第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度(平成28年1月1日から平成28年12月31日まで)におけるわが国経済は、企業収益及び雇用環境の改善を背景に緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の大幅な変動リスク等、景気の先行きは依然として不透明な状況で推移しました。

 こうした中、当社グループは、顧客本位にこだわった価値創造を実現する“運営モデルの改革”と、中長期の持続的成長を可能とするための“収益体質のつくりこみ”に取り組む、中期経営計画『価値創造にこだわる自己改革~Value Transformation 2018~』を推進し、その初年度となる当期の業績は、5期連続の増収、7期連続の営業利益増益を達成しました。

 売上高は、海外事業において円高に伴う為替換算による売上減少影響が33億円あったものの、国内事業が伸長し、前年同期比1.1%増の3,076億円となりました。また、『シェアと粗利率』にこだわる施策の推進により、売上総利益は1,054億円、売上総利益率は前年同期比1.1ポイント向上の34.3%、と順調に改善が進みました。販管費は、効率的な使用に努めた結果、前年並みの900億円、売上高販管費率は29.3%と前年同期比0.3ポイント低下しました。以上により、営業利益は前年同期比39.1%増の154億円と大幅増益となり、海外事業の黒字化も達成しました。経常利益は、前年同期比32.1%増の156億円、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損益(特別利益20億円、特別損失5億円)の計上や法人税負担率の低下等により、前年同期比93.0%増の121億円となりました。

 なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

 なお、当社は、平成27年10月1日付の連結子会社2社との合併に伴い、純粋持株会社から事業会社に移行したため、当連結会計年度より、連結子会社に対するグループ経営運営料の徴収を廃止しております。これにより、当連結会計年度の各事業セグメントの営業利益は、前連結会計年度に比べて、ステーショナリー関連事業で670百万円、ファニチャー関連事業で985百万円、通販・小売関連事業で652百万円それぞれ増加し、調整額で2,308百万円減少しております。

 

①ステーショナリー関連事業

 国内事業は、キャンパスノートやテープのり「ドットライナー」の新商品の上市や、発売60周年を迎えたフラットファイルのキャンペーンの実施等により、需要喚起に努めました。また、顧客の顕在ニーズだけでなく潜在ニーズまでを満たす新商品の開発及びマーケティングの強化に取り組みました。

 海外事業は、売上総利益率の高い商品の販売並びに固定費の抑制に注力し、収益の向上を図りました。

 このような状況のもと、売上高は、国内事業は堅調に推移したものの、海外事業において円高に伴う為替換算による売上減少影響があったため、前年同期比0.4%減の971億円となりました。営業利益は、国内事業では、平成27年7月に実施した価格改定の浸透に努めたことに加え、海外事業の黒字化等により、前年同期比43.5%増の67億円となりました。

 

②ファニチャー関連事業

 国内事業は、首都圏を中心とした民間オフィスの需要に対し、新規顧客の開拓並びに積極的な先行営業や「働く人」にフォーカスした空間価値を創出する提案活動を推進しました。

 海外事業は、中国の都市部において直接販売に注力するとともに、固定費の抑制に取り組み、収益の改善に努めました。

 このような状況のもと、売上高は、国内事業の牽引により、前年同期比0.8%増の1,274億円となりました。営業利益は、増収に伴う売上総利益の増加、販売部門の高付加価値提案の推進や工場の生産性改善による売上総利益率の改善、海外事業の黒字化等により、前年同期比65.3%増の105億円となりました。

 

③通販・小売関連事業

 通販事業のカウネットは、「仕事がはかどる通販」としての成長を目指し、顧客ニーズにこだわった高付加価値のカウネットオリジナル商品「カウコレプレミアム」の開発に取り組むとともに、オリジナル商品だけを掲載したカタログの発刊等により、価値訴求を図りました。

 小売事業のアクタスは、お客様のこだわりのライフスタイルを実現するための商品及びサービスの提供に努めました。

 このような状況のもと、売上高は、カウネットが堅調に推移したことにより増収となり、前年同期比3.5%増の1,134億円となりました。営業利益は、増収に伴う売上総利益の増加並びにカウネットにおける売上総利益率の高い商品の売上伸長等により、前年同期比49.1%増の35億円となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、673億円と前連結会計年度末に比べ203億円の資金増となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動により獲得した資金は237億円(前年同期比116億円の収入増)となりました。これは、主として税金等調整前当期純利益172億円、減価償却費64億円の資金収入等があった一方、法人税等の支払額32億円の資金支出等があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動により獲得した資金は7億円(前年同期比39億円の収入増)となりました。これは、主として投資有価証券の取得、売却による25億円、有形固定資産の売却による21億円、定期預金の純減による13億円の資金収入等があった一方、設備投資による53億円の資金支出等があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動により支出した資金は39億円(前年同期比16億円の支出減)となりました。これは、主として長期借入れによる33億円の資金収入等があった一方、長期借入金の返済による39億円、配当金の支払額20億円の資金支出等があったことによるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

ステーショナリー関連事業

23,858

90.3

ファニチャー関連事業

13,286

88.5

合計

37,144

89.6

(注)1 金額の表示は製造原価による。

2 上記金額は消費税等を含まない。

3 通販・小売関連事業は生産活動を行っていないため、記載を省略している。

 

(2)受注実績

 当社グループは、主として見込生産のため、受注実績の記載を省略しております。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

ステーショナリー関連事業

79,060

99.2

ファニチャー関連事業

125,014

100.9

通販・小売関連事業

103,549

102.8

合計

307,625

101.1

(注)1 上記金額は消費税等を含まない。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略している。

 

3【対処すべき課題】

当社グループは、平成27年10月23日に、平成28年度から平成30年度までの3ヵ年の中期経営計画「Value Transformation 2018」を発表しました。内容につきましては、4つの柱からなる以下の経営方針としております。

 

1.将来にわたる企業のありたい姿、3ヵ年における基本方針

将来にわたる企業のありたい姿を「コクヨは、商品・サービスを通じて、顧客の創造性を向上する価値を提供することにより、人々のより良い はたらく・まなぶ・生活する“Quality of Lifeの向上”を実現し、社会の役に立つ Life & Work Style Companyを目指す」としております。

そのために、3ヵ年の新たな経営の基本方針を、『価値創造にこだわる自己改革~Value Transformation 2018~』とし、顧客本位にこだわった価値創造を実現する“運営モデルの改革”と、中長期の持続的成長を可能とするための“収益体質のつくりこみ”に取り組みます。

 

2.運営モデルの改革

どの事業においても、顧客への付加価値向上による収益性の改善・成長を実現するために、「シェアと粗利率」にこだわり、メーカー、流通が“全社一丸”となって、中長期の持続的成長を担保する運営モデルを実現します。これにより、過去最高となる売上総利益率35.5%以上を目指します。

ステーショナリー事業の基本方針:

『NB商品のシェアと粗利率にこだわり、顧客への価値を高め続けることで持続的成長を実現する』

ファニチャー事業の基本方針:

『差異化された新たな付加価値による業態進化を目指すことで持続的成長を実現する』

カウネット事業の基本方針:

『顧客への付加価値にこだわった“魅力的な第3極”戦略による成長の兆しを獲得する』

海外事業の基本方針:

『顧客への価値提供と事業収益性の確保を両立させ持続可能なビジネスモデルを確立する』

 

3.収益体質のつくりこみ

この3ヵ年で、経営効率の改善により、営業利益率5.5%以上を達成することにこだわります。事業部門と管理部門の業務の重複をなくし、管理部門が事業運営における効率化を推進することで、全社の管理・間接業務の大幅な生産性の向上を目指します。これによる直接部門でのリソース創出、生産性向上及び新価値創造に取り組むことで、高収益体質への転換を実現します。

 

4.3ヵ年でのゴール、財務目標数値

今中期経営計画のゴールは、①『成長原資の獲得』として国内事業での営業利益170億円以上の達成、②『高効率経営の実現』として営業利益率5.5%以上、③『海外の自立化』として海外事業の収益安定化、としました。

平成30年12月期には、売上高3,200億円以上、売上総利益率35.5%以上、営業利益175億円以上、営業利益率5.5%以上、の達成を目指します。また、主要財務指標の見通しとして平成30年12月期のROEを6.5%としております。

以上の経営方針に基づき、当社グループにおける持続的成長の獲得を目指してまいります。

 

 各セグメントの対処すべき課題は下記のとおりであります。

 

[ステーショナリー関連事業]

国内事業は、顧客の顕在ニーズだけでなく潜在ニーズまでを満たす新商品の開発及びマーケティングの更なる強化に取り組むとともに、シェアと売上総利益率にこだわることで利益の向上に努めます。

海外事業は、インド・ベトナム・中国の各国において、シェアと売上総利益率を意識しながら、積極的な新商品の投入、工場の生産性の改善及び販売力の強化等を推進し、収益の拡大を図ります。
 

[ファニチャー関連事業]

国内事業は、新規顧客の開拓並びに積極的な先行営業及び提案活動を行うとともに、営業・設計部門の業務効率化の推進、工場収支の改善及び在庫の削減等に取り組み、高い売上総利益率を伴ったシェアの拡大に努めます。

海外事業は、引き続き中国の都市部において直接販売に注力するとともに、固定費を抑制し、収益の拡大を図ります。

[通販・小売関連事業]

通販事業のカウネットは、顧客ニーズにこだわった高付加価値のカウネットオリジナル商品の開発及び拡販に注力することにより、「仕事がはかどる通販」としての成長を目指します。

小売(インテリア・生活雑貨の販売)事業のアクタスは、集客を高めるとともに、お客様のこだわりのライフスタイルを実現するための商品及びサービスの提供に努めます。

 

〔会社の支配に関する基本方針の内容の概要〕

1.基本方針の内容

(1) 当社グループは創業以来、事務用紙製品分野からオフィスファニチャー分野へと事業領域を拡大し、国内最大級の総合オフィスサプライヤーへと成長してまいりました。

現在では、ステーショナリー及びオフィスファニチャー製品の開発・製造・販売、オフィス・店舗・官公庁・学校・病院等の空間構築設計・施工・コンサルティング、オフィス用品の通信販売、個人向け家具・インテリア・雑貨の販売等、商品だけでなくサービスも含めた総合提案力によって、お客様の課題解決を一手に担うことのできる企業グループへと進化を遂げております。

これまで当社グループの持続的な成長を支え、推進してきたものは、株主・顧客・取引先・従業員・地域社会等のステークホルダーとの間に築かれた良好な信頼関係であります。今後も当社グループが培ってきたこうした有形無形の財産を企業価値の源泉として守っていくことが大変重要な課題であると認識しております。

 

(2) 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として、当社の企業理念、企業価値を生み出す源泉、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係等を十分理解、活用し、当社の企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益を長期的に確保・向上させる者が望ましいと考えております。もっとも、その在り方については、最終的には株主の皆様にご判断いただくべきものであることから、株主の皆様が適切な判断を行う上で、十分な情報と時間を確保できるような施策の必要性を認識しております。

 

(3) 当社は、経営支配権の異動を通じた企業活動及び経済の活性化の意義を一概に否定するものではありませんが、株式の大規模な買付行為及びその提案の中には、当社に回復し難い損害をもたらすおそれのあるものも含まれます。このような行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切な存在であると考えます。

現在のところ、特定の第三者からの株式の大規模な買付行為及びその提案によって、当社に具体的な脅威が生じているわけではありませんが、必要に応じて対抗措置を講じる仕組みを株主の皆様のご意思に基づき構築しておくことが必要であると考えております。

 

2.基本方針の実現に資する特別な取組み

当社グループは、平成27年10月23日に、平成28年度から平成30年度までの3ヵ年の中期経営計画「Value Transformation 2018」を発表しました。内容につきましては、前記3.「対処すべき課題」に記載のとおりであります。

 

当社は、監査役会設置会社であり、取締役は8名(うち社外取締役3名)、監査役は3名(3名全て社外監査役)で構成されます。取締役の任期は1年であり、取締役の選解任のための株主総会決議要件の加重等は採用しておりませんので、株主の皆様は株主総会における過半数の決議(普通決議)による取締役の選解任を通じて、後記3.の取組みに対するご意思を反映させることも可能であります。

 

3.基本方針に照らして不適切な者によって会社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

当社は、平成19年6月28日開催の当社第60回定時株主総会において、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保し、向上させることを目的として、特定の株主又は株主グループによって当社株式の一定規模以上の買付行為が行われた場合の対応策を導入しました。その後、当社は、直近では平成29年3月30日開催の当社第70回定時株主総会における株主の皆様のご承認に基づき、当該対応策の内容の一部を改定した上で当該対応策を継続しております。

 

現行の当該対応策の主な内容は、次のとおりであります。

 

当該対応策は、大規模買付者が従うべき手続と大規模買付行為に対して当社が採りうる大規模買付対抗措置から構成されており、大規模買付者に対し、株主及び当社取締役会による判断のための情報提供と当社取締役会による検討・評価の期間の付与を要請しております。

大規模買付者が当該手続を遵守しない場合又は当該行為によって当社の企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益が著しく毀損される場合に限り、当社取締役会は、対抗措置として当社株主に対する新株予約権無償割当て等を決議することができます。

 

4.前記2.及び3.の取組みについての取締役会の判断及びその判断に係る理由

前記2.の取組みにつきましては、当社の企業価値の向上及び会社の利益ひいては株主の皆様の共同の利益の実現を直接の目的とするものでありますので、前記1.の基本方針の実現に沿うものと考えております。

また、この取組みは当社株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものでもありません。

前記3.の取組みにつきましては、当社取締役会が大規模買付対抗措置の発動を決議するにあたり、その判断の客観性・合理性を担保するための十分な仕組みが確保されているものと考えます。従いまして、前記1.の基本方針の実現に沿うものであり、当社株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものでないことは明らかであると考えます。

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済状況

 当社グループの売上は概ね日本国内向けであり、日本国内の景気変動に伴う企業収益や設備投資、公共投資の動向により、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの販売、生産、仕入の一部はアジアをはじめとした世界各地で行っており、各地域の政治・経済・社会情勢の変化や各種規制により、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2)市場環境

 当社グループは、顧客にとって付加価値の高い商品開発や提案活動を進めてまいりますが、事業を展開する市場は景気変動や顧客の購買チャネルの変化等の影響を受けており、また、激しい競争に晒されております。これらのことから、当社グループの優位性を維持又は獲得できない場合があり、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3)法規制の遵守

 当社グループは、商品の品質、取引関連、環境、労務、安全衛生、会計基準や税務など様々な法規制の適用を受けております。当社グループは、法規制を遵守し、社会倫理に従って企業活動を行うための「コクヨグループ行動基準」を制定するなどコンプライアンス体制の構築とその遵守に努めております。しかしながら、これら法規制を遵守できなかった場合は、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、現行の法規制の変更や新たな法規制などが追加された場合には、当社グループの事業活動が制限され、あるいはその他対応のための投資が必要になるなど、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(4)品質保証

 当社グループは、JIS規格や業界規格などの社外基準及び社内基準に基づき、製品化の審査を行っております。また、コールセンターでの対応やお届け、アフターサービスに至るまでバリューチェーン一体となって品質の向上に努めております。しかしながら、不測の事態発生により、リコールが発生する可能性があります。製造物責任賠償については、保険に加入しておりますが、損失額を全て賄える保証はなく、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの結果、当社グループのブランド価値への悪影響を及ぼす可能性があります。

(5)購買調達

 当社グループが主に使用する原材料は原紙、樹脂、鋼材等であり、これらは国内外の調達先から購入しております。また、当社が販売する商品の一部についても国内外の調達先から購入しており、外貨建取引の一部については為替予約を行っております。これら原材料や仕入商品の価格は世界的な需給動向や為替変動により影響を受ける場合があり、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(6)情報セキュリティ

 当社グループは、事業上の機密情報や事業の過程で入手した顧客情報や個人情報を保有しております。当社グループは、これら情報の取扱いに関する管理を強化するとともに、情報システムのウィルス感染やサイバー攻撃によるシステム障害、社外への情報漏洩に対する対策を図っております。しかしながら、当社グループの想定を超える攻撃等により、重要データの破壊、改ざん、流出、システム停止等を引き起こす可能性があります。これらの結果、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(7)自然災害等

 当社グループは、地震・台風等の自然災害や新型インフルエンザ等の感染症発生に備え、事業の継続や早期復旧を図るために必要な対策・手順について計画を立て、危機管理の徹底に取り組んでおります。しかしながら、自然災害や感染症の全てのリスクを回避することは困難で、当社グループの想定を超える規模での発生も考えられます。このような場合、事業活動が縮小されるなど、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(8)有価証券の時価変動

 当社グループは、投資有価証券を保有しております。金融市場等の変動により投資有価証券の時価が悪化し、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループの当連結会計年度における研究開発費の総額は、1,499百万円であり、各セグメントの研究開発活動は、次のとおりであります。

 

1.ステーショナリー関連事業

 顧客のシーン毎に未充足ニーズを見出し、当社ならではの価値ある商品、差別化された商品を世の中に出すことで、お客様に支持され続ける商品づくりを目指しております。

 当社ならではの価値ある商品として、際立った価値を提供できる商品や、新たな着眼点で既存の商品の価値を見直すことにより顧客ニーズに応える商品として、以下の商品を開発・発売しました。

(1)キャンパスノート(ドット入り罫線・無地)

 社会人の自己成長をサポートするためのノートとして、前年に大人向けキャンパスノートの第1弾である「キャンパスノート(方眼罫)」を発売し、好評を得ました。社会人は学生と違い、ノートをとる目的も内容も様々であり、そのパターン毎に適した罫線があるという調査結果から、第2弾として「ドット入り罫線」と「無地」を追加しました。「ドット入り罫線」は、罫線上に等間隔に並んだドットが、文字や図形を美しく書くことのサポートとなるため、会議の議事録や打ち合わせの内容を書き取る時などに適しています。「無地」は罫線に縛られることなく自由に書けるため、考えやアイデアを書き出してまとめる時に使い勝手のよいものとなっています。表紙は細かい地模様(ハニカム柄)とマットな表面加工の落ち着いた雰囲気のデザインで、ビジネスシーンによく馴染みます。

(2)鉛筆シャープTypeS

 金属ペン先を採用することで、よりしっかり安定した書き心地を実現した、鉛筆シャープの新しいシリーズです。グリップの先端部分は六角形のラバーグリップとなっており、しっかり握って筆記することができます。また、持ち歩きに便利なクリップや、くり出し消しゴムが付いています。アイデアの整理や資料の構想のまとめなどのビジネスシーンに最適です。

(3)ペンケース<ウィズプラス>

 社内・社外の移動時には手帳と一緒にスムーズに持ち運べ、デスクで集中して業務に取り組みたい時にはペントレーとして使える、ビジネスのさまざまなシーンで活躍する新しいタイプのペンケースです。ペンケース本体にはコーナーベルトが付いており、手帳やノートにはさんで持ち運びしやすくなっています。また、ペンケースの外側にはフロントポケットがあり、よく使うペンをすばやく取り出せます。

(4)モバイルバッグ<mo・baco>(モバコ)

 フリーアドレス制で働くワーカーに最適なバッグです。PC・マウス・電源ケーブルや手帳・ペンケース・書類など、個人で必要とする荷物をしまえる収容力に加え、卓上では中身が見やすく取り出しやすいように、前部分が開く仕様となっています。また、ファイルボックスサイズを基準としているため、ロッカー内に収めやすくなっています。

(5)クリヤーホルダーブック<ノビータ>

 クリヤーホルダー型のポケットが1冊になった固定式ファイルです。クリヤーホルダーの出し入れのしやすさはそのままに、大量の書類を1冊で管理することができます。また、書類の量に応じて背幅が変わるため、かさばらずにすっきり保管することが可能です。ポケットには書類の脱落を防止するストッパーが付いており、保管や持ち運びにおけるポケットからの書類の飛び出しを防ぎます。

(6)テープのり<ドットライナーワイド>

 のりがドット(点)状に粘着することで、のりの切れが良く、手軽に美しくのり付けができるドットライナーシリーズの新商品です。一般的なテープのり(幅8.4mm)の約2.3倍となる幅20mmの極太タイプで、特に大型封筒ののり付け作業に適しています。ドットライナーのスタンダードタイプと本体が共通であるため、本体を1つ持っていれば、つめ替え用テープの交換だけでスタンダード・ワイドのどちらも使用することができます。

 以上の結果、当連結会計年度の研究開発費の金額は、996百万円となりました。

 

 

2.ファニチャー関連事業

 お客様の働く・学ぶシーンに着目し、そのお客様に響く価値を見極めて付加した商品を提案することを目指して研究開発活動を行っております。

 ここちよく働ける、明るく、開放的な新しいオフィス空間のために「人中心の過ごしやすさ」「緩やかにつながる」「モードで選ぶ」をコンセプトにした以下の商品を開発・発売しました。

(1)スクリーンブース「inframe(インフレーム)」

 居心地のよいリビングテイストの執務空間を構成できるスクリーンブースです。ワンユニット構造であるため、置くだけで簡単にワーカーが心地よく過ごせ、周囲との緩やかなつながりを感じさせる空間を演出することができます。

(2)ファブリックスクリーン「stripel(ストライプル)」

 縦方向に一定間隔で配置したフィンとベースの一体型で、置くだけで緩やかに境界線を作り、リビングテイストの抜け感のある空間を構成できる、新しい発想のファブリックスクリーンです。フィンはフェルト地(芯材:アルミ)で覆われており、ソフトな触り心地です。オフィス内のミーティングスペースやラウンジ等、多様な用途の空間を豊かな採光や解放感で演出します。

(3)ミーティングチェアー&ソファー「COODE(コーデ)」

 リビングテイストのミーティングエリアやラウンジを構成できるミーティングチェアー&ソファーです。ミーティングチェアーは、座面の前後で硬度の異なるクッションを配置し、安定した姿勢保持と包み込み感の両立を実現しました。また、ソファーは、リビングテイストのデザインと風合いのある張り地を採用しています。

(4)テーブル付きソファー「interval(インターバル)」

 スクリーンパネルが付いたテーブル付きソファーです。ソファー本体は周囲をクッション素材のスクリーンパネルで囲い、肘部から一体になったテーブル天板と2口コンセントが設えられ、仕事の合間等で気分をリフレッシュしつつ、快適にワークができる構造です。

 

 また、店舗関連製品では、店舗の生産性向上に貢献できる独自の機能を持った商品づくり、という基本姿勢のもと、研究開発活動を行っております。主に食品スーパー等の小売事業者向けに、下記商品を上市しました。

(1)惣菜袋専用ケース「デリカバッグケース」

 主に惣菜売場で使用する惣菜袋を、箱型形状のケースで包み、惣菜袋を整列して収納することができるケースです。惣菜売場空間の清潔感を演出しながら、惣菜袋を保管することができます。

(2)店舗用カート「ショッピングパートナー2」

 主に食品スーパーやドラッグストア等の小売事業者向けの店舗用カートです。「ショッピングパートナー」と同様に、軽量で小回りがきく、コンパクトなデザインでありながら、本体に買い物カゴを上下2段まで載置できます。

(3)「CSアップ棚」「CSスライドステージ」

 コンパクトストア向け店舗什器「CSシリーズ」に、施工不要で什器の最上段に簡単に設置できる在庫棚「CSアップ棚」と、再下段でスライドするステージ棚「CSスライドステージ」を追加しました。

 以上の結果、当連結会計年度における研究開発費の金額は、409百万円となりました。

 

3.通販・小売関連事業

 当連結会計年度における研究開発費の金額は、21百万円となりました。

 

4.全社共通

 次世代の働き方や学び方の研究をベースにコクヨグループの新たな商品やサービスに関しての開発を行い、当連結会計年度における研究開発費の金額は、72百万円となりました。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債及び収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価を行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積り結果と異なる場合があります。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高

 売上高は、海外事業において円高に伴う為替換算による売上減少影響が33億円あったものの、国内事業が伸長し、3,076億円(前年同期比1.1%増)となりました。

 各セグメント別の状況については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」をご参照ください。

 

② 売上総利益

 売上総利益は、増収や売上総利益率の改善により、1,054億円(前年同期比4.4%増)となりました。売上総利益率は、価格改定の浸透に努めたことやコストダウンの推進等により、34.3%(前年同期比1.1ポイント上昇)となりました。

 

③ 販売費及び一般管理費

 販売費及び一般管理費は、効率的な使用に努めた結果、前年並みの900億円(前年同期比0.1%増)となり、売上高販管費率は29.3%(前年同期比0.3ポイント低下)となりました。

 

④ 営業利益

 営業利益は、154億円(前年同期比39.1%増)と大幅増益となり、海外事業の黒字化も達成しました。

 各セグメント別の状況については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」をご参照ください。

 

⑤ 経常利益

 経常利益は、156億円(前年同期比32.1%増)となりました。

 

⑥ 親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損益(特別利益20億円、特別損失5億円)の計上や法人税負担率の低下等により、121億円(前年同期比93.0%増)となりました。

 

(3)財政状態についての分析

① 資産、負債及び純資産

 当連結会計年度末の総資産は2,939億円となり、前連結会計年度末に比べ76億円増加しました。流動資産は1,666億円で、前連結会計年度末に比べ171億円増加しました。主な要因として、現金及び預金が271億円増加した一方、有価証券が83億円、商品及び製品が13億円、それぞれ減少したためであります。固定資産は1,273億円で、前連結会計年度末に比べ94億円減少しました。主な要因として、投資その他の資産が82億円、有形固定資産が12億円、それぞれ減少したためであります。

 当連結会計年度末の負債は1,059億円となり、前連結会計年度末に比べ4億円増加しました。流動負債は824億円となり、前連結会計年度末に比べ96億円増加しました。主な要因として、1年内償還予定の社債が100億円、未払法人税等が21億円、それぞれ増加した一方、1年内返済予定の長期借入金が38億円減少したためであります。固定負債は234億円となり、前連結会計年度末に比べ92億円減少しました。主な要因として、長期借入金が32億円増加した一方、社債が100億円、繰延税金負債が19億円、それぞれ減少したためであります。

 当連結会計年度末の純資産は1,880億円となり、前連結会計年度末に比べ72億円増加しました。主な要因として、利益剰余金が101億円増加した一方、その他有価証券評価差額金が27億円減少したためであります。

 

② キャッシュ・フロー

 キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

 

(4)今後の経営方針について

 当社グループは、将来にわたる企業のありたい姿を「コクヨは、商品・サービスを通じて、顧客の創造性を向上する価値を提供することにより、人々のより良い はたらく・まなぶ・生活する“Quality of Lifeの向上”を実現し、社会の役に立つ Life & Work Style Companyを目指す」としております。

 また、平成28年12月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画では、経営の基本方針を『価値創造にこだわる自己改革~Value Transformation 2018~』と定めております。

 

① 目標とする経営指標

中期経営計画の最終年度である平成30年12月期において、売上高3,200億円以上、売上総利益率35.5%以上、営業利益175億円以上、営業利益率5.5%以上の達成を目指します。また、主要財務指標の見通しとして平成30年12月期のROEを6.5%としております。

 

② 中長期的な会社の経営戦略

当社グループの業績は、リーマン・ショック以降、増収増益基調に戻りつつあるものの、営業利益率は低い水準に留まっており、低成長が常態化しております。そのため、中期経営計画では、低成長から抜け出し、持続的成長の獲得を目指して、経営の基本方針『価値創造にこだわる自己改革~Value Transformation 2018~』に基づき、顧客本位にこだわった価値創造を実現する“運営モデルの改革”と、中長期の持続的成長を可能とするための“収益体質のつくりこみ”に取り組みます。

  ・運営モデルの改革

どの事業においても、顧客への付加価値向上による収益性の改善・成長を実現するために、「シェアと粗利率」にこだわり、メーカー、流通が“全社一丸”となって、中長期の持続的成長を担保する運営モデルを実現します。これにより、過去最高となる売上総利益率35.5%以上を目指します。

ステーショナリー事業の基本方針:

『NB商品のシェアと粗利率にこだわり、顧客への価値を高め続けることで持続的成長を実現する』

ファニチャー事業の基本方針:

『差異化された新たな付加価値による業態進化を目指すことで持続的成長を実現する』

カウネット事業の基本方針:

『顧客への付加価値にこだわった“魅力的な第3極”戦略による成長の兆しを獲得する』

海外事業の基本方針:

『顧客への価値提供と事業収益性の確保を両立させ持続可能なビジネスモデルを確立する』

  ・収益体質のつくりこみ

この3ヵ年で、経営効率の改善により、営業利益率5.5%以上を達成することにこだわります。事業部門と管理部門の業務の重複をなくし、管理部門が事業運営における効率化を推進することで、全社の管理・間接業務の大幅な生産性の向上を目指します。これによる直接部門でのリソース創出、生産性向上及び新価値創造に取り組むことで、高収益体質への転換を実現します。