文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの経営理念「世界中の人々へ やさしい未来をつむぐ」には、事業活動を通じて、世界中の人々への心豊かで快適な暮らしにつながる「やさしい未来」を提供したいとの想いを込めています。
当社グループは経営理念の実現に向けて、以下の4つの柱に重点を置いて、全社一丸となって課題解決に取り組んでいます。
<経営理念 4つの柱>
1.ものづくりへのこだわり
現場・現物・現実に基づいた新たな商品と付加価値の創造・提供を通じて、国際社会から信頼される企業グループであり続けます。
2.地域社会とのきずな
各国・各地域の発展に寄与するために、「良き企業市民」として高い倫理観をもって地域社会との調和ある成長を目指します。
3.安全で働きがいのある企業風土
持続的な企業価値の向上を図るために、安全で働きがいのある企業風土づくりに取り組み、社員相互の信頼関係に基づいた一体運営を推進します。
4.地球環境への貢献
地球環境と調和したグローバルな事業展開を通じて環境問題に積極的に取り組み、持続可能な社会の実現を目指します。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループの長期ビジョンである2026年度達成目標「売上高8,000億円~1兆円、営業利益率10%」の実現に向けて、2021年度から2023年度までの3年間を対象期間とする第4次中期事業計画(以下、「第4次中計」という)は、さらなる成長を加速する重要な3年間と位置付けています。
第4次中計のスローガン『GEAR UP 次なる成長、新たな未来へ』を掲げ、構造改革・戦略投資の効果の最大化により、さらなる成長の実現を目指します。
第4次中計の基本方針は以下の通りです。
①強靭な事業ポートフォリオの確立
(a)紙・板紙事業はこれまでの戦略投資の効果発現と構造改革の継続により競争優位性を構築
(b)ホーム&パーソナルケア事業は複合事業化の加速とさらなるM&Aも視野に、当社の成長・拡大を牽引
(c)セルロースナノファイバー(以下、「CNF」という)等の新規事業により、将来の成長機会を創出
②財務体質の強化
(a)第4次中計の3ヶ年の設備投資は案件を厳選しながら、第5次中計でのさらなる成長を可能とするキャッシュ創出力の強化とキャッシュフロー改善を図り、第4次中計期間中の信用格付A格取得を目指す
(b)資本コスト・資本収益性を意識した経営の推進に向けて、事業別収益性評価・投資判断基準の社内管理指標の一つとしてROICを導入
③気候変動問題への対応(2050年カーボンニュートラルの実現)
(a)再生可能エネルギーの利用を促進し、2050年までに石炭ゼロ化を目指す
(b)植林の適正管理と植林面積の拡大に継続的に取り組む
(c)CNF・脱プラスチック製品の事業推進により、環境にやさしい素材転換を推進
1.スローガン 「GEAR UP 次なる成長、新たな未来へ」
2.数値計画
(事業別計画)
3.投資計画
成長分野のホーム&パーソナルケア事業に投資を優先配分し、第4次中計の3ヵ年合計で、成長投資765億円、維持投資485億円、合計1,250億円の設備投資を実行します。
さらに、300億円のM&A投資を計画し、オーガニック成長と組み合わせて成長スピードを加速させていきます。
(設備投資1,250億円の内訳)
(3) 会社の対処すべき課題
① 事業部門別戦略

(a)産業用紙・段ボール事業
・戦略方針:国内での安定供給体制の強化と海外展開の加速
国内外での堅調な需要を見込んで、三島工場のN7号抄紙機で段ボール原紙を月産30,000トンまで増産し、アジア諸国への輸出拡大と国内の安定供給体制強化を図ります。また、川下の段ボール事業をM&A等も活用しながら拡大し、産業用紙事業との一体運営によって、トータルでの収益力強化を実現します。
(b)新聞・洋紙事業
・戦略方針:さらなる品種シフトを見据えた生産・販売体制の検討と、川下の印刷事業の強化
「メディア用途の紙」の需要縮小が加速する中で、生産品種を入れ替えながら高付加価値化を追求し、マシンの稼働率を維持していくことで、より筋肉質な事業へ深化させます。さらに、シール・ラベル等の高付加価値の印刷物の販売を強化して、印刷事業のさらなる強化を進めるとともに、洋紙と印刷事業の一体運営での収益力強化を図ります。
(c)ホーム&パーソナルケア国内事業
・戦略方針:第3次中計から続く構造改革・設備投資を通じた衛生用紙事業のさらなる成長と、吸収体事業のシェアアップ
衛生用紙では生活者ニーズを捉えた商品展開と、設備増強による供給能力のさらなる向上により、衛生用紙全カテゴリーシェアNo.1のポジションを盤石にしていきます。吸収体商品では、デジタルマーケティングへの効果的な投資等により、衛生用紙事業で築き上げてきたエリエールの持つ「高品質で信頼できる」ブランドイメージを吸収体等のパーソナルケア商品にも波及させるとともに、商品ラインナップ拡充と周辺カテゴリーへの展開により、衛生用紙との両輪でホーム&パーソナルケア国内事業全体を拡大させます。
(d)ホーム&パーソナルケア海外事業
・戦略方針:成長エンジンの柱として、既進出国での複合事業化と新規市場への進出による拡大
中国を中心としたアジア地域の事業拡大とM&Aにより本格進出したブラジル・トルコでのシナジー効果の発現に加えて、海外の成長市場での新規M&Aも検討していくことによって、成長スピードを加速していきます。さらに、海外で主力のベビー用紙おむつの拡販を継続しながら、衛生用紙・生理用ナプキン、大人用紙おむつ等の販売構成を高めて、日本で築いた複合事業化モデルを海外各国でも展開していくことにより、確固たる事業基盤を構築します。
(e)新規事業展開(CNF(セルロースナノファイバー))
CNFは、研究開発の段階を経て、この数年の間に自社商品トイレクリーナー「キレキラ!」へのCNF配合、卓球ラケット用部材への活用、レースカーの車体外装全体・内装へのCNF実装といった商業化・用途展開を進めてきました。第4次中計では、自動車部材・家電製品など幅広い用途展開が期待できるCNF複合樹脂の生産性向上とコストの大幅低減を実現し、商業化プロセスに向けて用途展開を加速していくとともに、CNF配合による軽量化やプラスチック使用量削減等により、CO2削減にも貢献してまいります。
(f)コーポレート部門のグローバル対応
当社グループの発展のためには、海外事業の拡大が不可欠であり、海外の成長市場への投資とともに、適切なリスクマネジメントが重要な要素であると考えています。そのため、人事・法務・経理・財務部等のコーポレート部門では、「事業の成長・拡大に必要な経営資源の安定調達と最適配分」、「グループガバナンス体制の一層の強化とリスクマネジメントの充実」に重点を置いて、事業部門との一体運営で海外事業の拡大に取り組んでいきます。
② サステナビリティの取組み
当社のパーパス(存在意義)は、社是「誠意と熱意」をもって、「3つの生きる(衛生・人生・再生)」を成し遂げ、「やさしい未来」を実現することです。経営理念の4つの柱「ものづくりへのこだわり」「地域社会とのきずな」「安全で働きがいのある企業風土」「地球環境への貢献」を体現する中で、過去から取り組んできた社会課題解決とSDGsを連動させて、事業展開を通じてSDGsの達成に貢献していきます。
(a)2050年カーボンニュートラルの実現
当社グループは、生産活動における燃料転換と省エネの推進等によるCO2排出量の削減と、植林によるCO2吸収・固定化の拡大の両面で貢献していきます。燃料転換としましては、2030年までにバイオマス・廃棄物を燃料としたリサイクル発電設備を導入し、三島工場の石炭ボイラーを1缶停止すること等により、2013年比でCO2排出量を46%削減する計画です。さらに、省エネルギーの推進と植林による吸収源の拡大も着実に実行し、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指します。なお、2021年6月に「四国中央市カーボンニュートラル協議会」を設立し、当社は設立メンバーとして参画しました。単独での導入が難しい新技術について、地元企業と自治体、金融機関と協力していきます。
有価証券報告書等に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重大な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。
(1) 需要・市況変動による影響
当社グループは、紙・板紙事業、ホーム&パーソナルケア事業及びその他の事業を行っていますが、主力製品である紙・板紙製品及び家庭紙製品の大幅な需要減少、製品市況の著しい下落により販売数量・販売金額の減少が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
紙・板紙事業部門においては、特定品種での需要変動や市況下落に対し、基幹工場である三島工場・可児工場にて柔軟に生産品種のシフトを行うといった生産体制の整備・見直しを実施しています。
また、ホーム&パーソナルケア事業部門においては、特定の商品カテゴリーにおける需要変動または市況下落が全体に及ぼす影響を極小化できるよう幅広い商品ラインナップを持ち、それらを複合的に組み合わせた営業戦略を遂行するとともに、価格で売る営業から品質・付加価値で売る営業へとシフトし、市況の変動に負けない強い営業スタイルを確立しています。
(2) 原燃料価格変動、及び為替相場の変動による影響
当社グループは木材チップ・古紙・薬品・重油・石炭等の原燃料を国内及び海外から購入しており、原燃料価格の変動に加え、外貨建てで取引されている原燃料の調達に関しては為替相場の変動も、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、為替相場変動については、海外への紙板紙製品及び家庭紙製品の輸出販売や海外子会社での販売活動にも影響を与える可能性があります。なお、当社グループでは為替相場変動による経営成績への影響を軽減する目的で、一部の取引に為替予約を利用したリスクヘッジを実施しています。また、原燃料価格変動に対する取引先を含めた体制強化や情報交換の活発化の重要性を踏まえ、「SDGs調達」を推進することで、取引先と一体となってCSRやSDGsに配慮しつつ、公平・公正な取引の実現、品質・技術力の向上、事業継続計画の策定による安定供給体制の確保を図っています。
(3) 海外事業による影響
当社グループは成長戦略のひとつとして、ホーム&パーソナルケア海外事業部が中心となって中国、韓国、東南アジア諸国、トルコ、ブラジル等での事業展開に取り組んでいますが、海外における事業展開には為替相場の変動や現地政府による規制、外交関係や国民感情の悪化、政治不安等による経済環境の変化等が発生するリスクがあり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
これらに対し当社グループでは、グループ各社や日本の担当部署が収集した最新情報を関係者間で共有し、いち早く変化の兆候をとらえることで、リスクの最小化を図っています。
(4) 金利変動による影響
当社グループは有利子負債の削減に取り組んでいますが、大幅な金利の上昇が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループでは金利変動による経営成績への影響を軽減するため、主として固定金利の長期借入にて資金調達を行うことにより、短期的な金利上昇リスクへの対応を図っています。
(5) 投資有価証券の価格変動による影響
時価のあるその他有価証券は決算日の市場価格等に基づく時価法により評価するため、決算日の株価によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループでは政策保有株式の縮減を進めており、保有株式を削減することで価格変動による影響も総額として縮小させていく方針です。
(6) 災害による影響
当社グループの生産及び物流拠点がある地区において災害が発生した場合には、生産設備の破損、操業の中断や遅延及び復旧費用の発生、物流機能の停止、製品・商品の滅失等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 法的規制・訴訟による影響
①法的規制に関するリスク
当社グループは、地球温暖化防止に関するCO2排出量等の環境規制、知的財産権に関する法令や商品の表示に関する各種規制、独占禁止法その他事業の遂行に関連する各種法令、ならびに諸外国の類似の法令に則って事業を行っています。
当社グループでは、法令、社会的規範の遵守等、コンプライアンス体制の強化に取り組んでいますが、法的規制に変更が生じた場合には当社グループの事業または業績に影響を及ぼす可能性があります。
②訴訟に関するリスク
当社グループは事業活動に関連して各種の訴訟等に巻き込まれるおそれがあり、その結果によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 財務制限条項の付された借入契約による影響
当社グループが複数の金融機関との間で締結している借入契約の一部には、各年度の決算期の末日における連結貸借対照表の純資産の部の金額や、各年度の決算期における連結損益計算書の経常損益等を基準として財務制限条項が付されており、これに抵触した場合には借入金の返済を求められ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 固定資産の減損会計による影響
当社グループは、有形固定資産やのれん等の固定資産を保有していますが、これらの資産については減損会計を適用し、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローによって資産の帳簿価額を回収できるかどうかを検証しており、減損処理が必要な資産については適切に処理を行っています。しかし、将来の経営環境の変化等により将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合には、追加の減損処理により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 新型コロナウイルス感染症拡大の影響
当社グループは、顧客、取引先及び社員の安全を第一に考え、さらなる感染拡大を防ぐため、WHO及び各国保健行政の指針に従った感染防止策の徹底、従業員の体調管理、テレワークの導入や出張・会議の制限等の対応を各部門で実施しています。今後、感染症拡大が続けば、世界的な景気の悪化により販売数量の減少、原材料価格の高騰、又は原材料確保の困難、物流機能の低下等が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、次期の見通しについては、不確実性、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と乖離する可能性があります。
当連結会計年度における国内経済は、コロナ禍の収束の見通しが立たず、休業要請や外出自粛要請の影響による景気悪化及び個人消費の低迷が続いています。世界経済も同様にコロナ禍の影響によって減速しており、今後の見通しについても不透明な状況となっています。
このような状況の中、当社グループは2018年度から2020年度にかけて取り組んできた第3次中期事業計画の最終年度を迎えました。2012年度より開始した第1次中期事業計画以降、継続的な洋紙需要の減少への対策として、「メディア用途の紙」から「梱包・包装用途の紙」への転換に向けた構造改革を進めてきました。まずは2012年に可児工場の洋紙生産マシンであるN3号抄紙機をいわき大王製紙へ移設し、2014年に板紙生産マシンとして再稼働させました。さらに、衛生用紙の国内需要の伸びに対応するため、2015年には可児工場で衛生用紙生産マシンであるN8号抄紙機を稼働させ、2018年には休止していた川之江工場で衛生用紙生産マシンを新設し再稼働させました。中国をはじめとする海外生産拠点においては、ベビー用紙おむつ以外に生産・販売する家庭紙商品のカテゴリーを拡大する複合事業化の進展や、2020年にはブラジル及びトルコでM&Aを実施する等、グローバルでの事業拡大を加速させてきました。
これらの構造改革に継続して取り組んできた結果、2021年3月期の連結業績は、売上高を除くすべての項目で第3次中期事業計画の目標を達成しました。売上高については目標に未達となりましたが、8期連続の増収且つ6期連続で過去最高を記録しました。営業利益については、紙・板紙事業において競争力の高い板紙の輸出が伸長した他、ホーム&パーソナルケア事業において国内でのマスク生産設備の増強や、海外での多品種販売による複合事業化を推進したこと等により、目標と直近の連結業績予想を上回りました。
第3次中期事業計画の目標及び当連結会計年度の連結業績は、以下のとおりです。
2021年度より開始となる第4次中期事業計画ではさらに成長を加速させ、第5次中期事業計画での売上高8,000億円~1兆円の実現に向けて戦略を果敢に実行していきます。
当連結会計年度の連結業績は、以下のとおりです。
① 売上高
売上高は、主にホーム&パーソナルケア事業において、国内での衛生用紙・ベビー用紙おむつ・大人用紙おむつ・ウエットワイプ・マスクの販売が好調だったことや、海外の連結子会社数が増加したこと等により、前連結会計年度に比べ16,495百万円増加(前年同期比 3.0%増)し、562,928百万円となりました。
② 営業利益
営業利益は、紙・板紙事業において競争力の高い板紙の輸出が伸長した他、ホーム&パーソナルケア事業において国内でのマスク生産設備の増強や、海外での多品種販売による複合事業化を推進したこと等により、前連結会計年度に比べ6,244百万円増加(前年同期比 20.4%増)し、36,873百万円となりました。
この結果、売上高営業利益率は前連結会計年度に比べ1.0%上昇し、6.6%となりました。
③ 経常利益
経常利益は、主に営業利益の増加により、前連結会計年度に比べ6,367百万円増加(前年同期比 22.6%増)し、34,478百万円となりました。
④ 特別損益
特別利益は、主に投資有価証券売却益の減少により、前連結会計年度に比べ3,225百万円減少し、4,343百万円となりました。特別損失は、主に減損損失の増加により、前連結会計年度に比べ1,675百万円増加し、6,105百万円となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ2,916百万円増加(前年同期比 15.2%増)し、22,115百万円となりました。
この結果、1株当たり当期純利益は前連結会計年度に比べ10円82銭増加し、138円73銭となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりです。
① 紙・板紙
新聞用紙は、新聞の発行部数減少や、コロナ禍での広告減少に伴う頁数減少の影響により、販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。
洋紙(新聞用紙を除く)は、コロナ禍での外出・イベント自粛によるチラシ及びパンフレット用途の紙需要の減少や、在宅勤務の浸透による事務用紙の需要減少等により、販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。
板紙・段ボールは、国内需要の回復の兆しがあるものの、通年ではコロナ禍の影響で国内需要は減少しました。しかし、昨年4月から三島工場N7号抄紙機の営業運転開始による板紙の輸出販売が増加したことで、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
セグメント利益は、印刷用紙等の需要減少に合わせた生産調整や、板紙の輸出販売の増加に取り組みましたが、コロナ禍による需要減少の影響が大きかったことにより、前年同期を下回りました。
② ホーム&パーソナルケア
国内事業については、衛生用紙は、コロナ禍での生活者の衛生意識の高まりから需要が拡大したペーパータオル及びキッチンペーパーが順調に販売伸長しました。一方、ティシューやトイレットは前年度にコロナ禍の影響による一時的な需要の前倒しがあったことから、販売数量、金額ともに前年同期を下回りました。
ベビー用紙おむつは、新シリーズとなる「グ~ンプラス」を10月に立ち上げ、「エリエール贅沢保湿ティシュー」と同じ保湿成分を配合したハイグレード商品としてテープタイプ・パンツタイプを上市しました。また、既存商品の「グ~ンまっさらさら通気パンツタイプ」も、新たにディズニーキャラクターのデザインを採用した全面リニューアルを実施しました。これらのブランド一新に合わせてテレビCM等での認知拡大策にも注力した結果、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
大人用紙おむつは、市販ルートでは、新商品の「アテント 夜1枚安心パッド モレを防いで朝までぐっすり8回吸収」に加え、既存商品である超うす型パンツ「下着爽快」シリーズの販売が順調に推移しました。病院・施設等の業務ルートでは、地域包括ケアシステムにおける生活者の在宅復帰を支援する提案の継続に加え、感染症対策をテーマに大人用紙おむつとともにマスク・ペーパータオル等の提案も行い、拡販に注力しました。これらの結果、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
フェミニンケア用品は、昨年10月に「エリス朝まで超安心」のパッケージを刷新したことが生活者から好評を得ましたが、コロナ禍で市場全体の売上が落ち込んだ影響を受け、販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。
ウエットワイプは、昨年9月にリニューアル発売した「キレキラ!トイレクリーナー 1枚で徹底おそうじシート」のプロモーション強化による認知率向上及び拡販に取り組みました。またコロナ禍での需要の高まりに対し、安定供給に努めた結果、販売数量・金額ともに前年同期を大幅に上回りました。
マスクは、コロナ禍による需要の増加に対し、生産設備を増設したことで安定供給可能な体制を整えました。また、生活者の需要実態を捉え、サイズ展開を豊富にした他、30枚入りの大容量品をラインナップに加えました。これらの結果、販売数量・金額ともに前年同期を大幅に上回りました。
海外事業については、中国では主力のベビー用紙おむつにおいて、プレミアム商品である「光羽鎏金(ひかりのはね りゅうじん)シリーズ」の拡販と、販売チャネル別・地域別・消費者層別に対応した商品展開と販売促進活動により、大都市以外への配荷が拡大しました。また紙製品においても、ベビー用ローションティシューやプレミアムトイレット等の販売が順調に伸長したことにより、販売金額は前年同期を上回りました。
タイやインドネシア等の東南アジア諸国では、コロナ禍によりベビー用紙おむつの販売数量が減少しましたが、複合事業化が進んでいるタイでは除菌ウエットやフェミニンケア用品の拡販で補い、インドネシアではEC(イーコマース)での販売が伸長したこと等により、販売金額は前年同期を上回りました。
輸出販売国については、韓国において日本製品不買運動の影響からの回復が進んでいないこと等により、販売は減少しました。
また、第2四半期より、ブラジルのサンテル及びトルコのエリエール・インターナショナル・ターキーを連結の範囲に含めており、海外事業の売上高の増加等に寄与しています。
これらの結果、国内事業・海外事業ともに前年同期を上回る売上高となり、セグメント利益も前年同期を上回りました。
③ その他
主に売電事業、機械事業、木材事業及び物流事業であり、昨年7月よりバイオマス発電設備が営業運転を開始したことによる売電事業の売上増加が収益にも寄与しましたが、コロナ禍の影響で機械事業及びゴルフ事業の売上が減少したこと等により、売上高及びセグメント利益はいずれも前年同期を下回りました。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、新規連結によるのれんの増加や機械装置及び運搬具の増加等により、前連結会計年度末に比べ86,741百万円増加し、849,801百万円となりました。
負債は、長期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べ49,488百万円増加し、603,012百万円となりました。
純資産は、転換社債の転換による株式の発行等により、前連結会計年度末に比べ37,252百万円増加し、246,788百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べて2.1ポイント上昇し、28.2%となりました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して20,916百万円増加し、130,301百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、64,210百万円の収入(前連結会計年度比3,802百万円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益32,717百万円、減価償却費34,137百万円、法人税等の支払額16,206百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、103,702百万円の支出(前連結会計年度比55,832百万円の増加)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出54,137百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出48,370百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、63,589百万円の収入(前連結会計年度比77,638百万円の増加)となりました。これは主に、長期借入れによる収入105,278百万円、長期借入金の返済による支出59,040百万円、非支配株主への株式の発行による収入25,011百万円、配当金の支払額2,447百万円によるものです。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
事業活動における資金需要の主なものは、運転資金需要と投資資金需要です。運転資金需要のうち主なものは、生産・販売活動における原材料及び商品仕入、製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資資金需要の主なものは、事業戦略の遂行に必要な投資や品質改善・安全・環境のために必要な設備投資等です。
運転資金につきましては主に金融機関からの短期借入金で調達し、投資資金につきましては主に長期社債及び金融機関からの長期借入金により調達しています。また、今後の資金需要や金利動向等の調達環境、既存借入金や長期社債の償還時期等を総合的に考慮し、調達額及び調達手段等を適宜判断して実施することとしています。
なお、当社は国内子会社との間で導入しているキャッシュマネジメント・システムの一層の機能充実による資金効率化により、成長投資を進めながらも財務規律の維持に努めています。
当連結会計年度において、2020年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(2015年9月17日発行)の権利行使により、資本金及び資本準備金がそれぞれ10,435百万円増加しています。
当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、コロナ禍は世界経済や国内外での企業活動に影響を与える事象であり、国内においては一部でワクチン接種が開始されたものの、経済活動や日常生活への制限は依然として続いています。また、感染力の強い変異株の流行が拡大傾向にあり、現時点でコロナ禍の収束時期を予測することは困難な状況です。コロナ禍の拡大による業績予想及び会計上の見積りへの影響については、世界的な経済低迷やイベントの自粛、テレワークの拡大等によって洋紙の需要は縮小しているものの、一方では生活者の衛生意識の向上によりマスクやウエットティシューの需要は拡大しており、コロナ禍が一時的な拡大と収束を繰り返すことと連動して各製品の需要も変化しながら、状況は徐々に回復に向かうと仮定した見積りに基づき、固定資産の減損等の会計上の見積りを行っています。ただし、世界的な景気の回復には相当の時間を要する見込であること、また、コロナ禍の拡大による経済活動への影響は不確定要素が多いことから、上記の仮定に変化が生じた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、前連結会計年度の有価証券報告書で記載した内容から重要な変更はありません。
(6) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注)金額は製造原価によっています。
紙・板紙事業及びホーム&パーソナルケア事業の製品については、需要を予測して見込生産を行っており、特に受注生産は行っていません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注)セグメント間の取引については相殺消去しています。
なお、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がないため、「相手先別の販売実績」は記載していません。
(9) 次期の見通し
国内外でのコロナ禍が依然として収束に向かわない中、中国経済の回復の影響等を受け国内経済は回復基調となるものの、米中貿易摩擦の長期化やコロナワクチンの普及遅れ等により、国内経済の先行きは不透明な状態が継続すると予測します。紙パルプ業界においても、洋紙の需要減少等により引き続き厳しい状況が続くものと予想します。
このような状況において、当社グループは、紙・板紙事業については三島工場のコスト競争力のあるパルプを最大限に活用した高付加価値品への生産シフトや、紙・板紙事業とホーム&パーソナルケア事業を横断した抜本的な構造改革を進めます。コロナ禍でも堅調な板紙の拡販、アジアをワンマーケットとした輸出増加、脱プラスチック需要に対応したプラスチック代替品や梱包用途の紙の拡販等、需要構造の変化に対応していきます。
ホーム&パーソナルケア事業については、2021年10月には川之江工場で2台目となる衛生用紙生産マシンを増設し、高付加価値品の安定供給体制を構築することで、トップブランドとしての地位をさらに高めていきます。また、コロナ禍での新たな生活様式に対応したマスク、除菌ウエット、ペーパータオルの生産体制を強化します。海外では、主力であるベビー用紙おむつをはじめ、大人用紙おむつ、フェミニンケア用品、紙製品やウエットワイプ等の各カテゴリーでの拡販に継続して取り組み、複合事業化を推進します。2020年に株式を取得したブラジルのサンテル、及びトルコのエリエール・インターナショナル・ターキーを新たな生産拠点とした事業拡大を進め、海外売上高の構成比を高めていきます。
2022年3月期の連結業績については、売上高600,000百万円、営業利益38,000百万円、経常利益35,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益21,000百万円を予想しています。
該当事項はありません。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は
(1) 紙・板紙事業
商品開発グループでは、特殊紙分野の新商品開発を中心に担当しており、脱プラスチック・環境配慮商品等、市場ニーズに対応した商品の企画・開発を行っています。また、生産技術グループでは、ユーザーと直接対話を行いながらFSC認証製品化、再生紙化といったユーザーのニーズを満たす商品へのリニューアルや新規商品開発を行っています。
当連結会計年度における研究開発の取組みは以下のとおりです。
① フィルム代替商品の開発に関する取組み
食品・菓子類の2次包材をフィルムからラミネートに変更し、減プラスチックを進める動きが増えています。ユーザーからは、使用している既存の封かん設備を流用可能であること、また、薄くて強度があり且つ印刷適性の良い紙であることが求められており、これらに対応するものとして「FS-RPSペーパー」(Reduction Plastic Support)を上市しました。現在、大手菓子メーカーの2次包材等での採用が広がっています。
② プラスチック代替素材の開発に関する取組み
紙製ナイフやマドラー等の原紙として必要な剛性を持つプラスチック代替素材の高密度厚紙「エリプラペーパー」に加え、高密度厚紙に耐水性・耐油性を付与することで水分・油分を多く含む食品の容器としても使用可能な「エリプラ+(プラス)」を開発し、販売を開始しました。また、加工・成型に関わる研究にも着手し、様々な用途への展開を探っています。
③ 輸出向けの高破裂強度の板紙開発に関する取組み
三島工場N7号抄紙機の板紙生産マシンへの転抄により、板紙の生産量が月間25,000トン増加したことを受け、国内市場の需給バランスを崩さないためにも海外への輸出販売が至上命題となりました。特に中国・ベトナムで拡販を進めるには高破裂強度の板紙を開発する必要があったため、FSC対応の高破裂板紙として「FSJPK」を上市し、順調に月間20,000トンを超える販売を継続しています。
紙・板紙事業に係る研究開発費は、
(2) ホーム&パーソナルケア事業
中期事業計画での売上及び収益の目標達成を目指し、国内・海外含め売上拡大が期待されるホーム&パーソナルケア事業において、ユーザーニーズの変化に対応した新商品開発と既存商品の改良に主眼を置き、付加価値商品の売上比率を増やすべく開発を進めています。
当連結会計年度における研究開発の取組みは以下のとおりです。
① 衛生用紙での取組み
エリエールトイレットのシングルにおいて新改良のソフトエンボス加工を採用し、さらにふんわりとしたやわらかさとやさしい肌ざわりにリニューアルしました。また、コロナ禍で需要が拡大しているペーパータオルにおいて、1枚ずつ片手でサッと取り出せる、肌にやさしいやわらか2枚重ねのソフトタイプの「エリエール Plus+キレイペーパーハンドタオルボックス1P・3P」を発売しました。
② ベビー用紙おむつでの取組み
通常品より1ランク上の肌ケア商品として、「グ~ンプラス」を上市しました、肌に当たる表面シートに「エリエール贅沢保湿ティシュー」と同じ保湿成分を配合することで滑らかさを向上させ、肌への摩擦や擦れを大幅に低減しました。また、コロナ禍によって社会全体に閉塞感が漂う中、少しでも親子のコミュニケーションを楽しく手助けできるよう、「グ~ンまっさらさら通気パンツタイプ」において新たにディズニーキャラクターのデザインを採用したリニューアルを実施しました。
③ 大人用紙おむつでの取組み
モレにくさを求める生活者ニーズに応えるため、夜間排尿量が多い人も一晩中安心して使える「アテント 夜1枚安心パッド モレを防いで朝までぐっすり8回吸収」を追加発売しました。また、コロナ禍において、介護者との接触頻度を減らすためにおむつの交換回数を減らしたいというニーズに対応し、「アテント 昼1枚安心パンツ 長時間快適プラス」は吸収量10%アップ・背モレ防止ポケット追加・吸収体のゴワつきを解消する伸縮ゴムの採用により、長時間の使用でも安心感と快適性を両立するようリニューアルしました。
④ フェミニンケア用品での取組み
高付加価値品であるスリムゾーンの商品群の商品力及び品揃え強化のため、「エリス コンパクトガード」シリーズにおいて期間限定の香り付きタイプを発売しました。また、前年度にEC専売品として発売し、生理用品らしくないデザインで話題となった「エリス 素肌のきもち 超スリム 羽つきシンプルデザイン」23cmに、27cmと32cmを追加ラインナップし、実店舗での販売を開始しました。
⑤ ウエットワイプでの取組み
コロナ禍での在宅勤務や外出自粛の増加とともに掃除用ウエット商品の使用頻度が高まっている中、より破れにくいシートを求める生活者ニーズに応えるため、「キレキラ!トイレクリーナー 1枚で徹底おそうじシート」はシートの強度を向上させたリニューアルを実施しました。
⑥ マスクでの取組み
コロナ禍の影響によりマスク着用頻度が高まった中、ウイルス飛沫をしっかりブロックするだけでなく耳ひものつけ心地も求める生活者ニーズに応えるため、「エリエール ハイパーブロックマスク ウイルス飛沫ブロック ふつうサイズ」と、女性や小顔の方向けの「小さめサイズ」を発売しました。耳掛け部には、長時間着用しても耳が痛くならない当社独自の伸縮性シートを採用し、フィルターには各種試験で性能を確認した超極細の高機能フィルター(ウイルス飛沫や花粉を99%カット)を採用しています。
ホーム&パーソナルケア事業に係る研究開発費は、
(3) CNF
CNFは、紙やパルプにはない特異的な性質を活かして、多種多様な用途への展開が期待されています。また、植物バイオマスから取り出した天然由来の繊維であり、製紙事業で培った技術を活かしながら、CNFの製造とその利活用を見出すことで低炭素社会の実現にも貢献できるよう研究開発を進めています。
当連結会計年度における研究開発の取組みは以下のとおりです。
① CNF複合樹脂ペレットに関する取組み
2018年度からサンプル提供を開始したCNF複合樹脂ペレットは、ユーザーによる評価を踏まえ品質改善に取り組んでいます。2020年度においては、最終製品の樹脂設計の自由度を高められるようセルロースを高濃度化してほしいというニーズに応えるため、CNF配合率を55%まで高濃度化する技術開発に成功し、この技術を用いたサンプル品の提供を9月より開始しました。
② CNF成形体に関する取組み
卓球ラケットやレースカーへの実装の採用実績があることで、ユーザーが高い興味を持つCNF成形体は、CNFにパルプを配合した特徴ある設計です。2020年度においては、CNF成形体を用いた卓球ラケットが㈱タマスから上市され、当社としては初めて社外でCNFが採用された商品化を達成しました。また、レースカーへのCNF実装では、モータースポーツチーム「SAMURAI SPEED」がCNF成形体の使用範囲を車体外装全体にまで拡大した他、新たにCNF複合樹脂製部材も実装し、同チームは公道ヒルクライムレース「ALL JAPAN HILL CLIMB Festival in御岳」にエキシビション参戦しました。
③ CNF量産化に関する取組み
CNF量産に向けたCNF複合樹脂一貫製造プロセス開発においては、2022年度までの計画として、CNFの前処理プロセスの開発や、複合樹脂の生産性の飛躍的改善を目指した芝浦機械㈱との共同開発に着手しました。また、同開発はNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)助成事業の採択を受けることができました。
CNFに係る研究開発費は、紙・板紙事業に係る研究開発費に含んでいます。