第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの重要な発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績に関する分析

(単位:百万円)

 

 

2024年12月期

中間期

2025年12月期

中間期

増減率(%)

売上高

178,986

185,207

+3.5

営業利益

15,929

17,690

+11.1

経常利益

17,974

17,443

△3.0

親会社株主に帰属する

中間純利益

15,625

13,810

△11.6

 

 当中間連結会計期間(2025年1月1日から2025年6月30日まで)におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善により緩やかな回復基調にあるものの、中国経済の先行き懸念やアメリカの政策動向による影響、インフレ圧力の増大等により、先行き不透明な状況が続いております。

 このような状況のもと、当社グループは、「長期ビジョンCCC2030」実現に向けて、第4次中期経営計画「Unite for Growth 2027」を推進しております。これまで培ってきた当社グループの強みに各事業のナレッジを掛け合わせ、各事業が一体となって事業間シナジーを生み出すことで、既存事業の成長と領域拡張に取り組んでおります。

 当社グループを取り巻く経営環境は大きく変化しておりますが、事業環境や顧客ニーズの変化に柔軟に対応することで、引き続き強い競争力を発揮できているものと考えております。

 売上高は、ファニチャー事業においてオフィス移転案件やリニューアル案件の獲得が進捗したことで、前年同期比3.5%増の1,852億円となりました。売上総利益は、原材料価格の高騰影響を受けたものの、売価改定の浸透等の取り組みにより、前年同期比6.0%増の757億円、売上総利益率は、前年同期比1.0ポイント上昇の40.9%となりました。事業領域拡大のために戦略的な経費支出や体制強化等を行った結果、販売費及び一般管理費は、前年同期比4.5%増の580億円、売上高販管費率は、前年同期比0.3ポイント上昇の31.3%となりました。

 以上により、営業利益は、前年同期比11.1%増の176億円となりました。経常利益は、円高による為替差損の計上等により、前年同期比3.0%減の174億円、親会社株主に帰属する中間純利益は、前年に固定資産売却益を計上していたことによる反動等により、前年同期比11.6%減の138億円となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、以下のとおりです。

 なお、当社グループの強みを十分に発揮し各事業のナレッジを最大限に活用するため、従来のワークスタイル領域及びライフスタイル領域という区分を見直しましたが、ファニチャー事業、ビジネスサプライ流通事業、ステーショナリー事業、インテリアリテール事業という4つのセグメント区分に変更はありません。

 

・ファニチャー事業

 ファニチャー事業は、働き方の変化に伴う旺盛なオフィス需要を獲得するとともに、コクヨ香港のリソースや日本での強みである空間デザイン力を活用することで海外事業の成長を推進し、コクヨ全社の業績を牽引することを目指しております。

 日本では、新築オフィス移転需要とオフィスリニューアル需要が旺盛な状況が続いており、顧客の戦略課題に対応したワークスタイル提案の強化及び業務プロセスの効率化等に取り組むことで、業績拡大や収益改善が進捗しております。

 中国では、経済の悪化による市場低迷は続いているものの、コクヨ香港を中心に案件獲得が進捗しております。

 アセアンでは、ミドルハイセグメント顧客を中心に提案の強化に取り組んでおります。

 このような状況のもと、売上高は、前年同期比6.0%増の918億円となりました。営業利益は、前年同期比16.5%増の166億円となりました。

 なお、当中間連結会計期間より、表示方法の変更を実施しております。詳細は「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(表示方法の変更)」をご覧ください。

 

・ビジネスサプライ流通事業

 ビジネスサプライ流通事業は、プラットフォーム型購買管理システムであるべんりねっとを基盤として、テクノロジーの活用により顧客パーソナライズで最適化された購買体験の実現を目指しております。

 当中間期は、富士通コワーコ株式会社の事業譲受等による顧客基盤の拡大に取り組み、大規模顧客向けソリューションシステム(べんりねっと・ウィズカウネット)の導入は進んでいるものの、計画の遅れを取り戻すには至っておりません。

 このような状況のもと、売上高は、前年同期比3.0%増の530億円となりました。営業利益は、前年同期比1.9%減の26億円となりました。

 

・ステーショナリー事業

 ステーショナリー事業は、提供価値の中心を「まなびかた」に据えたCampusブランドにより、グローバルで、前向きなまなびのチャレンジをする機運を盛り上げる事業への転換を目指しております。

 日本では、売価改定の浸透が進むほか、CampusブランドのリブランディングやECの拡大が進捗しております。

 中国では、女子中高生をターゲットとした女子文具需要は引き続き旺盛に推移する中、店舗開拓の推進やファン獲得を進めておりますが、中国経済の悪化による影響を受けております。

 インドでは、新商品の拡大、付加価値商品の投入等に取り組んでおりますが、インド経済におけるインフレ進行や競争激化による影響を受けております。

 このような状況のもと、売上高は、前年同期比4.3%減の428億円となりました。営業利益は、前年同期比2.3%減の40億円となりました。

 

・インテリアリテール事業

 インテリアリテール事業は、既存事業において接客力と提案力を活用した店舗及びECでの成長を推進するとともに、パートナーとの連携強化による法人事業の領域拡張で事業ポートフォリオの変革を進め、持続的成長の実現を目指しております。

 当中間期は、店舗及びECの双方が順調に推移したほか、法人事業においても案件獲得が進捗いたしました。

 このような状況のもと、売上高は、前年同期比12.5%増の117億円となりました。営業利益は、前年同期比36.9%増の4億円となりました。

 

(2)財政状態に関する分析

 当中間連結会計期間末の総資産は3,510億円となり、前連結会計年度末に比べ118億円減少しました。

 流動資産は2,435億円となり、前連結会計年度末に比べ93億円減少しました。 主な要因として、仕掛販売用不動産が19億円増加した一方、現金及び預金が47億円、受取手形、売掛金及び契約資産が46億円、商品及び製品が6億円、それぞれ減少したためであります。

 固定資産は1,075億円となり、前連結会計年度末に比べ25億円減少しました。主な要因として、無形固定資産が9億円増加した一方、投資有価証券が30億円、土地が8億円、それぞれ減少したためであります。

 当中間連結会計期間末の負債は855億円となり、前連結会計年度末に比べ133億円減少しました。主な要因として、賞与引当金が45億円増加した一方、支払手形及び買掛金が117億円、未払法人税等が17億円、それぞれ減少したためであります。

 当中間連結会計期間末の純資産は2,655億円となり、前連結会計年度末に比べ14億円増加しました。主な要因として、利益剰余金が93億円増加した一方、自己株式の取得により45億円、為替換算調整勘定が17億円、その他有価証券評価差額金が13億円、それぞれ減少したためであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況に関する分析

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は1,272億円であり、前連結会計年度末に比べ47億円の資金減となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における営業活動により獲得した資金は85億円(前年同期比97億円の収入減)となりました。これは、主として税金等調整前中間純利益を200億円計上したこと、売上債権の減少55億円、賞与引当金の増加45億円、減価償却費37億円等の非資金損益の調整等による資金の増加があった一方、仕入債務の減少117億円、法人税等の支払額78億円、販売用不動産の増加19億円等の資金の減少、営業活動によるキャッシュ・フローに算入されない投資有価証券売却益15億円、固定資産売却益10億円等があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における投資活動により支出した資金は19億円(前年同期は29億円の収入)となりました。これは、主として投資有価証券の売却による収入27億円、有形固定資産の売却による収入20億円の資金収入等があった一方、設備投資による支出54億円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出8億円の資金支出等があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における財務活動により支出した資金は104億円(前年同期比5億円の支出増)となりました。これは、主として自己株式の取得による支出46億円、配当金の支払額44億円、リース債務の返済による支出6億円の資金支出等があったことによるものであります。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。

 

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、2030年に向けた「長期ビジョンCCC2030」において、サステナブルな長期視点での経営をおこなっていくための経営モデルとして「森林経営モデル」を掲げ、「自律協働社会」の実現に向けた自らの役割を「WORK & LIFE STYLE Company」と定め、「働く」「学ぶ・暮らす」の領域で、豊かな生き方を創造する企業となるべく取り組んでおります。

 これまで当社グループでは、圧倒的な顧客起点で少し先のワクワクする未来を提案し、ライブオフィスや直営店、Webコミュニティなどを活用して社員と顧客が具体的にワクワク・共感し、モノだけでなくコト視点でワクワクする新たな体験価値を生む、「ワクワク価値創出サイクル」を強みとして事業を発展させてまいりました。

 これからは、これまで培ってきた当社の強みに各事業のナレッジを掛け合わせ、これまで以上に各事業が一体となって事業間シナジーを生み出し、既存事業の成長と領域拡張を進めることで、様々な顧客ニーズに応えながら持続的に成長する売上高5,000億円規模の多様な事業の集合体(森林)へと変化することを目指してまいります。

 2025年12月期からは、「長期ビジョンCCC2030」達成に向けた第4次中期経営計画「Unite for Growth 2027」を推進しており、既存事業の成長と領域拡張に向けた取り組みを進めてまいります。

 

 第4次中期経営計画「Unite for Growth 2027」の概要につきましては、以下としております。

 

1.概要

①キャッシュ・フローを重視したフレームワーク

 中長期的な利益成長と企業価値向上に向け、キャッシュ・フロー(≒EBITDA)を重視したフレームワークを設定いたしました。本フレームワークと「森林経営モデル」に基づき、2030年アジアNo.1、長期的なグローバルNo.1を目指すとともに、企業価値の最大化を図ってまいります。

②体験価値拡張戦略

 「ワクワク価値創出サイクル」の強みを活かし、体験価値拡張戦略を実行してまいります。

戦略と規律ある投資を実行し、日本・海外における既存事業強化による成長とM&Aによるインオーガニック成長を通じた、EBITDAの持続的成長を追求いたします。

③経営基盤の強化

 人材やナレッジの充実等により事業成長の再現性を高める経営基盤を強化することで、リスク(資本コスト)を低減するとともに中長期的な観点でも持続的成長を目指してまいります。

 

2.目標とする経営指標

 2027年度を最終年度とする第4次中期経営計画の目標数値として、売上高4,300億円、海外売上高比率20%、EBITDA430億円、自己資本当期純利益率(ROE)9%以上の達成を目指します。

(単位:億円)

 

 

2024年12月期

2027年12月期

 

 

実績

目標

2024年12月期比

主要財務目標

売上高

3,388

4,300

+26.9%

海外売上高比率

13%

20%

+7pt

EBITDA

(率)

314

(9.3%)

430

(10%)

+36.5%

(+0.7pt)

ROE

8.5%

9%~

+0.5pt

参考

営業利益

(率)

225

(6.6%)

約300

(約7%)

+33.1%

(+0.4pt)

(注)当中間連結会計期間より、一部の賃貸等不動産に関する損益について、営業外損益に表示する方法から売上高及び売上原価に表示する方法に変更したため、2024年12月期に係る売上高及びEBITDA、営業利益については、当該表示方法の変更を遡って適用した組替え後の数値となっております。

 

 

3.事業戦略

 第4次中期経営計画「Unite for Growth 2027」における各事業の戦略の概要は下記のとおりです。

①ファニチャー事業

 働き方の変化に伴う旺盛なオフィス需要を獲得するとともに、コクヨ香港のリソースや日本での強みである空間デザイン力を活用することで海外事業の成長を推進し、コクヨ全社の業績を牽引することを目指しております。

②ビジネスサプライ流通事業

 プラットフォーム型購買管理サービスであるべんりねっとを基盤として、テクノロジーの活用により顧客パーソナライズで最適化された購買体験の実現を目指しております。

③ステーショナリー事業

 提供価値の中心を「まなびかた」に据えたCampusブランドにより、グローバルで、前向きなまなびのチャレンジをする機運を盛り上げる事業への転換を目指しております。

④インテリアリテール事業

 既存事業において接客力と提案力を活用した店舗及びECでの成長を推進するとともに、パートナーとの連携強化による法人事業の領域拡張で事業ポートフォリオの変革を進め、持続的成長の実現を目指しております。

 

4.財務戦略/資本政策

 第4次中期経営計画「Unite for Growth 2027」における財務戦略及び資本政策のサマリーは下記のとおりです。

①バランスシートマネジメント

 EBITDAの成長と資本効率を両立しつつ、2027年9%以上、2030年10%以上のROE目標の達成に向けて、政策保有株式のさらなる売却を含む非事業資産売却や資本構成の改善等を推進してまいります。

②キャピタルアロケーション

 第4次中期経営計画期間に創出するキャッシュ・フローと手元現金、非事業資産の売却を基に、成長戦略の実現に向けて、890億円(成長投資700億円、定常投資190億円)を投資しつつ、640億円(連結配当性向50%、自己株式取得350億円)の株主還元を実施いたします。

③株主還元

 株主還元方針を以下のとおりといたします。

配当については、原則として年間配当金(特別配当等を除きます。以下同じ。)が前年度の年間配当金を下回らない(いわゆる累進配当)こととし、第4次中期経営計画期間中の連結配当性向50%を目安として算出することを基本方針といたします。ただし、連結配当性向の適用に際し、一過性の損益については、その性質を勘案してこれを除外することがあります。

 また、第4次中期経営計画期間累計で総額350億円の自己株式取得を行うとともに、取得した自己株式については、発行済株式総数の2%を超える部分を原則として随時消却する方針です。

 

 以上の経営方針に基づき、当社グループにおける持続的成長の獲得を目指してまいります。

 

 会社の支配に関する基本方針については、当中間連結会計期間において重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

 当中間連結会計期間の研究開発費の総額は894百万円であります。

 なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。