文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの経営理念「世界中の人々へ やさしい未来をつむぐ」には、事業活動を通じて、世界中の人々への心豊かで快適な暮らしにつながる「やさしい未来」を提供したいとの想いを込めています。
当社グループは経営理念の実現に向けて、以下の4つの柱に重点を置いて、全社一丸となって課題解決に取り組んでいます。
<経営理念 4つの柱>
1.ものづくりへのこだわり
現場・現物・現実に基づいた新たな商品と付加価値の創造・提供を通じて、国際社会から信頼される企業グループであり続けます。
2.地域社会とのきずな
各国・各地域の発展に寄与するために、「良き企業市民」として高い倫理観をもって地域社会との調和ある成長を目指します。
3.安全で働きがいのある企業風土
持続的な企業価値の向上を図るために、安全で働きがいのある企業風土づくりに取り組み、社員相互の信頼関係に基づいた一体運営を推進します。
4.地球環境への貢献
地球環境と調和したグローバルな事業展開を通じて環境問題に積極的に取り組み、持続可能な社会の実現を目指します。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
グループ経営理念「世界中の人々へ やさしい未来をつむぐ」のもと、長期ビジョン「戦略的に事業ポートフォリオを変革し、持続的に成長し続ける企業グループへ」を掲げ、長期的には、売上高8,000億円~1兆円規模(ホーム&パーソナルケア事業の構成比50%以上、ホーム&パーソナルケア海外事業の構成比30%以上)を目指します。
2018年度から2020年度までの3年間を対象期間とする第3次中期事業計画(以下、「第3次中計」という。)では、急激な外部環境変化に対応可能な強靭な企業体質への革進とともに、長期ビジョンを見据えた成長戦略を果敢に実行しています。
2020年度より、トルコのエリエールインターナショナルターキーA.S.を拠点とした中東・北アフリカ・ロシア等でのホーム&パーソナルケア事業拡大を加速していきます。また、ブラジルのサンテルS.A.(株式取得により連結子会社化の予定)を起点に、ホーム&パーソナルケア及び特殊紙分野で中南米への事業展開を進めていきます。
また、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴う外出自粛や在宅勤務の広がりにより、メディア用途の紙の需要が大きく減少する一方で、衛生意識の高まりにより衛生用紙の需要が拡大しています。この需要構造の急変は一過性のものではないと考えており、需要変化に対応した生産体制への見直しを積極的に進めていきます。
① テーマ 「Move on 革進と飛翔」
② 業績計画
③ 事業別計画
第3次中計は2018年5月31日に公表、2019年5月17日に一部見直したものであり、2020年度計画は足元の事業環境等を考慮し、2020年5月15日に公表したものです。
(3) 会社の対処すべき課題

① 紙・板紙事業とホーム&パーソナルケア事業を横断した抜本的な構造改革
三島工場が持つ優位性を活かし、競争力のあるクラフトパルプの増産と有効活用、板紙生産における難処理古紙の有効活用、臨海立地の三島工場からの輸出拡大を進めることにより、紙・板紙事業の構造改革(「メディア用途の紙」から「梱包・包装用途の紙」へのシフト)を推進しています。
需要構造の変化に対応するため、2020年4月に三島工場の洋紙生産設備N7号抄紙機を国内屈指の競争力を有する板紙生産設備に改造し営業運転を開始しました。板紙とクラフト紙の増産体制を構築し、アジア諸国への輸出を強化していきます。
また、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うメディア用途の紙の需要が大きく減少している一方、衛生意識の高まりによる衛生用紙の需要が拡大しており、さらなる生産構造改革を進めていきます。
なお、メディア用途の紙については、三島工場のスイングマシン(複数品種を生産可能な抄紙機)の特性を活かし、これまで推進してきた品種シフトや「サクラテラス」加盟卸商との協業に継続して取り組み、ユーザーへの安定供給体制を維持します。
② ホーム&パーソナルケア事業のグローバルな事業拡大と収益力強化
(a)衛生用紙
国内での衛生用紙全品種の安定供給と、中国等アジア向けの輸出を強化するため、2021年9月稼働を目指して、川之江工場に最新鋭の高速且つ幅広の衛生用紙の抄紙設備を新設するとともに、可児工場には加工設備を増設する計画です。
ホーム&パーソナルケア事業の収益力向上と衛生用紙のリーディングカンパニーとして供給体制を一層強化し、国内で圧倒的シェアNo.1を確立していきます。
(b)吸収体
イ.海外事業
生産拠点を有する中国、タイ、インドネシアでは、海外の事業展開の加速を牽引していくために、以下の課題に取り組んでいます。
中国では、ベビー用紙おむつのスーパープレミアム品の拡販に加え、プレミアム衛生用紙の市場創造も進めており、複合事業化を加速させています。これらの販売増加に伴い生産体制を強化するため、大王(南通)生活用品有限公司の既存工場の隣接地に第2工場の建設を進めています。
タイではベビー用紙おむつ、フェミニンケア商品、ウエットティシューを生産しており、当社海外工場の中で最も早く複合事業化をスタートさせました。インドシナ半島を一つの市場と捉え、タイ国内、ベトナム、マレーシア、ミャンマー等への拡販を推進しています。
インドネシアでは、代理店政策の見直しが完了し、販売エリアの集約による収益改善、伝統小売店舗(ワルン)や市場が拡大するEC市場の販売チャネルでの拡販を強化しています。
また、韓国、台湾、ロシア等の輸出販売国は、各国の消費者マインドの傾向・変化を素早く掴んで商品開発に反映し、販売エリアと複合事業化をさらに拡大していきます。
ロ.国内事業
大人用紙おむつでは、業務用の「アテント」のブランド力の強みを活かし、市販用へのリレーションを強化し、売上・収益の拡大に取り組んでいます。
厚生労働省が推進する『地域包括ケアシステム』の枠組みの中で、医療介護専用の多職種連携SNSである「メディカルケアステーション」を通じて2018年10月に「アテント排泄ケア支援アプリ」の全国運用を開始し、生活者が病院、在宅を循環する社会に対応するとともに、市販用紙おむつの販売を強化します。
また、アクティブな中高年の生活者の不安を解消して快適な生活をサポートするための軽失禁対応商品(「ナチュラ」ブランド)、少子化の進行に伴い高品質(肌への優しさ、吸水性能等)が求められるベビー用紙おむつ(「グ~ン」ブランド)は、品質への徹底的なこだわりと幅広い商品ラインナップにより、拡販に取り組んでいます。
ハ.ホーム&パーソナルケア海外事業におけるM&A
成長市場であるホーム&パーソナルケア海外事業におけるM&Aは、当社の長期ビジョンに基づいた戦略であり、目標の達成に向けて有効な選択肢の一つとして捉えています。
2020年2月に衛生用品メーカーのM&Aを発表したブラジルとトルコは、自国の衛生用品市場の確かな成長が見込まれています。さらに、将来的にはブラジルから南米全域、アフリカ南部への進出を検討していくとともに、トルコを起点としたMENA(中東・北アフリカ)からロシア及び周辺国への輸出販売を展開し、成長ポテンシャルの高いエリアでの事業拡大を実現することによって、持続的な成長を可能にする事業ポートフォリオの最適化を目指していきます。
③ 新規事業(セルロースナノファイバー、FIT制度を活用したバイオマス発電他)
セルロースナノファイバーの早期事業化に向けて、素材開発と電化製品・化粧品等への用途開発を加速させます。量産化技術確立とコスト低減に取り組み、第3次中期事業計画期間内のセルロースナノファイバー関連商品の販売開始を目標としています。
FIT制度を活用したバイオマス発電は2020年7月に事業を開始する予定です。
④ ESGへの取り組み
環境・社会・ガバナンスそれぞれの課題に対して、事業活動を通じて積極的に課題解決に取り組むことで、企業としての持続的な成長を実現します。
[環境面]
・FIT制度を活用したバイオマス発電の開始
・植林・難処理古紙の有効活用・廃棄物の削減
・プラスチック製品の代替品の開発・販売等
[社会面]
・チリの植林地での橋、道路等のインフラ整備
・「地域包括ケアシステム」の枠組みの中での在宅介護者支援等
[ガバナンス面]
・持続的成長の基盤となる健全なガバナンス体制の整備等
有価証券報告書等に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重大な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。
(1) 需要・市況変動による影響
当社グループは、紙・板紙事業、ホーム&パーソナルケア事業及びその他の事業を行っていますが、主力製品である紙・板紙製品及び家庭紙製品の需要が大幅に減少した場合や、製品市況が下落した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 原燃料価格変動、及び為替相場の変動による影響
当社グループは木材チップ・古紙・薬品・重油・石炭等の原燃料を国内及び海外から購入しており、原燃料価格の変動に加え、外貨建てで取引されている原燃料の調達に関しては為替相場の変動も、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループでは為替相場変動による経営成績への影響を軽減する目的で、一部の取引に為替予約を利用したリスクヘッジを実施しています。
また、為替相場変動については海外での販売活動にも影響を与える可能性があります。
(3) 海外事業による影響
当社グループは成長戦略のひとつとして、ホーム&パーソナルケア海外事業部が中心となって中国、韓国、東南アジア諸国、ロシア、トルコ、ブラジル等での事業展開に取り組んでいますが、海外における事業展開には為替相場の変動や現地政府による規制、外交関係や国民感情の悪化、政治不安等による経済環境の変化等が発生するリスクがあり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 金利変動による影響
当社グループは有利子負債の削減に取り組んでいますが、大幅な金利の上昇が生じた場合には、当社グループの
財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループでは金利変動による経営成績への影響を軽減するため、主として固定金利の長期借入にて資金調達を行うことにより、短期的な金利上昇リスクへの対応を図っています。
(5) 投資有価証券の価格変動による影響
時価のあるその他有価証券は決算日の市場価格等に基づく時価法により評価するため、決算日の株価によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループでは政策保有株式の縮減を進めており、保有株式を削減することで価格変動による影響も総額として縮小させていく方針です。
(6) 災害による影響
当社グループの生産及び物流拠点がある地区において災害が発生した場合には、生産設備の破損、操業の中断や遅延及び復旧費用の発生、物流機能の停止、製品・商品の滅失等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 法的規制・訴訟による影響
当社グループは、各種法令、地球温暖化防止に関するCO2排出量等の環境規制及び社会的規範の遵守等、コンプライアンス体制の強化に取り組んでいますが、国内外の事業活動において、これら法令等に関連したリスク及び訴訟等のリスクを負っています。法的規制の変更や訴訟等の結果によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 財務制限条項の付された借入契約による影響
当社は、シンジケーション方式タームローン契約を締結していますが、この契約には各年度の決算期の末日における連結貸借対照表の純資産の部の金額や、各年度の決算期における連結損益計算書の経常損益を基準として財務制限条項が付されており、これに抵触した場合には借入金の返済を求められ、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 固定資産の減損会計による影響
当社グループは、有形固定資産やのれん等の固定資産を保有していますが、これらの資産については減損会計を適用し、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローによって資産の帳簿価額を回収できるかどうかを検証しており、減損処理が必要な資産については適切に処理を行っています。しかし、将来の経営環境の変化等により将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合には、追加の減損処理により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 新型コロナウイルス感染症拡大の影響
当社グループは、顧客、取引先及び社員の安全を第一に考え、さらなる感染拡大を防ぐため、WHO及び各国保健行政の指針に従った感染防止策の徹底、従業員の体調管理、テレワークの導入や出張・会議の制限等の対応を各部門で実施しています。今後、感染症拡大が続けば、世界的な景気の悪化により販売数量の減少、原材料価格の高騰、又は原材料確保の困難、物流機能の低下等が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、次期の見通しについては、不確実性、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と乖離する可能性があります。
当連結会計年度における国内経済は、雇用・所得環境の改善や、個人消費及び公共投資等の内需の底堅さを背景に、緩やかな回復基調で推移してまいりました。しかし、相次ぐ自然災害の発生や2019年10月の消費増税による消費者マインドの落込み、さらに新型コロナウイルスの世界的拡大が影響したことにより、景気の先行きは不透明な状況です。
このような状況の中で、当社グループは第3次中期事業計画「Move on 革進と飛翔」(2018年5月31日発表)の下、2020年度の経営目標達成に向けて、急激な外部環境変化に対応可能な強靭な企業体質への革進を図るとともに、長期ビジョンを見据えた成長戦略に全社一丸となって取り組んでいます。
紙・板紙事業については、消費増税の反動や新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、新聞・広告・出版物等の「メディア用途の紙」の国内需要減少がさらに進みました。当社においては、従前より需要構造の変化へ対応するため、洋紙から国内外での需要が比較的堅調な段ボール原紙等の「梱包・包装用途の紙」への構造転換を進めてきました。構造転換に向けた施策として、柔軟に生産品種を変更できる三島工場の特長を活かし、当期は洋紙の生産マシンである三島工場N7号抄紙機を板紙の生産マシンへ改造しました(2020年4月稼働開始)。洋紙の生産マシン数を減らすことで市況の維持に努め、また古紙処理技術を活かした難処理古紙の増集荷に取り組んだこと等により、紙・板紙事業全体では、売上高・営業利益ともに前年同期を上回りました。
ホーム&パーソナルケア事業については、2019年10月の消費増税、さらには大規模自然災害や新型コロナウイルスの発生等を受け、需要構造が大きく変動する状況下において、当社は衛生用紙・ウエットワイプを中心に、生産・物流体制の強化により安定供給に注力しました。また、前年度来の原燃料価格・物流コストの高騰が依然として続き、収益改善施策の早期実行が期初時点での課題となっていましたが、衛生用紙カテゴリーのトップメーカーとして価格修正に取り組み、第2四半期よりその効果を発現させています。これらの取組みにより、ホーム&パーソナルケア事業全体では、売上高・営業利益ともに前年同期を上回りました。
以上の結果、連結売上高、連結営業利益ともに前年同期を上回り、親会社株主に帰属する当期純利益については過去最高益を達成しました。
当連結会計年度の連結業績は、以下のとおりです。
① 売上高
売上高は、主にホーム&パーソナルケア事業の国内事業において、衛生用紙・ウエットワイプを中心に生産・物流体制の強化により安定供給に注力したこと、また衛生用紙の高付加価値商品へのシフト及び価格修正効果の発現等により、前連結会計年度に比べ12,543百万円増加(前年同期比 2.3%増)し、546,433百万円となりました。
② 営業利益
営業利益は、原燃料や物流コストの高騰の影響があったものの、主に紙・板紙事業において、洋紙の生産マシン数を減らすことで市況の維持に努めたこと、また古紙処理技術を活かした難処理古紙の増集荷に取り組んだこと等により、前連結会計年度に比べ18,507百万円増加(前年同期比 152.7%増)し、30,629百万円となりました。
この結果、売上高営業利益率は前連結会計年度に比べ3.3%上昇し、5.6%となりました。
③ 経常利益
経常利益は、主に営業利益の増加により、前連結会計年度に比べ18,270百万円増加(前年同期比 185.6%増)し、28,112百万円となりました。
④ 特別損益
特別利益は、主に投資有価証券売却益の増加により、前連結会計年度に比べ5,168百万円増加し、7,568百万円となりました。特別損失は、主に減損損失の減少により、前連結会計年度に比べ843百万円減少し、4,429百万円となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ14,502百万円増加(前年同期比 308.8%増)し、19,199百万円となりました。
この結果、1株当たり当期純利益は前連結会計年度に比べ96円21銭増加し、127円91銭となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりです。
① 紙・板紙
新聞用紙は、新聞の発行部数及び頁数減少の影響により、販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。
洋紙(新聞用紙を除く)は、チラシ・出版物の発行部数減少や電子媒体への移行が進んだこと、また新型コロナウイルスの感染拡大によって、経済活動の低下に伴いイベント・広告需要が大きく減少したことから、販売数量は前年同期を下回りました。一方で販売金額については、前年度に実施した価格修正後の製品市況が維持されていることで、前年同期を上回りました。
板紙・段ボールは、米中貿易摩擦による工業製品向けをはじめとした輸出需要の落込みや、消費増税後の消費低迷、自然災害の影響等に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による影響も重なり、国内需要は低調に推移し、販売数量は前年同期を下回りました。一方で販売金額については、前年度に実施した価格修正後の製品市況が維持されていることで、前年同期を上回りました。
セグメント利益は、洋紙・板紙の価格修正が浸透したこと、原燃料価格が想定していたよりも安価となったこと、難処理古紙の増集荷と利用の拡大により、前年同期を上回りました。
② ホーム&パーソナルケア
国内事業については、衛生用紙は、高付加価値商品へのシフト及び価格修正に取り組みました。また新型コロナウイルスの感染拡大の影響による需要増加もあり、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
大人用紙おむつは、市販ルートでは当年度に上市した新商品、及び超うす型パンツタイプを中心に拡販が進みました。病院・施設等の業務ルートでは、地域包括ケアシステムにおける生活者の在宅復帰を支援する提案が評価され、新規案件獲得が進みました。この結果、市販ルート・業務ルートのいずれも販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
フェミニンケア用品は、吸水ライナー市場の伸長に対応した商品ラインナップの拡充、及びトライアルパックの販売等を通じて新規ユーザー獲得に注力し、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
ベビー用紙おむつは、出生人口減少による市場縮小の影響を受け、販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。
ウエットワイプは、エリエールブランド初となる無添加処方の「Puana(ピュアナ)ウエットティシュー」を2019年11月に新発売し、既存のウエット商品と合わせて販売が好調に推移しました。消費者の衛生意識の高まりもあって大幅な販売増加となり、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
海外事業については、中国では出生人口の減少に伴い、ベビー用紙おむつマーケットの成長が鈍化している中、他社との競争が激化していますが、高付加価値商品への販売シフトや衛生用紙の拡販による複合事業化を推進したことで、販売は堅調に推移しました。
インドネシアでは、前年度の流通体制の見直しに伴い立上げた各エリア代理店と協働し、各エリア特性に合わせた販売促進・マーケティング活動を展開したことで、販売が順調に推移し、収益が大幅に改善しました。
タイでは、流通体制の見直しを進める過程で販売が一時的に減少しましたが、各販売先への商流が整い、拡販に向けた新たな取組みを開始しました。
なお、中国、インドネシア、タイの海外子会社はいずれも12月決算であるため、当期の業績に新型コロナウイルスの感染拡大の影響はありませんでした。
日本からの主要輸出先であるロシアでは、流通体制の見直しに伴う在庫調整の影響があり販売が減少しました。
韓国では、日韓関係の悪化から発生した日本製品の不買運動の影響が継続していること等により販売が減少しました。
なお、ロシア・韓国においては、新型コロナウイルスの感染拡大への対策として外出制限等があったものの、業績への影響は軽微でした。
これらの結果、海外事業全体では、タイ・ロシア・韓国での販売減少の影響を受け、販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。
セグメント利益は、海外事業での販売減少の影響を受けましたが、国内事業において衛生用紙を中心とした増販効果があったことで、前年同期を上回りました。
③ その他
主に売電事業、機械事業、木材事業及び物流事業であり、木材事業において海外でのチップの販売単価上昇及び外部への販売数量増加等により、セグメント利益は前年同期を上回りました。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、主に黒液発電設備設置工事や、三島工場N7号抄紙機の板紙生産設備化工事による固定資産の増加により、前連結会計年度末に比べ17,194百万円増加し、763,060百万円となりました。
負債は、主に税金等調整前当期純利益が増加したことに伴う未払法人税等の増加により、前連結会計年度末に比べ6,997百万円増加し、553,524百万円となりました。
純資産は、主に利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べ10,197百万円増加し、209,536百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べて1.2ポイント上昇し、26.1%となりました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して5,978百万円増加し、109,385百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、68,013百万円の収入(前連結会計年度比27,726百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益31,251百万円、減価償却費31,843百万円、売上債権の増減額(収
入)5,448百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、47,870百万円の支出(前連結会計年度比14,240百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出49,096百万円、無形固定資産の取得による支出6,723百万円、投資有価証券の売却による収入8,142百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、14,050百万円の支出(前連結会計年度比79,948百万円の増加)となりました。これは主に、長期借入れによる収入45,110百万円、長期借入金の返済による支出49,879百万円、短期借入金の純増減額(支出)3,769百万円によるものです。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
事業活動における資金需要の主なものは、運転資金需要と投資資金需要です。運転資金需要のうち主なものは、生産・販売活動における原材料及び商品仕入れ、製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資資金需要の主なものは、事業戦略の遂行に必要な投資や品質改善・安全・環境のために必要な設備投資等です。
運転資金につきましては主に金融機関からの短期借入金で調達し、投資資金につきましては主に長期社債及び金融機関からの長期借入金により調達しています。また、今後の資金需要や金利動向等の調達環境、既存借入金や長期社債の償還時期等を総合的に考慮し、調達額及び調達手段等を適宜判断して実施することとしています。
なお、当社は国内子会社との間で導入しているキャッシュマネジメント・システムの一層の機能充実による資金効率化により、成長投資を進めながらも財務規律の維持に努めています。
当連結会計年度において、2020年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(2015年9月17日発行)の権利行使により、資本金及び資本準備金がそれぞれ590百万円増加しています。
当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、新型コロナウイルス感染症の拡大は世界経済や国内外での企業活動に影響を与える事象であり、現時点で当社グループに及ぼす影響及び当感染症の収束時期を予測することは困難であるものの、当感染症の拡大による業績予想及び会計上の見積り(固定資産減損の兆候判定等)への影響については、世界的な経済低迷やオリンピックの延期、イベントの自粛、テレワークの拡大による洋紙需要の減退に伴い、生産・販売数量の減少が2020年度上期を中心に現れるものと見込んでいます。その後徐々に回復には向かうものの、世界的な経済低迷や景気の回復には相当の時間を要するという前提で見通しを立てています。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、それぞれ独立したキャッシュ・フローまたは損益の取得が可能であり、また管理会計上も個別の事業計画を策定している単位を基礎として、資産のグルーピングを行っています。資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額しています。なお、資産グループの回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い価額としています。正味売却価額は第三者により合理的に算定された評価額等により、使用価値は将来キャッシュ・フローに基づき合理的に算定しています。固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フローや正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件が変更された場合、固定資産の減損処理が必要となる可能性があります。
(6) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注)金額は製造原価によっています。
紙・板紙事業及びホーム&パーソナルケア事業の製品については、需要を予測して見込生産を行っており、特に受注生産は行っていません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注)セグメント間の取引については相殺消去しています。
なお、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がないため、「相手先別の販売実績」は記載していません。
(9) 次期の見通し
米中貿易摩擦等により、国際情勢が不透明さを増す中、新型コロナウイルス感染拡大は世界経済全体にマイナス影響を与えており、国内経済についても先行きは依然として不透明な状態が継続すると予測します。また、紙パルプ業界においては、洋紙の需要減少等により引き続き厳しい状況が続くものと予想します。
このような状況の中、当社グループは、紙・板紙事業では三島工場N7号抄紙機の板紙マシンへの転抄、脱プラスチック需要の高まりに合わせたプラスチック代替品や梱包用途の紙の拡販等の需要構造の変化に対応する構造改革を継続していきます。三島工場のコスト競争力のあるパルプを最大限に活用し、より高付加価値の紙製品に生産シフトする構造改革をさらに推進することで、収益性を高めていきます。また、業界トップクラスの古紙処理技術を活用した難処理古紙の有効利用を進めることにより、競争優位性を強化していきます。
ホーム&パーソナルケア事業については、国内では2021年度に川之江工場へ最新鋭の衛生用紙生産設備を増設することにより、高付加価値商品の需要伸長に対応できる安定供給体制の構築を進めます。また、日本国内におけるマスク不足の状況を踏まえ、安定的な供給に貢献するため、子会社(エリエールプロダクト株式会社)に最新鋭の生産設備を導入し生産を開始しました。海外では、新たな生産拠点を増やすことにより、主力であるベビー用紙おむつに加え、大人用紙おむつ、フェミニンケア用品、ウエットワイプの各カテゴリーで拡販に取り組み、複合事業化を進めます。なお、2020年2月に公表しましたブラジルのサンテルS.A.及びトルコのエリエールインターナショナルターキー・キシセル・バクム・ウルンレリ・ウレティムA.S.(旧ウゼンA.S.)については、新型コロナウイルス感染拡大による衛生意識の高まりを受け、両社の足元の損益は当初想定以上に堅調に推移しています。サンテルS.A.については株式取得前ではありますが、2021年3月期の業績予想には両社で通期200億円程度の売上高を織り込んでいます。
2021年3月期の連結業績については、売上高565,000百万円、営業利益28,000百万円、経常利益25,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益13,000百万円を予想しています。
該当事項はありません。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は
(1) 紙・板紙事業
商品開発グループでは、特殊紙分野の新商品開発を中心に担当しており、脱プラスチック・環境配慮商品等、市場ニーズに対応した商品の企画・開発を行っています。また、生産技術グループでは、ユーザーとの接点を直接持ち、FSC認証製品化や再生紙化といったユーザーニーズを満たす商品へのリニューアルや新規商品開発を行っています。
当連結会計年度における研究開発の取組みは以下のとおりです。
① プラスチック代替素材の開発に関する取組み
紙製ナイフ、マドラー等の原紙として必要な剛性を持つプラスチック代替素材の高密度厚紙「エリプラペーパー」の販売を開始しました。以前より紙製マドラー用途の原紙を生産・販売していましたが、プラスチック代替素材としてより幅広い用途に使用可能な品質を確立したことで、各紙加工メーカーに対して「エリプラペーパー」を提供しています。さらに、高密度厚紙に耐水性・耐油性を付与することにより、水分や油分を多く含む食品の容器としても使用可能な「エリプラ+(プラス)」を開発し、2020年6月より販売を開始しています。
② ラミネート紙代替素材の開発に関する取組み
揚げ物やホットスナック等の包装用原紙として必要な機能である耐油性とヒートシール性を併せ持つ、ラミネート紙代替素材の「ヒートシール耐油紙」を開発し、販売を開始しました。当製品はポリプロピレンやポリエチレンを貼り合わせたラミネート紙と比較して、プラスチック原料の使用量を30%以下(当社製品比)にできる環境に配慮した素材です。また、ラミネート紙に比べて透湿性があるため、電子レンジで温めた際に食感を保持することができます。
③ フィルムタック分野での取組み
合成紙タック紙の品揃え拡充のため、粘着剤に植物性由来の原料を使用することで環境に配慮した「バイオマス粘着剤フィルムタック紙」を開発し、販売を開始しました。
④ 新規分野での取組み
子会社においては、医療機器分野の商品開発のため、従来の化粧品製造販売業許可に加え、新たに医療機器製造業許可を取得し、開発を進めています。
紙・板紙事業に係る研究開発費は、
(2) ホーム&パーソナルケア事業
中期事業計画での売上及び収益の目標達成を目指し、国内・海外含め売上拡大が期待されるホーム&パーソナルケア事業において、ユーザーニーズの変化に対応した新商品開発と既存商品の改良に主眼を置き、付加価値商品の売上比率を増やすべく開発を進めています。
当連結会計年度における研究開発の取組みは以下のとおりです。
① 衛生用紙での取組み
保湿ティシューカテゴリーのトップブランドである「エリエール+Water(プラスウォーター)」及び「エリエール i:na(イーナ)」ティシューから、コンパクト設計で場所を選ばず使いやすいソフトパックを発売しました。当社独自の円形の取り出し口や、型崩れしにくいキャラメル包装を採用し、枚数が少なくなっても最後の一枚まできれいに取り出しやすい商品としました。
② ベビー用紙おむつでの取組み
「グ~ン まっさらさら通気」のLサイズ及びBIGサイズにおいて、長時間使用時の漏れにくさ向上のため、足回りギャザー改良のリニューアルをしました。また、おねしょ対策商品として幼児や児童も抵抗なく履くことができる、紙おむつらしくないデザインを採用した「グ~ン ナイトシリーズ」3品種を発売しました。「グ~ン おむつバイバイトレーニングパッド」では、当社オリジナルキャラクターである「ハグ~ン」を剥離紙デザインに採用し、トイレトレーニングを応援するメッセージも加えることで、親子のコミュニケーションを楽しく手助けできるようリニューアルしました。
③ 大人用紙おむつでの取組み
通気性を約20%向上してパッド併用者のムレを軽減する「アテント うす型さらさらパンツ通気性プラス」、脚まわりの隙間モレを軽減するロング丈形状に吸収量をアップした「アテント うす型さらさらパンツ長時間ロング丈プラス4回吸収」、下着のような履き心地とモレのない安心感を両立した「アテント 下着爽快プラスうす型パンツ 安心の3回吸収」をリニューアルしました。失禁パッドでは、自然素材の「アテント コットン100%自然素材パッド」をリニューアルし、肌への刺激を気にする生活者ニーズに応えました。
④ ウェットワイプでの取組み
生活者が求めている大切な家族の肌へのやさしさや安全性を、エリエール史上初となる「無添加処方」という価値で提供する「エリエール Puana(ピュアナ)ウエットティシュー」ボックスタイプ3品種を発売しました。さらに同商品の携帯用もラインナップに加え、お子様を連れて外出する時などでも持ち運びができて気軽に使え、生活に無添加の安心感を広げることに貢献しました。
⑤ フェミニンケア用品での取組み
高付加価値品であるスリムゾーンの商品群の商品力及び品揃え強化のため、「エリス 素肌のきもち」を全面リニューアルしました。当社独自の特徴である外形のメリット訴求とメインターゲットである30代のニーズに合わせたパッケージに変更し、他社との差別化を図りました。また「エリス 素肌のきもち」には25cm(ふんわりタイプ及びスリムタイプ)、「エリス コンパクトガード」には20.5cm羽なしと36cm羽つきをラインナップに加えました。
ホーム&パーソナルケア事業に係る研究開発費は、
(3) セルロースナノファイバー(CNF)
セルロースナノファイバー(以下、「CNF」という。)は、紙やパルプにはない特異的な性質を活かして、多種多様な用途への展開が期待されています。また、植物バイオマスから取り出した天然由来の繊維であり、製紙事業で培った当社独自の技術を活かしながら、CNFの製造とその利活用を見出すことで低炭素社会の実現にも貢献できるよう研究開発を進めています。
当連結会計年度における研究開発の取組みは以下のとおりです。
① CNF複合樹脂ペレットに関する取組み
2018年からサンプル提供を開始したCNF複合樹脂ペレットの評価を踏まえ、課題改善に取り組んだ結果、コスト低減、CNF高濃度化、流動性、におい等の品質を改善できる処方を見出しました。また、2020年にはCNF高濃度複合樹脂ペレットをサンプル提供できる体制を整備しました。さらに、CNF複合樹脂ペレットの量産化に向け、変性CNFの量産技術開発やCNF複合樹脂ペレットの生産性改善に向けた開発に着手しました。
② CNF成形体に関する取組み
卓球ラケットやレースカーへの実装の採用実績があることで、ユーザーが高い興味を持つCNF成形体は、CNFにパルプを配合した当社独自の設計です。量産化を目指し、大学と共同で製造技術開発を進めています。
CNF成形体を用いた卓球ラケットは㈱タマスと共同開発し、初回販売分を生産しました。開発した卓球ラケットは、同社から『レボルディアCNF』の名称で2020年4月に上市されています。
モータースポーツチーム『SAMURAI SPEED』のレースカーにCNF成形体を搭載した結果、12.6kgの車体軽量化に成功しました。同レースカーは米国コロラド州で開催されたパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムに参戦し、軽量化によってゴールタイムの短縮に貢献しました。
③ CNF水分散液に関する取組み
CNF水分散液の供給体制を確保するため、パイロットプラントの増産改造を行い、2020年2月末に稼働させました。