文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、高い技術力を活かした製品を顧客に提供し社会に貢献することを経営理念とし、この経営理念のもと以下の企業グループを目指してまいります。
・ 世界市場で顧客の信頼に応える企業グループ
・ 常に技術の先端を行く企業グループ
・ 地球環境保全、循環型社会に貢献する企業グループ
(2) 経営環境
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える大きな要因として、当社グループの主力事業である洋紙事業の構造的な需要減退、洋紙事業の市況変動、木材チップ、製紙用パルプ・重油・石炭・諸薬品等の原燃料価格変動があります。
紙・パルプ事業は、洋紙の需要減退や市販パルプの市況変動など販売面では厳しい環境にありますが、需要動向に合わせた生産体制最適化と在庫適正化を進め価格の維持、王子グループとのアライアンス強化等により、物流費削減に取り組むとともに晒クラフト紙や機能板紙の拡販、脱プラスチック用途としての市場拡大の可能性があるバリアコート紙等の新商品開発を進めることなどにより、事業構造転換を進めて収益安定化を図ります。
イメージング事業は、既存製品である印刷製版材料や写真印画紙などは電子化による構造的な需要減退が進んでおりますが、富士フイルムとのアライアンスの強化、市場開拓余地のある新興国でのインクジェット用紙拡販や、エレクトロニクス関連分野での新事業確立を進めてまいります。
機能材事業は、主要販売先である中国の経済状態や香港情勢が不安定なことによる先行きの不透明感はありましたが、水処理膜支持体やバッテリーセパレータ、エアーフィルターなどの販売は増加しました。今後も市場拡大が見込める分野で、新規拡販や新商品開発による事業拡大の取組みを進めてまいります。
当社グループは、「新しいステージに立った事業基盤の強化と多様化」を基本方針とする「新中期経営計画」(2019年4月~2022年3月)に取り組んでおります。「新中期経営計画」では最終年度(2022年3月期)の経営数値目標を設定しております。
○ 経営数値目標
(4) 会社の対処すべき課題
当社グループは2019年4月より「新中期経営計画」に取り組んでいますが、2年目にあたる当期には新型コロナウイルス感染拡大により経営環境が急変し、印刷・情報用紙やイメージング分野など当社の事業も大きな影響を受けています。「新中期経営計画」では、従来の印刷・情報用紙主体の事業構造からの転換を図り、当社グループの事業基盤の強化と多様化を目指していますが、これを更に加速していく必要があると考えています。
[新型コロナウイルスの影響に関して]
紙・パルプ事業においては、外出制限・イベント中止などにより、カタログ・チラシ用途の需要が大幅に減少しました。また、テレワーク拡大によるオフィス用紙の減少等もありました。印刷・情報用紙の需要減退が加速し、市販パルプの国際市況が低迷するなど、当期はコロナ禍により大きく販売が減少しました。今後、コロナ禍は徐々に収束に向かうと思われますが、洋紙の需要減退の傾向は継続すると思われます。このような状況下、当社グループとしては、引き続き需要動向に見合った生産体制の最適化を図ってまいります。
また、イメージング事業においては、画像出力用の分野においてコロナ禍の影響を大きく受け、世界的な旅行の自粛やイベントの中止などにより、写真用原紙やインクジェット用紙などの需要が大幅に減少しました。コロナ禍が収束に向かうにつれて需要の回復も見込まれますが、イメージング事業は海外販売比率が高いため、世界的にイベントや旅行が正常化する時期に販売の回復も左右されます。イメージング事業の回復にも未だ時間を要する見込みですが、当社グループとしては世界各国の市場動向を注視し、海外顧客との協業体制構築による販売力強化を推進してまいります。
機能材事業においては、化粧板原紙などではコロナ禍による需要減がありましたが、環境関連製品であるフィルターや水処理膜支持体、バッテリーセパレータなどは順調に推移しております。今後この機能材の分野を一層拡張するため、メルトブロー不織布製造設備の新設(2021年7月営業運転予定)を進めており、これまで培った技術に新たな技術を融合して特色のある機能性濾材メーカーへの発展を目指します。更に、需要が好調な水処理膜支持体やバッテリーセパレータの拡大を図るため湿式不織布抄紙機の増設(2022年4月営業運転予定)も決定しております。
当社グループは今後ともコロナ禍で激変・急変する状況に柔軟に対応し、安全で快適な生活に役立つ機能性製品のラインナップを充実させてまいります。コロナ禍において従業員の生命と安全を守るための対応として、製造現場では、時差出勤・交代出勤・接触機会の削減等の対策を講じ、販売・管理部門ではテレワークを進める等の感染防止対策を取っています。
[新中期経営計画について]
コロナ禍及びコロナ後の状況に対応していくためには、当社グループの事業構造の転換を進めていく必要があり、「新中期経営計画」(2019年4月~2022年3月)の以下の施策に取り組み、事業基盤の強化と多様化を推進してまいります。
① 王子グループとのアライアンスによる強固な経営基盤の確立
・王子グループ及び当社グループの経営資源及びノウハウを相互に活用して生産、販売、原燃料調達、物流、エンジニアリング、設備投資、研究開発及び間接部門など全ての事業分野において強固な協業関係を構築することにより、更なる効率化とコストダウン効果を発現させ、競争力強化を図ります。また、経営基盤の安定化と有利子負債の一層の削減を進めます。
「新中期経営計画」の2年目である当期は、王子グループとの主なアライアンスとして、以下の進捗がありました。
② 既存事業の再構築と充実
・今期実施した主な取り組みは以下の通りです。
-当社印刷感材事業の業務を子会社のダイヤミック株式会社に移管
-インクジェット事業において、業務効率化、販売体制強化のため、ダイヤミック株式会社に株式会社ピクトリコを合併
-新規商品開発を迅速かつ効率的に進めるために、つくばR&Dセンターを閉鎖し、研究開発の拠点を高砂R&Dセンター、京都R&Dセンターなどに移管することを決定
・イメージング事業は、写真用原紙などで富士フイルム㈱とのアライアンスによる事業基盤強化を進めながら海外市場への積極的な展開により、成熟化しつつある既存製品販路・シェアの拡大を図ります。
・機能材事業は、独自の技術を活かし、中国を中心としたアジア諸国及び欧米での販売拡大に努め、リライトメディア、化粧板原紙やテープ原紙などの事業で着実な前進を図ります。
③ 新たな収益の柱の育成による事業基盤の多様化
・高砂工場に、新たにメルトブロー不織布製造設備の設置、湿式不織布抄紙機の増設を行い、機能材の分野において、高性能な機能性濾材を開発し事業の拡張を目指すとともに、需要好調な水処理膜支持体やバッテリーセパレータの伸長を図ります。
また、フィルター事業の拠点を埼玉県八潮市から高砂工場に移転、高砂R&Dセンターなどの新設も進めており、高砂サイトを機能材事業の総合的な開発・生産の拠点として整備し、機能材事業の拡大を進めております。
・八戸工場では、王子グループと共同による家庭紙事業やバイオマス発電事業を立ち上げており、事業構造の転換を進めながら黒字安定化に大きく貢献しています。
・洋紙事業では、優れた生分解性及びリサイクル性を有する脱プラ包装用紙のバリコート、バリシェルパに続き、耐水性、耐油性を大幅に向上させた撥水耐油板紙、抗菌性を付与した抗菌クラフト紙を上市し、環境対応商品のラインナップ充実を進めています。
・北上ハイテクペーパー㈱では、既存設備を改造した特殊用途工程紙等製造設備が営業運転を開始し、写真用原紙以外の新たな事業が立ち上がりました。
・イメージング技術を生かしたデジタル捺染紙やエレクトロニクス分野向け機能性フィルム、耐熱性・耐火性等の品質面で優れた無機繊維紙、脱プラを目指した各種バリア紙の立ち上げなどの成長分野での事業拡大と多様な新規事業の確立に向けた取り組みを進めます。
2021年度は「新中期経営計画」の最終年度となりますが、上記に掲げた施策を進めるとともに、コロナ禍により急変した経営環境を踏まえて、次年度以降の新たなステージの展開を見据えてまいります。
[CSR(企業の社会的責任)について]
当社グループでは、CSRの目的はステークホルダーの皆様からの信頼と共感を得ることを通じて企業価値を向上し、環境面、社会面、財務面からの諸課題の解決につなげることにあると認識し、CSRを事業活動の中で取り組むべき重要な経営課題のひとつと位置づけております。
当期は、「安全衛生に関する活動の強化」及び「社会との共生を意識した商品開発」を最重要課題として取り組みました。コロナ対応商品として、アルコール除菌液、国産マスクの製造販売に着手したほか、国連の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」に対する取り組みとして、FSC森林認証紙をはじめとする環境配慮型商品の拡充や、日本政府が目指す長期目標「2050年のカーボンニュートラル実現」に貢献するために「三菱製紙グループ環境ビジョン2050」を策定いたしました。
2021年度は、「安全衛生に関する活動の強化」、「社会との共生を意識した商品開発」及び「製品品質の確保」の3点を最重要課題に掲げ、企業価値の向上を目指し、特徴あるCSR活動を展開してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
(1) 市場及び事業に関するリスク
① 国内需要の減少及び市況価格の下落
国内景気の大幅な後退により、当社グループ製品の紙・パルプ、インクジェット用紙、写真感光材料、機能性材料等の国内需要が大幅に減少した場合や、製品市況が下落した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 原燃料価格の上昇
当社グループが調達する主要原燃料である木材チップ、製紙用パルプ、重油、石炭等の価格は、国際的な需給関係等により変動するため、これら主要諸資材の価格が上昇した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 設備投資
当社グループの主要事業である紙・パルプ事業、イメージング事業、機能材事業はいわゆる装置産業にあたり、多額の設備投資資金を要します。当社グループでは、大型の設備投資は将来の需要予測に基づいて実施いたしますが、市場の動向が変化した場合等においては、新規設備の稼働率が十分に上がらない可能性があります。この場合、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 固定資産の減損
当社グループは生産設備等の固定資産を有しております。これらの固定資産は、事業環境の変化によって将来キャッシュ・フローに悪化が見込まれる場合に、固定資産の減損に係る会計基準の適用により、減損損失が発生する可能性があります。この場合、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得の予測に基づいて繰延税金資産の計上・取崩を行っております。経営成績が大幅に悪化した場合には、繰延税金資産の回収が見込めないと判断をし、繰延税金資産を減少させることにより、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 金融及び経済に関するリスク
① 為替変動
当社グループは、原材料の購入及び製品の販売等において、広く外貨建て取引及び外貨ベースでの円建て取引を行っております。輸入取引と輸出取引のどちらか一方に大きく偏っているということはありませんが、為替レート変動の影響を受けることになるため、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 金利の上昇
当社グループは、主に借入れによる資金調達を行っており、大幅な金利の上昇が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 投資有価証券
当社グループは、取引先との関係維持のため時価のある投資有価証券を保有しております。当社グループが保有する株式等の投資有価証券の時価が大幅に下落した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 退職給付債務
当社グループの退職給付費用及び退職給付債務は、割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の数理計算上の前提に基づいて算出されております。株式市場の下落などにより前提条件が変動した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) その他のリスク
① 災害
当社グループの国内外の事業所、社有林等は、地震、津波、火災等の災害に見舞われる可能性があります。また、テロやサイバー攻撃のような人為的な災害に見舞われる可能性もあります。この場合、保険金で補償される金額を除いて、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 新型コロナウイルス感染拡大のリスク
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、経済活動全般の萎縮に伴う需要低迷に加え、印刷用紙・情報用紙の需要減少(イベント中止、オフィス向け需要減等)、世界的な外出制限による画像出力向けのフォト・IJの需要減少などが生じる可能性があります。生産販売数量が大幅に減少した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 法規制又は訴訟
当社グループの国内外における事業は、環境、知的財産、製造物責任等各種の法規制を受けており、それに関連し訴訟等を受ける可能性があります。その結果によっては、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 偶発事象
その他偶発事象に起因して費用や損失が発生し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループにおいて発生しうるリスクをすべて予測することは不可能であり、リスクは上記に限られるものではありません。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営成績等の状況及び経営者の視点による分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、個々の「重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成にあたって、重要な見積りや計画の策定は、過去の実績や現状を勘案して合理的に行なっておりますが、これらは不確実性を伴うため、実際の結果は異なる可能性があります。連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産について減損の兆候がある場合、減損損失の認識の判定は、当該資産グループの来年度計画及び将来の事業計画に基づく割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって行なっております。判定の結果、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回り、減損損失の認識が必要とされた場合、帳簿価額を回収可能価額(正味売却価額又は使用価値のいずれか高い方の金額)まで減額し、当該帳簿価額の減少額は減損損失として認識します。将来キャッシュ・フローの算定は一定の見積り・前提により行っておりますので、将来キャッシュ・フローが想定より減少した場合は、将来の連結財務諸表において、固定資産の減損損失が発生する可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、将来の課税所得について合理的な仮定に基づく見積りを行い、繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得に関する仮定について変動が生じた場合などは、将来の連結財務諸表の繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、主要セグメントについて以下の前提にて、会計上の見積りを行なっております。
紙・パルプ事業においては、需要は前期に比べて緩やかに回復するものの、テレワークの定着などにより企業のペーパーレス化が進むなどの事業環境の変化もあり、感染拡大前の水準には戻らないと仮定しております。
イメージング事業においては、世界的にイベントや旅行が元の水準に戻るには時間がかかりますが、イベント等の開催制限の緩和も見られますので、2022年3月期は需要の回復途上にあると仮定しております。
機能材事業においては、建築用途などで影響を受けた化学紙の需要は2022年3月期に概ね回復すると仮定しております。その他の機能材料については、大きな影響を受けておりません。
新型コロナウイルス感染症の影響が仮定と異なった場合、将来の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
② 経営成績に関する説明
当期は、新型コロナウイルス感染症の影響により日本経済および世界経済は厳しい状況で推移いたしました。経済活動は一部に持ち直しの動きが見られたものの、コロナ禍の収束時期が見通せないなかで、先行きは依然として不透明な状況が続いています。
紙パルプ産業においては、情報メディアの電子化による構造的な需要減退があるなかで、テレワーク増加やイベント中止などによる印刷・情報用紙の需要減退が加速いたしました。
このような状況下、需要動向に合わせた生産体制の整備を実施するなど、急変する状況に応じて柔軟に対応を行ってまいりました。
2年目に入った「新中期経営計画」(2019年4月~2022年3月)につきましては、3つの重点戦略、
① 王子グループとのアライアンスによる強固な経営基盤の確立
② 既存事業の再構築と充実
③ 新たな収益の柱の育成による事業基盤の多様化
に精力的に取組み、基本方針である「新しいステージに立った事業基盤の強化と多様化」を進めています。
王子グループとのアライアンスでは、「2020年7月にノーカーボン事業の当社高砂工場移管」、「2021年10月(予定)に当社白河事業所のプレスボード事業の王子エフテックス㈱への事業譲渡」などの施策により、資本業務提携効果によって事業ポートフォリオの変革と経営基盤の強化を進めています。
当期は、各事業ともコロナ禍の影響による需要減少の影響が大きく、連結売上高は1,623億2千5百万円(前期比16.6%減)となりました。
損益面では、工場固定費削減などのコストダウンや原燃料価格安の効果はありましたが、生産販売数量の減少の影響が大きく、連結営業損失は17億7千万円(前期は営業利益19億7千6百万円)、連結経常損失は6億3千6百万円(前期は経常利益26億9千6百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、つくばR&Dセンター閉鎖に伴う減損損失を計上したことなどにより、25億3千2百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益8億1百万円)となりました。
当社単体では、売上高は866億1千9百万円、営業損失は30億9千5百万円、経常損失は7億3千5百万円、当期純損失は関係会社株式評価損、関係会社出資金評価損などを計上したことにより、58億1千8百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(紙・パルプ事業)
国内市場につきましては、製品価格水準は維持しましたが、コロナ禍の影響により上期を中心に需要の減退が大きく、販売数量、金額ともに減少しました。輸出につきましても販売数量、金額ともに減少しました。かかる状況下、需給引き締めを図るため減産を継続し、さらに今後の需要減少を見据えた生産体制の確立に取り組んでまいりました。
欧州子会社につきましては、コロナ禍により各主力製品の需給関係が悪化し、販売数量の減少とともに価格が低下、為替の影響も加わり、販売金額は減少しました。
市販パルプにつきましては、コロナ禍の影響等で国際市況が低迷し、販売数量、金額ともに減少しました。
以上の結果、紙・パルプ事業全体の売上高は1,253億4千万円と、前期比14.4%減となりました。営業損益は、前期の11億4千万円の利益から24億4千万円減少し、12億9千9百万円の損失となりました。
原燃料価格安やコストダウン効果はありましたが、生産販売数量減少のマイナスをカバーするには至りませんでした。
コロナ禍の影響は今なお続いており、紙需要の先行きについても予断を許さない状況にあります。これに対し、引き続き需要動向に合わせた生産体制最適化と在庫適正化を進め価格の維持を図ってまいります。さらに、王子グループとの協業強化等により物流費削減に取り組むとともに、晒クラフト紙や機能板紙の拡販、脱プラスチックに寄与するバリアコート紙の品揃え拡大などを進め、製品ポートフォリオの転換を加速し、早期に収益の安定化を目指してまいります。
(イメージング事業)
コロナ禍に伴う旅行やイベントの自粛・中止の影響等により、国内及び海外市場ともに、画像出力用途を中心とする写真感光材料やインクジェット用紙の需要は低調で販売金額は減少しました。
以上の結果、イメージング事業全体の売上高は251億8千2百万円と、前期比25.1%減となりました。
営業損失は前期の3億3千万円から、損失幅が17億9千8百万円拡大し、21億2千8百万円となりました。
販売数量の減少、生産設備の稼働率低下によるコスト上昇などのマイナス要因が大きく、業務用途のインクジェット用紙の新規開拓、アルコール除菌液など感染症予防製品の販売、固定費の削減に努めましたが、カバーするには至りませんでした。
国内外で生産体制の再編と販売体制の効率化に取り組み、世界各国の市場動向に柔軟に対応しながら、製品ラインナップの拡充と海外顧客との協業体制構築による販売力強化を推進し、収益の改善に取り組んでまいります。
(機能材事業)
化学紙につきましては、建築用途等でコロナ禍の影響が強く、主力の化粧板原紙や壁紙用裏打紙等の数量が落ち込み販売金額は減少しました。
また、その他の機能材料につきましても、リライトメディアや建材用不織布では数量が減少しましたが、水処理膜支持体やバッテリーセパレータ、エアフィルターの増加で補い、販売金額は増加しました。
以上の結果、機能材事業全体の売上高は151億4千4百万円と、前期比6.4%減となりました。営業利益は、コストダウン効果や原燃料価格安に加え、水処理膜支持体やバッテリーセパレータ等の販売増により15億6百万円と、前期比5億5千3百万円の増益となりました。
引き続き、水処理膜支持体の新規ユーザー獲得やMBR(膜分離活性汚泥法)膜用への展開、バッテリーセパレータ、化粧板原紙、テープ原紙などの拡販に注力し、収益の増進を目指してまいります。
(倉庫・運輸事業)
倉庫・運輸事業の売上高は75億5千万円と、前期比6.6%減となりました。営業利益は1億4千9百万円と、前期比1千2百万円の増益となりました。
(その他)
工務関連子会社とスポーツ施設運営子会社の売上減少等により、売上高は56億3千万円と、前期比21.9%減となりました。営業利益は4千7百万円と、前期比8千6百万円の減益となりました。
また、当連結会計年度は「新中期経営計画」の2年目にあたります。「新中期経営計画」の最終年度目標値との対比は、以下のとおりであります。
○ 経営数値目標
「新中期経営計画」の2022年3月期の目標値に対する進捗は、売上高は新型コロナウイルスの大きな影響を受け、販売数量の未達により想定より下回っています。損益面は売上高の減少をコストダウンの取り組み等で一部カバーしましたが、営業利益・経常利益ともに想定を大きく下回っております。有利子負債は、棚卸資産の削減を進めたことなどにより、目標を1年前倒しで達成しております。
2021年3月期は新型コロナウイルス感染症による影響を大きく受けましたが、2022年3月期は一定の需要回復が見込めることから、「新中期経営計画」との乖離を縮小すべく、スピード感を持って収益改善に取り組んでまいります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
流動資産は、現金及び預金の増加はあったものの、たな卸資産の削減や、受取手形及び売掛金の減少等により、前連結会計年度末に比べ39億6千1百万円減少しました。
固定資産は、減価償却の進行による有形固定資産の減少はあったものの、株価上昇による投資有価証券と退職給付に係る資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ11億8千2百万円増加しました。
この結果、当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ27億7千9百万円減少し、2,094億3千8百万円となりました。
負債は、有利子負債の削減や、支払手形及び買掛金の減少等により、当連結会計年度末における残高は、前連結会計年度末に比べ51億5千3百万円減少し、1,465億3千5百万円となりました。
有利子負債残高につきましては、前連結会計年度末に比べ41億円減少の979億円となりました。「新中期経営計画」で2022年3月末の目標を980億円と設定しており、目標を1年前倒しで達成しております。D/Eレシオは2022年3月末目標の1.3倍に対して1.6倍となっております。
非支配株主持分を含む純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上はありましたが、株価上昇によるその他有価証券評価差額金と退職給付に係る調整累計額の増加等により、当連結会計年度末における残高は、前連結会計年度末に比べ23億7千4百万円増加し、629億2百万円となりました。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ1.5ポイント改善し、30.0%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ64億4千万円増加し、157億1百万円となりました。
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ30億3千7百万円増加し、130億1千4百万円となりました。収入の主な内訳は、減価償却費90億3千1百万円、たな卸資産の減少81億7千5百万円であり、支出の主な内訳は、仕入債務の減少41億9千3百万円であります。
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ44億7千3百万円減少し、20億9千8百万円となりました。支出の主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出39億3千1百万円であります。
前連結会計年度に比べ投資活動の結果使用した資金が減少した主な要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出が33億1千2百万円減少したことなどによります。
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ11億4千2百万円減少し、45億1千2百万円となりました。これは主に有利子負債の削減によるものであります。有利子負債は、営業活動によるキャッシュ・フロー130億1千4百万円と、投資活動によるキャッシュ・フロー△20億9千8百万円を合計したフリー・キャッシュ・フロー109億1千6百万円を原資にして、前連結会計年度に引き続き削減を進めました。
当社グループの運転資金需要の主なものは、原燃料購入費用、製造諸費用、販売費及び一般管理費等であります。投資資金需要の主なものは、既存設備の改善や効率向上、省エネルギー対応などの性能向上、成長分野での事業拡大と多様な新規事業の確立に向けた設備投資などであります。
当社グループの運転資金及び設備資金については、自己資金、金融機関からの借入金、コマーシャル・ペーパーの発行等により充当することとしております。また、資金調達手段の多様化として売掛債権の流動化も実施しております。長期借入金の資金調達につきましては、金利動向等の市場環境を見ながら、シンジケート・ローンの活用など調達手段や調達時期を適宜判断して実行しております。
また、当社グループ内では、キャッシュ・マネジメント・システムを導入して資金の一元管理を行い、資金効率の向上を図っております。
経営上の重要な契約等は次のとおりであります。
当社は「ハイグレード&情報メディアの三菱製紙」を掲げ、印刷・情報用紙のみならずイメージング関連材料、機能性材料など、幅広い分野の商品開発・製造に取り組んでおります。また、地球環境の保全と循環型社会の構築は、豊かな森林資源にその事業基盤を持つ製紙産業にとって何より重要な課題であり、環境への配慮とより豊かな文化生活の両立という視点は、当社における商品開発すべての大切な原点となっております。
紙・パルプ事業では、印刷用紙、情報用紙が主な製品群となります。イメージング事業は、インクジェット用紙部門と写真用印画紙、写真用原紙、印刷製版材料などの写真感光材料部門から構成され、研究開発は電気・電子関連材料などイメージング技術を応用した分野に取り組んでおります。機能材事業では、高機能性不織布の開発とその不織布技術を用いた各種フィルターや二次電池用セパレータ等の機能性材料の研究を行っております。
2020年1月に研究開発本部を新設し、事業部傘下に組織されていた各研究部門を全社で統括し、全事業横断的に新製品開発、技術支援、人材最適化を機動的に行える環境を整えました。この体制下で、経営課題に基づく重点指向による研究テーマの策定や研究リソース配分の適正化など成果を上げております。また、未来志向の研究テーマ構築にも注力しております。
更に、開発の加速、収益への貢献を確実とするために開発実行体制を見直し、製造場所から離れていたつくばR&Dセンターは閉鎖し、主な研究テーマと関連のある高砂工場内に高砂R&Dセンターを新設し、また、京都工場に関わる一部の研究テーマは京都R&Dセンターに移管します。併せて、つくばと京都に並存していた分析業務は京都R&Dセンター内に集約し、且つ、研究開発本部直轄の組織として戦略的に運用します。
当社主力製品である紙に係る研究は、用途開発を中心に商品開発部が担当しており、また、同部では再生可能資源としての木材利用を促進すべく、紙用途以外でのパルプの有効活用について探索を進めております。
当連結会計年度の研究開発費は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
当社は従来より、耐水性と耐油性を兼ね備えた板紙を商品としてラインナップしておりましたが、昨今の海洋プラスチック問題等、容器包装におけるプラスチック削減に貢献する商品を要望する声を受け、この度、「撥水耐油板紙」を上市いたしました。従来品の耐水性を大幅に向上させ、また耐油性を示すキット値を最大値まで向上させた商品であり、また、電子レンジ加熱を想定した容器にも適用可能です。紙の利用を通じてSDGs(持続可能な開発目標)に貢献できるFSC森林認証紙も対応可能となっております。本銘柄は、前年度より本格検討中の紙素材の包装用コート紙「barricote」ブランドと共に、TOKYO PACK 2021(2021年2月)にてご紹介させていただき、多くの方々に関心を持っていただきました。
また既に上市した晒クラフトの機能性新商品として、抗菌クラフト紙を開発いたしました。本銘柄は、抗菌マーク取得基準に合格しており、抗菌性の封筒や紙袋として既に採用されております。本銘柄もFSC森林認証紙対応可能であり、今後、更なる用途展開が期待されております。
今後も引き続き、脱プラが期待される商品、包装用紙を中心に、新商品開発を進めてまいります。
当連結会計年度の紙・パルプ事業の研究開発費は
イメージング事業では、インクジェット用紙部門、写真感光材料部門の開発で蓄積したイメージング技術を活かして、既存部門だけでなく機能性フィルムなど成長分野での商品開発を進めております。インクジェット用紙部門では、抗菌性、屋外耐候性を付与した新商品を開発し上市するとともに、テキスタイル分野において昇華転写用デジタル捺染紙のラインナップを拡充して国内、北米およびアジア市場を中心に開拓に取り組んでおります。
写真感光材料部門では、新たに感熱式製版フィルムの段ボール・パッケージ印刷市場への展開による事業拡大など新分野の開拓を進めております。
また、電子工業材料の新規用途開発や先端絶縁材料の処理システム開発に注力しており、すでに上市しております感光性レジストやレジスト処理システムに加えエレクトロニクス分野で品揃えを強化して販売拡大に努めるとともに、その他既に発売しております卵子凍結保存デバイス、アルコール除菌液などの医療・ヘルスケア分野の新規製品開発に取り組んでいます。
当連結会計年度のイメージング事業での研究開発費は
機能材事業では、不織布製品の開発にリソースを集中して投入し、エアフィルター、二次電池・コンデンサ用セパレータ、水処理関連材料、その他各種機能性材料の開発を進めております。
エアフィルターについては、コロナ禍で換気の重要性が認識され、全熱交換換気装置用素子の販売が増えており、紙素子の品揃え拡充に加え、欧米の主流で中国でも需要が出始めているポリマー素子の開発を進めております。
二次電池・コンデンサ用セパレータについては、使用される電子機器の小型化に適応するための要素技術の開発および製品への適用を進めております。
水処理関連基材については、RO膜基材のラインナップ拡大を進めるとともに、RO膜以外の水処理膜用基材の開発も進めております。
その他、PPS繊維不織布、超耐熱ガラス繊維不織布、軽量不燃グラスウールボード等、新たな機能性材料を開発し、市場への投入を検討しております。
子会社のKJ特殊紙では、高耐熱の無機繊維シート「コーセラン」がVOC除去装置、除湿装置用の吸着基材剤担持体として採用されており、軽量の耐熱材・防炎材、各種フィルター等への用途展開を進めるとともに、ニーズに合わせた繊維・処方変更等で製品ラインナップの拡充に取り組んでおります。カーボンナノチューブ分散液は精密機器搬送用容器の帯電防止材で採用され拡大する中、帯電防止材料の改良等を行っております。また、環境問題の対処に有効な、廃材を利用した商品の開発を始めました。
当連結会計年度の機能材事業での研究開発費は