第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものである。

 

(1) 企業集団の経営戦略
  当社は、1909年の創業以来、わが国における段ボール産業のパイオニアとしての誇りと、業界のトップメーカーとしての地位を保ちながら、広くユーザーを開拓し、技術力を高め、新しい需要を創造し続けてきた。
 現在、当社グループの事業領域は、板紙から段ボールまでの強固な一貫生産体制に、紙器や軟包装、重包装が加わり、国内外で多様なパッケージング・ソリューションを生み出している。当社グループは、高い倫理観と公正な経営姿勢をもって経営資源を効率的に活用のうえ、収益力の向上と企業価値の極大化に努め、株主・取引先・従業員・地域社会などさまざまなステークホルダーとの良好な関係を構築し、あわせて適正かつ魅力ある還元を行うことにより広く社会に貢献していきたいと考えている。
 同時に、地球環境保護の観点より企業レベルでの対応が要求されている環境経営についても、全社的な取組みを行っている。

 

   当社グループが目標とすべき重要な経営指標は次のとおりである。
  ・売上高経常利益率:  6%以上
  ・D/Eレシオ  : 1.5倍以下
   なお、当連結会計年度においては、売上高経常利益率3.4%、D/Eレシオ1.1倍である。
 

当社グループは、「製紙」「段ボール」「紙器」「軟包装」「重包装」「海外」の6つのコア事業を中心に多彩な事業を展開し、包装全般にわたり幅広くソリューションを提供してきた。今後も、たゆまぬ意識改革とイノベーションを通じて、産業全般に積極的に働きかける提案型の企業集団「ゼネラル・パッケージング・インダストリー」=GPIレンゴーを目指していく。また、当社グループは、コア事業および周辺事業において、ユーザーオリエンテッド(顧客志向)を基本方針とし、より高い品質とサービスを提供することによる顧客満足度の向上に努め、持続的な成長を図っていく。
 製紙事業については、需要に見合った供給体制の維持に努めるとともに、生産性の向上、コスト削減、新製品の開発に、継続的に取り組んでいる。

 

段ボール事業については、グループ全体での営業力の強化、最適な生産体制の構築を進めている。また、お客様のニーズにお応えする「提案型営業」へ積極的に取り組み、競争力向上に努めている。

紙器事業については、求められる機能に対応する最適なパッケージを提供するとともに、これまで蓄積してきた知識、技術を集結して、新時代のパッケージづくりを追求していく。
  軟包装事業については、当社子会社である朋和産業株式会社を中心に展開している。お客様の要望にお応えできる高機能な製品を、最新の設備で提供し、当社グループの軟包装事業のさらなる競争力と収益基盤の強化を図っていく。
 重包装事業については、当社子会社である日本マタイ株式会社を中心に展開している。当社グループにおける相乗効果を追求すると同時に、お客様の商品の価値を高める重包装製品を提供し続けるために、社会の変化に対応する技術革新に取り組んでいく。
 海外事業については、今後の成長分野として事業の拡大を図ると同時に、「選択と集中」による経営資源の有効活用を目指した施策にも、積極的に取り組んでいく。中国・東南アジアでの事業展開を強化するとともに、当社グループが近年まで未進出であった欧州や北米等の地域についても、トライウォールグループを通じて新しい展開を推進する。
 当社グループは、各コア事業と周辺事業の総力を結集し、お客様の包装に関わるプロセス全体に対して、最適なソリューションを提供することにより、企業価値の向上に取り組んでいく。
 また、環境負荷の低減、社会貢献活動への取組みといった、企業が果たすべき社会的責任についても積極的に遂行し、さまざまなステークホルダーの信用と信頼に足る企業グループとなるべく、鋭意努力していく。
 
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
 今後のわが国経済は、社会経済活動の正常化が進むとともに内需の回復が期待される一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化に伴う不確実性の高まりや世界的な金融引締め等が続く中で、海外景気の下振れが景気を下押しするリスクとなる可能性がある。

このような状況のもと、揺るぎない経営基盤を構築するために、以下の課題に対し、グループ全体で取り組んでいく考えである。

 

 

① 製品の適正価格の維持
 当社グループは、板紙、段ボール、紙器、軟包装、重包装など、それぞれの製品において、継続的なコスト削減努力や製品の品質向上、安定供給の取組みと同時に、需要に見合った生産および設備能力の実現を目指し、再生産可能な適正価格水準の維持に尽力する。

 

② 環境問題への取組みの強化
 当社グループは、地球環境の保全に配慮した経営を実践することが、企業の持続的発展には不可欠であるという認識に立ち、全力をあげて環境保全活動に継続的に取り組んでいく。
 また、環境負荷の小さい製品の研究・開発および設計に努め、環境配慮製品を提案・推進していく。

 

③ コスト競争力の強化
 製造コストおよび物流コストの低減や生産性の向上については、産業界全般にわたる課題でもある全要素生産性(TFP:Total Factor Productivity)改善の観点を踏まえ、従来からの取組みに加え、新たな発想で諸問題を創造的に解決するためのプロジェクトチームを必要に応じ発足させ、活動している。
 
④ グループ経営の強化
 コア事業、その他周辺事業ともに、当社各事業部門を軸とし、グループ各社との連携強化へ向けての取組みを加速していく。その一環として、「グループ経営会議」と、その分科会である「営業戦略部会」および「財務戦略部会」を設置し、情報と戦略の共有を図り、グループ全体の業容の拡大とともに、財務体質の改善に取り組んでいく。
 
⑤ 海外事業の拡大と収益向上
 今後の成長に向けた原動力として、新たな海外への事業展開を検討していく。また、既存の海外事業においては、これまで培ってきた国内外でのネットワークの有効活用による日系企業、多国籍企業との取引拡大、および現地化を推進するとともに、「選択と集中」をキーワードとして、経営資源の配分を見直し、収益の向上を図っていく。あわせて、グローバルなフィールドに対応した人材育成に取り組んでいく。

 

⑥ DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進

 当社グループは、最新のデジタル技術を活用し、製造・物流・営業・管理の各方面で、業務の効率化、新たな付加価値の創造、働き方改革への対応を進めていく。代表取締役社長を委員長とする「DX推進検討委員会」を設置し、全社ビジネスの各フェーズのデジタル化を俯瞰的、横断的に検討し事業プロセスの進化を図る。同時に、情報セキュリティ対策の強化やDX人材育成にも取り組んでいく。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものである。

 

(1) サステナビリティについてのガバナンス

当社グループは、気候変動などの地球環境問題、人権の尊重、従業員の健康・安全、公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、サステナビリティを巡る課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識しており、これらの課題に積極的に取り組んでいる。

あわせて、経営品質の向上と将来のリスクの低減あるいは回避などを目的に、代表取締役会長を委員長とするCSR委員会を設置し、コンプライアンス、環境、災害、品質、情報等に係るリスク管理については、各担当部門およびCSR委員会の下部組織である倫理、環境、安全衛生、CS(顧客満足)、広報、情報セキュリティの6つの委員会が協力して、社内規程の制定、マニュアルの作成等を行うとともに、グループ全体の状況の監視を行っている。

取締役会は、これらの取組み状況について、各部門を管掌または担当する取締役および各委員会の委員長から報告を受けるとともに、必要に応じて改善策等を審議、決定している。

 

  コーポレートガバナンス体制図(2023年6月29日)


 

(2) マテリアリティ(重要課題)とそ取組

当社は、当社グループが取り組む重要課題について、国内外のガイドラインやイニシアティブに含まれる社会的課題との関連性が高いもののうち、ステークホルダーにとっての重要度、当社グループにとっての重要度の双方が特に高いと考えるものを「マテリアリティ」としている。

 


 

 


 

(3) 環境への取組

 ① 2050年に向けての環境の取組

当社グループは、多様化する環境問題に対する企業の取組みの重要性がますます高まっていることを背景に、2021年4月に「レンゴーグループ環境憲章」を改訂し、あわせて環境に関する目標として、2050年を見据えた長期ビジョン「レンゴーグループ環境アクション2050」および2030年度までの中期目標「エコチャレンジ2030」を策定した。

  グループ一体となって目標の達成に向けて取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していく。

 

 ② エコチャレンジ2030

当社グループは、「レンゴーグループ環境憲章」を具現化するための目標「エコチャレンジ」を作成している。2030年度を達成年度とする「エコチャレンジ2030」では、当社グループ全体の6つの重要課題を特定し、それぞれの課題に対応する具体的な目標を掲げている。

  2022年度の実績は以下のとおりとなった。

 

エコチャレンジ2030の概要

重要課題

項目

指標

対象範囲

脱炭素社会の形成

温室効果ガス排出量の削減

化石エネルギー起源CO2排出量
(2013年度比)

(注)3

エネルギ-効率の向上

エネルギーの効率的利用

エネルギー原単位(5年平均)

(注)4

循環型社会の形成

資源の有効利用

板紙の古紙利用率

国内連結会社の板紙製造拠点

廃棄物の削減

廃棄物の有効利用率

国内連結会社の製造拠点

環境問題や社会問題を

解決する製品の創出

生分解性のあるセルロース関連製品の開発・普及

ビスコパール®(セルロース粒子)の生産量

レンゴー㈱

REBIOS®(高バイオマス・生分解性パッケージング材料)の採用実績(2022年度まで)

国内連結会社

サプライヤーとの協働によるサステナブルパッケージの開発と普及拡大

GPIレンゴーのサステナブルパッケージ認定基準を策定(2022年度まで)

パッケージの軽量化

段ボールの平均坪量(1㎡あたりの重量)

国内連結会社の段ボールシート製造拠点

水リスクの管理

水リスク評価とリスクの低減

製造拠点における水リスクの調査と評価(2022年度まで)

国内海外連結会社の製造拠点

バリューチェーン
マネジメント(下流)

製品輸送の物流効率向上

段ボール輸送のCO2排出原単位
(2013年度比)

レンゴー㈱

 

(注) 1 国内連結会社は、レンゴー㈱および国内の連結子会社を指す。

   2 国内海外連結会社は、レンゴー㈱および国内、海外の連結子会社を指す。

   3 「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(以下、省エネ法)」対象会社17社(レンゴー㈱、大和紙器㈱、セッツカートン㈱、東海紙器㈱、日之出紙器工業㈱、RGコンテナー㈱、アサヒ紙工㈱、㈱朝日段ボール、㈱金羊社、丸三製紙㈱、大興製紙㈱、大阪製紙㈱、朋和産業㈱、サン・トックス㈱、㈱タキガワ・コーポレーション・ジャパン、日本マタイ㈱、レンゴー・ノンウーブン・プロダクツ㈱)

   4 「省エネ法」対象会社のうち11社(レンゴー㈱、大和紙器㈱、セッツカートン㈱、東海紙器㈱、日之出紙器工業㈱、RGコンテナー㈱、アサヒ紙工㈱、㈱朝日段ボール、丸三製紙㈱、大興製紙㈱、大阪製紙㈱)

 

 

エコチャレンジ2030 2022年度の実績

指標

2022年度

2030年度

目標

実績

目標

化石エネルギー起源CO2排出量
(2013年度比)

2%削減

9.1%削減

46%削減

エネルギー原単位(5年平均)

1%/年削減

0.6%/年削減

1%/年削減

板紙の古紙利用率

98%以上

98.7%

98%以上

廃棄物の有効利用率

有効利用率の向上

98.4%

99%以上

ビスコパール®(セルロース粒子)の生産量

65t/年以上

47t/年

200t/年以上

REBIOS®(高バイオマス・生分解性パッケージング材料)の採用実績(2022年度まで)

5件

5件

GPIレンゴーのサステナブルパッケージ認定基準を策定(2022年度まで)

認定基準を策定

未達成

段ボールの平均坪量(1㎡あたりの重量)

0.5%/年削減

0.23%/年削減

0.5%/年削減

製造拠点における水リスクの調査と評価(2022年度まで)

調査の実施

調査・評価とも実施
(達成)

段ボール輸送のCO2排出原単位
(2013年度比)

3.8%削減

3.1%削減

13%削減

 

 

 

 ③ 温室効果ガス排出量の削減

気候変動問題への対応は世界共通で取り組むべき喫緊の課題となっている。レンゴーグループは、脱炭素社会の形成を環境経営の最重要課題と捉え、事業活動に伴う温室効果ガス排出量削減に積極的に取り組むとともにサプライチェーン全体での温室効果ガス排出量の削減に努めている。

当社グループの事業活動から排出される温室効果ガスの大部分を生産活動に伴う化石エネルギー起源CO2が占めている。「エコチャレンジ2030」では、温室効果ガス排出量の削減目標として、2030年度までに生産拠点における化石エネルギー起源CO2排出量を2013年度比で46%削減することを目指している。この目標を達成するために、徹底した省エネルギー化とともに、石炭・重油ボイラの燃料転換、バイオマスボイラの新設、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入促進に取り組んでいく。

2022年度はバイオマスボイラの新設稼働等により、化石エネルギー起源CO2排出量は2013年度比で9.1%の削減となった。2030年度の目標達成を確実なものとするため、活動計画に基づいた実践と改善を推進し、CO2排出量削減の取組みを進めていく。

 


 

 ④ 気候変動への対応(TCFD提言への取組)

当社グループは、気候変動によるリスクおよび機会に関連する影響評価、対応策の立案と推進に向け、2021年12月、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明した。2022年度にはTCFD提言に沿った情報を開示したことに続き、主要な事業である板紙・紙加工関連事業についてのシナリオ分析を実施しており、その詳細な結果を含む情報をインターネット(注)等で開示している。

 

 [ガバナンス]

経営品質の向上と将来のリスクの低減あるいは回避等を目的に、代表取締役会長を委員長とするCSR委員会の下部組織として環境経営推進部管掌役員を委員長とする環境委員会を設置している。環境委員会の開催頻度は年4回で、CSR委員会は議事の報告を受けている。CSR委員会に報告される内容は、案件の重要性や緊急度に応じ、適宜取締役会にも連携されており、環境経営に対する監視と指導が有効に働く体制としている。

環境委員会の下部組織である「脱炭素ワーキンググループ」「グループ環境活動会議」では、温室効果ガス排出削減に関する情報収集や当社各部門およびグループ全体の活動計画・進捗状況を管理している。

 

 [リスク管理]

 (リスク・機会の特定とマネジメントシステムを通じた対応の枠組み)

当社は重要な環境側面ならびに環境法規制等を考慮の上、環境委員会での審議を経て、環境経営の推進にかかる事業計画上のリスク・機会を特定している。

環境委員会およびCSR委員会では、リスク・機会を特定の上、その発生可能性と影響度を評価するとともに、即時ないし中長期といった対応の時間軸を念頭に取組みの優先順位付けを行い、リスク・機会に対応した事業計画を検討している。また、社内規程の制定、マニュアルの作成等を指揮するほか、グループ全体の状況を監視している。

取締役会では、特定されたリスク・機会の認識を踏まえ、環境経営にかかる事業計画の遂行を監督するとともに、グループ全体の状況を踏まえ、必要に応じて改善策等を審議・決定している。

環境経営推進部は、これらのリスク・機会の認識に則した対応の戦略的枠組みを具体化し、当社各部門およびグループ全体で運用するため、現場人材の育成支援やモニタリング等の運用全般を調整・指導している。当社グループでは、これらのパフォーマンスにおいて改善の機会を特定し、その後のパフォーマンス改善につながる施策を遂行するとともに、その効果をモニタリングするサイクルを継続することで、気候変動に対するレジリエンスの向上に努めている。これらのマネジメントシステムにおいては、その全体にトップマネジメントが関与し、環境パフォーマンスの継続的な改善を指揮することで、当社グループ全体のマネジメントシステムの一つとしての実効性確保を図っている。

 

 [戦略-気候変動関連のリスクおよび機会と対応策]

 (シナリオ分析に基づくリスク・機会の特定)

当社は2022年度、主要事業である板紙・紙加工関連事業を対象に、2030年時点における外部環境の予測に基づいたシナリオ分析を実施した。シナリオについては、パリ協定を踏まえて低炭素経済に移行する1.5℃シナリオと、現状の想定以上の気候変動対策は実施されない4℃シナリオを設定した。

部門横断型ワークショップ等で議論を重ね、気候変動によるリスクと機会の絞り込み、予想される財務影響の把握、対応策の検討を行った結果、4℃シナリオでも、リスクと機会の両面で影響が生じる可能性が確認されたが、低炭素社会への移行が進む1.5℃シナリオでは、移行リスクと機会における影響がより大きくなる可能性が高いとの認識に至った。当社グループでは、各シナリオにおけるリスクおよび機会を考慮し、環境経営を推進している。

 

 (リスク・機会の認識と対応策)

当社ではシナリオ分析に基づき、2030年度において事業継続または利益への影響が懸念される要因として、炭素税の導入をはじめとする政策・法規制の変更や、電力小売価格等の上昇を含む移行リスクのほか、災害の激甚化と頻繁化に伴い施設への影響等が懸念される物理リスクを認識している。

当社グループでは、これらへの対応策として、移行リスクについては、エネルギー転換のための設備投資や財務影響を最小化する適正な製品価格の実現を基本としつつ、工場の稼働や調達の平準化による原燃料価格変動リスクの制御等を図るとともに、物理リスクについては、BCPの策定とその実効性確保、生産拠点における水害対策(嵩上げ、止水板、非常用電源等の設置)を行うほか、有事の分散調達も可能とするサプライチェーンマネジメントの強化等を図っている。

また、これらのリスク回避の一方、物流効率化に資する包装設計やグリーンロジスティクス、ライフサイクルアセスメント(LCA)に基づく低炭素化を戦略的に推進するとともに、一連の取組みに関する情報開示の拡張と深化を図ることで、新たな機会の獲得に努めている。

なお、これらのリスク・機会の認識と対応策の詳細はインターネット(注)等で開示している。

 

 [指標と目標]

当社グループは、2050年を目途とする長期目標「レンゴーグループ環境アクション2050」を掲げ、温室効果ガス排出量実質ゼロの達成を目指している。2021年4月には、2030年度を目途とする中期目標「エコチャレンジ2030」の中で、国内グループ会社を対象とするCO2排出削減目標を制定した。また、2023年1月からはSBT(Science Based Targets)認定の取得に向けた目標設定に取り組むことで、対象を国内・海外グループ会社のScope1、Scope2、Scope3全体に広げていく。これらの目標の達成に向け、脱炭素ワーキンググループにおいて温室効果ガス排出削減のロードマップを策定し、省エネの推進や再生可能エネルギーへの転換等の進捗を管理することで、温室効果ガス排出量の削減を進めている。

 

(注)詳細情報URL https://www.rengo.co.jp/sustainability/environment/climate/index.html

 

(4) 人的資本・多様性に関する取組

 [戦略]

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針は次のとおりである。

 

レンゴーグループ 人材育成方針・社内環境整備方針

 

レンゴーグループは、人本主義(人間中心主義)を会社経営の柱に据えて、働く者一人ひとりの成長こそが

企業を成長させるとの考えのもと、以下の人材育成、社内環境整備を行っています。

 

1.人材育成に関する方針

  自立と自律の気概を持ち、自ら学び、考え、やり抜く人材を育成するため、さまざまな成長の機会を

  提供します。

   生産性とは人間の心の持ちようであるとの基本に立ち返り、全要素生産性(TFP)向上に邁進する

    人づくりに取り組みます。
    そして、全要素生産性の向上を図ることにより生み出される付加価値を従業員に適切に分配し次の

  長につなげる「成長と分配の好循環」を中長期的に実現するための取組みを、労使一致協力して推し

  進めてまいります。

 

2.社内環境整備に関する方針

  多様な人材が互いに尊重かつ受容し、持てる能力を最大限に発揮して活躍できるよう、D&I(ダイ

  バーシティ&インクルージョン)に積極的に取り組みます。

  生涯現役の考えに基づき、心身ともに健康で、安全かつ安心して、いきいきと働くことができる職場

  環境を築くとともに、仕事と生活の調和のとれた働き方を推進します。

 

 

 

当社グループは、人本主義(人間中心主義)を会社経営の柱に据えて、人への投資、人づくりを通して、持続的な成長と生産性向上に取り組んでいる。

 

人材育成に関しては、優秀な人材を確保し適正に配置したうえ、「現場にこそ真理がある」をモットーに、それぞれの持ち場におけるニーズに対応した職種別や階層別教育を計画的に実施するとともに、グローバル人材の育成、自己啓発の支援といった教育制度を整備・拡充し、自己の成長を実感できる取組みを進めている。

生産性についてあらゆる要素を分析し、技術革新とともに人の働き方、心のありようも意識しながら全要素生産性を高めることに労使一致協力して取り組んでおり、2022年度からは、「生産性とは人間の心の持ちようである」という基本に立ち返り、「心をみがこう」をスローガンとする人づくりの研修を全社展開している。3事業年度にわたって全社員が受講するもので、第一弾は製造現場の係長・主任240名を対象に計8回実施した。特に職場におけるコミュニケーションは、働く人と人を結びつけ、組織力・現場力の源になる重要なものと考えている。さらなる現場力の強化、生産性の向上を図り、人への投資、人づくりにこれまで以上に力を入れている。

 

多様な人材が互いに尊重かつ受容し、個々の能力を最大限に発揮することによってイノベーションが生まれる企業を目指している。まず2014年4月に女性活躍推進室を設置して女性が能力をさらに発揮できる企業風土づくりや環境整備に取り組み、2022年4月にはD&I推進室へ改組してダイバーシティ&インクルージョンを推進・強化している。

中でも女性の活躍推進については、「女性の活躍推進に関する行動計画」に掲げる目標の達成はもとより、採用促進と職域拡大に注力し女性比率を高めるとともに、教育・キャリア形成の強化・充実を図っている。さらに、管理職登用についても積極的に取り組み、女性の役員登用につなげていく。

また、生涯現役の考えのもと、2019年4月に導入した65歳定年にあわせて「レンゴーはつらつ健康宣言」を策定し、誰もが健やかで心豊かなはつらつとした生活を実現するために、日々の健康づくりと安全・安心な職場づくりに取り組み、健康経営を実践している。

少子化対策と次世代育成支援の一環としては、第3子以降の出産には100万円の祝い金を贈呈している。制度導入の2006年4月から延べ466名が受給し、子育てを制度面と経済面の両方からサポートしている。

 

 [指標および目標]

当社グループにおける、上記[戦略]において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針について、提出会社においては次の指標を用いている。当該指標に関する目標および実績は、次のとおりである。

 

①女性の活躍推進に関しては行動計画(期間:2021年4月1日から5年間)を策定し、次の目標を掲げている。

 1.総合職女性採用比率を3割以上とする

 2.業務職女性採用比率を2割以上とする

 3.女性管理職数を1.5倍以上とする(2020年度40名 → 60名以上)

 4.男性の育児休業取得率を8割以上とする

 

2021年度

2022年度

目標

(2026年3月末)

総合職女性採用比率

31.1% 

31.0% 

30%以上 

業務職女性採用比率

21.3% 

29.2% 

20%以上 

女性管理職数

39名 

46名 

60名以上 

男性育児休業取得率

82.4% 

97.6% 

80%以上 

 

 

②誰もが働きやすい職場環境を整える中で、障がい者の雇用促進や職域拡大に積極的に取り組んでいる。2023年3月時点の障がい者雇用率は2.4%と法定雇用率を満たしている。

 

③2015年より「全要素生産性(TFP)向上による総労働時間削減」に取り組んでいる。年次有給休暇取得促進については、2022年度の取得率は目標とする60%を超えた。引き続き70%に向けて取組みを着実に進めていく。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりである。
  なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものである。
 

(1) 製品需要、市況動向
 当社グループの主力製品である板紙、段ボール製品は、国内の景気動向の影響を大きく受ける。景気後退による需要の減少、競争の激化等による市況の悪化要因により、当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
 これらに対し当社グループでは、安定した需要が見込まれる食品向けの受注に加えて、特定業種における需要の減少等の影響を相対的に低減させるべく、幅広い業種の取引先と良好な関係を構築するよう努めるとともに、より付加価値の高いパッケージづくりを通じて、提案型営業を推進することで競争力を高め、リスクの最小化に努めている。

 

(2) 原燃料価格
 当社グループの主要原材料である段ボール古紙の価格は、中国をはじめとするアジア地域における需要動向の影響を受ける。国内における需給バランスに変動が生じた場合には、購入価格の上昇によるコスト増加要因となり、当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
 当社グループにおいては、主に都市ガス、LNG、重油、石炭を燃料として利用している。これらの価格は、国際商品市況の影響を受けるため、市況が上昇した場合には、当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
 これらに対し当社グループでは、生産性の向上や省資源・省エネルギーに資する設備投資等の実施によって原単位の改善、燃料の多様化に取り組み、リスクの最小化に努めている。

 

(3) 自然災害、疫病
 当社グループの製造拠点等が、大規模な地震、台風等の自然災害によって多大な被害を受けた場合、事業活動の中断等により、当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
 また、大規模感染症の流行等によって当社グループの事業活動が中断等を余儀なくされた場合、当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。

  これらに対し当社グループでは、特定の事業所において事業活動の中断等が起こった場合は、全国に展開している製造拠点から製品の供給が行えるよう、供給責任を果たす体制の構築に努めている。

 

(4) 海外事業

当社グループは、中国、東南アジアならびにヨーロッパを成長市場と位置づけ、板紙・紙加工関連 事業、軟包装関連事業、重包装関連事業を展開している。海外進出に対し、当社グループは、リスクを十分に検討したうえで投資の意思決定を行っているが、海外における事業活動については、為替変動リスク、自然災害・疫病等のリスクあるいは国ごとにさまざまな経済的、政治的リスクが存在しており、これらの顕在化により、当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
 これらに対し当社グループでは、早期に適切な対応が取れるよう、グループ各社や当社の担当部門が適時に情報の収集および共有をし、リスクの最小化に努めている。

なお、当連結会計年度の当社グループの海外売上比率は20.1%である。

 

(5) 金利の変動

当社グループの有利子負債は、当連結会計年度末現在において404,289百万円である。有利子負債については、削減に鋭意取り組んでいるが、金利変動リスクを有しているため、市場金利が上昇した場合には、当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。

 

(6) 株価の変動

当社グループは、取引先を中心に株式を保有しているが、市場性のある株式においては、各種要因による株価の下落により、当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
 当社グループにおける年金資産は、株価水準の影響を受けるため、退職給付費用に変動が生じる。

 

(7) 為替の変動
 当社グループは、製品、原材料および燃料の輸出入取引において、為替変動の影響を受けることがあり、当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
 

(8) 事業再構築
  当社グループは、企業価値の増大に向けて事業の選択と集中に取り組んでおり、この過程における一時損失が発生し、当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。

 

(9) 訴訟
  当社グループは、国内外で継続して事業活動を行う過程において、知的財産関連、環境関連等の訴訟を提起されるリスクを負っており、訴訟の内容によっては、当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。

  これらに対し当社グループでは、法令順守等のコンプライアンス経営に努めており、役員、従業員のコンプライアンス意識向上のために階層別に研修・教育を実施し、リスクの最小化に努めている。

 

 

(10) その他
 当社グループは、上記の事項以外にも、予期せぬ事態によるリスクを負う可能性があり、これらの内容によっては、当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は、次のとおりである。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度のわが国経済は、長期化する新型コロナウイルス感染症やロシアによるウクライナ侵攻以降の世界的な物価高騰、円安、エネルギーの安定供給確保などさまざまな課題に直面する中、ウィズコロナの新たな段階への移行に伴う社会経済活動の正常化、政府による各種政策効果により、個人消費や設備投資を中心に持ち直しの動きがみられるようになった。

このような経済環境の中で、板紙業界においては、期間前半は底堅く推移したが、物価高騰による内需の鈍化、低調な輸出も相まって、生産量は前年を下回った。
 段ボール業界においては、食品や通販・宅配分野で需要が好調を維持した一方で電気・機械器具向けが減少し、生産量は前年並みとなった。
 紙器業界においては、個人向けの加工食品が堅調に推移したことにより、生産量は前年を上回った。
 軟包装業界においては、脱プラスチックの動きはあるものの、食品関係を中心とする堅調な需要に支えられ、生産量は前年を上回った。
  重包装業界においては、世界的な景気後退の影響を受けて石油化学関連の需要が減少し、生産量は前年を下回った。

以上のような状況のもとで、当社グループは、あらゆる産業の全ての包装ニーズをイノベーションする「ゼネラル・パッケージング・インダストリー」=GPIレンゴーとして、営業力の強化、積極的な設備投資やM&A等を通じ、業容拡大と収益力向上に鋭意取り組んできた。

また、世界的な原燃料価格の高騰等を受け、一昨年来、段ボール原紙をはじめとする板紙、段ボール、セロファン、ポリプロピレンフィルム、軟包装の各種製品価格の改定に取り組んできたが、ロシア・ウクライナ情勢等を背景とするさらなる資源高に円安の進行も相まって、一段のコスト上昇を吸収することが極めて困難な状況となったため、再生産可能な価格体系に向けての取組みを引き続き推し進めてきた。

2022年6月、産業用機械メーカーのFCL株式会社(愛知県長久手市)に資本参加し当社グループにおける生産技術を支える設備開発力の向上を図った。7月には海洋プラスチックごみ問題に貢献すべく木材由来のパルプを原料とした生分解可能な球状セルロース微粒子「ビスコパール®」のプラントを金津工場(福井県あわら市)に新設、また9月には丸福株式会社(石川県白山市)を子会社化し紙器・軟包装事業を拡充した。引き続き10月には2024年1月の操業開始を目指して松山工場(愛媛県松山市)の移転先として愛媛東温工場(愛媛県東温市)の建設に着手、2023年2月には日藤ダンボール株式会社(埼玉県桶川市)を子会社化し段ボール事業を強化した。

 

海外においては、2022年5月、欧州の事業展開に一層注力するためレンゴー・ヨーロッパ社(ドイツ)を設立。6月に同社とトライコー社(ドイツ)を通じて同国の重量物包装資材メーカーであるティム・パッケージング・システムズ社を子会社化(新社名:トライコー・パッケージング・システムズ社)する一方、8月にはトライウォール社(香港)が英国の段ボールメーカーを子会社化するとともに9月には米国の重量物包装資材メーカーの事業を取得するなど、グローバル化を推し進める重量物包装資材事業のさらなる拡充を図った。

ESG経営における環境への取組みは、“Less is more.”をキーワードに掲げる当社グループとして最も優先すべき課題であり、2030年度におけるCO2排出量削減目標「2013年度比46%削減」(エコチャレンジ2030)に向け、2022年8月に尼崎工場(兵庫県尼崎市)においてバイオマス焼却設備を更新し都市ガス使用量の削減を図るとともに、10月には八潮工場(埼玉県八潮市)に次ぐ2基目の発電用バイオマスボイラを利根川事業所(茨城県坂東市)にて稼働開始した。
 この結果、当連結会計年度の売上高は、846,080百万円(前期比113.3%)、営業利益は25,957百万円(同78.0%)、経常利益は28,682百万円(同78.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益は20,425百万円(同72.5%)となった。主な内容は次のとおりである。

売上高については、食品や通販・宅配分野で需要が好調を維持したほか、前年から取り組んできた製品価格の改定が寄与したことにより増収となった。
 営業利益、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益については、原燃料価格の高騰や固定費の増加等により減益となった。

当連結会計年度の売上高経常利益率については、3.4%と目標を2.6ポイント下回った。これは主に原燃料価格の高騰等によるものであるが、現在、当該コストアップを回収できる適正な製品価格の水準の維持に努めている。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。

 

[板紙・紙加工関連事業]
 板紙・紙加工関連事業については、製品価格の改定により増収となったものの、エネルギーおよび古紙価格上昇の影響により減益となった。
 この結果、当セグメントの売上高は483,851百万円(同107.8%)、営業利益は14,314百万円(同63.2%)となった。
 
 主要製品の生産量は、次のとおりである。
 (板紙製品)
 板紙製品については、内需の鈍化、低調な輸出の影響を受け、生産量は2,523千t(同97.6%)となった。
 (段ボール製品)
 段ボール製品については、食品や通販・宅配向けなどの底堅い需要に支えられ、生産量は段ボール4,336百万㎡(同99.5%)、段ボール箱3,607百万㎡(同100.4%)となった

 

 

[軟包装関連事業]
 軟包装関連事業については、製品価格の改定および連結子会社の増加により増収増益となった。
 この結果、当セグメントの売上高は115,512百万円(同122.9%)、営業利益は2,987百万円(同144.7%)となった。
 

[重包装関連事業]
 重包装関連事業については、製品価格の改定により増収となったものの、原料価格上昇の影響により減益となった。
 この結果、当セグメントの売上高は45,059百万円(同106.3%)、営業利益は1,124百万円(同69.3%)となった。
 

[海外関連事業]
 海外関連事業については、連結子会社が増加したことや欧州において価格改定が進んだことにより、増収増益となった。

  この結果、当セグメントの売上高は166,312百万円(同131.5%)、営業利益は6,009百万円(同123.1%)とった。

 

[その他の事業]
 その他の事業については、売上高は前年並みとなったが、原燃料価格上昇により減益となった
  この結果、当セグメントの売上高は35,345百万円(同100.4%)、営業利益は1,330百万円(同68.5%)とった。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりである。

 

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

 

セグメントの名称

生産高

前期比(%)

板紙・紙加工関連事業

 

 

板紙(千t)

2,523

97.6

段ボール(百万㎡)

4,336

99.5

段ボール箱(百万㎡)

3,607

100.4

海外関連事業

 

 

段ボール(百万㎡)

240

78.9

段ボール箱(百万㎡)

223

79.6

 

 

 

② 受注実績

当社グループにおいては、紙器機械等一部の事業で受注生産を行っているが、その重要性が乏しいため記載を省略している。
 その他の製品については、見込み生産を行っているか、受注生産であっても生産と販売の関連において製品の回転が極めて速く、月末(または期末)における受注残高が少ないため、記載を省略している。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

板紙・紙加工関連事業

483,851

107.8

軟包装関連事業

115,512

122.9

重包装関連事業

45,059

106.3

海外関連事業

166,312

131.5

その他の事業

35,345

100.4

合計

846,080

113.3

 

(注) 当連結会計年度において、海外関連事業の販売実績が著しく増加している。これは、トライウォールグループの業績が寄与したことに加え連結子会社が増加したことによるものである。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、主に受取手形及び売掛金、有形固定資産および無形固定資産の増加により、1,053,138百万円となり、前連結会計年度末に比べ118,793百万円増加した。
 負債は、主に長短借入金や支払手形及び買掛金の増加により667,405百万円となり、前連結会計年度末に比べ87,349百万円増加した。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加や、為替レートの変動に伴う為替換算調整勘定の増加により、385,732百万円となり、前連結会計年度末に比べ31,443百万円増加した。
 この結果、自己資本比率は35.4%となり、前連結会計年度末に比べ1.2ポイント低下した。また、1株当たり純資産額は1,505円09銭となった。

また、D/Eレシオについては1.1倍となり、目標の1.5倍以下を達成している。

 

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は70,912百万円となり、前連結会計年度末の残高と比べ13,077百万円増加した。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりである。
  営業活動による資金の増加額は46,066百万円(前連結会計年度に比べ11,287百万円の収入の減少)となった。主な内訳は、税金等調整前当期純利益30,857百万円、減価償却費44,848百万円、売上債権の増加16,808百万円、法人税等の支払額12,250百万円である。
  投資活動による資金の減少額は60,646百万円(前連結会計年度に比べ5,966百万円の支出の増加)となった。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出42,611百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社出資金の取得による支出14,138百万円である。

財務活動による資金の増加額は20,023百万円(前連結会計年度に比べ18,163百万円の収入の増加)となった。主な内訳は、長短借入金の純増額26,333百万円、社債の発行による収入10,000百万円、社債の償還による支出5,087百万円、配当金の支払額5,965百万円である。

資本の財源および資金の流動性について、当社グループは、資金調達については銀行借入および社債発行により行っている。また、キャッシュマネジメントサービスを国内子会社に導入しており、グループ全体における効率的な資金活用による有利子負債の削減と金融収支の改善を図っている。

 

(4) 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いているが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がある。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは第5「経理の状況」 1「連結財務諸表等」「注記事項」 (重要な会計上の見積り)、(追加情報)に記載している。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項なし。

 

 

6 【研究開発活動】

当社中央研究所において、製紙、段ボール、紙器、軟包装および機能材の各事業とその周辺領域に研究開発の中心を置き、地球環境に配慮した独創的で付加価値の高い新商品と新技術の開発を進めている。また、当社パッケージング部門技術開発本部および包装システム開発推進本部において、紙器機械の開発・改良を進めている。さらに、情報システム本部において、新規の情報技術の開発を進めている。

サン・トックス株式会社では軟包装関連事業において、顧客と連携しながら環境に配慮した食品包装用フィルムの新製品開発および品質改良を行っている。

日本マタイ株式会社では国内の重包装関連事業において、江蘇中金瑪泰医薬包装有限公司では海外の軟包装関連事業において、それぞれ安全・環境への配慮と市場の要求に沿って、新製品の開発および品質改良を行っている。

当社グループでの研究開発費の総額は2,066百万円である。

 

(1) 板紙・紙加工関連事業

当社において、段ボール原紙の紙力増強や白板紙の品質向上技術、CO2排出量削減に向けた段ボール貼合接着剤の開発、ならびにデジタル印刷の周辺技術の開発を進めている。また、生産工程における省人化と生産性向上を目指しDX化の研究を行っている。
 さらに当社で使用する紙器機械について、他社にない独自の機械装置・システムの開発を通じて、品質・生産性向上、省力・省エネ、作業環境の改善等に取り組んでいる。当連結会計年度において注力したのは、生産性向上設備としては、開発中の高精度ロータリーダイカッタラインを、新名古屋工場に据え付け生産設備として活用すべくさまざまな検証を行っている。検査装置としては、印刷情報・罫線情報など検査に必要な情報が入ったPDFファイルと連携できる検査装置の開発や、以前から運用している印刷検査装置の検査精度の向上である。管理装置としては、開発した次世代コルゲータ管理装置のRYCC-DXの水平展開・機能拡充を行った。作業環境の改善としては、引き続き工場の暑さ対策に取り組み、工場の吸排気設備を正常化するとともに、各工場の製造現場に適合した空調設備を水平展開中である。

加えて、当社は物流課題対応として、製紙工場の物流部門を支援するシステム開発を実施した。これは、板紙製品を輸送するトラックに対し、積載効率の良い製品組合せを自動で算出するものである。
 当事業にかかる研究開発費は1,074百万円である。

 

(2) 軟包装関連事業

当社において、ペットボトル飲料などのボトル用ラベルは、バリアブル印刷や環境配慮型ラベルなど多様化するニーズに対応した開発を進め展開している。また、「3R+リニューアブル」を基本とするプラスチックの資源循環に向けた取組みを進めている。海洋プラスチック問題に対応するため、当社で生産しているセロファンや紙と生分解性樹脂などを組み合わせた生分解性と高バイオマス度を有するパッケージシリーズ「REBIOS(レビオス)」を開発・上市し、拡販に向けて取り組んでいる。なお、使用済み軟包装のリサイクル技術の開発にも着手している。

 

サン・トックス株式会社において、主に食品包装に使用される二軸延伸ポリプロピレンフィルム製品ならびに無延伸ポリオレフィンフィルム製品の開発を行っている。環境問題に対応するため、化石原料由来プラスチック減容化に向けたフィルム薄膜化や温室効果ガス排出低減に向けたバイオマス原料を使用したバイオマスフィルム製品の開発を推進し、顧客との連携を密にして新規アイテムを継続的に市場投入している。

当事業にかかる研究開発費は291百万円である。

 

(3) 重包装関連事業

日本マタイ株式会社において、機能性フィルム、樹脂加工製品、ラミネート製品および重包装製品の開発を行っている。

機能性フィルム・樹脂加工製品においては、既存製品にコーティング技術で機能を付与した製品開発として、「塗装代替フィルム」「自動車フロントガラス用保護フィルム」等を進め、本格的に装飾・加飾分野での製品展開を図っている。
 また、混練技術で新たな機能付与を目的としてコンパウンドマシンを導入予定で、重包装分野においても、反射機能、導電機能等を付与した機能製品の開発等を進めている。

そしてラミネート製品関係においては、生分解性プラスチック、バイオマス由来のプラスチック案件に加え、モノマテリアル、リサイクルを意識した軽包装製品および紙製品の開発、製品展開を進めている。

当事業にかかる研究開発費は336百万円である。

 

(4) 海外関連事業

江蘇中金瑪泰医薬包装有限公司において、主力事業である医薬品向けPTP包装用アルミフィルムの水溶性接着剤の実用化に向けた生産工程の研究およびハイバリアコート剤の研究など環境対応型製品を継続して研究している。また、海外輸入原材料から中国製原材料に切替えを促進するための研究および製薬メーカー各社から要望される医療医薬用包装材料の課題に対して研究開発を進めている。

当事業にかかる研究開発費は29百万円である。

 

(5) その他の事業

当社において、木材の主成分であるセルロースを素材とする球状粒子「ビスコパール®」、カラシ・ワサビ成分を用いた天然系抗菌防カビ剤「ワサヴェール」、パルプ繊維内部でゼオライトを高密度に結晶化させた高機能繊維「セルガイア」など、これまでに開発してきた環境と機能を両立した素材を応用した商品開発に取り組んでいる。「ビスコパール®」はセロファンとともに海洋生分解性の国際認証「OK biodegradable MARINE」を取得し、海洋プラスチック問題に貢献するマイクロプラスチックビース代替素材として注目されている。さらなる用途拡大を図るべく、研究開発を進め小粒径の「ビスコパール®」の製造技術を開発し、年間120tを生産するプラント設備を導入し、稼働中である。また、当社が有するセロファン製造技術を応用した木材パルプ由来の機能性素材であるセルロースナノファイバー「RCNF」の事業化を目指し、製造実証と用途開発を進めサンプルワークを行っている。

 

さらに、通販市場では新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機とし、人手に頼らないライン稼働の要望が強くなってきていることから、当社において、ロボットを使用したピッキング、緩衝材投入、ケース封函、送り状自動貼付けのオール自動化ラインを検討し、開発に着手した。また、2022年度の国際物流総合展では、Mujin社とタイアップし、ロボットパレタイザーによるカゴ車への積み付けまでを連動させる自動化ラインを披露した。

通販事業は昼夜問わず稼働をするため止められないラインとなっていることから、設備の動作状況をモニタリングし、データを蓄積し、異常をAIにて判定する仕組みと監視カメラを使用した故障予兆およびトラブル対応システムの開発に着手した。最新のデジタル環境システムのサポートにより、当社独自の「止まらない設備」をアピールし出荷停止リスク低減という安心を提供している。

当事業にかかる研究開発費は335百万円である。