第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度(平成27年1月1日から平成27年12月31日まで)におけるわが国経済は、中国をはじめとする新興国の経済動向や海外政情不安による影響等が懸念されたものの、政府の経済政策並びに日銀の金融政策を背景に企業の収益改善や設備投資の増加、雇用環境の持ち直し等が見られ、緩やかな回復基調で推移しました。

 こうした中、当社グループの当期業績は、4期連続の増収、6期連続の営業利益増益を達成しました。

 売上高は、国内でのオフィス家具販売が引き続き好調に推移するとともに、海外事業も伸長し、前年同期比3.8%増の3,042億円となりました。営業利益は、増収に伴う売上総利益の増加やファニチャー関連事業の売上総利益率の改善により、前年同期比46.1%増の111億円となりました。また、経常利益は為替差益の減少があったものの、前年同期比23.2%増の118億円、当期純利益は特別損益(特別利益14億円、特別損失25億円)の計上等により、前年同期比24.6%増の63億円となりました。

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

①ステーショナリー関連事業

 国内事業は、発売40周年を迎えたキャンパスノートのキャンペーンの実施や新商品の上市等により、需要喚起に努めました。

 海外事業は、インド、中国、ベトナムにおいて、積極的な新商品の投入、工場の生産性の改善、販売力の強化等に取り組みました。

 このような状況のもと、売上高は、国内、海外事業とも伸長し、前年同期比4.2%増の975億円となりました。営業利益は、国内事業では、円安の進行に伴う原材料価格及び仕入商品価格の高騰に対し、価格改定の浸透に努めたことに加え、海外事業の改善により、前年同期比5.1%増の46億円となりました。

 

②ファニチャー関連事業

 国内事業は、首都圏を中心に、大規模オフィスビルの供給量が増加するとともに、企業の収益改善に伴うオフィスの移転・リニューアル需要が拡大しており、アカウント営業のさらなる強化並びに製販連携によるソリューション提案を展開した結果、オフィス家具販売が好調に推移しました。

 海外事業は、中国において積極的な営業活動を推進したものの、景気減速の影響等により、厳しい状況で推移しました。

 このような状況のもと、売上高は、国内事業の牽引により、前年同期比4.7%増の1,263億円となりました。営業利益は、国内事業の増収による売上総利益の増加並びに価格改定及び工場収支の改善等に伴う売上総利益率の向上により、前年同期比53.4%増の63億円となりました。

 

③通販・小売関連事業

 通販事業のカウネットは、創業15周年を記念し、お客様への感謝を込めたキャンペーンを実施したほか、独自の工夫を加えた付加価値型オリジナル商品を拡充し、需要喚起に努めました。また、オフィス用品一括購買システム「ウィズカウネット」が堅調に推移しました。

 小売事業のアクタスは、新たに6店舗を出店するとともに、お客様のこだわりのライフスタイルを実現するための商品及びサービスの提供に努めました。

 このような状況のもと、売上高は、LmD株式会社の連結除外(※)による減収があったものの、カウネット及びアクタスの増収により、前年同期比2.3%増の1,096億円となりました。営業利益は、カウネットにおける物流費の上昇やアクタスの新規出店に伴う先行費用の増加等がありましたが、増収に伴う売上総利益の増加により、前年同期比16.2%増の24億円となりました。

(※)平成26年9月1日に当社の連結子会社であった「ザ・コンランショップ」の運営会社であるLmD株式会社の全保有株式を譲渡しました。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、469億円と前連結会計年度末に比べ30億円の資金増となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動により獲得した資金は120億円(前年同期比38億円の収入減)となりました。これは、主として税金等調整前当期純利益108億円、減価償却費71億円の資金収入等があった一方、売上債権の増加38億円、法人税等の支払額45億円の資金支出等があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動により支出した資金は31億円(前年同期比24億円の支出増)となりました。これは、主として設備投資による支出55億円、投資有価証券の取得による48億円の資金支出等があった一方、投資有価証券の売却による収入45億円、関係会社株式の売却による16億円の資金収入等があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動により支出した資金は56億円(前年同期比34億円の支出減)となりました。これは、主として配当金の支払額17億円、短期借入金の純増減額13億円、リース債務の返済による11億円の資金支出等があったことによるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

ステーショナリー関連事業

26,431

105.3

ファニチャー関連事業

15,007

104.5

合計

41,439

105.0

(注)1 金額の表示は製造原価による。

2 上記金額は消費税等を含まない。

3 通販・小売関連事業は生産活動を行っていないため、記載を省略している。

 

(2)受注実績

 当社グループは、主として見込生産のため、受注実績の記載を省略しております。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

ステーショナリー関連事業

79,738

104.8

ファニチャー関連事業

123,856

104.8

通販・小売関連事業

100,682

101.9

合計

304,276

103.8

(注)1 上記金額は消費税等を含まない。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略している。

 

3【対処すべき課題】

当社グループは、平成27年10月23日に、平成28年度から平成30年度までの3ヵ年の中期経営計画「Value Transformation 2018」を発表しました。内容については、4つの柱からなる以下の経営方針としております。

 

1.将来にわたる企業のありたい姿、3ヵ年における基本方針

将来にわたる企業のありたい姿を「コクヨは、商品・サービスを通じて、顧客の創造性を向上する価値を提供することにより、人々のより良い はたらく・まなぶ・生活する“Quality of Lifeの向上”を実現し、社会の役に立つ Life & Work Style Companyを目指す」としております。

そのために、3ヵ年の新たな経営の基本方針を、『価値創造にこだわる自己改革~Value Transformation 2018~』とし、顧客本位にこだわった価値創造を実現する“運営モデルの改革”と、中長期の持続的成長を可能とするための“収益体質のつくりこみ”に取り組みます。

 

2.運営モデルの改革

どの事業においても、顧客への付加価値向上による収益性の改善・成長を実現するために、「シェアと粗利率」にこだわり、メーカー、流通が“全社一丸”となって、中長期の持続的成長を担保する運営モデルを実現します。これにより、過去最高となる売上総利益率35%以上を目指します。

ステーショナリー事業の基本方針:

『NB商品のシェアと粗利率にこだわり、顧客への価値を高め続けることで持続的成長を実現する』

ファニチャー事業の基本方針:

『差異化された新たな付加価値による業態進化を目指すことで持続的成長を実現する』

カウネット事業の基本方針:

『顧客への付加価値にこだわった“魅力的な第3極”戦略による成長の兆しを獲得する』

海外事業の基本方針:

『顧客への価値提供と事業収益性の確保を両立させ持続可能なビジネスモデルを確立する』

 

3.収益体質のつくりこみ

この3ヵ年で、経営効率の改善により、営業利益率5%以上を達成することにこだわります。事業部門と管理部門の業務の重複をなくし、管理部門が事業運営における効率化を推進することで、全社の管理・間接業務の大幅な生産性の向上を目指します。これによる直接部門でのリソース創出、生産性向上及び新価値創造に取り組むことで、高収益体質への転換を実現します。

 

4.3ヵ年でのゴール、財務目標数値

今中期経営計画のゴールは、①『成長原資の獲得』として国内事業での営業利益150億円以上の達成、②『高効率経営の実現』として営業利益率5%以上、③『海外の自立化』として海外事業の収益安定化、としました。

平成30年12月期には、売上高3,100億円以上、売上総利益率35%以上、営業利益155億円以上、営業利益率5%以上、の達成を目指します。また、主要財務指標の見通しとして平成30年12月期のROEを5%以上としております。

以上の経営方針に基づき、当社グループにおける持続的成長の獲得を目指してまいります。

 

 各セグメントの対処すべき課題は下記のとおりであります。


[ステーショナリー関連事業]

国内事業は、成熟市場であることに加え、販売チャネルの変化等により、引き続き厳しい事業環境が続くものと見込まれます。このような状況のもと、顧客の顕在ニーズだけでなく潜在ニーズまで捉えた新商品の開発及びマーケティングのさらなる強化に取り組むとともに、シェアと売上総利益率にこだわることで利益の向上に努めます。

海外事業は、好調なインド及び堅調なベトナムでは、引き続き、積極的な新商品の投入、工場の生産性の改善、販売力の強化等を推進し、中国では、売上総利益率の高い商品の生産・販売に注力するとともに、固定費の削減に努めることで、収益の向上を図ります。

[ファニチャー関連事業]

国内事業は、民間オフィスにおいて、特に首都圏における需要が旺盛であり、また、官公庁において、全国的に庁舎の建替えによる需要が継続し、好調に推移すると思われます。このような状況のもと、新規顧客の開拓、積極的な先行営業及び提案活動を行うとともに、営業・設計部門の業務効率化の推進、工場収支の改善及び在庫の削減等に取り組み、高い売上総利益率を伴ったシェアの拡大に努めます。

海外事業は、中国の都市部において直接販売に特化するとともに固定費を削減し、収益の改善を図ります。

[通販・小売関連事業]

通販事業のカウネットは、顧客ニーズにこだわった高付加価値のカウネットオリジナル商品の開発及び拡販に注力することにより、「仕事がはかどる通販」としての成長を目指します。

小売(インテリア・生活雑貨の販売)事業のアクタスは、集客を高めるとともに、お客様のこだわりのライフスタイルを実現するための商品及びサービスの提供に努めます。

 

〔会社の支配に関する基本方針の内容の概要〕

1.基本方針の内容

(1) 当社グループは創業以来、事務用紙製品分野からオフィスファニチャー分野へと事業領域を拡大し、国内最大級の総合オフィスサプライヤーへと成長を遂げてまいりました。

当社グループは、商品及びサービスを通じてお客様の知的活動をサポートし、「創造性」、「効率性」、「快適性」をもたらすという他社には追随できない価値を提供し続ける企業グループでありたいと考えます。

このような考え方に基づいて行われる商品・サービス開発は、利用者の視点に立ったものづくり等に反映されており、数々のユニバーサルデザイン商品及び環境対応商品として、また空間価値構築サービスとして具現化されております。

これまで当社グループの持続的な成長を支え、推進してきたものは、株主・顧客・取引先・従業員・地域社会等のステークホルダーとの間に築かれた良好な信頼関係であります。今後も当社グループが培ってきたこうした有形無形の財産を企業価値の源泉として守っていくことが大変重要な課題であると認識しております。

 

(2) 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として、当社の企業理念、企業価値を生み出す源泉、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係等を十分理解、活用し、当社の企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益を長期的に確保・向上させる者が望ましいと考えております。もっとも、その在り方については、最終的には株主の皆様にご判断いただくべきものであることから、株主の皆様が適切な判断を行う上で、十分な情報と時間を確保できるような施策の必要性を認識しております。

 

(3) 当社は、経営支配権の異動を通じた企業活動及び経済の活性化の意義を一概に否定するものではありませんが、株式の大規模な買付行為及びその提案の中には、当社に回復し難い損害をもたらすおそれのあるものも含まれます。このような行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切な存在であると考えます。

現在のところ、特定の第三者からの株式の大規模な買付行為及びその提案によって、当社に具体的な脅威が生じているわけではありませんが、必要に応じて対抗措置を講じる仕組みを株主の皆様のご意思に基づき構築しておくことが必要であると考えております。

 

2.基本方針の実現に資する特別な取組み

当社グループの各事業は、独自の強みを発揮し、相互に補完し合うことでグループ全体としての競争力を高めることを目指します。今後も、諸施策を通じて当社の企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益の確保及び更なる向上に努めていくことで、新たな成長のための投資を促し、株主の皆様のご期待に応えてまいりたいと考えております。

 

当社は、監査役会設置会社であり、取締役は8名(うち社外取締役3名)、監査役は4名(うち社外監査役2名)で構成されます。取締役の任期は1年であり、取締役の選解任のための株主総会決議要件の加重等は採用しておりませんので、株主の皆様は株主総会における過半数の決議(普通決議)による取締役の選解任を通じて、後記3.の取組みに対するご意思を反映させることも可能であります。

 

3.基本方針に照らして不適切な者によって会社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

当社は、平成19年6月28日開催の当社第60回定時株主総会において、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保し、向上させることを目的として、特定の株主又は株主グループによって当社株式の一定規模以上の買付行為が行われた場合の対応策を導入しました。その後、当該対応策は、平成20年3月28日開催の当社第61回定時株主総会、平成23年3月30日開催の当社第64回定時株主総会及び平成26年3月28日開催の当社第67回定時株主総会において株主の皆様によるご承認に基づき必要な範囲で内容の一部改定を行い、現在継続しております。

 

現行の当該対応策の主な内容は、次のとおりであります。

 

当該対応策は、大規模買付者が従うべき手続と大規模買付行為に対して当社が採りうる大規模買付対抗措置から構成されており、大規模買付者に対し、株主及び当社取締役会による判断のための情報提供と当社取締役会による検討・評価の期間の付与を要請しております。

大規模買付者が当該手続を遵守しない場合又は当該行為によって当社の企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益が著しく毀損される場合に限り、当社取締役会は、対抗措置として当社株主に対する新株予約権無償割当て等を決議することができます。

4.前記2.及び3.の取組みについての取締役会の判断及びその判断に係る理由

前記2.の取組みについては、当社の企業価値の向上及び会社の利益ひいては株主の皆様の共同の利益の実現を直接の目的とするものでありますので、前記1.の基本方針の実現に沿うものと考えております。

また、この取組みは当社株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものでもありません。

前記3.の取組みについては、当社取締役会が大規模買付対抗措置の発動を決議するにあたり、その判断の客観性・合理性を担保するための十分な仕組みが確保されているものと考えます。従いまして、前記1.の基本方針の実現に沿うものであり、当社株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものでないことは明らかであると考えます。

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済状況

 当社グループの売上は概ね日本国内向けであり、日本国内の景気変動に伴う企業収益や設備投資、公共投資の動向により、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの販売、生産、仕入の一部はアジアをはじめとした世界各地で行っており、各地域の政治・経済・社会情勢の変化や各種規制により、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2)市場環境

 当社グループは、顧客にとって付加価値の高い商品開発や提案活動を進めてまいりますが、事業を展開する市場は景気変動や顧客の購買チャネルの変化等の影響を受けており、また、激しい競争に晒されております。これらのことから、当社グループの優位性を維持又は獲得できない場合があり、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3)購買調達

 当社グループが主に使用する原材料は原紙、樹脂、鋼材等であり、これらは国内外の調達先から購入しております。また、当社が販売する商品の一部についても国内外の調達先から購入しており、外貨建取引の一部については為替予約を行っております。これら原材料や仕入商品の価格は世界的な需給動向や為替変動により影響を受ける場合があり、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(4)品質保証

 当社グループは、JIS規格や業界規格などの社外基準及び社内基準に基づき、製品化の審査を行っております。また、コールセンターでの対応やお届け、アフターサービスに至るまでバリューチェーン一体となって品質の向上に努めております。しかしながら、不測の事態発生により、リコールが発生する可能性があります。製造物責任賠償については、保険に加入しておりますが、損失額を全て賄える保証はなく、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの結果、当社グループのブランド価値への悪影響を及ぼす可能性があります。

(5)自然災害等

 当社グループは、地震・台風等の自然災害や新型インフルエンザ等の感染症発生に備え、事業の継続や早期復旧を図るために必要な対策・手順について計画を立て、危機管理の徹底に取り組んでおります。しかしながら、自然災害や感染症の全てのリスクを回避することは困難で、当社グループの想定を超える規模での発生も考えられます。このような場合、事業活動が縮小されるなど、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(6)法規制の遵守

 当社グループは、商品の品質、取引関連、環境、労務、安全衛生、会計基準や税務など様々な法規制の適用を受けております。当社グループは、法規制を遵守し、社会倫理に従って企業活動を行うための「コクヨグループ行動基準」を制定するなどコンプライアンス体制の構築とその遵守に努めております。しかしながら、これら法規制を遵守できなかった場合は、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、現行の法規制の変更や新たな法規制などが追加された場合には、当社グループの事業活動が制限され、あるいはその他対応のための投資が必要になるなど、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(7)有価証券の時価変動

 当社グループは、投資有価証券を保有しております。金融市場等の変動により投資有価証券の時価が悪化し、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(8)情報セキュリティ

 当社グループは、事業上の機密情報や事業の過程で入手した顧客情報や個人情報を保有しております。当社グループは、これら情報の取扱いに関する管理を強化するとともに、情報システムのウィルス感染やサイバー攻撃によるシステム障害、社外への情報漏洩に対する対策を図っております。しかしながら、当社グループの想定を超える攻撃等により、重要データの破壊、改ざん、流出、システム停止等を引き起こす可能性があります。これらの結果、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

連結子会社との合併契約

 当社は、平成27年2月13日開催の当社取締役会において、平成27年10月1日を期して、当社の100%出資の連結子会社であるコクヨS&T㈱及びコクヨファニチャー㈱を吸収合併することを決議いたしました。また、同日付で合併契約書を締結し、吸収合併を実施いたしました。

 詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

 当社グループの当連結会計年度における研究開発費の総額は、1,393百万円であり、各セグメントの研究開発活動は、次のとおりであります。

 

1.ステーショナリー関連事業

 従来からの基本姿勢である顧客起点の考えを推し進め、お客様の期待値を超え、際立つ価値を創造することで選ばれ続ける商品づくりを目指しております。

 際立った価値を提供できる商品や、新たな着眼点で既存の商品の価値を見直すことにより顧客ニーズに応える商品として、以下の商品を開発・発売しました。

(1)ソフトリング®ノート(ドット入り罫線)

 樹脂製でやわらかいリングを採用したリングノートです。リング自体がやわらかいので、書く時に手に当たっても気になりません。また、リング形状がD字型なので、ページがめくりやすく、ノートの端が揃いやすくなっております。

(2)ゴムバンド<和ごむ>

 当社が開催する、使う人の視点で優れた商品デザインを広く一般ユーザーから集めて、商品化をめざすコンペティション「コクヨデザインアワード」で、平成25年に優秀賞を受賞した作品を商品化しました。水引きの蝶結びをモチーフにしたシリコン製のゴムバンドで、輪ゴムの“とめる”機能に“気持ち”をプラスできるアイテムです。

(3)暗記用ペン<チェックル>

 試験対策に役立つ「塗って覚える緑マーカー」と「書いて覚えるオレンジペン」を1本にした暗記用ペンです。「緑マーカー」は、裏うつりがしにくく、専用の消しペンできれいに消せるため、教科書や参考書などに塗って覚えるのに適しております。一方、「オレンジペン」は、暗記用赤シートで、書いた文字を隠せるため、ノートや穴埋め問題に書いて覚えるのに適しております。

(4)カッターナイフ(標準型・フッ素加工刃)<C3>

 「Colorful、Cute、Compact」の3つの「C」をコンセプトにし、コンパクトでありながら一般的な小型刃が使える業界最短設計の本格派カッターナイフです。見た目のかわいさと切れ味の良さを兼ね備えております

(5)針なしステープラー<ハリナックス>(コンパクトアルファ)

 新設計刃の採用やハンドルを握りやすい形状に変えたことにより、従来品よりも約20%軽い力でとじられる、針なしステープラーです。また、とじ穴位置確認窓を開閉式にし、とじミス時などの紙くずや紙粉の取り出しが簡単にできるようになりました。

(6)テープのり<ドットライナープチプラス>

 従来品の消しゴムサイズはそのままに、テープ部分をより薄くすることでテープの長さを1.5m伸ばし、10m巻きを実現した、使い切りタイプのテープのりです。本体には、片手でスライドできる“フルカバーキャップ”を搭載し、ペンケースに入れてものり面にゴミが付かないよう、より使いやすさを追求しております。

 以上の結果、当連結会計年度の研究開発費の金額は、883百万円となりました。

 

2.ファニチャー関連事業

 お客様の働く・学ぶシーンに着目し、そのお客様に響く価値を見極めて付加した商品を提案することを目指して研究開発活動を行っております。

 ファニチャー関連の商品として、「顧客×価値」をコンセプトに、以下の商品を開発・発売しました。

(1)オフィス家具シリーズ「DAYS OFFICE(デイズオフィス)」

 ワークシーンをデザイン性と機能性の両面からサポートする家具の新ブランドで、第一弾としてチェアー3種を発売しました。その中の一つ、ミーティングエリアやオープンスペースなど広い用途に使える「offset frame(オフセットフレーム)」のデザインは、プロダクトデザイナーとして国内外で活躍する佐藤オオキ氏が代表を務めるデザインオフィスnendoが手掛けております。「DAYS OFFICE(デイズオフィス)」は形状、素材、カラーの種類が豊富で、その組み合わせはお客様の空間のデザインテイストに合わせて自由に選ぶことができます。

(2)ワークステーション「WORKFIT(ワークフィット)」

 コミュニケーションの活性化と自律的なワークスタイルの促進をキーワードに「業務のスピード化」を追求したワークステーションです。「自ら」「簡単に」働く場所やシーンをセッティングでき、グループワークとソロワークのそれぞれに対応します。ワーカーが「連携」「集中」に合わせてオフィス内の多彩な空間で働けるよう、キャスター付きの執務テーブルに加え、5種類の変形ミーティングテーブルやカウンターなどのマグネットエリアを構築できる収納オプションも用意しております。

(3)電動昇降テーブルシリーズ「SEQUENCE(シークエンス)」

 座る時は自分の最適な高さにでき、発想を変えたい時や少し疲れた時には立って仕事ができる電動昇降テーブルです。一人ひとりの自由自在な動きに対応しながらも、オフィス空間の整然とした美しさを保つことができます。また、立位ワークのしやすさに関する検証を重ね、長時間の立位ワークや昇降操作時のサポートアイテムとして天板と同時に上下昇降する収納類も用意しました。天板の高さは630mmから1290mmの間で目的に合わせて調整することが可能です。

(4)ミーティングチェアー「Piega(ピエガ)」

 準備や片付けを誰でも簡単に行える水平スタック機能と長時間の着座を快適にするクッション構造を備えたミーティングチェアーです。水平にスタッキング(スタックピッチ:160mm)できるため、準備や片付けの際にイスを持ち上げる必要がなく、女性でも複数のイスを簡単に移動でき、急な人数の増減や会議形態の変更にも即座に対応できます。チェアー本体は、スマートな脚形状とパンチングを施した樹脂製の背もたれを採用し、直線的でシンプルなデザインに仕上げているため、周辺環境に関わらず多様な空間にマッチします。

 

 また、店舗関連製品では、店舗の生産性向上に貢献できる独自の機能を持った商品づくり、という基本姿勢のもと、研究開発活動を行っております。主に食品スーパー等の小売事業者向けに、下記商品を上市しました。

(1)惣菜パック用置き台「スマートパックスタンド/スマートパックホルダー」

 惣菜パックが簡単に1枚ずつ取り出しやすいパック置き台です。

(2)通路を邪魔しない半円形の陳列什器「ハーフバスケットスタンド」

 農産物や関連商品の陳列に適した半円形の陳列什器です。

(3)農産売場向けの陳列ラック「ボリュームアジャストラック」

 農産売場で野菜や果物等をコンパクトながら、ボリューム感ある演出が可能な多機能陳列ラックです。

 以上の結果、当連結会計年度における研究開発費の金額は、366百万円となりました。

 

3.通販・小売関連事業

 当連結会計年度における研究開発費の金額は、25百万円となりました。

 

4.全社共通

 次世代の働き方や学び方の研究をベースにコクヨグループの新たな商品やサービスに関しての開発を行い、当連結会計年度における研究開発費の金額は、117百万円となりました。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債及び収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価を行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積り結果と異なる場合があります。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高

 売上高は、国内でのオフィス家具販売が引き続き好調に推移するとともに、海外事業も伸長し、3,042億円(前年同期比3.8%増)となりました。

 各セグメント別の状況については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」をご参照ください。

 

② 売上総利益

 売上総利益は、増収やファニチャー関連事業の売上総利益率の改善により、1,010億円(前年同期比4.7%増)となりました。売上総利益率は、円安の進行に伴う原材料価格及び仕入商品価格の高騰による原価の上昇がありましたが、価格改定の浸透及びコストダウンの推進に努めた結果、33.2%(前年同期比0.3ポイント上昇)となりました。

 

③ 販売費及び一般管理費

 販売費及び一般管理費は、物流費は増加しましたが、固定費の増加抑制に努めたことから899億円(前年同期比1.2%増)となり、売上高販管費率は29.5%(前年同期比0.8ポイント低下)となりました。

 

④ 営業利益

 営業利益は、増収に伴う売上総利益の増加やファニチャー関連事業の売上総利益率の改善により、111億円(前年同期比46.1%増)となりました。

 各セグメント別の状況については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」をご参照ください。

 

⑤ 経常利益

 経常利益は、為替差益の減少があったものの、118億円(前年同期比23.2%増)となりました。

 

⑥ 当期純利益

 当期純利益は、特別損益の計上等により、63億円(前年同期比24.6%増)となりました。

 

(3)財政状態についての分析

① 資産、負債及び純資産

 当連結会計年度末の総資産は2,863億円となり、前連結会計年度末に比べ125億円増加しました。流動資産は1,494億円で、前連結会計年度末に比べ80億円増加しました。主な要因として、現金及び預金が108億円、受取手形及び売掛金が36億円、商品及び製品が11億円、それぞれ増加した一方、有価証券が75億円減少したためであります。固定資産は1,368億円で、前連結会計年度末に比べ45億円増加しました。主な原因として、投資その他の資産が62億円増加した一方、有形固定資産が11億円、無形固定資産が5億円、それぞれ減少したためであります。

 当連結会計年度末の負債は1,055億円となり、前連結会計年度末に比べ21億円増加しました。流動負債は727億円となり、前連結会計年度末に比べ51億円増加しました。主な要因として、1年内返済予定の長期借入金が38億円増加したためであります。固定負債は327億円となり、前連結会計年度末に比べ30億円減少しました。主な要因として、繰延税金負債が24億円増加した一方、長期借入金が40億円、退職給付に係る負債が22億円、それぞれ減少したためであります。

 当連結会計年度末の純資産は1,807億円となり、前連結会計年度末に比べ104億円増加しました。主な要因として、その他有価証券評価差額金が69億円、利益剰余金が47億円、それぞれ増加した一方、資本剰余金が8億円、為替換算調整勘定が4億円、それぞれ減少したためであります。

 

② キャッシュ・フロー

 キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

 

(4)今後の経営方針について

 当社グループは、将来にわたる企業のありたい姿を「コクヨは、商品・サービスを通じて、顧客の創造性を向上する価値を提供することにより、人々のより良い はたらく・まなぶ・生活する“Quality of Lifeの向上”を実現し、社会の役に立つ Life & Work Style Companyを目指す」としております。

 また、平成28年12月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画では、経営の基本方針を『価値創造にこだわる自己改革~Value Transformation 2018~』と定めております。

 

① 目標とする経営指標

中期経営計画の最終年度である平成30年12月期において、売上高3,100億円以上、売上総利益率35%以上、営業利益155億円以上、営業利益率5%以上の達成を目指します。また、主要財務指標の見通しとして平成30年12月期のROEを5%以上としております。

 

② 中長期的な会社の経営戦略

当社グループの業績は、リーマン・ショック以降、増収増益基調に戻りつつあるものの、営業利益率は低い水準に留まっており、低成長が常態化しております。そのため、中期経営計画では、低成長から抜け出し、持続的成長の獲得を目指して、経営の基本方針『価値創造にこだわる自己改革~Value Transformation 2018~』に基づき、顧客本位にこだわった価値創造を実現する“運営モデルの改革”と、中長期の持続的成長を可能とするための“収益体質のつくりこみ”に取り組みます。

  ・運営モデルの改革

どの事業においても、顧客への付加価値の向上による収益性の改善・成長を実現するために、「シェアと粗利率」にこだわり、メーカー、流通が“全社一丸”となって、中長期の持続的成長を担保する運営モデルを実現します。これにより、過去最高となる売上総利益率35%以上を目指します。

ステーショナリー事業の基本方針:

NB商品のシェアと粗利率にこだわり、顧客への価値を高め続けることで持続的成長を実現する

ファニチャー事業の基本方針:

差異化された新たな付加価値による業態進化を目指すことで持続的成長を実現する

カウネット事業の基本方針:

顧客への付加価値にこだわった“魅力的な第3極”戦略による成長の兆しを獲得する

海外事業の基本方針:

顧客への価値提供と事業収益性の確保を両立させ持続可能なビジネスモデルを確立する

  ・収益体質のつくりこみ

事業部門と管理部門の業務の重複をなくし、管理部門が事業運営における効率化を推進することで、全社の管理・間接業務の大幅な生産性の向上を目指します。これによる直接部門でのリソース創出、生産性向上及び新価値創造に取り組むことで、高収益体質への転換を実現します。