文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
① 会社の経営の基本方針
当社グループは、「北越グループ企業理念」のもと、紙パルプ事業及びパッケージング・紙加工事業を核として、魅力ある商品とサービスを広く社会に提供し、顧客、株主、取引先、地域社会をはじめとする総てのステークホルダーの支持と信頼に基づいた企業グループの安定的かつ持続的な成長と企業価値の向上を図ることを経営の基本方針としております。
また、「北越グループ企業理念」に掲げる「自然との共生」を達成するため、原料から製品に至るまでの環境へのあらゆる影響を最小限にとどめることにより、持続可能な社会の実現に貢献することを目的に「北越グループサステナビリティ基本方針」を制定しております。特に環境については、2050年までにCO2排出実質ゼロに挑戦するなど、気候変動問題に対する取組みを積極的かつ能動的に推進してまいります。
② 目標とする経営指標
当社グループは、事業活動の成果を示す売上高、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益を重要な経営指標と位置付け、この向上を通じて、企業価値の拡大を図ってまいります。
③ 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは長期経営ビジョン「Vision 2030」に基づき、グローバル企業としての持続的な成長を目指してまいります。「Vision 2030」における企業グループイメージは、環境経営を基軸として、持続可能な社会の発展に貢献する企業グループ、多様な労働力と最新技術を活用し、時代に適応した新たな事業領域に挑戦する企業グループ、夢・希望・誇りが持てる働きがいのある企業グループであります。
また、長期経営ビジョン「Vision 2030」の企業グループイメージ実現に向けた第2ステップとして2023年4月より「中期経営計画 2026」をスタートさせました。「中期経営計画 2026」では、事業ポートフォリオシフト、「コスト」「環境」「安全」にかかる競争力強化及びサステナビリティ(ESG)活動推進の3つを基本方針としております。更に、より一層サステナビリティ活動を推進するために、2025年4月にサステナビリティ推進本部を新設いたしました。今後も基本方針を柱とする経営施策を迅速かつ強力に推進することにより、更なる企業価値の向上を目指してまいります。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
① 経営環境認識
世界経済は、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢の不安定化などの地政学リスクに加え、主要国の政治情勢や政策運営に対する不確実性が一層高まっており、サプライチェーンの混乱や為替の急激な変動などの先行きリスクを抱えております。
国内紙パルプ産業においては、デジタル化の進展や少子高齢化などによる需要構造の変化に加え、世界情勢の不安定化を背景にしたエネルギー・原材料価格の高止まりなど、厳しい事業環境が継続しております。
② 対処すべき課題
イ 事業ポートフォリオシフト
当社グループは北米のパルプ事業や欧州の機能材事業に進出するなど、グローバルな事業展開を目指すとともに、国内では段ボール原紙事業の開始やプラスチック代替素材の商品開発などにより、事業ポートフォリオシフトを積極的に進めてまいりました。
また、2025年4月には、需要特性に適応した敏速な推進体制を構築するため、洋紙・白板紙国内営業本部及び国際営業本部を洋紙営業本部と白板紙営業本部に再編し、品種別販売競争力を強化する組織体制を整えました。その他、セルロースナノファイバーの活用など新規商品の開発や、既存商品の用途拡大等による高付加価値商品への注力、並びにM&Aによる新規事業への進出など、将来の中核となる新たな事業を開拓することにより、事業ポートフォリオシフトを加速し、更なる持続的成長を目指します。
ロ 競争力強化
当社グループは、30年以上前から環境問題を経営課題と捉え、業界の中でも先陣を切ってそれらの課題解決のための設備投資を実行し、競争優位な位置をキープしております。更に「中期経営計画 2026」においては、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)による先進的CCS(二酸化炭素回収・貯留)事業化への取組みにも参画しております。引き続き2030年の北越グループ環境目標の達成を目指し、気候変動問題解決に向けた改善努力を積み重ね、環境競争力を更に強化してまいります
コスト競争力について、当社は近年の原燃料のコストアップをカバーすべく昨年8月に洋紙・白板紙、9月に機能材の価格改定を公表いたしましたが、一方で外部環境の変化にあわせた最適生産体制による生産効率の向上、安価原料の導入等により、生産・販売部門のコスト競争力の更なる強化を目指しております。このような当社の経営努力による環境競争力、コスト競争力強化を基盤とした安定的経営が評価され、株式会社格付投資情報センターは、一昨年、当社格付の方向性を「A-」(安定的)から「A-」(ポジティブ)に上げ、昨年は更に「A」(安定的)へ格付を上げました。
また、昨年5月からスタートした大王製紙株式会社との戦略的業務提携基本契約は、生産技術、製品物流、原材料購買などの各部会、更に下部組織である各分科会の交流が活発に行われており、製造コスト、輸送コスト面等で想定を上回る効果を上げております。特に輸送コスト面では、製品のラウンド輸送やチップ専用船の相互活用など具体的なアクションもスタートしており、両社間の交流を更に深め、収益体質の改善、強化を進めてまいります。
安全競争力については、2020年度からスタートした「hSA25(hokuetsu Safety Action 2025)」計画が、第3期となる最終年度を迎えますので、目標の達成に向けて設備の安全対策を着実に実施してまいります。
ハ サステナビリティ(ESG)活動推進
詳細は「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ共通
企業の事業活動においてサステナビリティ課題への解決に向けた取り組みは、益々重要となっております。
当社グループでは「北越グループ企業理念」を実現するため、従業員一人ひとりがあらゆる活動において遵守すべきルールである「グループ行動規範」に則り業務を遂行するとともに「長期経営ビジョン」をはじめとした中長期的な企業価値の向上を推進するため「北越グループサステナビリティ基本方針」を制定し、ESGをはじめとしたサステナビリティ課題解決へ向けた取り組みを実行しております。

① ガバナンスに関する事項
当社グループは、代表取締役社長CEOをはじめとした取締役、執行役員等が出席するグループサステナビリティ委員会並びに当社各事業場及びグループ会社の各サステナビリティ委員会を組織し、グループ一体となってサステナビリティ活動を展開しております。また、取締役会は、グループサステナビリティ委員会が審議・決定した内容や活動推進目標の達成状況の監督を行っております。
なお、サステナビリティ活動の推進とモニタリング強化及び情報開示の充実を図るために、2025年4月1日付でサステナビリティ推進本部を設置しました。

② 戦略に関する事項
当社グループは、3年毎に更新される「中期経営計画」に連動して、国際規格等を参考に社会からの要請・期待と当社グループの事業における重要度からESGの3分野に関する9項目のマテリアリティ(重要課題)を明確化し、リスクと機会を識別した上で、サステナビリティ活動推進目標とグループ共通KPIを設定しております。
2024年度では、
(E)環境に関しては、CO2排出量削減にむけた取り組みの継続など気候変動問題への対応、グループ原材料調達基本方針に基づく調達、適正な社有林および管理林運営
(S)社会に関しては、無災害職場の構築、人的資本経営の推進、責任ある製品品質の提供、「脱プラ」など環境配慮型製品の開発、IR・SRミーティングの充実によるステークホルダーとのエンゲージメント強化
(G)ガバナンスに関しては、先住民族や地域社会の権利への配慮を重要視するTNFD提言に基づく情報開示や先住民コミュニティの伝統・文化を尊重する取り組み、人権デューディリジェンスプロセスに沿った取り組みの推進
など、事業活動を通じよりよい社会への実現にむけたサステナビリティ活動を推進しております。

「サステナビリティに関するマテリアリティ(重要課題)に対する、リスクと機会及び活動推進目標(グループ共通KPI含む)」
※ 詳細については「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ共通 (2)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に基づく事項」に記載しております。
③ リスク管理に関する事項
当社グループでは、様々な経営リスクを適切に管理し企業価値を保全するため、毎年、影響度と発生可能性に基づいて取り巻くリスクを評価しております。
リスク評価の結果、グループサステナビリティに関連する重要リスクに対しては、当社各事業場及びグループ会社サステナビリティ委員会においてリスクを回避・移転・低減するための対策の実施状況を点検し、代表取締役社長CEOをはじめとした取締役、執行役員等が出席するグループサステナビリティ委員会において点検結果やコントロールの状況を管理しております。当社グループ事業に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクと対応状況については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
④ 指標及び目標
サステナビリティ活動推進の具体的な指標及び目標としてグループ共通KPIを設定し、年度末毎に実績を点検しております。
2024年度活動実績は以下のとおりです。
(2) 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に基づく事項
当社グループは2021年2月に、TCFDの提言に賛同を表明し、1.5℃~2℃シナリオ(IEAのSDS等)や4℃シナリオ(IPCCのRCP8.5等)をベースとした気候変動がもたらすリスクや機会、その影響の定量評価に基づいた取り組みを開示しております。2024年度の取り組みは、国際的な非営利団体CDPの「気候変動」、「フォレスト」「水セキュリティ」の各分野において、最上位レベルの評価を獲得しました。当社グループは、引き続き環境経営の取り組みを通じ、社会のカーボンニュートラルの実現と、国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みに貢献してまいります。
「1.5℃~2℃シナリオ(IEAのSDS等)や4℃シナリオ(IPCCのRCP8.5等)をベースとした気候変動がもたらすリスクや機会の分析」
(3) 人的資本及び多様性に関する事項
① 戦略に関する事項
当社グループは、「北越グループ企業理念」のもと、「北越グループダイバーシティ基本方針」、「多様性の確保のための人材育成及び社内環境整備方針」及び「北越グループ人材育成方針」に則り取り組みを推進しております。
人的資本経営を推進することにより、人材の確保と育成を加速させ、グループ全体の競争力強化を図ることをサステナビリティ活動推進目標として定め、人的資本及び多様性に関する取り組みを推進しております。
② 指標及び目標
指標及び目標については「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ共通 ②戦略に関する事項」の表内「(S)社会 ⑤人的資本経営の実現」の欄に記載しております。
2024年度活動実績については「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ共通 ④指標及び目標」の表内「(S)社会」の欄に記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」といいます。)に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクと対応の状況は、以下のとおりであります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(特に重要なリスク)
(1)製品需要及び価格の変動について
当社グループは、紙パルプ事業及びパッケージング・紙加工事業を主力事業としており、景気後退や需要構造の変化等による需要減少の影響を受けることがあります。また、当社グループの製品は市況商品の割合も高いため、経済情勢の変動に伴い製品価格が変動するリスクがあります。これらの製品需要及び価格変動が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、「中期経営計画 2026」において「事業ポートフォリオシフト」、「競争力強化(コスト、環境、安全)」及び「サステナビリティ(ESG)活動推進」を基本方針に掲げ、更なる事業基盤強化による収益拡大に向け取り組んでおります。
(2)原燃料市況の変動について
当社グループは、主として木材チップ、古紙、薬品、ガス、重油等の原燃料を購入しておりますが、ロシア・ウクライナ問題、中東地域の政情不安などの国際情勢の変化に端を発する国内外の市況変動により、物流費用や原燃料等購入価格が変動するリスクがあります。その結果、これら原燃料費等の価格変動が当社グループの営業成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、「北越グループ原材料調達基本方針」を踏まえて、サプライヤーの多様化等により有利購買、安定調達に努めております。
(3)海外の政治、経済情勢の変動について
当社グループは、木材チップ、重油等の原燃料の多くを海外から調達しております。また、カナダ、フランスで紙パルプ事業を、中国で紙加工事業を展開しております。現地の政局や経済情勢の変化による原燃料確保の困難な状況や価格の乱高下、または現地政府による規制や政治不安等による経済環境の悪化等のリスクがあり、それらが発生した場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、海外子会社では、現地弁護士やコンサルタント等のアドバイスに基づき法改正等に対する迅速な対応を行うことでリスクを軽減する体制を構築しております。
(4)法規制及び訴訟等について
当社グループは、労働安全衛生法、労働基準法、環境規制、知的財産権や製造物責任法等様々な法令規制の適用を受けており、それらの変更・改正によって、追加の費用が発生する可能性があります。また、訴訟等のリスクに晒される可能性がないとは言えません。それらが発生した場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは「北越グループ企業理念」及び「北越グループ行動規範」を制定し、当社グループ全社員に対し、法令・定款の遵守は勿論のこと、社内規程の遵守も徹底しております。
(5)設備投資について
紙パルプ産業は装置産業であり、当社グループでは、生産コストの削減、品質向上、効率化等を目的とした設備投資を行っており、多くの有形固定資産を保有しております。設備投資の決定は、製品市場の需給予測など当社グループの慎重な分析に基づいております。しかし、将来的な事業環境の急激な変化等により、固定資産の価値が予想以上に減少した場合、減損処理が必要となり、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。そのため、設備投資後も市場動向を常に注視し、最適な生産体制を維持する努力を続けております。
(6)自然災害・設備トラブルについて
地震、洪水、台風、大雪等の自然災害、事故やテロ、突発的な設備トラブルの発生等のような予測不可能な事由により、当社グループの生産設備が大きな損害を受け、生産の継続が困難になるとともに、公共交通機関や公共道路の断絶等によるサプライチェーンの寸断等、復旧に多大な時間と費用が掛かる場合もあるため、当社グループの企業業績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは日常の保全体制の継続と設備トラブル発生時に適用される各種損害保険の付保や「緊急事態対応規程」に基づくBCP(事業継続計画)及び緊急事態対応規程等を策定しており、自然災害をはじめとした緊急事態に対処する態勢をとっております。
(7)気候変動について
気候変動による地球温暖化や異常気象は、干ばつや森林火災、集中豪雨、大型台風、土砂災害などをもたらす原因となり、木材原料やその他の原材料の調達に影響を及ぼすほか、当社グループの所有する森林資産の価値を棄損する等のリスクになります。また、当社グループのみならずサプライチェーンが被害を受けることにより様々な事業活動に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは従来から気候変動リスクを低減するため、バイオマス燃料などへの燃料転換の設備投資を進め、率先して温室効果ガスの発生削減に取り組んでおり、TCFDに基づきリスクや機会を経営戦略に反映して、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする環境経営を推進しております。こうした取り組みの結果、2024年度、国際的な非営利団体CDPより、「気候変動」の分野において前年に引き続き「A-」、「フォレスト」の分野において「A」、「水セキュリティ」の分野で「A-」の評価を獲得しました。
(8)情報セキュリティについて
当社グループは、主にプライベート・クラウド上に業務システムを構築しており、それらにサイバー攻撃等による情報セキュリティ事故が発生した場合、業務遂行に支障をきたし、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは「北越グループ情報セキュリティ基本方針」を定め、リスクの特定とその低減・回避・移転策を実施しています。具体的には、役職員に対する教育及び標的攻撃型メール訓練、工場閉域環境を対象としたセキュリティ脆弱性診断等により、ウイルス感染やサイバー攻撃によるシステム障害、社外への情報漏洩の防止に努めております。また、グループ各社の守るべき情報資産のバックアップ体制の構築、またサイバー保険への加入等により、インシデント発生時の緊急対応体制の整備も図っております。
(9)人材の確保について
昨今の少子高齢化等による労働力不足により、人材の確保が困難となる可能性があります。また、労働環境の悪化や職場の安全衛生管理上の問題、従業員のモチベーションの低下等により、労働生産性の悪化、更には人材流出につながる可能性があります。それらが発生した場合には、当社グループの営業活動等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは、「北越グループダイバーシティ方針」及び「北越グループ人材育成方針」に則り、新規採用、経験者採用、多様な人材の採用及び確保並びに働きやすい会社風土の醸成及び仕事と生活の調和のための施策等、人的資本経営の推進を進めております。
(10)労働安全衛生について
当社グループでは、抄紙機をはじめ多数の生産設備を保有しており、重篤な労働災害が発生した場合、生産活動等に支障をきたし、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、安全と健康が経営の根幹であることを基本とした「北越グループ安全衛生基本方針」を掲げ、その実現に向けて、安全衛生活動「hSA25」の策定・実行、労働安全衛生マネジメントシステムに関する国際規格である「ISO 45001」の認証取得などにより、安全衛生パフォーマンスのさらなる向上を目指しています。
(11)企業買収等について
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を十分に理解したうえで、当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益を中長期的に確保し、向上させる者でなければならないと考えております。しかしながら、株式の大規模買付行為等の中には、経営を一時的に支配して当社の有形・無形の重要な経営資産を大規模買付者又はそのグループ会社等に移譲させることを目的としたものなど、当社の中長期的な企業価値ないし株主の皆様共同の利益を棄損するものがあります。そのため、当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益を毀損する大規模買付行為等を行おうとする者に対しては、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努めるなど、会社法、金融商品取引法、企業買収における行動指針その他関連法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。
(重要なリスク)
(12)株価の変動について
当社グループは、取引先を中心に株式を保有しておりますが、市場性のある株式については、各種要因による株価の変動により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、特に政策保有株式の保有による企業価値向上効果やリスクについて、毎年取締役会で検証しております。
(13)為替変動について
当社グループは、製品輸出取引、原燃料輸入取引及び海外子会社の業績において為替変動の影響を受けることがあります。この為替変動が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を回避するため、一部為替予約によるリスクヘッジを実施しております。
(14)金利変動について
当社グループの総資産に対する有利子負債の比率は、前連結会計年度末が25.1%、当連結会計年度末が21.2%となっております。今後の金利動向によっては、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、グループファイナンスの実施等、グループ資金の効率化に努めております。
(15)連結子会社の内部統制について
当社グループは、国内の他、カナダ、フランスで紙パルプ事業を、中国で紙加工事業を展開しております。
国内外連結子会社における内部統制に予期せぬ脆弱性があった場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。そのため、当社の内部監査部門であるグループ統制管理室による管理下で、経営から独立した専任の内部監査人の設置、海外連結子会社においては内部監査部門の設置または現地の専門コンサルタントによるアドバイザリー業務の実施等により、内部統制の強化を図っております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループにおきましては、国内紙需要の減退が継続し、原燃料をはじめとするコストアップはあったものの、輸出販売における数量及び価格上昇、海外子会社におけるパルプの販売価格の上昇等により、増収増益となりました。当社グループの当期における業績は以下のとおりです。
主なセグメント別の経営成績は、下記のとおりであります。
紙パルプ事業
紙パルプ事業につきましては、輸出販売における数量及び価格上昇、海外子会社におけるパルプの販売価格の上昇等により、増収増益となりました。品種別には、洋紙につきましては、価格改定の実施により、全般的に販売価格が上昇しました。国内販売は、需要の低迷等により、販売数量が減少しましたが、輸出販売は、販売数量が増加し、増収となりました。
板紙につきましては、販売数量は増加し、増収となりました。グレード別には、特殊白板紙及びコート白ボールは、食品の持ち帰り用途向けが堅調に推移したことや、大手出版社で表紙用途向けに新規採用されたこと等拡販に注力したことにより、販売数量は増加し、高級白板紙は、店頭POP用途向けや各種はがき用途の需要が減少し、販売数量は減少しました。段ボール原紙は、需要低迷により、販売数量は減少したものの、輸出販売における価格上昇により、増収となりました。
機能材につきましては、機能紙分野においては、電子部品搬送用のチップキャリアテープ原紙の需要は回復基調が続き、特殊紙・情報用紙分野においては、コンビニエンスストア向けの食品包装材は需要が低迷したものの、OCR用紙で官庁向け大型案件の受注及び、圧着ハガキ用紙の拡販に注力したことにより、増収となりました。
パルプにつきましては、海外子会社において販売価格の上昇等により、増収増益となりました。
以上の結果、紙パルプ事業の業績は以下のとおりとなりました。
パッケージング・紙加工事業
パッケージング・紙加工事業につきましては、紙容器・包材事業の受注拡大等により、増収となりましたが、損益面におきましては、加工原紙の高騰や外注加工費の負担増加等により、減益となりました。
この結果、パッケージング・紙加工事業の業績は以下のとおりとなりました。
その他
木材事業、建設業、運送・倉庫業、古紙卸業をはじめとするその他事業につきましては、主に木材事業において外部受注が増加により、増収となりましたが、損益面におきましては、物流費の高騰等により、減益となりました。
この結果、その他事業の業績は以下のとおりとなりました。
総資産は、前連結会計年度末に比べて3,189百万円増加し、418,882百万円となりました。これは主として、現金及び預金が5,504百万円、商品及び製品が1,532百万円、有形固定資産が5,477百万円それぞれ増加した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が9,290百万円減少したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べて10,215百万円減少し、153,012百万円となりました。これは主として、有利子負債が15,389百万円減少した一方で、支払手形及び買掛金が1,294百万円、未払法人税等が3,702百万円それぞれ増加したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べて13,405百万円増加し、265,870百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益等により利益剰余金が11,344百万円、為替換算調整勘定が3,246百万円それぞれ増加した一方で、その他有価証券評価差額金が1,411百万円減少したことによるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べて3,008百万円増加し、25,148百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は40,932百万円(前連結会計年度比83.4%増)となりました。
収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益21,538百万円、減価償却費13,142百万円、売上債権の減少額9,108百万円、利息及び配当金の受取額2,487百万円、支出の主な内訳は、棚卸資産の増加額1,766百万円、未払消費税等の減少額1,198百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は18,816百万円(前連結会計年度は15,494百万円の支出)となりました。
支出の主な内訳は、投資有価証券の取得による支出3,571百万円、有形固定資産の取得による支出17,653百万円、定期預金の預入による支出2,481百万円、収入の主な内訳は、投資有価証券の売却による収入7,145百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は19,121百万円(前連結会計年度は3,801百万円の支出)となりました。
支出の主な内訳は、コマーシャル・ペーパーの減少額7,000百万円、長期借入金の返済による支出16,990百万円、配当金の支払額3,373百万円、収入の主な内訳は、長期借入れによる収入8,000百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、その内容、構造、形式等は必ずしも一様ではありません。このため、セグメントごとの生産高を表示することは困難であります。そこで、紙パルプ事業の主要生産会社である当社及びAlberta-Pacific Forest Industries Inc.の当連結会計年度における主たる品種別生産実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 当連結会計年度において、板紙の生産実績に著しい変動がありました。これは、前連結会計年度において、連結子会社であった星輝投資控股有限公司の株式を一部譲渡したことに伴い、同社の完全子会社である江門星輝造紙有限公司を連結の範囲から除外したことによるものであります。
当社グループは、一部受注生産を行っているものもありますが、大部分は一般市況及び直接需要を勘案して計画生産を行い、自由契約に基づき販売しております。このため、グループ会社の受注実績を把握することが困難であります。そこで、受注実績については記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度においては、輸出販売の数量増加やパルプ販売価格上昇により、売上高は過去最高額を更新し、海外売上高比率は37.2%に増加いたしました。
利益においては、原燃料や物流費のコストアップがありましたが、上記事由による増収効果により、営業利益は増益となりました。経常利益は、持分法による投資損失を計上したものの、為替差益等が加わり増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に計上した特別損失の解消に加え投資有価証券売却益もあり増益となりました。
なお、上表記載の連結業績予想(2024年11月14日開示)との比較においては、経常利益は持分法による投資損失の計上等により乖離したものの、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益は概ね連結業績予想並みの結果となりました。
当連結会計年度末の流動資産合計は、現金及び預金が増加した一方、前連結会計年度末日の休日要因により売上債権が減少し、392百万円減少しました。固定資産合計では、投資その他の資産は減少しましたが、減価償却費を上回る設備投資を実施したことにより、3,582百万円増加しました。
負債合計は、仕入債務が増加した一方、有利子負債が15,389百万円減少したことにより、10,215百万円減少しました。純資産合計においては、利益剰余金の増加に加え、為替換算調整勘定の増加により13,405百万円の増加となりました。
以上により、財務健全性指標の一つである自己資本比率は63.3%と前連結会計年度より2.7ポイント上昇しており、財政状態の健全性は引き続き維持できているものと認識しております。
営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、税金等調整前当期純利益の増加、及び必要運転資金の減少により、前連結会計年度から18,611百万円増加し40,932百万円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、各種設備投資の実施や定期預金の預入により、18,816百万円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを有利子負債返済に充当したことや配当金の支払い等により、19,121百万円の支出となりました。以上から、現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度から3,008百万円増加の25,148百万円となっております。
d.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの取扱商品は市況商品が多く、需給動向や市場価格等の影響を大きく受けます。国内印刷情報用紙事業においては、構造的な需要減退が継続しており、市販パルプ事業は、世界的な需給バランスに加え、投機的な市場価格形成の影響が発生することから、大きな価格変動が生じます。
当社グループが購入している原燃料につきましても市況商品が多く、価格変動リスクに晒されております。また国内事業においては輸入原燃料を多用しており、為替変動リスクだけでなく、各国の通商政策や地政学的リスクも、当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
かかる認識の下、当社グループは事業ポートフォリオシフトに注力しており、取扱商品及び販売市場の拡充及び分散、特に輸出を含めた海外売上高比率の向上等による為替リスク軽減等に努めております。
運転資金につきましては主にコマーシャル・ペーパーや短期借入金にて調達しており、いずれも調達枠には十分な余力を有しています。また、設備投資等につきましては主に長期社債、長期借入金等にて調達し、市場環境を鑑みながら調達手段を選択しております。
安定的な財務基盤の指標の一つとして、有利子負債残高から現預金残高を差し引いた後のネット有利子負債残高を自己資本にて除したネットD/Eレシオを用いております。ネットD/Eレシオは一定水準以上であり、財務健全性は維持できております。なお、当社グループでは財務健全性を維持しつつ、有利子負債の有効活用により、財務レバレッジ改善を努め、資本コスト低減を進めてまいります。
当社グループは、全てのステークホルダーと共に持続的な成長を目指し、企業価値を向上させるために2030年を目標とする長期経営ビジョン「Vision 2030」を2020年5月に策定いたしました。その企業グループイメージの実現に向けた第2ステップとして、2023年4月より「事業ポートフォリオシフト」「競争力強化」「サステナビリティ(ESG)活動推進」を基本方針とした「中期経営計画 2026」に取り組んでおります。2年目となる当連結会計年度の進捗状況は下表のとおりです。
また、2024年5月に大王製紙株式会社と戦略的業務提携を開始以降、生産技術、原材料購買、製品物流の各分野において積極的に活動しております。初年度となる当連結会計年度においても提携効果を発現し、増益に寄与しました。両社共通の経営課題である「競争力強化」「事業ポートフォリオの変革」の解決に向けて、中長期的な企業価値向上に資する取り組みを推進してまいります。
当該セグメントの売上高は連結売上高の91.7%を占めております。また当該セグメントの資産は総資産の94.9%を占め、当該セグメントの財政状態及び経営成績が連結財政状態及び経営成績に大きな影響を与えるものと考えております。
当連結会計年度においては、国内では紙需要減退により販売数量は減少しましたが、輸出販売の数量増加により、紙販売数量合計は前年を上回りました。また、国内販売価格については、再生産可能な利益を確保することを目的に価格改定に取り組み、輸出販売価格については円安進行により上昇しました。一方、円安進行による原燃料や国内外物流費のコストアップ影響は大きく、生産効率改善にも努めましたが減益となりました。
カナダにおける市販パルプ事業では、工場の余剰電力を販売する売電収益は減少したものの、国際的なパルプ市況の回復や販売数量の増加により、増収増益となりました。
2025年4月には、複雑化する顧客ニーズに的確に対応すべく取り扱い商品毎に組織を再編し、洋紙営業本部、白板紙営業本部、機能材営業本部の3営業本部体制としました。当該セグメントの売上高及び収益力を安定かつ強化するべく、引き続き事業ポートフォリオシフトに取り組んでまいります。
当該セグメントの国内事業においては、食品一次容器の新規受注増加や液体容器の価格改定等から増収となりました。利益面では、新規受注商品の外注加工費の増加や円安進行による輸入原材料のコストアップ等により、減益となりました。また、中国における紙加工事業においては、販売数量増加や生産コスト削減に取り組んだことにより増収増益となりました。
パッケージング事業の一層の成長を目指し、2025年4月の組織改定にて、紙パルプ事業セグメント内の白板紙事業との連携を強める体制としました。また、加工内製化に向けた設備投資も完了しており、当社グループの素材開発・原紙生産から製品まで一貫生産できる強みを活かし、需要増加が期待される紙容器・包材等のパッケージング事業に注力してまいります。
その他事業のセグメント売上高は8,818百万円と前連結会計年度比5.1%の増加となり、セグメント利益は856百万円となりました。
当該セグメントは木材事業、建設業、輸送・倉庫業、古紙卸業等の多岐に亘っております。主に再生可能エネルギー向け燃料チップ販売が増加したこと等から増収となりましたが、物流費等のコスト上昇により減益となりました。引き続き、当社グループが有する経営資源の有効活用を目的に安定した利益確保に努めてまいります。
我が国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果により緩やかな回復の継続が期待されるものの、米国の通商政策の影響による景気変動リスクや長期化する地政学的リスク等による不確実性は高まっております。
次期の見通しにつきましては、輸出販売の数量増加を計画する一方、輸出販売価格の低下や国内紙販売の数量減少により、売上高は減収を見込んでおります。利益面では、円高及び原油安による原燃料価格低下のコストダウンが見込まれるものの、修繕費負担が増加する年度であることから営業利益は減益を予想しております。経常利益は持分法による投資損益の回復により増益、親会社株主に帰属する当期純利益は特別利益の減少により減益を計画しております。
当社グループは、「北越グループサステナビリティ基本方針」に掲げる持続可能な社会の実現に貢献すべく、最終年度に入った「中期経営計画 2026」の基本方針に則した事業活動を推進し、企業価値向上を目指してまいります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
戦略的業務提携基本契約
当社グループの研究開発部門は、生産技術本部下にある研究所と機能材営業本部下にある商品開発室を中心に構成されております。また、カップ事業推進室も紙容器や軟包材関連製品の新規採用にも注力しております。生産技術本部はこれらの研究開発活動を総括し、生産技術部が営業部門や工場の製造部門及び研究所と緊密な連携をとり、お客様の要望に直結した新製品開発を行っております。
紙パルプ事業及び新規分野の研究開発活動の項目は以下のとおりであります。
(セグメント別では、紙パルプ事業の占める割合が大きいため、その他のセグメントについては省略しております。)
(1) 洋紙及び白板紙分野
洋紙分野では、カップ用途など紙器用途の開発、生産を積極的に行っており輸出向けに加えて国内向けの採用案件も増加しております。また新潟、紀州両工場の設備特性を活用した感熱用紙やタックシール紙等の加工原紙の開発にも注力し、国内外で新たに採用いただきました。今後も新規品種開発、並びにその要求特性に応じた設備対応を積極的に実施してまいります。
白板紙分野でも、印刷情報及び紙器用途に加え、食品一次容器向け等の拡充を図るべく開発を進めております。紙器用途で培った製品設計、生産技術を応用し、加工適性等で好評を得ております。白板紙としては、古紙入手難等課題はありますが、関東工場の立地を活かしつつ、持続可能な生産体制を構築し、安定供給と他社に負けない品質づくり、コストダウンに注力し、競争力強化に努めてまいります。
(2) 機能材分野
機能紙分野では、マイクロチップ向けチップキャリアテープ原紙、逆浸透膜(RO膜)支持体の品質改善及び新規開発に取り組むと共に、需要に応じた生産体制の構築を継続しております。また、濾過・分離分野においては、脱フッ素、生分解性のフィルタの開発を進めております。特殊紙分野では、金属合紙の品質改善と拡販を進め、また、環境に配慮した紙素材の開発として、脱プラスチック、減プラスチックを目標に食品向け包材・容器、透明紙、フック・ハンガー等、分野を問わず取り組んでまいります。
(3) 段ボール原紙分野
段ボール原紙分野では、製品品質の安定と供給体制を拡充すると共に、薄物原紙を拡充いたしました。新潟工場6号機の特性を生かし、中芯用途以外のニーズにもお応えできるように、製品開発を継続推進してまいります。
(4) 新規開発分野
研究所では、空気、水、脱プラスチック、生分解、脱フッ素等をキーワードとする環境面に配慮した新製品開発に取り組んでおります。特に注力している開発は、ULPA、HEPAに代表される国内屈指の高性能エアフィルタ濾材及び逆浸透膜支持体、脱プラスチック紙基材分野であります。フィルタ分野においては、低圧損高効率フィルタ、多層フィルタ、ノンフッ素フィルタ、生分解性フィルタ等、市場の変化や顧客ニーズを反映した開発に取り組んでおります。逆浸透膜支持体は、既存製品の市場競争力向上を進めるとともに高機能化を図った新たな製品の市場展開を進めております。脱プラスチック紙基材分野では、ポリエチレンラミネートを使用していない水系塗工液を塗布した紙基材「パンセ」の用途拡大を進めると共に、バリア性を付与した紙基材、リサイクル可能なクリアファイル向け透明紙、ノンフッ素耐油紙等、環境に配慮した製品の開発及び上市を進めております。今後は更なる機能性強化を視野に入れて、新規製品開発に注力してまいります。
商品開発室では、ナノセルロースやナノカーボンなどの先端素材の応用から、紙製のパッケージング材料の開発まで幅広い領域で活動しております。ナノカーボンを用いた電磁波ノイズ抑制シートは、産業用機器のノイズ対策で採用され、その効果が実証されております。従来品より幅広い周波数帯に対応しており、次世代通信機器、電子機器での評価が進んでおります。さらに、紙づくりの技術を応用した新規の電磁波吸収体も開発いたしました。軽量、耐熱、難燃でありながら幅広い周波数帯に対応し、例えば航空宇宙機器や近年浸透しつつある無線給電技術の安全・信頼性を高めることができます。紙製のパッケージング分野においては、ユーザーやコンバーターと協力して各種包材原紙の開発を進めており、食品用の軟包材やカップ・トレイなどとして採用される例も増えてまいりました。今後も引き続きユーザーとの接点を増やし、ユーザーにとってメリットのある紙の提案を進めてまいります。
当連結会計年度の当セグメントにおける研究開発費は
なお、パッケージング・紙加工事業における研究開発費は