、販売体制の転換、倉庫や物流の相互活用も含めた物流費の削減、需要動向に見合った生産体制の構築と生産効率の向上及び原燃料の購入コストの削減などを進め、収益安定化を進めてまいります。
② 既存事業の再構築と充実
・イメージング事業は、写真用原紙などで富士フイルムとのアライアンスによる事業基盤強化を進めながら、海外市場への積極的展開により、成熟化しつつある既存製品販売の充実を図ります。
・機能材事業は、独自の技術を活かし、中国を中心にアジア諸国及び欧米での販売拡大に努め、水処理膜支持体などの不織布、リライトメディア、化粧板原紙やテープ原紙などの事業で着実な前進を図ります。
③ 新たな収益の柱の育成による事業基盤の多様化
・八戸工場では、王子グループと共同による家庭紙事業やバイオマス発電事業を順次立ち上げており、事業構造の転換を進めながら黒字安定化を図ります。
・イメージング技術を用いた機能性フィルムやデジタル捺染紙、品質面で優位性を持つバッテリーセパレータや無機繊維紙、脱プラを目指した各種バリア紙の立上げ、などの成長分野での事業拡大と多様な新規事業の確立に向けた取り組みを進めます。
○ 経営数値目標
益々厳しさを増すことが予想される事業環境に対応すべく、「アライアンスによる収益の安定化」をキーワードとする「第2次中期経営計画」(2016年4月~2019年3月)を策定し、洋紙事業の構造改革、収益基盤の充実、新規事業の育成、収益基盤を支える業務基盤・財務基盤の強化を進めることで、外部環境に左右されにくい収益構造の実現・強化に取り組んでまいりました。
「第2次中期経営計画」の主要テーマの取り組み実績は以下の通りです。「新中期経営計画」でも引き続きこれらの課題に対処してまいります。
① 洋紙事業の構造改革
・高騰した物流費上昇分の一部をユーザーに負担していただく「輸送調整金制度」を新たに導入(2018年9月)したことに加え、八戸工場4号抄紙機を運転休止(2018年11月末)して需要動向に見合った生産体制の構築と生産効率向上を進めており、更に価格改定を実施して(2019年1月)、収益安定化を図っています。
② 収益基盤の充実
・イメージング事業は、写真用原紙などで富士フイルムとのアライアンスによる事業基盤強化を進めながら、海外市場への積極的展開により、成熟化しつつある既存製品販売の充実を図っています。
・機能材事業は、独自の技術を活かし、中国を中心にアジア諸国及び欧米での販売拡大に努め、水処理膜支持体等の不織布、リライトメディア、化粧板原紙やテープ原紙等の事業で着実な前進を見せています。
③ 新規事業の育成
・イメージング技術を用いた機能性フィルムや、デジタル捺染紙、品質面で優位性を持つバッテリーセパレータ、無機繊維紙等の成長分野での事業拡大と、次なる新規事業の確立に向けた取り組みを進めています。特に機能性フィルム製造新設備(京都工場)や無機繊維紙の新抄紙機(KJ特殊紙)は操業開始に向けた準備を進めました。
・八戸工場では、王子グループと共同による家庭紙事業(2019年4月営業運転開始)やバイオマス発電事業(2019年7月営業運転開始予定)を順次立ち上げており、事業構造の転換を進めながら収益基盤強化を図ってまいります。
④ 収益力を支える業務基盤・財務基盤の強化
・業務プロセス、IT基盤の再構築に向け、経営戦略に柔軟に対応できる業務基盤を整備する取り組みを進めています。
・今期末の有利子負債及びD/Eレシオは「第2次中期経営計画」の最終目標を達成しました。
王子グループとのアライアンスは、共同でバイオマス発電事業や家庭紙事業を進める一方、王子ホールディングス株式会社(以下「王子HD」といいます。)と包括的な資本提携契約を締結いたしました(2018年2月)。本提携は、2019年3月までに国内外の競争法当局のクリアランスを得て、王子HDによる当社第三者割当増資の引受け及び当社株式の取得が実行されました(2019年3月末)。これにより王子HDは当社の議決権の33%を保有する主要株主、主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社となりました。
今後は、王子グループ及び当社グループの経営資源及びノウハウを相互に活用して生産、販売、原材料調達、物流、エンジニアリング、設備投資、研究開発及び間接部門など全ての事業分野において強固な協業関係を構築することにより、既存事業の競争力強化及び新規事業の拡大を実現し、当社の健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の最大化を図ります。
[CSR(企業の社会的責任)について]
当社グループは、CSRの目的は皆様からの信頼と共感を得ることを通じて企業価値を向上し、環境面、社会面、財務面からの諸課題の解決につなげることにあると認識し、CSRを事業活動の中で取り組むべき重要な経営課題のひとつと位置づけております。
2019年3月期は、「安全衛生に関する活動の強化」と「顧客起点を意識した商品開発」及び「人材パフォーマンス向上のための諸施策の推進」を最重要課題として取り組みました。また、国連の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」の達成に貢献するFSC森林認証紙をはじめとする環境配慮型商品の拡充等に努めてまいりました。
2020年3月期は、「安全衛生に関する活動の強化」及び「社会との共生を意識した商品開発」の2点を最重要課題に掲げ、引き続き企業価値の向上を目指し、特徴あるCSR活動を展開してまいります。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
[会社の支配に関する基本方針]
① 基本方針の内容
当社は、当社が生み出した利益を株主の皆様に還元していくことで企業価値ないし株主の皆様共同の利益を最大化することを本分とし、市場における自由な取引を通じ当社株主となられた方々にお支えいただくことを原則としつつも、当社の総議決権の20%以上の議決権を有する株式(以下「支配株式」といいます)の取得を目指す者及びそのグループの者(以下「買収者等」といいます)による支配株式の取得により、このような当社の企業価値又は株主の皆様共同の利益が毀損されるおそれが存する場合には、かかる買収者等は当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であるものとして、法令及び定款によって許容される限度において、当社の企業価値及び株主の皆様共同の利益の確保・向上のための相当な措置を講じることをその基本方針といたします。
② 基本方針の実現に資する特別な取組み
当社は、企業価値ないし株主の皆様共同の利益のため、当社の健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の最大化を目指し2019年度に新たにスタートした「新中期経営計画」の諸施策を強力に推進しております。また、2015年10月に策定したコーポレートガバナンス基本方針に従い、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値向上に向けて、CSRを重視した企業グループ経営を推進し、経営の透明性を高めガラス張りの経営を行い、コーポレートガバナンスの充実にも取り組んでまいります。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、2019年5月27日開催の取締役会において、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの一つとして、2016年6月28日開催の当社第151回定時株主総会において株主の皆様のご承認をいただいた上で、継続していた当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(以下「旧プラン」といいます)につき、所要の変更を行った上で継続することを決議し(以下、かかる変更後のプランを「本プラン」といいます)、2019年6月26日開催の当社第154回定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただきました。また、当社は、上記継続に伴い、独立委員会委員として、従前と同様、片岡義広氏、品川知久氏、竹原相光氏の3氏を選任いたしました。
本プランの概要は、以下に記載のとおりですが、詳細につきましては、当社ホームページに掲載の2019年5月27日付けプレスリリース「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の一部変更及び継続に関するお知らせ」をご覧ください。
(参考URL:https://www.mpm.co.jp/company/news/pdf/2019/20190527-2.pdf)
イ.本プランの目的
本プランは、大規模買付者に対して事前に必要な情報の提供及び考慮・検討のための期間を確保することを求めることによって、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主の皆様が適切に判断されること、取締役会が、独立委員会の勧告を受けて当該大規模買付行為に対する賛否の意見又は代替案を株主の皆様に対して提示すること、あるいは、株主の皆様のために大規模買付者と交渉を行うこと等を可能とし、もって基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止し、当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益の確保・向上を実現することを目的とします。
ロ.本プランに基づく対抗措置の発動に係る手続
(a) 対象となる大規模買付行為
当社株式に関して、大要、次の1)から3)までのいずれかに該当する行為若しくはその可能性がある行為がなされ、又はなされようとする場合に、本プランに基づく対抗措置が発動される場合があります。
1)当社の株券等に関する当社の特定の株主の株券等保有割合(金融商品取引法第27条の23第4項に定義される株券等保有割合をいいます。以下同じとします)が20%以上となる取得
2)当社の株券等に関する当社の特定の株主の株券等所有割合(金融商品取引法第27条の2第8項に定義される株券等所有割合をいいます。以下同じとします)とその特別関係者の株券等所有割合との合計が20%以上となる取得
3)当社の特定の株主が、当社の他の株主との間で行う行為であり、且つ当該行為の結果として当社の株券等の共同保有者に該当するに至るような合意その他の行為、又はかかる両株主の間に支配関係若しくは共同ないし協調して行動する関係を樹立する行為(ただし、当該両株主の株券等保有割合の合計が20%以上となる場合に限ります)
(b) 大規模買付者に対する情報提供要求
大規模買付者には、大規模買付行為の開始又は実行に先立ち、意向表明書及び大規模買付情報を提出・提供していただきます。
(c) 取締役会評価期間の設定等
取締役会は、対価を現金(円貨)のみとする公開買付けによる当社の全ての株券等の買付けが行われる場合には最長60日間、それ以外の態様による大規模買付行為の場合には最長90日間の期間を、取締役会評価期間として設定し、当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益の確保・向上の観点から、企図されている大規模買付行為に関して評価、検討、意見形成、代替案立案及び大規模買付者との交渉を行うものとします。
(d) 独立委員会の勧告及び取締役会による決議
独立委員会は、大規模買付者が大規模買付ルールにつき重要な点において違反した場合で、取締役会がその是正を当該大規模買付者に対して要求した後5営業日以内に当該違反が是正されない場合には、原則として、取締役会に対して、大規模買付行為に対する対抗措置の発動を勧告します。
他方、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合、独立委員会は、原則として、取締役会に対して、大規模買付行為に対する対抗措置の不発動を勧告しますが、大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、当該大規模買付者がいわゆるグリーンメイラーである場合等一定の事情を有していると認められる者である場合には、取締役会に対して、対抗措置の発動を勧告します。
取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重したうえで、対抗措置の発動又は不発動その他必要な決議を行うものとします。
(e) 対抗措置の具体的内容
当社が本プランに基づき発動する大規模買付行為に対する対抗措置は、原則として、新株予約権の無償割当てによるものとします。
ハ.本プランの特徴
(a) 基本方針の制定
本プランは、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を制定したうえで、導入されたものです。
(b) 独立委員会の設置
当社は、本プランの必要性及び相当性を確保するために独立委員会を設置し、取締役会が対抗措置を発動する場合は、その判断の公正を担保し、且つ、取締役会の恣意的な判断を排除するために、独立委員会の勧告を最大限尊重するものとしています。
(c) 株主総会における本プランの承認
本プランによる買収防衛策の継続につきましては、2019年6月26日開催の第154回定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただきました。
(d) 適時開示
取締役会は、本プラン上必要な事項について、適用ある法令等及び金融商品取引所規則に従って、適時適切な開示を行います。
(e) 本プランの有効期間
本プランの有効期間は、2019年6月26日開催の第154回定時株主総会終了後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時までとしております。
ニ.株主の皆様への影響
(a) 旧プランの本プランへの改定時における株主の皆様への影響
旧プランの本プランへの改定時には、株主の皆様の法的権利及び経済的利益に直接具体的な影響を与えておりません。
(b) 新株予約権の発行時に株主の皆様へ与える影響
対抗措置として新株予約権の無償割当てが行われた場合においても、株主の皆様が保有する当社株式1株当たりの価値の希釈化は生じるものの、株主の皆様が保有する当社株式全体の価値の希釈化は生じないことから、株主の皆様の法的権利及び経済的利益に対して直接的具体的な影響を与えることは想定しておりません。ただし、本プランの定める例外事由該当者については、対抗措置が発動された場合、結果的に、その法的権利又は経済的利益に何らかの影響が生じる可能性があります。
④ 上記の取組みに対する取締役会の判断及びその判断に係る理由
上記②に記載した、基本方針の実現に資する特別な取組みは、当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益を高めるための具体的方策であり、まさに当社の基本方針に沿うものと考えます。
また、当社取締役会は、前記③イ記載のとおり、本プランは企業価値ないし株主の皆様共同の利益の確保・向上という目的をもって導入されたものであり、基本方針に沿うものと考えます。特に本プランは、1)株主総会において本プランを廃止する旨の議案が承認された場合にはその時点で廃止されるものとしており、その存続が株主の皆様の意思にかからしめられている点において株主の皆様のご意思を重視していること、2)独立性の高い独立委員会の設置を伴うものであり、対抗措置の発動に際しては必ず独立委員会の勧告を経る仕組みとなっていること、3)対抗措置の発動、不発動又は中止に関する判断の際に拠るべき基準が設けられていること等から、当社取締役会としては、本プランは当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
国内景気の大幅な後退により、当社グループ製品の紙・パルプ、インクジェット用紙、写真感光材料、機能性材料等の国内需要が大幅に減少した場合や、製品市況が下落した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主力製品である印刷用紙、情報用紙、インクジェット用紙、写真用印画紙、印刷製版材料、写真印画紙用原紙、機能性材料等で、需要構造の変化等により製品需要が縮小した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが調達する主要原材料である木材チップ、製紙用パルプ、重油、石炭等の価格は、国際的な需給関係等により変動するため、これら主要諸資材の価格が上昇した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、原材料の購入及び製品の販売等において、広く外貨建て取引及び外貨ベースでの円建て取引を行っております。輸入取引と輸出取引のどちらか一方に大きく偏っているということはありませんが、為替レート変動の影響を受けることになるため、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主要事業である紙・パルプ事業、イメージング事業、機能材事業はいわゆる装置産業にあたり、多額の設備投資資金を要します。当社グループでは、大型の設備投資は将来の需要予測に基づいて実施いたしますが、市場の動向が変化した場合等においては、新規設備の稼働率が十分に上がらない可能性があります。この場合、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、主に借入れによる資金調達を行っており、大幅な金利の上昇が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの国内外の事業所、社有林等は、地震、津波、火災等の災害に見舞われる可能性があります。この場合、保険金で補償される金額を除いて、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの国内外における事業は、環境、知的財産、製造物責任等各種の法規制を受けており、それに関連し訴訟等を受ける可能性があります。その結果によっては、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
その他偶発事象に起因して費用や損失が発生し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループにおいて発生しうるリスクをすべて予測することは不可能であり、リスクは上記に限られるものではありません。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当期は、米中貿易摩擦など世界経済の不安定要素はありましたものの、日本経済は雇用情勢や所得環境の改善が見られるなど、景気は緩やかに回復基調が続きました。紙パルプ産業においては、情報メディアの電子化による構造的な需要減退や、原燃料価格の上昇などにより、主力の洋紙事業を中心に厳しい事業環境が続きました。
このような状況下、当社グループは「第2次中期経営計画」(2016年4月~2019年3月)に沿って、「アライアンスによる収益の安定化」をキーワードとした4項目の基本方針(①洋紙事業の構造改革 ②収益基盤の充実 ③新規事業の育成 ④収益力を支える業務基盤・財務基盤の強化)のもと、外部環境に左右されにくい収益構造の実現・強化を目指した諸施策に取り組んでまいりました。
この間、王子グループとはバイオマス発電事業や家庭紙事業などアライアンスを進めてまいりましたが、複数の事業での協業関係の強化を可能とすることが両社の持続的成長には不可欠との認識で一致し、資本業務提携を実施いたしました。2019年3月29日に王子ホールディングス株式会社は、当社の議決権の33%を保有する主要株主、主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社となりました。
当期は、洋紙の国内需要減少やイメージング事業の既存製品の需要減少はありましたが、欧州子会社の売上高が増加したことなどにより、連結売上高は2,039億9千7百万円(前期比1.2%増)となりました。
損益面では、洋紙の輸送調整金制度導入や価格修正などの取り組みを行いましたが、原燃料価格上昇の影響や国内需要減少による販売数量減等の減益要因をカバーすることができず、連結営業損失は4千万円(前期は営業利益17億9千万円)、連結経常損失は9億1千4百万円(前期は経常利益6億5千2百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券の売却益を計上したほか、繰延税金資産の計上で法人税等調整額が減少したことなどにより、3億5千1百万円(前期は31億9千8百万円)となりました。
当社単体では、売上高は1,150億6千4百万円、営業損失は11億5千万円、経常損失は3億4千7百万円、当期純利益は12億8千9百万円となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度末の資産は、現金及び預金、有形固定資産、繰延税金資産等の増加はあったものの、売上債権、投資有価証券等の減少により、前連結会計年度末に比べ46億2千万円減少し、2,327億5千8百万円となりました。
負債は、仕入債務等の増加はあったものの、有利子負債の減少等により、前連結会計年度末に比べ105億4千7百万円減少し、1,657億5千4百万円となりました。
純資産は、その他有価証券評価差額金等の減少はあったものの、第三者割当による新株の発行等により、前連結会計年度末に比べ59億2千7百万円増加し、670億4百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ18億7千3百万円増加し、116億1千7百万円となりました。
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ62億5千6百万円増加し、190億6千6百万円となりました。収入の主な内訳は、減価償却費101億1千6百万円、売上債権の減少85億3千3百万円、仕入債務の増加41億9千万円であり、支出の主な内訳は、税金等調整前当期純損失8億4千5百万円、たな卸資産の増加14億6千9百万円であります。
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ29億8千4百万円増加し、89億7千9百万円となりました。支出の主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出102億2千3百万円であり、収入の内訳は、投資有価証券の売却による収入26億3千3百万円であります。
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ7千7百万円増加し、81億8千5百万円となりました。主に新株の発行による収入と、有利子負債の削減によるものであります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、個々の「重要な会計方針及び見積もり」については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える大きな要因として、当社グループの主力事業である洋紙事業の構造的な需要減退、洋紙事業の市況変動、木材チップ、製紙用パルプ、重油、石炭、諸薬品等の原燃料価格変動があります。
当連結会計年度は、洋紙などの需要減退が進む一方で、原燃料価格の上昇が進行する非常に厳しい事業環境で推移しました。
また、当連結会計年度は「第2次中期経営計画」の最終年度にあたりますが、「第2次中期経営計画」との対比は、以下のとおりであります。
中期計画 実績 差異 (億円)
売上高 2,300 2,040 ▲260
営業損益 65 ▲0 ▲65
経常損益 45 ▲9 ▲54
「第2次中期経営計画」に対する売上高下振れの大きな要因は、洋紙事業やイメージング事業の既存製品の需要が想定以上に減少したことに加え、イメージング事業や機能材事業の新規品の拡販が計画より遅れたことによります。
また、損益面では売上高の減少に加え、想定以上に原燃料価格の上昇が進んだことによります。
当連結会計年度の経営成績の前連結会計年度との比較の詳細は以下のとおりであります。
売上高は、前連結会計年度比1.2%増収の2,039億9千7百万円となりました。洋紙の国内需要減少やイメージング事業の既存製品の需要減少はありましたが、欧州子会社の売上高が増加したことなどによるものです。
営業損益は、前連結会計年度の17億9千万円の利益から18億3千万円減少し、4千万円の損失となりました。これは、原燃料価格上昇の影響や国内洋紙をはじめとした既存製品の需要減少による販売数量減などの減益要因を、洋紙の輸送調整金制度導入や価格修正、固定費削減や工場の生産性向上などのコストダウンでカバー出来なかったことによるものです。
営業外損益は、前連結会計年度の11億3千7百万円の費用(純額)から、8億7千3百万円の費用(純額)となりました。これは、「第2次中期経営計画」の基本方針として取り組みを続けている有利子負債削減などの効果により支払利息が減少したことなどによるものです。
これにより経常損益は、前連結会計年度の6億5千2百万円の利益から15億6千6百万円減少し、9億1千4百万円の損失となりました。
特別損益は、前連結会計年度の10億9千7百万円の利益(純額)から、6千8百万円の利益(純額)となりました。これは、固定資産処分益の減少などによるものです。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度から28億4千7百万円減少し、3億5千1百万円となりました。
これにより1株当たり当期純利益は、前連結会計年度が93円57銭であったのに対し、当連結会計年度は10円04銭となりました。
流動資産は、債権流動化の実行金額増加等による受取手形及び売掛金の減少等により、前連結会計年度末に比べ46億2千6百万円減少しました。
固定資産は、政策保有株式の売却等による投資有価証券等の減少がありましたが、家庭紙製造設備や機能性フィルム製造設備の新設等による有形固定資産等の増加により、前連結会計年度末に比べ5百万円増加しました。
この結果、当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ46億2千万円減少し、2,327億5千8百万円となりました。
負債は、仕入債務等の増加はありましたが、有利子負債の削減等により、当連結会計年度末における残高は、前連結会計年度末に比べ105億4千7百万円減少し、1,657億5千4百万円となりました。
有利子負債残高につきましては、「第2次中期経営計画」で2019年3月末の目標とした1,250億円に対し、1,046億円となり204億円削減を進めました。D/Eレシオも2019年3月末目標の2.3倍に対して1.6倍となっております。
非支配株主持分を含む純資産は、その他有価証券評価差額金等の減少はあったものの、第三者割当による新株の発行等により、当連結会計年度末における残高は、前連結会計年度末に比べ59億2千7百万円増加し、670億4百万円となりました。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ3.3ポイント改善し、28.5%となりました。「第2次中期経営計画」の目標23.2%に対しましては、5.3ポイント上回っております。
c.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(紙・パルプ事業)
国内市場につきましては、アライアンス効果等により情報用紙の販売は引き続き堅調に推移しましたが、印刷用紙は需要の落ち込みが一段と進み、とりわけ塗工紙が苦戦したことから、販売数量が減少しました。輸出につきましては、印刷用紙が数量を伸ばしましたが、国内向けの落ち込みをカバーするには至りませんでした。このような状況に対して、需要動向に合わせた生産体制を確立し生産性向上を図るため、2018年12月より八戸工場4号抄紙機を休止するとともに、輸送調整金制度の導入や第4四半期以降の製品価格修正に取り組み利益率向上に努めてまいりました。
欧州子会社につきましては、感圧紙を中心に販売数量が減少したものの、価格修正等による単価の上昇や為替の影響により、販売金額は増加しました。
市販パルプにつきましては、堅調な需要に応じて国内外での拡販に取り組んだ結果、販売数量、販売金額ともに大幅に増加しました。
以上の結果、紙・パルプ事業全体の売上高は1,567億8千万円と、前期比3.0%増となりました。
営業損益は前連結会計年度の9千8百万円の利益から15億2千5百万円減少し、14億2千7百万円の損失となりました。資産は、1,657億9千1百万円となりました。
原燃料価格の上昇等に加えて、国内の洋紙需要の減少と市況の低迷により減益となりました。工場の生産性向上、物流費削減などの諸施策を進めるとともに、2018年12月より八戸工場4号抄紙機を休止し需要動向に合わせた生産体制の早期確立を図る一方で、市販パルプの拡販や売電量の増加などの取り組みを行いました。また、原燃料価格等の上昇・高止まりを受け第4四半期には価格修正を実施しましたが、減益要因をカバーするには至りませんでした。
厳しい事業環境下にありますが、継続的な製品輸送力確保を目的として導入した輸送調整金制度の定着や、4号抄紙機休止後の八戸工場の生産体制最適化に加え、脱プラスチック事業としてバリアコート紙や晒クラフト紙等の新商品開発、また家庭紙事業の拡充により、ポートフォリオの転換を図り、外部環境に左右されない体制の構築を進めてまいります。
(イメージング事業)
国内市場につきましては、印刷製版材料やインクジェット用紙の需要が減退し、販売金額は減少しました。
海外市場につきましては、インクジェット用紙は業務用途や新興国の需要が拡大しましたが、既存製品の需要減退の影響が大きく、販売金額は減少しました。
以上の結果、イメージング事業全体の売上高は352億8千7百万円と、前期比4.4%減となりました。
営業利益は、前連結会計年度の4億4千9百万円から8千7百万円増加し、5億3千7百万円となりました。資産は、379億8千7百万円となりました。
既存製品の需要減退による売上高の減少に加え、原燃料価格上昇の影響などがありましたが、生産性向上や経費節減に努め、増益となりました。
今後も、富士フイルム㈱とのアライアンスにより事業基盤を一層強固にして生産体制の効率化に取り組みつつ、業務用途を中心にインクジェット用紙や印刷製版材料など既存製品のアジアほか新興国での拡販に努めるとともに、京都工場の機能性フィルム製造設備稼働に伴って、エレクトロニクス関連分野での新規事業を確立し、ポートフォリオの転換を進めてまいります。
(機能材事業)
機能材料につきましては、水処理膜支持体、バッテリーセパレータなどの不織布製品や、リライトメディアの販売金額が増加しました。
化学紙につきましては、主力の化粧板原紙は前期並みとなりましたが、テープ原紙等の販売金額が増加しました。
以上の結果、機能材事業全体の売上高は174億8千5百万円と、前期比2.7%増となりました。
営業利益は、前連結会計年度の9億5千2百万円から2億9千8百万円減少し、6億5千3百万円となりました。資産は、177億2千4百万円となりました。
新規拡販と製品の価格修正、コストダウンに注力したものの、原燃料価格上昇等の減益要因をカバーするに至りませんでした。
引き続き、水処理膜支持体の新規ユーザー獲得、MBR(膜分離活性汚泥法)膜用への展開、高耐熱バッテリーセパレータの採用に向けた取り組み、テープ原紙等の新規拡販とコストダウンに注力してまいります。また、より薄いリチウムイオン電池用セパレータや再生炭素繊維不織布などの不織布新規開発品の商品化、カーボンナノチューブ分散液の新規用途への展開、高耐熱無機繊維シートの量産化と各種用途展開など、事業拡大に向けた取り組みを進めてまいります。
(倉庫・運輸事業)
売上高は83億3千3百万円と、前期比2.8%減となりました。
営業利益は前連結会計年度の2億5千8百万円から7千4百万円減少し、1億8千4百万円となりました。資産は、45億2千8百万円となりました。
(その他)
工務関連子会社の売上減少等により、売上高は65億8百万円と、前期比21.2%減となりました。
営業利益は、前連結会計年度の1億3千5百万円から3千7百万円減少し、9千8百万円となりました。資産は、95億6千1百万円となりました。
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ62億5千6百万円増加し、190億6千6百万円となりました。
前連結会計年度に比べ営業活動の結果得られた資金が増加した主な要因として、売上債権の増減額の差異で85億6千3百万円あります。資金調達手段の多様化として債権流動化の実行金額を増加したことなどによります。
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ29億8千4百万円増加し、89億7千9百万円となりました。
前連結会計年度に比べ投資活動の結果使用した資金が増加した主な要因は、家庭紙製造設備や機能性フィルム製造設備新設など有形及び無形固定資産の取得による支出が24億1百万円増加したことなどによります。
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ7千7百万円増加し、81億8千5百万円となりました。
主に新株の発行による収入と、有利子負債の削減によるものであります。有利子負債は、営業活動によるキャッシュ・フロー190億6千6百万円と、投資活動によるキャッシュ・フロー△89億7千9百万円を合計したフリー・キャッシュ・フロー100億8千6百万円を原資にして、前連結会計年度に引き続き削減を進めました。
当社グループの運転資金及び設備資金については、自己資金又は借入金等により充当することとしております。
しかし、主力の洋紙事業を中心に国内需要減少など事業環境が厳しさを増している中、能力の安定的維持を目的として老朽化が進んだ設備の改善や効率向上、省エネルギー対応などの性能向上、成長分野での事業拡大と多様な新規事業の確立に向けた設備投資など、収益構造転換を進めるための資金需要が存在しております。
一方で、有利子負債の削減は当社の重要な経営課題となっておりますが、借入金の返済に並行して十分な投資を実行することは容易ではありません。
かかる状況下、負債性の資金調達ではなく資本性の資金調達を行うことが、当社の財務基盤の強化、ひいては持続的な成長に資するとの考えに至り、王子ホールディングス株式会社を割当先とする第三者割当増資による資金調達を2019年3月に実施いたしました。
今後は2019年度を初年度とする「新中期経営計画」に基づく諸施策を実行し、営業活動により得られた資金を原資として設備投資、借入金の返済を行い、経営目標である2022年3月末有利子負債残高980億円、D/Eレシオ1.3倍の達成に向けて取り組んでまいります。
当連結会計年度において締結した、経営上の重要な契約等は次のとおりであります。
王子ホールディングス株式会社(以下「王子HD」といいます。)と当社は、2018年2月6日付けで両社の取締役会で決議いたしました両社間の資本業務提携及び当社の王子HDに対する第三者割当による新株式の発行(以下「本第三者割当増資」といいます。)について、日本の公正取引委員会による2018年12月25日付けの排除措置命令を行わない旨の通知の受領に続き、海外競争当局から2019年3月19日までに必要なクリアランスを取得しました。これを受け、王子HD及び当社は、本第三者割当増資に係る振込日を2019年3月29日と決定する総数引受契約を2019年3月25日に締結しました。
(本第三者割当増資の概要)
なお、王子HDは、本第三者割当増資の払込日と同日に、当社株主から当社株式の取得を実行し、当社の議決権の33%を保有する主要株主、主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社となりました。
王子HDと当社は、王子グループ及び当社グループの経営資源及びノウハウを相互に活用して強固な協業関係を構築することにより、既存事業の競争力強化と新規事業の拡大を実現し、両社の企業価値向上及び貢献を図ることを目的とする業務提携契約(以下「本業務提携契約」といいます。)を2019年3月25日に締結しました。本業務提携契約における業務は生産、販売、原材料調達、物流、エンジニアリング、設備投資、研究開発及び間接部門など全ての事業分野を対象としており、今後期待できる収益改善効果として、当社では営業利益25億円以上を想定しております。
王子HDと当社の間の2018年2月6日付け資本提携契約書(以下「本資本提携契約書」といいます。)においては、(1)王子HDが、明治安田生命保険相互会社、株式会社三菱UFJ銀行、三菱商事株式会社、東京海上日動火災保険株式会社及び三菱UFJ信託銀行株式会社から当社株式を取得する取引(以下「本相対株式取得」といいます。)と、(2)当社が、そのドイツ子会社である三菱ハイテクペーパーヨーロッパGmbHの株式の全部又は一部を王子HDに譲渡する取引(以下「本子会社株式譲渡」といいます。)について規定しておりましたが、両社で本提携の在り方について協議を進める中で、(1)の本相対株式取得については予定通り本第三者割当増資の払込日と同日(2019年3月29日)に実施し、(2)の本子会社株式譲渡については、ドイツ事業は本子会社株式譲渡という選択肢以外の方法で提携を進めていくのが妥当であるとの判断に至り、実施しないこととし、本第三者割当増資の条件から本子会社株式譲渡を除外することを内容とする本資本提携契約書の変更覚書を2019年3月25日に締結しました。
当社は「ハイグレード&情報メディアの三菱製紙」を掲げ、印刷・情報用紙のみならずイメージング関連材料、機能性材料など、幅広い分野の商品開発・製造に取り組んでおります。また、地球環境の保全と循環型社会の構築は、豊かな森林資源にその事業基盤を持つ製紙産業にとって何より重要な課題であり、環境への配慮とより豊かな文化生活の両立という視点は、当社における商品開発すべての大切な原点となっております。
紙・パルプ事業では、印刷用紙、情報用紙が主な製品群となります。イメージング事業は、インクジェット用紙部門と写真用印画紙、写真用原紙、印刷製版材料などの写真感光材料部門から構成され、研究開発は電気・電子関連材料などイメージング技術を応用した分野に取り組んでおります。機能材事業では、高機能性不織布の開発とその不織布技術を用いた各種フィルターや二次電池用セパレータ等の機能性材料の研究を行っております。
研究活動は、機能材研究開発センター、京都R&Dセンター、生産技術センターの3センター及び八戸開発室等で運営しております。
白河の生産技術センターでは、抄紙テストプラントとオフセット印刷機に関わる印刷評価設備を擁し、研究開発成果の商品化支援と既存製品の品質向上に取り組んでおります。
当連結会計年度の研究開発費は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
紙・パルプ事業では、八戸工場において精力的に開発を続けている産業用インクジェット用紙に関しては、インクジェット書籍用紙の新商品開発を進めました。インクジェット印刷による文庫本の数量が伸びを示しており、デジタル印刷書籍市場は今後もさらに拡大が期待されております。このような背景から、よりお客様からの要望に応えるべく、従来のインクジェット書籍銘柄とは異なる色相の嵩高品を2種、新たに商品化いたしました。
また、洋紙事業における新たな商品開発プロジェクトをスタートさせ、2018年後半に一般軽包装用紙として晒クラフト紙を上市しました。しっかりとした厚み感、面の粗いラフな風合いでありながら良好なオフセット印刷適性、包装用紙として破れ難い事をコンセプトとして開発した商品でお客様からも高い評価をいただいており、今後、プラスチック材料品からの置き換えが期待される新たな包装用紙の開発などを進めております。
当連結会計年度の紙・パルプ事業の研究開発費は
イメージング事業では、インクジェット用紙部門、写真感光材料部門の開発で蓄積したイメージング技術を活かして、既存部門だけでなく機能性フィルムなど成長分野での商品開発を進めております。
インクジェット用紙部門では、テキスタイル分野において昇華転写用デジタル捺染紙のラインナップを拡充してアジア市場の開拓を進めており、熱圧転写用のデジタル捺染紙は試験販売に向け開発に取り組んでおります。
写真感光材料部門では、シルクスクリーン印刷業界をターゲットとした大フレーム対応のデジタルスクリーン製版機の開発に着手するとともに、極小ロットのオフセットやデジタル印刷の印刷後加工分野に向けて自動紙加工機の開発に取り組むなど新分野の開拓を進めております。
京都R&Dセンターでは、感光性レジストの新規用途開発や先端絶縁材料の処理システム開発に注力しており、すでに上市しております感光性レジストやレジスト処理システム、タッチパネルセンサーとともにエレクトロニクス分野で品揃えを強化して販売拡大に努めております。
当連結会計年度のイメージング事業での研究開発費は
機能材事業では、不織布製品の開発にリソースを集中して投入し、エアフィルター、二次電池セパレータ、水処理関連材料、その他各種機能性材料の開発を進めております。
エアフィルターについては、特殊吸着剤及び素材メーカーと協同開発した低圧損・高効率の集塵部材を用いて、PM2.5やVOCを効率良く除去できるキャビンフィルターを開発し、自動車メーカーに採用されました。
リチウムイオン電池用のセパレータについては、従来の高耐熱性の特性を維持しつつ、より一層薄いセパレータの設計開発、製造方法の検討を行っております。
また、現在、耐熱性・耐薬品性に優れたPPS繊維不織布、表面の均一性が特徴の再生炭素繊維不織布、極薄オレフィン繊維不織布等の新たな開発品について、国内外のお客様に評価を進めていただいております。
子会社のKJ特殊紙では、カーボンナノチューブ分散液を導電性発熱塗料や帯電防止塗料の材料として拡販するとともに、極薄フレキシブル面状ヒーターの実用化等を進めております。また、セラミック繊維を用いた高耐熱の無機繊維シート「コーセラン」の強度向上と量産化を進め、不燃材・防炎材・耐熱材等への用途展開を図っております。
当連結会計年度の機能材事業での研究開発費は