第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における世界経済は、米国での雇用情勢の改善や、中国での政策効果により個人消費が堅調に推移したこと等により、緩やかに回復しました。一方で、米国の新政権の政策運営、欧州主要国で予定されている国政選挙を含めた政治・経済情勢等により、先行き不透明な状況です。また、国内経済は、底堅い企業業績・個人消費に加えて雇用情勢も堅調に推移しており、緩やかな回復基調が継続しています。

紙・パルプ業界においては、板紙の内需は堅調に推移しているものの、新聞用紙・印刷用紙をはじめとする紙の内需は減少し続けており、さらに足元では古紙価格が上昇し、引き続き厳しい事業環境となりました。

当事業年度において、洋紙事業については、出版物・カタログ等の塗工紙需要が減少する中で、非塗工紙・情報用紙・包装用紙への販売品種シフトを推進しています。卸商会「DAIO Partner Ship サクラテラス」を中心とした卸商業態への拡販が進み、平判品等の拡販に繋がりました。また、板紙・段ボール事業については、引き続き通販・加工食品分野等の需要が伸長する中で、生産・販売数量が増加しており、今後更なる品質向上・原価低減を進めていくとともに、段ボール事業での戦略的設備投資による生産・販売体制の強化に取り組みます。

ホーム&パーソナルケア事業の国内事業においては、衛生用紙では、平成28年5月に可児工場にてキッチンタオルの生産設備を増設し、キッチンタオルの増産・増販、「消臭+トイレット」や「i:na(イーナ)倍巻きトイレット」等の付加価値品の拡販が順調に進みました。吸収体においても、市場が伸長する大人用紙おむつ・軽失禁商品の販売が好調に推移しています。また、平成28年4月にエリエールプロダクト株式会社での「GOO.N 肌にやさしいおしりふき」の設備新設による拡販に加えて、トイレクリーナー・除菌ウェットの拡販も計画通り進んでおり、生理用ナプキンもリニューアルにより販売が伸長しています。

さらに、海外事業においては、中国で急速に市場が伸長しているベビー用紙おむつパンツタイプの生産ラインを増設し、生産・販売を開始しています。また、当事業年度に販売を開始した韓国のフェミニンケア用品、タイのウェット商品等、海外事業の複合化に向けた商品カテゴリーの拡大が順調に進んでいます。

 

当連結会計年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。

連結売上高

477,140

百万円

(前年同期比

0.6%増

連結営業利益

23,535

百万円

(前年同期比

3.2%減

連結経常利益

21,347

百万円

(前年同期比

0.4%増

親会社株主に帰属する当期純利益

12,136

百万円

(前年同期比

16.8%減

 

 

セグメントの業績は、次のとおりです。

 

① 紙・板紙

売上高

291,953

百万円

(前年同期比

2.7%減

セグメント利益

10,027

百万円

(前年同期比

4.3%減

 

新聞用紙は、新聞の発行部数減少傾向の中、販売数量・金額ともに前年同期並となりました。

新聞用紙を除く洋紙事業の国内需要は前年から2%の減少となりました。当社は販売品種構成とユーザー構成改善により販売数量は前年同期並でしたが、販売金額は国内市況価格下落から前年同期を下回りました。

板紙・段ボールは、天候不順による青果物の需要減少があったものの、通販や加工食品分野等の伸長もあり、販売数量は前年同期を上回りましたが、販売金額は販売先や販売品種構成の変化により前年同期を下回りました。

セグメント利益は、工場での設備改造によるクラフトパルプの増産効果及び、エネルギー、薬品等のコスト低減と円高による原燃料コストの減少がありましたが、販売価格が下落したことにより、前年同期を下回りました。

 

 

② ホーム&パーソナルケア

売上高

168,820

百万円

(前年同期比

6.2%増

セグメント利益

10,110

百万円

(前年同期比

2.5%減

 

衛生用紙は、国内市場における付加価値品への販売シフトを進め、平成28年秋にリニューアルした「贅沢保湿ティシュー」の販売も好調に推移したことが寄与し、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。

大人用紙おむつは、伸縮フィルムを採用して布下着のような履き心地を実現し、他社との大幅な差別化要素を持った「アテント スポーツパンツ」の投入や夜用高機能パッドの「アテント 夜1枚安心パッドシリーズ」のリニューアルを活用して拡販した結果、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。

ベビー用紙おむつは、新生児用・Sサイズをリニューアルし、入口サイズの拡販は進みましたが、インバウンド需要減少の影響を受け、国内市場では販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。 

フェミニンケア用品は、市場で伸長している吸水ライナー「ナチュラ」と付加価値の高いスリムゾーンの「elis Megami」を中心に拡販した結果、販売数量は前年同期を下回りましたが、販売金額は前年同期を上回りました。

海外事業は、主力のベビー用紙おむつの販売が順調に推移しています。最も市場規模の大きい中国では、スーパープレミアムゾーンの「GOO.N 天使シリーズ(テープタイプ)」が高評価を受けていること、パンツタイプの市場が著しく伸長していることを背景に、天使シリーズのパンツタイプを発売し、拡販が順調に進んでいます。内需拡大が著しいインドネシアでは、ベビー用紙おむつの現地生産を平成27年12月、現地生産品の販売を平成28年3月より開始し、需要構成比の5割を超えるミニマーケット業態を中心に販売が伸長しています。また、ベトナムやフィリピンでは大手販売店で新規に販売を開始し、ラオスやカンボジアでも新規配荷が進み、ASEAN諸国への販売が拡大しています。さらに、韓国と台湾ではフェミニンケア用品・大人用紙おむつ、タイではウェット商品の販売が進んでいることも寄与し、海外売上全体で販売数量・金額ともに前年同期を大きく上回りました。

セグメントの利益は、主に衛生用紙及びベビー用紙おむつの伸長により販売金額増となったものの、PT.エリエールインターナショナルマニュファクチャリングインドネシアの初期費用発生等により、前年同期を下回りました。

 

③ その他

売上高

16,367

百万円

(前年同期比

7.6%増

セグメント利益

3,113

百万円

(前年同期比

1.3%減

 

主に売電事業、機械事業、木材事業であり、セグメント利益はチップの販売は増加したものの、売電が減少し、前年同期を下回りました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して10,564百万円増加し、82,733百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、62,932百万円の収入(前連結会計年度比15,921百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益18,118百万円及び減価償却費29,017百万円によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、31,394百万円の支出(前連結会計年度比5,321百万円の増加)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出34,694百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、22,037百万円の支出(前連結会計年度比4,562百万円の増加)となりました。これは主に、長期借入れによる収入65,300百万円、長期借入金の返済による支出80,006百万円、短期借入金の純増減額(支出)7,200百万円、社債の発行による収入15,300百万円及び社債の償還による支出10,320百万円によるものです。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

紙・板紙

249,601

96.1

ホーム&パーソナルケア

107,591

101.7

報告セグメント計

357,192

97.7

その他

17,479

112.1

合計

374,671

98.3

 

(注)金額は製造原価によっています。

 

(2) 受注状況

紙・板紙事業及びホーム&パーソナルケア事業の製品については、需要を予測して見込生産を行っており、特に受注生産は行っていません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

紙・板紙

291,953

97.3

ホーム&パーソナルケア

168,820

106.2

報告セグメント計

460,773

100.4

その他

16,367

107.6

合計

477,140

100.6

 

(注)セグメント間の取引については相殺消去しています。

 

なお、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がないため、「相手先別の販売実績」は記載していません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、市場(顧客)に最も近く位置し絶えず時代の要請を迅速・的確にとらえ、着実で長期に安定した成長を持続するとともに、地球環境と調和したグローバルな事業活動を展開しています。この方針に基づき、株主・取引先・従業員・地域住民に信頼される企業集団として、社会の生活・文化・産業の発展に貢献することを基本理念としています。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、平成24年9月公表の「Restart ~ 確かな変革、更なる成長」をテーマとした第1次中期事業計画を達成したことを踏まえ、変革のスピードを加速させるため、平成27年4月に「Step-up ~ 飛躍と拡大」をテーマとする第2次中期事業計画をスタートさせました。

第2次中期事業計画では、洋紙事業の構造転換、板紙・段ボール事業の強化、ホーム&パーソナルケア事業の成長加速等の施策を推進するとともに、徹底したコスト低減、多様な人材活用等に取り組むことにより、収益力の向上と財務体質の改善を図り、より強固な経営基盤・企業体質を確立していきます。

また、平成29年4月に日清紡ホールディングス株式会社から取得した紙製品事業及び三浦印刷株式会社が当社グループに加わり、洋紙事業、ホーム&パーソナルケア事業におけるシナジー効果の早期発現の施策も推進していきます。

① 第2次中期事業計画の対象期間

平成28年3月期から平成30年3月期の3年間

 

② 経営目標(平成27年4月に設定した平成30年3月期の数値目標)

売上高      5,000億円

経常利益      250億円    (経常利益率5%)

純有利子負債   2,500億円未満

ネットD/Eレシオ   1.5倍

自己資本比率     28%

 

(3) 会社の対処すべき課題

現在推進中の重点取組み事項は以下のとおりです。

(グループ共通施策)

① コンプライアンス体制及びコーポレートガバナンス体制の強化

コンプライアンス体制については、リスク管理及びコンプライアンスの強化・維持のために、「コンプライアンス委員会」において、リスク対応策を一元的に管理するとともに、リスクの重要性に応じた対応策について、審議及び意思決定を行っています。

コーポレートガバナンス体制の強化については、「コーポレートガバナンス・コード」の趣旨を踏まえ、平成27年10月には「コーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定し、平成28年6月には当社グループの「経営理念」とそれを達成するための役職員の判断基準・取るべき行動を定めた「行動規範」を改訂しました。

さらに、すべての取締役及び監査役を対象に、取締役会の構成や運営に関する自己評価アンケートを実施し、その結果に基づいて、取締役会の実効性評価を行った上で、その評価結果の概要を「コーポレートガバナンス報告書」に記載し、平成28年7月に株式会社東京証券取引所に提出しました。

当該評価の結果、「取締役会に付議される事項を見直し、重要事項等について、取締役会における審議の更なる充実を図る。」として、更なる改善が必要であると判断し、平成28年10月に取締役会付議事項細則の見直しを実施しました。

今後も、コーポレートガバナンス体制の強化を通じて、健全で持続的な企業の発展を目指していきます。

 

 

② 組織統合・業務改革による事業の強化と収益改善

当社は経営基盤の再構築を進めていく上で、管理スパンの拡大、スタッフ部門の統廃合等の組織見直し、業務改革を進めることにより業務効率を高めています。

今後も上記の取組みを継続し、さらにグループの間接部門業務の生産性向上に向け、業務の標準化・集約化・BPO化を通じて、コスト低減だけでなく業務品質の向上、内部統制の強化を推進していきます。

 

③ 財務体質の改善

収益の拡大を図ることに加え、保有資産の有効活用や棚卸資産・売上債権の圧縮、キャッシュ・マネジメント・システムの一層の機能充実による資金効率化等により、引き続き有利子負債の削減並びに自己資本比率の向上に努めていきます。

 

(事業別施策)

① 洋紙事業の構造転換と徹底したコスト低減

多様なパルプと複数の品種を生産できる抄紙機を活用して、縮小する洋紙需要等、市場動向に対応した品種シフトと高収益商品への転換を進めています。塗工紙から非塗工紙・包装用紙へのシフトや平判販売比率増加等による収益構造の改善に継続して取り組んでおり、平成29年度には平判加工機の増設・稼動を予定しています。今後も営業・工場の一体運営を強化し、更なる製造原価低減を進めながら洋紙事業の体質改善を進めていきます。

また、日清紡ホールディングス株式会社から取得した紙製品事業及び三浦印刷株式会社が加わることで、製品ラインナップの補完・拡充、印刷事業の拡大に繋げ、洋紙事業の基盤を製紙部門と印刷部門の両面から強固にしていきます。

 

② 板紙・段ボール事業の強化

板紙事業では、三島工場といわき大王製紙株式会社の東西両拠点から主要全品種の安定供給体制を整えており、今後、全体最適を踏まえた生販バランスの確立と製造原価低減に取り組みます。段ボール事業では、生産性向上・売上拡大を目的とした設備投資を順次進めることで生産能力が向上しており、更なる販売体制の強化を進めていきます。

 

③ ホーム&パーソナルケア事業の収益拡大

[国内]

当社がトップシェアを有する衛生用紙事業においては、可児工場の設備増強による増産・増販、及び高付加価値品の拡販が順調に進みました。今後、日清紡ホールディングス株式会社から取得した紙製品事業が加わることで、さらに高付加価値品の構成比率を高め、拡販に取り組み、衛生用紙事業の基盤を強固にしていきます。

吸収体事業では、市場の伸長も背景に大人用紙おむつ・軽失禁商品の販売が好調です。また、各種ウェット商品の拡販が進んでいる他、生理用ナプキンもリニューアルにより販売が伸長しています。今後もリニューアルを通じた高付加価値品の拡販に取り組んでいきます。

 

[海外]

ベビー用紙おむつは、中国でパンツタイプの市場が拡大しており、生産ラインを増設して販売を強化しています。スーパープレミアムゾーンの「GOO.N天使シリーズ」については、当社の基本方針である「地産地消」の考えに沿って現地生産化を進めており、「現地生産のプレミアムブランド」の位置づけを強化し、品質志向のユーザーの評価を受けて販売数量を伸ばしています。

タイでは販売が好調な中、低価格帯のエコノミーゾーンの商品を、ベトナム・マレーシア等のASEAN諸国に販売エリアを広げ、より幅広いゾーン別の展開を進めています。

インドネシアでは、伝統的な小規模店舗向けに紙おむつの1枚パックを生産する体制を整え、配荷店舗を拡大しています。また、需要構成の5割を超えるミニマーケット業態においても、販売品種と配荷店舗を広げており、販売が伸長しています。

 

ベビー用紙おむつ以外のカテゴリーの商品は各国で販売を強化し、衛生用紙・吸収体の複合展開に取り組んでいます。すでに大人用紙おむつ、フェミニンケア用品の販売を開始している韓国や台湾では、商品仕様やパッケージ言語を変更した専売品を発売し、販売拡大を推進していきます。

タイでは、当事業年度に実施したフェミニンケア用品のテスト販売の結果が良好で、市場の安定的な伸長も見込まれることから、工場内にフェミニンケア用品の生産設備を新設し、平成29年7月より営業運転を開始する予定です。

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書等に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重大な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 需要・市況変動による影響

当社グループは、紙・板紙事業、ホーム&パーソナルケア事業及びその他の事業を行っていますが、主力製品である紙・板紙製品及び家庭紙製品の需要が大幅に減少した場合や、製品市況が下落した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原燃料価格変動、及び為替相場の変動による影響

当社グループは木材チップ・古紙・薬品・重油・石炭等の原燃料を国内及び海外から購入しており、原燃料価格の変動に加え、外貨建てで取引されている原燃料の調達に関しては為替相場の変動も、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、為替相場変動については海外での販売活動にも影響を与える可能性もあります。

 

(3) 海外事業による影響

当社グループは成長戦略のひとつとして、ホーム&パーソナルケア海外事業部が中心となって主に中国・韓国・ロシア・東南アジア等での事業展開に取り組んでいますが、海外における事業展開には為替相場の変動や現地政府による規制、政治不安等による経済環境の変化等が発生するリスクがあり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 金利変動による影響

当社グループは有利子負債の削減に取り組んでいますが、大幅な金利の上昇が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 投資有価証券の価格変動による影響

時価のあるその他有価証券は決算日の市場価格等に基づく時価法により評価するため、決算日の株価によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 災害による影響

当社グループの生産及び物流拠点がある地区において災害が発生した場合には、生産設備の破損、操業の中断や遅延及び復旧費用の発生、物流機能の停止、製品・商品の滅失等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 訴訟等による影響

当社グループは、各種法令、環境規制及び社会的規範の遵守等、コンプライアンス体制の強化に取り組んでいますが、国内外の事業活動において、これら法令等に関連した訴訟等のリスクを負っています。訴訟等の結果によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(8) 財務制限条項の付された借入契約による影響

当社は、シンジケーション方式タームローン契約を締結していますが、この契約には各年度の決算期の末日における連結貸借対照表の純資産の部の金額や、各年度の決算期における連結損益計算書の経常損益を基準として財務制限条項が付されており、これに抵触した場合には借入金の返済を求められ、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 固定資産の減損会計による影響

当社は、有形固定資産やのれん等の固定資産を保有していますが、これらの資産については減損会計を適用し、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローによって資産の残存価額を回収できるかどうかを検証しており、減損処理が必要な資産については適切に処理を行っています。しかし、将来の環境変化により将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合には、追加の減損処理により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1)  当社は、平成29年2月10日開催の取締役会において、日清紡ホールディングス株式会社(以下、「日清紡HD」といいます。)における紙製品事業の譲受を目的として日清紡ペーパープロダクツ株式会社(以下、「日清紡PP」といいます。)の全株式を取得することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結しました。締結した株式譲渡契約に基づき、平成29年4月3日に日清紡PPの全株式を日清紡HDより取得しました。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象) 1.取得による企業結合」に記載のとおりです。

 

(2)  当社は、平成29年2月27日開催の取締役会において、三浦印刷株式会社(以下、「三浦印刷」といいます。)の普通株式の全部(但し、三浦印刷が所有する自己株式を除きます。)及び平成27年9月30日開催の三浦印刷取締役会の決議に基づき発行された新株予約権の全部を取得し、最終的に三浦印刷を当社の完全子会社とすることを目的とした取引の一環として、三浦印刷に対する公開買付け(以下、「本公開買付け」といいます。)を実施することを決議しました。本公開買付けの結果、平成29年4月18日付で三浦印刷は当社の子会社となりました。

 なお、当社は平成29年4月20日付で三浦印刷の全株式を取得することを目的として、三浦印刷の株主の全員(但し、当社及び三浦印刷を除く)に対し、その保有する株式の全部を売り渡すことの請求を行っており、平成29年6月1日付で全株式を取得しました。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象) 2.取得による企業結合」に記載のとおりです。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、ユーザーニーズの変化に対応した商品の開発・改良に主眼を置き、高付加価値品の商品化、複合商品等、新規分野の開発及び薬品や新素材の研究開発を進めています。

当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は2,902百万円であり、紙・板紙事業及びホーム&パーソナルケア事業における研究開発活動の状況は、以下のとおりです。

 

(1) 紙・板紙事業

以下の項目を研究開発の主要課題と位置付け、商品開発に取り組んでいます。

平成25年4月に生産本部の技術開発部門を技術開発部への統合した後、これまでの基礎技術研究の強化、新商品開発強化を図るとともに、品質向上を進めることでの重点品種の拡販をユーザー視点で進めています。さらに、将来の紙パルプ市況を見越して、セルロースナノファイバー等の新素材・新規機能材の開発を新規事業として研究を進めて事業化を推進しています。

当連結会計年度における研究開発の取組みは以下のとおりです。

印刷・情報用紙、出版用紙、包装用紙について、他社との差別化を図るために嵩高、薄物、環境などの生産技術確立と需要に応じた生産マシンのシフトを進めています。実績として情報用紙はインクジェット対応商品の拡充、高白色を特徴としたPPC用紙の品揃え強化、印刷用紙はA2マットコート紙を中心に品質リニューアルを進めてきました。

 

段ボール原紙、包装用紙は需要が見込まれるFSC認証紙化を各工場で進めており、機能材の開発としては包材需要が見込める耐油性を持った機能紙の開発を行いました。

新規事業はセルロースナノファイバーの研究開発を進め、平成28年2月には三島工場内でのパイロットプラント設備を稼働させ、サンプル提供を進めるとともに、高配合成型体の開発、人工骨用途での応用、トイレクリーナー商品への配合といった事業化を進めました。なお、平成29年4月よりセルロースナノファイバーを主体にした新規事業は「新素材研究開発室」として組織変更して、さらに事業化へのスピードを上げます。

紙・板紙事業に係る研究開発費は、1,294百万円です。

 

(2) ホーム&パーソナルケア事業

以下の項目を研究開発の主要課題と位置付け、商品開発に取り組んでいます。

国内・海外含め売上拡大が期待されるホーム&パーソナルケア事業において、ユーザーニーズの変化に対応した商品の開発・改良に主眼を置き、付加価値品の売上比率を高めるべく開発を進めています。

国内・海外の市場変化に、これまで以上に素早く対応できるよう、従来、各カテゴリーに関係する工場に分散していた開発部門を東京本社に全て統合する組織体制の見直しを行いました。これにより、東京、栃木、静岡、愛媛2ヵ所の計5ヵ所に分散していた組織を1本化し、海外の開発への関わりを含めた業務の見直しや人員の配置、意思決定も含め効率的な見直しがタイムリーに且つスピーディーに実施可能な体制としました。

当連結会計年度における研究開発の取組みは以下のとおりです。

衛生用紙のペーパーハンドタオルでは、幼児の食中毒や感染症を嫌う母親の要望を受け、家庭内の二次感染を防ぎ、手洗い清潔習慣を促進する商品を開発し、「Plus+キレイペーパーハンドタオル」を新発売しました。

ベビー用紙おむつでは、マシュマロのようにやわらかい素材を開発し、赤ちゃんの敏感肌をやさしく包む付加価値品として、「GOO.N はじめての肌着マシュマロ仕立て」を新発売しました。

大人用紙おむつでは、足周りのモレを気にするユーザーに、足周りをすっぽり覆う一分丈の安心形状のパンツ式おむつを開発し、「アテント さらさらパンツうす型足周りガード」を新発売しました。さらに、寝たきりを防ぎ、起き上がる際の腹圧の苦しさを軽減する新機能を開発し、「アテント 背モレ・横モレも防ぐうす型下着感覚テープ式」を新発売しました。

フェミニンケア用品では、肌へのやさしさを当社従来品と比べて、172%向上させた凸凹表面材の開発により、ベタッと感の低減を求めた「elis Megami 素肌のきもち」をリニューアル発売しました。

ウエットワイプでは、売上が伸長しているトイレクリーナーにおいて、セルロースナノファイバーを世界で初めて配合した商品を開発し、「キレキラ! 目に見えない汚れまで徹底トイレおそうじシートナノEX」を新発売しました。また、たっぷり大容量で、家庭内や外出時の様々な場面で使用できる商品を開発し、「i:na(イーナ)いつでも使えるウエットティシュー」として「純水99%」、「除菌(ノンアルコール)」、「除菌(アルコール配合)」の3タイプを新発売しました。

ホーム&パーソナルケア事業に係る研究開発費は、1,523百万円です。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度の財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況及び次期の見通しの分析は以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、次期の見通しについては、不確実性、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と乖離する可能性があります。

 

(1) 財政状態の分析

総資産は、前連結会計年度末に比べ1,437百万円増加し、657,747百万円となりました。主な増減要因は、現金及び預金の増加8,286百万円、投資有価証券の増加3,047百万円、建設仮勘定の増加2,851百万円、商品及び製品の減少4,984百万円、のれんの減少4,598百万円及び受取手形及び売掛金の減少2,985百万円です。

負債は、前連結会計年度末に比べ14,822百万円減少し、466,668百万円となりました。主な増減要因は、社債(1年内償還予定のものを含む)の増加4,980百万円、長期借入金(1年内返済予定のものを含む)の減少14,706百万円及び短期借入金の減少7,200百万円です。

純資産は、前連結会計年度末に比べ16,259百万円増加し、191,079百万円となりました。主な増加要因は、利益剰余金の増加10,295百万円、その他有価証券評価差額金の増加4,565百万円及び非支配株主持分2,842百万円の増加です。また、自己資本比率は前連結会計年度末に比べて1.9ポイント上昇し、26.8%となりました。

 

 

(2) 経営成績の分析

① 売上高

売上高は、前連結会計年度に比べ3,063百万円増加0.6%増)し、477,140百万円となりました。主な増減要因は、紙・板紙事業における販売価格の下落等があったものの、ホーム&パーソナルケア事業における衛生用紙及びベビー用紙おむつの伸長によるものです。

② 経常利益

経常利益は、前連結会計年度に比べ88百万円増加0.4%増)し、21,347百万円となりました。

この結果、売上高経常利益率は前連結会計年度と同じく、4.5%となりました。

③ 特別損益

特別利益は、前連結会計年度に比べ3,551百万円減少し、587百万円となりました。主な内訳は、固定資産売却益363百万円及び受取保険金192百万円です。

特別損失は、前連結会計年度に比べ416百万円増加し、3,816百万円となりました。主な内訳は、固定資産除売却損1,421百万円、退職給付費用972百万円及び減損損失865百万円です。

④ 親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ2,458百万円減少し、12,136百万円となりました。1株当たり当期純利益金額は前連結会計年度から16円87銭減少し、83円28銭となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載しています。

 

(4) 次期の見通し

紙パルプ業界においては、洋紙の需要減少、原材料価格及び為替の動向が不透明であるため、引き続き厳しい状
況が続くものと予想されます。

このような状況の中、平成27年度から3年間を対象期間とした第2次中期事業計画において、紙・板紙事業では
生産・販売品種の構造転換や販売業態構成の見直しに継続して取り組み、ホーム&パーソナルケア事業では海外事
業基盤の拡大・成長と高付加価値品の開発・拡販に取り組んできました。

最終年度となる平成29年度は、紙・板紙事業の構造転換、ホーム&パーソナルケア事業の成長加速に加え、平成
29年4月に日清紡ホールディングス株式会社から取得した紙製品事業及び三浦印刷株式会社が当社グループとなり
ました。洋紙事業では、製品ラインナップの補完・拡充、及び印刷部門における営業力の強化を図るとともに、ホ
ーム&パーソナルケア事業での高付加価値品のラインナップ拡充による競争力強化等、両事業におけるシナジー
効果の早期発現等の施策を推進することにより、売上高拡大と収益力向上及び財務体質改善を図り、より強固な経
営基盤・企業体質を確立していきます。