(1)経営方針
当社グループは、経営理念「創和」のもと、新たな製品の創出による社会への貢献と、人間尊重の精神にもとづく社会との調和によって幸福な世界を実現することを理念として企業活動を展開しております。そして、経営理念「創和」を実現するにあたり、当社グループが常に目指す姿として「衛生・安心・快適」という価値を社会へ提供する「ビューティフルライフ創造企業」を掲げております。また、コーポレートメッセージとして「“キレイ”をつくろう」を制定するとともに、カーボンニュートラルや環境に配慮した、持続可能な社会への貢献の一環として「再生可能エネルギー」の導入を開始するなど、「長期経営ビジョン2030」にもとづき全社一丸となって取り組んでまいりました。今後も、常に新しい製品を創造することにより社会の快適な生活に貢献し、株主様をはじめとした様々なステークホルダーとの和を調和させ、企業価値の向上に努めてまいります。
(2)経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド需要の拡大等により景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方、不安定な国際情勢による地政学リスクの高止まり、為替変動やエネルギーコストの高騰、さらには米国の今後の政策動向への懸念等、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
当社グループが営む不織布関連事業と紙関連事業は、主に衛生材料市場と外食産業市場に製品を提供しており、両市場環境に影響を受けます。
a.衛生材料市場
当社グループが素材を提供している衛生材料市場におきましては、高齢化の進展に伴う大人用紙おむつの需要拡大や、ライフスタイルの変化によりペットとの共生への関心が高まり、ペットシーツ市場は堅調に推移する一方、ベビー用紙おむつ市場におきましては、出生数の減少や日本製の紙おむつの需要減少等により厳しい状況が続いております。
b.外食産業市場
当社グループが製品を提供する外食産業市場におきましては、インバウンド需要が過去最高を記録するなど堅調に推移しておりますが、エネルギーをはじめとした輸入コストの増加や人手不足を起因とする物流費・人件費の上昇および物価高による一般消費者の節約・選別志向の高まり等により予断を許さない状況が続いております。
(3)中長期経営戦略
当社グループは、2023年度から2030年度の8年間を対象とする「長期経営ビジョン2030」ならびに「第1次中期経営計画2026」を策定しております。5つの経営戦略である「Ⅰ 新事業・新分野創出」、「Ⅱ 競争力強化」、「Ⅲ 経営基盤強化」、「Ⅳ 人材マネジメント」、「Ⅴ サステナビリティ対応」により、さらなる企業価値の向上を図るとともに、外部環境の影響を受けにくいビジネスモデルへの転換や収益性の改善等により、営業利益の一層の拡大に努めてまいります。
(4)対処すべき課題
当社を取り巻く経営環境は、国内外を問わず、急激に変化しております。とりわけ近年の紙・不織布の業界においては、物価高の影響によるコストアップ、人員不足の懸念も顕著になる中、高度経済成長期に設備投資をした機械設備が老朽化し更新の時期を迎えており、この機に将来の事業展開を見直す同業他社も現れております。
このような経営環境のうねりの中で社会的責任を果たしていくため、当社は、以下の課題に対して大胆かつタイムリーに施策を推進してまいります。
a.事業の変革
当社は、これまで社会や市場ニーズの変化を捉えて、高品質な紙・不織布をご提供することでお客様から厚い信頼を頂いてまいりましたが、素材事業の現況を鑑みれば、その延長では将来性に限界があることから、持続的な成長のためにも、より高付加価値の事業分野を築く必要があります。
当社は、衛生用品に採用される3つの素材を生産しており、これら素材を活かした加工事業を強化することで、素材メーカーから「衛生用品メーカー」へと進化してまいります。加工事業の強化は、医療・介護向け衛生用品の自社ブランド「Kireine」の拡大、および、お客様ブランドのOEM生産により実現してまいります。併せて、他社との多角的かつ戦略的なアライアンス関係の構築により、付加機能の強化を追求してまいります。
b.組織・人材の活性化
新たな事業戦略を追求するために、将来を見据えた組織体制の整備と運営体制の強化、安定的な人材確保と計画的な人材育成が必要になります。過去からの良品廉価なものづくりに加え、お客様との共同開発、共同物流、共同事業といった新たな取り組みを通じ、お客様にとって欠くことのできないパートナーとなるべく、常に総合的カスタマーサービスの向上を意識した組織の再編、人材育成を強化してまいります。また、専門知識を有する人材の中途採用、とりわけ医療・介護市場に精通した人材の登用により、当社の新事業分野として医療・介護分野の早期構築を目指してまいります。さらに、人材マネジメントにおいては、社員のモチベーションを高めるインナーブランディング、ダイバーシティ、ボトムアップ気質を促進して、社内人材の活性化を図ってまいります。
メーカーのものづくりは、まさに人づくりでもあります。「ビューティフルライフ創造」という自社の事業ミッションと製品にプライドを持った人材を育成してまいります。
c.サステナビリティ経営の実現
昨今は、多面的なサステナビリティを意識した企業経営が求められております。環境の観点においては、カーボンニュートラルや環境に配慮した戦略的製品の開発により、メーカーとして持続可能な社会の実現へ貢献してまいります。紙・不織布の生産における原材料のバイオマス化、再生可能エネルギーの導入拡大、とりわけ「使用済み紙パンツから再生されたパルプを配合した紙パンツ用原紙」の生産拡大など、メーカーとして環境問題に積極的に挑戦してまいります。
また、生活必需品の生産に携わるメーカーとして、自然災害等の不測の事態に備え、社内におけるBCPを強化するとともに、国内外の同業他社との相互支援体制を構築し、供給体制のサステナビリティ実現を目指してまいります。さらには、時代に即した安全・安心かつ持続可能な生産体制の構築を目指し、従前からの24時間交替勤務による生産環境を改善すべく、生産機械設備の積極的な導入による自動化、省人化、効率化を図ってまいります。
(5)経営指標
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益、セグメント売上高、セグメント利益であります。グループ全体の経営成績および計画の進捗状況の管理をするとともに、各セグメントの採算性を管理することを重視しております。
当社グループは、ビューティフルライフ創造企業として衛生・安心・快適の向上という価値を創出するとともに、経営理念「創和」のもとステークホルダーとの和を相互に調和させ、立場の異なるあらゆる主体が「経済・社会・環境」の全ての面で共生できる場を提供することで、持続可能な社会の実現と当社の企業価値の向上に努めてまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。同委員会は、サステナビリティ経営を組織横断的に推進するため、事業戦略、目標設定、改善活動等の検討および取組状況の確認を行っております。
サステナビリティ委員会の活動実績については随時取締役会へ報告するなど、取締役会の強い監督のもとでサステナビリティ活動を展開してまいります。
また、サステナビリティ基本方針や重要課題、進捗状況については、ウェブサイト等で開示することで、ステークホルダーとの対話を強化し、取り組みの進化に活かしてまいります。

当社グループは、サステナブルな社会の実現に向け、下表の通り3つのテーマを軸に事業活動を通じて社会に価値を提供してまいります。
(人材の育成および社内環境整備に関する方針)
当社グループは、経営理念「創和」の精神のもと、「ビューティフルライフ創造」というミッションに向かって、社員全員が使命感とプライドを共有し、自律的に行動することで、お互いを高め合うプロ集団を目指します。
人材育成方針は「長期経営ビジョン2030」の基本構想にもとづき、「組織・人材の活性化」と定めました。これらを実現するために、以下の3点を重点施策として取り組んでまいります。
・組織の再編と人材の育成
・ビジョン実現に向けたマネジメント強化
・情報共有とボトムアップによる事業運営の活性化
また、具体的な取り組みにつきましては、以下のとおり取り組んでまいります。
①人材育成とキャリア採用
・研修の実施やOJTの整備のほか、能力に見合った登用、キャリア形成のための人事ローテーションによる人材の育成施策を展開してまいります。
・事業の拡大にともない、外部から専門的知識を有する人材を確保することで、規模に見合った組織体制の整備を図ってまいります。
②従業員満足度(ES)の向上
当社グループの最大の財産である人材の育成と社員のモチベーションの維持・向上が長期経営ビジョンの成否を左右するため、仕事を通して日々感動でき、自己実現を図ることができる環境整備に努めてまいります。
〈取組内容〉
a.責任・努力・実績に応じたインセンティブ付与
b.製造と非製造、総合と専門のコース別人事制度
c.年齢・性・ジェンダーで差別のない人材の登用
d.定年延長制度の検討 他
③魅力ある職場環境の整備
当社グループでは、働きがいのある職場づくり、社員の健康およびワークライフバランスの推進等の向上に 取り組んでまいります。
〈取組内容〉
a.ダイバーシティ&インクルージョンの推進
b.人権尊重(強制労働・児童労働の排除)
c.健康経営と労働安全の推進
d.社会貢献活動等によるプレゼンス向上
当社グループでは、長期経営ビジョン・中期経営計画にもとづき、サステナビリティの重要課題を特定し、サステナビリティ委員会での活動を通じ、これらの改善に向けたPDCAサイクルとマネジメントサイクルを回しております。
各部会の取り組みの評価においては、サステナビリティ委員会でのマネジメントレビューを通じ、継続的な改善と課題の修正等を行っております。
(脱炭素化への取り組み)
当社グループでは、サステナビリティ委員会の方針にもとづき、脱炭素化に向けた定量目標を設け、取り組みを進めております。
[数値目標]
2030年 温室効果ガスを46.0%削減(対2013年度比)
2050年 温室効果ガスを80.0%削減(NETでのカーボンニュートラル実現)
[取組実績]
[今後の取り組み]
2050年度の当社グループのカーボンニュートラル実現に向けて、引き続き社員の脱炭素化に向けた認識向上策を実施するとともに、CO2排出量・熱効率の把握によるロードマップ策定、グリーン電力の段階的購入、社有車・リフトの完全電動化、各拠点への太陽光パネル等の設置、再生可能エネルギーへの燃料転換等を計画的に実行してまいります。
(ダイバーシティ&インクルージョンの推進)
当社グループでは、人材の育成および社内環境整備に関する方針で掲げた「組織・人材の活性化」を実現するため、戦略的な人事制度改革の実践にあたり、女性活躍推進法にもとづく自主行動計画を実行しております。女性管理職候補者の育成ならびに女性社員のモチベーション向上、昇進意欲喚起を目的とし、目標達成に向け各種施策を展開してまいります。
性別にかかわらず、社員の知見・経験や専門性を組織に活かすこと、また多様な人材がより活躍できる場を広げることを目指し、2022年度から5年間の行動計画に沿って女性活躍を推進してまいります。
[数値目標]
[取組実績]
※女性活躍推進の行動計画につきましては、厚生労働省のインターネットサイト「
なお、前連結会計年度より、多様な目線の価値観や就業観から創出した施策を導入することで、当社に新たなイノベーションを誘引することを目的として、ダイバーシティ推進プロジェクト「W ( - work like yourself - )」を組成いたしました。
当連結会計年度においては、法改正にともなう対応に加えて、ダイバーシティ推進プロジェクトの一環として子育て支援強化策が提案され、子を養育する社員の短時間勤務期間を、「3歳まで」から「小学校就学まで」へ延長いたしました。
[今後の取り組み]
ダイバーシティ&インクルージョンの推進と個々の能力を最大限発揮できる職場環境を整備することにより、社員が仕事に誇りをもって活き活きと働き、自己実現を図ることで、社会に新たな価値を提供することができる企業を目指してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)パルプおよび燃料価格の変動と為替変動等について
当社グループ製品の主原材料であるパルプの価格、燃料である重油およびガスの価格は、国際的な需給バランスや思惑買い等による影響を受けるとともに、海外依存度が高いことから為替相場の影響も受けます。パルプおよび燃料価格や為替相場に大きな変動がある場合は、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループといたしましては、使用可能な安価な原材料を常に調査し、様々な原材料を使いこなすことができる生産技術の向上に努めるとともに、原材料購入先をできる限り分散させることによりリスクの低減を図っております。また、為替ヘッジ等により為替変動リスクの低減を図っております。
(2)当社グループ製品の市場動向等について
当社グループは、国内外を問わず厳しい競合環境の中にあります。競合他社が廉価販売した場合や、新たな競合メーカーの台頭等により当社グループ製品の優位性を維持できない場合は、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループといたしましては、常に市場動向を注視し迅速な情報収集に努めるとともに、製品の品質、コスト等において競争力の向上に努めております。また、より機能性の高い製品開発に取り組み、他社との差別化を図ってまいります。
(3)特定の販売先について
2025年3月期の売上高に占める割合は、当社グループの主要販売先であるユニ・チャームプロダクツ株式会社に対する売上高が約22%になっております。今後、販売先の方針変更などの理由により、取引が中止もしくは大幅に縮小された場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、販売先との関係は良好であると認識しておりますが、引き続き販売先との良好な関係維持に努めるとともに、他社を凌駕する品質の確立、今までにない機能性を持った素材の開発・提案を行うことにより販売先を開拓し、リスクの低減を図ってまいります。また、現在当社グループが参入していない分野への新規参入を目指し、日々研究開発活動を推進しております。
(4)パルプ不織布生産設備の安定稼働について
当社グループのパルプ不織布の生産設備はフィンランド製で、国内では当社グループしか保有していない特殊な設備であります。特異なトラブルが発生した場合や特殊な部品を調達する必要が生じた場合には安定操業に影響を及ぼす可能性があります。このような場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
生産設備の維持管理技術は当社グループに蓄積されており、基本的には全て対応可能ですが、当社グループといたしましては、社内での保全レベルの向上を図るとともに、既存協力先との関係維持、新規協力会社の発掘に取り組んでおります。
(5)新製品の開発および新規事業の立ち上げについて
当社グループは、新製品の開発および新規事業の開拓に積極的に取り組んでおりますが、市場のニーズに適応した製品が投入できない場合や、新製品の開発や新規事業の立ち上げが遅れた場合には、当社グループの将来の成長性と収益性を低下させ、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループといたしましては、取引先との面談や新技術、新製品等の展示会への参加により情報収集および市場ニーズの把握に努めるとともに、市場ニーズに合った製品開発を綿密なスケジュールに合わせて、スピード感をもって進めております。
(6)知的財産権について
当社グループは、新たな用途開発や新たな素材を使った新製品の開発に取り組んでおりますが、今後、製品、技術等の開発において、法的権利の取得が遅れた場合、または取得できない場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては第三者の知的財産権の侵害はないと認識しておりますが、認識の範囲外で第三者の知的財産権を侵害する可能性もあります。また、当社グループが保有する知的財産権に対して何らかの侵害が生じる可能性があります。このような場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループといたしましては、研究開発活動を推進するうえで、権利取得の推進や第三者の権利の十分な調査を実施し、適正な取得、使用管理に取り組んでおります。
(7)物流体制の依存について
当社グループは、物流業務のほとんどを特定の運送業者に委託しております。このため、今後何らかの要因により同社との取引が不能となった場合、一時的ではありますが、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループといたしましては、委託運送業者との良好な関係を維持するとともに、当社グループとして最適な物流体制構築を検討してまいります。
(8)法的規制について
当社グループは、工場における製造設備に関連して「水質汚濁防止法」「大気汚染防止法」「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」等、環境保全に関する法令の適用を受けております。これらの法規制が今後強化されたり、新たな規制が導入された場合には、工場の操業や製品の安定供給に影響が生じる可能性があります。このような場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの製品は「製造物責任法」の適用を受けており、何らかの要因により人体に悪影響を及ぼすような品質上の不具合が生じた場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループといたしましては、ISO14001の認証を取得し環境保全に努めております。また、当社グループの事業に関連する法的規制については常に情報収集しており、適切な対応を図っております。
(9)火災事故および自然災害等について
①火災事故について
火災事故により生産設備に被害があり、製品の供給ができない場合や設備の復旧に多額の費用を必要とする場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループといたしましては、防災設備の充実、安全パトロールの実施、防災訓練等により災害対策に万全を期しております。
②自然災害等について
当社グループは、本社、工場および物流拠点が岐阜県に集中しております。岐阜県は東海地震、東南海地震の強化地域に近いこともあり、大規模地震が発生した場合には、当社グループの生産設備の破損や人的・物的被害の発生が懸念されます。実際に想定を超える規模の自然災害等が発生し、生産体制に支障をきたした場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループといたしましては、各施設とも可能な限りの耐震対策を講じるとともに、BCP(事業継続計画)、防災管理マニュアル、災害発生時行動マニュアル等を規定し、万が一に備えた防災訓練も実施しております。
(10)感染症の影響について
感染症・伝染病の流行で経済活動が制限された場合、サプライチェーンの分断、工場の操業停止、事業活動の停滞に伴う需要減少等により、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループといたしましては、従業員の検温・体調チェック、手洗い・うがいの徹底、リモート勤務の実施等の感染防止策を講じ安全確保をしつつ、生活必需品である不織布および紙を確実にお届けする責任を果たしてまいります。また、今後も業績への影響を注視し、新規販売先の開拓や多用途への販売拡大を進めるとともに、さらなるコスト削減に取り組むことでリスクを最小限にすべく臨機応変に対応してまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
総資産は、前連結会計年度末と比べ786百万円減少して12,309百万円となりました。負債は、前連結会計年度末と比べ1,319百万円減少して5,044百万円となりました。純資産は、前連結会計年度末と比べ533百万円増加して7,264百万円となりました。
②経営成績の状況
売上高は13,403百万円(前期比1.5%増)、営業利益は695百万円(同8.0%減)、経常利益は792百万円(同10.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は672百万円(同0.4%減)となりました。
セグメントの業績
不織布関連事業
紙関連事業
不織布関連事業の当連結会計年度の売上高は7,768百万円(前期比3.4%増)、セグメント利益は1,318百万円(同29.5%増)となりました。
紙関連事業の当連結会計年度の売上高は5,634百万円(前期比1.0%減)、セグメント利益は535百万円(同14.5%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より1,109百万円減少して799百万円となりました。営業活動により獲得した資金は52百万円(前期比1,592百万円減)、投資活動により使用した資金は487百万円(前期比474百万円増)、財務活動により使用した資金は675百万円(前期比40百万円減)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 金額は、製造原価によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
総資産は、前連結会計年度末と比べ786百万円減少して12,309百万円となりました。これは主に、機械装置及び運搬具が228百万円、商品及び製品が147百万円、原材料及び貯蔵品が99百万円、売掛金が78百万円、流動資産のその他に含まれる未収消費税等が59百万円増加したこと、現金及び預金が1,109百万円、受取手形が355百万円減少したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末と比べ1,319百万円減少して5,044百万円となりました。これは主に、電子記録債務が 540百万円、長期借入金が396百万円、流動負債のその他に含まれる未払消費税等が169百万円、1年内返済予定の長期借入金が143百万円、未払法人税等が60百万円減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末と比べ533百万円増加して7,264百万円となりました。これは主に、利益剰余金が547 百万円増加したことによるものであります。この結果、自己資本比率は59.0%となりました。
b.経営成績
当連結会計年度において、当社グループが製品を提供する外食産業市場におきましては、インバウンド需要が過去最高を記録するなど堅調に推移しておりますが、エネルギーをはじめとした輸入コストの増加や人手不足を起因とする物流費・人件費の上昇および物価高による一般消費者の節約・選別志向の高まり等により予断を許さない状況が続いております。また、衛生材料市場におきましては、高齢化の進展に伴う大人用紙おむつの需要拡大や、ライフスタイルの変化によりペットとの共生への関心が高まり、ペットシーツ市場は堅調に推移する一方、ベビー用紙おむつ市場におきましては、出生数の減少や日本製の紙おむつの需要減少等により厳しい状況が続いております。
このような状況の下、当社は医療・介護向けの衛生用品ブランド「Kireine(キレイネ)」の商品ラインアップの拡充を図るとともに、人件費や原材料価格等の高騰に見合った販売価格の修正のほか、生産効率の一層の改善等の抜本的改革を引き続き推進し、収益の確保に努めるべく、企業体質の強化を図ってまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は13,403百万円(前期比1.5%増)、営業利益は695百万円(前期比8.0%減)、経常利益は792百万円(前期比10.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は672百万円(前期比0.4%減)となりました。
不織布関連事業
パルプ不織布は、訪日外国人の増加によるインバウンド需要の回復等により主力製品である業務用クッキングペーパーの販売数量が増加し、化合繊不織布は、紙おむつ向け製品における新規販売先の獲得により、いずれも売上高は増加しました。また、販売価格の修正や原価低減を推し進めたことにより利益も増加しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は7,768百万円(前期比3.4%増)、セグメント利益は1,318百万円(同29.5%増)となりました。
紙関連事業
衛生用紙は、衛生材料市場における紙おむつ、ペットシーツ向け製品を中心に拡販活動を積極的に展開しましたが、価格修正による受注の低迷、低価格な代替素材へのシフト、販売価格の修正を上回る原材料価格の上昇等により、売上高、利益ともに減少しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は5,634百万円(前期比1.0%減)、セグメント利益は535百万円(同14.5%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より1,109百万円減少して799百万円となりました。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により獲得した資金は52百万円(前期比1,592百万円減)となりました。これは、税金等調整前当期純利益800百万円、売上債権の減少252百万円、減価償却費207百万円等による資金の増加と、仕入債務の減少479百万円、棚卸資産の増加247百万円、未払消費税等の減少169百万円、法人税等の支払額138百万円、未収消費税等の増加55百万円等による資金の減少によるものであります。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動により使用した資金は487百万円(前期比474百万円増)となりました。これは、定期預金の払戻による収入1,431百万円等による資金の増加と、定期預金の預入による支出1,431百万円、有形固定資産の取得による支出482百万円等による資金の減少によるものであります。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動により使用した資金は675百万円(前期比40百万円減)となりました。これは、長期借入金の返済による支出540百万円、配当金の支払額124百万円等によるものであります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、製品製造のための原材料・燃料の購入のほか、製造に係る労務費・経費、販管費及び一般管理費、生産設備の取得および既存設備の改善等に係る投資であります。
これらの資金需要に対し、当社グループでは、生産設備の取得および既存設備の改善等に係る資金の調達は主に金融機関からの長期借入れを基本としており、その他運転資金は主に自己資金を充当することを基本としております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定にもとづく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループは、「衛生・安心・快適」の価値を提供するため、独自性の高い製品を上市すべく、幅広い用途開発や高付加価値製品の開発に取り組んでおります。
現在、衛生材料分野、外食産業分野、医療・介護分野向けの開発を進めるとともに、SDGsの市場変化を見据え、各分野向けの素材は、環境対応素材等への転換に向けた開発を進めております。
開発・営業・製造の各部門が密接に連携し、市場のニーズに迅速かつ的確に対応できる体制を強化するとともに、主要販売先、協力会社(加工メーカー)、外部の研究機関とも連携して、共同での研究開発活動を進めております。
当連結会計年度における研究開発費は
なお、上記の研究開発費の金額は特定のセグメントに関連付けられないため、セグメント別の記載は行っておりません。
セグメントごとの研究開発実績は、次のとおりであります。
パルプ不織布においては、主に外食産業用資材、日用品等をテーマとした開発に取り組んでおります。当連結会計年度においては、環境配慮素材(脱プラ、バイオマス、生分解素材等)の開発を進めながら、新たに、新規事業に向け、協力会社と機能性素材をベースとした衛生用品、日用品の加工商品の開発にも取り組んでおります。自社製品ブランド「Kireine」として当社パルプ不織布技術をベースにした3製品を販売開始しました。
化合繊不織布においては、主に衛生材料用資材を対象とした開発に取り組んでおり、当連結会計年度においては、お客様の要求品質(環境配慮、高機能化)に対応した製品を開発し、採用頂いております。
衛生用紙においては、機能性素材(消臭)を配合した特殊紙の開発を行い、新たに採用につながりました。SDGsの取り組みとして循環型リサイクルに貢献するため、大手衛材メーカーと使用済み紙パンツから再生されたパルプを配合した紙パンツ用原紙の開発に取り組み、新たな用途開拓につながりました。さらなる機能向上に向けた開発を進めております。