第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、以下の「企業理念」および「長期目標」に則し、エレクトロニクス産業に不可欠な部材であるアルミ電解コンデンサ用セパレータおよび機能材を安定供給することにより顧客満足度を高め、エレクトロニクス産業の発展に寄与し、世界に役立つ仕事をしている集団であることを目指して事業活動を展開しております。

 今後も、当社グループ社員一人一人が能力向上と自己革新に取り組みながら多様化・複雑化するニーズに応え、お客様との強固な信頼関係を構築することでさらなる企業価値の向上をはかってまいります。

 

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(2)目標とする経営指標

 当社グループは、第100期(2030年3月期)に向けた長期目標の達成に向け、3ヵ年中期事業計画(2025年3月期~2027年3月期)において、次の経営数値目標を設定しております。

経営指標

2027年3月期 目標

連結売上高

(うち機能材売上高)

200億円

(50億円)

連結営業利益

36億円

自己資本利益率(ROE)

10%以上

 

 

(3)中長期的な経営戦略

当社グループは、事業内容について選択と集中を基本に重点課題を明確にし、経営資源の有効な投入および活用を進めることで、企業価値向上をはかっております。

3ヵ年中期事業計画(2025年3月期~2027年3月期)では次の5つの基本戦略をもとに、中期事業計画の目標達成に向け各取り組みを進めております。

基本戦略

主な取り組み内容

①新規事業創出による事業ポートフォリオの転換

セパレータ製造で培ったコア技術を基に、電子材料、プラスチック代替材料としての活用など、用途展開の可能性を追求し、市場への普及を目指します。

②成長分野における重点的取り組みと新製品開発の強化

米子工場における建屋と抄紙ラインの増設、裁断加工ラインの新設などにより、生産能力増強と安定供給体制確立を進めています。

また、顧客の注力する成長市場(車載、通信、環境)において、競争力強化に向けた取り組みを推進します。

③ESG経営基盤の強化

当社にとっての重要性と、ステークホルダーにとっての重要性を勘案し、マテリアリティを特定しました。

それぞれの取り組み、KGI、KPIを設定し、進捗を管理することで、長期ビジョンの実現を目指します。

④DXの推進

属人化したプロセスの改善や、従業員の働きやすさの追求のため、製造工程、サプライチェーンの自動化・省人化を推進します。

本中期事業計画期間においては、自動倉庫の拡充、原巻輸送の自動化実現に向けた取り組みなどを予定しています。

⑤人的資本への投資

当社の最大の資本は人財であり、安全衛生の確保、健康の維持増進、働きがいの向上に係る取り組みの効果を定量化することで、「2030年のあるべき姿を目指し従業員の幸せを追求」の実現を促進します。

2025年3月期よりプレゼンティーズム・エンゲージメントサーベイを導入し、取り組みの推進・改善を行います。

 

(4)経営環境

わが国経済は、インバウンド需要の増加や、堅調な企業業績を背景に雇用・所得環境の改善がみられ、設備投資も増加傾向になる等、景気は緩やかな回復傾向が続きました。

一方、ウクライナおよび中東情勢などの地政学リスクの長期化、各地での自然災害の発生、資源価格の高騰による物価上昇に加え、米国の関税政策をめぐる各国の政策動向による影響など、先行きはさらに不透明な状態となっております。

当社グループの関連市場であるエレクトロニクス業界におきましては、デジタル技術の高度化に伴うAI関連の需要の増加、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを目的とした設備投資等により、半導体・電子部品市場の需要の更なる高まりが見込まれております。当社グループの売上高に占める米国向けの販売割合が低いこと等から米国の関税政策が当社グループの直接的な取引に与える影響は軽微であると判断しておりますが、各国の通商政策の動向等により世界経済の先行きや関連市場における影響については不透明な状況であります。今後の世界経済や関連市場の動向を注視しつつ、当社グループの強みである高品質、高信頼性の製品の拡販に努めてまいります。

主力のアルミ電解コンデンサ用セパレータは、市況の回復は緩やかではあるものの、引き続き生成AI関連投資等による通信設備関連分野や車載分野での堅調な推移を見込んでおります。

機能材につきましても、自然エネルギーの活用等により拡大する環境関連市場や自動車電装化の伸展にともなう堅調な推移を見込んでおります。

当社グループは、2024年11月から稼働を開始した米子工場の生産設備増設により、更なる高付加価値セパレータの量産体制が整いました。大型設備投資にともなう減価償却費の増加はありますが、製造工程、サプライチェーンの自動化・省人化の推進等による生産効率向上とコスト低減に継続して取り組んでまいります。

また、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、「環境と健康に挑戦 2030」というスローガンのもと「高機能セパレータ、高機能素材の安定供給を通じて、持続可能な社会の実現に貢献する」という長期ビジョンを策定しております。特定したESGマテリアリティにおける戦略と取り組みを検討・決定した上で策定した指標および目標を中期事業計画に反映し、目標達成に向けて取り組んでおります。長期ビジョンの実現に向けて高品質、高信頼性の製品の安定供給に努めるとともに、顧客・市場ニーズに応えるための要求特性実現や新事業の創出に向けた研究開発を推進してまいります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上の課題

当社グループは、優先的に対処すべき事業上の課題について次の取り組みをおこなってまいります。

 

(原材料・エネルギー価格上昇への対応)

アルミ電解コンデンサ用セパレータおよび機能材ともに、原材料・エネルギー価格上昇による負担増を軽減するために製品の値上げを実施しており、生産効率向上によるコスト低減にも継続して取り組んでまいります。

 

(安定供給体制の強化)

当社グループは、南海トラフ地震等の地震、台風や大雨等の風水害による自然災害および火災発生によるリスクを軽減するため、同時被災防止の観点で、高知県内の3工場に加え、米子工場、マレーシアに生産拠点を分散するとともに、原材料および製品在庫を確保し、安定供給体制の構築をはかっております。

安定供給体制のさらなる強化のため、2022年から建設を進めてきました米子工場の生産設備増設工事については、2024年11月から稼働を開始し、更なる高付加価値セパレータの量産体制を整えました。なお、本設備投資については、経済産業省の「蓄電池の国内生産基盤確保のための先端生産技術導入・開発促進事業」等により補助金を受給いたしました。当社グループは今後もより付加価値の高いセパレータの研究開発、拡販を進めてまいります。

 

(健康経営の推進)

当社グループは、「安全・健康はすべてに優先する」の基本方針のもと、健康経営を推進しております。2025年3月に4度目となる「健康経営銘柄2025」に選定され、「健康経営優良法人2025(大規模法人部門ホワイト500)」に2019年より7年連続で選定されました。これは、従業員の「こころと身体の健康の保持増進」、「安心して働ける職場環境づくり」等の当社の取り組みが評価されたものと認識しております。

引き続き、安全・健康管理体制の確立と従業員に対する安全衛生教育の徹底をはかり、無事故・無災害の職場を実現するための取り組みにより、安全で健康な職場づくりを進めてまいります。

 

(資本効率の向上と株価を意識した経営の強化)

 株主利益重視の観点から、資本効率を高めるために、収益性の向上を目標として事業を推進しており、自己資本利益率(ROE)10%以上を達成することを目標としております。付加価値の高い製品の拡販を進めるとともに、設備投資、研究開発投資、人材投資等を効果的におこなうことで資本効率を向上させてまいります。

 また、株価を意識した経営を強化するために、当社の強みおよび事業の成長性を投資家にIR活動を通して訴求するとともに、資本効率を向上させることで株価純資産倍率(PBR)1.0倍以上を継続的に維持できるように努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに対する想い

当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、「環境と健康に挑戦 2030」というスローガンのもと「高機能セパレータ、高機能素材の安定供給を通じて、持続可能な社会の実現に貢献する」という長期ビジョンを策定しております。

その背景には「私たちは、地球上のあらゆる資源を使わせてもらいながら生産活動ができる恩恵を受けているため、生産活動で使った“もの”は元のかたちにして自然界に戻し、自然の浄化能力以上に自然環境へ負荷をかける企業であってはならない」との想いがあります。

 

(2)存在意義

当社グループは、技術開発型企業として高品質・高機能なセパレータを世界中のお客さまに供給し、当社グループのセパレータが採用されたあらゆる電子機器類の機能向上により人々の生活を快適にするとともに、森林保全や水源保全、生物多様性保全といった活動を通じて環境に配慮した持続可能な社会の発展を目指し、脱炭素社会の実現に貢献することに存在意義を見出しております。

 

(3)サステナビリティ全般に関するガバナンスおよびリスク管理

当社グループは、グループ全体でのサステナビリティにかかる方針の決定・推進のために「サステナビリティ委員会」を設置しております。同委員会は、代表取締役社長を委員長として2カ月に1度開催し、「各ステークホルダーにとっての重要性」と「当社グループにとっての重要性」の2つの観点から、社会課題の重要度を分析・審議します。その具体的なプロセスは、まず、想定されるリスクおよび機会も踏まえて優先度の高いものを「ESGマテリアリティ」として特定します。次に、戦略と取り組みを検討・決定した上で、指標および目標を決定し、中期事業計画へ反映する仕組みとしております。

また、同委員会は、定期の全社会議において、戦略と取り組みの進捗管理をおこない、方針等を再検討したうえで、その結果を適宜取締役会へ報告しております。

なお、ガバナンス体制の詳細につきましては「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。

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(4)戦略ならびに指標および目標

 当社グループにとって優先度の高い項目(ESGマテリアリティ)とそれらにかかる戦略と主な取り組みについては以下のとおりであります。

 

≪ESGマテリアリティマップ≫

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(マテリアリティ特定プロセス)

Step1:GRI、SASB、SDGs等を参照し、企業理念との整合性を考慮して網羅的に社会課題を抽出

Step2:Step1で抽出した社会課題について、自社における重要性(事業インパクト)とステークホルダーにとっての重要性を勘案して、当社グループにおいて事業を通じて解決すべき重要な社会課題(マテリアリティ)候補を選定

Step3:サステナビリティ委員会での議論・決定を経て取締役会に報告し、マテリアリティを特定

 

≪ESGマテリアリティ≫

(環境(E))

 

マテリアリティ

目標

(2029年度)

指標

(2026年度)

2024年度

大分類

中分類

実績・進捗率

取り組み状況

省エネ、創エネ、蓄エネに貢献する製品の供給

安定供給体制の確立

米子工場における、新抄紙機稼働および裁断工程の体制確立

・高付加価値セパレータの生産能力倍増

・製品出荷までの各工程(抄紙~裁断~出荷)の完結

米子工場の新抄紙機は2024年10月に竣工し、安定生産に向けた取組みを実施しています。裁断工程は2025年1月から出荷を開始しました。

高付加価値セパレータの生産能力倍増、製品出荷までの各工程(抄紙~裁断~出荷)に向けて計画どおり進捗しています。

事業所・拠点別在庫の最適化

在庫拠点の分散化

物流等BCMを含めた安定供給を見据えて、本州在庫の確保などの在庫拠点の分散化を計画的に行っています

 

 

マテリアリティ

目標

(2029年度)

指標

(2026年度)

2024年度

大分類

中分類

実績・進捗率

取り組み状況

省エネ、創エネ、蓄エネに貢献する製品の供給

安定供給体制の確立

安定、継続的な原材料の確保

安定的な原料調達の実現

事業の継続に不可欠となる原料の適正数量を確保するとともに、安定調達を実現するために、原料購入先の複線化や供給契約の締結などの施策に取り組み、計画どおり進捗しています。

最終商品の付加価値を高めるセパレータの開発・供給

最終商品の付加価値を高めるセパレータの積極的な開発・提案

高機能セパレータの新規提案数

省エネ、創エネ、蓄エネへ貢献する製品を供給するために、自動車やAIサーバー、各種蓄電デバイスなどの成長分野における4つの重点製品(リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ、導電性高分子固体コンデンサ、ハイブリッドコンデンサ用の各セパレータ)について、積極的な新製品の開発と顧客への新規提案に取り組んでいます。

気候変動への対応

CO2排出量の削減

カーボン・オフセットを含めたCO2排出量の削減

 

(Scope1+2)

2013年度比CO2排出量46%削減

・エネルギー原単位削減率 2020年度比10%削減

・環境にやさしい設備等の導入の進捗率

 

・Scope1+2

2013年度比

32.8%削減
・エネルギー原単位削減率

2020年度比1.4%増加

Scope1+2では、太陽光発電の導入拡大や省エネルギーを目的とした設備の改善などを実施しています。
エネルギー原単位は、米子工場への新マシン設立などの取り組みのため、一時的に増加していますが、今後も目標を変更することなく取り組んでいきます。

社有林の間伐計画進捗率 100%

社有林の間伐計画進捗率 47%

社有林の間伐を行うことでCO₂吸収量(J‐クレジット)を創出し、カーボン・オフセットをおこなう計画です。
間伐は計画どおり進捗しています。

生物多様性への配慮

持続可能な森林経営

水源かん養機能の拡大、維持・改善

水源かん養を行う森林面積の拡大

水源かん養を行う森林面積の拡大を指標に追加設定し、活動を開始しました。

ほ乳類および鳥類の種数、希少種数の把握

2024年度は、希少種が19種(ほ乳類3種、鳥類15種、植物1種)確認されました。

鳥類では県指定天然記念物である「ヤイロチョウ」、植物では絶滅危惧II類の「アズキナシ」が新たに確認されました。

各事業所水源域における森林保全および地域との交流促進

各自治体との協定の維持継続

鳥取県および伯耆町との「森林保全・管理協定」は3年目になりました。定期的に森林保全活動を行なっています。

 

 

マテリアリティ

目標

(2029年度)

指標

(2026年度)

2024年度

大分類

中分類

実績・進捗率

取り組み状況

環境負荷の低減

・排水、排気中の環境負荷物質の極少化

・水資源の効率的な利用、使用量の削減

環境規制値を上回る環境負荷物質の不排出

排出量基準超過件数ゼロ件

排出量基準超過件数ゼロ件
 
 

 

排水、排気については、法令を上回る自主基準・管理基準値を設定し、維持管理しています。

工程改善による水利用量2022年度比10%削減

取水原単位の削減率 2022年度比10%削減

取水原単位の削減率 2022年度比0.2%増加

取水原単位は、米子工場への新マシン設立などの取り組みのため、一時的に増加していますが、今後も目標を変更することなく取り組んでいきます。

水のリサイクル率は、取り組みの結果、順調に推移しています。

水のリサイクル率 2020年度比5%向上

水のリサイクル率 2020年度比1.2%向上

廃棄物の削減

廃棄物排出量2022年度比10%削減

製紙スラッジ原単位削減率2022年度比10%削減

製紙スラッジ原単位削減率 2022年度比2.8%削減

製紙工程で排出されるスラッジの削減を目指して、原料回収率の向上などの施策を実行しています。
目標に向けて順調に推移しています。

 

 

 

(社会(S))

マテリアリティ

目標

(2029年度)

指標

(2026年度)

2024年度

大分類

中分類

実績・進捗率

取り組み状況

人的資本の強化

労働安全・衛生の確保

労働災害の撲滅

 

重大労働災害発生件数 ゼロ件
 

重大労働災害発生件数 ゼロ件
 

各職場のパトロールやリスクアセスメント実施などによる危険箇所への安全対策の結果、2024年度は労働災害発生ゼロ件を達成しました。

 

労働災害度数率

1.3以下

労働災害度数率 ゼロ

心とからだの健康確保

健康経営優良法人ホワイト500 認定

・健康経営銘柄2025選定
・健康経営優良法人ホワイト500 2025認定

継続的な安全衛生、メンタルヘルス活動に加え、従業員の健康課題を踏まえた具体的な数値目標に向けての取組み等が総合的に評価をいただき、4回目の「健康経営銘柄2025」に選定されました。

また、「健康経営優良法人 ホワイト500」にも7年連続で認定されました。

・人材の育成

・ダイバーシティー&インクルージョンの推進

リーダー人材の育成

教育研修受講率 100%

教育研修受講率 100%

短期・中期・長期的な視点で各施策を定めて、リーダー人材の育成を行っています。
継続して実施しているマネジメント力やOJT力強化のプログラムに加えて、2024年度はキャリア教育の実施階層を増やして実施しました。

 

 

マテリアリティ

目標

(2029年度)

指標

(2026年度)

2024年度

大分類

中分類

実績・進捗率

取り組み状況

人的資本の強化

・人材の育成

・ダイバーシティー&インクルージョンの推進

女性の活躍

推進

正社員に占める女性の割合 10

正社員に占める女性の割合 7.3

多様な人材の活躍を目指して、社内啓蒙活動、職場の拡大、人事労務制度・職場の整備などを行っています。
2024年度は、子育て中の部下を持つ管理職のためのイクボス研修や女性部下マネジメント研修等を行いました。

管理監督職に占める女性の割合 10

管理監督職に占める女性の割合 6.0

環境・社会に配慮した調達

「購買方針」および「グリーン調達基準」の運用強化

「購買方針」および「グリーン調達基準」を全てのサプライヤーに周知・理解頂き、その内容に準拠した材料を調達する

「購買方針」および「グリーン調達基準」を盛り込んだサプライヤー向け調査の実施および同基準の遵守率

「購買方針」および「グリーン調達基準」を盛り込んだサプライヤー向け調査の実施
 

「労働」・「安全衛生」・「環境」・「倫理」および「温室効果ガス削減目標設定」などの内容についてサプライヤー向けCSR調査を実施し、分析しています。
 

サプライヤーのCSR調査ランク「A」比率 90%
 

弊社実施のCSR調査の結果、2024年度は90%のサプライヤーが、ランク「A」のレベルで取り組みをされています。

※ランク「A」…CSR調査項目の取組み率80%以上

地域社会との共生と貢献

事業所が立地する地域コミュニティとの関係維持および地域発展への貢献

地域美化活動等の地域社会への貢献活動の推進

事業所周辺地域の美化活動回数

事業所周辺地域の美化活動回数 9回
 

当社従業員が事業所周辺地域の美化活動に参加しています。

 

スポーツ、教育、文化貢献活動の推進

スポーツ、教育、文化活動回数

スポーツ、教育、文化活動回数 14回

高知龍馬マラソンのオフィシャルパートナーとしての協賛や学校・各種イベントでの講演などの活動を継続実施しています。

2024年度は、高知ユナイテッドスポーツクラブのクラブパートナー、鳥取県立美術館のオフィシャルパートナーとしての活動支援を開始しました。

 

 

(ガバナンス(G))

マテリアリティ

目標

(2029年度)

指標

(2026年度)

2024年度

大分類

中分類

実績・進捗率

取り組み状況

ガバナンス強化

・コーポレートガバナンス・コードへの対応

・コンプライアンスの推進

コーポレートガバナンス体制および内部統制システムの構築・運営

取締役会出席率

取締役会出席率 99%
 

ガバナンスの強化に向けて、取締役会や各種社内会議を計画的に開催し、方針・計画の決定や実効性の検証等を行っています。

 

経営会議開催回数

経営会議開催回数 19回

サステナビリティ委員会開催回数

サステナビリティ委員会開催回数 6回

サステナビリティ委員会では、2024年度はESGマテリアリティのKGI・KPIに対する進捗確認や具体的な施策について議論をしました。

BCMの推進

事業継続計画の継続的な見直し

BCM推進会議開催回数

BCM推進会議開催回数 4回

BCMの推進・強化に向け、四半期ごとに、災害時従業員の安全確保、復旧体制・製品供給体制の確保等について議論・検討しています。
2024年度は、地震発生時の初動対応体制の確立に注力して議論しました。

 

(注)当社BCMの目的の一つである「安定供給体制の確立」は、環境(E)の大分類「省エネ、創エネ、蓄エネに貢献する製品の供給」において、記載しております。

 

 

≪人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針≫

 当社では、「思い思われ、育ち育てる」というスローガンのもと、個人、組織、社会から信頼されるヒトづくりをおこなうこと、”こうなりたい”を持ち続けるヒトを目指して、個人は能力向上に努め、組織は魅力ある職場づくりをおこなうことを人事基本理念としております。

 

≪社内環境整備に関する方針≫

 「安全・健康はすべてに優先する」という基本方針に基づき、「安全・健康を最優先する企業風土が、従業員一人一人の幸せと企業価値を高める」、「従業員と家族の安全・健康が事業継続につながる」という考えのもと、安全衛生活動・健康経営を推進しております。

 従業員の「こころと身体」の健康は、健全な企業活動に必要不可欠であり、従業員のさらなる健康の保持増進、安全で安心して働ける職場環境づくりを通してウェルビーイングの実現を目指しております。

 

なお、具体的な指標、目標と実績については(4)戦略ならびに指標および目標 ≪ESGマテリアリティ≫ に記載しております。

指標「年次有給休暇取得率60%以上の割合(達成部署÷全部署)」の目標は2026年3月期まで100%を掲げており、2025年3月期実績は100%となっております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、2「サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載の「ESGマテリアリティ」に関するリスクは、以下の各リスクに含まれております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)特定品目への依存について

 当社は、経済産業省の「グローバルニッチトップ企業100選」に選定されております。主力のアルミ電解コンデンサ用セパレータは高い市場シェアを有しており、世界の需要動向が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。特定品目の需要動向が全体に及ぼす影響を極小化できるよう、需要拡大が見込まれる機能材等を拡販するとともに、新たな事業の創出をはかることで、業績の安定に努めてまいります。

 

(2)価格競争について

 当社グループは、これまで顧客と築いてきた信頼関係をもとに、高品質・高信頼性製品を安定供給できることが大きな強みであり、成長市場での拡販に努めております。

 アルミ電解コンデンサにつきましては、コンデンサメーカーにおけるグローバルでの競争が激しくなっており、将来的に当社のアルミ電解コンデンサ用セパレータ販売価格への下落圧力が強まる可能性があります。また、機能材におきましては、リチウムイオン電池市場が成長しているものの、激しい価格競争の影響を受け、使用する部材の低価格化が進んでおります。

 価格競争リスクが当社グループの業績に影響を与える可能性がありますが、今後も他社と差別化できる高品質・高信頼性製品の開発・拡販を進めるとともに、コスト削減や生産効率の向上にも取り組むことで価格競争力を高めてまいります。

 

(3)為替レートの変動による影響について

 当社グループの製品販売および原材料仕入は一部外貨建ての取引となっているため、為替相場の変動は外貨建て取引により発生する資産・負債に影響を与える可能性があります。

 為替相場の変動リスクを軽減するために、為替変動リスク管理規定を設け、為替予約や外貨建て借入等を実行できる体制となっておりますが、完全に排除できるものではなく、為替変動リスクが当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)原材料調達リスクについて

 当社グループは、製品の主要原材料であるパルプの多くを海外から輸入しております。気候変動や政情不安による供給不足が発生した場合に備えて原則2社購買とするとともに、供給不安が少ない原材料への切り替えなど安定調達および原材料在庫の確保に努めておりますが、品質や需給悪化等の問題から調達コストの上昇や調達が困難となった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(5)エネルギー価格変動による影響について

 当社グループは、セパレータの製造において電力およびLNGを使用しております。省エネ効果が得られる設備投資や省エネ活動の推進によりエネルギー使用量の削減に努めておりますが、電力およびLNGの価格変動が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)設備投資による影響について

 当社グループでは、ユーザーへの安定供給体制を確保していくため、需要予測にもとづく生産能力増強のための設備投資を計画的に実施しております。製造設備の新設・増設には多額の設備投資を必要とする業態であり、減価償却費負担および借入金増加による支払利息の増加等により、一時的に当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7)人材確保におけるリスクについて

 当社グループの競争力を維持、向上させるためには、製品開発および製造等に必要な人材を安定して採用、確保し続ける必要があります。当社グループは、「安全・健康はすべてに優先する」の基本方針のもと、健康経営を推進しており、「健康経営優良法人」に選定される等、働きやすい職場づくりに努め、人材の定着をはかっております。

 

(8)災害および感染症等による影響について

 当社グループは、南海トラフ地震等の地震、台風や大雨等の風水害による自然災害および火災発生によるリスクを軽減するため、同時被災防止の観点で、高知県内の3工場に加え、米子工場、マレーシアに生産拠点を分散するとともに、原材料および製品在庫を確保し、安定供給体制の構築をはかっております。

 また、当社グループでは、全社組織である「BCM推進会議」の運営を通じて、「従業員の安全確保」および「お客さまへの安定供給」のより全社的な推進・浸透をはかっております。今後も、災害等を想定した訓練や早期復旧につながる保険付保等の対策に加え、グループ全体での生産体制の構築、サプライチェーンの強化に向けたBCMの実効性・実用性について評価・改善に取り組んでまいります。

 災害や感染症等の発生を想定した対策を実施しておりますが、災害等が発生した場合には、従業員の安全確保や原材料の確保、生産の継続等に支障をきたし、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9)気候変動および企業の社会的責任に関するリスクについて

 当社グループは、持続可能な社会の実現のため、地球環境への配慮・労働環境の整備・人権の尊重等に代表される企業の社会的責任を重要な経営課題と認識しており、「購買方針」および「グリーン調達基準」を策定しております。また、気候変動に対する国内外の政策および法規制を踏まえ、重油と比較して温室効果ガス排出量が少ないLNGの使用、太陽光発電設備の導入、再生可能エネルギー由来の電力を使用する等の取り組みをおこなっております。

 しかし、脱炭素社会の実現に向けた政府の規制強化、サプライチェーンにおける人権に関する問題等が発生した場合、原材料の確保や生産体制等に支障をきたし、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(10)情報セキュリティに関するリスクについて

 当社グループは、技術情報等の機密情報や顧客等に関する情報を保有しております。外部への情報流出を防止するためのセキュリティシステム強化、定期的な社内教育の実施等の対策をおこなっておりますが、コンピュータウイルス感染やサイバー攻撃等により情報が流出した場合、当社グループの社会的信用の失墜による企業価値の低下、情報流出により被害を受けた顧客等への補償により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 業績等の概要

  ①業績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド需要の増加や、堅調な企業業績を背景に雇用・所得環境の改善がみられ、設備投資も増加傾向になる等、景気は緩やかな回復傾向が続きました。

 一方、ウクライナおよび中東情勢などの地政学リスクの長期化、各地での自然災害の発生、資源価格の高騰による物価上昇に加え、米国の関税政策をめぐる各国の政策動向による影響など、先行きはさらに不透明な状態となっております。

 当社グループの関連市場であるエレクトロニクス業界におきましては、生成AI等の新たなデジタル技術が社会や生活の中に広まりつつあり、データセンター向けサーバー等の需要増加が継続しておりますが、産業機器関連の在庫調整の長引き、EV市場の減速等もあり、需要回復の遅れがみられました。

 このような状況の中、アルミ電解コンデンサ用セパレータは、産業機器および車載向け等では需要回復は鈍いものの立ち上がりが見え始め、当連結会計年度の売上高は12,249百万円(前連結会計年度比723百万円、6.3%増)となりました。

 機能材は、電気二重層キャパシタ用セパレータおよびリチウムイオン電池用セパレータが増加したことから、当連結会計年度の売上高は3,784百万円(前連結会計年度比481百万円、14.6%増)となりました。

 この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は16,033百万円(前連結会計年度比1,205百万円、8.1%増)となりました。

 利益面におきましては、原材料価格等の高止まりによる原価率上昇の影響はありましたが、売上高の増加に伴う稼働率向上や減価償却費の軽減などもあり、営業利益は2,460百万円(前連結会計年度比741百万円、43.1%増)、経常利益は2,445百万円(前連結会計年度比423百万円、21.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,781百万円(前連結会計年度比301百万円、20.4%増)となりました。

 

  ②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は4,126百万円(前連結会計年度末比179百万円、4.2%減)となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 税金等調整前当期純利益2,437百万円、減価償却費1,030百万円、売上債権の減少額739百万円、未収消費税等の増加額779百万円等により、営業活動の結果得られた資金は3,801百万円(前連結会計年度比1,890百万円、99.0%の収入増)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 有形固定資産の取得による支出5,943百万円、経済産業省の「蓄電池の国内生産基盤確保のための先端生産技術導入・開発促進事業費補助事業」等による補助金等の受入れによる収入2,622百万円等により、投資活動の結果使用した資金は3,401百万円(前連結会計年度比10百万円、0.3%の支出減)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 短期借入金の純増1,500百万円、長期借入れ1,000百万円の実施および約定返済2,406百万円、配当金の支払い額531百万円等により、財務活動の結果使用した資金は637百万円(前連結会計年度は1,498百万円の収入)となりました。

 

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

①生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

セパレータ事業(千円)

16,221,838

10.4

合計(千円)

16,221,838

10.4

 (注)金額は、販売価格により表示しております。

 

②受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

セパレータ事業

16,845,976

15.0

1,828,101

80.0

合計

16,845,976

15.0

1,828,101

80.0

 (注)金額は、販売価格により表示しております。

 

③販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

セパレータ事業(千円)

16,033,765

8.1

合計(千円)

16,033,765

8.1

 (注)主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する当該販売実績の割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

総販売実績に対する割合(%)

金額(千円)

総販売実績に対する割合(%)

王子エフテックス㈱

10,263,536

69.2

10,643,695

66.4

 

(3) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 ①財政状態に関する分析

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,293百万円増加し、35,269百万円となりました。

 流動資産は、売掛金、原材料及び貯蔵品の減少等により、前連結会計年度末に比べ665百万円減少し、17,507百万円となりました。

 固定資産は、有形固定資産の減価償却実施等がありましたが、米子工場製造ライン増設等による有形固定資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ1,959百万円増加し、17,761百万円となりました。

 負債は、前連結会計年度末に比べ242百万円減少し、11,365百万円となりました。

 流動負債は、短期借入金の純増等により、前連結会計年度末に比べ1,231百万円増加し、6,768百万円となりました。

 固定負債は、長期借入金の新規調達および約定返済等により、前連結会計年度末に比べ1,473百万円減少し、4,597百万円となりました。

 純資産は、剰余金の配当の実施、親会社株主に帰属する当期純利益1,781百万円を計上したことによる利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ1,536百万円増加し、23,903百万円となりました。

 

 ②経営成績に関する分析

 「第2 事業の状況、4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1) 業績等の概要、①業績」をご参照ください。

 

 ③キャッシュ・フローに関する分析

 当社グループの「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、期中における営業活動の成果である税金等調整前当期純損益および減価償却費のほか、売上債権、棚卸資産、仕入債務の増減および法人税等の支払に大きく影響を受けております。

 当連結会計年度の状況は、「第2 事業の状況、4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1) 業績等の概要、②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

区分

第93期

2023年3月

第94期

2024年3月

第95期

2025年3月

税金等調整前当期純利益(百万円)

3,532

2,021

2,437

減価償却費(百万円)

1,409

1,426

1,030

売上債権の増減額(百万円)

455

△615

739

棚卸資産の増減額(百万円)

△2,358

△171

374

仕入債務の増減額(百万円)

△60

42

△87

法人税等の支払額(百万円)

△1,537

△845

△251

その他(百万円)

△757

52

△441

営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

685

1,910

3,801

 

 

 ④資本の財源および資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品の主要原材料であるパルプの購入費用および動力費のほか、製造費、販売費及び一般管理費の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、セパレータ事業における設備投資等によるものであります。

 また、当社グループは、設備投資計画に照らして、必要な資金を主に銀行等金融機関からの借入により調達するとともに、短期的な運転資金を銀行借入および売掛債権の流動化により調達しております。

 2025年3月31日現在の主な契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

1年以内

1年超

2年以内

2年超

3年以内

3年超

4年以内

4年超

5年以内

5年超

短期借入金

長期借入金(*1)

1,500

2,251

1,999

1,638

858

38

合計

3,751

1,999

1,638

858

38

 (*1)1年内返済予定長期借入金は、長期借入金に含めております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、中長期計画の達成状況や過去の実績を勘案するなど、可能な限り合理的な根拠を有した仮定や基準を設定した上で実施しております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しをおこなっておりますが、見積りには不確実性がともなうため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用した重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

(5) 経営上の目標の達成状況について

 当社グループは、株主利益重視の観点から、資本効率を高めるために、収益性の向上を目標として事業を推進しており、自己資本利益率(ROE)10%以上を目標としております。

 当連結会計年度における自己資本利益率(ROE)は7.7%(前連結会計年度比1.0ポイントプラス)でした。引き続き当該指標の達成に向けて取り組んでまいります。

 

5【重要な契約等】

 アルミ電解コンデンサ用セパレータの継続的売買に関する契約

 当社は1972年8月、本州製紙㈱(現:王子エフテックス㈱)との間で、アルミ電解コンデンサ用セパレータの生産・販売に関する業務提携ならびに資本提携をおこない、「業務提携に関する基本契約」ならびに取引細目についての覚書を締結いたしました。これにもとづき、両社が契約するアルミ電解コンデンサ用セパレータは当社が生産し、同社を通じて全量当社商標で販売してまいりました。

 この契約のうち、1995年8月、資本提携等に関する条項の削除について両社合意し、2020年10月、取引細目に関する条項の統合について両社合意し、改めて「売買取引基本契約」として契約更改し締結いたしました。

 契約の内容は、次のとおりであります。

「売買取引基本契約」

契約期間

1年間、以後1年間単位で異議申し立てのない限り自動延長

契約内容

①  当社は、同社に対してアルミ電解コンデンサ用セパレータを継続的に売渡し、同社はこれを買受ける。

 

②  同社が販売を望む当社のアルミ電解コンデンサ用セパレータは、全量同社が販売するものとし、当社は同社が必要とする全量を同社に供給する。

 

③  当社のアルミ電解コンデンサ用セパレータは、全て当社の商標で販売するものとする。

 

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、ユーザーの技術動向に対応し、各ユーザーとの情報交換・技術交流を密接におこなっており、ニーズに適合した製品の改良・新製品の開発に取り組み、さらに今後の技術発展動向とニーズを先取りしていく技術開発を重視し、研究開発活動を進めております。

 また、当社製品の品質に適合した原料および新素材の研究開発に継続的に取り組んでおります。

 当社グループの研究開発活動は、当社のセパレータ事業および全社でおこなっており、当連結会計年度における主な研究開発分野および成果は次のとおりであります。

 

セパレータ事業

(アルミ電解コンデンサ用セパレータ)

 アルミ電解コンデンサの小型高容量化・高温長寿命化・低インピーダンス化などを改善するセパレータの開発をおこなっております。

 当連結会計年度においては、省エネ家電や太陽光発電・風力発電等のインバータ用途等に向け、耐ショート性に優れた中高圧コンデンサ用セパレータの開発を進めました。また、電動化や自動運転など電子化が進む車載用途や、生成AI向けデータセンターなどの市場拡大に応えるため、薄型で耐ショート性能に優れた信頼性の高い低圧コンデンサ用セパレータの開発を進めるとともに、小型・高容量化に対応する薄型のハイブリッドコンデンサ用セパレータ、耐熱性能に優れた導電性高分子固体コンデンサ用セパレータの開発を進めました。

(機能材)

 電子化が進む車載用途や太陽光発電・風力発電等のクリーンエネルギー分野、データセンターなどの市場拡大に対応するため、より高性能・高品質のセパレータの開発をおこなっております。

 当連結会計年度においては、ユーザーニーズへの細やかな対応をおこなうため、電気二重層キャパシタ用セパレータの高機能化やリチウムイオン電池用セパレータの更なる薄型化、全固体電池用支持体の開発を中心に取り組みました。また、セパレータ性能向上のための要素技術開発にも取り組みました。

 

全社

 当社の強みが活きる新素材および新技術を用いた製品開発を継続し、新市場における事業化にも挑戦してまいります。

 

 なお、当連結会計年度における研究開発費をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

セパレータ事業

487,331

全社(注)

67,215

合計

554,546

 (注)特定のセグメントに区分できない研究開発費であります。