(1)業績
当連結会計年度における世界経済は、中国における経済成長の減速傾向はありますものの、米国の堅調な個人消費などもあり、緩やかな回復が見られました。
わが国経済においては、海外の政治情勢や盛り上がりにかける国内個人消費などの不安定要因はありましたが、円安基調や世界経済の回復を背景に、自動車など輸出企業を中心に緩やかな回復基調が続きました。
当社グループの関連市場であるエレクトロニクス業界につきましては、秋口以降の円安基調などを背景に、電子化の進展による搭載部品の増加が進む車載市場および省エネ・高付加価値品への買い替えが拡大する白物家電などが引き続き堅調に推移しました。
このような状況の中、当社グループの当連結会計年度の売上高は、前期に子会社化したパルプ製造会社Albay Agro-Industrial Development Corporation(以下、ALD社)を連結したこともあり、15,089百万円(前連結会計年度比3,472百万円、29.9%増)の実績となりました。
利益面につきましては、売上高の増加にともない稼働率が向上したことで原価率が低減したため、営業利益は505百万円(前連結会計年度比408百万円、422.0%増)、為替差損142百万円を計上したため、経常利益は344百万円(前連結会計年度比214百万円、165.4%増)となりました。一方、ALD社に係るのれんの減損損失および台風被害により発生した損失を特別損失として651百万円計上したため、親会社株主に帰属する当期純損失につきましては454百万円(前連結会計年度は55百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
当連結会計年度の品目別の状況につきましては、次のとおりであります。
[品目別の状況]
・コンデンサ用セパレータ
コンデンサ用セパレータにつきましては、車載用およびスマートフォン関連機器などの低圧品向け、ならびに、汎用インバータおよびエアコン用インバータなどの白物家電用の中高圧品向けが好調に推移しました結果、当連結会計年度の売上高は、10,611百万円(前連結会計年度比1,047百万円、11.0%増)の実績となりました。
・電池用セパレータ
電気二重層キャパシタ向けは、中国の環境配慮型バス向けの受注が中国政府の補助金縮小の影響を受け、また、リチウムイオン電池向けは、省エネ型車両や定置用蓄電池システム用に使用される大型リチウムイオン電池用が低調に推移しました結果、当連結会計年度の売上高は1,762百万円(前連結会計年度比290百万円、14.2%減)の実績となりました。
・パルプ
日本および欧州の取引先への拡販活動に努めました結果、当連結会計年度の売上高は2,715百万円の実績となりました。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度は、減価償却実施、有形固定資産の取得、短期借入金の純減、長期借入れの実施および約定返済等をおこなった結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,889百万円(前連結会計年度末比217百万円、13.0%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純損失306百万円、減価償却費1,572百万円、のれん償却額532百万円、売上債権の増加額893百万円等により、営業活動の結果得られた資金は2,127百万円(前連結会計年比392百万円、22.6%の収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出742百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出99百万円等により、投資活動の結果使用した資金は838百万円(前連結会計年度比1,708百万円、67.1%の支出減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
短期借入金の純減450百万円、長期借入れ2,000百万円の実施および約定返済2,379百万円等により、財務活動の結果使用した資金は1,023百万円(前連結会計年度は690百万円の収入)となりました。
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
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セパレータ事業(千円) |
15,001,364 |
+30.2 |
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合計(千円) |
15,001,364 |
+30.2 |
(注)1.金額は、販売価格により表示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注状況
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
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セパレータ事業 |
15,485,845 |
+33.3 |
1,035,718 |
+61.9 |
|
合計 |
15,485,845 |
+33.3 |
1,035,718 |
+61.9 |
(注)1.金額は、販売価格により表示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
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セパレータ事業(千円) |
15,089,990 |
+29.9 |
|
合計(千円) |
15,089,990 |
+29.9 |
(注)1.主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する当該販売実績の割合は、次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
||
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金額(千円) |
総販売実績に対する割合(%) |
金額(千円) |
総販売実績に対する割合(%) |
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王子エフテックス㈱ |
7,116,210 |
61.3 |
7,930,801 |
52.6 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、エレクトロニクス産業に不可欠な部材であるコンデンサ用セパレータ・電池用セパレータを供給することにより顧客満足度を高め、エレクトロニクス産業の発展に寄与し、世界に役立つ仕事をしている集団であることを企業理念として高品質な製品をもとに事業活動を展開しております。この企業理念のもと、当社社員一人一人が能力向上と自己革新に取り組みながら多様化・複雑化するニーズに応え、お客様との強固な信頼関係を構築することでさらなる企業価値の向上を図ってまいります。
また、「安全と健康はすべてに優先する」という基本方針のもと、安全・健康管理体制の確立と従業員に対する安全衛生教育の徹底をはかり、無事故・無災害の職場を実現させるための取り組みに加え、「人と環境に優しい企業活動」をおこなうためにISO14001に準拠した環境マネジメントシステムを全社的に運用する取り組みを通じて、お客様、株主、従業員、地域社会など様々なステークホルダーから信頼される企業づくりを進めてまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、株主利益重視の観点から、資本効率を高めるために、収益性の向上を目標として事業を推進しており、安定的に自己資本当期純利益率(ROE)8%以上を目標としております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略および会社の対処すべき課題
当社グループは、全事業内容について選択と集中を基本に重点課題を明確にし、経営資源の有効な投入および活用をより一層進めてまいります。
当社グループのセパレータ事業は、エレクトロニクス業界の動向に大きく影響を受ける業態であります。短期的には市場変動に大きく左右されますが、中長期的には自動ブレーキシステムなどADAS(先進運転支援システム)による自動車の電装化やエアコンのインバータ化などの省エネニーズの拡大が期待されており、これらの市場は高品質・高信頼性製品を供給できる当社の強みを発揮できる成長市場と確信しております。当社の独自技術にもとづく電気二重層キャパシタおよびリチウムイオン電池用セパレータなど新製品開発のスピードアップに加えて、当社の強みである現場力のさらなる向上を目指し、効率的な生産とコスト削減に引き続き取り組んでまいります。
また、次世代を担う新規事業の創出への取り組みとして、燃料電池用およびその他の用途に向け「無機/有機ナノハイブリッド膜」の研究開発をおこなっております。
パルプの製造・販売をおこなうALD社につきましては、当社との製造に関する技術交流等による現場力の向上および拡販のための営業活動を通じて、世界中のお客様に高品質なパルプ製品を安定的に供給するとともに、収益性の改善に努めてまいります。
海外子会社を含む当社グループ全体のガバナンス体制の強化および企業倫理の徹底、BCPの観点での安定供給体制の整備、地球環境の保全や地域社会への貢献活動等、持続可能な企業に向けて取り組むとともに社会的責任を果たしてまいります。
(4) 株式会社の支配に関する基本方針について
株式会社の支配に関する基本方針については、重要な事項と認識しており、継続的に検討しておりますが、
現時点では具体的な方針および買収防衛策等は導入しておりません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)特定事業への依存について
当社グループ主要製品のアルミ電解コンデンサ用セパレータの売上が売上高全体に占める割合は、当連結会計年度は62.1%で、前連結会計年度は74.0%であります。当社グループはアルミ電解コンデンサ用セパレータについて高い市場シェアを有していることから、世界の需要動向が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2)設備投資による業績への影響について
当社グループは、セパレータの製造販売を主事業としておりますが、その製造工程ならびに製造技術の面から製造設備(抄紙設備)の新設・増設には多額の設備投資を必要とする業態であり、損益面では多額の設備投資を実施した直後の年度においては、売上高に対する減価償却費の比率が比較的高くなる傾向があります。
なお、当社グループは、セパレータについて高い市場シェアを有していることから、ユーザーへの安定供給体制を確保していくため、需要予測にもとづく生産能力増強のため製造設備増設を今後とも実施していく可能性があり、減価償却費負担および借入金増加による支払利息の増加等により、過去に一時的に業績に影響を与えたことがあり、今後も一時的に業績に影響を与える可能性があります。
(3)大規模地震発生による影響について
当社グループは、大規模地震発生によるリスクを軽減するため生産拠点を分散するなどの対策を実施しておりますが、大規模地震が発生した場合には、従業員の安全の確保や原材料の確保、生産の継続等に支障をきたし、当社グループの業績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
当社は、供給責任を継続して果たすための対策として、さまざまな活動をおこなっており、全社組織である「BCP構築会議」の運営を通じて、BCP基本理念である「従業員の安全確保」および「お客様への供給責任を果たし、信用・信頼を維持すること」のより全社的な推進・浸透をはかるため、南海トラフ地震の被害想定を前提に、米子工場での生産体制等も含め、ハード面の整備にとどまらず、計画の実効性・実用性について評価・改善に取り組んでおります。
(4)為替レートの変動による影響について
当社グループの連結売上高に占める海外売上高の割合は、当連結会計年度は58.2%、前連結会計年度は50.7%となっておりますが、一部は円建て取引に移行しており、残る外貨建て取引分にかかる為替リスクについても、主要事業であるセパレータの主要原材料の大部分を外貨建て輸入取引とすることなどにより概ね軽減できるよう取り組んでおります。しかし完全に排除できるわけではなく、為替変動リスクが当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5)原材料調達リスクについて
当社グループは、製品の主要原材料であるパルプの多くを海外から輸入しております。天候不安や政情不安による供給不足が発生した場合に備えて原則2社購買を実施するなど安定調達に努めておりますが、品質、供給能力の問題から調達が困難となり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(6)海外展開におけるリスクについて
当社は、海外に子会社を保有しています。子会社進出国において、法規制の改正や変更、政治情勢および経済状況の変化、戦争やテロによる社会的混乱、労働争議等が発生した場合は、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
アルミ電解コンデンサ用セパレータの継続的売買に関する契約
当社は昭和47年8月、本州製紙㈱との間で、アルミ電解コンデンサ用セパレータの生産・販売に関する業務ならびに資本提携について「業務提携に関する基本契約」ならびに取引細目についての覚書を締結し、これに基づき、両社が契約するアルミ電解コンデンサ用セパレータは当社が生産し、同社を通じて全量当社商標で販売してまいりました。
この契約のうち、生産・販売の相互の業務分担を定めた条項、および同社の資本出資比率等を定めている資本提携に関する条項の削除を両社合意し、改めて「生産および販売に関する基本契約」として、平成7年8月18日、契約更改し締結いたしました。
平成8年10月1日、本州製紙㈱と新王子製紙㈱との合併により、本契約は合併新会社である王子製紙㈱に継承されており、さらに平成16年10月1日付で、王子製紙㈱特殊紙部門と富士製紙㈱との統合により設立された王子特殊紙㈱(平成24年10月1日をもって王子エフテックス㈱に社名変更)に継承されております。
契約の内容は、次のとおりであります。
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「生産および販売に関する基本契約」 |
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契約期間 |
5年間、以後3年間単位で異議申し立てのない限り自動延長 |
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契約内容 |
① 当社は、同社に対してアルミ電解コンデンサ用セパレータを継続的に売渡し、同社はこれを買受ける。 |
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② 同社が販売を望む当社のアルミ電解コンデンサ用セパレータは、全量同社が販売するものとし、当社は同社が必要とする全量を同社に供給する。 |
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③ 当社のアルミ電解コンデンサ用セパレータは、全て当社の商標で販売するものとする。 |
当社グループは、ユーザー・メーカーの技術動向に対応し、各ユーザーとの情報交換・技術交流を密接におこなっており、ニーズに適合した製品の改良・新製品の開発に取り組み、さらに今後の技術発展動向とニーズを先取りしていく技術開発を重視し、研究開発活動をすすめております。
当社グループの研究開発活動は、当社のセパレータ事業および全社でおこなっており、当連結会計年度の研究開発費は468,184千円であります。
当連結会計年度における主な研究開発分野および成果は次のとおりであります。
セパレータ事業
(コンデンサ用セパレータ)
アルミ電解コンデンサの小型大容量化・高温長寿命化・高周波低インピーダンス化・耐リップル性を改善するセパレータの開発をおこなっております。
また、当社製品の品質に適合した原料パルプおよび新素材の試験研究に継続的に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、省エネ家電や太陽光発電・風力発電等のインバータ用途等に向け、高耐圧で電気特性に優れた中高圧用コンデンサ用セパレータの開発を進めました。また、自動車のエレクトロニクス化の進展に応えるため、耐ショート性能に優れた信頼性の高い低圧用コンデンサ用セパレータの改良を進めるとともに、環境に配慮した高性能の導電性高分子固体コンデンサ用セパレータの改良をおこないました。
(電池用セパレータ)
自動車の減速エネルギー回生システムなどのエコカー用途や太陽光発電・風力発電等の環境・エネルギー分野の拡大に対応するため、より高性能・高品質の電池用セパレータの開発をおこなっております。
当連結会計年度においては、電気二重層キャパシタ用セパレータのラインナップ拡充やリチウムイオン電池用セパレータの更なる薄型化をはかるなどユーザーニーズへの細やかな対応を進めました。
当連結会計年度のセパレータ事業の研究開発費は334,898千円であります。
全社
当社が開発しました「無機/有機ナノハイブリッド膜」の用途開発等をおこなっております。
当連結会計年度においては、燃料電池用電解質膜および触媒膜の実用化に向けた開発および改良を進めました。
当連結会計年度の全社の研究開発費は133,285千円であります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態の分析
① 財政状態に関する分析
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,232百万円減少し、23,190百万円となりました。
流動資産は、受取手形及び売掛金の増加等により、前連結会計年度末に比べ599百万円増加し、10,236百万円となりました。固定資産は有形固定資産の取得等がありましたが、有形固定資産の減価償却実施、のれんの償却実施等により、前連結会計年度末に比べ1,831百万円減少し、12,953百万円となりました。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ545百万円減少し、10,717百万円となりました。流動負債は、短期借入金の純減、1年内返済予定長期借入金の約定返済等により、前連結会計年度末に比べ1,137百万円減少し、6,029百万円となりました。固定負債は、長期借入金の約定返済等がありましたが、長期借入れの実施等により、前連結会計年度末に比べ592百万円増加し、4,687百万円となりました。
また、純資産は、剰余金の配当の実施、親会社株主に帰属する当期純損失454百万円等を計上したことによる利益剰余金の減少等により、前連結会計年度末に比べ686百万円減少し、12,473百万円となりました。
② キャッシュ・フローに関する分析
当社グループの「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、期中における営業活動の成果である税金等調整前当期純損益および減価償却費のほか、売上債権、たな卸資産、仕入債務の増減および法人税等の支払に大きく影響を受けております。
当連結会計年度の状況は、「第2 事業の状況、1 業績等の概要、(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
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区分 |
第85期 平成27年3月 |
第86期 平成28年3月 |
第87期 平成29年3月 |
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税金等調整前当期純利益又は税金等調整前当期純損失(△)(百万円) |
632 |
186 |
△306 |
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減価償却費(百万円) |
1,871 |
1,671 |
1,572 |
|
売上債権の増減額(百万円) |
1,073 |
140 |
△893 |
|
たな卸資産の増減額(百万円) |
△510 |
△75 |
40 |
|
仕入債務の増減額(百万円) |
△6 |
140 |
173 |
|
法人税等の支払額(百万円) |
△162 |
△269 |
△28 |
|
その他(百万円) |
37 |
△58 |
1,570 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー (百万円) |
2,936 |
1,734 |
2,127 |
(2)経営成績の分析
「第2 事業の状況、1 業績等の概要、(1)業績」をご参照ください。