第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、「すべてのステークホルダーとの調和のもと、共存の精神で200年企業をめざす」を経営理念として掲げ、株主、取引先、地域社会、従業員などすべてのステークホルダーにとって存在価値のある、良き企業市民として評価され、事業活動を続けてゆくことを目指しております。

 その実現のため、当社は秩序ある競争の原理と公正の原則をつらぬく経営活動を基本姿勢とし、今後ますますグローバル化が加速する環境に対処するため、社会環境の変化に対応し顧客から信頼される企業を目指した活動を展開するとともに、企業の社会的責任を自覚し、持続的発展が可能な循環型社会の実現のため環境対策の一層の強化に取り組み、企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社は、持続的発展および企業価値向上達成の客観的な指標として、営業利益5億円、ROE(株主資本利益率)5%を目標としております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社は、板紙事業及び美粧段ボール事業の二つの事業を展開しており、中国地方を中心とした地域に根差した事業活動を展開してまいりました。今後も、自らが拠って立つ地域を基盤に事業活動を続けてゆきます。

 板紙事業につきましては、国内の板紙需要は引き続き堅調であるとはいえ、原材料である古紙及び原燃料の価格形成がグローバルな市況に左右される昨今の環境下で経営目標を達成するため、引き続き需要に見合った生産体制の維持と原料価格に見合った適正な製品価格の確保に取り組んでまいります。

 美粧段ボール事業につきましては、商品包装の簡略化の流れ、主力の青果物で担い手不足による流通量の減少など、厳しい経営環境にあるなかで供給者責任を果たしつつ、ユーザーニーズに合致するパッケージを提供することで、より広く新規顧客の開拓に取り組んでまいります。

 

(4)対処すべき課題

 当社は、上記の経営の基本方針、経営指標、経営戦略の実現のため、需要に見合った生産体制と適正価格の維持を含め、以下の項目を重点課題として認識し、全社一丸となって対応してまいります。

・営業開発力の強化

 販売価格の維持とともに生販一体化体制による顧客サービスの強化などの非価格競争力の強化等により販売量の安定確保に努めるとともに採算重視の営業活動に徹し、更には開発力の強化による新規取引先の開拓を推進して質量面での充実を図り、営業基盤の更なる確立を図るよう役職員一丸となって販売活動を強力に推進してまいります。

・省エネ・生産効率向上と製品開発力の向上

 コスト競争力は企業存続の条件との認識にたち、原燃料等の価格高騰に対処するため、省エネや省力化、生産効率向上に寄与する投資を積極的に推進し、更なるコスト低減策に取り組むとともに、併せてユーザーニーズに合った製品開発力を強化して営業を行ってまいります。

・原材料の安定調達と資材調達コストの低減

 当社にとって原材料の安定調達は企業活動を続けていく上で、最重要課題であると同時に、資材調達コストが即収益に大きな影響を及ぼすことを十分認識し、市況動向等を注視し原材料の計画的かつ安定的な調達に努め資材コスト低減を図ってまいります。

・環境保全と品質の安定化

 世界的問題である環境については企業の社会的責任を果たす重要な要素であり、環境と共生する循環型社会実現のために更なる環境の改善を図り社会の要請に応えてまいります。

 品質に係る活動の成果は、企業価値の創出につながることを自覚の上、顧客が求める品質の安定、向上を目指し顧客の信頼に応えてまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年8月28日)現在において当社が判断したものであります。

 また、以下に記載したリスクは主要なものであり、これらに限られるものではありません。

(1)国内需要の減少及び市況価格の下落

 当社の事業分野別売上高は、板紙事業約8割、美粧段ボール事業約2割の構成で推移しております。いずれの事業も内需型であり、国内景気の影響を大きく受けます。国内景気の後退による需要の減少や市況価格の下落が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2)原燃料購入価格の上昇

 当社が購入する原燃料価格に関しては、主原料の古紙は中国・アジア地域と国内需給動向によって、主燃料の産業用ガスは国際市況によってそれぞれ価格が変動し、購入価格が上昇した場合には、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)災害による影響

 当社は災害による影響を最小限にとどめるため万全の対策をとっておりますが、自然災害、事故等の不測の事態が発生した場合には、生産能力の低下や製造コストの増加等により、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況の概要

 当期における我が国経済は、堅調な企業収益に伴い良好な雇用・所得環境が続いたことにより、個人消費が堅調に推移したことや、人手不足に伴う省力化への投資、国内設備の老朽化に伴う維持補修への投資等への需要が下支えしたことにより、景気は全体として緩やかな回復基調が続きました。

 板紙業界におきましては、インターネット通信販売など電子商取引の普及や好景気を受けた活発な荷動きにより、段ボール原紙の需要は堅調でしたが、他方、米中の貿易摩擦の影響を受けて主要な原材料である古紙の海外輸出が不安定になり、国内流通価格に大きく影響いたしました。

 こうした経営環境のもと、当社は経営全般にわたるコスト低減に総力を結集する一方、需要に見合った生産レベルの維持と適正な製品価格の実現に努めました。また、板紙製品の主原料である古紙価格の高騰や、燃料、物流経費等の上昇に対し、板紙製品の価格改定を実施し、その浸透に努めました。

 この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当事業年度末の総資産は、前期末と比べ675百万円増加して12,776百万円となりました。負債は、前期末と比べ365百万円増加して4,467百万円となりました。純資産は、前期末に比べ310百万円増加して8,309百万円となりました。

 なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当事業年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前事業年度との比較・分析を行っております。

 

b.経営成績

 当事業年度の経営成績は、売上高は10,030百万円(前期比10.6%増)、営業利益は752百万円(前年同期は35百万円)、経常利益は804百万円(前期比921.3%増)、当期純利益は533百万円(前年同期は43百万円)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

(板紙事業)

中芯原紙販売数量は微増、紙管原紙販売数量は微減で全体としてはほぼ横ばいでしたが、製品価格改定が浸透したため、売上高は8,766百万円(前期比10.6%増)、セグメント利益は769百万円(前期比948.9%増)となりました。

(美粧段ボール事業)

主力の通信機器関連品が好調に推移し、売上高は1,263百万円(前期比10.8%増)と増収でしたが、原料価格の高騰もあり、セグメント損失は16百万円(前年同期はセグメント損失37百万円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べ662百万円増加し、3,606百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得た資金は800百万円(前事業年度は54百万円の支出)となりました。

 収入の主な内訳は、税引前当期純利益779百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額284百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は63百万円(前事業年度は0百万円の支出)となりました。

 収入の主な内訳は、利息及び配当金の受取額47百万円であり、支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出99百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は74百万円(前期比7.9%増)となりました。

 これは主に、配当金の支払額59百万円によるものであります。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2018年6月1日

 至 2019年5月31日)

前年同期比(%)

板紙事業(千円)

8,952,406

11.6

美粧段ボール事業(千円)

1,263,641

10.8

合計(千円)

10,216,047

11.5

(注)1.板紙事業の生産実績は板紙の生産数量(自家消費分を含む)に平均販売価格を乗じた金額を、また美粧段ボール事業の生産実績は販売金額を記載しております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 板紙事業については、顧客が特定しているため需要を予測して見込生産を、また美粧段ボール事業は、受注生産を行っておりますが、いずれの製品も受注から生産・納入に至るまでの期間が短く期末における受注残高は少ないので、次に記載する販売実績を受注実績とみなしても大差はありません。

 

c.販売実績

当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2018年6月1日

 至 2019年5月31日)

前年同期比(%)

板紙事業(千円)

8,766,968

10.6

美粧段ボール事業(千円)

1,263,641

10.8

合計(千円)

10,030,609

10.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

3.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載を省略しています。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表作成に当たって、当事業年度末における資産・負債の報告数値、当事業年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び判断は、継続して評価を行っております。なお、見積り及び判断については、過去における実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づいて行っておりますが、不確実性があるため、実際の結果とは異なる可能性があります。

 

②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

 総資産は、12,776百万円で前期末の12,101百万円に比べ、675百万円増加いたしました。内訳としては流動資産が1,032百万円の増加、固定資産が357百万円の減少であります。

 流動資産増加の主な要因は、現金及び預金662百万円の増加及び電子記録債権141百万円の増加であります。また、固定資産減少の主な要因は、投資有価証券245百万円の減少及び機械及び装置92百万円の減少であります。

 負債は、4,467百万円で前期末の4,101百万円に比べ、365百万円増加いたしました。内訳としては流動負債が489百万円の増加、固定負債が124百万円の減少であります。

 流動負債増加の主な要因は、未払法人税等158百万円の増加、未払金133百万円の増加及び未払費用126百万円の増加であります。また、固定負債減少の主な要因は、繰延税金負債120百万円の減少であります。

 純資産は、8,309百万円で前期末の7,999百万円に比べ、310百万円増加いたしました。主な要因は評価・換算差額等175百万円の減少、当期純利益533百万円の計上及び配当金59百万円の支払等によるものであります。

 なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当事業年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前事業年度との比較・分析を行っております。

 

 

b.経営成績の分析

(売上高)

 当社の主要な販売品目である板紙につきまして、国内全体の出荷量は緩やかに伸長しております。

 当事業年度の板紙製品(中芯原紙・紙管原紙)の販売状況につきましては、販売数量が前事業年度比で99.9%でありました、これは年度計画の99.8%の達成率であり、ほぼ達成できたといえます。

 また、製品価格の改定については、前事業年度の2017年8月と当事業年度の2018年11月に2回にわたって打ち出して、その浸透に努めてまいりました。原燃料価格の高騰や運送費の高止まりなどの状況にご理解をいただくと同時に、好景気による板紙(特に段ボール原紙)需要の高まりも背景に、価格改定が浸透した結果、当社板紙製品全体としては前事業年度比10.8%の単価上昇となり、上場以来初となる売上高100億円達成の主な要因となりました。

 他方、美粧段ボール製品の販売状況につきましては、青果物の贈答用向け美粧ケースが、2018年7月の西日本豪雨災害により生産地が被害を受けた影響もあり、前事業年度比96.7%となりましたが、通信機器の梱包資材は好調で、前事業年度比149.5%の売上高となりました。この2ジャンルは、従来から当社美粧段ボール部門の売上の柱でしたが、青果物については生産者の高齢化と後継者不足による生産の減少、通信機器については生産の海外移転など、先行きに不安要素もあるため、販売先の多様化を進める必要があります。

 以上より、当事業年度の売上高は10,030百万円となり、前事業年度に比べ960百万円(10.6%増)の増収となりました。

 

(営業利益)

 当社の営業利益については、板紙製品の売上高、板紙製造の原料である古紙の価格、および主な燃料であるLNGの価格が大きな影響を与えます。

 まず、原料古紙価格については、近年は中国への輸出の増加により価格が高騰いたしました。2017年の夏(前事業年度)および2018年の秋から年末(当事業年度)にかけて2度のピークがあり、いずれも板紙製品価格改定のきっかけとなりましたが、価格改定の浸透までにはタイムラグがあるため、原料古紙価格の高騰は当社の利益に大きな影響を及ぼします。

 当期におきましては、原料古紙価格高騰のピークはあったものの、通期でみれば前事業年度比1.2%の上昇にとどまりました。

 次に、LNG価格については、前事業年度比15.4%の上昇でしたが、使用量削減の効果もあり、LNG購入総額では13.0%の上昇にとどまりました。

 以上より、当事業年度の営業利益は752百万円となり、前事業年度に比べ717百万円の増益となりました。

当社の目標とする経営指標のひとつである営業利益5億円を達成することができました。

 

(経常利益)

 当事業年度の経常利益は804百万円となり、前事業年度に比べ725百万円(921.3%増)の増益となりました。

 なお、当社の営業外収益の収益の9割は保有株式の受取配当金であります。

 

(当期純利益)

 当事業年度の当期純利益は533百万円となり、前事業年度に比べ489百万円の増益となりました。

ROEは6.4%となり、当社の目標とする経営指標のひとつであるROE5%を達成することができました。

 また、1株当たり当期純利益は前事業年度から98円94銭増加し、107円86銭となりました。

 

c.キャッシュ・フローの状況

 当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

 当社の資金需要のうち主なものは、製品製造のための原材料・燃料の購入のほか、製造に係る労務費・経費、販売費及び一般管理費、生産設備の取得及び既存設備の改善等に係る投資であります。これらの資金需要について、当社はすべて自己資金でまかなっておりますが、現状キャッシュ・フローについて大きな懸念はないものと認識しております。

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

5【研究開発活動】

 古紙を原料として製品を製造する当社は、環境との調和をテーマに環境負荷軽減を意識した生産技術の開発をはじめとして、常に顧客のニーズに応えるための品質改善、より付加価値の高い製品の産出、印刷技術の向上、生産の効率化など生産現場に密着した活動を行っております。

 なお、当事業年度における研究開発費の総額は35,190千円となっております。