文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、永続的発展のため、ひたむきに人を大切にしたものづくりに努め、国際競争を勝ち抜く、強い企業創りを目指しております。
その実現のため、経営理念に“愛され信頼される企業に”を第一に掲げ、コンプライアンスに徹し、真摯で誠実な企業活動を旨として、品質第一主義と弛まざる技術革新で顧客満足を希求するとともに、地域社会との共存共栄を図ってまいります。さらに企業の社会的責任の視点に立って、環境と社会に貢献し、向上心あふれる働きがいのある会社づくりに励み、企業価値を高めてまいります。
(2) 目標とする経営指標
① 2025年度までに、営業利益40億円、ROE5%の収益を確保します。
② 製造工程における化石燃料由来のCO₂排出量を2030年度までに2013年度比50%削減することを目標として掲げ、達成に向けて取り組んでまいります。
(3) 会社の経営戦略
当社グループは、2030年に目指す姿を「ビジョン2030」として掲げており、既存事業の発展・環境ビジネスの発展・イノベーションにより、森林資源の有効活用を通した循環型社会の構築と、持続可能な未来の実現に取り組みます。またカーボンニュートラル社会の実現に向けて、事業活動におけるCO₂排出量削減の新たな目標に向けた取り組みを進めています。
「ビジョン2030」の実現に向けて、「既存事業の構造転換」「森林資源を活用した環境投資・環境ビジネス推進」を柱とした「中期経営計画2025」の取り組みを進めています。
「既存事業の構造転換」では、グラフィック用紙の需要減少への対応として高岡工場6号抄紙機の停機による印刷情報用紙の生産集約を図ります。また、コロナ禍で高まった家庭紙分野の需要は今後成長が期待できる分野であることから家庭紙分野へ新規参入します。さらに事業領域拡大としてパルプの増産、販売強化に取り組みます。グループ事業においては、他社商権の譲受による販路拡大、文具事業の整理など選択と集中による収益力の強化を目指します。
「森林資源を活用した環境投資・環境ビジネスの推進」においては、新素材CNF実用化の加速や、脱プラスチックへの対応として新素材マプカを製造する中越エコプロダクツ事業の早期事業化を目指します。また、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、新たなバイオマス発電設備の設置、既存ボイラーの脱石炭、植林事業の検討を進めます。
(4) 会社の対処すべき課題
新型コロナウイルス感染症も終息に向かい、消費の回復が期待される一方で、長期化するウクライナ情勢や欧米や中国の景気後退懸念など、様々なリスクが事業環境に影響をおよぼすことが予測され、予断を許さない状況が続く見通しです。このような情勢の変化にも耐えうる安定した収益基盤を構築すべく、以下の諸施策についてグループを挙げて取り組んでまいります。
① 収益基盤の強化
・紙製品の販売強化
新規販路の開拓に取り組むとともに、生産品目を見直し、不採算品種から優利品種への置き換えによる販売製品構成の改善を図ることで、収益確保に努めます。
・原材料調達コストの削減
海外産木材チップと比べ価格的に優位である国内産木材チップの集荷を増やし、製紙工程で使用する諸資材の原価改善を図ることでコスト削減を推進します。
・安定操業と製造コストの削減
安定操業のもと、製造工程における効率改善や新たなコストダウン策の検討により製造コストの圧縮に努めます。
・物流について
物流業界の2024年問題に対し、製品および原材料の安定輸送体制の構築に努めます。
② 中期経営計画の取り組み
当社グループは、2030年に目指す姿を掲げた「ビジョン2030」と、その実現のために収益目標と環境目標を定めた「中期経営計画2025」を策定し、達成に向けて取り組んでいます。
「中期経営計画2025」では、収益目標については「2025年度までに営業利益40億円、ROE5%以上」、カーボンニュートラル社会の実現に向けた環境目標については「製造工程における化石燃料由来のCO₂排出量を2030年度までに2013年度比で50%削減」と定め、目標達成に向けて取り組んでいます。2022年度は営業利益2,594百万円、ROE6.1%となり、ROEについては収益目標を達成しました。事業ポートフォリオにおいては、家庭紙や外販パルプなどの紙パルプ事業領域拡大、エネルギー、環境ビジネスの比率増加を図っております。
また、企業価値の向上に向けて、気候変動に関する対応やサステナビリティの取り組みを進めております。昨年6月にはTCFD提言に賛同し、提言に沿って事業への影響の分析と、対応するための体制や活動の強化に努めております。また人材育成、従業員の労働環境への配慮、女性従業員の活躍推進などサステナビリティをめぐる課題へ取り組んでおります。
・既存事業の構造転換
グラフィック用紙の需要減少への対応として、高岡工場6号抄紙機を停機し、川内・高岡両工場の抄紙機へ移抄による生産集約を行うとともに、2023年12月の家庭紙マシン稼働に向けて設置工事を進めております。また、外販パルプ生産体制の強化を図った結果、2022年度は、「中期経営計画2025」計画期間前の2020年度比で大幅な増産となりました。
今後もこれら紙パルプ既存領域以外の拡大に努めてまいります。
・森林資源を活用した環境投資・環境ビジネス推進
プラスチック削減への貢献が期待される新素材「MAPKA®」製造会社の中越エコプロダクツ株式会社は、設備の試運転を開始しました。営業運転は2023年夏頃を予定しております。
再生可能エネルギー関連では、木質バイオマスや再生資源を活用した発電設備の設置を検討しており、2026年度以降の早期稼働に向けて計画を進めています。
既存ボイラーの脱石炭化の取り組みでは、二塚製造部(富山県高岡市)でボイラーの燃料として使用している石炭の使用量を減らし、2020年度比で38%の削減に成功しました。今後さらなる削減に努めてまいります。
その他、新素材CNFの早期実用化や植林事業の検討を進めます。
なお、事業ポートフォリオにおける環境ビジネスの比率については、中越エコプロダクツ事業の営業運転開始などにより、2023年度以降の増加を見込んでおります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは気候変動対応を重要課題の一つとして捉えており、気候変動対応を含む環境全般を管掌する環境管理担当取締役の下、環境管理統括部を事務局とし組織横断的なメンバーで構成される気候変動対応推進グループを2022年6月に設置しました。環境管理担当取締役は気候変動対応の責任者として、グループ会社を含めた全社の気候関連問題を管理しています。重要事項は常務会及び取締役会へ付議・報告し、取締役会による全体的な監督を受けています。

(1) 気候変動に関する戦略
当社グループは、気候変動に関する複数のシナリオを用いて当社の戦略に与えるリスクと機会の影響を分析し、気候関連リスク・機会による事業への影響を評価し、その結果を気候変動戦略として事業戦略に反映することで、気候関連リスクへの対応を進め、また気候関連の機会実現を図っています。当社グループにおける事業戦略への影響または財務的影響をもとに算出した重要なリスク・機会項目は以下のとおりです。

(2) 人的資本の取り組み
当社では経営理念として「愛され信頼される企業に」「環境と社会に貢献する企業に」「向上心あふれる働きがいのある会社に」を示し、永続的に発展していくために、ひたむきに人を大切にしたものづくりに努め、強い企業づくりを目指しております。
人材は創造性を発揮し企業価値を高める源泉であり、当社のビジョン2030で示した「既存事業の発展・環境ビジネスの発展・イノベーションにより、森林資源の有効活用を通した循環型社会の構築と持続可能な未来を実現する」ために、多様な人材の確保と教育や環境の整備を進めております。
①人材育成に関する方針
「人・もの・心」を大切にする人材育成を行い、森林資源の有効利用を通じた循環型社会を構築し、持続可能な未来を実現して参ります。いかなる情勢の変化にも対応し、リスクを吸収できる創造力豊かな人材を育てるため人的資本への投資を行っております。
具体的には、採用した人材に職位・職能毎に必要なスキル・知識を身につけさせる研修制度だけでなく、担当職場での収益改善提案等の論文研修、従業員の自己啓発のための様々な通信教育コースの提供と受講料の一部負担、会社が選定した資格の取得者へ報奨金の支給を行っております。
②社内環境整備に関する方針
継続的に企業価値を向上するためには、多様な人材を確保すること、従業員の個性と能力を十分に発揮できる職場環境を整えていくことが重要な課題と捉えております。
人材の多様性により、様々な視点やアイデアが生まれ、業務の改善や新たな収益基盤創造の可能性が高まると考えております。
労働者不足の対応の観点からも、性別や年齢などに関係なく様々な人材が活躍できる環境や仕組みを整備し、人材が意欲をもって活躍できる生き生きとした組織の構築を進めて行きます。
優秀な人材を確保するため、新卒を対象とした定期採用に加え、即戦力として期待できる中途採用も積極的に行っております。
従業員一人ひとりが働きがいを持って能力を十分に発揮できる様、年に一度、自己申告表(自己評価・希望職場や勤務地・健康状態・今後1年間の目標・会社への要望等を記載)を上司に提出し、上司は部下の1年間の評価表を作成・提示し、部下との1対1での面接で状況の把握と今後1年の目標のすり合わせ等を行っております。
a.安全安心な職場づくりについて
企業価値の向上の大前提には従業員が健やかに働く環境の形成があります。
無事故・無災害を目標に一人ひとりが強い意識を持ち、築き育む安全職場を目指しております。毎月、安全衛生に関する会議の開催と職場パトロールを実施し、労働災害の防止と健康の保持増進を図るとともに快適な職場環境の形成を促進しております。
コンプライアンスミーティングを毎月各職場で行い、ハラスメントは勿論、社会問題になっている案件を各職場で話し合っております。その討議内容・問題点と改善策を内部統制委員が取り纏めた上で内部監査室に報告し、内部監査室長は必要に応じ内部統制委員会で報告するとともに水平展開を図ることで、風通しの良い職場づくりを行っております。また、内部通報制度を設け、コンプライアンス経営の強化を図っております。
毎年、春の健康診断に合わせてストレスチェックを実施し、分析結果は個人が特定されないように各職場の上長にフィードバックされ、健康リスク指数が全国平均を上回る場合は低減させる対策を計画・実施しており、健康リスク指数は安定しております。また、高ストレスと判定された社員本人からの申し出があれば産業医の面談を実施しております。健康診断の受診率は、再検査の2次検診も含め100%となっております。
当社は2008年から社長自らが「健康企業中パ」を宣言し、会社・労働組合・健康保険組合が三位一体となって「健康経営」を推進しており、第1回「健康経営優良法人2017(大規模法人部門)」から「同2023」に至るまで7年連続で「健康経営優良法人」に認定されております。
b.労働時間について
当社では組合員の1か月の時間外労働を法定時間(45時間)を下回る35時間以下とする労使協定を取り交わし、過重労働の防止に努めております。
また、コアタイムの無いフレックスタイム制度を導入し、柔軟な働き方を促進しております。
更に、毎月全従業員の時間外労働を確認し、80時間/月以上の長時間勤務者に対し産業医との個別面談を設定し、会社側は産業医のアドバイスに基づき早急に対処するなど、会社と産業医が連携し従業員を支援しております。
c.ワークライフバランスについて
ワークライフバランスの充実のため、年次有給休暇の取得を奨励し、その取得率は80%程度で推移しております。また、年休取得の推進として、ゴールデンウィーク、年末年始などの大型連休や飛び石連休の合間の平日の一部を年休奨励日として設定し、長期の連休取得を可能にすることにより、心身ともにリフレッシュし労働生産性の向上を図っております。
d.女性活躍の推進について
当社の女性従業員は、家族的な企業風土により、勤続年数は長く、育児休業取得率は100%で推移し、長期的なキャリアを形成しております。
直近5年以内に採用した総合職の約3割を女性が占めており、管理者としての育成を行い、本人の能力や適性を評価した上で、管理職として登用を進めて参ります。
男女間の賃金の公正性・公平性は、各個人の能力・資質に応じた平等性の観点から評価しております。
e.中途採用について
採用環境は、労働人口の減少、コロナ禍からの景気回復に伴う求人の大幅な拡大により、厳しさを増しております。この環境下でも人材の流動性が一定量あることから、操業維持のために中途採用を進めていくことが重要となっております。また、中途採用者には、前職で培ったスキルやノウハウを生かし、新しい視点で当社の組織活性化・生産性向上などへの貢献を期待しております。
f.高齢者雇用について
2025年4月から65歳までの定年延長若しくは定年の廃止、又は65歳までの継続雇用の義務化がなされます。
当社は2013年に再雇用制度を導入しており、厚生年金受給開始年齢まで本人が希望すれば雇用を継続しております。生産労働人口が減少する中、働く意欲のある高齢者を継続雇用することで組織パフォーマンスの維持を図っております。
また、現在、再雇用制度の見直しも含めた定年延長制度について労使で検討を進めております。
気候変動対応推進グループ内の各施設・部門において、気候関連リスクの識別、評価を行います。事務局である環境管理統括部がリスクの管理と低減を指示・推進し、取り組み状況を環境管理担当取締役へ報告します。重要なリスクは環境保全委員会及び環境監査委員会に報告されます。環境管理担当取締役は常務会へ年1回以上報告を行い、結果は全社のリスク・マネジメントプロセスへ統合されます。事業存続に大きく関わる重要なリスクは取締役会に付議・報告し対処していきます。

(1) 気候変動
カーボンニュートラル社会の実現に向け、気候関連リスク・機会を評価する指標としてScope1,2排出量の削減を実施すべく製造工程における化石燃料由来のCO₂排出量を2030年度までに2013年度比50%削減する目標を中期経営計画にて掲げております。
(2) 人材育成
人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針に係る指標について、連結グループに属する全ての会社での記載が困難なため、当社における指標と目標および実績について記載いたします。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 国内需要及び市況の変動リスク
当社グループの売上高の8割を占める紙・パルプ製造事業は概ね内需型産業であり、国内景気の影響を大きく受けます。国内景気の浮沈による国内需要の動向や市況価格の変動により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。紙の国内需要については既に減少傾向にあり、当該リスクへの対応を喫緊の課題として認識して、「中期経営計画2025」で既存事業の構造転換を計画し、家庭紙分野への新規参入やパルプの増産、販売強化に取り組んでおります。
② 原材料購入価格の変動リスク
当社グループはチップ、重油、古紙、薬品などの諸原燃材料を購入しておりますが、それぞれの国際市況、国内市況の変動により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 地球環境に対するリスク
当社グループは、気候変動対策を目的に、化石燃料使用の規制強化やそれに伴うコストの増加、紙をつくる上で、重要な原材料である木材の持続可能ではない調達の規制強化により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 地域環境汚染に対するリスク
当社グループは、環境規制遵守ができないことによる環境保護に関する風評リスク(地域社会との関係悪化に伴う反対運動の発生など)により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 為替レートの変動リスク
当社グループは輸出入取引をしており、このため当該国との取引通貨が為替変動することにより、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 金利の変動リスク
当社グループは、従来よりグループファイナンスによる資金の効率化に取り組んでおりますが、今後の金利の変動によっては経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 災害リスク
天変地異などの自然災害、テロなどの人的災害などによって、当社グループの生産設備に多大な被害を被ることにより、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応としてBCP(事業継続計画)を策定しております。
⑧ 新型コロナウイルス感染症のリスク
世界的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大影響による需要減少、当社グループの従業員が新型コロナウイルスに感染した場合や、政府・地域行政機関からの要請等により、生産活動を一時的に停止した場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。拡大する感染症への対策として、当社グループでは新型コロナウイルスの拡散防止と社員の健康・安全・雇用確保を最優先に、国内拠点の一部において在宅勤務を推進しております。工場での生産活動につきましては、政府や地域行政機関の方針に従い、感染防止に留意しながら稼働を継続しております。また、中越エコプロダクツ事業において、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、スケジュールが大幅に遅れておりますが、製造設備の早期営業運転を目指して取り組んでおります。
⑨ 訴訟リスク
当社グループの事業活動の遂行に当たっては、様々な法規制の適用下にあって、それらによる訴訟等のリスクにさらされる可能性があり、その結果、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 偶発債務
当社グループは、上記以外の項目に関しても偶発債務に起因する損失が発生するリスクがあり、その結果、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当社グループを取り巻く経済環境は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限緩和により、経済活動の正常化が進み、景気は持ち直してきましたが、一方で、円安や長期化するロシア・ウクライナ問題による国際情勢の不安定化、原燃料価格の高止まり等、景気の先行きは依然不透明な状況が続いております。
このような状況のなか当社グループは、グラフィック用紙の需要減退に対応すべく、紙・パルプ事業の生産体制再構築の取り組みを進めるとともに、グループ事業について選択と集中による収益力向上を図るなど、既存事業の発展・強化に努めております。
環境ビジネスとして、nanoforestの化粧品原料への利用拡大、鶏舎用環境改善資材の販売を進めるとともに、農林水産省が策定する「みどりの食糧システム戦略」で推進する総合防除(IPM)の「物理的防除」に対応した農業資材の実用化への取り組みや、nanoforestを用いてプラスチック再生時の物性低下を防止する技術を利用し、再生プラスチック循環型社会の実現に向けた取り組みを進めております。加えて、プラスチック使用削減に貢献する中越エコプロダクツ事業については試運転を進め、早期事業化に注力しております。
当期の営業成績につきましては、製品価格の改定や製品販売強化、安定操業に取り組んだことにより前期と比較し、増収・増益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は105,668百万円(前年同期比17.3%増収)となり、営業利益は2,594百万円(前年同期比10.3%増益)、経常利益は3,397百万円(前年同期比10.4%増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,050百万円(前年同期比140.5%増益)となりました。
事業の種類別セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(紙・パルプ製造事業)
◎ 新聞用紙
発行部数の減少による全体的な需要減に歯止めが掛からず、数量は前期を下回りました。金額は価格改定が寄与したものの数量減を補完するには至りませんでした。
◎ 印刷用紙
国内販売につきましては、コロナ禍で落ち込んでいた経済活動は正常化するも、複数回に亘る値上げやチラシ関連を中心とした低グレード化が進み全体数量は前期を下回りました。輸出については、期前半は好調に推移しましたが、期後半は東南アジアを中心とした需要減退があり、数量は前期並みとなりました。金額は販売数量減があったものの、価格改定が寄与して前期を上回ることが出来ました。
◎ 包装用紙
国内販売につきましては半導体不足による自動車関連低調が尾を引き、製粉関連の伸び悩みの影響も大きく、行動制限解除による土産物関連での手提袋の需要回復はありましたが、数量は前期を下回りました。内需減退の受け皿である輸出は東南アジアを中心とした需要減により前期を下回りました。販売数量減があったものの価格改定が寄与し金額は前期を上回ることが出来ました。
◎ 特殊紙・板紙及び加工品等
壁紙は好調に推移し前期を上回り、脱プラ需要および巣ごもり需要の食品関連を中心とした加工原紙も前期を上回りました。金額に関しましても販売数量増に加え価格改定が寄与し前期を上回ることが出来ました。
◎ パルプ
昨年秋口までの世界的パルプ市況の好調により、数量・金額ともに前期を上回りました。
これらにより、当事業の業績は以下のとおりとなりました。
連結売上高 94,246百万円(前年同期比 19.1%増収)
連結営業利益 1,559百万円(前年同期比 19.9%増益)
(発電事業)
燃料価格の高騰はありましたが、売電単価の価格改定を行ったことなどにより増収・増益となりました。
これらにより、当事業の業績は以下のとおりとなりました。
連結売上高 7,340百万円(前年同期比 13.8%増収)
連結営業利益 806百万円(前年同期比 12.5%増益)
(その他)
文具事業の事業整理や原燃料価格の高騰等により減収・減益となりました。
これらにより、当事業の業績は以下のとおりとなりました。
連結売上高 16,543百万円(前年同期比 13.7%減収)
連結営業利益 100百万円(前年同期比 59.3%減益)
財政状態は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ722百万円増加し、122,751百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,290百万円減少し、71,118百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,013百万円増加し、51,633百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6,751百万円減少し、8,110百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,662百万円(前連結会計年度比67.7%減少)となりました。
これは主として、税金等調整前当期純利益3,119百万円、減価償却費5,823百万円、売上債権の増加額4,596百万円、棚卸資産の増加額2,941百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は5,124百万円(前連結会計年度比62.7%増加)となりました。
これは主として、有形固定資産の取得による支出5,979百万円、長期貸付金の回収による収入630百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は4,795百万円(前連結会計年度比18.6%減少)となりました。
これは主として、長期借入による収入5,200百万円、短期借入金の純増減額2,499百万円による支出、長期借入金の返済による支出6,538百万円、配当金の支払額532百万円によるものです。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) パルプは未晒総生産量であり自家消費量を含んでおります。
当社グループは、大部分が市況を勘案した見込み生産を行っており、グループ全体の受注状況を把握することは困難であるため、該当事項については記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績等は、製品価格の改定や国内・輸出向けに製品の販売を強化したことが寄与し、売上高は105,668百万円と前期に比べ15,563百万円の増収(前年同期比17.3%増)となりました。収益面では、円安や原燃料価格の高騰の影響を受けたものの、製品価格の改定のほか、安定操業や製造コストの縮減に努めたことで、営業利益2,594百万円(前年同期比10.3%増)、経常利益3,397百万円(前年同期比10.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,050百万円(前年同期比140.5%増)の増益となりました。
セグメント別の売上高については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
④ 経営戦略の現状と見通し
2024年3月期の国内経済につきましては、新型コロナウイルス感染症に対する各種制限解除が進み、インバウンド需要の回復など、経済活動は回復傾向にあるものの、物価上昇に伴う消費マインド停滞等、先行きについては不透明な状態が続くものと思われます。
また、海外におきましても、長期化するロシア・ウクライナ情勢や外国為替相場の変動等の影響による原燃料価格の上昇、中国の景気減速に伴う中国・東南アジアへの輸出減少など、経済活動の先行きは予断を許さない状況です。
このような状況下、販売におきましては原燃料価格の高騰に応じた適正価格の維持、製造工程における効率向上、安定操業実現による製造コスト圧縮の取り組みにより、収益基盤の強化を図ってまいります。また、『中期経営計画2025』で掲げる「既存事業の構造転換」・「環境投資・環境ビジネスの推進」の取り組みを確実に実践してまいります。
⑤ 財政状態及びキャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ0.6%増加し、122,751百万円となりました。これは主として、現金及び預金が6,751百万円減少しましたが、受取手形、売掛金及び契約資産が4,596百万円、商品及び製品が1,606百万円、原材料及び貯蔵品が1,206百万円増加したこと等によります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ3.1%減少し、71,118百万円となりました。これは主として、金融機関からの借入金が3,838百万円減少したことによります。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ6.2%増加し、51,633百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益3,050百万円、配当金の支払534百万円などにより利益剰余金が2,516百万円増加したことによります。また自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ2.2ポイント増加し42.0%となりました。
当社グループのキャッシュ・フローにつきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
当社グループの資金計画は、設備投資資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としておりますが、銀行借入やコミットメントラインの利用などによって流動性を保持しております。今後の主な設備投資資金需要として、家庭紙マシンの新設(投資総額49億円)を予定しております。
また、当社グループはCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、資金融通を行うことで資金効率を高めております。
当社グループの当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度末に比べ6,751百万円減少し、8,110百万円となりました。
なお、当連結会計年度末の金融機関からの借入金の内訳は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、常に市場ニーズに密着し、創造的で信頼性の高い技術をもって、人と環境にやさしい「紙」の開発と安定した製品の供給により、経済・社会・文化の発展に寄与することを社会的使命と認識し「紙」の文化の創造に果敢に挑戦しております。
そして、「株主重視」「顧客重視」に心がけ、当社グループの総合力に対する信頼性と収益性の確保・向上を目指し、株主・顧客・地域社会・社員・企業の共存共栄を図るとともに、社会に対する貢献を重点に企業活動を行ってまいります。
また、グローバル化に対応し、迅速な情報開示に努め、透明な経営姿勢を保ち、加えて効率的な連結経営を行うことで、国際競争力の強化を図り、当社グループの存在価値を高めてまいります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発は、開発本部、生産本部、工場技術研究部門及び連結子会社技術研究部門で連携して行っております。
今、大きく変化する自然環境と加速するテクノロジーの進化が、社会の在り方を根源的に変えつつあります。この変わりゆく社会にいち早く対応しながら、社会的責任を果たす企業を目指すこと、さらには、社会に貢献し得る新素材・新製品の創製に努めることが、当社グループの研究開発コンセプトです。
世界を揺るがせた感染症の流行以来、需要形態や経営環境が急激に変化し、研究開発にも新技術を含めた幅広い分野の専門的知見や経験が必要となっています。このようななかで素早く開発を進めていくため、社外の機関、即ち大学、研究機関、公設試、他業種の企業などと連携し、技術と情報を共有しながら研究開発を進めています。
当連結会計年度の研究開発費は
当社が現在注力している取組みとして、セルロースナノファイバー(CNF)、マプカ(MAPKA)の市場展開があります。また脱プラスチックを推進するため、紙、パルプの利用拡大に対しても全社的な取組みとして進めております。
具体的な研究開発活動は次のとおりであります。
1.紙製品への展開
(1) 環境対策新製品の開発
・機能性を持つ天然資源を活用した高付加価値製品の開発
(2) 現行品の品質改善
・軽くてしなやかな嵩高印刷用紙の開発
・特殊機能を付与した食品用途紙の開発
(3) 新規市場の開拓
・家庭紙分野への参入
・製造工程紙や緩衝材などの開発
2.天然資源の高度活用技術開発への展開
(1) セルロースナノファイバー(ナノフォレスト)の用途展開
・ナノ化及び樹脂化製造技術の更なる向上と、幅広い分野での用途開拓
・高機能CNFのサンプル提供拡大と製造技術の確立
(2) CO₂削減に貢献する、紙パウダーを主原料に合成樹脂を混合した非プラスチック素材
・成形材料開発及び製品のグレード開発、多くの分野への応用開発
(3) 新分野へのパルプの利用拡大
3.脱プラスチックへの取組
①プラスチック素材の性能を持つ紙の開発
②プラスチック材料を紙材料に置換
③プラスチック素材の一部に紙やパルプを配合し、プラスチック比率を低下
④プラスチック製品から紙製品への置換