第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

① 会社の経営の基本方針

当社グループは、「グループ企業理念」のもと、洋紙、白板紙、機能紙、パッケージング・紙加工及び投資事業を核として、魅力ある商品とサービスを広く社会に提供し、顧客、株主、取引先、地域社会をはじめとする総てのステークホルダーの支持と信頼に基づいた企業グループの安定的かつ持続的な成長と企業価値の向上を図ることを経営の基本方針としております。 

また、「グループ企業理念」に掲げる「自然との共生」を達成するため、原料から製品に至るまでの環境へのあらゆる影響を最小限にとどめることにより、持続可能な社会の実現に貢献することを目的に「北越グループサステナビリティ基本方針」を制定しております。特に環境については、2050年までにCO2排出実質ゼロに挑戦するなど、気候変動問題に対する取り組みを積極的かつ能動的に推進してまいります。

 

② 目標とする経営指標

当社グループでは、事業活動の成果を示す売上高、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益を重要な経営指標と位置付け、この向上を通じて、企業価値の拡大を図ってまいります。

 

③ 中長期的な会社の経営戦略

新型コロナウイルス感染症の影響は、国内外の紙・パルプ需要減退及び需要構造転換のスピードを加速させており、また足元では世界情勢の不安定化などによる原燃料価格の高騰などが続いておりますが、当社グループは長期経営ビジョン「Vision 2030」に基づき、さらなるグローバル企業としての持続的な成長を目指してまいります。その「Vision 2030」における企業グループイメージは、環境経営を基軸として、持続可能な社会の発展に貢献する企業グループ、多様な労働力と最新技術を活用し、時代に適応した新たな事業領域に挑戦する企業グループ、夢・希望・誇りが持てる働きがいのある企業グループであります。
 また、長期経営ビジョン「Vision 2030」の企業グループイメージ実現に向けた第1ステップとして2020年4月より「中期経営計画 2023」をスタートさせました。「中期経営計画 2023」では、事業ポートフォリオシフト、海外事業拡充、国内事業強化、ガバナンス経営強化及びSDGs活動推進の5つの基本方針を柱とする経営施策を迅速かつ強力に推進することにより、さらなる企業価値の向上を目指してまいります。

 

 

(2) 経営環境及び対処すべき課題

① 経営環境認識

世界経済は、新型コロナウイルス感染症やロシア・ウクライナ情勢の影響等により、非常に不透明な状況となっております。国内紙パルプ産業については、これらの要因による世界的な経済活動の停滞及び緊張感の高まりに加え、原燃料価格の高騰及び国内需要動向の急激な変化等により、厳しい事業環境が継続しております。

 

② 対処すべき課題

イ 環境競争力強化

当社グループでは、従来から原材料の調達から紙製品の生産、使用・廃棄に至るまでライフサイクル全体でのCO2排出量の削減に取り組んでおり、業界に先駆けて、CO2の発生が少ないガスを使用した高効率タービンの導入や、バイオマス燃料への転換など、この25年間で約500億円のCO2削減投資を実施してまいりました。その結果、現在当社の紙製品は、70%のCO2ゼロ・エネルギーで生産されており、この環境優位性が当社グループの競争力の源泉となっております。
 さらに当社グループは、将来目指すべき環境ビジョンを明確化するため、2050年までにCO2排出実質ゼロに挑戦する「北越グループ ゼロCO2 2050」を策定し、環境競争力の強化を推進しております。
 具体的には、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づくリスクや機会のシナリオ分析を行うことにより、当社グループの事業活動や収益等に与える影響を経営課題の一つとして認識した上で、気候変動対策を経営戦略に反映させております。
 また、当社は国土交通省が制定し公益社団法人鉄道貨物協会が運用するエコレールマーク取組企業に、また当社商品の「洋紙」がエコレールマーク商品にそれぞれ認定されるなど、鉄道貨物輸送の活用によるCO2排出量の低減と生産物流の効率改善に取り組んでおります。当社グループはこれからも社会のカーボンニュートラルの実現と、国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みに貢献してまいります。

ロ 事業ポートフォリオシフト

 当社グループは、「中期経営計画 2023」において基本方針にかかげた事業ポートフォリオシフトを推進するため、2020年4月より新たに段ボール原紙事業を開始いたしました。新型コロナウイルス感染症が蔓延する中、インターネットを利用した宅配需要の高まりに呼応し、通販向け段ボール需要が増加しており、段ボール原紙の生産量は順調に数量を拡大しております。今後は採算性の高い薄物原紙、電子部品や建材用など中芯以外の用途開発を進め、収益のさらなる改善を目指します。
 また新潟工場における家庭紙事業につきましては、営業生産に向けて、当社が長年培ってきた高品質・低コスト・高効率操業の知見と技術を活かし、準備を進めているところであります。
 当社グループは、段ボール原紙事業と家庭紙事業を新たな収益事業に育成することにより、事業ポートフォリオシフトをさらに推進してまいります。

ハ 海外事業拡充

 当社グループは、グローバルな経済環境の中で、積極的に海外事業を推進し、カナダのパルプ事業、中国の白板紙事業及び中国とフランスの機能材事業を軌道に乗せることにより、当社グループの業績拡大を図ってまいりました。
 カナダのAlberta-Pacific Forest Industries Inc.におけるパルプ事業は、国際的なパルプ価格の回復による北米向けのパルプ販売が堅調に推移したこと、回収ボイラー熱回収設備導入工事等による売電事業や物流体制の強化などにより、当社グループの連結売上高及び収益を大きく下支えをしております。
 中国の江門星輝造紙有限公司における白板紙事業は、生産効率を高めるとともにコータードライヤーのノズル改造工事を実施し、品質・コスト改善に注力しております。
 フランスのBernard Dumas S.A.S.におけるバッテリーセパレータ、中国の東拓(上海)電材有限公司におけるチップキャリアテープ等の機能材事業は、前年を上回る販売を達成しており、Bernard Dumas S.A.S.においては、ロシア・ウクライナ情勢による原材料価格の高騰、東拓(上海)電材有限公司においては、新型コロナウイルス感染症の影響を見極めつつ海外事業を推進してまいります。

ニ 国内事業強化

当社グループの国内事業は、従来からの構造的な印刷・情報用紙の需要減少や新型コロナウイルス感染症による国内経済停滞の影響に加え、2021年秋頃からの原燃料価格の急騰や物流費の高騰などにより、非常に厳しい事業環境を迎えております。そのため、印刷・情報用紙をはじめとする全品種について、2022年1月以降、価格改定を実施いたしました。
 さらに当社は国内需給バランスの適正化と、新潟、紀州両工場の高効率操業及びコストダウンを進めて競争力強化を図るため、2022年6月に新潟工場2号抄紙機を停機いたしました。

 

ホ コーポレートガバナンス及びサステナビリティの取り組みについて

 当社グループは「グループ企業理念」及び「グループ行動規範」を実現することにより、全てのステークホルダーの皆様に信頼される企業グループとなることを目指し、コーポレートガバナンス及びサステナビリティの取り組みを強化してまいりました。
 当社は、2022年4月より東京証券取引所の新市場区分「プライム市場」に移行・上場いたしました。プライム市場上場会社には独立社外取締役を3分の1以上選任することなど、より高いガバナンス水準が要求されており、プライム市場にふさわしいコーポレートガバナンス体制の構築に取り組んでおります。
 また、グループリスクマネジメント活動においては、リスク対象範囲の拡大、リスクマップの見直し、「グループリスクマネジメント基本規程」の改定等さらなるリスク低減、回避に向けた取り組みを推進しました。コンプライアンス活動においては労働基準法や競争法(独占禁止法)に関する研修を開催し、グループ全体のコンプライアンス体制の強化を図りました。
 サステナビリティの推進につきましては、2021年12月に、「グループサステナビリティ基本方針」を制定するとともに、「グループサステナビリティ基本規程」を改定し、従来のCSR活動を財務と非財務の両面から推進するサステナビリティ活動へ進化させる体制へ移行いたしました。特に、ダイバーシティについては、「グループダイバーシティ基本方針」を策定し、ダイバーシティ委員会で明確化した中核人材における多様性の確保などの重要課題の解決に向けた取り組みを進めております。また、労働安全衛生に関する国際規格である「ISO 45001」の認証取得や健康経営優良法人の認定など第三者認証についても積極的に取得しております。引き続き、当社グループの事業における重要度及び社会からの要請・期待を踏まえ、マテリアリティ(重要課題)の特定を行い、サステナビリティ推進目標に反映させた取り組みを進めてまいります。
 当社グループは、コーポレートガバナンスの強化とサステナビリティの推進により、「グループ行動規範」を遵守し、企業理念に掲げる世界の人々の豊かな暮らしへの貢献を目指してまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」といいます。)に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、当社グループでは、CEO直属の組織としてチーフ・リスクマネジメント・オフィサーを設置し、リスクマネジメント・オフィサー会議の中で当社グループの経営リスクを回避または最小化するためのリスクマネジメントの取り組みを実施しております。

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(特に重要なリスク)

(1)製品需要及び価格の変動について
 当社グループは、紙パルプ事業及びパッケージング・紙加工事業を主力事業としておりますが、景気後退や需要構造の変化等による需要減少の影響を受けることがあります。また、当社グループの製品は市況品の割合も高いため、経済情勢の変動に伴い製品価格が変動するリスクがあります。これらの製品需要及び価格の変動が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、「中期経営計画 2023」における基本方針の一つに「事業ポートフォリオシフト」を掲げ、事業投資本部が中心となり新規事業の開拓に向け取り組んでおります。

 

(2)原燃料市況の変動について
 当社グループは、主として木材チップ、古紙、薬品、ガス、重油等の原燃料を購入しておりますが、国際市況及び国内市況の変動により、購入価格が変動するリスクがあります。また、昨今は原燃料価格が高騰しており、これら原燃料の購入価格の変動が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、「グループ原材料調達基本方針」を踏まえて、サプライヤーの多様化等により有利購買、安定調達に努めております。

 

(3)海外の政治、経済情勢の変動について
 当社グループは、木材チップ、重油等の原燃料の多くを海外から調達しております。また、カナダ、中国、フランスで紙パルプ事業を展開しております。ロシア・ウクライナ情勢の影響をはじめ、現地での政治、経済情勢の悪化による原燃料確保の困難な状況や大幅な価格上昇、または現地政府による規制や政治不安等による経済環境の悪化等のリスクがあり、それらが発生した場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、海外子会社では、現地弁護士やコンサルタント等のアドバイスに基づき法改正等に対する迅速な対応を行うことでリスクを軽減する体制を構築しております。

 

(4)法規制及び訴訟等について
 当社グループは、労働安全衛生法、労働基準法、環境規制、知的財産権や製造物責任法等様々な法令規制の適用を受けており、それらの変更・改正によって、追加の費用が発生する可能性があります。また、訴訟等のリスクに晒される可能性がないとは言えません。それらが発生した場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは「グループ企業理念」及び「グループ行動規範」を制定し、当社グループ全社員に対し、法令・定款の遵守は勿論のこと、社内規程の遵守も徹底しております。

 

(5)設備投資について
 紙パルプ産業は装置産業であり、当社グループでは、生産コストの低減、品質及び効率の向上、増設等を目的として設備投資を行っており、多くの有形固定資産等の固定資産を保有しております。その実行の判断は、当社グループによる製品市場の需給予測等に基づいておりますが、将来の事業環境の急激な変化等により、固定資産の資産価値が見込以上に下落した場合、減損処理により当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、設備投資後においても、継続的に市場動向を注視しながら最適生産体制の継続に努めております。
 

 

(6)自然災害等について
 地震、洪水等の自然災害、事故やテロのような予測不可能な事由により、当社グループの生産設備が大きな損害を受けることも考えられます。その場合には、生産の継続が困難になるとともに、その復旧に多大な費用と時間が掛かることにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは「緊急事態対応規程」に基づきBCP(事業継続計画)を策定しており、自然災害をはじめとした緊急事態に対処する態勢をとっております。

 

(7)気候変動について
 気候変動による地球温暖化や異常気象は、干ばつや森林火災、集中豪雨、大型台風、土砂災害などをもたらす原因となり、木材原料やその他の原材料の調達に影響を及ぼすほか、当社グループの所有する森林資産の価値を棄損する等のリスクになります。また、当社グループのみならずサプライチェーンが被害を受けることにより様々な事業活動に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは従来から気候変動リスクを低減するため、バイオマス燃料などへの燃料転換の設備投資を進め、率先して温室効果ガスの発生削減に取り組んでおります。さらに環境経営の一環として2020年11月には、2050年までにCO2の排出を実質ゼロにする「北越グループ ゼロCO2 2050」を策定し、環境経営の推進に努めております。なお、2021年2月には金融安定理事会により設置されたTCFDへの賛同を表明し、気候変動に関する情報開示を進めるとともに、1.5℃~2℃シナリオ(IEAのSDS等)や4℃シナリオ(IPCCのRCP8.5等)をベースに、気候変動がもたらすリスクや機会を分析しております。

 

(8)新型コロナウイルス感染症について
 新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大によって、当社グループを取り巻く経営環境は激変し、大きな影響を受けております。また、今後も新型コロナウイルス感染症の影響により国内外の経済活動が停滞し続けた場合、当社グループの事業活動や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは「緊急事態対応規程」に基づき、感染症に対するBCP(事業継続計画)を策定し、在宅勤務や時差出勤など新型コロナウイルス感染症のまん延防止に努めております。

 

(9)情報セキュリティについて
 当社グループは、主にプライベート・クラウド上に業務システムを構築しており、それらにサイバー攻撃等による情報セキュリティ事故が発生した場合、業務遂行に支障をきたす可能性があります。この場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは「グループ情報セキュリティ基本方針」を定め、情報セキュリティに関する管理を強化するとともに、役職員に対する教育研修の実施やセキュリティ脆弱性診断の実施等を通じて、ウイルス感染やサイバー攻撃によるシステム障害、社外への情報漏洩に対する対策を図っております。

 

(10)人材の確保について
 昨今の少子高齢化等による労働力不足により、人材の確保が困難となる可能性があります。また、労務環境の悪化や職場の安全衛生管理上の問題等により、労働生産性の低下や人材流出につながる可能性があります。それらが発生した場合には、当社グループの営業活動等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは新規採用、中途採用を通じ、人材の確保に努めるとともに、ダイバーシティ委員会を発足し、多様な人材の採用、確保、活躍支援のための施策や働きやすい会社風土の醸成及び仕事と生活の調和のための施策を進めております。

 

(11)労働安全衛生について

  当社グループでは、抄紙機をはじめ多数の生産設備を保有しており、重篤な労働災害が発生した場合、生産活動等に支障をきたし、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、安全と健康が経営の根幹であることを基本とした「グループ安全衛生基本方針」を掲げ、その実現に向けて、安全中期活動計画「hSA25」の策定・実行、労働安全衛生マネジメントシステムに関する国際規格である「ISO 45001」の認証取得などにより、安全衛生パフォーマンスのさらなる向上を目指しています。

 

 

(12)企業買収等について
 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保、向上させる者でなければならないと考えております。しかしながら、株式の大量買付の中には、買収者側の一方的かつ恣意的な条件を付したもので、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なからず見受けられます。こうした行為があった場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損する大量取得行為を行おうとする者に対しては、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努めるなど、会社法、金融商品取引法その他関連法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。

 

(重要なリスク)

(13)株価の変動について
 当社グループは、取引先を中心に株式を保有しておりますが、市場性のある株式については、各種要因による株価の変動により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、特に政策保有株式の保有による企業価値向上効果やリスクについて、毎年取締役会で検証しております。

 

(14)為替変動について
 当社グループは、製品輸出取引、原燃料輸入取引及び海外子会社の業績において為替変動の影響を受けることがあります。この為替変動が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を回避するため、一部為替予約によるリスクヘッジを実施しております。

 

(15)金利変動について
 当社グループの総資産に対する有利子負債の比率は、前連結会計年度末が31.4%、当連結会計年度末が26.3%となっております。今後の金利動向によっては、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、グループファイナンスの実施等、グループ資金の効率化に努めております。

 

 (16)海外連結子会社の内部統制について
 当社グループは、国内の他、カナダ、中国、フランスで紙パルプ事業を展開しております。海外連結子会社における内部統制に予期せぬ脆弱性があった場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。そのため、当社の内部監査部門であるグループ統制管理室の管理の下で、経営から独立した専任の内部監査人の設置、現地の事情に詳しいコンサルタントによる内部統制の監査の実施等により、内部統制の強化を図っております。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当社グループにおきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、前年度は業界全体で需要が大きく落ち込みましたが、当年度は持ち直しの動きがでてきており、洋紙、白板紙で販売数量が増加したことと、パルプの販売価格の上昇により、増収増益となりました。当社グループの当期における業績は以下のとおりです。

売  上  高

261,616

百万円

(前連結会計年度比

17.6%増

)

営 業 利 益

20,455

百万円

(前連結会計年度は1,701百万円の営業利益)

経 常 利 益

29,514

百万円

(前連結会計年度比

202.5%増

)

親会社株主に帰属する当期純利益

21,206

百万円

(前連結会計年度比

49.6%増

)

 

 

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態及び経営成績に影響を及ぼしています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載しております。

 

主なセグメント別の経営成績は、下記のとおりであります。

また、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。

 

 紙パルプ事業

紙パルプ事業につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、前年度は業界全体で需要が大きく落ち込みましたが、当年度は持ち直しの動きが出てきており、増収増益となりました。

品種別には、洋紙につきましては、全体的に前年度を上回る結果となり、当年度下期には、緊急事態宣言解除により旅行用パンフレットの受注が戻り、年度末セール用のチラシ等が拡大しました。また、輸出においても、世界的に新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進み、経済活動が回復したことにより前年度を上回りました。

板紙につきましては、洋紙同様に、前年度を上回る結果となりました。グレード別には、特殊白板紙及びコート白ボールは、国内では、食品一次容器、持ち帰り用食品関連容器及びレトルト食品向けの箱用途において堅調に推移しましたが一方で、海外では中国にて販売数量が減少する結果となりました。高級白板紙は、化粧品及び医薬品向けで前年度同様に低調であったものの、店頭POP用途、各種カード類向けが増加したことにより、前年度を上回りました。また、段ボール原紙は、2020年4月より営業生産を始めておりますが、当年度は順調に数量を拡大しており前年度を上回りました。

機能材につきましては、機能紙分野においては、車載用バッテリーセパレータ、電子部品搬送用のチップキャリアテープ原紙及び研磨原紙等が堅調に推移し、機能紙全体で前年度を上回りました。情報用紙分野は、テレワークの定着等、新型コロナウイルス感染症の影響から総じて低調に推移しました。

パルプにつきましては、新型コロナウイルス感染症からの海外の経済活動の回復に伴い、販売価格の上昇となり、前年度を上回りました。

以上の結果、紙パルプ事業の業績は以下のとおりとなりました。

売上高

240,002

百万円

(前連結会計年度比

20.7%増

)

営業利益

19,241

百万円

(前連結会計年度は673百万円の営業利益)

 

 

 

 パッケージング・紙加工事業

パッケージング・紙加工事業につきましては、情報メディア分野の事業譲渡や液体容器の形状変更による受注減少等により、減収減益となりました。

 この結果、パッケージング・紙加工事業の業績は以下のとおりとなりました。

売上高

13,609

百万円

(前連結会計年度比

12.8%減

)

営業損失(△)

△71

百万円

(前連結会計年度は89百万円の営業利益)

 

 

 その他

木材事業、古紙卸業、建設業、運送・倉庫業をはじめとするその他事業につきましては、外部受注の増加はあった一方で、一部事業の営業が終了したこと等により減収となりました。損益面においては、各種コストダウン効果等により増益となりました。

以上の結果、その他事業の業績は以下のとおりとなりました。

売上高

8,004

百万円

(前連結会計年度比

1.0%減

)

営業利益

759

百万円

(前連結会計年度比

132.6%増

)

 

 

総資産は、前連結会計年度末に比べて13,880百万円増加し、376,956百万円となりました。これは主として、受取手形、売掛金及び契約資産が11,095百万円、電子記録債権1,431百万円商品及び製品4,885百万円原材料及び貯蔵品3,757百万円それぞれ増加した一方で、減価償却等により有形固定資産が11,066百万円減少したことによるものです。

負債は、前連結会計年度末に比べて7,674百万円減少し、159,981百万円となりました。これは主として、有利子負債が14,903百万円減少した一方で、支払手形及び買掛金が2,788百万円未払法人税等3,293百万円繰延税金負債1,700百万円それぞれ増加したことによるものです。

純資産は、前連結会計年度末に比べて21,555百万円増加し、216,974百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益等により利益剰余金が18,724百万円為替換算調整勘定2,581百万円それぞれ増加したことによるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べて428百万円増加し、30,275百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は20,186百万円(前連結会計年度比15.0%減)となりました。
 収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益27,358百万円、減価償却費13,213百万円、減損損失7,855百万円、仕入債務の増加額2,849百万円、支出の主な内訳は、持分法による投資利益5,861百万円、固定資産除売却益6,111百万円、売上債権の増加額11,586百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は1,648百万円(前連結会計年度比91.6%減)となりました。
 支出の主な内訳は、投資有価証券の取得による支出775百万円、有形固定資産の取得による支出12,918百万円、収入の主な内訳は、有形固定資産の売却による収入11,291百万円、事業譲渡による収入1,500百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は19,187百万円(前連結会計年度は4,358百万円の収入)となりました。

支出の主な内訳は、短期借入金の減少額4,133百万円、長期借入金の返済による支出5,372百万円、社債の償還による支出20,000百万円、配当金の支払額2,352百万円、収入の主な内訳は、コマーシャル・ペーパーの増加額3,000百万円、社債の発行による収入10,000百万円であります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、その内容、構造、形式等は必ずしも一様ではありません。このため、セグメントごとの生産高を表示することは困難であります。そこで、紙パルプ事業の主要生産会社である当社、Alberta-Pacific Forest Industries Inc.及び江門星輝造紙有限公司の当連結会計年度における主たる品種別生産実績を示すと、次のとおりであります。

 

区分

生産高(t)

前年同期比(%)

洋紙

1,118,900

114.9

板紙

598,805

117.0

合計

1,717,705

115.6

パルプ

1,547,745

111.0

 

 

b. 受注実績

当社グループは、一部受注生産を行っているものもありますが、大部分は一般市況及び直接需要を勘案して計画生産を行い、自由契約に基づき販売しております。このため、グループ会社の受注実績を把握することが困難であります。そこで、受注実績については記載を省略しております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

紙パルプ事業

240,002

120.7

パッケージング・紙加工事業

13,609

87.2

その他

8,004

99.0

合計

261,616

117.6

 

 

(注)  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

新生紙パルプ商事㈱

30,314

13.6

32,330

12.4

国際紙パルプ商事㈱

18,310

8.2

19,156

7.3

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
 
経営成績の分析

 

前連結会計年度

(2021年3月期)

(百万円)

当連結会計年度

(2022年3月期)

(百万円)

連結業績予想

(2022年3月期)

(百万円)

売上高

222,454

261,616

260,000

営業利益

1,701

20,455

18,000

経常利益

9,756

29,514

25,000

親会社株主に帰属する当期純利益

14,172

21,206

21,000

 

 

当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響等により低迷した需要の一定回復があり、各種製品の販売量増加により増収となりました。なお、輸出販売の増加や海外子会社の復調もあり、連結売上高に占める海外売上高比率は37.8%となりました。

収益面では、原燃料価格上昇によるコストアップもありましたが、輸出販売価格やパルプ販売価格が上昇したことにより営業利益は増益となりました。経常利益においても外貨建資産に関する為替差益の増加等により増益となりました。特別損失として国内外生産設備の一部に関する減損損失を計上いたしましたが、特別利益として固定資産売却益等もあり、親会社株主に帰属する当期純利益も増益となりました。

連結業績予想に対してはいずれも上回る結果となり、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益においては過去最高益を更新しました。

当社グループでは「中期経営計画 2023」の基本方針に則り、事業ポートフォリオの拡充及び国内事業強化の一環として新潟工場6号抄紙機転抄による段ボール原紙事業開始、競争力強化を目的とした新潟工場2号抄紙機の停機、また2023年12月営業生産に向けて新潟工場の家庭紙事業の準備を進めております。引き続き事業構造転換を進め、中長期的な持続的成長を目指してまいります。

 
財政状態の分析

当連結会計年度末の流動資産合計は、売上高増加により売上債権や棚卸資産が増加し20,288百万円増加しました。また、固定資産合計は、設備投資額は減価償却費とほぼ同額でしたが有形固定資産売却と減損処理等により6,407百万円減少しました。一方、負債合計は、仕入債務等が増加したものの有利子負債の減少等により7,674百万円減少し、純資産合計においては、利益剰余金や為替換算調整勘定の増加等により21,555百万円の増加となりました。

以上により、財務健全性指標の一つである自己資本比率は57.4%と前連結会計年度より3.7ポイント上昇しており、財政状態の健全性は維持できているものと認識しております。

 

キャッシュ・フローの分析

営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、税金等調整前当期純利益は増加したものの売上債権や棚卸資産が増加したこと等により、前連結会計年度23,760百万円から3,574百万円減少し20,186百万円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、各種設備投資を実施した一方、有形固定資産売却や事業譲渡による収入により1,648百万円の減少に抑えられました。財務活動によるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フロー資金を有利子負債返済に充当したことから19,187百万円の減少となりました。現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度から428百万円増加の30,275百万円となっております。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、次のとおりであります。

当社グループの取扱商品は市況商品の割合が高く、需給動向や市場価格等の影響を大きく受けます。国内の印刷情報用紙事業は、一部に新型コロナウイルス感染症の影響等による需要落ち込みからの反動はあったものの、構造的な需要減退は継続しております。また、市販パルプ価格は、新型コロナウイルス感染症の影響等による世界的な物流機能低下で一部地域では需給バランスが崩れ、加えて、一部の投機的な市場価格形成の影響により、大きな価格変動が生じています。

当社グループが購入している原燃料につきましても市況商品が多く、価格変動リスクに晒されており、加えて国内事業においては輸入原燃料を多用することから為替の変動リスクもあります。世界的な新型コロナウイルス感染症やロシア・ウクライナ情勢による経済的不確実性、各国間通商問題の動向や各国通貨の為替変動等が、当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

かかる認識の下、事業ポートフォリオシフトに注力しており、取扱商品及び販売市場の拡充及び分散、また、輸出強化による為替リスク軽減等に努めております。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

当社グループは、事業活動に必要な流動性の安定確保と財務健全性の維持を基本方針としております。コマーシャル・ペーパーや長期社債発行等による直接調達及び金融機関借入等による間接調達を活用し、機動的かつ分散調達により安定的な財務基盤を確立しております。

運転資金につきましては主に短期資金にて調達しており、短期資金調達枠には十分な調達余力を有しています。また、設備投資等につきましては主に長期社債、長期借入金等にて調達し、市場環境を鑑みながら有利な手段を選択しております。

安定的な財務基盤の指標の一つとして、有利子負債残高から現預金残高を差し引いた後のネット有利子負債残高を自己資本にて除したネットD/Eレシオを用いております。ネットD/Eレシオは一定水準以上であり、財務健全性は維持できております。

 

2021年3月期(前期)

2022年3月期(当期)

有利子負債残高

113,991

百万円

99,088

百万円

現預金残高

29,846

百万円

30,275

百万円

ネット有利子負債残高

84,144

百万円

68,812

百万円

自己資本

194,702

百万円

216,252

百万円

ネットD/Eレシオ

0.43

 

0.32

 

 

また、円滑な資金調達を継続するために株式会社格付投資情報センター(以下、「R&I」という。)及び株式会社日本格付研究所(以下、「JCR」という。)から格付を取得しており、下記格付の維持向上に努めていく方針です。

 

R&I

JCR

短期格付

a-1

(長期)発行体格付

A-

 

 

 

当社グループの経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。

当社グループは、全てのステークホルダーと共に持続的な成長を目指し、企業価値を向上させるために2030年を目標とする長期経営ビジョン「Vision 2030」を策定し、その企業グループイメージの実現に向けた第一ステップとして、2020年4月より「事業ポートフォリオシフト」「海外事業拡充」「国内事業強化」「ガバナンス経営強化」「SDGs活動推進」を基本方針とした「中期経営計画 2023」に取り組んでおります。「中期経営計画 2023」の連結経営指標につきましては最終年度における2023年3月期目標値のみを設定しておりますが、下表のとおり「中期経営計画 2023」2年目となる当連結会計年度において、売上高を除き1年前倒しで全て実現する結果となりました。

また、当社グループはこの度、より長期的な企業価値向上の観点から「グループサステナビリティ基本方針」を制定しました。既に掲げている「北越グループ ゼロCO2 2050」の挑戦を方針に組み入れ、これまでのCSR活動を財務と非財務の両面から推進するサステナビリティ活動へ進化させ、長期的に優先して取り組むべき重要課題に積極的・能動的に取り組んでまいります。また当社は2021年よりTCFDに賛同しており、より積極的な情報開示に努め、気候変動に関する取り組みを推進してまいります。

 

中期経営計画2023(2023年3月期)

2022年3月期(実績)

売上高

2,800

億円

2,616

億円

営業利益

150

億円

204

億円

経常利益

200

億円

295

億円

親会社株主に帰属する当期純利益

150

億円

212

億円

ROE

7.0

10.3

EBITDA

350

億円

432

億円

 

 
主なセグメント別の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

紙パルプ事業のセグメント売上高は240,002百万円と前連結会計年度比20.7%の増加となり、セグメント利益は19,241百万円となりました。

当該セグメントの売上高は連結売上高の91.7%を占めております。また当該セグメントの資産は総資産の94.9%を占めていることから、当該セグメントの財政状態及び経営成績が連結財政状態及び経営成績に大きな影響を与えます。

洋紙事業の販売量は国内・輸出共に、新型コロナウイルス感染症の影響等で需要が縮小した前連結会計年度を上回る結果となりました。国内の白板紙事業においては、容器向け等の販売量を伸ばした一方、中国における白板紙事業は年度後半に需要が落ち込み販売量が減少しました。事業ポートフォリオシフトの一環として開始した段ボール原紙事業は2年目となり、販売量を倍増させ増収となりました。カナダのパルプ市販事業においては、販売量は微増だったものの、市況は世界的に堅調だったことから価格が上昇し増収増益となりました。機能材事業においては、電子部品運搬用チップキャリアテープ原紙や研磨原紙、また、フランスにおける車載用バッテリーセパレータでも前連結会計年度を上回り堅調に推移しました。当該セグメントの売上高及び収益力を強化するべく、事業ポートフォリオシフトに継続的に取り組み、併せて環境経営を推進することにより環境負荷の低い当社製品販売を強化してまいります。

 

パッケージング・紙加工事業のセグメント売上高は13,609百万円と前連結会計年度比12.8%減少し、セグメント損失は71百万円となりました。

当該セグメントにおいては、化粧品包装向け美粧紙などのパッケージング事業では増収となったものの、ビジネスフォーム印刷・情報メディア事業を譲渡したことと、主力事業である液体容器事業の形状変更による受注減少等により減収減益となりました。プラスチック問題等を起因として需要増加が期待される紙容器等のパッケージング事業を伸ばしながら、当社グループの原紙・素材の開発から製品まで一貫生産できる強みを活かして、販売拡充に注力してまいります。

 

その他事業のセグメント売上高は8,004百万円と前連結会計年度比1.0%の減少となりました。セグメント利益につきましては759百万円となりました。

当該セグメントは木材事業、古紙卸業、建設業、輸送・倉庫業等の多岐に亘っております。自動車教習所及びゴルフ練習場経営からの事業撤退による減収要因はありましたが、建設業における外部受注や再生可能エネルギー向け燃料チップの受注が増加したこと、運送事業における単価改定もあり、減収ながらも増益となりました。引き続き、当社グループが有する経営資源の有効活用を目的に安定した利益確保に努めてまいります。

 

② 次期の見通し

我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の対策に万全を期し社会経済活動の回復が期待される一方、ロシア・ウクライナ情勢の影響等による下振れリスクも懸念されます。紙パルプ業界においては、燃料価格上昇の影響は避けられず、また、国内洋紙需要の減退は続くと判断しております。次期の見通しにつきましては、当連結会計年度に実施しました価格改定の効果が期を通じて寄与し、パルプ市況は堅調に推移すると期待できる一方、それらを上回る原燃料価格の上昇が想定されます。

当社グループは、「グループサステナビリティ基本方針」に掲げる持続可能な社会の実現に貢献すべく、「中期経営計画 2023」の基本方針である「事業ポートフォリオシフト」「海外事業拡充」「国内事業強化」「ガバナンス経営強化」「SDGs活動推進」に基づく企業活動を加速し、併せて「グループ環境目標2030」に基づく環境経営を推進し、企業価値向上を目指してまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

   該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループの研究開発部門は、生産技術本部下にある研究所及び生産技術部並びに機能材開発室を中心に構成され、セルロースナノファイバー(CNF)等の新機能材料の開発は機能材開発室を中心として進めております。また、各工場でも現場に立脚した新製品開発や品質改善及びコストダウン等を行っております。生産技術本部がこれらの研究開発活動を総括し、生産技術部が営業部門や工場の製造部門及び研究所と緊密な連携をとり、お客様の要望に直結した新製品開発を行っております。

紙パルプ事業の研究開発活動の項目は以下のとおりであります。

  (セグメント別では、紙パルプ事業の占める割合が大きいため、その他のセグメントについては省略しております。)

 

(1) 洋紙及び白板紙分野

洋紙分野では、新潟工場2号抄紙機は2022年6月をもって停機いたしました。2号機の生産品種については、新潟工場、紀州工場の他抄紙機への生産移行に伴う試作を行い、品質確認を完了したものは順次移抄を進めております。

白板紙分野では、従来の紙器用途に加え、食品一次容器向けの開発を行い多数のご採用を頂いております。引き続き新たなニーズの掘り起こしと開発サイクルの短縮を図り、お客様のご要望にお応えしてまいります。

世界情勢の変化が激しく、原燃料、古紙の高騰、物流混乱による原材料入荷遅れ等がありますが、引き続き安定供給と品質確保に万全を期してまいります。

包装用紙・紙器等の脱プラスチックニーズに応えるべく、各部門との連携を密にして更に開発を強化してまいります。

(2) 機能材分野

機能紙分野では、チップキャリアテープ原紙、逆浸透膜(RO膜)支持体の品質改善及びコストダウンに取り組むと共に、需要増に応じた生産体制の構築にも継続して取り組んでおります。また、濾過・分離分野については、脱フッ素、生分解性のフィルタの開発に取り組んでおります。一方、特殊紙分野では、ポリエチレンラミネート紙の代替品として脱プラスチック紙基材「パンセ」をはじめ、脱プラスチック、減プラスチックを目標に食品包材、透明紙、紙カトラリー、フック・ハンガー等、分野を問わず環境に配慮した紙素材の開発を進めております。

(3) 段ボール原紙分野

製品品質の安定と供給体制の拡充を図り、万全な製品供給体制の構築を継続推進すると共に、採算性の高い薄物原紙や、電子部品・建材用など中芯以外の用途についても開発を進めております。

(4) 新規開発分野

機能材開発室は、これまでの新機能材料開発室を引き継ぎ、2021年4月の組織変更で誕生いたしました。機能材事業本部直轄の組織として、生産技術部や機能材事業の営業部門さらにはグループ会社各部との連携を密に行っており、開発のスピードアップだけでなく、各部署のパイプ役としても機能しております。具体的には、ナノセルロースやナノカーボンなどの先端素材の応用から、紙製のパッケージング材料の開発まで幅広い領域で活動しております。特筆すべき項目としては、超小型人工衛星を開発するベンチャー企業テラスペース株式会社の「紙で人工衛星を制作するプロジェクト」に参画したことが挙げられます。このプロジェクトでは、CNF素材である新製品「ReCell(リセル)」が実証試験用材料として採用されました。ReCellは、強度と成形性を兼ね備え、地球および宇宙環境にやさしい素材であります。今後、航空宇宙分野でのさらなる利用も期待されます。また、ナノカーボンを用いた電磁波ノイズ抑制シートは、モバイル機器等の漏洩電磁波を防止するだけでなく、回路やケーブル中を伝わる伝導ノイズまで抑制する効果が確認され、製品化の準備を進めております。この他、機能材開発室は、前述したように外部機関との連携や情報発信にも力を入れており、3年間共同研究を実施してきた新潟県工業技術総合研究所とは、ナノとマイクロのセルロースが融合したオールセルロース材料の応用開発を進め、モバイルバッテリーケース等で実用化されております。また、2020年度から参画した東京大学や大阪大学などとの国家プロジェクトでは、「セルロースナノファイバーの精密構造解析と断熱性多孔体の形成」を担当するグループの一員として透明断熱材を開発し、低炭素社会の実現に向けた革新的技術開発の一翼を担っております。2021年12月には、当社が培ってきたCNFに関する技術や知見を国際学術誌で論文発表し、製品開発だけでなく国際的な学術の発展にも貢献しています。今後も、柔軟な発想と機動力を活かして、世の中が必要としているものを創り出すことを目指していきます。

当連結会計年度の当セグメントにおける研究開発費は595百万円であります。
 なお、パッケージング・紙加工事業における研究開発費は19百万円であり、パッケージング・紙加工事業等を含めた全セグメントの研究開発費は614百万円であります。