文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは5つの企業理念を旗頭に、総合包装資材メーカーとしてのノウハウや技術をベースにそのドメインをロジスティクス全般と捉え、広範に顧客ニーズを把握し課題解決に向け、グローバルに事業展開を行っております。
・常に新しく価値ある商品・サービスを提供する。
・働きがいのある豊かな生活を実現する。
・成長分野で、優れた業績を約束する。
・社会と地域に有用な存在となる。
・地球環境の保全に貢献する。
(2)経営戦略等
当社グループは、当社、子会社4社および関連会社1社で構成され、主な事業内容は包装関連資材の製造および販売であり、具体的には緩衝機能材事業および包装機能材事業の2つの領域で事業を展開しております。当社は、これらの事業を通じて、包装資材分野におけるアジアのリーディングカンパニーを目指しております。
緩衝機能材事業:パルプモウルドや段ボール製品等、主に緩衝機能のある製品等の製造販売
包装機能材事業:フィルムや紙袋製品等、主に包装機能のある製品等の製造販売
主に工業、食品、農業分野の顧客を対象に「ロジスティクスにおける最適解を提供する」ことを事業活動の中心に据え、環境変化に迅速に対応すると共に、コア・コンピタンスに根ざした新規製品・事業の育成、顧客満足を目指した営業活動の展開、全社をあげての抜本的なコスト削減、効率的かつ効果的な財務体質への転換などの諸施策を着実に実践して業績向上に努め、一層強靭で収益力のある企業体質の構築を目指す所存であります。
具体的には、包装資材メーカーとしての技術やノウハウを結集して、当社の強みであるTPS(トータル・パッケージング・ソリューション)提案を中心に置いた営業活動を行ってまいります。
(3)経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、景気は緩やかな回復が続いております。その一方で、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念、海外景気の下振れ、物価上昇、中東地域をめぐる情勢等がリスクとなり、先行き不透明な状況が続いております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の見通しにつきましては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、景気の緩やかな持ち直しが期待されますが、世界的な金融引き締め等が続く中、中国経済の先行き懸念、海外景気の下振れ、物価上昇、中東地域をめぐる情勢等、依然として先行きは不透明な状況が続くものと推測されます。
このような状況下、当社グループは、イノベーション活動の展開を更に活発化するとともに、中期経営計画の3年目である2025年3月期においては、以下の施策に取り組み、業績向上に努めてまいります。
① SDGs理念に合致した製品の開発
② イノベーション活動を核に積極的な設備投資を実施し、製品事業の成長を推進
③ TPS(トータル・パッケージング・ソリューション)の推進
なお、2025年3月期における製品セグメント別の主な取り組みは以下のとおりであります。
1) 緩衝機能材事業
・新たな付加価値製品の開発と新市場の開拓
・脱プラに向けた新規需要の開拓
・新設備導入による品質・生産性の向上
・新分野の製品や複合品(オンリーワン製品)の開発と販売
2) 包装機能材事業
・オンリーワン付加価値フィルムの開発と拡販
・多層機を活用した機能フィルムの拡販
・一気開封袋等のオンリーワン製品の拡販と国内外のシナジー実現
・自動化・省人・省力化の推進による生産体制の整備
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、客観的な目標指標として、中期経営計画において「売上高」、「経常利益」、「経常利益率」、「ROE(自己資本利益率)」及び「自己資本比率」の維持、向上を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループにおいて、サステナビリティに関連するリスクと機会の監視・管理に責任を持つガバナンス組織は、取締役会であります。サステナビリティ関連の問題への対応を推進する機関は環境委員会及びリスク・コンプライアンス委員会であり、それぞれ毎月及び隔月で開催しております。環境委員会及びリスク・コンプライアンス委員会での内容、進捗状況を適宜取締役会に報告し情報共有を図るとともに新たな指示事項があれば対応しております。
また、取締役常勤監査等委員は重要会議にすべて出席しており、状況や課題について即時把握できるようになっており、必要に応じて助言を行っております。
当社グループはサステナビリティに係る対応を経営上の重要課題と認識しており、その推進強化のため2025年3月期よりサステナビリティ委員会を設置します。今後、サステナビリティ委員会を中心とするガバナンス体制を構築するとともに、取締役会への定期的な報告や必要に応じて経営会議を招集し、課題解決に向けた議論を行ってまいります。
また、サステナビリティ委員会は、原則的に四半期ごとに開催し、基本方針の検討、マテリアリティの検討やサステナビリティ戦略について審議し、サステナビリティ関連の問題が事業に与える影響を評価し、対応策の検討や目標設定を行います。また、適宜取締役会に報告し、内部監査の監査対象とします。
サステナビリティ委員会の委員長は代表取締役社長が務め、主に取締役、執行役員等から構成され、経営企画室が事務局を担います。
なお、リスク・コンプライアンス委員会については、2025年3月期より四半期ごとの開催に変更し、引き続きサステナビリティ関連のリスクを含めた当社グループを取り巻く全リスクの認識と対応について審議を行います。
(2)リスク管理
当社グループでは、サステナビリティ関連のリスクを最初に識別する主体は各部門であり、各部門長からリスク・コンプライアンス委員長(代表取締役社長)及び管理部へ報告しており、リスクを集約する部門は管理部であります。報告頻度は隔月であります。
サステナビリティ関連のリスクについて、危機管理規程にて、他の種類のリスクと併せてリスクの分類を行っております。また、社内基準に基づき発生可能性の高低を位置付けし、影響度を評価しております。また、リスクマップを作成しており、この中でサステナビリティ関連のリスクは、他の種類のリスクと併せて発生可能性及び影響度によりランク付けされております。リスクの管理については、リスクの分類及びリスクマップの内容を定期的に見直し、見直しの内容は取締役会へ報告することとしております。
また、サステナビリティ関連の機会を最初に識別する主体は各部門であり、機会を集約する部門は管理部であります。機会を評価、管理する過程については、組織体制が整備されていないため具体的に定めておりませんが、2025年3月期に整備を行い、定めてまいります。
当社グループでは、2025年3月期より経営企画室が中心となってサステナビリティに関連するマテリアリティや重要なリスク、機会を特定し、具体策を立案、サステナビリティ委員会を運営してまいります。また、個別の課題やリスクへの対応については必要に応じて経営会議を開催して、迅速な検討を行うとともに、関係各部署との連携を密にしてまいります。
(3)重要なサステナビリティ項目
上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
・気候変動
・人的資本
それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
①気候変動
a.戦略
(a)リスク
ⅰ.物理的リスク
リスクの内容
・近年国内外で大規模な自然災害等が発生しており、想定を超える自然災害等が発生することを起因として、工場の操業停止や操業度低下が生じて、当社グループの業績に重大な影響が生じる可能性があります。また、当社グループの需要先は多岐にわたっておりますが、台風や地震等の天候変化、自然災害の影響で需要先の生産物の出荷が変動することによって、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
上記リスクに対処するための取組
・当社グループは、国内外に複数の製造拠点を設けることや多品種及び多くの需要分野の製品を取り扱うことで自然災害に伴う操業停止や操業度低下リスクを分散させております。さらに、BCPに基づいた防災訓練等に取り組んでおります。
ⅱ.移行リスク
リスクの内容
・当社グループは、環境保全を経営の重要課題であると認識し、事業活動を行っております。しかしながら、今後、環境等に関する様々な法的規制の強化または社会的責任の要請等に起因して事業活動に制約を受けるような事象が生じた場合には、計画外の設備投資や環境対策費用等の負担が生じることとなり、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
上記リスクに対処するための取組
・太陽光発電システム、再生可能エネルギーの導入
2020年2月、当社フィルム事業部鞍手工場に太陽光発電システムを導入しております。その他、フィルム事業部茨城工場、パルプモウルド事業部八戸工場、パルプモウルド事業部茨城工場、パルプモウルド事業部鞍手工場及び連結子会社のCORE PAX(M)SDN.BHDへの導入検討を進めております。
・更なる省エネ活動の推進
省エネ活動として、受電設備や空調設備などの工場設備の省エネ活動を行っております。また、グループすべての工場でLED照明化を進めております。
・省資源、省電力を目指したペーパーレス化
帳簿書類等を電子化し電子保存することにより、ペーパーレス化を進めております。
・LPGからCO2排出量の少ないLNGへの使用燃料の転換
当社段ボール事業部直方工場では2008年にA重油からLNG、パルプモウルド事業部鞍手工場では2013年にLPGからLNGへの使用燃料の転換が完了しております。その他、パルプモウルド事業部茨城工場でもLPGからLNGへの使用燃料の転換を検討しております。
(b)機会
機会の内容
・当社グループの主力製品のパルプモウルド製品については、新聞古紙・雑誌古紙などを原料として加工するリサイクル製品であり、森林保護など持続可能な社会を実現する一助となっております。また、段ボール製品についても段ボール古紙をリサイクルした原料を使用しており、一般的にリサイクルの優等生と評されるものであります。その他、全般的に当社グループが扱う包装資材は、内容物を守り、保護して消費地まで運ぶという大事な役割を担っており、食品ロスの低減やゴミの削減にも寄与しております。近年の気候変動に対する社会的関心の高まりが、上記のような環境配慮型の当社グループの製品の販売に繋がると考えております。
上記機会に対処するための取組
・脱プラスチック社会に向けたパルプモウルド製品需要の創造
・移動式リサイクル工場による古紙再利用の啓蒙活動
・リサイクル樹脂やバイオマス樹脂等の再生可能な原料を使用したフィルム製品の開発
・モノマテリアル化によりリサイクルが容易な機能性多層フィルム製品の開発
・脱プラスチック、ゴミレスに繋がる紙袋製品の拡販
・製品規格変更による包装の減量化
b.指標及び目標
当社グループでは、上記において記載した取り組みについて、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
(a)提出会社
|
指標 |
2013年度実績 |
2023年度実績 |
2030年度目標 |
|
CO2削減率(2013年度比) |
- |
-14% |
-46% |
|
CO2削減量(2013年度比)(t-CO2) |
- |
4,297 |
14,053 |
|
CO2排出量(Scope1+2)(t-CO2) |
30,550 |
26,253 |
16,497 |
(注)「地球温暖化対策の推進に関する法律」(平成10年法律第117号)で定められた算定方法及び排出係数により算定しております。
(b)連結会社
|
指標 |
2013年度実績 (注)2. |
2023年度実績 (注)3. |
2030年度目標 |
|
CO2削減率(2013年度比) |
- |
-5% |
-46% |
|
CO2削減量(2013年度比)(t-CO2) |
- |
1,642 |
14,053 |
|
CO2排出量(Scope1+2)(t-CO2) |
30,550 |
|
16,497 |
(注)1.「地球温暖化対策の推進に関する法律」(平成10年法律第117号)で定められた算定方法及び排出係数により算定しております。ただし、海外の電気の使用に伴うCO2排出量は、電気事業者が公表している排出係数により算定しております。
2.2013年度は連結子会社のデータ収集が困難であるため、提出会社のみの実績を記載しております。
3.2023年度より㈱アクシス、柳沢製袋㈱、CORE PAX(M)SDN.BHD.及びENCORE LAMI SDN.BHD.を含んでおります。
②人的資本
当社グループは包装資材の総合メーカーとして、「常に新しく価値ある商品・サービスを提供する」ことを企業理念の一つに挙げており、それを実現することにより企業価値の向上が達成できるものと考えております。この「常に新しく価値ある商品・サービス」の提供においては、多様な人材が集い、社員一人ひとりが持つ能力を最大限に引き出し、活かすことが必要不可欠であるため、当社グループは社員一人ひとりが働きやすい環境と風土づくりを推進しております。
a.戦略
当社グループでは、当社グループの中核をなす国内グループにおいて「社員一人ひとりが持つ能力を最大限に発揮する」ことがグループ全体を持続的に成長させ、当社グループ全体の企業価値向上に繋がっていくものと考え、国内グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び人材の多様性の確保を含む社内環境整備に関する方針について、以下に記載いたします。
人材戦略としては、ダイバーシティの推進、優秀な人材確保と育成、各階層の教育の充実、人事制度のさらなる充実、働きやすい職場環境づくり、福利厚生の充実を掲げております。社員のより豊かな生活の実現のため、社員にとって働きがいのある職場環境を整備し、社員と共に会社の発展を目指してまいります。
ダイバーシティの推進にあたっては、多様な視点で社内制度を構築することや生産技術の革新、製品の開発等に取り組むことが企業価値の向上には必要不可欠であると考え、管理職のみならず全社的な女性比率の向上に取り組んでおります。
次に教育制度としては、階層別・職務別の教育体系図を構築の上、教育研修を行っております。2023年度につきましては、新任管理職研修、実践型提案営業・新任営業研修、若手・新人フォローアップ研修、製造現場向け勉強会などを実施し、優秀な人材の育成を図ってまいりました。
また「自己啓発活動支援」の制度を2023年度より新たに設け、各種講座受講や語学教室の受講など、業務に関連する自己啓発活動に対し費用面での支援を行っております。
社員のより豊かな生活の実現のため、また、若手・シニア社員など多様な人材が活躍するために、2021年4月に給与水準の見直しや評価制度の充実など、人事制度改革を行いました。今後も人事制度のさらなる見直しを行い、社員が成長を実感しモチベーションを向上できるように取り組んでまいります。
またワークライフバランスの観点から、社員がいきいきと心身ともに健康で働きやすい職場環境を目指し、残業時間の削減や年次有給休暇取得率の向上に取り組んでおります。
その他福利厚生面においては、会社全体での感染症流行の抑制、また社員とその家族の健康維持を目的として、社員と家族のインフルエンザ予防接種費用補助を行っております。
2023年度からはエンゲージメント調査を開始しており、今後はその結果に応じて組織・制度・風土等の改革など具体的な対策を講じてゆき、社員とのエンゲージメント(信頼関係)強化を図ることによって離職防止や優秀な人材の確保、生産性の向上に努めてまいります。
b.指標及び目標
当社グループでは、上記において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
|
指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
|
|
|
|
(注)1.当社及び国内子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出し集計しております。
2.海外子会社を含めた指標であり、海外子会社の指標の定義や計算方法は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)とは異なっております。海外子会社の指標は、管理職を「アシスタントマネージャー以上の役職(役員を除く)」と定義しております。
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、主として次のようなものがあります。
当社グループは、これらの事項に対して「1(経営方針、経営環境及び対処すべき課題等) (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載している以下の取組みにより、将来の業績への影響を軽減させる方針です。
・SDGs理念に合致した製品の開発
・イノベーション活動を核に積極的な設備投資を実施し、製品事業の成長を推進
・TPS(トータル・パッケージング・ソリューション)の推進
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のある全てのリスクを網羅したものではありません。
(1)製品需要、景気動向
当社グループは主要4製品(農作物、鶏卵等の畜産、農産物用および工業品向け等のパルプモウルドおよび段ボール製の緩衝機能材、食品容器用等のフィルムおよび合成樹脂、化学薬品、製粉、飼料用のクラフト重包装袋等の包装機能材)について国内および海外において、幅広い業種のお客様と広く取引を行っており、地域・業種に偏らない活動を展開しております。しかしながら、景気後退による当社製品が利用される製商品需要の減少、競争の激化等による市況の悪化要因により、当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、包装資材メーカーとしての技術やノウハウを結集して、当社の強みであるTPS(トータル・パッケージング・ソリューション)提案をスローガンに新製品開発や機能改良、最適包装の提案に努め、顧客満足を徹底的に追求するとともに、全社をあげてイノベーション活動に取り組み、業績向上に努め、他社との差別化を図っております。
(2)原燃料価格
当社グループは、包装資材や各種加工フィルムの主要材料として、クラフト素材の原紙やプラスチック素材の樹脂・フィルムを使用しております。また、燃料としてLPG、LNGを使用しております。これらの価格は、クラフト原紙仕入価格、石油価格等の動向で変動することによって、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、パルプモウルド製品に関しては原料として古紙を使用しておりますが、古紙価格は国際古紙市況に影響されますので、その価格が大きく変動した場合には、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は常にあるものと認識しております。原油・ナフサ価格の変動は一企業の努力ではコントロールが困難な領域ではありますが、当社グループは、調達先の集中や契約の長期化など、原材料価格変動リスクを緩和する工夫を行い、安定して原材料が調達できるよう努めております。
(3)為替変動
当社グループの海外子会社の事業、業績および財務状況は、為替相場の変動によって影響を受けます。換算時の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらずとも円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は常にあるものと認識しております。
この対策として、当社グループは、為替予約および、海外の商品調達先を分散するなど講じております。
(4)海外展開について
当社グループは、顧客のグローバル化に対応するため、生産拠点をマレーシアに、販売拠点をシンガポールおよびマレーシアに有しております。このため、為替変動、進出国の経済動向、政情不安、法規制の変更等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
この対策として、当社グループは、シンガポールおよびマレーシアの法令改正等について定期的に顧問弁護士や会計事務所等から情報収集を行うとともに、マレーシア子会社であるCORE PAX(M)SDN.BHD.およびENCORE LAMI SDN.BHD.との連携を密にし、対応を図っております。
(5)自然災害・事故災害
近年国内外で大規模な自然災害等が発生しており、想定を超える自然災害等が発生することを起因として、工場の操業停止や操業度低下が生じて、当社グループの業績に重大な影響が生じる可能性があります。
また、当社グループの需要先は多岐にわたっておりますが、台風や地震等の天候変化、自然災害の影響で需要先の生産物の出荷が変動することによって、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は常にあるものと認識しております。この対策として、当社グループは、国内外に複数の製造拠点を設けることや多品種及び多くの需要分野の製品を取り扱うことで自然災害に伴う操業停止や操業度低下リスクを分散させております。さらに、BCPに基づいた防災訓練等に取り組んでおります。
(6)労災・設備事故等
当社グループの製造拠点は、労災、火災、機械故障のリスクにさらされております。日常的に労働災害の主要な原因となる「挟まれ・巻き込まれ」等の事象が発生しやすい環境にあります。対人・対物を問わず、安全や防災に関する法令を遵守し、事故の防止対策には万全を期しておりますが、万一重大な労働災害や設備事故等が発生した場合には、当社グループの生産活動等に支障をきたし、生産量減少に伴う売上の減少や破損設備の復旧に伴う費用の発生、事故に関連する補償の実施等、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は常にあるものと認識しております。この対策として、当社グループは、中央安全衛生委員会による安全巡回を実施し、事故を未然に防ぐための対策等を実施しております。
また、2023年3月に発生した当社パルプモウルド八戸工場の火災に対する取り組みとして、パルプモウルド全工場にスプリンクラーを設置し、あわせて年1回消化消防訓練時に動作確認を行う等、積極的な防火活動を行っております。
(7)環境規則等
当社グループは、環境保全を経営の重要課題であると認識し、事業活動を行っております。しかしながら、今後、環境等に関する様々な法的規制の強化または社会的責任の要請等に起因して事業活動に制約を受けるような事象が生じた場合には、計画外の設備投資や環境対策費用等の負担が生じることとなり、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は常にあるものと認識しております。当社グループでは、全社委員会として生産性向上委員会を設置し、定期的に環境保全活動を推進するとともに、環境保全に即した設備保全を行うことにより、計画外の設備投資や環境対策費用等のリスクを軽減しております。
(8)新型コロナウイルス等、感染拡大によるリスク
当社グループの従業員に新型コロナウイルス、インフルエンザ、ノロウイルス等の感染が拡大した場合、一時的に操業を停止するなど、当社グループの業績および財務状況等に影響を与える可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は常にあるものと認識しております。当社グループではこれらのリスクに対応するため、予防や拡大防止に対して適切な管理体制を構築しております。
特に今般世界的に感染が拡大した新型コロナウイルスに関しては、(1)在宅勤務、出張禁止、毎日の検温など、従業員の安全と健康を最優先にした対応の徹底、(2)生産、販売、在庫、物流状況の把握、(3)感染者が発生した場合のBCP対策、(4)資金管理等様々な施策を実行し、新型コロナウイルスの影響の極小化を図っております。
(9)訴訟等
当社グループは国内外において産業用包装資材の販売を行っておりますが、事業を行うにあたり損害賠償請求訴訟等の提起を受ける可能性があります。
当社グループへの訴訟等については、契約の明確化等により事前防止に努めております。
(10)子会社ガバナンス
当社グループは国内外に4社のグループ会社を有しております。当社グループの経営目標等の実現にはグループとしての方針、戦略等、総合力が発揮されるかどうかが大きな影響を及ぼす可能性があります。また、国内外での労災、事故、不正行為、法令違反行為等により当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
この対策として、当社グループはすべてのグループ会社を含めた経営方針の説明を定期的に実施しております。また、定期的なコンプライアンス勉強会を実施しコンプライアンスの意識向上に努めております。
(11)情報・システム
当社グループは、販売管理や生産管理など事業活動の中で様々な情報システムを活用しております。
外部からの何らかのサイバー攻撃等により、機密情報や顧客情報が流出した場合、顧客および取引先からの損害賠償請求の対象となり、当該事案に対応するための費用を要する可能性があり、さらに当社グループの社会的信用に大きな影響を及ぼす可能性があります。このような事態が発生した場合、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクへの対応として、当社グループは情報セキュリティポリシーを定め、定期的な周知徹底を図っております。また、具体的な対策としては全てのサーバ・クライアントへのウィルス対策はもちろんのこと、基幹システムやグループウェア等の情報系ツールにおける権限に応じたアクセス制限、電子メールのモニタリング(監視)や情報機器の接続制限等により、外部からのサイバー攻撃や情報漏えい対策を実施しております。
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、景気は緩やかな回復が続いております。その一方で、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念、海外景気の下振れ、物価上昇、中東地域をめぐる情勢等がリスクとなり、先行き不透明な状況が続いております。
このような経営環境のもと、当社グループは「TPS(トータル・パッケージング・ソリューション)提案」により顧客満足を徹底的に追求するとともに、全社をあげてイノベーション活動に取り組み、業績向上に努めてまいりました。
その結果、当連結会計年度の売上高は、各主要製品で数量減はあったものの、原燃料価格の高騰に対処するための販売価格修正の効果に加え、パルプモウルド製食品用容器、事務機器用パルプモウルドトレーの拡販等により、219億64百万円(前年同期比0.8%増)と増収となりました。また、営業利益は10億86百万円(前年同期比3.5%減)、経常利益は13億47百万円(前年同期比3.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は10億65百万円(前年同期比18.0%増)となりました。営業利益および経常利益減益の主な要因は、販売価格修正の効果はあったものの、主に各製品の販売数量の減少と製造固定費の増加によるものであります。また、2023年3月に発生した当社八戸工場火災にかかる受取損害保険金として2億51百万円の特別利益を計上しております。さらに、訴訟終結による役員退職慰労金の一部不支給に伴う役員退職慰労金返還額57百万円を特別利益に計上しております。
セグメントの業績は次のとおりです。
(緩衝機能材事業)
パルプモウルド部門は、業務用鶏卵トレーおよび青果物トレーが販売数量減となりましたが、食品用容器、事務機器用パルプモウルドトレーおよび鶏卵パックが堅調に推移したこと、および販売価格の修正により、パルプモウルド部門の売上高は61億14百万円(前年同期比8.1%増)となりました。
段ボール部門は、農業分野、工業分野ともに販売価格の修正により、売上高は33億35百万円(前年同期比1.6%増)となりました。
成型部門は、売上高は樹脂成型品と宙吊り式包装容器(ゆりかーご)をあわせて12億41百万円(前年同期比3.7%増)となりました。
その結果、当事業の売上高は106億91百万円(前年同期比5.5%増)となり、セグメント利益は10億7百万円(前年同期比14.4%増)となりました。
(包装機能材事業)
フィルム部門は、販売価格の修正および衛生材料、自動車向けキャストフィルムが好調に推移しましたが、食品容器用ポリスチレンフィルムの販売数量減により、売上高は44億31百万円(前年同期比4.9%減)となりました。
重包装袋部門は、国内は、販売数量は減少しましたが、販売価格の修正により増収となりました。海外は、食品、飼料および化学薬品向けの販売数量減により減収となり、重包装袋部門の売上高は64億61百万円(前年同期比3.2%減)となりました。
その結果、当事業の売上高は108億92百万円(前年同期比3.9%減)となり、セグメント利益は8億59百万円(前年同期比10.5%減)となりました。
(その他)
売上高は3億80百万円(前年同期比19.9%増)となり、セグメント利益は29百万円(前年同期比7.8%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a) キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より1億28百万円減少し、当連結会計年度末には72億89百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は、18億64百万円(前年同期比6億23百万円の増加)となりました。主な収入項目は、税金等調整前当期純利益15億38百万円、主な支出項目は、法人税等の支払額3億31百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、13億55百万円(前年同期比2億38百万円の増加)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出12億69百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって使用した資金は、6億42百万円(前年同期比3億9百万円の増加)となりました。これは主に、短期借入金の純減少額2億95百万円、配当金の支払額2億53百万円等によるものであります。
(b) 資本の財源及び資金の流動性
a 営業活動
(1) 損益と収支の状況との関係
当企業グループの連結損益と収支の状況との関係は、今後2年間については減価償却費の大きな変動はない見込みのため、連結会計年度の税金等調整前当期純利益の増減が連結キャッシュ・フロー計算書における営業活動によるキャッシュ・フローの増減となって現れております。
(2) 決済条件の変更等による収入、支出項目の大幅な変動又は非資金損益項目の増減要因等
決済条件の変更等による収入、支出の予定はなく、また、非資金損益項目の増減要因等についても、大きな増減は計画しておりません。
b 投資活動
当企業グループの投資活動としては、各工場の生産性向上、品質改善、新製品の開発等を目的としております。
c 財務活動
当企業グループについては、運転資金については一時的な借入を除き、長期において多額の借入を行う計画はありません。
また、設備資金については、長期借入金および手元資金でまかなうことを基本方針としております。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
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緩衝機能材事業 |
6,413 |
3.7 |
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包装機能材事業 |
8,074 |
△2.5 |
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報告セグメント計 |
14,488 |
0.2 |
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その他 |
172 |
7.7 |
|
合計 |
14,660 |
0.2 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、原価によっております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
緩衝機能材事業 |
1,992 |
6.7 |
|
包装機能材事業 |
1,052 |
△11.5 |
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報告セグメント計 |
3,044 |
△0.4 |
|
その他 |
187 |
28.9 |
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合計 |
3,232 |
1.0 |
(注) 金額は、仕入価格によっております。
c.受注実績
主要製品は得意先からの受注によって即納する一種の受注生産ですが、生産及び商品仕入と販売との関連において製品及び商品の回転が早く、月末における受注残高が僅少なので、a.生産実績及びb.商品仕入実績を受注実績とみなして大差ありません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
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緩衝機能材事業 |
10,691 |
5.5 |
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包装機能材事業 |
10,892 |
△3.9 |
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報告セグメント計 |
21,584 |
0.5 |
|
その他 |
380 |
19.9 |
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合計 |
21,964 |
0.8 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
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㈱エフピコ |
- |
- |
2,940 |
13.4 |
(注)前連結会計年度は、当該割合が10%未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、引当金の計上など一部に将来事象の見積りに基づいているものがあります。これらの見積りは、当社グループにおける過去の実績や将来計画を考慮し、合理的と認められる事項に基づき判断しております。なお、重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されている通りであります。
②財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて5億28百万円増加し、260億72百万円となりました。流動資産については、原材料及び貯蔵品、現金及び預金の減少等により、前連結会計年度末に比べて1億29百万円減少しております。固定資産については、機械装置及び運搬具、投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末に比べて6億57百万円増加しております。
当連結会計年度末における負債合計は83億32百万円となり、前連結会計年度末に比べて6億62百万円の減少となりました。流動負債については、短期借入金、電子記録債務の減少等により、前連結会計年度末に比べて6億47百万円減少しております。固定負債については、リース債務、長期借入金の減少等により、前連結会計年度末に比べて14百万円減少しております。
当連結会計年度末における純資産合計は177億40百万円となり、前連結会計年度末に比べて11億90百万円の増加となりました。これは、利益剰余金の増加等によるものであります。
③経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は219億64百万円(前年同期比0.8%増)となりました。売上総利益は、42億2百万円(前年同期比0.1%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、31億16百万円(前年同期比1.4%増)となりました。
以上の結果、営業利益は10億86百万円(前年同期比3.5%減)、経常利益は13億47百万円(前年同期比3.6%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は10億65百万円(前年同期比18.0%増)となりました。
売上高については、各主要製品で数量減はあったものの、原燃料価格の高騰に対処するための販売価格修正の効果に加え、パルプモウルド製食品用容器、事務機器用パルプモウルドトレーの拡販等により、増収となりました。営業利益および経常利益については、販売価格修正の効果はあったものの、主に各製品の販売数量の減少と製造固定費の増加により、減益となりました。
なお、2023年5月12日に公表した2024年3月期の連結業績予想である連結売上高241億67百万円に対しては未達となりましたが、2025年3月期の業績目標及び中期的な業績目標の達成に向けて、SDGs理念に合致した製品の開発、イノベーション活動を核にした積極的な設備投資の実施による製品事業の成長の推進、TPS(トータル・パッケージング・ソリューション)の推進に取り組んでまいります。
④キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より1億28百万円減少し、72億89百万円となりました。
詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報」をご参照ください。
当連結会計年度においての運転資金及び設備投資につきましては、内部資金及び借入れによって調達しております。また、今後当面の重要な資本的支出についても、内部資金及び借入れによる調達を予定しております。
該当事項はありません。
当社グループでは、企業理念の一つである「常に新しく価値ある商品・サービスを提供する」企業であり続けるため、当社各事業とその周辺事業領域において、常に顧客や市場の視点・立場でニーズの把握に努め、SDGsを見据えた省資源、省エネルギー、環境保全型の地球に優しい商品・サービスの研究開発を推し進めております。
当連結会計年度は、引き続き顧客の課題解決を通して社会とともに発展を続けるための新製品開発を加速させました。
研究開発体制は、生産技術部と各事業部門の開発部門を中心に連携・協力を図りながら、効果的かつ迅速に市場調査、研究開発活動を行っております。
新たな事業・製品・市場の開発を生産技術部、各事業部門と連携し、社会情勢・動向の調査、市場分析により、新しい発想、角度から新市場・新需要の開拓と環境に配慮した製品の開発を推進しております。
また、同業社や公設の試験研究機関等とも連携し、新たな開発テーマへの取組みを推進しております。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(1)緩衝機能材事業
パルプモウルド部門では、古紙リサイクルという環境にやさしい製品特性を最大の武器として新製品開発を進めております。特に従来の緩衝性能やユーザー様における利便性、効率性をベースにして、消費者ニーズにフィットした新製品開発を進行中です。
(2)包装機能材事業
フィルム部門では、常に変化する市場ニーズを的確に捉えながら、引き続き、新しい発想でご利用になる様々な方々の利便性を更に高める環境配慮型フィルムの実績化を加速させております。
その他の部門においても、激化する企業間競争及び国際的競争に打ち勝つため、品質の高度化と生産性の向上、コストの低減というテーマを掲げ研究開発の高度化への取組みを引き続き進めております。