文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの経営理念「世界中の人々へ やさしい未来をつむぐ」には、事業活動を通じて、世界中の人々への心豊かで快適な暮らしにつながる「やさしい未来」を提供したいとの想いを込めています。
当社グループは経営理念の実現に向けて、以下の4つの柱に重点を置いて、全社一丸となって課題解決に取り組んでいます。
<経営理念 4つの柱>
1.ものづくりへのこだわり
現場・現物・現実に基づいた新たな商品と付加価値の創造・提供を通じて、国際社会から信頼される企業グループであり続けます。
2.地域社会とのきずな
各国・各地域の発展に寄与するために、「良き企業市民」として高い倫理観をもって地域社会との調和ある成長を目指します。
3.安全で働きがいのある企業風土
持続的な企業価値の向上を図るために、安全で働きがいのある企業風土づくりに取り組み、社員相互の信頼関係に基づいた一体運営を推進します。
4.地球環境への貢献
地球環境と調和したグローバルな事業展開を通じて環境問題に積極的に取り組み、持続可能な社会の実現を目指します。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
グループ経営理念「世界中の人々へ やさしい未来をつむぐ」のもと、長期ビジョン「戦略的に事業ポートフォリオを変革し、持続的に成長し続ける企業グループへ」を掲げ、10年後には、売上高8,000億円~1兆円規模(ホーム&パーソナルケア(以下、「H&PC」という。)事業の構成比50%以上、H&PC海外事業の構成比30%以上)を目指します。
2018年度から2020年度までの3年間を対象期間とする第3次中期事業計画(以下、「第3次中計」という。)では、急激な外部環境変化に対応可能な強靭な企業体質への革進とともに、長期ビジョンを見据えた成長戦略を果敢に実行します。なお、2020年度目標につきましては、海外事業のIFRS第15号適用の影響と直近の事業環境の変化を踏まえ、一部修正しています。
① テーマ 「Move on 革進と飛翔」
② 業績計画
第3次中計
事業別計画
設備投資計画
2020年度までの3か年合計で戦略投資 1,150億円、合理化・維持投資430億円、合計1,580億円の設備投資を実行します。
(注)1.CNF:セルロースナノファイバー
2.FIT制度:固定価格買取制度
(3) 会社の対処すべき課題
① 紙・板紙事業とホーム&パーソナルケア事業を横断した抜本的な構造改革
(a)当社の強みを活かした製紙事業の生産構造改革
三島工場が持つ優位性を活かし、生産ポートフォリオの変革を推進しています。
イ.競争力のあるクラフトパルプの増産
針葉樹パルプ(国内最大の生産量)、広葉樹パルプ(国内2位の生産量)を併せ持つ三島工場は、臨海立地であることから木材チップ調達コストも優位性があります。また、2020年3月にクラフトパルプ増産改造工事が完了し、収益性をさらに高めます。
ロ.板紙生産における難処理古紙の有効活用
当社グループ会社の保有する金属・プラスチック・色物の自動選別技術を古紙処理設備に組み込み、安価に集荷した難処理古紙を有効活用することで競争優位なコスト構造を確立すべく、取組みを継続しています。
ハ.臨海立地の三島工場からの輸出拡大
国際貿易港に隣接した臨海立地の三島工場を、衛生用紙・板紙・クラフト紙の輸出拠点とし、中国を始めとするアジア諸国を当社にとっての新市場と捉え、アジア市場での新たなマーケット創造を進めています。
(b)紙・板紙事業の構造改革 ~「メディア用途の紙」から「梱包・包装用途の紙」へのシフト
三島工場のスイングマシン(複数品種を生産可能な抄紙機)の特性を活かし、ユーザーへの安定供給体制を維持します。これまで推進してきた品種シフトや「サクラテラス」加盟卸商との協業に継続して取り組むとともに、工場では生産効率とコスト競争力を高め、競争優位性を強化します。
その一方で、需要構造の変化に対応するため、三島工場の洋紙生産設備を国内屈指の競争力を有する板紙生産設備に改造(2020年4月予定)するとともに、三島工場の生産品種をクラフト紙へシフトすることにより、需要が旺盛な中国を始めとするアジア諸国への輸出を強化していきます。
② ホーム&パーソナルケア事業のグローバルな事業拡大と収益力強化
(a)衛生用紙
2018年10月に、川之江工場(注)の衛生用紙生産設備、及び中国法人の大王(南通)生活用品有限公司(以下、「EICN」という。)のトイレットロール加工設備が稼動しました。川之江工場からトイレットロールの原反を中国へ輸出し、EICNで加工して中国市場で販売しています。ベビー用紙おむつで確立した「エリエール」「大王(ダーワン)」の高級ブランドの認知度を活かし、中国でのプレミアムトイレットロール拡販を推進しています。
中国での拡販に伴い、需要が堅調な国内市場向けの衛生用紙が不足することが予想されるため、衛生用紙生産設備の増設も検討しています。ホーム&パーソナルケア事業の収益力向上と衛生用紙のリーディングカンパニーとして供給体制を一層強化し、国内で圧倒的シェアNo.1を確立していきます。
(注)川之江工場は三島工場に隣接しており、配管及び送電線で繋がっています。三島工場からコスト競争力の高いクラフトパルプを川之江工場へ流送するとともに、蒸気・電力等のエネルギーも供給しています。三島工場と川之江工場は一体運営しています。
(b)吸収体
イ.海外事業
生産拠点を有する中国、タイ、インドネシアでは、海外の事業展開の加速を牽引していくために、以下の課題に取り組んでいます。
中国では、ベビー用紙おむつのスーパープレミアム品の拡販に加え、プレミアム衛生用紙の市場創造も進めており、複合事業化を加速させています。これら販売増加に伴い生産体制を強化するため、EICNの既存工場の隣接地に第2工場の建設を進めています。
タイではベビー用紙おむつ、フェミニンケア商品、ウェットティシューを生産しており、当社海外工場の中で最も早く複合事業化をスタートさせました。インドシナ半島を一つの市場と捉え、タイ国内、ベトナム、マレーシア、ミャンマー等への拡販を推進しています。
インドネシアでは、現地メイン代理店の事業縮小に伴う代理店政策の見直しを進めており、販売エリアの集約による収益改善、伝統小売店舗(ワルン)や市場が拡大するEC市場の販売チャネルでの拡販を強化しています。
また、中東地域の大国であるトルコに2017年9月に出張所を開設し、ベビー用紙おむつの販売を開始しました。生活者から好評を得ており、将来の現地生産を見据えた工場建設の検討に着手しています。
韓国、台湾、ロシア等の輸出販売国は、各国の消費者マインドの傾向・変化を素早く掴んで商品開発に反映し、販売エリアと複合事業化をさらに拡大していきます。
ロ.国内事業
大人用紙おむつでは、業務用の「アテント」のブランド力の強みを活かし、市販用へのリレーションを強化し、売上・収益の拡大に取り組んでいます。
厚生労働省が推進する「地域包括ケアシステム」の枠組みの中で、医療介護専用の多職種連携SNS「メディカルケアステーション」を通じて2018年10月に「アテント排泄ケア支援アプリ」の全国運用を開始し、生活者が病院、在宅を循環する社会に対応するとともに、市販用紙おむつの販売を強化します。
また、アクティブな中高年の生活者の不安を解消して快適な生活をサポートするための軽失禁対応商品(「ナチュラ」ブランド)、少子化の進行に伴い高品質(肌への優しさ、吸水性能等)が求められるベビー用紙おむつ(「GOO.N」ブランド)は、品質への徹底的なこだわりと幅広い商品ラインナップにより、拡販に取り組んでいます。
③ 新規事業(CNF、FIT制度を活用したバイオマス発電他)
CNFの早期事業化に向けて、素材開発と電化製品・化粧品等への用途開発を加速させます。量産化技術確立とコスト低減に取り組み、第3次中期事業計画期間内のCNF関連商品の販売開始を目標としています。
FIT制度を活用したバイオマス発電は2020年7月に事業を開始する予定です。
④ 持続的成長のための基盤構築
(a)ESGへの取り組み
環境・社会・ガバナンスそれぞれの課題に対して、事業活動を通じて積極的に課題解決に取り組むことで、企業としての持続的な成長を実現します。
イ.環境面
・FIT制度を活用したバイオマス発電の開始
・植林・難処理古紙の有効活用・廃棄物の削減
・プラスチック製品の代替品の開発・販売等
ロ.社会面
・チリの植林地での橋、道路等のインフラ整備
・「地域包括ケアシステム」の枠組みの中での在宅介護者支援等
ハ.ガバナンス面
・持続的成長の基盤となる健全なガバナンス体制の整備等
(b)業容拡大を見据えたIT投資による業務改革の推進
グループ基幹システムとしてERP(Enterprise Resource Planning:業務統合パッケージ)を導入し、グループ経営の効率向上に取り組みます。さらに、BPR(Business Process Re-engineering:業務プロセス改革)により共通業務の標準化に継続して取り組み、今後の業容拡大を見据えたIT投資による業務改革を推進していきます。
(c)働き方改革
社員一人ひとりの「働きがい」の向上が企業の持続的成長に繋がるという考えのもと、社員の多様性・人格を尊重して活かすダイバーシティ経営、生き生きと活躍するための健康経営、自立的に行動する人財の育成に取り組んでいます。
有価証券報告書等に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重大な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。
(1) 需要・市況変動による影響
当社グループは、紙・板紙事業、ホーム&パーソナルケア事業及びその他の事業を行っていますが、主力製品である紙・板紙製品及び家庭紙製品の需要が大幅に減少した場合や、製品市況が下落した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 原燃料価格変動、及び為替相場の変動による影響
当社グループは木材チップ・古紙・薬品・重油・石炭等の原燃料を国内及び海外から購入しており、原燃料価格の変動に加え、外貨建てで取引されている原燃料の調達に関しては為替相場の変動も、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループでは為替相場変動による経営成績への影響を軽減する目的で、一部の取引に為替予約を利用したリスクヘッジを実施しています。
また、為替相場変動については海外での販売活動にも影響を与える可能性もあります。
(3) 海外事業による影響
当社グループは成長戦略のひとつとして、ホーム&パーソナルケア海外事業部が中心となって主に中国・韓国・ロシア・東南アジア等での事業展開に取り組んでいますが、海外における事業展開には為替相場の変動や現地政府による規制、政治不安等による経済環境の変化等が発生するリスクがあり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 金利変動による影響
当社グループは有利子負債の削減に取り組んでいますが、大幅な金利の上昇が生じた場合には、当社グループの
財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 投資有価証券の価格変動による影響
時価のあるその他有価証券は決算日の市場価格等に基づく時価法により評価するため、決算日の株価によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 災害による影響
当社グループの生産及び物流拠点がある地区において災害が発生した場合には、生産設備の破損、操業の中断や遅延及び復旧費用の発生、物流機能の停止、製品・商品の滅失等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 訴訟等による影響
当社グループは、各種法令、環境規制及び社会的規範の遵守等、コンプライアンス体制の強化に取り組んでいますが、国内外の事業活動において、これら法令等に関連した訴訟等のリスクを負っています。訴訟等の結果によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 財務制限条項の付された借入契約による影響
当社は、シンジケーション方式タームローン契約を締結していますが、この契約には各年度の決算期の末日における連結貸借対照表の純資産の部の金額や、各年度の決算期における連結損益計算書の経常損益を基準として財務制限条項が付されており、これに抵触した場合には借入金の返済を求められ、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 固定資産の減損会計による影響
当社は、有形固定資産やのれん等の固定資産を保有していますが、これらの資産については減損会計を適用し、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローによって資産の帳簿価額を回収できるかどうかを検証しており、減損処理が必要な資産については適切に処理を行っています。しかし、将来の環境変化により将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合には、追加の減損処理により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、次期の見通しについては、不確実性、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と乖離する可能性があります。
当連結会計年度における世界経済は、米国は総じて堅調に推移しましたが、中国や欧州では経済成長率の伸びが鈍化しており、世界経済全体としては減速基調となりました。また、先行きについては、米中貿易摩擦の激化、英EU離脱問題等により不透明感が増大しました。一方で、国内の経済は輸出や生産の一部に弱さもみられるものの、雇用や所得環境の改善が進み、緩やかな回復基調となりましたが、米中貿易摩擦の長期化や中国・欧州等の海外経済の不確実性から、景気の先行きは依然として不透明な状態が続いています。
当社グループを取り巻く経営環境は、紙の内需が減少し続けていることに加え、原燃料価格や物流コストが高騰しており、引き続き厳しい状況が続いています。
紙・板紙事業につきましては、新聞、出版物等のメディア用途の紙の内需が一段と減少している中で、非塗工紙、情報用紙、包装用紙への販売品種シフトを推進するとともに、段ボール原紙、段ボール製品、及び印刷用紙等の価格修正を実施しました。生産面では、2018年4月に三島工場16号抄紙機を停止させ、需要構造の変化に対応し
て洋紙の生産能力を削減するとともに、市場のニーズに合わせて柔軟に生産品種を変更できる三島工場の特徴を活かして生産品種の最適化に取り組みました。また、難処理古紙の活用等によるコストダウンを進めたことで、収益は前年同期を上回りました。
ホーム&パーソナルケア事業の国内事業につきましては、川之江工場及び行田工場が稼動したことにより衛生用紙は増販となりましたが、少子化の進行により国内のベビー用紙おむつの販売数量が減少しました。また、コスト面では、原燃料価格や物流コストの高騰の影響を受けました。海外事業につきましては、中国やタイを中心としたASEAN諸国において主力のベビー用紙おむつの販売が順調に推移したことに加え、各国において多品種販売による複合事業化が進んだことで収益改善が進みましたが、ホーム&パーソナルケア事業全体の収益は前年同期を下回りました。
当社グループは、2018年度から2020年度までの3年間を対象期間とする第3次中期事業計画の初年度を終えましたが、引き続き急激な外部環境変化に対応可能な強靭な企業体質への革進を図るとともに、長期ビジョンを見据えた成長戦略に全社一丸となって取り組んでいきます。
当連結会計年度の連結業績は、以下のとおりです。
① 売上高
売上高は、ホーム&パーソナルケア事業の海外事業において、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の適用により、従来費用処理していた一部の項目を売上高から控除することになった影響があったものの、紙・板紙事業での段ボール原紙、段ボール製品、及び印刷用紙等の価格修正の実施等により、前連結会計年度に比べ2,579百万円増加(前年同期比 0.5%増)し、533,890百万円となりました。
② 営業利益
営業利益は、原燃料や物流コストの高騰の影響があったものの、紙・板紙事業での段ボール原紙、段ボール製品、及び印刷用紙等の価格修正の実施等により、前連結会計年度に比べ1,060百万円増加(前年同期比 9.6%増)し、12,122百万円となりました。
この結果、売上高営業利益率は前連結会計年度に比べ0.2%上昇し、2.3%となりました。
③ 経常利益
経常利益は、主に補助金収入の減少により、前連結会計年度に比べ2,937百万円減少(前年同期比 23.0%減)し、9,842百万円となりました。
④ 特別損益
特別利益は、主に投資有価証券売却益の減少により、前連結会計年度に比べ4,673百万円減少し、2,400百万円となりました。特別損失は、主に減損損失の減少により、前連結会計年度に比べ3,456百万円減少し、5,272百万円となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ726百万円増加(前年同期比 18.3%増)し、4,697百万円となりました。
この結果、1株当たり当期純利益は前連結会計年度に比べ4円45銭増加し、31円70銭となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりです。
① 紙・板紙
新聞用紙は、新聞の発行部数及び頁数減少の影響等により、販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。
洋紙(新聞用紙を除く)は、チラシ・出版物等の印刷用紙の需要減少が進んだことから、販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。
板紙・段ボールは、通販や飲料を中心とした加工食品分野の需要が堅調に推移しており、販売数量は前年同期並で推移しました。販売金額は、価格修正に取り組んだことで前年同期を上回りました。
セグメント利益は、チップ、石炭、薬品等の原燃料価格の高騰、及び三島工場火災による減産の影響があったものの、段ボール原紙、段ボール製品、印刷用紙等の価格修正に取り組んだこと、及び固定費削減等のコストダウンに取り組んだことで、前年同期を上回りました。
② ホーム&パーソナルケア
ホーム&パーソナルケア事業の国内事業の商品カテゴリー毎の状況は次のとおりです。
衛生用紙は、生活者の要望を商品化した「消臭+(プラス)トイレットティシュー」、長尺トイレット等高付加価値品の販売が好調に推移し、また花粉飛散量の増加により保湿ティシューの販売も好調に推移し、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
大人用紙おむつは、市販ルートでは、うす型パンツ商品として「アテント うす型パンツ下着安心プラス」に続き2018年9月に発売した「アテント 超うす型パンツ下着爽快プラス」の販売により、入口ユーザーの取込みが進み販売が伸長したことで、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。なお、地域包括ケアの推進に向けて新たに構築した専用SNS「メディカルケアステーション」の活用を進め、病院から在宅までを包括した排泄ケアの提案が販売店等に評価されたことも拡販に寄与しました。
フェミニンケア用品は、2018年4月の「エリス Megami 素肌のきもち」のリニューアルや11月に立ち上げた新ブランド「エリス コンパクトガード」の発売により、スリムナプキンカテゴリーにおけるシェアが拡大しました。また成長している吸水ライナー市場では「ナチュラ さら肌さらり」が配荷拡大・売上伸長したことも寄与し、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
ベビー用紙おむつは、少子化による需要の減少に伴う競争激化の影響で販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。
ウェットワイプは、インフルエンザ流行による除菌意識の高まりにより、除菌ウェット商品の販売が好調に推移したこと、「キレキラ!」シリーズの販売が引き続き好調に推移したことにより、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
海外事業については、主力のベビー用紙おむつの販売数量は中国やタイが好調であったものの、韓国やインドネシア等で販売数量が減少した影響を受けて前年同期並となりましたが、売上高についてはIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の適用により前年同期を下回りました。中国では、年間最大規模のイベントである「独身の日」(11月11日)にECでの販売が拡大したことに加え、ベビーショップを中心とした小売店での販売企画を実施したことで、高収益商品を中心にベビー用紙おむつの拡販が進みました。また、プレミアムトイレットについては、ベビー用紙おむつと連動した小売店への展開及び店頭活動を強化したことで配荷が進みました。タイをはじめとしたASEAN諸国では、タイ現地法人でベビー用紙おむつの新規生産設備が稼動したことにあわせて、小売店での店頭活動を強化したことで、ベビー用紙おむつだけでなくフェミニンケア用品、ウェットワイプについても配荷と拡販が進みました。韓国では、少子化に伴ってベビー用紙おむつの需要が縮小していることに対して、大人用紙おむつやフェミニンケア用品等のベビー用紙おむつ以外のカテゴリーの配荷と拡販に取り組みました。インドネシアでは、現地メイン代理店の事業縮小に伴って販売減となりましたが、将来の事業拡大を図るために代理店政策を見直し、新たな販売政策とそれに基づく商流の構築を進めました。
セグメント利益は、海外事業での収益改善効果があったものの、国内事業でのチップ、パルプ等の原燃料価格や物流コストの高騰の影響により、前年同期を下回りました。
③ その他
主に売電事業、機械事業、木材事業及び物流事業であり、売上高は電力販売やチップ販売の増加により前年同期を上回りましたが、物流倉庫を集約する過程において一時的に二重コストが発生したこと、及び機械事業の受注減により、セグメント損失となりました。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、主に現金及び預金の増加、川之江工場への衛生用紙生産設備新設による固定資産の増加により、前連結会計年度末に比べ59,725百万円増加し、745,866百万円となりました。
負債は、主に設備投資による有利子負債の増加により、前連結会計年度末に比べ53,451百万円増加し、546,527百万円となりました。
純資産は、主に為替レートの変動による為替換算調整勘定の減少や、保有株式の時価下落によるその他有価証券評価差額金の減少があったものの、2020年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の権利行使による資本金と資本剰余金の増加、利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べ6,274百万円増加し、199,339百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べて1.0ポイント低下し、24.9%となりました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して43,321百万円増加し、103,407百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、40,287百万円の収入(前連結会計年度比12,002百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益6,970百万円、減価償却費33,331百万円、たな卸資産の増減額△4,880百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、62,110百万円の支出(前連結会計年度比10,625百万円の増加)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出64,380百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、65,898百万円の収入(前連結会計年度比65,512百万円の増加)となりました。これは主に、長期借入れ等による収入105,000百万円、長期借入金等の返済による支出50,646百万円によるものです。
当社グループは事業運営上必要な資金の流動性と資金源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは運転資金需要と投資資金需要です。運転資金需要のうち主なものは、生産・販売活動における原材料及び商品仕入れ、製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資資金需要の主なものは、事業戦略の遂行に必要な投資や品質改善・安全・環境のために必要な設備投資等であります。
運転資金につきましては主に金融機関からの短期借入金で調達し、投資資金につきましては、主に長期社債及び金融機関からの長期借入金により調達しております。また、今後の資金需要や金利動向等の調達環境、既存借入金や長期社債の償還時期等を総合的に考慮し、調達額及び調達手段等を適宜判断して実施することとしています。
なお、当社は国内子会社との間で導入しているキャッシュマネジメント・システムの一層の機能充実による資金効率化により、成長投資を進めながらも財務規律の維持に努めています。
当連結会計年度において、2020年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(2015年9月17日発行)の権利行使により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ3,151百万円増加しております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注)金額は製造原価によっています。
紙・板紙事業及びホーム&パーソナルケア事業の製品については、需要を予測して見込生産を行っており、特に受注生産は行っていません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注)セグメント間の取引については相殺消去しています。
なお、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がないため、「相手先別の販売実績」は記載していません。
(8) 次期の見通し
紙パルプ業界においては、洋紙の需要減少、原燃料価格の高止まり等、引き続き厳しい状況が続くものと予想 されます。
このような状況の中、当社グループは、紙・板紙事業ではグループ全体の抜本的な構造改革の推進により収益商品への生産シフトを進めるとともに、業界トップクラスの古紙処理技術を活用した難処理古紙の有効利用を進めていくことにより、競争優位性を強化していきます。
ホーム&パーソナルケア事業の国内事業では、2018年10月に稼働した川之江工場の最新鋭家庭紙生産設備による高付加価値商品の安定供給体制の強化に加え、2017年4月に日清紡ホールディングス株式会社から取得した紙製品事業とのプロダクト・ミックスの最適化を進め、シナジー効果を最大化していきます。海外事業では、生産拠点や出先のある地域を中心に、主力であるベビー用紙おむつをはじめとして、大人用紙おむつ、フェミニンケア用品、ウエットワイプの各カテゴリーで拡販に取り組んでいきます。さらに、川之江工場で生産した衛生用紙原反を中国子会社で加工し、量販店、ベビーショップなどで販売を開始し、今後海外での複合事業化を加速させていきます。
2020年3月期の連結業績については、売上高560,000百万円、営業利益20,000百万円、経常利益17,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益9,000百万円を予想しています。
該当事項はありません。
当社グループは、ユーザーニーズの変化に対応した商品の開発・改良に主眼を置き、高付加価値品の商品化、複合商品等、新規分野の開発及び薬品や新素材の研究開発を進めています。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は
(1) 紙・板紙事業
収益性の高い既存品種の品揃えを拡充することによる収益の向上、また特定の品種の生産に偏重しないよう、未開拓分野の中から発掘した新規品種の生産に置き換えることによる収益の安定化を進めています。
当連結会計年度における研究開発の取組みは以下のとおりです。
① 光学分野での取組み
ディスプレイのギラツキを抑える機能を持たせたフィルムの支給を受け粘着加工する受託加工案件と、機能性フィルムの疵つき防止を目的とした保護フィルムの設計開発案件、これら2件が新たに販売開始となりました。また、自動車分野向けとした車載ディスプレイや、加飾フィルムの貼合せに使用する高耐久性の粘着剤の設計・開発を進めており、実機試作品でユーザー評価の段階まで進めることができています。
② フィルムタック分野での取組み
合成紙タック紙の品揃え拡充のため、幅広い被着体に対し必要に応じて剥がすことが可能な機能を持たせた、再剥離系粘着剤(再剥離超強粘)の開発を完了させ、販売を開始しました。
③ 新規分野での取組み
従前の粘着剤のコーティングではなく、フィルムに受容層(溶剤系の樹脂)をコーティングする新規分野としての案件として取り組んだ昇華型染料受容層コート付きカード原紙は、設計に目処がつき、現在実機試作品でエンドユーザーの評価を受けている段階であり、2019年10月販売開始を計画しています。
紙・板紙事業に係る研究開発費は、
(2) ホーム&パーソナルケア事業
中期事業計画での売上及び収益の目標達成を目指し、国内・海外含め売上拡大が期待されるホーム&パーソナルケア事業において、ユーザーニーズの変化に対応した新商品開発と既存商品の改良に主眼を置き、付加価値商品の売上比率を増やすべく開発を進めています。
当連結会計年度における研究開発の取組みは以下のとおりです。
① 衛生用紙での取組み
トイレットティシューでは、当社が新たに開拓したプレミアムトイレットティシュー市場を更に拡大するため、既存商品「エリエール 消臭+(プラス)トイレットティシュー」の改良と併せ、新たな香りを追加した3アイテムを追加し、合計6アイテムを開発し発売しました。また、プレミアムティシュー市場では、「コットンフィールティシュー」の柔らかさを更にアップするリニューアルを行い、風邪や花粉で肌ケア用品を求めるターゲットに、ローションタイプティシュー以外の選択肢となる品揃えでトライアルを喚起します。
② ベビー用紙おむつでの取組み
ベビー用紙おむつでは、商品を使う入口となる、生まれて直ぐの赤ちゃん用3S・新生児・Sサイズを、スピード通気で肌が赤くなりにくく、柔軟にフィットしてモレにくい紙おむつに改良しました。また、BIGサイズより大きいサイズの商品を、スピード吸収でモレにくく、摩擦低減で肌に優しい紙おむつに改良し、生まれてからおむつを卒業するまでの全てのサイズで肌に優しく、モレにくい紙おむつとしました。
③ 大人用紙おむつでの取組み
大人用紙おむつでは、従来の糸ゴムではなく伸縮フィルム形状の「プレミアム伸び・ワザ素材」を使用した「アテント 超うす型パンツ・下着爽快プラス」(6アイテム)と、パンツ市場最高の吸収量を持つ「アテント 夜1枚安心パンツ」(2アイテム)を新発売しました。更に、薄型パンツを併用する人が抵抗なく使え
るパッド「アテント 紙パンツ尿とりパッドすっきりスリム 2回吸収」と、吸収性・ズレにくさで安心感を追求した「アテント 紙パンツ用尿とりパッド ぴったり超安心」(5アイテム)をリニューアル発売しました。
④ ウェットワイプでの取組み
ウェットワイプでは、お子様にも安心して使える「除菌できる」シリーズに、ノンアルコールタイプ(3アイテム)を新発売しました。また、「キレキラ!ワイパー」シリーズに、「キレキラ!ワイパー徹底キレイ ふわっと香るスイートローズの香り」を追加発売しました。
⑤ フェミニンケア用品での取組み
フェミニンケア用品では、次世代をつくる10代後半から20代前半を対象にした、わずか2mmの超スリムで5時間もサラサラの「エリス コンパクトガード」(6アイテム)を開発し、新発売しました。
ホーム&パーソナルケア事業に係る研究開発費は、
(3) セルロースナノファイバー(CNF)
セルロースナノファイバー(以下、「CNF」という。)は、紙やパルプにはない特異的な性質を活かして、多種多様な用途への展開が期待されています。また、植物バイオマスから取り出した天然由来の繊維であり、製紙事業で培った当社独自の技術を活かしながら、CNFの製造とその利活用を見出すことで低炭素社会の実現にも貢献できるよう研究開発を進めています。CNFの事業化には、安価なCNF製造法の開発、ユーザー要望の品質改善、メーカーと垂直連携した用途開発が課題となっています。
当社は、既存のCNF水分散液、乾燥体、シート成形体の開発・生産性向上を進めると共に、化粧品用途・塗料・フィルム加工を意識した高透明度品の開発と複合樹脂用途での既存成形設備・技術で容易に扱えるセルロース複合樹脂ペレットのサンプル提供を開始しました。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」事業において、当社の「省エネルギー型ナノセルロースの製造プロセスの開発」が「優良事業」の評価を受けました。今後、事業化に向けて推進します。
当連結会計年度における研究開発の取組みは以下のとおりです。
① 高透明度のCNF製造技術の開発に成功(2018年9月)
繊維幅3~4ナノメートルまで容易に微細化でき、高透明度のCNFを製造できる「亜リン酸エステル化法」の開発に成功しました。透明性に対するニーズに応えられるよう、新たに高透明度のCNF「ELLEX-☆(エレックススター)」を加えたサンプルラインナップとし、用途開発を加速しています。
② セルロース複合樹脂ペレットのサンプル提供開始(2018年11月)
CNFの軽くて強い特性を活かして樹脂との複合化開発を進める中で、樹脂補強では、粗く解したセルロース繊維を用いても樹脂の力学物性を向上できる技術の開発に成功しました。セルロース繊維とポリプロピレン樹脂を複合化した「セルロース複合樹脂ペレット」のサンプルを提供開始し、事業化に向けた取組みをさらに強化しています。