第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における世界経済は、米国経済では雇用の回復が続きましたが、中国経済をはじめとするアジア新興国経済に減速の動きが見られました。国内経済においては、輸出・生産は上向きつつあるものの、個人消費は賃金が伸びず弱含みとなり、景気の先行きは不透明な状況です。

紙パルプ業界においても、板紙の内需は堅調に推移しているものの、新聞用紙・印刷用紙をはじめとする紙の内需は減少しており、さらに古紙価格や円安に伴いチップ及びパルプの価格が上昇したことから、引き続き厳しい事業環境となりました。

このような状況の中で、当社グループの各工場で全員参加によるコスト低減を推し進めるとともに、洋紙事業では、塗工紙から非塗工紙・包装用紙へのシフト、平判販売比率アップ等市場動向に対応した生産・販売品種へのシフトを進めています。板紙・段ボール事業では、平成26年10月に稼動したいわき大王製紙株式会社の新マシンによる増産と品揃え効果が通年で寄与したことに加え、大王パッケージ株式会社を1社13工場体制としたことによる統合効果発現と戦略的設備投資による段ボールの生産・販売体制の強化を推進しています。

また、ホーム&パーソナルケア事業の国内市場においては、衛生用紙では、平成27年9月に可児工場のティシュー生産設備の増設が完了し、ファーストブランドであるエリエールティシューや付加価値品の増産・拡販が順調に進んでいます。加工品では、平成27年春にリニューアルしたベビー用紙おむつ・軽失禁商品の拡販及び平成27年秋に上市したウェット新商品の販売が好調であることに加え、平成27年12月にエリエールプロダクト株式会社の新工場(福島県いわき市)が稼動し、拡販が進みました。

海外市場においては、「大王(南通)生活用品有限公司」ではベビー用紙おむつのプレミアムゾーンでの販売拡大に向け、生産ラインを増設し、「エリエールインターナショナルタイランドCo.,LTD」では、工場倉庫の増築により、物流費の削減に繋がっています。内需拡大が著しいインドネシアの生産子会社「PT.エリエールインターナショナルマニュファクチャリングインドネシア」では、平成27年12月にベビー用紙おむつの新工場が完成した後、平成28年3月から販売を開始しました。また、韓国・中国・台湾を中心に大人用紙おむつ「アテント」の本格販売を開始する等、アジアを中心にさらなる販路の拡大を図っています。

 

当連結会計年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。

連結売上高

474,077

百万円

(前年同期比

5.3%増

)

連結営業利益

24,323

百万円

(前年同期比

11.6%増

)

連結経常利益

21,259

百万円

(前年同期比

2.4%減

)

親会社株主に帰属する連結当期純利益

14,594

百万円

(前年同期比

10.5%増

)

 

 

セグメントの業績は、次のとおりです。

なお、各事業セグメントの業績をより適切に把握するため、当連結会計年度より全社費用を各事業セグメントに配賦することとしました。この変更に伴い、前連結会計年度のセグメント利益についても、変更後の利益の算定方法により作成しています。

 

① 紙・板紙

売上高

299,962

百万円

(前年同期比

3.4%増

)

セグメント利益

10,473

百万円

(前年同期比

4.0%増

)

 

新聞用紙については、新聞の頁数は横ばいとなりましたが、発行部数減少の影響により、販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。

印刷用紙の国内需要は縮小しましたが、高付加価値品の拡販及び品種構成改善により、販売数量は前年同期を上回りました。また、販売金額についても販売数量増加及び前期の価格修正を推し進めたことで前年同期を上回りました。

 

板紙・段ボールは、通販や加工食品分野の伸長に加え、いわき大王製紙株式会社の新マシン稼動が通年で寄与したことで、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。

 

② ホーム&パーソナルケア

売上高

158,904

百万円

(前年同期比

8.2%増

)

セグメント利益

10,365

百万円

(前年同期比

12.6%増

)

 

衛生用紙は、国内市場における付加価値品への販売シフトに加え、平成27年秋にリニューアルした主力商品「エリエールティシュー」が好調に推移したことが寄与し、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。

大人用紙おむつは、夜用を中心とした高機能パッドの拡販に加え、「アテントさらさらパンツシリーズ」のリニューアルが寄与し、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。

ベビー用紙おむつは、平成27年春の『肌へのやさしさ』に拘った全面リニューアルの効果と、適正価格での販売実現に取り組んだ結果、販売数量・金額ともに前年同期を大きく上回りました。

フェミニンケア用品は、夜用ナプキン「elis 朝まで超安心」を軸に店頭露出拡大と、主力商品「新・素肌感」の適正価格での販売実現への取組みに加え、軽失禁商品「ナチュラ さら肌さらり」の配荷拡大を進めた結果、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。

ウェットワイプは、平成27年秋に発売した新商品トイレクリーナー「キレキラ!」の配荷及び販売が好調だったことに加え、連続して投入した企画品も好調に推移し、販売数量・金額ともに前年同期を大きく上回りました。

海外事業は、ルーブル安に伴う現地景気停滞の影響により、ロシアへの輸出販売が前年同期を下回りましたが、現地に拠点を有する韓国、中国、タイ、インドネシアのベビー用紙おむつの販売が順調に推移し、海外売上全体で販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。特に韓国、台湾での販売は前年同期を大きく上回り、中国でもパンツタイプやスーパープレミアムゾーンの「GOO.N 天使シリーズ」が伸長しました。またタイ及び周辺国においてもエコノミーゾーンをターゲットにしたセカンドブランド「GOO.N FRIEND」が伸長しました。さらに、平成28年1月には需要が大きいベトナム・マレーシアにエリエールインターナショナルタイランドCO.,LTDの駐在事務所を開設し、4月には複合的な商品展開を進めていくため、台湾に当社の出張所を開設しました。

 

③ その他

売上高

15,211

百万円

(前年同期比

13.8%増

)

セグメント利益

3,153

百万円

(前年同期比

52.2%増

)

 

主に売電事業、機械事業、木材事業であり、当期は売電、チップ販売の増加により、販売金額・セグメント利益は前年同期を上回りました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して3,096百万円増加し、72,169百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、47,011百万円の収入(前連結会計年度比2,271百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益21,997百万円及び減価償却費26,988百万円によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、26,073百万円の支出(前連結会計年度比2,508百万円の増加)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出33,958百万円及び投資有価証券の売却による収入5,155百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、17,475百万円の支出(前連結会計年度比11,954百万円の増加)となりました。これは主に、転換社債型新株予約権付社債の発行による収入30,150百万円、長期借入れによる収入73,137百万円、長期借入金の返済による支出97,118百万円、社債の償還による支出15,020百万円及び利息の支払額5,200百万円によるものです。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

紙・板紙

259,613

103.5

ホーム&パーソナルケア

105,821

106.2

報告セグメント計

365,434

104.2

その他

15,591

102.4

合計

381,025

104.2

 

(注) 金額は製造原価によっています。

 

(2) 受注状況

紙・板紙事業及びホーム&パーソナルケア事業の製品については、需要を予測して見込生産を行っており、特に受注生産は行っていません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

紙・板紙

299,962

103.4

ホーム&パーソナルケア

158,904

108.2

報告セグメント計

458,866

105.0

その他

15,211

113.8

合計

474,077

105.3

 

(注) セグメント間の取引については相殺消去しています。

 

なお、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がないため、「相手先別の販売実績」は記載していません。

 

 

3 【対処すべき課題】

平成27年5月に公表しました、平成29年度を最終事業年度とする第2次中期事業計画の経営目標達成に向け、グループ一体となった取組みを進めています。

現在推進中の重点取組み事項は以下のとおりです。

 

(グループ共通施策)

(1) コンプライアンス体制及びコーポレートガバナンス体制の強化

リスク管理及びコンプライアンスの強化・維持方策については、「コンプライアンス委員会」において、リスク対応策の一元的管理、並びにリスクの重要性に応じた対応策について、審議及び意思決定を行っています。

コーポレートガバナンス体制の強化については、平成27年6月より適用が開始された企業統治指針「コーポレートガバナンス・コード」の趣旨を踏まえた上で、より一層のコーポレートガバナンスの充実に取り組むことで、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上が実現できるものと認識しています。

当社のコーポレートガバナンスに関する基本的な考え方を明らかにするため、平成27年10月27日に「コーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定し、公表しました。また、同年11月11日には株式会社東京証券取引所に「コーポレートガバナンス報告書」を提出しており、本ガイドラインに沿った取組みの実践を通じて、健全で持続的な企業の発展を目指しています。

 

(2) 組織統合・業務改革による事業の強化と収益改善

当社は経営基盤の再構築を進めていく上で、管理スパンの拡大、スタッフ部門の統廃合等の組織見直し、業務改革を進めることにより業務効率を高めています。また、平成25年4月1日付で段ボール会社・販売会社等の子会社27社を8社に、平成26年4月1日付で印刷会社の子会社4社を1社に集約し、平成27年4月1日付で段ボール会社4社を1社に統合しました。

今後も組織見直しによる効率化を継続し、さらにグループの間接部門業務の生産性向上に向け、業務の標準化・集約化・BPO化を通じて、コスト低減だけでなく、人材の育成、業務品質の向上、内部統制の強化を推進していきます。

 

(3) 財務体質の改善

収益の拡大を図ることに加え、保有資産の効率的な運用や棚卸資産・売上債権の圧縮、キャッシュ・マネジメント・システムの一層の機能充実による資金効率化等により、引き続き有利子負債の削減並びに自己資本比率の向上に努めていきます。

 

(事業別施策)

(1) 洋紙事業の構造転換と徹底したコスト低減

多様なパルプを生産し、複数の品種を生産できる抄紙機の特性を活かして、塗工紙から非塗工紙・包装用紙へのシフト、平判販売比率アップ等市場動向に対応した生産・販売品種へのシフト等の収益構造の転換を進めてきました。さらに、平成25年度にスタートさせた当社独自の収益改善手法による全員参加での収益改善活動を一層強化し、洋紙事業の環境変化に対応しながら、継続した製造原価低減を進めていきます。

 

(2) 板紙・段ボール事業の強化

板紙事業では、平成26年10月のいわき大王製紙株式会社の新マシン稼動により三島工場と併せた東西両拠点からの主要全品種の安定供給体制を確立しました。今後、さらなる品質向上と製造原価低減に取り組みます。段ボール事業では、大王パッケージ株式会社を1社13工場体制としたことで、運営一体化を進めています。平成27年度は品質向上・原価低減・売上拡大を目的とした製函機と印刷機の増設・更新を5工場で実施しました。今後も各工場に戦略的設備投資を順次実行し、生産・販売体制を強化していきます。

 

 

(3) ホーム&パーソナルケア事業の収益拡大

① 国内

ホーム&パーソナルケア紙製品事業は、当社がトップシェアを有する分野です。可児工場における生産設備の増強や、ファーストブランドであるエリエールティシューのリニューアル商品の拡販、高付加価値商品への販売シフトが順調に進み、収益力向上に繋がっています。加工品事業は、平成27年秋に新発売したウェット新商品を中心に新商品・リニューアル商品の販売が好調です。また、エリエールプロダクト株式会社の新工場(福島県いわき市)を中心に、さらなる生産設備の増強を進めていきます。

 

② 海外

紙おむつの市場拡大が続く中国の「大王(南通)生活用品有限公司」では、ベビー用紙おむつのプレミアムゾーンの生産ラインを増強し、順調に販売を伸長させています。また、内需拡大が著しいインドネシアでは、平成27年12月に「PT.エリエールインターナショナルマニュファクチャリングインドネシア」にてベビー用紙おむつの生産を開始し、「エリエールインターナショナルタイランドCo.,LTD」の輸入製品からの切り替えを進めています。また、インドネシアの工場は、イスラム法で合法であること、清潔・安全・高品質であることを意味する「ハラル認証」を紙おむつ市場で初めて取得し、現地ニーズにあった商品展開を推進できるようになりました。

ベビー用紙おむつは、高価格帯のプレミアムゾーンに加え、タイで販売を開始している中・低価格帯のエコノミーゾーンの商品を、ロシア・台湾・韓国に販売エリアを広げ、より幅広いゾーン別の展開を進めていきます。フェミニンケア用品や大人用紙おむつ等、ベビー用紙おむつ以外のカテゴリーの商品の販売も強化し、日本国内で当社がこれまで行ってきたように、紙製品・紙加工品の複合展開に取り組んでいきます。

さらに、ベトナム・マレーシア・台湾には出張所・駐在所を開設し、中国・タイ・台湾・ロシア等の各国においては販売体制を整備・強化したことにより、配荷店舗を拡大して売れる仕組みを作り上げ、販売拡大のスピードを上げていきます。

 

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書等に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重大な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 需要・市況変動による影響

当社グループは、紙・板紙事業、ホーム&パーソナルケア事業及びその他の事業を行っていますが、主力製品である紙・板紙製品及び家庭紙製品の需要が大幅に減少した場合や、製品市況が下落した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原燃料価格変動、及び為替相場の変動による影響

当社グループは木材チップ・古紙・薬品・重油・石炭等の原燃料を国内及び海外から購入しており、原燃料価格の変動に加え、外貨建てで取引されている原燃料の調達に関しては為替相場の変動も、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、為替相場変動については海外での販売活動にも影響を与える可能性もあります。

 

(3) 海外事業による影響

当社グループは成長戦略のひとつとして、ホーム&パーソナルケア事業部が中心となって主に中国・韓国・ロシア・東南アジア等での事業展開に取り組んでいますが、海外における事業展開には為替相場の変動や現地政府による規制、政治不安等による経済環境の変化等が発生するリスクがあり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 金利変動による影響

当社グループは有利子負債の削減に取り組んでいますが、大幅な金利の上昇が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 投資有価証券の価格変動による影響

時価のあるその他有価証券は決算日の市場価格等に基づく時価法により評価するため、決算日の株価によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 災害による影響

当社グループの生産及び物流拠点がある地区において災害が発生した場合には、生産設備の破損、操業の中断や遅延及び復旧費用の発生、物流機能の停止、製品・商品の滅失等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 訴訟等による影響

当社グループは、各種法令、環境規制及び社会的規範の遵守等、コンプライアンス体制の強化に取り組んでいますが、国内外の事業活動において、これら法令等に関連した訴訟等のリスクを負っています。訴訟等の結果によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 財務制限条項の付された借入契約による影響

当社は、シンジケーション方式タームローン契約を締結していますが、この契約には各年度の決算期の末日における連結貸借対照表の純資産の部の金額や、各年度の決算期における連結損益計算書の経常損益を基準として財務制限条項が付されており、これに抵触した場合には借入金の返済を求められ、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(9) 固定資産の減損会計による影響

当社は、有形固定資産やのれん等の固定資産を保有していますが、これらの資産については減損会計を適用し、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローによって資産の残存価額を回収できるかどうかを検証しており、減損処理が必要な資産については適切に処理を行っています。しかし、将来の環境変化により将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合には、追加の減損処理により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、ユーザーニーズの変化に対応した商品の開発・改良に主眼を置き、高付加価値品の商品化、複合商品等、新規分野の開発及び薬品や新素材の研究開発を進めています。

当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は2,791百万円であり、紙・板紙事業及びホーム&パーソナルケア事業における研究開発活動の状況は、以下のとおりです。

 

(1) 紙・板紙事業

以下の項目を研究開発の主要課題と位置付け、商品開発に取り組んでいます。

平成25年4月に生産本部の技術開発部門を技術開発部へ統合した後、これまでの基礎技術研究の強化、新商品開発強化を図るとともに、コスト低減・品質向上強化を紙・板紙生産グループ全体への水平展開を図っています。さらに、将来の紙パルプ市況に鑑みて、セルロースナノファイバー等の新素材・新規機能材の開発を促進しています。

当連結会計年度における研究開発の取組みは以下のとおりです。

洋紙は、印刷・情報用紙、出版用紙、包装用紙について、他社との差別化を図るために嵩高、薄物、環境等のテーマや新技術への対応商品の開発をテーマとしています。実績として情報用紙はインクジェット対応商品の拡充、高白色を特徴としたPPC用紙の品揃え強化、印刷用紙はA2コート紙を中心に品質リニューアルを進めてきました。

機能材はコンビニエンスストア等において包材需要が見込める耐水耐油紙や色画用紙の新色追加等の付加価値を向上する商品開発を進めました。また、通気性を持たせた食品包装用途のヒートシール紙、香り付きフレグランスシート、工程用保護フィルムシートの開発を行いました。

新規事業はセルロースナノファイバーの研究開発を進め、平成28年4月には三島工場内でのパイロットプラント設備を稼働させ、パイロットプラント規模での生産技術確立、用途開発を進めています。

紙・板紙事業に係る研究開発費は、1,336百万円です。

 

(2) ホーム&パーソナルケア事業

以下の項目を研究開発の主要課題と位置付け、商品開発に取り組んでいます。

衛生用紙、大人用紙おむつ、ベビー用紙おむつ、フェミニンケア用品、ウェットワイプの国内市場においては、顧客ニーズを掴む商品開発と新技術開発を推し進めることで、商品開発の底上げを行います。また、海外市場においては、これまでに培ってきたブランド力・技術力を活かし、現地ニーズや使用実態に合わせた商品開発を進め、収益力向上を図っていきます。

当連結会計年度における研究開発の取組みは以下のとおりです。

衛生用紙のティシューペーパーでは、主力商品「エリエールティシュー」を2種類の柔軟剤によりきめ細やかな滑らかさで、鼻が赤くなりにくい商品にリニューアル上市し、東北大学との共同研究で、業界初の新たな評価の指標「肌への摩擦指数」を開発し、その新しい知見を品質改良に活かしました。また、トイレットペーパーでは便臭にも効果がある新香料を採用した「消臭+トイレット」をリニューアル上市しました。

大人用紙おむつでは、はいている事を忘れるくらいのはき心地を実現した超うす型パンツタイプの「アテントスポーツパンツ」の開発により、おむつへの抵抗感を無くし、紙おむつに新しい市場と世界感が出せるようにしました。

ベビー用紙おむつ「GOO.N」では、ベビー用と大人用の中間サイズとして展開する「スーパーBIG」の全シリーズ(テープ式、パンツ式、パッド式)をリニューアルし、足回りのギャザーを改善して、さらにもれにくいおむつへ進化させました。

軽失禁商品では、天然コットン100%の表面材を採用した「ナチュラ さら肌さらりコットン100%」を新登場させることで、様々な軽失禁症状に対応できるようにしました。

ウェットワイプでは、今までの当社品に比べ、3倍の破れにくい厚手で丈夫なシートを新開発し、1枚でトイレを丸ごと掃除できるトイレクリーナー「キレキラ!」を新発売しました。

ホーム&パーソナルケア事業に係る研究開発費は、1,317百万円です。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度の財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況及び次期の見通しの分析は以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、次期の見通しについては、不確実性、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と乖離する可能性があります。

 

(1) 財政状態の分析

総資産は、前連結会計年度末に比べ3,565百万円増加し、656,310百万円となりました。主な増減要因は、受取手形及び売掛金の増加4,474百万円、商品及び製品の増加3,894百万円、建物及び構築物(純額)の増加5,158百万円、機械装置及び運搬具(純額)の増加2,661百万円、のれんの減少5,537百万円及び投資有価証券の減少6,645百万円です。

負債は、前連結会計年度末に比べ6,760百万円減少し、481,490百万円となりました。主な増減要因は、転換社債型新株予約権付社債の増加30,135百万円、長期借入金(1年内返済予定のものを含む)の減少23,981百万円及び社債(1年内償還予定のものを含む)の減少15,020百万円です。

純資産は、前連結会計年度末に比べ10,325百万円増加し、174,820百万円となりました。主な増減要因は、利益剰余金の増加13,360百万円及びその他有価証券評価差額金の減少4,353百万円です。また、自己資本比率は前連結会計年度末に比べて1.2ポイント上昇し、24.9%となりました。

 

(2) 経営成績の分析

① 売上高

売上高は、前連結会計年度に比べ23,838百万円増加(5.3%増)し、474,077百万円となりました。主な増加要因は、紙・板紙事業における高付加価値品の拡販及びホーム&パーソナルケア事業におけるベビー用紙おむつの全面リニューアル並びに海外子会社での生産・販売体制を強化したことによるものです。

② 経常利益

経常利益は、前連結会計年度に比べ525百万円減少(2.4%減)し、21,259百万円となりました。主な減少要因は、円安に伴う原燃料価格の上昇等によるものです。

この結果、売上高経常利益率は前連結会計年度に比べ0.3ポイント減少し、4.5%となりました。

③ 特別損益

特別利益は、前連結会計年度に比べ3,298百万円増加し、4,138百万円となりました。主な内訳は、投資有価証券売却益3,729百万円です。

特別損失は、前連結会計年度に比べ1,851百万円減少し、3,400百万円となりました。主な内訳は、減損損失1,564百万円、固定資産除売却損894百万円及びのれん償却額346百万円です。

④ 親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ1,385百万円増加し、14,594百万円となりました。1株当たり当期純利益金額は前連結会計年度から6円67銭増加し、100円15銭となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載しています。

 

(4) 次期の見通し

紙パルプ業界においては、洋紙の需要減少と紙・板紙の市況軟化が懸念されるとともに、原材料価格と為替の動向が不透明であり、引き続き厳しい状況が続くものと予想されます。

このような状況の中で、平成27年度から29年度の3年間を対象期間とする第2次中期事業計画の2年目となる平成28年度は、グループ一体でさらなる原価低減に取り組むとともに、洋紙事業の構造転換、板紙・段ボール事業の強化、ホーム&パーソナルケア事業の成長加速等の施策を推進することにより、売上高拡大と収益力向上及び財務体質改善を図り、より強固な経営基盤・企業体質を確立していきます。