第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

① 会社の経営の基本方針

当社グループは、「北越グループ企業理念」のもと、紙パルプ事業及びパッケージング・紙加工事業を核として、魅力ある商品とサービスを広く社会に提供し、顧客、株主、取引先、地域社会をはじめとする総てのステークホルダーの支持と信頼に基づいた企業グループの安定的かつ持続的な成長と企業価値の向上を図ることを経営の基本方針としております。 

また、「北越グループ企業理念」に掲げる「自然との共生」を達成するため、原料から製品に至るまでの環境へのあらゆる影響を最小限にとどめることにより、持続可能な社会の実現に貢献することを目的に「北越グループサステナビリティ基本方針」を制定しております。特に環境については、2050年までにCO2排出実質ゼロに挑戦するなど、気候変動問題に対する取組みを積極的かつ能動的に推進してまいります。

 

② 目標とする経営指標

当社グループは、事業活動の成果を示す売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益に加え、資本効率、財務健全性の観点からROE、ネットD/Eレシオを重要な経営指標として位置付け、これらの向上を通じて、企業価値の持続的な拡大を図ってまいります。

 

③ 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは長期経営ビジョン「Vision 2030」に基づき、グローバル企業としての持続的な成長を目指してまいります。「Vision 2030」における企業グループイメージは、環境経営を基軸として、持続可能な社会の発展に貢献する企業グループ、多様な労働力と最新技術を活用し、時代に適応した新たな事業領域に挑戦する企業グループ、夢・希望・誇りが持てる働きがいのある企業グループであります。
 また、長期経営ビジョン「Vision 2030」の企業グループイメージ実現に向けた最終ステップとして2026年4月より「中期経営計画 2030」をスタートさせました。「中期経営計画 2030」では、事業ポートフォリオシフトの加速、競争力強化による優位性の確立、サステナビリティ経営による価値創造の3つを基本方針としております。事業ポートフォリオシフトの加速については、輸出拡大の加速のための洋紙輸出営業本部、新規事業開発専門の組織として新規事業開発室をそれぞれ設置し、体制を整えております。今後も紙パルプの事業基盤に、環境経営、新規商品開発及びM&Aなどによる事業領域の拡大を加えて強力に推進していくことにより、継続的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

(2) 経営環境及び対処すべき課題

① 経営環境認識

世界経済は、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢の緊張が依然として継続する中、主要国における金融政策や通商政策を巡る不透明感も相まって、先行きの不確実性が高い状況が続いております。加えて、資源・エネルギー価格の変動や為替相場の不安定な動きなどが、各国経済や企業活動に影響を及ぼしております。

このような環境下、国内紙パルプ産業においては、デジタル化の進展や人口構造の変化を背景とした需要構造の変化が引き続き進むとともに、エネルギー・原材料価格の高止まりや物流費の上昇、人手不足の深刻化など、引き続き厳しい事業環境が継続しております。

 

② 対処すべき課題

イ 事業ポートフォリオシフトの加速

当社グループは、北米のパルプ事業や欧州の機能材事業などを展開しており、それらの強化を図るとともに、輸出製品の販売拡大も進め、事業ポートフォリオシフトを積極的に実行してまいりました。

「中期経営計画 2030」では、主にパッケージング事業の拡大、白板紙再構築、輸出の拡大、戦略投資の4つの分野に注力してまいります。

パッケージング事業の拡大については、伸長している包材事業の受注拡大に対応するため、グループ内製化や新商品開発等、生産能力の拡張を図ります。また、食品用高機能紙容器「ハロパック」の拡販・収益化を推進します。

白板紙再構築については、食品一次容器やトレーディングカード等の成長分野への製品シフトを推進します。また、生産拠点の見直しにより、新潟工場及び関東工場で最適な生産体制の構築を検討してまいります。

輸出の拡大については、2026年4月に新設した洋紙輸出営業本部のもと、安定した需要と十分な市場規模を有する海外市場への販売強化に取り組みます。具体的には、米国やインドをターゲットに、洋紙輸出比率を2025年度の27%から2030年度には38%まで高める方針であります。

戦略投資については、2026年4月に新設した新規事業開発室のもと、当社グループの将来の持続的成長を支える新規事業の開拓を進めます。具体的には、機能材分野や紙加工分野などをターゲットに、国内外のM&A案件を検討してまいります。

これらを通じて事業ポートフォリオの最適化を加速し、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。

 

ロ 競争力強化による優位性の確立

当社グループは、国内紙パルプ業界をリードする環境競争力を有する製品をお客様に提供することにより、多くのご支持をいただいております。

今後も「中期経営計画 2030」においてさらなる企業価値の向上を果たし、国内紙パルプ業界において揺るぎない地位の確立を目指し、既存事業の基盤強化と、環境事業への取り組みを重点戦略として推進してまいります。

既存事業の基盤強化としては、当社グループのコア事業である洋紙事業のコスト競争力の徹底強化と品質確保、国内シェア拡大など、競争力強化を図ることで業界優位のポジション確立を目指すと共に、国内最大規模の基幹工場である新潟工場の高効率操業を活かしつつ、併せて製品全般について適時かつ適正な価格改定のアクションをとってまいります。

また、当社は2024年5月に大王製紙㈱との戦略的業務提携基本契約を締結し、生産技術、製品物流、原材料購買におけるコストダウン施策において一定の収益改善効果を発現してきています。具体的には、当社において提携1年目である2024年度に13億円、2年目の2025年度には30億円を上回る収益改善効果を積み上げております。また、2026年3月には戦略的業務提携の深化を公表しており、両社が対等な資本関係を構築することで取り得る施策の範囲を拡大し、企業価値の一層の向上を目指してまいります。

環境事業の取り組み推進については、当社グループが先進的に進めてきた燃料転換や省エネ活動、CO2削減などの環境投資に加え、排出量取引制度への対応や、国内外CCS事業、紙・パルプの再生可能資源としての価値創造、北米の広大な森林資源の活用などを将来の新たな事業として位置付けて取り組みを進め、成長させてまいります。特に国内CCS事業については、紙パルプ業界で唯一の参画企業であり、これまでの環境事業への取り組みを活かして積極的に推進していきます。

 

ハ サステナビリティ経営による価値創造

当社グループは、「Vision 2030」に掲げる「環境経営を基軸として、持続可能な社会の発展に貢献する企業グループ」の実現に向けて、サステナビリティを競争力の源泉と位置づけております。

その中核となるのが、環境経営戦略の実践、人的資本経営、コーポレートガバナンスの強化であります。

(a) 環境経営戦略の実践

当社は、「北越グループ ゼロCO2 2050」の達成に向けて、CO2排出量削減を着実に進めるとともに、環境負荷の低い輸送や生産体制の構築を推進しております。例えば、鉄道貨物輸送を活用したモーダルシフトの拡大や、異業種とのラウンドマッチング輸送の開始など、物流面でのCO2排出量削減を具体的に進めております。さらに、CDPでは、フォレスト、水セキュリティの両分野で最高評価の「A」、気候変動で「A-」と、全ての分野で最上位のリーダーシップレベルを獲得するなど、当社の環境対応は外部からも高く評価されております。今後も、燃料転換やCCS事業、環境配慮型製品の展開など、環境事業の可能性を広げ、社会のカーボンニュートラル実現に貢献してまいります。

(b) 人的資本経営

当社は、社員一人ひとりが能力を発揮できる環境を構築することこそが、組織の創造性と競争力の源泉であると考えております。そのため、多様な人材の活躍を後押しし、働きがいのある職場づくり、健康経営、安全衛生活動に取り組んでおります。また、株式給付信託(従業員持株会処分型)の導入や、持株会奨励金の引き上げを通じて、従業員が自らの成長を企業価値の向上として実感できる仕組みも整えてまいりました。加えて、人権方針のもと、サプライチェーンも含めた人権尊重の取り組みを進め、外部環境の変化に柔軟に対応できるレジリエントな組織を構築してまいります。

(c) コーポレートガバナンスの強化

当社は、経営の監督と執行の役割を明確にし、透明性と実効性を高めることで、意思決定のスピードと質を両立させてまいります。取締役の任期短縮や、会長 グループCEOと社長 COOによる経営体制への移行もその一環であります。こうしたガバナンスの強化を通じて、資本効率を意識した経営を徹底し、稼ぐ力の最大化と企業価値の向上を実現してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ共通

企業の事業活動においてサステナビリティ課題への解決に向けた取り組みは、益々重要となっております。

当社グループでは「北越グループ企業理念」を実現するため、従業員一人ひとりがあらゆる活動において遵守すべきルールである「グループ行動規範」に則り業務を遂行するとともに「長期経営ビジョン」をはじめとした中長期的な企業価値の向上を推進するため「北越グループサステナビリティ基本方針」を制定し、ESGをはじめとしたサステナビリティ課題解決へ向けた取り組みを実行しております。

 

北越グループ企業理念

 

 私たちは人間本位の企業として、自然との共生のもと技術を高め最高のものづくりによって、世界の人々の豊かな暮らしに貢献します。

 

 

サステナビリティ活動と経営計画の関係について

 


 

北越グループサステナビリティ基本方針

 

 当社グループは、グループ企業理念に掲げる「自然との共生」を達成するため、原料から製品に至るまでの環境へのあらゆる影響を最小限にとどめることにより、持続可能な社会の実現に貢献します。

 

・2050年までにCO2排出実質ゼロに挑戦します。

・長期経営ビジョンに基づき、事業を通じて社会的課題の解決に取り組みます。

・取引先のお客様とともに法規制等の遵守を徹底し誠実な企業であり続けます。

 

 

① ガバナンスに関する事項

代表取締役会長 グループCEO、取締役、執行役員、グループ会社社長が出席するグループサステナビリティ委員会は、グループサステナビリティ活動に関する事項、平常時のリスクマネジメント活動に関する事項、環境保全活動に関する事項等について年度点検や次年度目標の審議および決定を行っています。

当該委員会で審議した内容を取締役会へ報告することにより、取締役会はグループサステナビリティ活動に対して、実効性の高い監督を行っています。

 


 

 

② 戦略に関する事項

当社グループは、「中期経営計画」に連動して、国際規格等を参考に社会からの要請・期待と当社グループの事業における重要度を評価軸として検討を行い、ESGの3分野に関する9項目のマテリアリティ(重要課題)を明確化し、リスクと機会を識別した上で、サステナビリティ活動推進目標とグループ共通KPIを設定しております。

2025年度では、

(E)環境に関しては、CO2排出量削減にむけた取り組みの継続など気候変動問題への対応、グループ原材料調達基本方針に基づく調達、適正な社有林および管理林運営

(S)社会に関しては、無災害職場の構築、人的資本経営の推進、責任ある製品品質の提供、「脱プラ」など環境配慮型製品の開発、IR・SRミーティングの充実によるステークホルダーとのエンゲージメント強化

(G)ガバナンスに関しては、先住民族や地域社会の権利への配慮を重要視するTNFD提言に基づく情報開示や先住民コミュニティの伝統・文化を尊重する取り組み、人権デューディリジェンスプロセスに沿った人権尊重の研修の実施

など、事業活動を通じよりよい社会への実現にむけたサステナビリティ活動を推進しております。

 


 

 

「サステナビリティに関するマテリアリティ(重要課題)に対する、リスクと機会及び活動推進目標(グループ共通KPI含む)」

 

区分

マテリアリティ

(重要課題)

リスク及び機会

[戦略]

サステナビリティ活動

推進目標

[指標及び目標]

グループ共通KPI

 

(E)

気候変動問題への対応※

・異常気象(大雨、洪水、台風、大雪、渇水等)や自然災害(地震、津波、火山爆発、森林火災等)による工場操業停止、物流停止

・サプライチェーンにおけるESGに配慮しない企業の存在

・環境破壊、自然破壊による野生動物等の減少をはじめとした生物多様性の崩壊

・バイオマスエネルギーや最新技術の活用によって2050年までにCO2排出を実質ゼロとする「ゼロCO22050」の達成をめざす

・2030年のCO2排出量を2005年度比43%削減

 

責任ある

原材料調達

・「北越グループ原材料調達基本方針」に基づき、環境と社会に配慮したCSR調達を推進する

・環境、社会、人権に配慮して生産された木質製紙原料の調達

 

・再生可能エネルギーのニーズ拡大

・先進的環境配慮(気候変動対策等)に対する共感

・GXの推進による社会からの評価向上

・持続可能なサプライチェーンの構築

・社有林管理の推進によるイメージアップ

 

森林管理と

生物多様性

の保全

・森林の多面的機能を活かすべく、社有林、管理林の適正かつ持続可能な経営を維持する

・社有林、管理林の生物多様性の保全、また社有林、管理林を通じた地域交流に努める

・社有林、管理林のCO2吸収量の維持・拡大

・生物多様性に関する地域交流の強化

 

(S)

職場の安全

衛生の確保

・工場等の設備事故による事業停滞

・重篤災害や過重労働等の発生

・メンタルヘルスやハラスメント等によるモチベーション低下

・製品クレームによる売上の低下

・安全衛生活動

 「hSA25」を推進することにより、無災害職場の構築を図る

・重篤災害ゼロ

・労働災害(軽微な災害含む)件数25件以下

 

人的資本

経営の実現

・人的資本経営を推進することにより、人材の確保と育成を加速させ、グループ全体の競争力強化を図る

・経営陣、管理職層における女性、外国人、社外経験者等の割合を現状(2021年度)の約1割から2030年に倍増させる

・(新卒・社外経験者)定着率の改善

・従業員一人当たり教育訓練投資額の増加

・研修受講者人数の集計

・資格・免許保有数の増加

・女性管理職比率の向上

・男性の育児休業取得率の向上

 

・安全パフォーマンスの向上による労働災害の減少

・人材育成、健康経営、働き方改革などの制度の充実による従業員満足度向上

・環境配慮型製品の増加による収益拡大

・新規顧客の開拓、既存顧客との関係強化

・ステークホルダーの信頼獲得

 

責任ある

製品品質の

提供と

新製品開発

・製品品質と安全性を確保する

・環境配慮型の製品開発を推進する

・製造物責任事故0件(単体)

・環境配慮型製品の拡充

・ナノテクノロジーを利用した製品の開発

 

ステークホルダーとの対話

・ステークホルダー(株主・投資家、販売先・調達先、消費者、従業員、地域社会)との良好な関係を継続する

・ステークホルダー・エンゲージメントの向上(IR・SRミーティングの実施、工場見学・インターンシップの受け入れ、従業員意識調査の実施など)

・各種アンケートへの回答

・社会貢献活動の継続

 

 

 

区分

 

マテリアリティ

(重要課題)

リスク及び機会

[戦略]

サステナビリティ活動

推進目標

[指標及び目標]

グループ共通KPI

 

(G)

コーポレートガバナンスの充実

・規制や法令違反等による社会的信用の低下

・サプライヤー管理の不徹底による人権問題の顕在化

・コーポレートガバナンスの継続的な改善を進める

・リスクマネジメント活動の強化を図る

・開示内容の拡充

・リスク低減活動の継続

 

人権の尊重

・企業価値向上に向けた経営体制の維持・強化

・人権尊重の対応を通じた社会からの信頼

・人権尊重に関する対応を推進する

・国連グローバル・コンパクトへの署名

・人権方針の策定

・人権尊重に関する対応の確立

 

 

※ 詳細については「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ共通 (2)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に基づく事項」に記載しております。

 

③ リスク管理に関する事項

当社グループでは、様々な経営リスクを適切に管理し企業価値を保全するため、毎年、影響度と発生可能性に基づいて取り巻くリスクを評価しております。

リスク評価の結果、サステナビリティ課題に関連する重要リスクに対しては、当社各事業場及びグループ会社サステナビリティ委員会においてリスクを回避・移転・低減するための対策の実施状況を点検し、代表取締役会長 グループCEO、取締役、執行役員等が出席するグループサステナビリティ委員会において点検結果やコントロールの状況を管理しております。当社グループ事業に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクと対応状況については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

④ 指標及び目標

サステナビリティ活動推進の具体的な指標及び目標としてグループ共通KPIを設定し、年度末毎に実績を点検しております。

2025年度活動実績は以下のとおりです。

 

 

(E)

・CO2排出量の削減や社有林などの育成及び管理、自然資本及び生物多様性関連リスク・機会の分析等に取り組んだ結果、国際的な非営利団体CDPの「気候変動」の分野において、最上位レベルのリーダーシップレベルに位置する「A-」を獲得するとともに、「フォレスト」において「A」、「水セキュリティ」において「A」を獲得した。

・独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の委託業務『令和6年度「先進的CCS 事業に係る設計作業等」』を引き続き受託し、建設コスト及び運転コストの算定、評価を行い、ネガティブエミッションとなるCCS事業の検討を進めた。

・グループ原材料調達基本方針に則り、森林認証品の維持とともに、原料デューディリジェンスを通じて木材原料の合法性及び持続可能性を確認している。また、第三者による違法伐採由来の木材が含まれていないことの検証を実施した。

・国内社有林等の森林管理、生物多様性の保全については、岩手県内の外川山林で取得している森林認証を維持するとともに、他地域の社有林においても同森林認証制度の理念に沿って管理している。

・海外においては、カナダアルバータ州の管理林では森林認証を維持し、森林再生プログラムの一環として針葉樹の苗木を通算で5,000万本植樹した他、州政府や環境保護団体と提携し、カリブー(トナカイ)の保護計画への積極的参加を含め、生物多様性の保全や各種モニタリングに関わるプロジェクトの支援や、先住民コミュニティとのコミュニケーションを継続した。南アフリカの社有林では、森林認証を維持するとともに、地域固有の生態系保全のため、外来樹種の駆除、密猟防止、火災延焼防止を目的とした巡回パトロール、動植物モニタリング、保護樹帯及び防火帯の整備を継続実施している。

(S)

・職場の安全衛生に関しては、安全衛生活動「hSA25」期間中に回転体設備による挟まれ・巻き込まれ危険箇所(2,141箇所)の災害防止対策を完了した。また、外部機関を起用して組織の安全文化を可視化し、安全活動上の課題や今後強化していく分野の洗い出しを行った。なお、グループ労働災害発生件数は前年と同数であった。

・人的資本経営の実現にむけて、当社において勤務制度および給与制度の改定、フレックスタイム制度の試験運用、育児休業の有給化(7日間)などを実施した。また、ストレスチェックは目標の受検率95%以上を維持し、総合健康リスク及び職場環境総合評価の結果が前年よりも改善した。

・グループにおいて製造物責任事故の発生はなかった。また、古紙配合率の検証、食品接触用途製品の管理、品質規格等の適合状況の点検を実施し、適正かつ適切に運用していることを確認した。

・環境配慮型の紙製品や紙容器の販売に注力するとともに、ナノカーボン素材を活用した電磁波ノイズ抑制シートに関しては新たな受注や引き合いもあり、生産技術もレベルアップした。また、電磁波吸収体の共同開発プロジェクトへの参画が決まった。

・ステークホルダーから理解・評価を得るべくIR及びSR活動を継続的に実施し、機関投資家、アナリスト、金融機関等との対話を通じて得られた気付き事項等を事業活動に反映した。

・グループサステナビリティ活動の実施状況について、当社ホームページへの開示を拡充してPRに努めた。

(G)

・指名・報酬委員会の答申に基づき、代表取締役2名体制へ移行した。

・統合報告書にて取締役会におけるスキルマトリクスについて開示内容を拡充した。

・リスクマネジメント活動の一環として、長期安定的な事業継続に要する人材の確保策やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進等による省人化対策について検討・実行した。

・カナダにおいては、地域社会への投資プログラムを通じて、地元コミュニティや先住民族への寄付、スポンサーシップ、奨学金等を実施した。

・連結グループ役職員を対象に人権教育研修を実施(約2,100名受講)し、グループ全体に人権尊重の浸透を図った。

 

 

 

(2) 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に基づく事項

当社グループは2021年2月に、TCFDの提言に賛同を表明し、1.5℃~2℃シナリオ(IEAのSDS等)や4℃シナリオ(IPCCのRCP8.5等)をベースとした気候変動がもたらすリスクや機会、その影響の定量評価に基づいた取り組みを開示しております。2025年度の取り組みは、国際的な非営利団体CDPの「気候変動」、「フォレスト」「水セキュリティ」の各分野において、最上位レベルの評価を獲得しました。当社グループは、引き続き環境経営の取り組みを通じ、社会のカーボンニュートラルの実現と、国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みに貢献してまいります。

 

「1.5℃~2℃シナリオ(IEAのSDS等)や4℃シナリオ(IPCCのRCP8.5等)をベースとした気候変動がもたらすリスクや機会の分析」

 

分類

リスク

リスクの詳細

影響度

リスク低減に向けた戦略・対応策

移行

リスク

政策・

法規制

CO2排出に関する規制強化

・炭素税や排出量取引制度等、カーボンプライシングの導入・強化

・「北越グループ ゼロCO2 2050」「北越グループ環境目標2030」の実現

・省エネルギーのさらなる推進

・パルプ製造工程で発生する黒液等のバイオマスエネルギーの積極的な活用

・カーボンニュートラル燃料の活用

・CO2排出量の少ない鉄道等へのモーダルシフトの推進

・高効率なチップ専用船の導入

・木材由来のCO2を分離回収することによる、ネガティブエミッションとなる先進的CCS導入検討

再生可能エネルギー普及に向けた規制強化

・再生可能エネルギーの発電促進に向けた賦課金の単価上昇

市場

化石エネルギーの価格高騰

・脱炭素社会実現に向けた石油開発投資減少等による化石燃料由来のエネルギー価格の高騰

評判

環境配慮不足に対する非難の高まり

・気候変動対策や森林保全等における環境配慮不足に対する、消費者等からの非難の高まりや製品の不買運動

・上記の気候変動対策の推進

・「北越グループ原材料調達基本方針」「木材原料調達の基本方針」実行

・非認証材の排除やトレーサビリティーシステムの活用、第三者機関による監査、当社社員による現地調査等を通じた、合法性、持続可能性が証明された木材原料の調達

・工場見学の積極的な受け入れ、環境活動通信誌「KINKON」の発行、環境等をテーマにした出張講義等を通じた、当社グループの環境保全活動の情報発信

投資家からの評価低下

・気候変動への取り組み遅れによるESG投資における評価低下や投資撤退(ダイベストメント)

物理的

リスク

急性

異常気象増加による事業への影響

・豪雨や洪水、巨大台風等の異常気象による自社の工場、設備の損壊

・異常気象による電力や水等のインフラ損壊によるサービス供給停止

・異常気象による道路、鉄道、港湾設備損壊によるサプライチェーンの寸断

・工場における自然災害リスクの評価と対策

・「緊急事態対応規程」に基づいたBCP(事業継続計画)の見直し

・サプライヤーの多様化等による有利購買・安定調達の推進

慢性

気象パターン変化による原料調達への影響

・気温の上昇や山火事の頻発、病虫害の発生等による、紙パルプ原料樹木の生育悪化、調達への悪影響

・森林の多面的機能の向上を目指した山林経営の推進

・サプライヤーの多様化等による有利購買・安定調達の推進

 

 

分類

機会

機会の詳細

影響度

機会活用に向けた戦略・対応策

機会

製品と

サービス

環境配慮型製品・サービスへのニーズ拡大

・消費者の意識高まりに伴う、環境配慮型製品・サービスへのニーズ拡大

・FSC®認証製品(FSC-C005497)の提供

・脱プラスチックに向けた紙素材等のプラスチック代替材料の開発と拡販

・最先端のバイオマス素材であるセルロースナノファイバーと炭素繊維の複合材料開発

・バッテリーセパレーターの開発と拡販

先進的な環境配慮に対する共感

・気候変動対策や森林保全等における環境配慮に対する、消費者や取引先からの共感の高まりや製品の積極的な購入

・上記の環境配慮型製品・サービスの積極的な展開や、気候変動対策や森林保全等の取り組みの推進

・工場見学の積極的な受け入れ、環境活動通信誌「KINKON」の発行、環境等をテーマにした出張講義等を通じた、当社グループの環境保全活動の情報発信

投資家からの評価向上

・先進的な気候変動への取り組みによるESG投資における評価向上や投資誘引

市場

CO2排出量取引制度の普及

・e-メタンなど化学製品へのバイオマス由来、カーボンネガティブCO2導入機運の高まり

・木材由来のCO2を分離回収することによる、ネガティブエミッションとなる先進的CCS導入検討

エネルギー源

再生可能エネルギーへのニーズ拡大

・カーボンニュートラル実現に向けた再生可能エネルギーへのニーズ拡大

・太陽光、バイオマス等の再生可能エネルギー発電事業の展開

資源効率

森林資源への関心の高まり

・CO2を吸収・固定し、気候変動問題に貢献する、森林吸収源に対する関心の高まり

・植林事業や森林認証取得を通じた持続可能な森林経営の推進

・森林経営計画に基づく間伐の実施

・建築や合板、燃料用チップ等における間伐材の有効活用

水資源への関心の高まり

・気候変動等により水量減少・水質悪化が懸念される水資源への関心の高まり

・水処理にあたり、強度を増すために使用するシートである分離膜支持体の提供

・製紙事業で培った排水処理技術を活用した水処理事業の検討

 

 

 

(3) 人的資本及び多様性に関する事項

① 戦略に関する事項

当社グループは、「北越グループ企業理念」のもと、「北越グループダイバーシティ基本方針」、「多様性の確保のための人材育成及び社内環境整備方針」及び「北越グループ人材育成方針」に則り取り組みを推進しております。

人的資本経営を推進することにより、人材の確保と育成を加速させ、グループ全体の競争力強化を図ることをサステナビリティ活動推進目標として定め、人的資本及び多様性に関する取り組みを推進しております。

 

北越グループダイバーシティ基本方針

 

当社グループは、グループ企業理念において、「人間本位の企業」として人の多様性を尊重し、人を活かすというビジョンを、また、グループ行動規範においても、各国・地域の文化・宗教・慣習等を尊重し、価値観の多様性を理解したうえで行動することを共有しています。

これらの基本認識に基づき、事業環境の急激な変化に応じて事業ポートフォリオの転換やイノベーションを迅速に推進するために、その原動力となり得る中核人材の登用等における多様性の確保により企業価値の持続的な向上を目指します。

 

 

多様性確保のための人材育成及び社内環境整備方針

 

性別や国籍に関わらず、社員一人ひとりが自らのキャリアを主体的に形成することによって、個人のモチベーション向上と組織の活性化を図るとともに、社員の自主性とチャレンジ精神を尊重した人材育成により、多様な人材の活躍を支援し、働きやすい会社風土の醸成を目指します。

勤務制度の改定による柔軟な働き方の実現および育児・介護などの事由を抱える社員に向けた両立支援制度の拡充、健康経営の推進により、多様性確保のための環境整備を行い、仕事と生活の調和を目指します。

 

 

北越グループ人材育成方針

 

北越グループは、「世界の人々の豊かな暮らしに貢献する」というミッションを果たすため、イノベーションを追求し、技術力を高め、「最高のものづくり」を担う人材を育成します。

 

求める人物像

 

 

・はじめの一歩を踏み出す

・現場・現物・現実を見て原理・原則で考え問題を解決する

・周りを巻き込みチームで成果を出す

 

人材育成のための社内環境整備

 

 

・人材育成を目的とした評価制度の導入

・階層別研修(新入社員、中堅リーダー、係長層、新任管理職、管理職層)

・自律的な学びとキャリア形成の支援

(自己啓発通信教育支援、海外トレーニー、MBA取得、公的資格・免許取得支援、キャリアデザイン研修など)

 

 

② 指標及び目標

指標及び目標については「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ共通 ②戦略に関する事項」の表内「(S)社会 ⑤人的資本経営の実現」の欄に記載しております。

2025年度活動実績については「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ共通 ④指標及び目標」の表内「(S)社会」の欄に記載しております。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」といいます。)に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクと対応の状況は、以下のとおりであります。

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(特に重要なリスク)

(1)製品需要及び価格の変動について

当社グループは、紙パルプ事業及びパッケージング・紙加工事業を主力事業としており、景気後退や需要構造の変化等による需要減少の影響を受けることがあります。また、当社グループの製品は市況商品の割合も高いため、経済情勢の変動に伴い製品価格が変動するリスクがあります。これらの製品需要及び価格変動が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、「中期経営計画 2030」において「事業ポートフォリオシフトの加速」、「競争力強化による優位性の確立」及び「サステナビリティ経営による価値創造」を基本方針に掲げ、更なる事業基盤強化による収益拡大に向け取り組んでおります。

 

(2)原燃料市況の変動について

当社グループは、主として木材チップ、古紙、薬品、ガス、重油等の原燃料を購入しておりますが、ロシア・ウクライナ問題、中東情勢の緊迫化などの国際情勢の変化に端を発する国内外の市況変動により、物流費用や原燃料等購入価格が変動するリスクがあります。その結果、これら原燃料費等の価格変動が当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、「北越グループ原材料調達基本方針」を踏まえて、サプライヤーの多様化等により有利購買、安定調達に努めております。

 

(3)海外の政治、経済情勢の変動について

当社グループは、木材チップ、重油等の原燃料の多くを海外から調達しております。また、カナダ、フランスで紙パルプ事業を、中国で紙加工事業を展開しております。中東情勢の緊迫化などの現地の政局や経済情勢の変化による原燃料確保の困難な状況や価格の乱高下、または現地政府による規制や政治不安等による経済環境の悪化等のリスクがあり、それらが発生した場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、海外子会社では、現地弁護士やコンサルタント等のアドバイスに基づき法改正等に対する迅速な対応を行うことでリスクを軽減する体制を構築しております。

 

(4)法規制及び訴訟等について

当社グループは、環境関係法令、公正取引関係法令、安全衛生関係法令、労働関係法令その他の各種法令等の適用を受けており、これらの改正等に適切に対応するため、追加の費用が発生する可能性があります。また、訴訟等のリスクに晒される可能性がないとは言えません。それらが発生した場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは「北越グループ企業理念」及び「北越グループ行動規範」を制定し、当社グループ全社員に対し、法令・定款の遵守は勿論のこと、社内規程の遵守も徹底しております。

 

(5)設備投資について

紙パルプ産業は装置産業であり、当社グループでは、生産コストの削減、品質向上、効率化等を目的とした設備投資を行っており、多くの有形固定資産を保有しております。設備投資の決定は、製品市場の需給予測など当社グループの慎重な分析に基づいております。しかし、将来的な事業環境の急激な変化等により、固定資産の価値が予想以上に減少した場合、減損処理が必要となり、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。そのため、設備投資後も市場動向を常に注視し、最適な生産体制を維持する努力を続けております。

 

 

(6)自然災害・設備トラブルについて

地震、洪水、台風、大雪等の自然災害、事故やテロ、突発的な設備トラブルの発生等のような予測不可能な事由により、当社グループの生産設備が大きな損害を受け、生産の継続が困難になるとともに、公共交通機関や公共道路の断絶等によるサプライチェーンの寸断等が発生し、復旧に多大な時間と費用が掛かるに至った場合には、当社グループの企業業績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは日常の保全体制の継続と設備トラブル発生時に適用される各種損害保険の付保や「緊急事態対応規程」に基づくBCP(事業継続計画)及び「緊急事態対応基準」等を策定しており、自然災害をはじめとした緊急事態に対処する態勢をとっております。

 

(7)気候変動について

気候変動による地球温暖化や異常気象は、干ばつや森林火災、集中豪雨、大型台風、土砂災害などをもたらす原因となり、木材原料やその他の原材料の調達に影響を及ぼすほか、当社グループの所有する森林資産の価値を棄損する等のリスクになります。また、当社グループのみならずサプライチェーンが被害を受けることにより様々な事業活動に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは従来から気候変動リスクを低減するため、バイオマス燃料などへの燃料転換の設備投資を進め、率先して温室効果ガスの発生削減に取り組んでおり、TCFDに基づきリスクや機会を経営戦略に反映して、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする環境経営を推進しております。こうした取り組みの結果、2025年度、国際的な非営利団体CDPより、「気候変動」の分野において「A-」、「フォレスト」の分野において「A」、「水セキュリティ」の分野で「A」の評価を獲得しました。

 

(8)情報セキュリティについて

当社グループは、特に重要な業務システムをプライベート・クラウド上に構築し情報セキュリティ上のリスクを低減しております。しかし、それらにサイバー攻撃等による情報セキュリティ事故が発生した場合、業務遂行に支障をきたし、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは「北越グループ情報セキュリティ基本方針」を定め、リスクの特定とその低減・回避・移転策を実施しています。具体的には、役職員に対する教育及び標的攻撃型メール訓練、IT・OT(Operational Technology)環境を対象としたセキュリティ脆弱性診断及び対策、コンピューター端末・サーバー上での不正なプログラムの実行を阻止するアプリケーションの導入等を実施し、ウイルス感染やサイバー攻撃によるシステム障害、社外への情報漏洩の防止に努めております。また、グループ各社の守るべき情報資産のバックアップ体制の構築、またサイバー保険への加入等により、インシデント発生時の緊急対応体制の整備も図っております。

 

(9)人材の確保について

昨今の少子高齢化等による労働力不足により、人材の確保が困難となる可能性があります。また、労働環境の悪化や職場の安全衛生管理上の問題、従業員のモチベーションの低下等により、労働生産性の悪化、更には人材流出につながる可能性があります。それらが発生した場合には、当社グループの営業活動等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは、「北越グループダイバーシティ方針」及び「北越グループ人材育成方針」に則り、新規採用、経験者採用、多様な人材の採用及び確保並びに働きやすい会社風土の醸成及び仕事と生活の調和のための施策等、人的資本経営の推進を進めております。

 

(10)労働安全衛生について

当社グループでは、抄紙機をはじめ多数の生産設備を保有しており、重篤な労働災害が発生した場合、生産活動等に支障をきたし、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、安全と健康が経営の根幹であることを基本とした「北越グループ安全衛生基本方針」を掲げ、その実現に向けて、安全衛生活動「hSA25」に沿って「安全人材育成」、「設備安全の推進」、「安全管理のしくみ構築」を維持、強化することにより、安全衛生パフォーマンスのさらなる向上を目指しています。

 

 

(11)企業買収等について

当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を十分に理解したうえで、当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益を中長期的に確保し、向上させる者でなければならないと考えております。しかしながら、株式の大規模買付行為等の中には、経営を一時的に支配して当社の有形・無形の重要な経営資産を大規模買付者又はそのグループ会社等に移譲させることを目的としたものなど、当社の中長期的な企業価値ないし株主の皆様共同の利益を棄損するものがあります。そのため、当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益を毀損する大規模買付行為等を行おうとする者に対しては、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努めるなど、会社法、金融商品取引法、企業買収における行動指針その他関連法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。

 

(重要なリスク)

(12)株価の変動について

当社グループは、取引先を中心に株式を保有しておりますが、市場性のある株式については、各種要因による株価の変動により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、特に政策保有株式の保有による企業価値向上効果やリスクについて、毎年取締役会で検証しております。

 

(13)為替変動について

当社グループは、製品輸出取引、原燃料輸入取引及び海外子会社の業績において為替変動の影響を受けることがあります。この為替変動が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を回避するため、一部為替予約によるリスクヘッジを実施しております。

 

(14)金利変動について

当社グループは一定の有利子負債を有しており、今後の市場金利上昇は、当社グループの経営成績や投資戦略等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、グループファイナンスの実施等、グループ資金の効率化に努めております。

 

(15)連結子会社の内部統制について

当社グループは、国内の他、カナダ、フランスで紙パルプ事業を、中国で紙加工事業を展開しております。

国内外連結子会社における内部統制に予期せぬ脆弱性があった場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。そのため、当社の内部監査部門であるグループ統制管理室による管理下で、経営から独立した専任の内部監査人の設置、海外連結子会社においては内部監査部門の設置または現地の専門コンサルタントによるアドバイザリー業務の実施等により、内部統制の強化を図っております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当社グループにおきましては、世界的なパルプ市況の軟化や、国内洋紙の内需減退の継続及び輸出市況の軟化による販売数量の減少等により、減収減益となりました。当社グループの当期における業績は以下のとおりです。

売  上  高

287,736

百万円

(前連結会計年度比

5.9%減

)

営 業 利 益

7,539

百万円

(前連結会計年度比

61.8%減

)

経 常 利 益

11,271

百万円

(前連結会計年度比

39.9%減

)

親会社株主に帰属する当期純利益

7,299

百万円

(前連結会計年度比

53.0%減

)

 

 

主なセグメント別の経営成績は、下記のとおりであります。

 

 紙パルプ事業

紙パルプ事業につきましては、洋紙・パルプの販売数量減少により、減収減益となりました。

品種別には、洋紙につきましては、国内販売は、需要の減少が継続していることにより、塗工紙等を中心に販売数量は減少し、輸出販売においても販売数量の減少と販売価格の低迷により減収となりました。

板紙につきましては、価格改定を実施したことにより増収となりました。グレード別には、特殊白板紙は、価格改定を実施したものの、需要低迷により販売数量が減少し、減収となりました。高級白板紙は、トレーディングカード用途の需要が堅調で、新規案件の受注もあり販売数量が増加し、価格改定を実施したことも加わり、増収となりました。コート白ボールは、食品・菓子向けは需要低迷により、販売数量は減少したものの、拡販努力と価格改定を実施したことにより、増収となりました。段ボール原紙は、採算性の高い薄物強化芯等の拡販により、販売数量は増加し、増収となりました。

機能材につきましては、機能紙分野においては、電子部品搬送用のチップキャリアテープ原紙は、自動車やAI関連需要の続伸で販売数量が増加し、特殊紙・情報用紙分野においては、主に輸出販売におけるタック関連等加工原紙等で販売数量が増加したことにより、増収となりました。

パルプにつきましては、海外市場におけるパルプ価格の下落及び販売数量の減少により、減収となりました。

以上の結果、紙パルプ事業の業績は以下のとおりとなりました。

売上高

261,384

百万円

(前連結会計年度比

6.7%減

)

営業利益

5,963

百万円

(前連結会計年度比

67.3%減

)

 

 

 

 パッケージング・紙加工事業

パッケージング・紙加工事業につきましては、液体容器の価格改定及び販売数量の増加等により、増収増益となりました。

 この結果、パッケージング・紙加工事業の業績は以下のとおりとなりました。

売上高

17,437

百万円

(前連結会計年度比

4.7%増

)

営業利益

558

百万円

(前連結会計年度比

144.0%増

)

 

 

 その他

木材事業、建設業、運送・倉庫業、古紙卸業をはじめとするその他事業につきましては、主に建設業において外部受注が増加したことにより、増収となりましたが、損益面におきましては、運送・倉庫業のコストアップにより、減益となりました

この結果、その他事業の業績は以下のとおりとなりました。

売上高

8,914

百万円

(前連結会計年度比

1.1%増

)

営業利益

647

百万円

(前連結会計年度比

24.4%減

)

 

 

総資産は、前連結会計年度末に比べて1,691百万円増加し、420,574百万円となりました。これは主として、現金及び預金2,478百万円電子記録債権2,118百万円商品及び製品2,533百万円原材料及び貯蔵品3,860百万円、有形固定資産が6,183百万円投資有価証券38,058百万円退職給付に係る資産7,643百万円それぞれ増加した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産3,198百万円関係会社株式59,971百万円それぞれ減少したことによるものであります。

負債は、前連結会計年度末に比べて14,814百万円増加し、167,827百万円となりました。これは主として、有利子負債が8,377百万円繰延税金負債6,529百万円それぞれ増加したことによるものであります。

純資産は、前連結会計年度末に比べて13,122百万円減少し、252,747百万円となりました。これは主として、その他有価証券評価差額金9,477百万円退職給付に係る調整累計額3,595百万円それぞれ増加した一方で、自己株式6,512百万円、持分法適用会社の持分法適用除外及び資本剰余金への振替等により利益剰余金が29,032百万円減少したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べて1,272百万円増加し、26,421百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は10,192百万円(前連結会計年度比75.1%減)となりました。

収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益11,525百万円減価償却費13,833百万円、売上債権の減少額1,842百万円、利息及び配当金の受取額2,833百万円、支出の主な内訳は、退職給付に係る資産の増加額7,635百万円、棚卸資産の増加額5,406百万円、法人税等の支払額6,013百万円であります。

投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果使用した資金は3,279百万円(前連結会計年度は18,816百万円の支出)となりました。

支出の主な内訳は、定期預金の預入による支出2,381百万円投資有価証券の取得による支出2,984百万円有形固定資産の取得による支出16,690百万円、収入の主な内訳は、投資有価証券の売却による収入7,387百万円関係会社株式の売却による収入12,331百万円であります。

財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果使用した資金は6,254百万円(前連結会計年度は19,121百万円の支出)となりました。

収入の主な内訳は、長期借入れによる収入18,205百万円社債の発行による収入15,000百万円、支出の主な内訳は、短期借入金の減少額7,202百万円長期借入金の返済による支出17,599百万円配当金の支払額4,051百万円自己株式の取得による支出10,986百万円であります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、その内容、構造、形式等は必ずしも一様ではありません。このため、セグメントごとの生産高を表示することは困難であります。そこで、紙パルプ事業の主要生産会社である当社及びAlberta-Pacific Forest Industries Inc.の当連結会計年度における主たる品種別生産実績を示すと、次のとおりであります。

 

区分

生産高(t)

前年同期比(%)

洋紙

1,013,587

97.4

板紙

362,649

98.7

合計

1,376,236

97.7

パルプ

1,454,880

97.6

 

 

b. 受注実績

当社グループは、一部受注生産を行っているものもありますが、大部分は一般市況及び直接需要を勘案して計画生産を行い、自由契約に基づき販売しております。このため、グループ会社の受注実績を把握することが困難であります。そこで、受注実績については記載を省略しております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

紙パルプ事業

261,384

93.3

パッケージング・紙加工事業

17,437

104.7

その他

8,914

101.1

合計

287,736

94.1

 

 

(注)  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

新生紙パルプ商事㈱

36,669

12.0

35,230

12.2

国際紙パルプ商事㈱

19,419

6.4

18,611

6.4

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
 
a.経営成績の分析

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2025年3月期)

当連結会計年度

(2026年3月期)

連結業績予想

(2026年3月期)

売上高

305,718

287,736

292,000

営業利益

19,727

7,539

8,000

経常利益

18,759

11,271

10,000

親会社株主に帰属する当期純利益

15,529

7,299

6,000

 

 

当連結会計年度においては、パルプ市況の世界的な軟化に加え輸出販売の数量減少や価格低下により、過去最高売上高を記録した前年からは減収となり、海外売上高比率も34.4%に減少いたしました。

利益においては、生産効率改善の他、原燃料価格低下がありましたが、上記事由による減益影響や固定費増加により、営業利益は減益となりました。経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、持分法による投資利益を計上したものの、営業利益の減益影響が大きく、減益となりました。

なお、上表記載の連結業績予想(2025年10月28日開示)との比較においては、売上高はパルプ販売の数量減少や価格低下により乖離しましたが、営業利益は生産効率改善や原燃料価格低下があり概ね連結業績予想並みの結果となりました。経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は持分法による投資利益の増加等により連結業績予想を上回りました。

 

b.財政状態の分析

当連結会計年度末の流動資産合計は、現金及び預金及び棚卸資産が増加し、9,844百万円増加しました。固定資産合計では、減価償却費を上回る設備投資を実施した一方、関係会社株式を売却したことで投資その他の資産が減少し、8,152百万円減少しました。

負債合計は、有利子負債や繰延税金負債が増加したことにより、14,814百万円増加しました。純資産合計においては、自己株式の取得や持分法適用会社の持分法適用除外等により13,122百万円の減少となりました。

以上により、財務健全性指標の一つである自己資本比率は59.9%と前連結会計年度より3.4ポイント低下しておりますが、財政状態の健全性は引き続き維持できているものと認識しております。

 

c.キャッシュ・フローの分析

営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、税金等調整前当期純利益の減少及び法人税等の支払い増加により、前連結会計年度から30,739百万円減少し10,192百万円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、各種設備投資を実施した一方、関係会社株式の売却収入により3,279百万円の支出に抑えられました。財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債は増加したものの、自己株式取得の支出や配当金の支払いにより、6,254百万円の支出となりました。以上から、現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度から1,272百万円増加の26,421百万円となっております。

 

d.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの取扱商品は市況商品が多く、需給動向や市場価格等の影響を大きく受けます。国内印刷情報用紙事業においては、構造的な需要減退が継続しており、市販パルプ事業は、世界的な需給バランスに加え、投機的な市場価格形成の影響が発生することから、大きな価格変動が生じます。

当社グループが購入している原燃料につきましても市況商品が多く、価格変動リスクに晒されております。また国内事業においては輸入原燃料を多用しており、為替変動リスクだけでなく、各国の通商政策や地政学的リスクも、当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

かかる認識の下、当社グループは事業ポートフォリオシフトに注力しており、取扱商品及び販売市場の拡充及び分散、特に輸出を含めた海外売上高比率の向上等による為替リスク軽減等に努めております。

 

e.当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、事業活動に必要な流動性の安定確保と財務健全性の維持を基本方針としております。コマーシャル・ペーパーや長期社債発行等による直接調達及び金融機関借入等による間接調達を活用し、機動的かつ分散調達により安定的な財務基盤を確立しております。

運転資金につきましては主にコマーシャル・ペーパーや短期借入金にて調達しており、いずれも調達枠には十分な余力を有しています。また、設備投資等につきましては主に長期社債、長期借入金等にて調達し、市場環境を鑑みながら調達手段を選択しております。

安定的な財務基盤の指標の一つとして、有利子負債残高から現預金残高を差し引いた後のネット有利子負債残高を自己資本にて除したネットD/Eレシオを用いております。ネットD/Eレシオは一定水準以上であり、財務健全性は維持できております。なお、当社グループでは財務健全性を維持しつつ、有利子負債の有効活用により、財務レバレッジの改善に努め、資本コスト低減を進めてまいります。

 

 

(単位:百万円)

 

2025年3月

(前期)

2026年3月

(当期)

有利子負債残高

88,972

97,350

現預金残高

27,644

30,123

ネット有利子負債残高

61,328

67,227

自己資本

265,052

251,816

ネットD/Eレシオ

0.23倍

0.27倍

 

また、円滑な資金調達を継続するために株式会社格付投資情報センター(以下、「R&I」といいます。)及び株式会社日本格付研究所(以下、「JCR」といいます。)から格付を取得しており、下記格付の維持向上に努めてまいります

 

R&I

JCR

短期格付

a-1

(長期)発行体格付

 

 

f.当社グループの経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、全てのステークホルダーと共に持続的な成長を目指し、企業価値を向上させるために2030年を目標とする長期経営ビジョン「Vision 2030」を2020年5月に策定いたしました。その企業グループイメージの実現に向けた第2ステップとして、2023年4月より「事業ポートフォリオシフト」「競争力強化」「サステナビリティ(ESG)活動推進」を基本方針とした「中期経営計画 2026」に取り組んできました。最終年度となる当連結会計年度は中期経営計画には届きませんでしたが、前連結会計年度における営業利益は197億円を計上しており中期経営計画を概ね達成いたしました。

 

 

(単位:億円)

 

中期経営計画 2026

(2026年3月期)

2026年3月期

(実績)

売上高

3,300

2,877

営業利益

200

75

経常利益

240

112

親会社株主に帰属する当期純利益

200

72

ROE

8.0%

2.8%

EBITDA

390

261

 

 
2026年4月からは「事業ポートフォリオシフトの加速」「競争力強化による優位性の確立」「サステナビリティ経営による価値創造」を基本方針とした「中期経営計画 2030」をスタートしております。本計画は長期経営ビジョン「Vision 2030」の実現に向けた最終ステップとなる重要な計画と認識しております。

基本方針1つ目として、持続的成長に向け戦略投資による新規事業開拓の他、パッケージング事業拡大、白板紙再構築、輸出拡大を柱に事業構造の転換を加速します。基本方針2つ目は、既存事業の基盤強化と環境事業の推進を柱に収益を追求します。基本方針3つ目は、環境経営戦略の実践、人的資本経営、コーポレートガバナンス強化を経営へ直結させることで企業価値の最大化を図ります。

上記基本方針に掲げる環境関連については、2021年に制定した「北越グループサステナビリティ基本方針」の下、「北越グループ ゼロCO2 2050」に挑戦すると共に、長期的な重要課題に積極的・能動的に取り組んでおります。2025年はCDPスコアにおいて、フォレスト分野に加え水セキュリティ分野でも最高評価のA評価となり、気候変動分野のA-評価と共に全ての分野で最上位のリーダーシップレベルを獲得いたしました。また、CCS事業につきましては、東新潟地域における事業の実現を目指しております。引き続き、サステナビリティ推進本部を中心に環境課題への対応を含めたサステナビリティ活動を推進し、企業価値の向上を図ります。

 

また、2024年5月に大王製紙㈱と戦略的業務提携を開始以降、生産技術、原材料購買、製品物流の各分野において積極的に活動しており、2年目となる当連結会計年度においても提携効果を発現し、収益改善に寄与しました。2026年3月には戦略的業務提携を深化させるべく、戦略的業務提携に関する覚書を締結しました。取り得る施策の具体的な範囲を拡大し、中長期的な企業価値向上に資する取り組みを推進してまいります。

 

g.主なセグメント別の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
紙パルプ事業のセグメント売上高は261,384百万円と前連結会計年度比6.7%の減少となり、セグメント利益は5,963百万円となりました。

当該セグメントの売上高は連結売上高の90.8%を占めております。また当該セグメントの資産は総資産の94.4%を占め、当該セグメントの財政状態及び経営成績が連結財政状態及び経営成績に大きな影響を与えるものと考えております。

当連結会計年度においては、国内での紙需要減退による販売数量減少に加え、輸出市況の弱含みから販売数量は減少し、紙販売数量合計は前年を下回りました。また、国内販売価格については、洋紙は前年に改定した価格を維持し、白板紙は価格改定により上昇しましたが、洋紙輸出販売価格についてはドル建値低下と円高進行により低下しました。利益面では、生産効率改善に努め、円高進行や原油価格低下による原燃料価格低下のコストダウンもありましたが、販売数量減少及び販売価格低下の影響が大きく減益となりました。

カナダにおける市販パルプ事業では、世界的なパルプ市況軟化による販売数量及び販売価格の低下に加え、修繕費負担が増加する年度だったことから、減収減益となりました。

2026年4月には、事業環境の大きな変化に対応するため、新たに洋紙輸出営業本部を新設し、国内事業と海外事業の競争力強化を同時に推進する体制を再構築しました。米国市場の販売強化やカスタマイズ商品への対応を図り、洋紙販売数量における輸出比率及び当社グループの海外売上高比率を高めてまいります。

当該セグメントの売上高及び収益力を安定かつ強化するべく、引き続き事業ポートフォリオシフトに取り組んでまいります。

 

パッケージング・紙加工事業のセグメント売上高は17,437百万円と前連結会計年度比4.7%の増加となり、セグメント利益は558百万円となりました。

当該セグメントの国内事業においては、液体容器の価格改定や食品一次容器の新規受注増加等から増収となりました。利益面では、上記事由や加工設備増強による外注加工費減少等により、増益となりました。また、中国における紙加工事業においては、有利品種の販売増加や生産コスト削減に取り組んだことにより増収増益となりました。引き続き、紙パルプ事業セグメント内の板紙事業と連携し当社グループの素材開発・原紙生産から製品まで一貫生産できる強みを活かし、需要増加が期待される紙容器・包材等のパッケージング事業に注力してまいります。

 

その他事業のセグメント売上高は8,914百万円と前連結会計年度比1.1%の増加となり、セグメント利益は647百万円となりました。

当該セグメントは木材事業、建設業、輸送・倉庫業、古紙卸業等の多岐に亘っております。主に建設業において外部受注が増加したこと等から増収となりましたが、物流費等のコスト上昇により減益となりました。引き続き、当社グループが有する経営資源の有効活用を目的に安定した利益確保に努めてまいります。

 

② 次期の見通し

我が国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果により緩やかな回復の継続が期待されるものの、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格高騰と原油由来製品の供給不安により景気変動リスクが増大しており、先行きの不確実性は高まっております。

次期の見通しにつきましては、輸出販売の数量増加を計画し、パルプ市況回復による販売数量増加及び価格上昇により、売上高は増収を見込んでおります。利益面では、上記事由による増益が見込まれるものの、原油高及び円安による原燃料価格上昇のコストアップ影響が大きく、減益を予想しております。

当社グループは、「北越グループサステナビリティ基本方針」に掲げる持続可能な社会の実現に貢献すべく、新たにスタートさせた「中期経営計画 2030」の基本方針に則した事業活動を推進し、企業価値向上を目指してまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。  

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【重要な契約等】

(1)戦略的業務提携基本契約

契約会社名

相手方の名称

契約締結日

契約内容

契約期間

北越コーポレーション㈱

大王製紙㈱

2024年5月15日

戦略的業務提携
生産技術、原材料購買、製品物流に関する協業等

2024年5月15日から
5年間(以後1年毎の自動更新規定あり)

 

 

(2)戦略的業務提携に関する覚書

契約会社名

相手方の名称

契約締結日

契約内容

契約期間

北越コーポレーション㈱

大王製紙㈱

2026年3月18日

戦略的業務提携の深化

 株式譲渡に関する制限

 株式買増に関する制限

(1)戦略的業務提携基本契約と同じ。

 

 

当社は、2024年5月15日付で大王製紙㈱との間で締結した戦略的業務提携基本契約書に関連して、2026年3月18日開催の取締役会において、当社と大王製紙㈱が対等な資本関係を構築することで戦略的業務提携において取り得る施策の範囲を拡大し、両社の更なる企業価値向上を目指すことを目的とした戦略的業務提携に係る覚書締結について決議し、同日付で覚書を締結いたしました。

戦略的業務提携の趣旨を実現させるため、本覚書にて、当社と大王製紙㈱は、相互に各取引を経て保有する相手方の株式について、相手方の書面による承諾がない限り譲渡その他の処分を行わないこと、及び、相互に相手方の書面による承諾がない限り、相手方の株式を追加で取得しないことについて合意しております。なお、戦略的業務提携の趣旨を実現するためのものであることから、ガバナンスへの影響は軽微であると判断しております。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発部門は、生産技術本部下にある研究所と機能材営業本部下にある商品開発室を中心に構成されております。また、カップ事業推進室も紙容器や軟包材関連製品の新規採用にも注力しております。生産技術本部はこれらの研究開発活動を総括し、生産技術部が営業部門や工場の製造部門及び研究所と緊密な連携をとり、お客様の要望に直結した新製品開発を行っております。

紙パルプ事業及び新規分野の研究開発活動の項目は以下のとおりであります。

  (セグメント別では、紙パルプ事業の占める割合が大きいため、その他のセグメントについては省略しております。)

 

(1) 洋紙及び白板紙分野

洋紙分野では、カップ用途など紙器用途の開発、生産を積極的に行っており輸出向けに加えて国内向けの採用案件も増加しております。また新潟、紀州両工場の設備特性を活用した感熱用紙やタックシール紙等の加工原紙の開発にも注力し、国内外で新たに採用いただきました。今後も新規品種開発、並びにその要求特性に応じた設備対応を積極的に実施してまいります。

白板紙分野でも、印刷情報及び紙器用途に加え、食品容器、トレーディングカード用途の拡充を図るべく開発を進めております。紙器用途で培った製品設計、生産技術を応用し、加工適性等で好評を得ております。白板紙としては、古紙入手難等課題はありますが、関東工場の立地を活かしつつ、持続可能な生産体制を構築し、安定供給と他社に負けない品質づくり、コストダウンに注力し、競争力強化に努めてまいります。

(2) 機能材分野

機能紙分野では、マイクロチップ向けチップキャリアテープ原紙、逆浸透膜(RO膜)支持体の品質改善及び新規開発に取り組むと共に、需要に応じた生産体制の構築を継続しております。また、濾過・分離分野においては、ノンフッ素、生分解性のフィルタの開発を進めております。特殊紙分野では、金属合紙の品質改善と拡販を進め、また、環境に配慮した紙素材の開発として、ノンフッ素耐油紙をはじめとした食品向け包材・容器、透明紙、フック・ハンガー等、分野を問わず取り組んでまいります。

(3) 段ボール原紙分野

段ボール原紙分野では、製品品質の安定と供給体制の拡充を図ると共に、薄物の拡充を図り、国内外での採用案件が増加しています。新潟工場6号機の特性を生かし、中芯用途以外の未晒紙のニーズにもお応えできるように、製品開発を継続推進してまいります。

(4) 新規開発分野

研究所では、環境負荷の低減を重要課題と位置づけ、空気、水、脱プラスチック、生分解、ノンフッ素等をキーワードとする環境面に配慮した新製品開発に取り組んでおります。特に注力している開発は、ULPA、HEPAに代表される国内屈指の高性能エアフィルタ濾材及び逆浸透膜(RO膜)支持体、脱プラスチック紙基材分野であります。フィルタ分野においては、フィルタ製品のPFASフリー化のほか、低圧損高効率フィルタ、多層フィルタ、生分解性フィルタ等、市場の変化や顧客ニーズを反映した開発に取り組んでおります。逆浸透膜(RO膜)支持体は、既存製品の市場競争力強化を進めるとともに同技術を応用した新たな製品の市場展開を進めております。脱プラスチック紙基材分野では、ポリエチレンラミネートを使用していない水系塗工液を塗布した紙基材「パンセ」の用途拡大を進めると共に、バリア性を付与した紙基材、ノンフッ素耐油紙等、環境に配慮した製品の開発及び上市を進めております。今後も環境への配慮と機能性強化の両立を目指し、新規製品開発に注力してまいります。

商品開発室では、ナノセルロースやナノカーボンなどの先端素材の応用から、既存紙素材の新商品化まで幅広い領域で活動しております。ナノカーボンを用いた電磁波ノイズ抑制シートは、幅広い周波数帯に対応しており、産業用機器、通信機器、電子機器での採用及び評価が進んでおります。さらに、紙づくりの技術を活用して新たに開発した電波吸収体は、軽量、耐熱性、難燃性を特長としており、新たな製品分野への展開が進んでいます。国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙探査イノベーションハブの第13回研究提案募集において、東北大学、タツタ電線、当社の電波吸収体に関する共同提案が採択され、2026年度より本格的な研究開発を開始しています。当室では、オープンイノベーションを通じて革新的な材料開発を推進し、地上から宇宙まで幅広い電磁ノイズ問題の解決に貢献してまいります。紙素材分野においては、特殊包材や工業用紙などの特殊紙分野の開発を推進すると共に、コーティング技術によるカップ・トレイの高機能化にも取り組んでいきます。北越パッケージ㈱や既存商流との連携を通じて、ニーズ・シーズ双方の視点から製品開発を進めてまいります。

当連結会計年度の当セグメントにおける研究開発費は884百万円であります。
 なお、パッケージング・紙加工事業における研究開発費は20百万円であり、パッケージング・紙加工事業等を含めた全セグメントの研究開発費は904百万円であります。