第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループの経営理念は以下のとおりです。

<TOMOEGAWAグループ経営理念>

(ミッション:存在意義)

感動こそが、持続可能な価値と考える。

これまでも、これからも新製品・新技術開発に挑戦し、人や社会に新しい喜びを提案しつづける。

(ビジョン:ありたい姿)

グローバル視点の提案型ソリューションパートナーへ。

前例にとらわれず、組織の壁を超え、チームと個の力を掛け合わせ、新たな感動を創造する。

(バリュー:価値観)

従来から掲げている「創業精神」を改めて当社の「価値観」として位置づけます。

誠実     我々は事業に対しても人に対しても誠実を旨とする

社会貢献   我々は事業を通じて社会に貢献する

開拓者精神  我々は開拓者精神をもって事業に挺身する

 本経営理念のもと、ミッションである「これまでも、これからも新製品・新技術開発に挑戦し、人や社会に新しい喜びを提案しつづける」の実現を目指して、当社グループ社員一丸となり、企業価値の向上を図ってまいります。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標

 当社グループは、「事業ポートフォリオの転換による新たな成長と企業体質の変革」を主題とした、2026年3月期を最終年度とする5ヶ年の第8次中期経営計画(2022年3月期~2026年3月期)を策定し(2023年3月期において経営数値目標と収益性目標を見直し)、「5GやDXを支える事業の展開」「SDGsに資する製品の展開」「構造改革、体質改善を通じた企業価値の向上」を掲げ、新製品の立上げ加速やビジネスモデルの構築、構造改革、風土改革の推進等に取り組んでおります。最終年度は、最近の業績動向等を踏まえ目標を再度見直し、連結売上高360億円、営業利益14億円、ROE5.1%以上、新製品売上高比率20%を目指しております。

 

(3)経営環境

 わが国経済は、雇用や所得環境の改善、インバウンド需要の復調などにより緩やかな回復基調が続いたものの、エネルギー価格・原材料費の高騰及び為替変動等による景気への影響が懸念されるほか、物価上昇が個人消費改善の重石となりました。また海外経済においては、ウクライナ、中東情勢を巡る地政学的リスクや中国経済への懸念に加え、関税をはじめとする米国政策動向の不確実性など、先行きを見通すことが極めて困難な状況にあります。

 このような状況のなか、当社グループにおいては、構造改革を着実に推進させるとともに、当社が競争力を有する半導体・ディスプレイ関連事業が年度を通じて堅調に推移したものの、中国経済の不振が継続したことにより、連結売上高は、その3割強を占めるトナー事業や機能性シート事業における機能性不織布の販売が伸び悩んだことから、前年実績は上回ったものの当初計画を下回る結果となりました。

①トナー事業

 モノクロトナー事業は、世界市場では2020年において新型コロナウイルス感染症の影響で数量が大きく減少したあと、その反動需要により2021年、2022年と増加しましたが、その後2023年に大きく減少したことに加え、中国メーカーの市場参入もあり業界全体での需給バランスが崩れ、価格競争が激化しているほか、中国経済の不振により、販売低迷が続きました。こうした状況の中、当社としては、独立系トナーメーカーとして売上、開発力、品質、原材料購買力、供給安定性などNo.1のポジションを活かし、緩やかに縮小する市場の中で価格競争に打ち勝ってシェアを伸ばすことを引き続き目指してまいります。

 一方、カラートナー事業についても、世界市場は2023年に大きく数量を減らしましたが、モノクロトナーほどの落ち込みではありませんでした。付加価値の高いカラートナーとして今後の成長を見込んでいましたが、先行きは若干不透明なところがあります。ただし、トナー全体に占めるウエイトは引き続き伸びており、積極的に新製品開発などを進め、売上、数量、シェアの伸長を引き続き目指してまいります。

 なお、複写機・複合機の世界出荷台数がモノクロ・カラーを問わず減少している中、当事業の環境変化への対応と成長戦略の方向性についても対処すべき課題として認識しております。

 

②半導体・ディスプレイ関連事業

 当連結会計年度においては、前半好調だったディスプレイ用光学フィルム事業の減速に加え、半導体市場の市況回復の遅れによる影響がありました。このような中、半導体実装用テープ事業は、主力のリードフレーム固定テープが高い信頼性と採用実績から車載用途を中心に使用されており、家電、自動車のエレクトロニクス化の流れにおいて半導体産業が成長している状況で、中期的な成長を見込んでおります。また、半導体製造に使われるQFN用接着テープについても、市場の成長に加え、当社シェアを伸ばすことでリードフレーム固定テープに次ぐ主力製品に育成していくことを目指しております。さらに、将来的な成長が期待できる半導体製造装置向けフレキシブル面状ヒーターについては、量産体制構築に向けた設備投資を行うなど、早期の量産・販売に向けた準備を着実に進めております。

 ディスプレイ用光学フィルム事業は、スマートフォン、タブレットパソコン、ウェアラブル、車載用途を中心とした中小型パネル市場で展開しております。特に、高い信頼性を必要とする車載においては、ディスプレイ用飛散防止フィルムとして高いシェアを得ており更なるシェア拡大を進めます。高付加価値を必要とするハイエンドLCD・OLED向けにおいては継続した拡販活動、並びに新製品開発・新規受託の両面からビジネス拡大に取り組んでおります。

 なお、同事業において対処すべき課題として認識していた塗工設備の採算性の改善については、2024年9月に株式会社NichiRicaの設備を停機し当社設備へ統合するなど、新生産体制への着実な移行を進めております。

 

③機能性シート事業

 構造改革を進めている製紙関連事業は、連結売上高に占める割合は8%以下まで減少しています。このような中、設備の老朽化が進んでいることから、継続的な価値最大化を狙い、マシン統合などの稼働設備の効率化や業務改善を積極的に進めており、2019年末の7号抄紙機の停機に続き、2022年3月末に9号抄紙機を停機したことにより、固定費の削減が進んでいます。

 成熟事業である塗工紙関連事業は、磁気乗車券等の製品群を取り扱っております。非接触方式に変わる等、システム変更による別素材・方式での代替が徐々に進んでいましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴い市場縮小が加速いたしました。今後は、株式会社NichiRicaを含め、同社と補完関係にある相互の製造設備の有効活用や当社グループの粘接着技術及び塗工・加工技術の強化によるシナジー効果の具現化を加速してまいります。

 一方、成長事業として位置付けている機能性シート関連事業は、当社の強みである抄紙技術を活かし、パルプ以外のさまざまな原料の繊維を用いて製品化を進めてまいりました。当連結会計年度においては中国経済不振の影響を受け販売は低迷していますが、その事業の特性上少量多品種生産への対応が必要とされるため、大手製紙会社の参入がなく、競争環境に恵まれた事業であり、今後様々なビジネスチャンスが期待できます。

 なお、製紙関連事業における更なる構造改革の検討についても対処すべき課題として認識しております。

 

④セキュリティメディア事業

 有価証券印刷やICカード、ポイントカード、プリペイドカード等の製造、加工及び情報処理関連事業を行うセキュリティメディア事業においては、一部顧客における在庫調整による受注タイミングの遅れはあったものの、コンビカードへの切り替えが進んでいることに加え、年度ごとの変動性はあるものの宣伝印刷物の受注が増えております。今後は、デジタル社会におけるセキュリティの追求、キャッシュレスに代表される決済手段の多様化といったニーズへの対応、さらなる事業シナジーの追求を通じて成長戦略の実現に向けた取り組みを推進してまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、2026年3月期を最終年度とする第8次中期経営計画を2023年5月に見直し、これを推進しておりますが、対処すべき主要課題を次のように捉え、重点的に取り組んでまいります。

①安定的な収益構造を確立したトナー事業及び市場において確固たる地位を占めている半導体実装用テープビジネスが安定的に業績をけん引し、子会社のセキュリティメディア事業、ガムテープビジネス、紙加工ビジネスが、その独自性を活かしながら安定的に業績を支えるという収益構造を確固たるものとしてまいります。

②製紙事業について、これまでに実施した抄紙機2台の停機に続く更なる構造改革余地の検討及びディスプレイ関連事業における塗工設備の集約により低収益ビジネスの採算性を改善してまいります。

③引き続き成長分野(半導体関連事業、機能性不織布事業)への経営資源投入、新製品の立ち上げ・量産化、横展開により、中長期的な成長を実現してまいります。

④上記③の実現のために今後も相応規模の投資を計画するとともに、既存の延長線上にないインオーガニックな成長を企図し、出資も含めた技術提携等のアライアンス戦略の検討に着手いたします。

⑤サステナビリティ基本方針策定と開発型企業である当社独自のマテリアリティ特定の結果を、各種戦略に落とし込んでまいります。

⑥2025年度中の新基幹システム移行を含めたDXによる業務革新と生産性向上を進めてまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

①ガバナンス

  当社グループはサステナビリティに係る対応を経営上の重要課題と認識し、気候変動をはじめとした環境問題への貢献、人権の尊重、取引先・従業員を含む全てのステークホルダーへの公正・適正な事業活動など、社会や企業のサステナビリティを巡る課題解決を事業機会と捉え、サステナビリティ委員会を中心とするガバナンス体制を構築しサステナビリティ活動を推進するとともに、取締役会による監督を行っております。

(取締役会の監督機能)

  取締役会は、サステナビリティに関するリスク及び機会に係る課題について、毎年1回、サステナビリティ委員会より取組状況や目標の達成状況の報告を受け、モニタリングし、また、新たに設定した対応策や目標を監督します。

(経営者の役割)

  サステナビリティに係る事項は、代表取締役社長(CEO)が管掌しております。また、代表取締役社長(CEO)は、サステナビリティ委員会の委員長としてサステナビリティに係るリスク及び機会について評価し、対応策の立案及び目標の設定を行い、達成状況を管理します。

(サステナビリティ委員会の役割)

  サステナビリティ委員会は原則として四半期ごとに開催され(必要に応じて随時開催)、マテリアリティ(重要課題)の検討やサステナビリティ戦略について審議し、サステナビリティに係るリスク及び機会について評価を行い、案件によってはより機動性を持たせた分科会を設け、対応策の検討・立案及び目標の設定を行うほか、事業活動についてサステナビリティの視点から検証及び経営会議への提言を行います。そして、取組状況や目標の達成状況を、毎年1回取締役会に報告し、監督を受けております。

  サステナビリティ委員会は、委員長は代表取締役社長(CEO)が務め、副委員長は社内取締役3名及び執行役員1名が務めています。このほか、執行役員、事業部長・本部長・室長、その他関連するメンバーから構成され、経営戦略本部が事務局を担っております。

②リスク管理

  サステナビリティに係るリスク及び機会は、当社にて代表取締役社長(CEO)の諮問機関である経営会議において識別・評価・管理し、毎年1回取締役会に報告しております。

  各事業部・本部・室は、自部門が行うサステナビリティに係るリスク及び機会の識別・評価の結果に基づき、サステナビリティ委員会に報告し審議され、当該審議結果を踏まえて対策の要否や優先順位を考慮したうえで経営会議に報告します。経営会議は、識別・評価されたサステナビリティに係るリスク及び機会のうち、重大な影響の恐れがあると判断した事案に係るリスク軽減策と機会創出策について、取締役会に報告・付議し決定します。

  なお、各事業部・本部・室は、経営会議からフィードバックされた取締役会の指示・意見に従い、リスク事案については、リスク管理規程に定められたリスクマネジメントシステムに基づき、リスク低減計画を立案・実行し、その結果を経営会議に報告しております。機会創出事案については、特定したマテリアリティと関連する取り組み課題に照らし、その事業性を評価し事業戦略への落とし込みを検討します。

  当社は、ISO14001の要求事項(環境パフォーマンスの向上、順守義務の充足、環境目標の達成)に沿った全社的な環境マネジメントシステムを構築・運用しており、環境問題に係るリスク管理の中には、当該マネジメントシステムに基づく法令順守等のリスクモニタリングも組み込まれております。

 

(2)重要なサステナビリティ項目に関する戦略並びに指標及び目標

  上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目のうち、当社の人的資本(人財の多様性を含む)に関する戦略並びに指標及び目標は以下のとおりです。

  当社は、経営戦略の基本は人財戦略と考えており、「人財」への投資により「人財の価値を最大限に引き出す」ことが企業競争力の向上を導き、ひいては中長期的な企業価値向上に繋がっていくものと認識しております。

  その上で、当社の経営理念(ミッション、ビジョン、バリュー)を実現するための具体的な人財戦略の考え方として、多様な人財(異業種経験のあるマネジメント人財、グローバルに市場を開拓する外国籍マーケティング人財、女性ならではの視点で開発するエンジニア)を確保・活用し、さらには、技術力と高い生産性を兼ね備えた製造のプロフェッショナル人財を育成すること、そして、それらの人財が遺憾なく能力を発揮できる職場環境をつくることが重要と考えております。

  特に当社グループの中核をなす当社において「人財の価値を最大限に引き出す」ことが、グループ全体の企業競争力の向上を導き、当社グループの中長期的な企業価値向上に繋がっていくものと考え、当社における人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、「人財育成の促進」、「多様な人財の活躍」及び「いきいきと働きやすい職場環境づくり」に係る指標を用いて、次のとおり目標設定しております。

  なお、当社では「多様な人財の活躍」や「いきいきと働きやすい職場環境づくり」への取り組みの一環として、特に子育て世代社員の時間的・経済的支援を拡充し、仕事と育児が両立できる働きやすい職場環境の提供に努めております。

 

 

区分

項目

実績

目標

2023年3月期

(目標設定年度)

2025年3月期

2028年3月期

1 人財育成の

  促進

階層別研修制度受講者人数(延べ人数)

197名

259

300名以上

自己啓発教育制度受講者(延べ人数)

80名

154

150名以上

一人当たり教育研修費

20,000円

32,000

30,000円以上

改善提案件数(当社・新巴川加工㈱計)

(注)1

8,381件

11,120

15,000

2 多様な人財の

  活躍

女性管理職比率

4/118名

3.4%

7/135名

5.2%

10%

中途採用者の管理職比率

39/118名

33%

52/135名

39%

35%以上

営業職の外国籍人財比率

7/61名

11%

5/58名

9%

20%

開発部門の女性人財比率

18/94名

19%

23/123名

19%

35%

3 いきいきと

  働きやすい

  職場環境

  づくり

平均残業時間

14.8h/月・名

14.7h/月・名

15h以下

平均年休取得率(年間)(注)2

65%

70%

80%以上

男女別賃金格差Ⅰ(全社員)

59%

64%

65%

男女別賃金格差Ⅱ(正規・20-39歳)

78%

86%

90%

 (注)1 「改善提案件数」は、業務生産性向上や安全性向上の範囲拡大を企図するものです。

2 「平均年休取得率」は、一人当たりの「年間年休支給日数」に対する「年間年休取得日数」です。

 

  また、これら指標及び目標のうち、特に重要視している「男女賃金格差」については、若手層の給与制度改善と女性積極採用を進めることにより、全社員における格差が、将来的には正規20-39歳における格差、勤続5年未満における格差の水準へシフトしていくものと考えております。

 

(参考)

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3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

関連するリスク

主要な取組

(1)市場の変動及び技術革新による影響

・当社グループは、様々な業界に製品を提供しております。これらの製品は、お客様が属する業界・市場の変化や競合他社との価格競争による影響などにより、需要が急速に減少するリスクがあります。また、技術革新に伴う既存製品の陳腐化や需要減少あるいは市場の縮小などが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

・市場動向の見極め

・競合に対する差別化、技術、サービス向上

・新製品開発促進

・他社との共同開発事業推進

(2)主要原材料、燃料価格の変動による影響

・当社グループは、プラスチックフィルムをはじめとする各種石油化学製品・原紙・パルプ等を原材料として使用し、また燃料として主にLNGを使用しています。購入価格が急激に変動した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

・エネルギー供給リソースの多元化

・市場動向の見極め

(3)海外の事業展開に伴う影響

・当社グループは、ビジネスの拡大を目指し、北米、欧州並びにアジアに対しグローバルな事業展開を積極的に推進しております。これに伴いテロ、治安悪化、紛争、戦乱、法令・税制・関税等の変更の事象が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

・テロ・治安悪化 対応マニュアル制定

・海外拠点への安全情報提供

・海外法令・税制 動向把握

(4)知的財産権をめぐる影響

・当社グループは、有効な知的財産権を構築することで事業活動を優位に進めています。現時点では、業績に影響を及ぼす訴訟は発生していませんが、今後、他社との間で知的財産権をめぐる係争や特許侵害等の問題が生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

・知的財産リスクマネジメント

(5)資金調達

・当社は安定的な資金調達を図るため、複数の金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しておりますが、これらの契約には一定の財務制限条項及び期限の利益喪失事由が付されているため、今後の当社グループの業績の動向等によっては、借入条件の変更(返済に関する期限の利益喪失等)をもたらし、事業に影響を及ぼす恐れがあります。

・財務体質の維持・強化

・資金調達先及び機関の適切な分散

・各種リスク要因の適時の分析と対応

・最新の情報に基づく適時の計画の見直し

(6)外国為替変動による影響

・当社グループは、原材料の購入及び製品の販売等において、外貨ベースでの取引を行っております。足元、輸出取引に若干の偏りが見られることから為替レートの変動の影響を受けることになるため、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

・当社グループの在外子会社等の外貨建の財務諸表項目は、換算時の為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

・拠点・地域毎の外貨ポジション管理

・為替予約

(7)取引先の信用リスクによる影響

・取引先における予期せぬ突然の破綻等の事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

・取引先与信管理

・情報収集

・債権保全

(8)巨大地震等の災害発生による影響

・当社グループの主な生産拠点は、静岡県にあります。南海トラフ巨大地震が発生した場合、その規模によっては相当期間、生産、営業活動に影響を与える可能性があります。

・BCP制定

・生産設備等への耐震補強工事

・地震保険の付保

・非常時対応強化

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度は、年度末にかけてトナー事業において市況低迷による受注減少はあったものの、円安による海外関連売上高の嵩上げや全社を挙げての価格転嫁の取組みがあったほか、機能性シート事業における塗工紙関連の海外入札案件の落札等もあり、売上高は34,432百万円となり、前年同期比では、739百万円の増収(前年同期33,692百万円、前年同期比2.2%増)となりました。

 利益面では、円安及び価格転嫁によるプラス効果はあったものの、処遇改善に伴う人件費の増加や各種原材料の価格上昇のほか、積極的に設備投資を行ったことによる償却費や修繕費等の増加もあり、営業利益は1,282百万円と前年同期と比べ48百万円の減益(同1,331百万円、同比3.7%減)、経常利益は1,566百万円と前年同期と比べ76百万円の減益(同1,643百万円、同比4.7%減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益については、法人税等調整額及び非支配株主に帰属する当期純利益が減少したことなどにより、749百万円と前年同期比で155百万円の増益(同594百万円、同比26.2%増)となりました。

 なお、当第4四半期連結会計期間(2025年1~3月期)の3か月間については、トナー事業における受注減とこれに伴う生産調整影響及び海外顧客に対する貸倒引当金の計上等などが減収減益要因として作用しております。

 また、2024年11月に、資本効率の向上及び機動的な資本政策の実施を目的として自己株式(214百万円)を取得しております。

連結貸借対照表における資産の部は、前連結会計年度末に比べ373百万円増加し、46,087百万円となりました。

負債の部は、前連結会計年度末に比べ139百万円増加し、26,457百万円となりました。

純資産については233百万円増加し、19,630百万円となりました。

 

セグメントの業績は以下のとおりです。

トナー事業

 トナー事業においては、年度末にかけて市況低迷による受注減少はあったものの、円安による海外関連売上高の嵩上げがあったことなどにより増収となりました。

 利益面では、第4四半期における受注減とこれに伴う生産調整影響に加え、海外顧客に対する貸倒引当金の計上等などの影響はあったものの、円安によるプラス効果により増益となりました。

 この結果、売上高は12,415百万円(同11,719百万円、同比5.9%増)となり、セグメント(営業)利益は849百万円(同815百万円の利益、同比4.1%増)となりました。

半導体・ディスプレイ関連事業

 半導体・ディスプレイ関連事業においては、光学フィルムSBUについて、第4四半期に入って減速したものの、年間通じては前年度に続いて好調を維持しました。また半導体実装用テープSBUについては、販売の伸び悩みがあったものの、前年並みの売上高を確保しました。

 利益面では、新製品の立ち上げに伴う費用投入はあったものの、売上高の維持に加えて、生産性の改善や試作収入の獲得に努めた結果、前年を上回る利益となりました。

 この結果、売上高は6,530百万円(同6,518百万円、同比0.2%増)となり、セグメント(営業)利益は804百万円(同608百万円の利益、同比32.3%増)となりました。

機能性シート事業

 機能性シート事業においては、塗工紙SBUにおいて海外入札案件の落札等もあり好調に推移したほか、子会社も含め展開している製紙SBUが堅調だったこともあり、前年同期比で増収となりました。

 利益面では、原材料価格上昇によるコスト増加などはありましたが、コスト上昇分の製品価格への反映に加え、各種コストダウンを行うことにより、前年同期比で増益となりました。

 この結果、売上高は11,209百万円(同10,770百万円、同比4.1%増)となり、セグメント(営業)利益は58百万円(同42百万円の損失)となりました。

セキュリティメディア事業

 セキュリティメディア事業においては、カード関連製品の一部顧客における在庫調整による受注タイミングの遅れに加え、前年の一過性の特需案件が終了したことにより通帳類等の販売の減少や宣伝印刷物の受注が大きく減ったこと等により、売上高は3,987百万円(同4,384百万円、同比9.1%減)となりました。

 利益面では、減収影響が大きく、セグメント(営業)利益は313百万円(同439百万円の利益、同比28.5%減)となりました。

新規開発事業

 新規開発事業においては、iCas及びGREEN CHIP関連製品の開発と販売を進めており、半導体製造装置向け新製品やセルロースマイクロファイバー混合樹脂等の上市に向け専心しております。売上高は44百万円(同67百万円、同比34.3%減)となり、セグメント(営業)損失は820百万円(同608百万円の損失)となりました。

その他の事業

 その他の事業においては、売上高は244百万円(同231百万円、同比5.7%増)となり、セグメント(営業)利益は52百万円(同78百万円の利益、同比33.4%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ492百万円減少し、4,853百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、前期に比べ2,385百万円減少し1,799百万円となりました。これは主に、棚卸資産の増加額446百万円や仕入債務の減少額1,127百万円などがあったものの、税金等調整前当期純利益1,396百万円や減価償却費1,781百万円、売上債権の減少額608百万円などがあったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、前期に比べ1,017百万円増加し2,758百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,293百万円や無形固定資産の取得による支出376百万円などがあったことなどによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は500百万円(前期は1,645百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出1,683百万円や自己株式の取得による支出214百万円、子会社の自己株式の取得による支出206百万円などがあったものの、短期借入金の純増加額972百万円や長期借入れによる収入2,118百万円などがあったことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

前期比(%)

トナー事業(百万円)

9,654

14.5

半導体・ディスプレイ関連事業(百万円)

4,235

△5.8

機能性シート事業(百万円)

10,568

△2.8

セキュリティメディア事業(百万円)

3,142

△9.5

新規開発事業(百万円)

23

△34.3

合計(百万円)

27,624

1.1

 (注)金額は製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b.受注実績

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、一般市況及び直接需要を勘案して生産を行っております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

前期比(%)

トナー事業(百万円)

12,415

5.9

半導体・ディスプレイ関連事業(百万円)

6,530

0.2

機能性シート事業(百万円)

11,209

4.1

セキュリティメディア事業(百万円)

3,987

△9.1

新規開発事業(百万円)

44

△34.3

報告セグメント計(百万円)

34,188

2.2

その他の事業(百万円)

244

5.7

合計(百万円)

34,432

2.2

 (注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①重要な会計方針及び見積り

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりです。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

 当連結会計年度末の資産の合計は46,087百万円となり、前連結会計年度末に比べ373百万円の増加となりました。流動資産は21,639百万円で、前連結会計年度末に比べ960百万円の減少となり、その主な要因は、製品などの棚卸資産が増加したものの、現金及び預金や受取手形及び売掛金が減少したことなどによるものです。固定資産は24,447百万円で、前連結会計年度末に比べ1,333百万円の増加となり、その主な要因は、積極的な設備投資による有形固定資産の増加やソフトウェア投資による無形固定資産の増加に加え、持分法投資利益の計上により投資有価証券が増加したことなどによるものです。

 当連結会計年度末の負債の合計は26,457百万円となり、前連結会計年度末に比べ139百万円の増加となりました。このうち流動負債は18,197百万円で、前連結会計年度末に比べ208百万円の減少となり、その主な要因は、短期借入金が増加したものの支払手形及び買掛金が減少したことなどによるものです。固定負債は8,259百万円となり、前連結会計年度末に比べ347百万円の増加となり、その主な要因は、長期借入金が増加したことなどによるものです。当連結会計年度末における有利子負債残高は14,021百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,185百万円の増加となりました。

 また、当連結会計年度末の純資産の合計は19,630百万円となり、前連結会計年度末に比べ233百万円の増加となりました。これは連結子会社による自己株式の取得により資本剰余金の増加と非支配株主持分の減少があったほか、当社における自己株式の取得や退職給付に係る調整累計額の減少があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことなどによるものです。

 

2)経営成績

 当連結会計年度の経営成績につきましては、トナー事業においては年度末にかけて市況低迷による受注減少があったものの、円安による海外関連売上高の嵩上げがあったほか、機能性シート事業における塗工紙関連の海外入札案件の落札等や価格転嫁の取組みなどから、売上高が34,432百万円となり、前連結会計年度と比べ739百万円増加いたしました。利益面では、円安及び価格転嫁によるプラス効果はあったものの、処遇改善に伴う人件費の増加や各種原材料の価格上昇のほか、積極的に設備投資を行ったことによる償却費や修繕費等の増加に加え、第4四半期におけるトナー事業での受注減に伴う生産調整影響や主原料である樹脂の値上げ影響の拡大及び海外顧客に対する貸倒引当金の計上があったことなどから営業利益は1,282百万円となり、前連結会計年度と比べ48百万円の減少となりました。各事業及びセグメント別の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 当連結会計年度の経常利益につきましては、営業外収益にディスプレイ向けフィルム加工を行う関連会社からの持分法による投資利益317百万円を計上したことなどから1,566百万円となり、前連結会計年度と比べ76百万円の減少となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等調整額及び非支配株主に帰属する当期純利益が減少したことなどにより749百万円となり、前連結会計年度と比べ155百万円の増加となりました。

 

3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は4,853百万円となり、前連結会計年度末に比べ492百万円の減少となりました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、当社グループは様々な業界に製品を提供しており、ビジネスの拡大を目指して、北米、欧州、アジアなどの国、地域で事業展開を積極的に推進しているなかで、これらの製品を取り巻く事業環境の変動や市況変動並びに技術革新等の影響を強く受けます。また、収益面では、特に主要原材料である各種石油化学製品・原紙・パルプ等及び燃料であるLNG等の価格変動が、業績に影響を与える可能性があります。従って、当社グループはこれらの経営成績に影響を与えるリスク要因を分析し、個々に対策を立案し実行に移しております。なお、この詳細は「3 事業等のリスク」に記載しております。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

1)資金需要

 当社グループの資金需要のうち主なものは、当社グループ既存製品の製造に係る費用及び製品の品質向上、原価低減のための設備改善並びに新製品開発投資等によるものです。

 

2)財務政策

 当社グループは現在、運転資金及び設備投資資金については、自己資金及び金融機関からの借入等により資金調達をすることとしております。借入等による資金調達に関しては、運転資金としての短期借入金、設備等の長期借入金を当社及び各連結子会社が調達しております。その一部はグループ内資金の効率化を目的とし一部グループ会社間で資金融通を行っております。

 また、緊急時の流動性補完枠として既存取引のある金融機関5行と総額4,000百万円のシンジケート形式のコミットメントラインを設定しており、十分な手元流動性の確保に努めております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループが経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標は、売上高、営業利益、ROE(自己資本利益率)、新製品売上高比率(連結売上高に占める新製品売上高の比率)、D/Eレシオ(連結純資産に占める有利子負債の割合)、純資産比率です。

 

5【重要な契約等】

(当社が業務提携を行っている契約)

契約締結先

業務提携の対象

契約締結年月日

契約期限

凸版印刷㈱

液晶ディスプレイ向け光学フィルム関連事業

その他協議のうえ合意する事業

2009年4月23日

2026年3月31日

(以降1年毎自動更新)

(注)凸版印刷㈱は、2023年10月1日付でTOPPANホールディングス㈱に商号を変更しております。

 

(財務制限条項が付された借入金契約)

 

借入金契約①

借入金契約②

借入金契約③

借入金契約④

主な借入先

㈱三井住友銀行、

㈱三菱UFJ銀行、

他既存金融機関4行

(アレンジャー兼エージェント三井住友銀行)

㈱三井住友銀行、

㈱三菱UFJ銀行、

他既存金融機関3行

(アレンジャー兼エージェント三井住友銀行)

㈱三菱UFJ銀行

㈱京都銀行

契約形態

シンジケート形式タームローン

シンジケート形式コミットメントライン

リボルビングクレジットファシリティ契約

金銭消費貸借契約

契約締結日

2022年1月31日

2025年3月26日

2025年3月31日

2021年3月31日

期末残高

2,800百万円

840百万円

18,200千元

40百万円

返済期日

2027年1月29日

2025年4月2日

2025年4月30日

2026年3月31日

担保の内容

不動産

なし

なし

なし

 

特約の内容

上記の契約については、財務制限条項が付されており、下記の条項に抵触した場合は、本契約上の全ての債務について期限の利益を喪失する可能性があります。

 

借入金契約①

2022年3月期末日及びそれ以降の各事業年度末日及び第2四半期会計期間の末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額を、2021年3月期末日あるいは各時点の前年同期における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額のうちいずれか高い方の75%に相当する金額以上に維持すること。

 

借入金契約②

2023年3月期末日以降の各事業年度の末日における連結貸借対照表に示される純資産の部の金額を、2022年3月期末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額の75%に相当する金額、又は直前の事業年度末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額の75%に相当する金額のうち、いずれか高い方の金額以上に維持すること。

2023年3月期第2四半期以降の各第2四半期会計期間の末日における連結貸借対照表に示される純資産の部の金額を、2022年3月期第2四半期会計期間の末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額の75%に相当する金額、又は直前の事業年度第2四半期会計期間の末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額の75%に相当する金額のうち、いずれか高い方の金額以上に維持すること。

 

借入金契約③

2022年3月決算期を初回とする各年度決算期の末日における借入人の連結の貸借対照表において、純資産の部の合計額を、2021年3月決算期の年度決算期の末日における純資産の部の合計額又は前年度決算期の末日における純資産の部の合計額のいずれか大きい方の75%以上に維持すること。

 

借入金契約④

借入人の各年度の決算期及び第2四半期の末日の報告書等における連結の貸借対照表における純資産の部の合計金額を直前の決算期(含む第2四半期)の末日における純資産の部の合計金額の75%以上に維持すること。

6【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)では、多様化する社会の要請に即応し、開発活動を効率的、かつ効果的に運営するために、「全員参加の開発型企業」をスローガンとして、各開発部門が密接な連携を保ちつつ、将来に向けた新製品、新技術の開発に精力的に取り組んでおります。

当連結会計年度における当社グループの研究開発体制は、iCasカンパニー下の「開発本部」に、粘着、接着技術を主軸とした開発を担う「粘接着開発グループ」、抄紙技術を主軸とした開発を担う「ファイバーマテリアル開発グループ」、新規技術開発を担う「新規技術推進グループ」、要素技術探索を担う「技術研究所」、新規事業の推進を担う「新事業開発グループ」、そして生まれた技術を蓄積・管理する「知的財産グループ」を配し、社内の人材と技術の交流を推進し、各開発部門が保有する技術、知見の融合を進めることにより、新製品開発の加速を図ると同時に、それらを資産として管理・活用して行く体制としております。

なお、新規事業の推進を担う「新事業開発グループ」においては、トナー事業における粉体技術と他技術との組み合わせ・融合にて新技術の開発も行っております。

また、各連結子会社の開発部門におきましても、新製品開発の機能拡充を目指し、当社の開発部門と各連結子会社間での緊密な連携を進めております。

当社グループでは、こうした体制の下、重点分野である熱・電気・電磁波コントロール材料(iCas=Insulation Conduction Absorption Solution/絶縁・伝導・吸収・解決の略)、そして環境制御材料(GREEN CHIP)の全社・連結子会社開発横串での連携活動を進めております。

当社グループの研究開発要員総数は、133名であり、当連結会計年度における研究開発に要した費用は2,327百万円となり、試作品や受託研究等の収入(776百万円)控除後の研究開発費用は1,550百万円(連結売上高比4.50%)です。

当連結会計年度における研究開発活動の状況及び研究開発費をセグメントごとに示すと次のとおりです。なお、「その他の事業」においては研究開発活動を行っていないため省略しております。また、各セグメントに配分することが出来ない研究開発活動については、(その他)としております。

 

(トナー事業)

当社パウダーテクノロジーカンパニー開発グループが、粉体技術をベースとした複合機・プリンター用トナーの製品開発及び技術開発を行っております。

当連結会計年度の主な成果は、モノクロトナー及びカラートナーの商品ラインナップの拡充、生産技術確立などです。

当事業に係わる研究開発費は、276百万円です。

 

(半導体・ディスプレイ関連事業)

当社iCasカンパニー開発本部粘接着開発グループが、粘・接着技術、塗工技術、及び特殊加工技術をベースとした半導体関連の電子部品や材料、ディスプレイ用材料等の製品開発及び技術開発を行っております。

当連結会計年度の主な成果は、半導体関連の電子部品、半導体パッケージ用高機能テープ、ディスプレイ用材料、電子部品関連接着剤の商品拡充です。

当事業に係わる研究開発費は、739百万円です。

 

(機能性シート事業)

当社iCasカンパニー開発本部ファイバーマテリアル開発グループ、株式会社NichiRica、三和紙工株式会社が、抄紙技術及び塗工技術をベースとした各種特殊紙、機能性シート製品等の開発を行っております。

当連結会計年度の主な成果は、無機繊維材料を中心とした多孔質機能性シート、機能性粉体高担持シートの開発、情報記録用シート材料、絶縁紙の商品拡充などです。

当事業に係わる研究開発費は、278百万円です。

 

(セキュリティメディア事業)

連結子会社の昌栄印刷株式会社が、特殊印刷技術及び情報加工技術をベースとしたICカードやプリペイドカード等の製品開発を行っております。

当連結会計年度の主な成果は、当社の要素技術を組み入れたタッチ決済対応クレジットカードや国際プリペイドカード等の商品拡充です。

当事業に係る研究開発費は、54百万円です。

 

(新規開発事業)

当社iCasカンパニー開発本部新事業開発グループでは、これまで培った要素技術を展開した電気電子部品、高機能性シートの開発などに加え、熱・電気・電磁波及び環境対策関連のiCas製品の開発及び将来の海外展開を見据えた新製品開発、新事業展開の検討を、各事業部門との協力体制の下で取り組んでおります。

当連結会計年度の主な成果は、湿式抄紙技術を用いたメタル繊維シートを応用した高性能ヒートシンク及び面状ヒーターの開発、機能性粉体担持シートの各種応用開発、新規電気電子部品の商品化検討などであり、今後の市場投入に備え、技術本部、各事業部の製造部門、品質管理部門との協働による活動が進展しております。

当事業に係わる研究開発費は、754百万円です。

 

(その他)

技術本部分析センターでは、グループ内の事業、研究開発の支援強化を主軸としながらも、社外からの分析受託サービスを実施しており、お客様の要望に応じた新たな分析メニューを立ち上げるなど、その技術的レベルアップに取り組んでおります。表面あるいは断面に関わる微細な分析、成分分析、電気物性評価、電磁波特性評価、熱伝導特性評価、解析等の各種分析における幅広い技術蓄積と信頼性の向上を図っております。

これらコーポレート開発における研究開発費は、223百万円です。