第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、2030年に向けた「長期ビジョンCCC2030」において、より長期視点での経営をおこなっていくための経営モデルとして「森林経営モデル」を掲げ、「自律協働社会」の実現に向けた自らの役割を「WORK & LIFE STYLE Company」と定め、「働く」「学ぶ・暮らす」の領域で、豊かな生き方を創造する企業となるべく取り組んでおります。

これまで当社グループでは、社会の変化を捉え、「共感共創」という強みを生かして、顧客やパートナーと共に新しい体験をデザインし、家具から多様な「働き方」を支える「オフィス空間」、文具から「学び方と暮らし方」を支える「道具・サービス」など、「モノだけでないコトのニーズ」に対応する事業に発展させてまいりました。これからは、未来の自律協働社会に向けた社会課題や顧客ニーズの解決のために、「モノからコトへ」提供価値の拡大を進め、「働く」「学ぶ・暮らす」領域における新しい顧客体験価値を創出していきます。既存事業のブラッシュアップに加え、事業領域の拡張や新規ニーズの事業化を通じて事業領域の拡大を進め、様々な顧客ニーズに応えながら持続的に成長する多様な事業の集合体(森林)へと変化することを目指してまいります。

また、顧客の体験をデザインするために、「顧客や社会の課題を、誰よりも早く自分たちの社内に取り込んで試し、楽しく体験すること」を行ってきました。今回、これを「実験カルチャー」として言語化し、社内でこの行動やポリシーを浸透、醸成することで、新たな挑戦を現場から次々と引き出していきます。コクヨの強みである「共感共創」を支える「実験カルチャー」をさらに加速させ、新しい発想を重ねて形にしてまいります。

当社は、「長期ビジョンCCC2030」 において、自律協働社会の実現に貢献するために、企業理念を「be Unique.」とし、社会における役割を「WORK & LIFE STYLE Company」と定め、「共感共創」を大切な価値観とし、顧客の体験価値を拡張するモノだけでないコトのニーズも捉え、「実験カルチャー」による多様な発想の重なりで、事業領域を広げながら、2030年には売上高5,000億円規模の多様な事業の集合体になることを目指します。

 

(2)目標とする経営指標

 2024年度を最終年度とする第3次中期経営計画の目標数値として、売上高3,600億円、売上総利益1,437億円、営業利益275億円、営業利益率7.6%、自己資本当期純利益率(ROE)8%の達成を目指します。

 なお、2022年12月期より「収益認識に関する会計基準」等の適用を予定しておりますので、2021年12月期の実績につきましても、参考までに補正して表示しております。

(単位:億円)

 

2021年12月期

2024年12月期

実績

目標

2021年12月期比

売上高

2,926

3,600

+23.0%

売上総利益

(率)

1,135

(38.8%)

1,437

(39.9%)

+26.6%

(+1.1pt)

営業利益

(率)

199

(6.8%)

275

(7.6%)

+38.1%

(+0.8pt)

ROE(率)

(6.0%)

(8.0%)

(+2.0pt)

 

(3)経営環境

 当社グループの経営環境については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績」をご参照ください。

 

(4)中長期的な会社の経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループでは、「長期ビジョンCCC2030」達成に向けた第3次中期経営計画「Field Expansion 2024」において、既存事業のブラッシュアップに加え、事業領域の拡大を推進します。

 

・4つの全社テーマ

 この3カ年で取り組む重要な4つの全社テーマは下記のとおりです。

①「ダイナミックな成長投資」:投資・研究開発の枠を決定し、検討、意思決定、責任者の設定などPDCAのルールと体制など投資ガバナンスを設計し実行する。

②「人材の活躍と成長」:社内の人材の流動性を高め、多様な人材の活躍の機会を増やす。

③「イノベーションの活性化」:インキュベーションの場としくみを構築する。

④「社会価値と経済価値の両立」:社員が社会課題を体験する機会を増やす。

 

・事業戦略

当社グループは、「長期ビジョンCCC2030」の達成に向けて、自らの社会における役割を「WORK & LIFE STYLE Company」と再定義し、「働く」「学ぶ・暮らす」のドメインで、文具や家具だけにとらわれない豊かな生き方を創造する企業となることを目指します。

これにより、2022年12月期から事業領域を「ワークスタイル領域」と「ライフスタイル領域」の2つに整理し、報告セグメントを4つに変更します。

 

①ワークスタイル領域

新型コロナウイルス感染拡大によって定着した働く場の分散と働き方の多様化により定着したハイブリッドワークにおける新しいニーズに着目します。

ファニチャー事業は、働き方の変化に伴うオフィスリニューアル需要の獲得と、デジタルや内装など事業領域の拡張をベースに増収増益に向けてコクヨ全社の業績を牽引することを目指します。

ビジネスサプライ流通事業は、新型コロナウイルス感染拡大をきっかけにEC購買が広がった通販市場の成長をベースに、カウネットにおいては、ECマーケティングの強化により、顧客数の拡大による増収と収益性の改善に取り組んでまいります。

これによりワークスタイル領域全体として働き方の変化を捉え大幅な増収増益を目指してまいります。

 

②ライフスタイル領域

学びや生活の道具におけるライフスタイルツールにおいて、より自分らしく生きることへのこだわりのニーズの高まりに着目します。

ステーショナリー事業においては、SNSなど自己表現ニーズの高まりなどにより付加価値文具市場は拡大する中で、国内の既存事業のブラッシュアップに加えて、国内外でデジタルマーケティングの強化に取り組み、増収増益を目指します。

インテリアリテール事業のアクタスにおいては、巣ごもり需要だけでなく、住空間への新たなニーズを取り込むために、店舗とECを統合したマーケティング戦略(OMO、Online Merges with Offline)に取り組み、増収増益を目指します。

これによりライフスタイル領域全体として、自分らしい生き方の探求と社会の共生のニーズへの対応で増収増益を目指してまいります。

 

・資本政策

これらの計画を進める上で、投資及び株主還元等との間で適切な資源配分を実施致します。そのために、事業資産の効率向上に向けた取り組みを推進するとともに、資本コストを明確に意識した投資決定と事業評価を推進してまいります。

また、持続的な企業価値向上に向けた戦略投資として、定常投資200億円に加え、事業領域拡大に向けた成長投資300億円を実施致します。社会価値向上に向けて社会貢献目的の寄付枠(経常利益の1%=約2億円)とESG活動費枠を設定し、投資推進部門とサステナブル推進部門が全社横串でクライテリアを明確にしながら推進してまいります。

更に、配当性向40%及び安定的な増配を達成すべく株主還元を実施することで、株主との積極的な対話を通じて、中長期の成長ストーリーに関して説明責任を果たしてまいります。

以上のような取り組みを通じて2024年度ROE8%を実現してまいります。

 

以上の経営方針に基づき、当社グループにおける持続的成長の獲得を目指してまいります。

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 外部環境に関連するリスク

1)経済状況

 当社グループの売上は概ね日本国内向けであり、日本国内の景気変動に伴う企業収益や設備投資、公共投資の動向により、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの販売生産、仕入の一部はアジアをはじめとした世界各地で行っており、今後、事業のグローバル化をより一層推進する方針です。そのため、各地域の政治経済・社会情勢の変化や各種規制、ESGを巡る潮流等影響が増大し、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 これに対し当社グループは事業ポートフォリオ経営を掲げて複数事業ドメインを有しており、業界動向及び事業状況をモニタリングすることによって、適宜リソースシフトを行う体制を構築しております。また各現地法人とコクヨ本社が連携してそれぞれの国の政治、経済情勢等を的確に把握し、適切に対応する体制を構築しております。今後一層対応を強化する方針です。

 

2)市場環境

 当社グループは、顧客にとって付加価値の高い商品開発や提案活動を進めておりますが、事業を展開する市場は景気変動や顧客の購買チャネルの変化等の影響を受けており、分散化やデジタル化の潮流の中にあって、競争はますます激しさを増していることから、当社グループの優位性の維持又は獲得が滞り、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 そこで、当社グループは、事業ポートフォリオ経営を掲げて複数事業ドメインを有しており、業界動向及び業績状況に応じて、経営資源の最適な配分を行っております。ますます激化する競争環境に係るリスクはしっかりと認識する一方で、それらのリスクをむしろチャンスと捉え、前例に固執することなく常に顧客満足を高めながら、より長期目線での経営を推進することによって、更なる成長に向けて取り組んでおります。

 

3)有価証券の時価変動

 当社グループは、投資有価証券を保有しております。金融市場等の変動により投資有価証券の時価が悪化し、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 そこで、当社グループは、投資有価証券は四半期ごとの時価評価以外に定期的な検証を行い、売却や購入の検討をしております。特に政策保有株式については、個別銘柄ごとに定量的及び定性的な観点を踏まえた検証結果を取締役会に報告し、保有の意義が乏しいと判断される銘柄については売却又は縮減を検討しております。

 

(2) 事業運営に関連するリスク

1)法規制の遵守

 当社グループは、商品の品質、取引関連、環境、労務、安全衛生、会計基準や税務など様々な法規制の適用を受けており、当社グループは、法規制を遵守し、社会倫理に従って企業活動を行うためのコンプライアンス体制の構築とその遵守に努めております。しかしながら、これら法規制等への違反が発見又は認定された場合には、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、現行の法規制の変更や新たな法規制、今後の事業のグローバル化、事業領域の拡大により、遵守すべき法規制が追加された場合には、その対応のための投資や費用が必要になるなど、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 そこで、当社グループは、法規制を遵守し、社会倫理に従って企業活動を行うための「コクヨグループ行動基準」を制定し、教育・研修等を通じ、その遵守に努めております。また、法規制の改廃制定などに対して、その対応及び遵守状況の定期的な確認により、法令遵守を図っております。さらに、広く社員を対象とする社内サーベイによってコンプライアンスの遵守状況の確認を行っております。また、談合等の反競争的行為や贈賄の防止や反社会的勢力の排除等については、国内・海外子会社に対して定期的に教育・啓蒙活動を行っております。コンプライアンス推進体制としては、取締役を委員長とする「リスク委員会」を設置して全社的な推進状況の把握を行うとともに、各関係会社役員会及びリスク・コンプライアンス委員会において、事業ごとのコンプライアンス遵守状況を確認しております。

 

2)品質保証

 当社グループの製品において、想定が難しい多様な環境での製品の使用などにより、リコールが発生する可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財務状況、さらに当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼす可能性があります。

 そこで、当社グループは、国際規格であるISO9001に基づいた品質マネジメントシステムを構築し、それに従った製品及びサービスの設計・開発や製造及びサービス提供の管理を行い、品質チェック体制の整備を図り、品質監査を行うなど、製品・サービスの企画・開発からアフターサービスに至るまでバリューチェーン全体で品質の向上に努めております。リコールが発生した場合のリコール費用及び製造物責任賠償については、保険に加入しておりますが、損失額を全て賄える保証はなく、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

3)購買調達

 当社グループが主に使用する原材料は原紙、樹脂、鋼材等であり、これらは国内外の調達先から購入しております。当社が調達先から購入する原材料や仕入商品の価格は、世界的な需給動向や為替変動による影響を受けており、需給動向や、為替レートの変動が長期に及んだ場合は、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、ESG観点に基づく社会的要請により、サプライチェーン上の人権状況のチェックや、環境への配慮について、より高度な対応が求められており、調達先に対応の不備があれば、原材料の調達停止による当社グループの経営成績及び財務状況への影響だけでなく、社会的評価に悪影響を及ぼす可能性もあります。

 そこで、当社グループは、需給動向や、為替レートの変動については、短期的には海外調達先との外貨建取引の一部については為替予約を行うとともに、中期的には原材料の現地調達比率の適正化や調達先の複数化などにより、需給動向や為替レートの変動リスクの低減に取り組んでおります。また、原材料の調達については、調達先との信頼関係を構築し相互発展を目指すために、「コクヨグループ調達基本方針」を制定し、人権尊重や環境保全などの社会的責任を果たし、社会の発展に寄与することに努めております。

 

4)情報セキュリティ

 当社グループは、事業上の機密情報や事業の過程で入手した顧客情報や個人情報を保有しております。それらの情報に関して、当社グループの想定を超えるウィルス感染やサイバー攻撃等により、重要データの破壊、改ざん、流出、システム停止等を引き起こす可能性があり、その脅威は年々高まっております。また、在宅やリモートワークなど多様な働き方により、影響の範囲は大きくなっております。その結果、これらが発生した場合、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 そこで、当社グループは、これら情報の取扱いに関するルールを整備し、社員をはじめ委託先を含む関係者への教育・啓蒙の推進に加え、高度化する社外からの脅威に応じそれら対策の強化を行っております。また、運営する情報システムへのウィルス感染やサイバー攻撃によるシステム障害、社外への情報漏洩に対する虚弱性を定期的に診断し、対策を行っております。

 

5)企業に対する出資等

 当社グループは、持続的に企業価値を向上させていくために企業に対する出資等を行っております。その実施にあたっては、事前に対象企業の財務内容や契約内容等の審査を行い、リスクを検討したうえで決定しております。また、出資後は利益計画等の達成状況や、資産価値についての定期的なモニタリングを実施しております。しかしながら、事業環境の変化等により、当初想定していた成果が得られないと判断された場合には、有形固定資産やのれん等の無形固定資産、投資有価証券の減損損失を認識することにより、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) その他リスク

1)自然災害、感染症等

 当社グループは、国内外に事業所や工場を有しております。近年の気候変動に伴う自然災害の大規模化や、これまでに類を見ない感染症の発生などによる想定を超える規模の被害や、広域での社会インフラの停止なども考えられます。このような災害や感染症などが発生した場合のリスク全てを回避することは困難であるため、これらが発生した場合、事業活動の一部停止や縮小など、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 そこで、当社グループは、このような自然災害や感染症などの発生に備え、事業の継続や早期復旧を図るために必要な対策・手順について計画を立て、危機管理の徹底に取り組んでおります。また、計画内容は継続的に精査・見直しを行い、その実効性を担保するようにしております。自然災害については、施設・業務に安全対策を講じることで危機の事前回避と災害対策品の備蓄・保険等の付保により危機発生時における対応力の向上に努めております。感染症については、顧客と社員の安全を図りつつ、事業活動への影響を最小限にとどめるよう努めております。

 

 特に、日本を含む全世界的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、長期化し経済活動に重大な悪影響が生じており、当社グループの事業活動も大きな影響を受けております。また、今後の景気動向の見通しも非常に不透明で、景気の悪化が全世界的に長期にわたる可能性があります。これに対して当社グループは、早期に代表取締役社長を本部長とする新型肺炎対策本部を設置し、「顧客と社員・パートナーの安全の優先」と「社会への感染拡大防止への協力」を目的とした対策を進めております 。

 社員の安全確保のガイドラインを策定し、働く場所やコミュニケーション方法を柔軟に使い分けることで適切な在席率を維持しながら政府・社会からの要請に応えると共に、オフィスに出社する際には時差出勤を奨励しております。また医療機関と連携のうえ職域接種を実施すると共に、オフィスにおいては、引続き社会的距離の確保、日常清掃、消毒、マスク着用等の感染予防策を徹底しております。また、働き方・学び方などのライフスタイルの大きな変化に伴う市場・顧客ニーズに応えていくために、空間価値ドメインでは、これまでのセンターオフィス領域に加え、住空間、分散化ワーク領域(シェアオフィス、郊外サテライトオフィス、ワーケーション等)における戦略を策定し、その推進に取り組んでおります。また、ビジネスサプライドメインでは、これまでのオフィス向けのみならず、在宅テレワーカー向けなど個人ニーズの領域に拡大し取り組んでおります。

 当社グループは、先行きの不透明なコロナ禍の時代において、引続き顧客及び社員・パートナーの安心安全を第一に、社会インフラを提供する企業として事業継続との両立を目指し取り組んでおります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績

 当連結会計年度(2021年1月1日から2021年12月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大影響により、引き続き不透明な状況で推移しております。ワクチン接種の広がり等により、経済正常化への動きは続いているものの、緊急事態宣言の再発令が繰り返されるなど、予断を許さない状況が続いております。

 このような状況のもと、当社グループは、今年を最終年とした中期経営計画「持続的な成長力の獲得 Smart & Sustainable Transformation 2021」として、メリハリを意識したスマートな稼ぐ力の向上と中長期事業成長を前提とした効率的な事業運営に取り組んでまいりました。結果として、中計期間を通じて取り組んできたマネジメント改革が結実し、グループ全体の収益性改善が大きく進展したため、当初計画において掲げた営業利益率目標を上回るなど、今後更に推し進めていく事業ポートフォリオ経営の礎を築くことができました。

 新型コロナウイルス感染拡大影響によって、当社グループを取り巻く経営環境は激変し、大きな影響を受けました。しかしながら、各顧客企業がコロナ禍における新しい働き方を模索する中、当社グループがこれまで行ってきた価値提供を活かし、新たな需要の取り込みができているものと考えております。

 売上高は、前年同期比6.5%増の3,201億円となりました。売上総利益は、前年同期比7.7%増の1,157億円となりました。売上総利益率は、0.4ポイント改善の36.1%となりました。販売費及び一般管理費は、前年同期比3.4%増の957億円となりました。グループ経営を推進し、販管費支出の効率化や人員等のリソース配分の見直しによる筋肉質化を推し進めた結果、売上高販管費率は29.9%となり前年同期比での改善が継続しております。

 以上により、営業利益は、前年同期比35.1%増の200億円となりました。経常利益は、第1四半期において持分法適用関連会社であるぺんてる㈱にかかる減損損失50億円を営業外損失として計上したものの、前年同期比15.8%増の164億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、第2四半期において投資有価証券売却益35億円、第4四半期において固定資産売却益25億円を特別利益として計上したこと等により、前年同期比65.2%増の137億円となりました。

 なお、2021年12月期の目標(2021年7月30日公表)に対し、売上高は目標比99.4%の3,201億円、営業利益は目標比99.0%の200億円、営業利益率は6.2%となり、目標の6.3%を0.1ポイント下回りました。また、ROEは6.0%となり、前年の3.7%を2.3ポイント上回りました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

①空間価値ドメイン

空間価値ドメインでは、働き方・空間ニーズの多様化を取り込んだ新たな価値を創りつつ、盤石な収益基盤の構築に取り組んでおります。

国内事業は、顧客に対してニューノーマルな働き方に向けた新しいオフィスづくりの提案へ注力し、新型コロナウイルス感染拡大防止対策への相談対応やオフィスのリニューアル需要の取り込み、差別化されたソリューション提案が期初想定以上に進捗し、過去最高水準で推移しました。

海外事業は、非日系顧客へ向けて、国内で培った知見を活かしたワークスタイル提案に注力しました。中国では今後も成長が見込める市場へ販売活動を推進しております。

㈱アクタスは、インテリア需要の高まりへの対応として顧客へのオンライン商談や事前予約制の接客サービス、インテリアサポートキャンペーン等の営業活動に取り組み、受注が好調に推移しております。

このような状況のもと、売上高は、前年同期比8.5%増の1,570億円となりました。営業利益は、前年同期比34.2%増の186億円となりました。

 

②ビジネスサプライドメイン

ビジネスサプライドメインでは、流通基盤の統合とお客様にとって最適な販売体制の構築を図るマイグレーション戦略が順調に進捗しており、収益改善が進んでおります。

カウネット事業は、繰り返される緊急事態宣言の発令によるオフィス出社率低下や在宅勤務拡大の影響を受けましたが、伸長するEC市場における成長機会を獲得するために、新規顧客数獲得施策の実行や非オフィス市場での売上拡大、ECサービスレベルの向上等の取り組みを推進しております。

代理店販売事業は、顧客の購買行動のEC等への切り替えが継続している現状に鑑み、販売面及び物流面の効率化を推進しております。

このような状況のもと、売上高は、前年同期比2.2%増の1,155億円となりました。営業利益は、前年同期比0.3%減の24億円となりました。

 

 

③グローバルステーショナリードメイン

グローバルステーショナリードメインでは、国内市場における事業環境の大きな変化に向けて体制整備を含む柔軟な対応を行うことによって収益の維持を目指すとともに、今後も成長が見込める海外市場の収益確保に取り組んでおります。

国内事業は、新型コロナウイルス感染拡大影響によってBtoB市場とBtoC市場がそれぞれ影響を受けておりますが、BtoC市場におけるシェアの拡大、顧客ニーズに合わせたノートや文具を中心とした付加価値の高い学び商材の販売強化へ取り組みました。

海外事業は、インド等において新型コロナウイルス感染拡大影響による需要回復の遅れが見られるものの、経済環境がいち早く回復しつつある中国においては、女子中高生をターゲットとした文具売上が好調に推移しました。

このような状況のもと、売上高は、前年同期比2.6%増の733億円となりました。営業利益は、前年同期比29.0%増の62億円となりました。依然として事業環境は厳しい状況が続いておりますが、国内事業における販管費支出効率化等による筋肉質化や海外事業の成長によって、営業利益はコロナ前の2019年を上回りました。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

①生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

空間価値ドメイン

14,188

102.4

グローバルステーショナリードメイン

24,627

125.7

合計

38,815

116.0

(注)1 金額の表示は製造原価による。

2 上記金額は消費税等を含まない。

3 ビジネスサプライドメインは生産活動を行っていないため、記載を省略している。

 

②受注実績

 当社グループは、主として見込生産のため、受注実績の記載を省略しております。

 

③販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

空間価値ドメイン

154,875

108.9

ビジネスサプライドメイン

109,897

102.2

グローバルステーショナリードメイン

54,934

108.8

その他

463

126.1

合計

320,170

106.5

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去している。

2 上記金額は消費税等を含まない。

3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略している。

 

(2)財政状態

 当連結会計年度末の総資産は3,245億円となり、前連結会計年度末に比べ42億円増加しました。

 流動資産は2,031億円となり、前連結会計年度末に比べ139億円増加しました。主な要因として、有価証券が56億円、現金及び預金が49億円、受取手形及び売掛金が12億円、商品及び製品が11億円、それぞれ増加したためであります。

 固定資産は1,214億円となり、前連結会計年度末に比べ96億円減少しました。主な要因として、有形固定資産が10億円増加した一方、投資有価証券が104億円減少したためであります。

 当連結会計年度末の負債は944億円となり、前連結会計年度末に比べ5億円増加しました。主な要因として、未払法人税等が47億円増加した一方、1年内返済予定の長期借入金が30億円、繰延税金負債が8億円、短期借入金が5億円、それぞれ減少したためであります。

 当連結会計年度末の純資産は2,301億円となり、前連結会計年度末に比べ37億円増加しました。主な要因として、利益剰余金が88億円、為替換算調整勘定が11億円、それぞれ増加した一方、その他有価証券評価差額金が21億円、自己株式の増加により39億円、それぞれ減少したためであります。

 

(3)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,005億円と前連結会計年度末に比べ99億円の資金増となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により獲得した資金は217億円(前年同期比25億円の収入増)となりました。これは、主として税金等調整前当期純利益218億円、減価償却費68億円、持分法による投資損失52億円の資金収入等があった一方、投資有価証券売却損益34億円、固定資産売却益28億円、法人税等の支払額31億円、たな卸資産の増加12億円の資金支出等があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により獲得した資金は25億円(前年同期は61億円の支出)となりました。これは、主として投資有価証券の売却による収入56億円、有形固定資産の売却による収入41億円の資金収入等があった一方、設備投資による支出60億円、関係会社株式の取得による支出9億円の資金支出等があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により支出した資金は150億円(前年同期比91億円の支出増)となりました。これは、主として配当金の支払額48億円、自己株式の取得による支出39億円、長期借入金の返済による支出31億円、リース債務の返済による支出12億円、自己株式取得のための預託金の増加10億円の資金支出等があったことによるものであります。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

 当社グループは、「長期ビジョンCCC2030」にて、成長戦略により2030年売上高5,000億円との目標を掲げており、その達成に向けて第3次中期経営計画「Field  Expansion 2024」を2021年11月29日に公表し、既存事業のブラッシュアップと新たなニーズを取り込んだ事業領域の拡張への取り組みを開始しております。この計画を進めるにあたり持続的な企業価値向上に向けた戦略投資500億円を実行していく予定です。

 運転資金及び投資資金につきましては、内部留保のほか金融機関からの借入により調達しております。また、内部留保により必要な資金の流動性を確保するとともに、当社グループにおいてキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、グループ内資金の効率化を図っております。

 このほか当社は、当連結会計年度末において運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行10行と130億円の貸出コミットメント契約を締結しております。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(5)経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

4【経営上の重要な契約等】

 当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループの当連結会計年度における研究開発費の総額は、1,621百万円であり、各セグメントの研究開発活動は、次のとおりであります。

 

1.空間価値ドメイン

働き方改革の推進やコロナ禍を受けてワーカーの働き方は大きく変容し、ワークスタイルの進化は加速、多様化しています。同時にサスティナブルな社会を実現するため環境への配慮を取り入れた製品が求められる中、以下の商品開発を行いました。

(1)タスクチェアー「Monet(モネット)」

 「Monet」は、多様化するワークスタイルやインテリアにフレキシブルに対応しながら永く愛用することができる、サスティナブルなチェアーです。ワークスタイルやインテリアトレンドにマッチする3万通りを超える組み合わせのベースとなる構造体は、オフィス家具ならではのすぐれた耐久性を持っており、座面や背もたれなどのパーツを交換することで、常に最適な状態で使用することができるロングライフ設計を取り入れています。部品の少量化・軽量化、梱包の効率化等により、サプライチェーン全般に関わる二酸化炭素排出量を、当社同等従来品比で約13%削減しました。

(2)パネルブースシステム「Fore(フォーレ)」

 「Fore」は、高い吸音性能をもつパネル素材を採用し、音環境に配慮したパネルブースシステムです。テレワークが急増する一方で、オフィスでのコミュニケーションはより価値のあるものと考えられるようになりました。同時に、Web会議の普及に伴ってオフィスには快適な音環境が求められています。特徴的な凸凹の素材で、見た目にも吸音効果が感じられるとともに、ワーカー同士の会話を促す居心地の良いデザインとなっています。本製品は、快適な音環境と居心地の良さへのこだわりによって、ワーカー同士のコミュニケーション促進に貢献します。

(3)コミュニケーションツール「MAXHUB(マックスハブ)」

 「MAXHUB」は、新たな課題として顕在化しつつある相互コミュニケーションにフォーカスを当てた商品です。Web会議、ホワイトボード、プレゼンテーションの3つの機能を1台に集約、高解像度カメラ・8m先まで収音可能なマイクを搭載したコミュニケーションツールです。ホワイトボードや投影した資料には書き込みが可能なので、相互コミュニケーションができ、リアルでもリモートでもリアルタイムに正確な意思疎通が図れます。コロナ禍だけでなくポストコロナに向けて、会議のアクティブ化、ひいては働き方のアップデートに貢献します。

(4)可動式ブース「WORKPOD FLEX(ワークポッドフレックス)」

 「WORKPOD FLEX」は、電話やWeb会議、一人での作業に最適な個室型のブースです。外観や外装等にシンプルで明快なデザインを採用、多様な空間やレイアウトに対応できるよう、豊富なカラーバリエーションを持ち、背面はパネル仕様とガラス仕様、ドアは右開きと左開きの各2種と外観を用意するとともにソファータイプ、チェアータイプ、スタンディングタイプの3種類から、用途に合わせて選ぶことができます。また、内部の空気循環と温度上昇抑制に配慮した機械給気方式を採用し、人感センサーによって利用時は常に換気された状態が保たれます。調光機能付きLEDライトや卓上コンセント等、ワークに集中できる標準装備も充実しています。

(5)仕事と生活を楽しむワーキングチェアー「ingLIFE(イングライフ)」

 「ingLIFE」は、仕事や学習、食事、ゲームなどの自宅での様々なシーンに対応したチェアーです。体の微細な動きに合わせて座面が360°揺れ動くことで、長時間心地よく座っていることのできるグライディング機能を搭載。体重に合わせて動きが調整されるため、大人だけでなく子どもの使用にも適しており、あらゆる体型・姿勢を心地よくサポートします。リビング空間に馴染むよう考えられたデザインを特徴としており、1脚は大人の仕事用、もう1脚は子どもの勉強用などに設置し、空間をシェアしながら一緒に集中しやすい環境を整えることが可能です。

(6)チームシンキング家具

 「チームで生み出す、クリエイティビティにあふれる場」をコンセプトに開発した商品です。さまざまな動きにフィットし、よりアクティブな姿勢になれる昇降スツール「Join(ジョイン)」、持ち運び、ストックがしやすい軽量ホワイトボード「Mobile Whiteboard(モバイルホワイトボード)」、チーム用モバイル収納「Carrio(キャリオ)」、昇降フラップテーブル「INITIA(イニシア)」を中心に、スライド式パネル「frein(フレイン)」、オフィス用電源供給アイテム「エナジーシリーズ」等で構成、組みあわせて使用します。近年、多くの企業でオフィス勤務だけでなく在宅勤務なども取り入れたリモートワークが普及してきていますが、社員間コミュニケーションの不足や、それによる組織・チーム力低下への不安を抱える企業も増えており、社内プロジェクト等を進める、「チームで集まれる場」への注目が高まっています。

 以上の結果、当連結会計年度における研究開発費の金額は、520百万円となりました。

 

2.ビジネスサプライドメイン

 当連結会計年度における研究開発費の金額は、0百万円となりました。

 

3.グローバルステーショナリードメイン

 顧客のシーンごとに未充足ニーズを見出し、当社ならではの価値ある商品、差別化された商品を世の中に出すことで、お客様に支持され続ける商品づくりを目指しております。

 際立った価値を提供できる商品や、新たな着眼点で既存の商品の価値を見直すことにより顧客ニーズに応える商品として、以下の商品を開発・発売しました。

(1)ビジネスバッグ&アクセサリーブランド「THIRD FIELD」

 「さぁ、オフィスを持ちだそう」をブランドメッセージとして掲げ、収納用品としての移動中の快適さに、仕事中に活用できる機能を加えることにより、近年急速に浸透する場所を選ばない働き方(Activity Based Working)の環境作りをサポートするビジネスバッグ&アクセサリーブランドです。自立する機能を持ち省スペースで使用できる「スタンドバックパック」など計5アイテムをラインアップしました。

(2)紙とペンの組み合わせから書き心地をデザインした「PERPANEP」

 「紙とペンの巧みな出会い」をコンセプトに、これまで培ってきた紙の抄造技術を元に開発した「ツルツル」「さらさら」「ザラザラ」3種の紙質から選べるノートとペンの新ブランドです。

デジタル化による生産性・効率性の向上が進む一方、今日、クリエイティブを豊かにするプロセスとして手で「書く」ことに改めて注目が集まっており、1908年に和帳(和式帳簿)の製造を開始して以来、110年余りにわたって「書く」ことに真摯に向き合ってきた経験を活かし、紙とペンの相性が生む「書き心地」までデザインしました。

(3)キャンパスノートのための修正テープ

 多くの学生が使用しているキャンパスノートの中紙にテープの色を合わせ、修正した箇所を目立ちにくくしたキャンパスノートのための修正テープです。テープの太さもノートのA罫・B罫の幅に合わせているので、はみ出すことなくぴったり修正することができます。

さらに、業界初*の「メタルプレート」を採用することで、プレートのしなりによって、より良いテープの切れと定着を実現しています。 *当社調べ

(4)本当の定規

 コクヨデザインアワード2014優秀賞受賞の「本当の定規」は、一般的な定規のように「太さ(幅)がある線」ではなく、幾何学の定義でいうところの線=「太さ(幅)がない線」で目盛りを表現した定規です。2017年に商品化され、コクヨ公式オンラインショップ「コクヨショーケース」とコクヨ直営ショップ「THINK OF THINGS」の限られたチャネルでの取り扱いを行っていましたが、多くのユーザーからの支持を得たことから、全国に販路を拡大しての販売を開始いたしました。

(5)オール紙ファイルシリーズ

 製品のすべてを紙で作ったファイリング用品<オール紙>シリーズを2004年から提供してきましたが、持続可能な社会を目指す環境意識の高まりを受け、フラットファイル(厚とじ)とペーパーホルダー(窓付き)を新たにラインアップに追加しました。フラットファイル(厚とじ)は、とじ具の押さえ板に紙パルプを水溶性のでんぷんで固めた紙成型品を使用しており、200枚までの書類を収容することができます。ペーパーホルダー(窓付き)には、トレーシングペーパー製の窓をつけることで、書類を入れたままでも内容が確認できるようになっています。また、色によって書類が分類できるように、5色のカラーバリエーションをご用意しています。

 以上の結果、当連結会計年度における研究開発費の金額は、824百万円となりました。

 

4.その他

 当連結会計年度における研究開発費の金額は、19百万円となりました。

 

5.全社(共通)

 次世代の働き方や学び方の研究をベースにコクヨグループの新たな商品やサービスに関しての開発を行い、当連結会計年度における研究開発費の金額は、256百万円となりました。