第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、印刷媒体を中心とする総合情報企業として、お客様の要望にお応えし満足していただける製品を提供し、企業体質の強化と収益の向上を目指し、株主の皆様をはじめとする全てのステークホルダーの信頼にお応えできるよう尽力いたします。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、2024年度から2026年度の3か年を対象とする中期経営計画「nozaki2024/2026“SHINKA”」を策定いたしました。情報媒体のデジタル化や労働人口の減少など、当社を取り巻く環境への対応や、2023年3月に上場企業に対して要請された「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けての対応」についての重要性を再認識し、「現状からの脱却」に主眼を置き、グループ全体で企業価値の向上を目指してまいります。持続的な企業価値向上に向けて、自己資本利益率(ROE)を当社のKPIに設定し、従業員への理解・浸透を図ってまいります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

中期経営計画「nozaki2024/2026“SHINKA”」の概要

 

1.中期経営計画ビジョン

 「進化」×「深化」×「伸化」3つの「SHINKA」で企業価値向上を目指します。

・「進化」 アイデアと技術革新により新たな価値を創造します。

・「深化」 知識や技術に磨きをかけ組織・事業の成長を図ります。

・「伸化」 時代の変化に対応し成長分野の市場開拓に努めます。

 

2.主な施策

①重点商品の売上成長

・当社の強みである可変印字や加飾技術の更なる向上や、産学連携の共同開発で生まれた秘匿性の高いオリジナル2次元コードを含むDX事業による付加価値の創出をします。

・従来の地域営業に加え、専門知識を必要とする商品については適切な人材配置による広域営業体制を新たに構築します。

 

②主力商品の競争優位性の強化

・長年培った印刷技術に特殊加工や可変印字を付加することで機能性に加えて意匠性やセキュリティレベルの高い商品を提供します。

・高付加価値の創出により既存事業の独自性・優位性を強化します。

・脱プラやCFP削減気運の高まりなど環境ニーズに対応します。

 

③生産効率の改善によるローコストオペレーションの追求

・生産現場のスマート化による生産効率を向上させます。

・生産設備の改修・増強により生産体制を強化します。

・5S活動の強化による品質管理の徹底と生産環境の改善を図ります。

 

④人的資本の強化

・人への投資は新たな価値創出の源泉と考え、従業員の健康増進と人材マネジメントを通して労働生産性とエンゲージメントの向上を図ります。

 

 

⑤ROE逆ツリーを活用した資本効率の向上と資産効率の最適化

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(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の見通しにつきましては、引き続き人手不足による物流費をはじめとした人件費の上昇、不安定な国際情勢による原材料価格やエネルギー価格への影響、日本銀行による利上げに伴う市場金利の上昇、米国による関税引き上げに端を発する市場動向など先行き不透明な状況が続くことが予想されます。

当社グループが属する印刷メディア市場におきましても、紙媒体からデジタルへの移行が年々進み、市場変化への対応が必要とされるなか、中期経営計画「nozaki2024/2026“SHINKA”」で継続的に続けてきた「印刷×DX」の取り組みによる既存製品の高付加価値化、新たに投資した設備の活用による主力商品拡販(包装資材及び紙器、紙工品や情報機器及びサプライ品部門)の販売強化を進めてまいります。

財務的には安定した経営を図るため、収益体質の強化に取り組み、自己資本の向上に努めてまいります。流動資金については、管理体制の充実を図り、流動資産の適正水準管理を徹底し、キャッシュ・フローを重視した資金の効率活用と手元流動性の確保に努めてまいります。金融機関との取引については、永年培われた良好な信頼関係の維持・発展を図ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは150年余りの歴史を通じて、自然環境や地域社会との共存を産業発展の第一歩と考えてまいりました。経営理念に掲げる「+αで応えることで小さな感動を提供する」の実践を通じてお客様の満足度向上を図ると共に、地球環境の保全、誰もが安心して活動できる健全な社会づくりに貢献し、企業価値の向上と持続的な成長を目指します。取締役会が業務執行責任を担い、代表取締役社長及び配下の各部門が業務執行を行います。

 

(2)戦略

 当社グループは、豊かな地球環境を次世代へ引き継ぐ社会的使命と地域社会への貢献のために、環境保全に努め、環境への影響を考慮して行動します。持続可能な社会の発展に貢献する役割、企業責任を果すため、関連法規をはじめ、当社が自ら定める規定を遵守し、高い倫理観を持って公明正大で、安全性やモラル、顧客満足度を重視した企業経営を行います。リスク管理体制やコンプライアンス管理体制を構築し、経営の透明性と監視機能を確保することによりコーポレート・ガバナンスの強化に努め、企業価値のより一層の向上を目指してまいります。

 

 人的資本に関する方針としましては、「人財」という表現もあるように人も大切な財産であると考えており、労働人口の減少に対して、どのように人材/人財を確保していくかが企業経営の課題の一つとなっており、同時に多様性を積極的に認めていこうという社会的機運の高まりとともに、人材/人財の採用・起用の側面においても多様性を確保することの重要性を認識しております。異なる企業、業種での職務経験、技能、属性、価値観、考え方を有する人材/人財を幅広く受け入れることは当社の活性化にも寄与し、社会の変化、様々な価値観、需要にマッチする企業運営が可能となります。また、従業員に占める女性比率が低いことから、意欲的で能力のある女性は積極的に採用してまいります。例えば、製造現場においては、従前大型製造機械の取り回しが必要であり、ほとんどが男性で占められていましたが、近年は機械の小型化やコンピューター制御、補助機材の導入が進み、クリーンで明るい労働環境に改善されてきたことも相まって、女性オペレーターが活躍する機会も増えております。

 

(3)リスク管理

 内部統制委員会は、企業活動の適法性、公正性、社会的信頼性を確保し、当社が直面する、あるいは将来発生する可能性のあるリスクを識別し、識別したリスクに対して組織的かつ適切な予防策を講じることを目的として設置しております。

 

(4)指標及び目標

当社グループの考えるSDGs(SDGsとは、「持続可能な開発目標 」(Sustainable Development Goals)の略称)

 

①社会要請に応えるものづくり

 環境対応製品や抗菌加工製品等の付加価値のある製品を積極的に提案し、地球環境にやさしく、消費者の安心安全に寄与するものづくりを行ってまいります。

・FSC森林認証取得

・環境配慮型インキを使用した製品の提供

・SIAA認証に基づく製品の提供

 

②脱炭素社会に向けて

 温室効果ガスの排出量の削減に向けて、身近なことから取り組んでまいります。

・生産設備や照明、空調の省電力化

・印刷機のUVランプのLED化

・照明器具のLED化

・古い空調設備の入れ替え

 

③社会から必要とされる社会を目指して

 社会の発展に貢献するため、ステークホルダーとの関わりを大切にしてまいります。

・女性や若手の活躍に向けた人材育成

・従業員の健康増進による人的資本経営の推進

・ICT環境の構築と多様な働き方を実践

・地域社会や文化活動への協賛支援

 

④健全な経営のため

 コーポレート・ガバナンスの実効性確保に向け、各種施策の取り組みを強化してまいります。

・リスク管理体制の強化徹底

・コンプライアンスの徹底

・非財務情報や適時開示等の充実

 

 また、当社では、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績(当事業年度)

管理職の女性労働者

2026年3月まで2以上

2

19~39歳の従業員の直近3年間の定着率

2027年3月まで50以上

54

従業員の有給休暇取得率

2027年3月まで60以上

55

従業員エンゲージメント

2027年3月まで60以上

60

全社員の1ヶ月あたりの平均残業時間

10時間以内

7.5時間

(注)当社がグループの大多数を占めるため、また、子会社の自主性を尊重するため、指標及び目標について、当社単体として判断しております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(重要なリスク)

(1)価格競争

 当社グループは多くの企業と競合関係にあり、受注価格の低下が進んでおります。付加価値の高い製品やコスト削減により利益の確保に努めておりますが、更なる競争の激化により経営成績等に影響を与える可能性があります。

(2)原料の価格

 当社グループの製品の主たる原材料である原紙の価格が、紙パルプの市況、原油価格等の高騰を受け上昇した場合であっても、業界の販売価格競争が激しく、価格転嫁が難しいことが考えられ、その結果、収益性の低下を招き経営成績等に影響を与える可能性があります。

(3)機器等の在庫

 当社グループが製造、販売しております情報機器は、技術革新等により陳腐化が激しく、また、生産体制の関係から各機種とも一定ロットの生産が必要となるため、市場の動向を読み誤った場合、評価損が生じる可能性があり、経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(その他のリスク)

(4)有利子負債

 当社グループは設備投資に要する資金を自己資金及び金融機関からの借入金により調達しております。当社グループとして自己資本の充実に努めておりますが、今後、金利水準が変動した場合によっては、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

(5)個人情報の管理について

 当社グループは各事業において個人情報を取り扱っております。プライバシーマークを取得し、個人情報の漏洩防止に厳重な対策を講じておりますが、万一、個人情報が漏洩した場合には、社会的信用の失墜、訴訟の提起などにより経営成績等に影響を与える可能性があります。

(6)感染症拡大等の異常事態や災害の発生

 感染症拡大等の異常事態や災害が発生した場合、多くの業界と取引があり当社グループに与える影響を正確に見通すことは困難ですが、当社グループが所属する印刷メディア市場におきまして、市場の縮小により経営成績等に影響を与える可能性があります。また、当社グループは、複数の事業拠点、物流施設等を使用し事業運営をしております。新型コロナウイルス感染症拡大のような異常事態や災害が当社の想定を超える規模で発生し、事業運営が困難になった場合、従業員の在宅勤務や生産拠点の分散化を図るなど影響を抑えるための対策をとっておりますが、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

(7)法的規制

 当社グループ社の製品の一部が「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進に関する法律」(以下「容器包装リサイクル法」という。)に規定する容器包装に該当しているため、当社は「容器包装リサイクル法」に基づく、再商品化の業務を公益財団法人日本容器包装リサイクル協会に委託しております。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、物価上昇の影響がありましたが、雇用・所得環境の改善が続き、景気はゆるやかな回復基調となりました。しかしながら一方で、中国経済の停滞、ロシア・ウクライナ問題の長期化や中東地域をめぐる不安定な国際情勢、円安基調の為替などによる原材料価格やエネルギー価格の高騰、国内においては2024年問題に起因する物流費や物価、利上げによる金利の上昇など依然として先行き不透明な状況が継続しております。

当社グループは、2024年度から2026年度の3か年を対象とする中期経営計画「nozaki2024/2026“SHINKA”」を策定し、現状からの脱却に主眼を置き3つの意味を持たせた「進化(アイデアと技術革新による新たな価値創造)」「深化(知識や技術に磨きをかけた組織・事業の成長)」「伸化(時代の変化に対応し成長分野の市場開拓)」を当社のあるべき姿とし、主力商品の売上成長、競争優位性の強化、生産効率の改善によるローコストオペレーションの追求、人的資本の強化、資本効率の向上と資産効率の最適化により企業価値の向上を進めております。

このような状況のなか、「印刷×DX」や既存製品の高付加価値化の取り組みを進めたことにより、主力商品である包装資材及び紙器、紙工品や情報機器及びサプライ品部門の売上高は好調に推移いたしました。利益につきましては、原材料価格の高止まりに加え、物価上昇・人材確保を目的とした人件費の上昇が収益を圧迫したものの、増収効果により営業利益、経常利益は改善しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額が増加した事により減少いたしました。

これらの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は145億70百万円(前期比2.9%増)、営業利益は6億90百万円(前期比11.1%増)、経常利益は7億51百万円(前期比12.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は5億22百万円(前期比8.9%減)となりました。

なお、当社グループの売上概況につきましては、次のとおりであります。

a. 商業印刷部門

当部門の官公庁関連向けの受注が増加したものの、図録やカタログ・パンフレット類、各企業・団体の製作部数の抑制や展示会向け需要が減少したことなどにより、この部門全体の売上高は11億26百万円(前年同期比1.8%減)となりました。

b. 包装資材及び紙器、紙工品部門

当部門の伝票類は、新規物件の受注が寄与し増加しました。包装紙・紙袋類は、円安効果を背景としたインバウンド需要の増加などによる百貨店等流通業界・小売業界の需要増を期待していましたが、ギフト・お土産品の需要増に結びつかず、減少傾向が見られたことなどにより減少しました。紙器は物流業界向け包材や化粧品・食品業界向け等を中心に需要が堅調に推移したことや新規案件の受注に注力したことなどの効果により、この部門全体の売上高は83億99百万円(前期比4.0%増)となりました。

c. 情報機器及びサプライ品部門

当部門のタグ・ラベルは、輸送機器業界向け、食品業界向け等の回復基調を背景に需要が堅調に推移したこと、物流業界向けやECサイト向けのデータプリント事業の受注が伸びたことなどにより増加しました。情報機器類におきましては、中型プリンター等のリプレイス需要が増加したことに加え、特注プリンター、カスタマイズ機の受注が増加したことなどにより、この部門全体の売上高は44億23百万円(前期比2.7%増)となりました。

d. その他の部門

当部門の化成品は、物流関係向けのチケットパックの需要が減少したことや感染症対策の衛生関連商品の受注が減少したこと、電子部品向けの需要が減少したことなどにより、この部門全体の売上高は6億20百万円(前期比1.8%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は14億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億円減少しております。その内訳は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、6億53百万円(前期は11億4百万円の増加)となりました。これは仕入債務の減少8億44百万円等資金が減少したものの、税金等調整前当期純利益7億36百万円、減価償却費6億22百万円、棚卸資産の減少1億32百万円、売上債権の減少1億15百万円等資金が増加したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、10億60百万円(前期は6億83百万円の減少)となりました。これは有形固定資産の取得による支出10億51百万円等資金が減少したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、2億6百万円(前期は32百万円の減少)となりました。これは長期借入金の返済6億70百万円、短期借入金の純減少1億50百万円、配当金の支払1億24百万円等資金が減少したものの、長期借入れにより12億円等資金が増加したことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

事業部門

生産高(千円)

前年同期比(%)

商業印刷

939,764

△2.2

包装資材及び紙器、紙工品

4,771,555

3.4

情報機器及びサプライ品

2,899,538

4.2

その他

合計

8,610,858

3.0

(注)1 事業部門間の取引については、相殺消去しております。

2 金額は、製造原価によっております。

 

b. 仕入実績

事業部門

仕入高(千円)

前年同期比(%)

商業印刷

226,137

2.0

包装資材及び紙器、紙工品

1,663,711

△1.1

情報機器及びサプライ品

694,149

1.9

その他

417,051

△6.2

合計

3,001,049

△0.9

(注) 事業部門間の取引については、相殺消去しております。

 

c. 受注実績

事業部門

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

商業印刷

1,116,960

△1.8

50,920

△16.4

包装資材及び紙器、紙工品

8,410,292

3.9

873,981

1.2

情報機器及びサプライ品

4,423,742

2.7

203,577

0.0

その他

620,129

△1.8

19,151

△2.1

合計

14,571,125

2.8

1,147,630

0.0

(注)1 事業部門間の取引については、相殺消去しております。

2 金額は、販売価格によっております。

 

 

d. 販売実績

事業部門

販売高(千円)

前年同期比(%)

商業印刷

1,126,957

△1.8

包装資材及び紙器、紙工品

8,399,476

4.0

情報機器及びサプライ品

4,423,572

2.7

その他

620,558

△1.8

合計

14,570,564

2.9

 (注)1 事業部門間の取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

日本郵便株式会社

1,486,897

10.5

1,747,476

11.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、重要な見積り、判断及び仮定を行う必要があります。特に重要と考える事項は、連結財務諸表「注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しておりますので、ご参照ください。会計方針を適用するにあたり、注記事項以外で、財政状態及び経営成績に影響を与える項目は下記のとおりであります。

a. 貸倒見積高の算定

債権の貸倒の可能性について予測する必要があるため、一般債権については貸倒実績率に基づき計上し、貸倒懸念債権及び破産更生債権等については回収可能性を勘案して個別に検討しております。相手先の財務状況等が悪化し回収可能額が見積りより減少する可能性が発生した場合は、貸倒引当金を積み増すことで、損益に影響を与える可能性があります。

b. 投資有価証券の減損

長期的な取引関係の維持のために、取引先の株式の一部を所有しております。これらの株式のうち市場価格のない株式等以外のものについては、時価の下落率が取得原価に対して30~50%に達した場合、個別銘柄毎に過去一定期間の高値等、時価水準を把握するとともに、公表財務諸表での財務比率の検討等を行い、減損の実施を総合的に判断しております。将来、株式市況の悪化又は投資先の業績不振により、減損が必要となり、損益に影響を与える可能性があります。

 

②財政状態の分析

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ81百万円減少の106億71百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ4億52百万円減少の48億52百万円となりました。これは現金及び預金が2億円、売掛金が1億38百万円、仕掛品が1億3百万円減少したことなどによるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ3億71百万円増加の58億18百万円となりました。これは建設仮勘定が1億22百万円減少したものの、機械装置及び運搬具が4億82百万円増加したことなどによるものであります。

負債合計は、前連結会計年度末に比べ4億33百万円減少の60億43百万円となりました。これは長期借入金が3億35百万円、1年内返済予定の長期借入金が1億95百万円増加したものの、電子記録債務が7億36百万円、短期借入金が1億50百万円、支払手形及び買掛金が1億1百万円減少したことなどによるものであります。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3億52百万円増加の46億27百万円となりました。

③経営成績の分析

a. 概要

当連結会計年度は、物価上昇の影響がありましたが、雇用・所得環境の改善が続き、景気はゆるやかな回復基調となりました。しかしながら一方で、中国経済の停滞、ロシア・ウクライナ問題の長期化や中東地域をめぐる不安定な国際情勢、円安基調の為替などによる原材料価格やエネルギー価格の高騰、国内においては2024年問題に起因する物流費や物価、利上げによる金利の上昇など依然として先行き不透明な状況が継続しております。

当社グループは、資本コストや株価を意識した経営の実現のため、2024年度から2026年度の3か年を対象とする中期経営計画「nozaki2024/2026“SHINKA”」を策定し、現状からの脱却に主眼を置き3つの意味を持たせた「進化(アイデアと技術革新による新たな価値創造)」「深化(知識や技術に磨きをかけた組織・事業の成長)」「伸化(時代の変化に対応し成長分野の市場開拓)」を当社のあるべき姿とし、主力商品の売上成長、競争優位性の強化、生産効率の改善によるローコストオペレーションの追求、人的資本の強化、資本効率の向上と資産効率の最適化を進めたことなどにより営業成績は改善いたしました。

b. 売上高

連結売上高は前連結会計年度に比べ2.9%増加し、145億70百万円となりました。

商業印刷部門は、官公庁関連向けの受注が増加したものの、図録やカタログ・パンフレット類、各企業・団体の製作部数の抑制や展示会向け需要が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ1.8%減少し11億26百万円となりました。

包装資材及び紙器、紙工品部門のうち伝票類は新規物件の受注が寄与し増加しました。包装紙、紙袋類は円安効果を背景としたインバウンド需要の増加などによる百貨店等流通業界・小売業界の需要増を期待していましたが、ギフト・お土産品の需要増に結びつかず、減少傾向がみられたことなどにより減少しました。紙器類は物流業界向け包材や化粧品・食品業界向け等を中心に需要が堅調に推移したことや新規案件の受注に注力したことなどの効果により、部門全体では前連結会計年度に比べ4.0%増加し83億99百万円となりました。

情報機器及びサプライ品部門のうちラベルは、輸送機器業界向け、食品業界向け等の回復基調を背景に需要が堅調に推移したこと、物流業界向けやECサイト向けのデータプリント事業の受注が伸びたことなどにより増加しました。情報機器類におきましては、中型プリンター等のリプレイス需要が増加したことに加え、特注プリンター、カスタマイズ機の受注が増加したことなどにより、部門全体では前連結会計年度に比べ2.7%増加し44億23百万円となりました。

その他の部門のうち化成品は、物流関係向けのチケットパックの需要が減少したことや感染症対策の衛生関連商品の受注が減少したこと、電子部品向けの需要が減少したことなどにより、部門全体では前連結会計年度に比べ1.8%減少し6億20百万円となりました。

c. 営業利益

価格修正を行うとともに、「印刷×DX」や既存製品の高付加価値化の取り組みや、主力商品(包装資材及び紙器、紙工品や情報機器及びサプライ品部門)の販売を強化したことなどにより、営業利益は前連結会計年度に比べ11.1%増加し6億90百万円となりました。

d. 親会社株主に帰属する当期純利益

特別利益は災害損失引当金戻入額により4百万円、特別損失は固定資産処分損により19百万円となり、税金等調整前当期純利益は7億36百万円、法人税等は2億9百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は5億22百万円となりました。なお、前連結会計年度は5億73百万円の親会社株主に帰属する当期純利益でした。

 

当社グループが属する印刷メディア市場におきましても、紙媒体からデジタルへの移行が年々進み、市場変化への対応が必要とされるなか、中期経営計画「nozaki2024/2026“SHINKA”」で継続的に続けてきた「印刷×DX」の取り組みによる既存製品の高付加価値化、新たに投資した設備の活用による主力商品(包装資材及び紙器、紙工品や情報機器及びサプライ品部門)の提案型営業を積極的に展開するとともに、業務改善や生産ラインの効率化、省エネルギー化を継続して推し進め、自己資本利益率(ROE)の向上と経営基盤の強化に取り組み企業価値向上に努めてまいります。

 

 

④経営成績に重要な影響を与える要因について

価格競争の激化による受注価格の低下については、生産ラインの増強やシステム化を進めることで製品原価の見直しを図るとともに、競合先企業の動向、お取引先の要望をいち早く察知するなど競争力を強化することに努めます。

原材料価格の動向を常に注視し、調達先との価格交渉をしながら収益に与える影響を回避することに努めます。

情報機器類は競合先企業の動向を注視し、新製品の開発を進めることで、市場の要望にお応えできる製品作りに努めながら陳腐化を防ぎます。

 

⑤資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは原材料の購入費のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、生産設備投資等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、営業と製造部門との連携により提案され、情報機器及びサプライ品部門のプリンターやお客様の要望にお応えする新商品の開発等を行っております。当連結会計年度の研究開発費の総額は、11百万円であり、主な研究開発活動の内容は、情報機器及びサプライ品部門のプリンターの次期製品の開発、オリジナル2次元コードの開発等であります。なお、当社グループは、単一セグメントであるため、セグメントに関連付けた記載は行っておりません。