当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)グループ理念体系
<パーパス> It‘s for SMILE ~価値ある商品とサービスで社会を明るく笑顔に~
健康かつ文化的で明るく元気な未来を「It‘s for SMILE」で描きます
<ミッション・ビジョン> 生命関連産業のリーディングカンパニー
「生命関連産業」で5つの分野で既存事業の強化や新規事業を創出します
<バリュー> 思いを守る、明日へつなぐ
祖業の特殊製本を礎に、文字と写真文化と人々の思いも未来につなぐビジネスを推進します
(2)中長期的な会社の経営戦略
①コアコンセプト
「生命関連産業」(注1)のリーディングカンパニーを目指します。
ポストコロナの時代に求められる具体的なコンセプトとしての「生命関連産業」は、相互扶助、循環、持続可能性といったコンセプトと親和性が高く、ナカバヤシグループが近年循環型社会の実現を目指した木質バイオマス発電事業や、技術の継承と地域雇用の安定を目指す新たなビジネスモデル「製本業と農業の二刀流」の展開、海洋プラスチック問題を始めとした「脱プラ」「廃プラ」課題を解決する紙製品事業「asue(あすえ)」の始動など、社会課題の解決に貢献し得る様々な事業活動を積極的に広げ、持続可能な社会の実現と美しい地球環境の保全のために、SDGsの達成に向けた事業活動・企業活動を目指すという方針につながるものでもあります。
既存事業の生命関連産業分野とDXの活用、新しい技術、社会のニーズ・ウォンツを組み合わせることで、単なる労働集約型事業とは異なった新商品や新サービス、新規事業を生み出し、生命関連産業を基軸に成長戦略を描いてまいります。
(注1)「生命関連産業」とは、京都大学の広井良典教授が提唱している概念であり、(1)健康・医療(2)環境
(再生可能エネルギーを含む。)(3)生活・福祉(4)農業(5)文化の5つの分野において、日常に根ざした「生活」の豊かさや「幸福」を求める志向に基づく産業を指します。
②中期基本方針
新・中期経営計画「Go on 5ing」(2025年3月期~2027年3月期)に基づき「収益力の強化」「成長力の推進」「株主価値の向上」を基本方針として、次の『5 go on!』を目標として掲げ、その達成に向けた諸施策をgo on(邁進)して参ります。
1.売上高660億円 営業利益33億円(営業利益率5%)にgo on!
2.社会課題の解決へgo on!
3.DX推進にgo on!
4.サーキュラーエコノミーへgo on!
5.add+venture70で新たな挑戦にgo on!
③セグメント別事業戦略
「生命関連産業」の5つの分野(①健康・医療②環境(再生可能エネルギーを含む)③生活・福祉④農業⑤文化)で、既存事業の強化や新規事業への参入に向けた取り組みを進めて参ります。
モノ消費からコト消費そしてトキ消費へと、人々のニーズとウォンツは消費活動に対して意味づけする時代に移り変わっています。生命関連産業の各分野における社会課題解決とトキ消費の創出を通じて、既存事業に捉われない製品やサービスの創造に取り組んで参ります。既存事業における収益性の改善、積極的なM&Aやアライアンスならびに新規事業への進出で売上高の拡大、営業利益率の向上を実現します。
生産年齢人口の減少に伴う経済の急激な構造変化に対応するため、トキ消費の創出・生成AIの活用などDX化を積極的に推進することで、新たな企業価値の創造を図り目標達成に努めて参ります。
[ビジネスプロセスソリューション事業]
「こまったをよかったに」、BPOの推進で社会課題の解消を目指します。
①DX推進によるアナログとデジタルの融合で生産性の高いBPO、新たなBPO領域を創出します。
②幅広い得意先を有する当社グループのリソースの有効活用、デジタル対応の受注システム構築により紙製別製品(手帳・証書ファイル等)の受注拡大を目指します。
③業界固有の特性に配慮した紙器包材の開発と受注拡大で脱プラ・廃プラを推進します。
④長年培った図書館運用のノウハウを生かし、プロポーザルでの更なる指定管理の受託拡大により地域再生に貢献します。
[コンシューマーコミュニケーション事業]
生活を豊かに、充実させるタイム・コスト・スペース、3つのパフォーマンスをアップさせる製品を提供します。
①教育・学びの場、働く場において快適性・機能性・デザイン性を併せ持つ文具・事務用品、ガジェット関連用品、オフィス用品を提供します。
②防犯・防災・セキュリティ(機密保持)製品の充実を図ります。
③医療・介護の場における製品開発と共にストレス解消・癒しなど健康を切り口にした商品開発をします。
④海外販路の開拓を強化し、筆記を中心にTACCIAブランド、NCLブランドの認知度を拡大させます。
⑤めぐりing、ツーリズム、推し活、インバウンド等、コト消費・トキ消費に対応した新たな商品・サービスを創出します。
⑥様々な社会課題の解決に貢献できる商品を提供していきます。
[エネルギー事業]
木質バイオマス発電を通じてサーキュラーエコノミーの実現と太陽光発電の安定稼働で地球にやさしいエネルギーを創出に取り組んで参ります。
[その他]
製本と農業の二刀流を継続し、スマート農業の実行で安定した雇用の創出と食の供給を促進していきます。
農業の6次産業化に加えICT技術を活用した営農を図ります。
④中期財務戦略
利益率の改善を図るべく、事業構造改革と不採算事業の見直し、グループ管理部門の効率化を図っていくことにより、連結営業利益率5%を目指します。
また、将来の「資本コスト」の上昇を踏まえ、資本効率の向上とキャッシュ・フローの最適化に取組み、ROICの持続的向上を図って参ります。
中期数値目標(連結) (単位:百万円・%)
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2024年3月期 (実績) |
2025年3月期 (実績) |
2026年3月期 (目標) |
2027年3月期 (目標) |
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売上高 |
61,043 |
62,767 |
63,500 |
66,000 |
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営業利益 |
462 |
1,787 |
2,540 |
3,300 |
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営業利益率 |
0.7 |
2.8 |
4.0 |
5.0 |
(3)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①経営環境
物価高の影響により個人消費が一時的に伸び悩むものの、賃上げの進展による実質賃金の改善、内需の持ち直し、インバウンド需要の拡大、さらに企業による設備投資の拡大傾向の継続などを背景に、底堅い成長が続くものと見込まれます。
一方で、人材不足による供給制約、米国の政策変更に伴う貿易環境の悪化、国際情勢の緊張の高まりといった下振れリスクも存在しており、先行きには依然として不透明感が残る状況です。
このような状況のもと、当社グループはパーパス「It’s for SMILE」のもと、ミッション・ビジョンである「生命関連産業」で掲げた5つの重点分野の深化と新規分野への展開を通じて、社会課題の解決と未来への創造に取り組んでおります。
現在、第4次中期経営計画「Go on 5ing」(2024年4月1日~2027年3月31日)の2年目に入り、「収益力の強化」「成長力の推進」「株主価値の向上」に向け、各施策を着実に推進していくことにより、以下の課題に対処してまいります。
『5 go on!』5つの重要テーマに対し、go on(邁進)してまいります。
・売上高660億円、営業利益33億円(営業利益率5%)
・社会課題の解決
・DXの推進
・サーキュラーエコノミーの推進
・add+venture70で新たな挑戦
円安による輸入品価格の高騰や原材料価格、電力費の高騰および資源価格の上昇により、各種製造に関わる費用や運送費が値上がりしていることから、売上原価および販管費は増加する見通しです。そのため既存事業とデジタルの融合を図り付加価値を高めることで競争力のある製品・サービスを提供していくことに加えて、事業構造改革と不採算事業の継続した見直し、グループ管理部門の効率化を図ってまいります。
②優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
〇企業ブランドの確立
かつては「フエルアルバム」のブランドで消費者の間では認知度が高かった当社ですが、近年のアルバム需要の減少により当社の認知度は以前より低下しております。近年は若年層への認知度向上策として頑張る若者を応援する施策を継続して実施しており、番組スポンサーやイベント協賛だけでなく、SNS等あらゆる媒体を活用し、変革する企業イメージを訴求してまいります。
〇営業利益率の向上
グループ全体としての事業構造の改革と不採算事業の見直し、幅広い顧客基盤を活かしたBtoBにおける受注活動の強化、DXの推進による効率化により営業利益率の向上を図ってまいります。
〇新規事業の推進
第3次中期経営計画「add+venture70」の中期基本方針「Main add+venture」で掲げた“企業価値を高める70の新しいこと”を引き継ぎ、第4次中期経営計画「Go on 5ing」においても目標達成に向けた取り組みの継続と事業化を推し進め、既存事業に捉われない製品やサービスの創造に取り組むことで新たに50億円の売上を目指してまいります。
〇財務基盤の強化
新規事業や既存ビジネスの深掘による売上増加、業務プロセスの見直しや新たな付加価値の提供による利益率改善を図ってまいります。また採算性や収益性、効率性を考慮した固定資産の見直し(投資有価証券・不動産等)を図り、財務基盤を強化してまいります。
当社グループは、中長期的な企業価値向上の柱として、「健康・医療」「環境」「生活・福祉」「農業」「文化」の5つの領域において生命関連産業のリーディングカンパニーとなることを目指し、次の5つの基本方針をもって持続可能社会の実現を図り、サステナビリティを高めることによるリスクの減少、収益機会の増大を実現します。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.あらゆる人権を尊重します。
2.グループで働く人の健康、労働環境、公正・適切な処遇を常に維持向上します。
3.購買先・販売先との公正・適正な取引を維持し、良好な関係性を高めます。
4.自然災害等へのリスク管理体制を整え、内外のリスク低減を図ります。
5.事業活動を通じて、人類の共通課題である地球環境の維持・改善、気候変動問題への取組に挑戦します。
特に気候変動についての取組におけるリスクと収益機会については以下の通りです。
気候変動による事業に対する財務面での重大な影響は、監査等委員会から取締役会に指摘があった事項のうち、取締役会が「重大」と判断したものについて戦略に織り込んでいます。
当社において、取締役会に常に出席する管理統括本部長が、リスク管理部門長であり、環境ISO14001マネジメントシステム上の「環境管理責任者」かつ「環境委員会」の委員長でもあります。また管理統括本部長が、環境マネジメントシステムの最高責任者であり、取締役会への報告責任者でもあります。環境管理責任者は、環境マネジメントシステム上の「環境影響評価」の最終承認者であり、環境影響評価においては、当社のあらゆる活動の環境側面をボトムアップ方式で抽出し、その抽出された環境側面に対するリスクと機会両面の影響を認識評価しています。環境影響評価は、年1回の頻度で年度末(3月末)に実施され、その評価結果に基づき翌年度の環境に係わる重点活動が決定、実施されます。その過程で重要事項は環境管理責任者を通じて取締役会に報告される組織構造(仕組み)であり、また、環境ISOマネジメントシステムについては、年1度の頻度で外部審査を受けており、その結果も環境管理責任者に直接に報告、伝達され、この審査結果も環境管理責任者を通じて取締役会に報告される組織構造(仕組み)となっています。
なお、上記プロセスにおいて対象とする時間軸は限定しておらず、短期・中期・長期全てが対象、かつ「定常時」「非定常時」「緊急時」の視点でもリスクと機会は検討評価されています。
(1)ガバナンス
取締役会による気候変動対応の監視体制は、下記のとおりです。
(a) 取締役会が気候関連課題について報告を受けるプロセス、議題として取り上げる頻度、監視対象 、サステナビリティ経営をグループ全社で横断的に推進するため、環境課題に関する具体的な取り組み施策について、「経営会議」で協議・決議します。また、半期に一度開催される「サステナビリティ委員会」において、「経営会議」で協議・決議された環境課題への対応方針等を共有し、当社グループの環境課題 に対する実行計画の策定と進捗モニタリングを行ってまいります。 取締役会は、「経営会議」および「サステナビリティ委員会」で協議・決議された内容の報告を受け、当社グループの環境課題への対応方針および実行計画等についての論議・監督を行ってまいります。
(b) 経営者の気候関連課題に対する責任、報告を受けるプロセス(委員会等)、モニタリング方法について代表取締役社長は、「経営会議」の長を担うと同時に、直轄の諮問委員会である「サステナビリティ委員会」の委員長も担っており、環境課題に係る経営判断の最終責任を負っております。「経営会議」および「サステナビリティ委員会」 で協議・決議された内容は、最終的に取締役会へ報告を行います。
(2)リスク管理
リスク管理につきましては、下記のとおりです。
(a) 気候関連リスクの特定・評価プロセスの詳細、重要性の決定方法については、「グループ連結売上高の5%以上の影響がある場合」を財務面での重大な影響と定義することとし、適切に対応することで、持続的な成長につながると考えております。環境課題に係るリスクについて、「サステナビリティ委員会」の中でより詳細に検討を行い、各事業子会社と共有化を図ってまいります。各事業子会社では、気候変動の取り組みを実行計画に落とし込み、各事業子会社社長を長とする会議の中で論議しながら実行計画の進捗確認を行ってまいります。その内容について、「経営会議」や「サステナビリティ委員会」において、進捗のモニタリングを行い、最終的に取締役会へ報告を行っていきます。
(b) 全社リスク管理の仕組みへの統合状況については、リスクを全社的に管理する体制を構築することが重要であることを踏まえ、「内部統制推進室」が行います。「内部統制推進室」では、外部環境分析をもとに、環境課題に係るリスクを含めた企業リスクを識別・評価し、優先的に対応すべき企業リスクの絞り込みを行い、進捗のモニタリングを行ってまいります。「内部統制推進室」で論議・承認された内容は、取締役会による監督体制の下、当社グループの戦略に反映し、対応してまいります。
(3)指標と目標
(a) グループGHG(温室効果ガス)排出量を前年比3%削減させていきます。
■GHG(温室効果ガス)排出量の推移 単位:t-CO2
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2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
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Scope1 |
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Scope2 |
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合 計 |
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※ Scope2は、マーケット基準での算定値です。
(b) CDPスコア 目標値 2027年3月期「C」
実績値 2022年3月期「C」・2023年3月期「D」・2024年3月期「D」
(c) 環境省のオフセット・クレジット(J-VER)制度に基づき、2022年から2033年の12回にわたって、二酸化炭素相当量1,800 t-CO2(150 t-CO2/年)のクレジットを買い受ける契約を締結しております。
次に人的資本に対する取組みについては以下の通りです。
『当社グループの目指すべき人材像』
・環境の変化に対応すべく、常に自らの強みや専門性に磨きをかけ続け、こだわりをもって顧客や関係者に高い付加価値を提供できる人物
・オーナー意識をもってチャレンジし、失敗を恐れずに思い切った新しい価値を適切な方法で提供できる人物
・決して受動的にならず、自らが率先して動き、手本を示すことで周囲に良い影響を与えることができる人物
・仕事はチーム一体となって行うことを自覚し、周囲を巻き込み調和を図りながら、高い成果を出すために決断し、メンバーを牽引できる人物
『人的資本の取組みについて』
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『As-is』人財・コスト |
『To-Be』人財・投資 |
目指す姿 |
進捗 (2025年3月) |
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多
様
性 |
ダイバー シティ& インクルー ジョン |
・リモートワークの定着 ・時間有給等、ライフスタイルに合わせた休暇取得 |
・戦略的中途採用の強化 ・他社人材の受け入れ ・褒める・認め合う表彰制度の実施 |
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中途採用管理職 比率 |
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女性活躍推進 |
・女性管理職比率7.5% ・女性リーダー層情報交換会の実施 |
・女性外部交流機会の創出 ・Woman’s Councilの 組成 |
(注1) |
女性管理職比率 ・旧制度基準9.1% ・新制度基準 |
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LGBTQ |
・全社的LGBTQの指針はない |
・バリアフリートイレの整備 ・LGBTQ教育・指針の作成 |
2025年3月期指針公開 全社員研修実施 |
指針作成実施 |
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キ ャ リ ア 形 成 |
人事制度改革 |
・年功色の強い制度 |
・協業姿勢は強化しながら、個々の頑張りに対し報われる体系 |
2023年4月開始済で To-Beへ早期定着化 |
40代部長の抜擢人事 スペシャリストコース6名任命 |
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人財育成 |
・新入社員・選抜型研修 ・選択型オンライン研修 ・業務経験の幅は狭い |
・外部機関出向研修の実施 ・早期経営人材の選抜・育成 ・関係会社出向含む異動 ・DX教育の推進 |
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20代異動経験率 |
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戦略思考の 人事運営 |
・人事運営の硬直化 ・部分最適は可だが全体最適は課題 |
・人事運営の流動化 ・人財ポートフォリオ戦略 ・重点組織への再配置 |
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カンパニー間異動 2年目 |
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幸
福
度 |
エンゲージ メントと Well-beingの向上 |
・エンゲージメント調査は未実施 |
・エンゲージメント調査の実施 ・男性育休取得 |
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・エンゲージメント調査実施(総合点59.6) ・男性育休取得率 |
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健康経営 |
・若手相談窓口の設置 ・平均時間外労働時間 月間平均10時間 |
・全社員向けよろず相談窓口の設置 ・残業を前提としない働き方 |
月間平均 |
平均時間外労働時間 月間平均 |
(注1)2023年4月より新人事制度を開始。管理職の基準を課長補佐以上から課長以上に1職位引き上げたことにより比率に影響が出ました。
(注2)男性育休取得率は育児目的休暇も含めています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境に関するリスク
①デジタル化、ペーパーレス化進行によるリスク
デジタル化、ペーパーレス化が年々進行していることから、図書製本や法人向け手帳などの市場が縮小しており、当社グループ連結業績において、さらに影響を及ぼす可能性があります。一方で公共図書館の指定管理など図書館業務の受託に注力してまいります。また近年「脱プラ」「廃プラ」が注目されており、プラスチックに代わる素材として「紙」の需要が高まってきており、こうした環境配慮型製品の開発・販売に取り組みます。
②少子化に関するリスク
国内では少子化が続いており、ノートなどのステーショナリー関連製品やチャイルドシートなどにおいて、当社グループ連結業績にさらに影響を及ぼす可能性があります。
③国際情勢に関するリスク
貿易相手国の法規制や経済情勢の変化等により商品調達に支障をきたす場合は、当社グループの連結業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)市況変動に関するリスク
①為替変動リスク
当社グループは、一部の商品については輸入に依存しているため、為替レートの変動が当社グループの連結業績に影響を及ぼす可能性があります。先物為替予約などによりリスク回避を行っておりますが、すべてのリスクを回避することはできません。
②原材料価格の高騰リスク
当社グループの製品の主な原材料は、原紙・樹脂等であります。原材料は国内外メーカーから調達しておりますが、原油価格が高騰し原材料の価格が上昇した場合は、当社グループの連結業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、ビジネスソリューション事業(データプリントサービス等)やネット通販事業において、顧客の個人情報を取り扱っております。プライバシーマークを取得し、顧客情報の管理には十分留意しておりますが、サイバー攻撃等による情報セキュリティ事故が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い、法的罰則等により、当社グループの連結業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)製造物責任に関するリスク
当社グループは、定められた品質管理基準に従って、各種の製品を製造しております。製品単位ごとに品質チェックを実施し、欠陥が生じないようにするための体制を構築しておりますが、それにもかかわらず何らかの欠陥が生じた場合は、顧客の信頼の喪失、賠償金の支払い等が発生する可能性があります。製造物責任についての保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を補填できるという保証はなく、当社グループの連結業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)災害等に関するリスク
当社グループは、すべての設備について定期的な点検を実施しておりますが、台風、地震などの自然災害、火災・停電などの事故が発生した場合、生産が中断することを防止できる保証はありません。当社グループの生産設備は国内外に点在しておりますが、これらの所在地において大規模な災害が発生した場合は、当社グループの生産能力が著しく低下し、改修に多額の費用が発生する可能性があります。災害等に備え保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する損害額を補填できるという保証はなく、当社連結業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたことから、影響額を最小限にとどめるべく当社グループはBCPの観点からBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業の生産拠点を各地に分散しており、またデータセンターの活用など災害に備えた対応を行っております。
(6)コンプライアンスに関するリスク
当社グループは、グループ倫理規範やコンプライアンス・マニュアルを制定し、企業倫理の向上および法令遵守の強化に努めております。当社は過去、日本年金機構の入札に関して公正取引委員会より排除措置命令および課徴金納付命令を受け、また日本年金機構より「不正行為に係る損害賠償請求の方針について」と題する文書等により通知を受け、日本年金機構からの請求額を支払いました。
当社では命令を受けた事実を厳粛に受け止め、引き続き従業員教育の徹底などを通じて、コンプライアンス体制の一層の強化に努めてまいります。
(7)関係会社に関するリスク
当社グループは、経営資源を有効活用し収益基盤の多様化を進めるため、グループのシナジーを発揮し企業価値向上に取り組んでおります。しかしながら、関係会社各社の業績が著しく悪化し、将来にわたって事業が計画どおりに展開しないと判断された場合又は株式の時価が下落した場合には、関係会社株式の減損処理の必要に迫られます。その場合には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)固定資産の減損に関するリスク
当社グループは、保有する固定資産について、固定資産の時価が著しく下落した場合や収益性が低下した場合には減損損失が発生し、当社グループの連結業績に重大な影響を与える可能性があります。
(9)繰延税金資産に関するリスク
当社グループは、繰延税金資産について、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断して計上しております。しかしながら、今後将来の課税所得の見積り等に大きな変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩しが発生し、当社グループの連結業績に重大な影響を与える可能性があります。
(10)気候変動に関するリスク
気候変動については、当社の主要商品類の一つが紙製品であることから重要なリスク要因として認識しており、TCFDの枠組みに沿った対応を進めております。
原材料に関しては気候変動の影響を直接的に受けることが予測され、調達方法等を常に見直しをしております。温室効果ガス(GHG)に関してはその排出量を把握し、HPにおいて開示しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善、インバウンド需要の増加などを背景に、社会経済活動の正常化が進み、緩やかな回復基調で推移した一方、中国経済の先行き懸念、米国の政策動向による影響、中東地域をめぐる地政学的リスクの高まり、原材料・エネルギー価格の変動、金融資本市場の不安定な動きなど、外部環境には依然として不透明感が残る状況が続いております。
当社グループを取り巻く状況は、ライフスタイルや企業活動が大きく変化したことに対応する必要があり、当社グループのパーパス「It’s for SMILE 」の理念に基づき、人生100年時代に相応しい価値ある商品とサービスの創出で企業価値向上に努めております。
このような中、当社グループは第4次中期経営計画(2024年4月1日~2027年3月31日)「Go on 5ing」(ゴー・オン・ゴーイング)を2024年5月に策定しました。本計画では「収益力の強化」「成長力の推進」「株主価値の向上」の3つの基本方針のもと、DXの推進、消費潮流の変化を捉えた製品サービスの創出、経営資源の最適配分に取り組むことで計画の達成を目指しております。特にDX推進においては、各セグメントの既存事業にデジタルを融合させることで新たな受注につなげるなど、具体的なシナジー効果が現れ始めています。
また当連結会計年度より、新たなライフスタイルに迅速に対応するため「コンシューマーコミュニケーション事業」と「オフィスアプライアンス事業」を統合いたしました。それに伴いまして報告セグメントは「ビジネスプロセスソリューション事業」「コンシューマーコミュニケーション事業」「エネルギー事業」「その他」の4つに再編しております。
当社グループにおける当連結会計年度は販売価格の見直しと製造原価低減、不採算事業見直し等に努めたことで、売上高は627億67百万円、営業利益は17億87百万円、経常利益は22億14百万円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期利益は19億95百万円となりました。
当連結会計年度における当社グループの経営成績は以下のとおりであります。
売上高 627億67百万円 (前期比2.8%増)
営業利益 17億87百万円 (前期比286.4%増)
経常利益 22億14百万円 (前期比120.6%増)
親会社株主に帰属する当期純利益 19億95百万円 (前期比127.6%増)
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
[ビジネスプロセスソリューション事業]
BPOサービスにおいては、採算性の低い案件の選別、システム開発の内製化や試験関連BPOの受注もあり、前期比で増益となりました。今後も引き続き、総合提案を通じた収益力の強化に取り組んでまいります。
一方、手帳や封筒、一般印刷物はペーパーレス化の影響により売上は前年度比で減少しましたが、価格改定の効果により利益は前年比同水準で推移しました。
紙器包材関連については、「JIYUBACO」や「asueco」等の環境に配慮した重箱および紙製パッケージの受注拡大が進んでおります。
シール・ラベル関連では、エンターテインメント業界向けグッズなど高単価商材の受注が寄与し、引き続き好調を維持しております。
図書館ソリューションでは、製本関連においては受注冊数は減少したものの価格改定を進め、売上は前年度比同水準で推移しました。また、図書館運営受託に加え、施設の大規模改修に伴う書架移動支援業務などの専門性の高い案件獲得が堅調に進み、利益率向上に寄与しました。
卒業アルバム関連においては、製造部門の統合により合理化を図り、利益率の向上に繋げました。今後は営業活動においてもグループ間のシナジー効果の拡大を図ってまいります。この結果、当事業の売上高は311億33百万円(前期比0.2%減)、営業利益は8億73百万円(前期比55.8%増)となりました。
[コンシューマーコミュニケーション事業]
製品販売においては大口OEM受注と商品価格の改定に加え、吸収合併した株式会社ミヨシおよびリーベックス株式会社(2024年1月1日付)、リーマン株式会社(2024年3月31日付)とのシナジー効果により堅調に推移しました。
また、証書ファイルについては生産の平準化を目的とした早期受注施策が奏功し、売上・利益共に伸長しました。市販用カレンダーについても導入が進み、今後も受注拡大を図ってまいります。
シュレッダ販売においては、買い替え需要の一巡とペーパーレス化の進行により厳しい状況が続いていますが、こうした環境の中、価格改定および、紙以外を破砕するHDD・SSD向けのメディア破砕機や、プラスチック、衣類等を処理可能な万能破砕機の販売拡大に注力した結果、利益率向上に繋がりました。また、大型シュレッダの保守サービスの拡充等、今後さらなる収益力強化を図ってまいります。
EC関連は、売上・利益共に引き続き伸長しています。オフィス家具分野では、リピート販売施策の効果もあり、引き続き堅調に推移しました。また、ナカバヤシが運営する自社製品およびネット限定品を展開するECも、順調に成長を続けています。
ツーリズム施策のめぐりingビジネスは、インバウンド需要や旅行支援等の効果、さらにコト消費・トキ消費への関心の高まりを背景に旅行者数が増加しております。これに伴い、御朱印帳や御城印帳の売上が引き続き伸長すると共に、テーマパークや土産店向けのぬいぐるみの需要も拡大しました。
また、ぬいぐるみビジネス全体では、大口OEMの受注も拡大しており、今後も海外市場への展開を積極的に推進してまいります。この結果、当事業の売上高は301億55百万円(前期比6.5%増)、営業利益は11億77百万円(前期比389.4%増)となりました。
[エネルギー事業]
木質バイオマス発電は、チップの在庫状況を考慮した出力調整を実施した上で稼働しております。太陽光発電は順調に推移しました。この結果、当事業の売上高は13億76百万円(前期比6.4%減)、営業損失は17百万円(前期営業利益34百万円)となりました。
[その他]
野菜プラント事業及びにんにくファーム事業等であり、売上高は1億2百万円(前期比48.5%増)、営業損失は16百万円(前期営業損失44百万円)となりました。
財政状態の分析は、次のとおりであります。
[資産]
流動資産は、前連結会計年度末に比べて2億83百万円減少し、297億89百万円となりました。これは現金及び預金が5億24百万円増加しましたが、受取手形及び売掛金が7億99百万円減少したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて10億97百万円減少し、267億95百万円となりました。これは機械装置及び運搬具が5億4百万円、建物及び構築物が3億76百万円、土地が2億98百万円それぞれ減少したことなどによります。
この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて13億81百万円減少し、565億84百万円となりました。
[負債]
流動負債は、前連結会計年度末に比べて18億38百万円減少し、158億29百万円となりました。これは短期借入金が9億39百万円、支払手形及び買掛金が3億32百万円、未払金が2億89百万円それぞれ減少したことなどによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて8億1百万円減少し、113億77百万円となりました。これは長期借入金が4億3百万円、繰延税金負債が2億円それぞれ減少したことなどによります。
この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて26億39百万円減少し、272億6百万円となりました。
[純資産]
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて12億58百万円増加し、293億77百万円となりました。これは利益剰余金が13億91百万円増加しましたが、退職給付に係る調整累計額が1億38百万円減少したことなどによります。
この結果、自己資本比率は50.8%となり、前連結会計年度末に比べて3.5ポイント上昇いたしました。
②キャッシュ・フローの状況
(1)キャッシュ・フロー及び流動性の状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、27億91百万円の収入(前期比14億62百万円収入増)となりました。主な内訳として、収入については、税金等調整前当期純利益23億12百万円、減価償却費16億円、支出については、仕入債務の減少額6億90百万円、棚卸資産の増加額4億1百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、3億96百万円の支出(前期比7億32百万円支出減)となりました。主な内訳として、収入については、定期預金の払戻による収入11億61百万円、支出については、定期預金の預入による支出11億90百万円、有形固定資産の取得による支出8億45百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、19億71百万円の支出(前期比5億52百万円支出増)となりました。主な内訳として、収入については、長期借入れによる収入47億円、支出については、長期借入金の返済による支出54億20百万円、短期借入金の純減額6億23百万円であります。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は前連結会計年度末より4億44百万円増加し、71億31百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの配分と資本政策
営業キャッシュ・フローの配分については財務基盤の確立を目指しつつ、企業価値向上に資する投資を積極的に行うとともに、株主還元に配慮した適正配分に努めてまいります。
事業への配分については営業キャッシュ・フローの2/3を成長戦略資金として充当し、紙器包装事業、BPO事業など収益力の高い事業や生命関連産業の分野における社会課題の解決に向けた新規事業、M&Aやアライアンスによる投資を安定的かつ継続的に実施してまいります。
株主還元については安定的な配当の維持並びに経営基盤の強化と今後の事業展開を勘案した上で、この両者をバランスよく回転させることを基本方針としております。連結配当性向は30%~40%を維持してまいります。
(3)資金調達の方針
資金調達については、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の安全性維持を基本方針としており、主として銀行、生保からの短期及び長期借入金により資金調達を行っております。子会社については原則として外部からの資金調達は行わず、グループファイナンスを活用し、資金調達の一元化により資金の効率化及び流動性の確保を図っています。また事業展開に伴う資金需要に対する機動的な対応を図るため十分な現金同等物を保有しております。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比(%) |
|
ビジネスプロセスソリューション事業 |
25,706 |
101.2 |
|
コンシューマーコミュニケーション事業 |
7,064 |
101.2 |
|
エネルギー事業 |
1,376 |
93.6 |
|
その他 |
38 |
58.7 |
|
合計 |
34,186 |
100.8 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、受注生産を行っている事業はビジネスプロセスソリューション事業であり、主なものは図書製本、法人向け手帳、データプリントサービス等であります。一方、コンシューマーコミュニケーション事業、エネルギー事業及びその他は、見込み生産であり、受注生産の割合が僅少である事業、または、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まない事業のため、記載は省略しております。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高(百万円) |
前期比(%) |
|
ビジネスプロセスソリューション事業 |
29,664 |
99.9 |
2,665 |
100.1 |
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
|
ビジネスプロセスソリューション事業 |
31,133 |
99.8 |
|
コンシューマーコミュニケーション事業 |
30,155 |
106.5 |
|
エネルギー事業 |
1,376 |
93.6 |
|
その他 |
102 |
148.5 |
|
合計 |
62,767 |
102.8 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度における相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10未満の相手先のみであるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
中国経済の先行き懸念、米国の政策動向による影響、中東地域をめぐる地政学的リスクの高まり、原材料・エネルギー価格の変動、金融資本市場の不安定な動きなど、外部環境には依然として不透明感が残る状況が続いております。当社グループを取り巻く状況は、ライフスタイルや企業活動が大きく変化したことに対応する必要があり、当社グループのパーパス「It’s for SMILE 」の理念に基づき、人生100年時代に相応しい価値ある商品とサービスの創出で企業価値向上に努めております。一方、雇用や所得環境の改善、インバウンド需要の拡大などを背景に、社会経済活動の正常化が進み、緩やかな回復基調で推移しております。
なお、連結財務諸表作成時点において入手可能な情報に基づいた最善の見積りを行っているものの、為替変動は不確定要素が多く、今後の経済環境への影響が大きく変化した場合には、最善の見積りを行った結果として見積もられた金額と事後的な結果との間に乖離が生じる可能性があります。
連結財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。
・固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変化が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
・繰延税金資産
繰延税金資産は入手可能な証拠に基づいて将来の回収可能性を十分に検討し回収可能な額を計上しております。繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上いたします。同様に計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後回収できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。
・退職給付費用
確定給付費用および確定給付制度債務は、割引率、退職率および死亡率など年金数理計算上の基礎率に基づき見積もっております。数理計算上の基礎率や計算方法は適切であると考えておりますが、基礎率の変動が確定給付費用および確定給付制度債務に重要な影響を及ぼします。
なお、当社および一部の連結子会社の割引率は高格付けの社債の利回りに基づき決定しております。
・関係会社株式
市場価格のない関係会社株式について、関係会社の財政状態の悪化により、実質価額が著しく低下したときは、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合を除いて、評価損を認識しております。
② 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
19ページ 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]
(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況をご参照ください。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
21ページ 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]
(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況をご参照ください。
④ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況
当社グループは2025年3月期から2027年3月期までの中期経営計画「Go on 5ing」に基づき「収益力の強化」「成長力の推進」「株主価値の向上」を基本方針として、次の『5 go on!』を目標として掲げ、その達成に向けた諸施策を実施してまいりました。
その達成状況については次のとおりです。
(1)基本方針の達成状況
〇「収益力の強化」
経営戦略を従来の売上重視から利益重視に転換し、その一環として採算性の低い案件の選別や価格改定を行いました。併せて、封入・封緘事業や優待品受付・発送サービスなどにおいてはシステム開発の内製化を推進しております。これにより、業務全体を一貫して把握・設計することが可能となり、顧客ニーズに即した包括的な提案が行える体制を構築いたしました。その結果、効率性の向上と総合的な利益確保につながっております。
グループ再編やシナジー創出については、前年当社に吸収合併をおこなった㈱ミヨシ、リーベックス㈱およびリーマン㈱のシナジー効果が現れております。
〇「成長力の推進」
成長投資に対する資金戦略としては、営業キャッシュ・フローの2/3を充当する方針を定め、資本効率と財務健全性の両立を図りつつ、将来の投資機会への備えを進めております。また、成長領域への展開やシナジー創出を目的としたM&Aについても、継続的な検討と候補の選定を行っておりますが、具体的な成果には至っておりません。
一方、新規事業の創出および研究開発体制の強化に関しては、情報漏洩対策やリサイクル前処理といった新たな社会ニーズに対応する「万能破砕機」の研究開発を推進しており、紙媒体に限らず、IT機器・磁気媒体・被服など多様な製品に対する物理破壊を可能とする装置として、将来的な売上貢献が期待される分野となっております。併せて、紙製手帳のノウハウを活かしたデジタル手帳(WEB/アプリ)やフォトブックアプリの開発も進めており、DXを活用した既存事業の高度化と新たな価値の創造に努めております。これらの取組みは、研究開発部門を製造部門に統合し、開発・製造・販売の一体運営体制を構築したことにより、製品化までの効率性や市場適応力の向上にもつながっております。
さらに、海外販売の強化に向けては、文具に加えてぬいぐるみなど感性価値の高い商品群の投入を視野に入れた準備を進めております。ぬいぐるみビジネスについては、現在も海外で継続的に展開しており、一定の売上を確保しております。今後は、とりわけ成長余地の大きい中国マーケットの深耕に加え、欧州市場への展開も強化していく予定です。現時点ではグローバル展開の成果は限定的ではあるものの、感性価値を活かした商品によるブランド認知の向上と、中長期的な成長機会の創出に向けた布石を着実に打っております。
当社グループは、こうした各種施策を有機的に連携させながら、収益基盤の拡充と成長ポートフォリオの多様化を進め、将来の企業価値向上を図ってまいります。
〇「株主価値の向上」
財務基盤の強化、機動的な資本政策の一環として、関係会社の統廃合を進めてきました。2025年1月に㈱ビックスリーを当社に統合いたしました。また採算性・効率性を考慮した固定資産の見直しの観点から、2024年11月に愛西配送センター北棟を売却しました。社会情勢の変化に対応し、より効率的な営業販売体制づくりのため、2025年3月には日本通信紙㈱の名古屋支店および四国営業所を閉鎖し、業務を他の拠点に統合しております。
●2027年3月期PBR1倍に向けた施策の実行
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2025年3月期 |
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PBR |
0.49倍 |
●配当性向30%~40%の堅持
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2025年3月期 |
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配当性向 |
30.3% |
(2)事業戦略の進捗状況
〇中期経営計画の3つの基本方針達成のために
DXの推進、消費潮流の変化を捉えた製品サービスの創出、経営資源の最適配分に取り組むことで計画の達成を目指しております。特にDX推進においては、各セグメントの既存事業にデジタルを融合させることで新たな受注につなげるなど、具体的なシナジー効果が現れ始めています。
①売上 660 億 営業利益 33 億(営業利益率 5%)に go on! (単位:百万円・%)
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2025年3月期 |
2026年3月期 |
2027年3月期 |
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(計画) |
(実績) |
(計画) |
(計画) |
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売上高 |
61,500 |
62,767 |
63,500 |
66,000 |
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営業利益率 |
3.0 |
2.8 |
4.0 |
5.0 |
②社会課題の解決へ go on!
●健康医療・環境・生活福祉・農業・文化の5つの分野の社会課題を解決することが、生命関連産業のリーディングカンパニーへの道標になると考え取り組みを強化します。
③DX推進に go on!
●労働集約型ビジネスの深化とバックオフィス業務のDX推進を積極的に遂行し、収益力の強化と成長力の推進を図ります。
④サーキュラーエコノミーへ go on!
●当社は今までも、紙を中心としたリサイクルビジネスの推進と木質バイオマス発電や太陽光発電の再生可能エネルギー事業で環境配慮型社会の実現を目指して参りました。資源の効率的かつ循環的なアプローチで付加価値を高め、新事業への進出で雇用の創出までを含むサーキュラーエコノミーの概念に基づき、循環型経済の実現に向けた取り組みを実践します。
⑤add+Venture70 で新たな挑戦に go on!
●第3次中期経営計画「add+Venture70」の中期基本方針「Main add+venture」で掲げた“企業価値を高める 70 の新しいこと”の目標達成に向けた取り組みの継続と事業化を推し進め、新たに 50 億円の売上を目指します。
該当事項はありません。
当社グループは、独創的な製品の開発、生産技術の開発を主として積極的な活動を行っております。当連結会計年度における研究開発費は
ビジネスプロセスソリューション事業においては、証書自動両面爪入れ機を開発いたしました。
このビジネスプロセスソリューション事業に係る当連結会計年度の研究開発費は
コンシューマーコミュニケーション事業においては、御朱印帳仕上げ3号機を開発いたしました。また、情報漏洩対策やリサイクル前処理といった新たな社会ニーズに対応する「万能破砕機」の研究開発を推進しております。
このコンシューマーコミュニケーション事業に係る当連結会計年度の研究開発費は