第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における我が国経済は、企業収益及び雇用情勢の改善が続く中で各種政策の効果もあって、景気は緩やかに回復基調が続いているものの、米国の政権交代による経済政策の影響、英国のEU(欧州連合)離脱問題など海外経済の不確実性の影響により、依然として先行き不透明な状況が続きました。

当社グループにおきましては、国内の売上高は減収となりましたが、Alberta-Pacific Forest Industries Inc.の通年寄与、海外子会社の収益の改善等により増収増益となりました。当社グループの当連結会計年度における業績は以下のとおりです。

売  上  高

262,398

百万円

(前連結会計年度比

6.3%増

)

営 業 利 益

12,900

百万円

(前連結会計年度比

39.7%増

)

経 常 利 益

14,055

百万円

(前連結会計年度比

32.8%増

)

親会社株主に帰属する当期純利益

10,380

百万円

(前連結会計年度比

38.8%増

)

 

 

主なセグメント別の業績は、下記のとおりであります。

 

① 紙パルプ事業

紙パルプ事業につきましては、国内の売上高は減収となりましたが、Alberta-Pacific Forest Industries Inc.の通年寄与等により増収となりました。
 損益面においては、海外連結子会社の収益の改善等により増益となりました。

品種別には、洋紙につきましては、景気の緩やかな回復によるプラス要素もありましたが、電子媒体化の影響、出版物・広告の紙離れもあり販売数量は減少しました。

白板紙につきましては、コート白ボールは菓子関連向けが堅調に推移し、内食化の定着による食品関連向けが伸長しました。高級白板紙はコンビニ、スーパー等の店頭POP用途や化粧品関連商品が順調でした。また特殊白板紙は洋菓子向けや、医薬品パッケージ用途が底堅く販売数量は増加しました。

特殊紙につきましては、機能紙分野において、電子部品搬送用のチップキャリアテープ原紙はスマートフォンの普及や自動車の急速な電子化に伴い電子部品の需要拡大により増販につながり、車載用バッテリーセパレータ、空気清浄用フィルター等も堅調に推移しました。一方で、カタログ・パンフレット・カレンダー用途等の高級印刷用紙やファンシーペーパーでは需要減少に加えて一般紙へのグレードダウンが続き、情報用紙では、通知用の圧着ハガキ用紙は前年実績を上回りましたが、帳票用途の減少、電子媒体への移行が続き、厳しい販売状況でした。

 

以上の結果、紙パルプ事業の業績は以下のとおりとなりました。

売上高

234,576

百万円

(前連結会計年度比

7.5%増

)

営業利益

10,321

百万円

(前連結会計年度比

41.0%増

)

 

 

 

② パッケージング・紙加工事業

パッケージング・紙加工事業につきましては、加工紙及び液体容器の受注が増加となりましたが、その他の分野では厳しい受注環境となり売上高は僅かに増収となりました。損益面においては、各種コストダウン等の効果により増益となりました。

 以上の結果、パッケージング・紙加工事業の業績は以下のとおりとなりました。

売上高

20,146

百万円

(前連結会計年度比

0.1%増

)

営業利益

1,261

百万円

(前連結会計年度比

81.1%増

)

 

 

③ その他

木材事業、建設業、運送・倉庫業をはじめとするその他事業につきましては、建設業において、受注が減少し減収となりました。損益面においては、各種コストダウン等の効果により増益となりました。

以上の結果、その他事業の業績は以下のとおりとなりました。

売上高

7,676

百万円

(前連結会計年度比

9.1%減

)

営業利益

623

百万円

(前連結会計年度比

13.1%増

)

 

 

 なお、上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べて394百万円増加し、19,284百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は28,918百万円(前連結会計年度比38.1%増)となりました。
 収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益12,514百万円、減価償却費19,093百万円、支出の主な内訳は、持分法による投資利益3,019百万円、売上債権の増加額2,337百万円、法人税等の支払額2,164百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は13,648百万円(前連結会計年度比276.2%増)となりました。
 支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出12,932百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は14,446百万円(前連結会計年度比17.4%増)となりました。
 支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出19,112百万円、社債の償還による支出10,000百万円、配当金の支払額2,272百万円、コマーシャル・ペーパーの減少額9,000百万円、収入の主な内訳は、社債の発行による収入20,000百万円、長期借入れによる収入3,362百万円、短期借入金の増加額3,294百万円であります。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、その内容、構造、形式等は必ずしも一様ではありません。このため、セグメントごとの生産高を表示することは困難であります。そこで、紙パルプ事業の主要生産会社である当社、Alberta-Pacific Forest Industries Inc.及び江門星輝造紙有限公司の当連結会計年度における主たる品種別生産実績を示すと、次のとおりであります。

 

区分

生産高(t)

前年同期比(%)

洋紙

1,385,699

99.0

板紙

555,443

111.7

合計

1,941,142

102.3

パルプ

1,630,998

136.4

 

(注)平成27年10月に取得したAlberta-Pacific Forest Industries Inc.が通年寄与したことにより、当連結会計年度において、パルプの生産高が増加しております。

 

(2) 受注実績

当社グループは、一部受注生産を行っているものもありますが、大部分は一般市況及び直接需要を勘案して計画生産を行い、自由契約に基づき販売しております。このため、グループ会社の受注実績を把握することが困難であります。そこで、受注実績については記載を省略しております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

紙パルプ事業

234,576

107.5

パッケージング・紙加工事業

20,146

100.1

その他

7,676

90.9

合計

262,398

106.3

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

新生紙パルプ商事㈱

39,671

16.1

37,328

14.2

国際紙パルプ商事㈱

24,268

9.8

22,572

8.6

 

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

① 会社の経営の基本方針

当社グループは、「北越紀州製紙企業理念」のもと、洋紙、白板紙、特殊紙及び紙加工の主要4事業を核として、魅力ある商品とサービスを広く社会に提供し、顧客、株主、取引先、地域社会をはじめとする総てのステークホルダーの支持と信頼に基づいた企業グループの安定的かつ持続的な成長と企業価値の向上を図ることを経営の基本方針としております。 

特に環境については、当社グループの環境への取り組みの基本方針である「ミニマム・インパクト」をより深化させ、これからもCO2排出量の削減、海外植林事業及びエコロジー技術などの積極的な取り組みを進め、地球環境の保全に向けた環境重視経営をさらに強化してまいります。

 

② 目標とする経営指標

当社グループでは、企業としての本来の事業活動の成果を示す売上高及び営業利益を重要な経営指標と位置付け、この向上を通じて、企業価値の拡大を図ってまいります。

 

③ 中長期的な会社の経営戦略

当社グループでは、あらゆる事業環境の変化に対応し得る真のグローバル企業を目指し、平成23年4月に、平成32年(2020年)を目標とする長期経営ビジョン「Vision 2020」を策定しております。その「Vision 2020」における企業の具体像は、環境経営を推進し、あらゆる企業活動において環境を重視する企業、また、高い技術を有し、優れた品質とコスト競争力を持った魅力ある商品を提供する企業、そして、着実な成長とあくなき挑戦を、情熱をもって続ける企業であります。
 「Vision 2020」の達成に向けた第1ステップとして平成23年4月より「G-1st」計画、第2ステップとして平成26年4月より「C-next」計画を策定し、取り組んでまいりました。そして、「Vision 2020」へ向けた最終ステップとして、平成29年4月から平成32年3月までの新中期経営計画「V-DRIVE」をスタートさせ、海外事業拡大、工場競争力再強化及び連結経営体制基盤強化を基本方針として様々な経営戦略を実行してまいります。

 

 

(2) 経営環境及び対処すべき課題

① 経営環境認識

当期における我が国経済は、企業収益及び雇用情勢の改善が続く中で各種政策の効果もあって、景気は緩やかに回復基調が続いているものの、米国の政権交代による経済政策の影響、英国のEU(欧州連合)離脱問題など海外経済の不確実性の影響により、経営を取り巻く環境は厳しさを増しております。

国内紙パルプ産業につきましては、出版・情報用紙の需要縮小、販売価格の低迷、原燃料価格の上昇等により一段と厳しい事業環境になってきております。

 

② 対処すべき課題

イ 洋紙事業戦略

洋紙事業につきましては、少子高齢化やIT化により出版・情報用紙の国内需要が縮小する中、安定的な収益構造を構築するため、国内事業の競争力強化を図ってまいります。主力の新潟工場においては、首都圏からの立地条件を活かし、物流戦略の強化を図るとともに、年間30万tの輸出等により、最適生産体制を維持してまいります。

また、大きく変わる事業環境の中、継続的にあらゆるコスト改善に努めてまいりましたが、円安及び原燃料価格の上昇により、再生産可能な収益を確保するため、本年2月に印刷・情報用紙の製品価格改定を公表いたしました。引き続き、北越紀州販売㈱と一体となった販売戦略を進め、適正な価格の堅持に努めてまいります。

さらに当社は、新たに出版用紙営業部を新設し、お客様のニーズに応じた出版用途の開発を積極的に推進し、出版社向けの塗工紙、上級紙、色上質紙の販売数量のシェア拡大に向け取り組んでまいります。

ロ 白板紙事業戦略

白板紙事業につきましては、食品、医薬品及び日用品等の生活に密着した商品が堅調に推移している中、成長分野である一次容器需要の更なる取り込みを目指すとともに、関東工場と中国の江門星輝造紙有限公司との技術的シナジーを活かしてまいります。

また、当社は、前述の印刷・情報用紙と同様に、白板紙についても本年4月に製品価格改定を公表いたしました。引き続き、北越紀州販売㈱と一体となった販売戦略を進め、適正な価格の堅持に努めてまいります。

さらに、北越紀州販売㈱及びビーエフ&パッケージ㈱との協業によるグループ競争力の強化を図ることにより、お客さまからのニーズに迅速に対応するとともに、新製品開発と顧客満足度の向上に向け取り組んでまいります。

ハ 特殊紙事業戦略

特殊紙事業につきましては、お客様の潜在ニーズを的確に把握し商品開発を進めてまいります。特に機能紙につきましては、スマートフォンの普及や自動車の急速な電子化に伴い、電子部品の需要が急速に拡大したため、電子部品搬送用のチップキャリアテープ原紙は生産・販売ともに大幅な増加となっております。また車載用バッテリーセパレータや空気清浄用フィルターにつきましても安定受注が続くなど、全世界市場を見据え、オンリーワンの商品を拡販してまいります。

さらに、国内販売の更なる強化と、国内外の子会社との連携をはじめとしたグローバル規模の最適生産販売体制の構築に向け取り組んでまいります。

ニ 紙加工事業戦略

紙加工事業につきましては、主力のパッケージング・包装分野において液体容器や食品・菓子用紙器の新規受注や拡販によるシェア拡大を目指すとともに、原紙・素材開発から加工までのグループ一貫生産によるシナジー効果の発現に向け取り組んでまいります。

またビーエフ&パッケージ㈱は、昨年末に食品容器を製造販売するフードチェーンの一企業として、食の安全を求める声に応えるため、食品安全マネジメントシステム「FSSC22000」の認証を取得いたしました。この認証取得を機に、これまで以上に食品包装の安全と安心をお客様にお届けしてまいります。

ホ 海外戦略

当社グループは、「Vision 2020」の達成に向け、更なる発展の礎とすべく、積極的な海外投資を実行し、現在では中国、欧州及び北米と3つの海外生産拠点を確立いたしました。

中国の江門星輝造紙有限公司は、平成27年に営業生産をスタートし、3年目に入りました。現在では、お客様のニーズに合致した製品を提供するとともに、マーケティングの徹底による販売戦略の強化を図ったことにより、広東省を中心に販売が好調であり、大幅な増収となりました。今後は、2号機増設を視野に入れて中国における白板紙事業の更なる拡大成長に向け取り組んでまいります。

フランスのBernard Dumas S.A.S.は、車載用バッテリーセパレータの生産・販売が好調に推移しております。引き続き将来の需要増加やグローバル市場へ向けた供給体制を確立し、既存設備の生産能力の増強を図るとともに、新たな海外生産拠点を設立すべく検討を進めてまいります。

カナダのAlberta-Pacific Forest Industries Inc.につきましては、既存の洋紙、白板紙、特殊紙、紙加工事業に加え第5のコア事業と位置付け、定期修繕方法の見直しや輸送形態の変更等によるコスト改善を進め、競争力の更なる強化を図ってまいります。

また、新中期経営計画「V-DRIVE」においては、海外事業を含め、戦略投資500億円、設備投資400億円、総額900億円の投資計画を予定しております。

ヘ 環境戦略

当社グループは、原料から製品に至るまで、環境へのあらゆる影響を最小限にする「ミニマム・インパクト」を基本方針とし、業界に先駆けた環境対策を積極的に進めてきた結果、CO2排出原単位は紙パルプ業界平均の約半分と業界でもトップに位置しております。新潟工場で導入したガスコージェネレーション設備や黒液濃縮装置の導入により、CO2排出量の削減及びエネルギー効率の改善を進め、先般日本経済新聞社が実施した第20回「企業の環境影響度調査」において、紙パルプ業界においては首位を獲得することができました。また、平成32年開催の東京オリンピック・パラリンピックに向け、FSC認証紙の拡充も進めるとともに、海外事業においても、中国の江門星輝造紙有限公司において「ISO14001」の認証を取得するなど、環境に優しい製品を提供するとともに、環境経営を積極的に推進してまいります。

ト 研究開発

当社は、木質パルプなどを原料とし、植物繊維をナノレベルに精製した、軽くて丈夫な植物由来の素材CNF (セルロースナノファイバー)の研究開発において、ガラス繊維の隙間にCNFを蜘蛛の巣状に張り巡らした超高性能な空気清浄用フィルター濾材と超低密度で高表面積の多孔質体「エアロゲル」の開発に成功しました。これは、ガラス繊維を使用する空気洗浄用フィルターの研究で培った技術をさらに発展させたものであります。

また、カナダのAlberta-Pacific Forest Industries Inc.は、2010年からアルバータ州の研究機関であるInnoTech AlbertaとCNC(セルロースナノクリスタル)に関する共同研究を進めており、当社及び同社は、昨年11 月、アルバータ州政府とCNCの商用材料開発に向けて協力関係をさらに発展させることについて合意いたしました。

さらに当社は、本年4月に新機能材料開発室を新設し、当社グループ全体で新機能材料の開発を促進する体制を整えました。

 

以上の取り組みを推進することにより、「V-DRIVE」の経営目標達成を目指すとともに、今後も「北越紀州製紙企業理念」で掲げる「法を遵守し、透明性の高い企業活動により信頼される企業」として、すべてのステークホルダーの皆さまからの信頼をもとに、持続的な成長を目指してまいります。

 

 

 

(株式会社の支配に関する基本方針)

(1) 当社の基本方針の内容の概要

当社は、先進の技術と従業員の強固な信頼関係をベースとして、環境負荷を低減した紙素材の提供を通して、顧客・株主・取引先・地域社会等に貢献できる会社となり、同時に企業価値の長期安定的な向上を図ることを、経営の最重要課題と認識しております。従いまして、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させる者でなければならないと考えております。

当社は、株式の大量買付であっても、当社自身の企業価値を増大させ、株主共同の利益を向上させるものであれば、これを一概に否定するものではありません。会社の支配権の移転については、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと認識しております。

しかしながら、株式の大量買付の中には、その目的等から見て却って企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するもの、株主に株式売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が買付の条件等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための充分な時間や情報を提供しないもの等、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なからず見受けられます。

当社の属する製紙産業は、設備の投資から回収まで長期間を要するものであり、中長期的視点での経営判断が必要とされます。当社は適宜・適切な設備投資を実施し、国際競争力を確保して参りましたが、こうした努力が当社の株式の大量買付を行う者により中長期的に確保され、向上させられなくてはなりません。また、当社の競争力の源泉は設備の比較優位性だけでなく、需要家の皆様から当社製品の品質と短期間での納品をはじめとしたお客様の要請に応えるきめ細かなサービスに対して、多くの御支持を頂いていることにあります。さらに、当社グループ従業員の一体感を持った、高いモチベーションや、当社とその事業がなされる地域社会との関係も重要と考えられます。これらが当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上にとって不可欠であると考えております。

当社としては、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、このような当社の企業価値の源泉を十分に理解したうえで、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させる者でなければならないと考えております。従いまして、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある株式の大量買付を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。

 

(2) 基本方針実現に資する特別な取組みの概要

当社グループは、明治40年の創業以来、一貫して紙素材を社会に提供することにより、社会経済の発展と生活文化の向上に努めております。また、国際的な競争力を有し、持続的な成長を可能とすることにより企業価値の長期安定的な向上を図ることを、経営の最重要課題と捉えております。そのため、いかなる事業環境下においても持続的な成長を目指し、さらに企業価値を向上させるため、2020年(平成32年)を目標とする長期経営ビジョン「Vision 2020」の最終ステップとして、前述のとおり、平成29年4月より新中期経営計画「V-DRIVE」をスタートさせました。ここで掲げた基本方針、経営目標を実現することにより、企業価値、ひいては株主共同の利益の向上に努めてまいります。

 

(3) 基本方針に照らして不適切な者によって当該株式会社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要

当社は、平成28年5月13日開催の取締役会において「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)」(以下「本プラン」という。)の更新を決議し、同年6月28日開催の第178回定時株主総会において、本プランは株主の皆様のご承認をいただき、更新されました。

本プランは、当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させることを目的として、当社株式の20%以上の買付等が行われる場合に、買付者等に対し、事前に意向表明書の提出や当該買付等に関する情報の提供を求め、当社が、当該買付等についての情報収集・検討等を行う期間を確保した上で、株主に対して当社経営陣の計画や代替案等を提示したり、買付者等との交渉等を行っていくための手続を定めるものです。

買付者等が、本プランに定める手続に従うことなく買付等を行う場合や、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのある買付等である場合など、買付等が本プランに定められた客観的な発動要件に該当し、対抗措置を発動することが相当であると認められる場合は、当社は、会社法その他の法律及び当社定款が当社取締役会の権限として認める措置(以下「対抗措置」という。)をとり、当該買付等に対抗することがあります。当社取締役会は、具体的にいかなる対抗措置を講じるかについては、その時点で最も適切と当社取締役会が判断したものを選択することとしますが、現時点における具体的な対抗措置としては、新株予約権の無償割当てを行うことを予定しており、その場合には、当該買付者等による権利行使は認められないなどの差別的行使条件及び当該買付者等以外の者から当社株式と引換えに新株予約権を取得するなどの差別的取得条項が付された新株予約権を、その時点の全ての株主に対して新株予約権無償割当ての方法(会社法第277条以降に規定されます。)により割り当てます。

なお、対抗措置の発動、不発動または中止等の判断については、当社取締役会の恣意的判断を排するため、当社経営陣から独立した者のみから構成される独立委員会の判断を経るとともに、株主に対して適時に情報開示を行うことにより透明性を確保することとしています。

本プランの有効期間は、平成31年3月期に係る定時株主総会の終結時までとし、本プランの有効期間の満了前であっても、当社の株主総会において本プランを変更または廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランは当該決議に従いその時点で変更または廃止されます。また、当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されます。

本プランの導入(更新)時点においては、本新株予約権の無償割当て自体は行われませんので、株主及び投資家の皆様の権利に直接具体的な影響が生じることはありません。他方、対抗措置が発動され、新株予約権無償割当てが実施された場合、株主の皆様が新株予約権の行使及び行使価額相当の金銭の払込みを行わないと、他の株主の皆様による新株予約権の行使により、その保有する当社株式が希釈化することになります。ただし、当社は、買付者等以外の株主の皆様から本新株予約権を取得し、それと引換えに当社株式を交付することがあります。当社が係る取得の手続を取った場合、買付者等以外の株主の皆様は、新株予約権の行使及び行使価額相当の金銭の払込みをせずに当社株式を受領することとなり、その保有する当社株式の希釈化は原則として生じません。

 

(4) 上記の取組みに対する取締役会の判断及びその理由

本プランは、当社株式に対する買付等が行われた場合に、当該買付等に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。従いまして、本プランは、当社の基本方針に沿うものであって、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)も完全に充足しています。 

また、本プランは、経済産業省に設置された企業価値研究会が平成20年6月30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」を踏まえた内容となっております。  

当社は、本プランの導入にあたり、当社取締役会の恣意的判断を排除し、株主の皆様のために本プランの発動等の運用に際しての実質的な判断を客観的に行う機関として、独立委員会を設置しております。独立委員会は、当社の業務執行を行う経営陣から独立している当社の社外取締役もしくは社外監査役または社外の有識者のいずれかに該当する委員3名以上により構成されます。また、独立委員会の判断の概要については株主の皆様に情報開示をすることとされており、当社の企業価値・株主共同の利益に資する範囲で本プランの透明な運営が行われる仕組みが確保されています。本プランの発動については、予め定められた合理的な客観的発動要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しているものといえます。

このように、本プランは高度の合理性を有しており、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであって、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。 

 

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 製品需要及び価格の変動について

当社グループは、紙パルプ事業及びパッケージング・紙加工事業を主力事業としておりますが、景気後退による需要減少の影響を受けることがあります。また、当社グループの製品は市況品の割合も高いため、経済情勢の変動に伴い製品価格が変動するリスクがあります。これらの製品需要及び価格の変動が、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原燃料市況の変動について

当社グループが購入している主原燃料は、国内外の市況に大きく影響を受け、価格が変動するリスクがあります。原燃料の購入価格変動が、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 為替変動について

当社グループは、製品輸出取引、原燃料輸入取引及び海外子会社との取引において為替変動の影響を受けることがあります。これらの影響を回避するため、一部為替予約によるリスクヘッジを実施しておりますが、完全なリスク回避は不可能です。従って、為替変動が、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 海外の政治、経済情勢の変動について

当社グループが購入している主原燃料は、海外からの輸入が大きな割合を占めております。調達国や地域の政治、経済情勢の予期しえぬ変動により、原燃料確保の困難な状況や、大幅な価格上昇が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、海外の政治、経済情勢の変動が、海外の子会社の経営成績及び財政状態や、海外における各種活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 金利変動について

当社グループの総資産に対する有利子負債の比率は、前連結会計年度末が35.6%、当連結会計年度末が32.2%となっております。
 今後の金利動向によっては、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 法規制及び訴訟について

当社グループの事業は、様々な法令の規制を受けており、事業遂行にあたりコンプライアンスを重視し、法令遵守を旨としております。しかし、訴訟等のリスクに晒される可能性がないとは言えません。その場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 自然災害等について

当社グループでは、「北越紀州製紙グループ危機管理規程」に基づきBCP(事業継続計画)を策定しており、災害等による損失に対処する態勢をとっていますが、地震、洪水等の自然災害、事故やテロのような予測不可能な事由により、生産設備等が大きな損害を受けることも考えられます。その場合には、生産の継続が困難になるとともに、その復旧に多大な費用と時間が掛かることにより、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(8) 設備投資について

紙・パルプ業界では、競争力を維持するために生産コストの継続的低減、品質の向上及び生産設備の改善は不可欠であります。当社グループの生産設備改善のための設備投資の実行の判断は、当社グループによる製品市場の需給予測等に基づいておりますが、市場の動向によっては新規設備の稼働率が上がらない可能性があります。この場合、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 提携契約について

当社は持分法適用関連会社の大王製紙株式会社と総合技術提携基本契約を、主要株主である三菱商事株式会社と業務提携契約を締結しております。これらの提携関係は、当社の国際競争力向上、企業価値向上に資するものであります。しかしながら、これらの提携先との関係に変更が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 企業買収等について

当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保、向上させる者でなければならないと考えております。しかしながら、株式の大量買付の中には、買収者側の一方的かつ恣意的な条件を付したもので、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なからず見受けられます。こうした行為があった場合、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

  業務提携契約

契約会社名

相手方の名称

契約締結日

契約内容

契約期間

北越紀州
製紙㈱

三菱商事㈱

平成18年7月21日

業務提携
原材料の調達、国内外の紙販売に関する協業等

平成18年7月21日から
5年間(以後1年毎の自動更新規定あり)(注)

北越紀州
製紙㈱

大王製紙㈱

平成24年11月14日

総合技術提携
両社が共通して製造する製品全般の製造技術及び各工場の運営技術

平成24年11月14日から
5年間(以後1年毎の自動更新規定あり)

 

(注) 合意により、契約期間を平成29年7月20日まで1年間自動更新いたしました。

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発部門は、技術開発本部下にある研究所と技術開発部を中心に構成されております。さらに各工場でも現場に立脚した新製品開発や品質改善及びコストダウン等を行っております。技術開発本部がこれらの研究開発活動を総括し、技術開発部が営業部門や工場の製造部門及び研究所と緊密な連携をとり、顧客の要望に直結した製品開発を行っております。また、各事業本部をバックアップすべく、研究開発部門でも最大の効果を上げるための取り組みを進めてまいりました。
 紙パルプ事業の研究開発活動の項目は以下のとおりであります。
 (セグメント別では、紙パルプ事業の占める割合が大きいため、その他のセグメントについては省略しております。)

 

(1) 印刷用紙及び白板紙分野

印刷用紙、白板紙両分野とも品質改善や新製品開発を積極的に進めると共にコストダウンや効率改善等の研究にも注力しております。また、中期経営計画の柱でもある海外展開に呼応して、国際市場での競争力強化のための研究開発を推進しております。
 印刷用紙分野では新潟・紀州両工場のパルプ・紙一貫生産の優位性を最大限に追求する最適生産体制を基本として、各抄紙機の特徴を活かした新製品開発や積極的な顧客訪問によりユーザーニーズに即した品質改善を営業部門・研究開発部門と密接に連携しながら進めております。また、平判断裁から仕上・出荷までの効率化を進め、尚一層のコストダウンの推進により、継続的な競争力強化を図って参ります。
 白板紙分野では営業部門と連携し、品質改善やクレーム再発防止策を中心に取り組んでおります。特に夾雑物削減は白板紙共通の重点課題として注力、その結果ユーザーからも一定の評価を得るに至っております。また、底堅い需要の一次容器や医薬品用途向けの開発も積極的に行い、さらに品質優位性と機能を維持した上でのコスト提案を行いながら、拡販と新規ユーザーの開拓に努めております。また、中国の江門星輝造紙有限公司の白板紙抄紙機はフル生産体制となり、今後は高付加価値品の品質確立を進めて参ります。

(2) 機能紙、特殊紙・情報用紙分野

機能紙分野では、品質改善やコストダウンに取り組むと共に、空気清浄用フィルター分野では通気抵抗が低く、高機能を満足する差別化製品の開発に継続的に取り組んでおります。濾過・分離分野については、気体のみならず液体も対象として、セルロースナノファイバーを含め、各種素材を利用した新製品開発を推進しております。また、フランスのBernard Dumas S.A.S.とは、車載用バッテリーセパレータ及び空気清浄用フィルターに関し技術交流を進め、新たな製品開発や品質改善に取り組み、戦力の強化に努めております。
 特殊紙・情報用紙分野では、新たなコンセプトのファンシーペーパーをはじめとして、国内・海外の顧客ニーズを取り込み、積極的な新製品開発を進めております。

 

(3)セルロースナノファイバー及びセルロースナノクリスタル

当社は、セルロースナノファイバーを活用して省エネや超微細粒子の捕集が期待できる空気清浄エアフィルター濾材の開発や、触媒担持体や断熱材・吸着材等に利用可能な超低密度多孔質体(エアロゲル)などの、三次元多孔質材料を中心とした研究開発を進めております。本年4月1日に新機能材料開発室を発足させ、これらの研究開発を加速させるとともに、グループ全体での新機能材料の開発を促進し、セルロースナノファイバー製造の検討や現行製品の競争力強化のための商品開発を進めております。

また、当社の連結子会社である Alberta-Pacific Forest Industries Inc.は、アルバータ州の研究機関であるInnoTech Albertaとセルロースナノクリスタルの商業生産を目指した共同研究を進めております。

 

当連結会計年度の当セグメントにおける研究開発費は766百万円であります。
 なお、パッケージング・紙加工事業における研究開発費は11百万円であり、パッケージング・紙加工事業等を含めた全セグメントの研究開発費は778百万円であります。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りの評価が必要な事項については、合理的な基準に基づき実施しております。
 なお、個々の「重要な会計方針及び見積り」については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。

(2) 当連結会計年度の財政状態の分析

総資産は、前連結会計年度末に比べて1,453百万円減少し、362,205百万円となりました。これは主として、株価の上昇等により投資有価証券が7,129百万円増加した一方で、減価償却等により有形固定資産が8,013百万円減少したことによるものです。

負債は、前連結会計年度末に比べて12,959百万円減少し、181,170百万円となりました。これは主として、有利子負債が12,832百万円減少したことによるものです。

純資産は、前連結会計年度末に比べて11,505百万円増加し、181,034百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益等により利益剰余金が8,081百万円増加したこと、その他有価証券評価差額金が3,901百万円増加したことによるものです。

(3) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高

当連結会計年度の売上高は262,398百万円となり、前連結会計年度と比べ15,549百万円(6.3%)の増収となりました。これは主として、国内における販売数量が減少したものの、Alberta-Pacific Forest Industries Inc.の通年寄与等によるものです。

② 経常利益

当連結会計年度の経常利益は14,055百万円となり、前連結会計年度と比べ3,468百万円(32.8%)の増益となりました。これは主として、Alberta-Pacific Forest Industries Inc.の通年寄与、海外子会社の収益の改善等によるものです。

③ 特別損益

当連結会計年度の特別損益は1,540百万円の損失(純額)となり、前連結会計年度と比べ774百万円の損失(純額)の増加となりました。これは主として、固定資産除売却損が687百万円増加したことによるものです。

④ 親会社株主に帰属する当期純利益

以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は10,380百万円となり、前連結会計年度と比べ2,904百万円(38.8%)の増益となりました。

(4) 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりであります。

(5) 次期の見通し

我が国経済は緩やかな回復基調が続いており、次年度におきましても、企業収益及び雇用情勢の改善が続く中、緩やかに回復していくことが期待されています。しかしながら、米国の政権交代による経済政策の影響、英国のEU(欧州連合)離脱問題など海外経済の不確実性による影響などがリスクとして懸念されております。
 このような状況下、紙パルプ産業を取り巻く環境は、印刷・情報用紙の国内需要の減少、原燃料価格の上昇など、依然として先行き不透明な状況が続いております。当社グループといたしましては、国内において製品価格改定を公表しており、さらに収益体質の強化を図るべく、引続き徹底したコストダウンに取り組んでまいります。