(1)業績
当連結会計年度における当社グループは、平成26年度にスタートした第三次中期経営計画のもと、「変革への挑戦、そして未来へ」を基本テーマに、5つの重点項目「新商品の開発、新規分野への進出、海外展開、他社・他産業との部分提携、基盤事業の構造改革」に向けた諸施策を推進してまいりました。
特殊素材事業におきましては、開発テーマ「NaSFA(ナスファ)」のもと、ナノ素材であるセルロースナノファイバー(CNF)の検討を大学との共同開発を含め、進めています。また、新規偽造防止技術の確立、技術融合型機能紙の開発等を引き続き推進しております。
加えて、次世代の柱となる事業を立ち上げるため新たなシートの開発に注力するなど、様々なニーズに対応した新規テーマにも積極的に取り組んでおります。
産業素材事業におきましては、平成28年1月に当社島田工場チップサイロの再建工事が完了しました。また、島田工場では購入電力量の抑制やCO2排出量の削減を目的とした新バイオマスボイラーの建設を進めており、平成29年1月の完成、運転開始を目指しております。
生活商品事業におきましては、連結子会社の㈱トライフにて新タオル抄紙機1号機が昨年2月に稼働しました。これに続き平成28年3月には、多品種の製品を生産可能とする新タオル抄紙機2号機が完成しました。
以上により、当連結会計年度の業績は、売上高は78,460百万円(前年同期比0.5%減)とほぼ横ばいとなりましたが、営業利益は3,750百万円(前年同期比51.4%増)、経常利益は3,926百万円(前年同期比42.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,498百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益204百万円)の増益となりました。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
①産業素材事業
主力製品である段ボール原紙は、特定需要商品等が低調に推移し、販売数量が前年同期を下回りました。クラフト紙につきましては、季節需要商品等の販売数量が前年同期を下回りました。その一方で、成長戦略として昨年2月に更新工事が完了した赤松水力発電所が利益に寄与しました。
この結果、当セグメントの売上高は37,938百万円(前年同期比0.9%減)、営業利益は907百万円(前年同期は営業利益60百万円)となりました。
②特殊素材事業
特殊機能紙は、電子化の進行等の影響を受け、販売数量は減少しましたが、プレミアム付き商品券の特需等が寄与して、売上は堅調に推移しました。一方、特殊印刷用紙は、新製品「エアラス」の拡販に努め、高級印刷用紙の売上は増加傾向にあるものの、出版向けの需要減少等により、ファンシーペーパーの販売が減少し、販売数量は前年同期を下回りました。
この結果、当セグメントの売上高は22,098百万円(前年同期比0.3%増)、営業利益は2,439百万円(前年同期比13.0%増)となりました。
③生活商品事業
ペーパータオルは、販売先ごとのきめ細かな営業活動等により、販売数量は前年同期を上回り、販売価格は、ほぼ横ばいで推移しました。トイレットペーパーにつきましては、販売数量は前年同期並みでしたが、価格の維持に努めた結果、堅調に推移しました。
この結果、当セグメントの売上高は16,940百万円(前年同期比0.6%増)、営業利益は538百万円(前年同期比27.1%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は9,017百万円となり、前連結会計年度末に比べ592百万円の増加となりました。
連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は8,622百万円となり、前連結会計年度に比べ833百万円の増加となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益の増加であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は7,097百万円となり、前連結会計年度に比べ1,140百万円の減少となりました。主な要因は、投資有価証券の売却であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は928百万円となり、前連結会計年度に比べ1,532百万円の増加となりました。主な要因は、有利子負債の減少であります。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
生産高(百万円)
|
前年同期比(%) |
|
産業素材事業 |
45,932 |
△5.9 |
|
特殊素材事業 |
19,224 |
0.2 |
|
生活商品事業 |
15,333 |
△15.6 |
|
報告セグメント計 |
80,489 |
△6.6 |
|
その他 |
- |
- |
|
合計 |
80,489 |
△6.6 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっており、自社利用分も含まれております。
3 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
その他 |
1,578 |
7.3 |
882 |
10.3 |
(注)1 受注実績は、その他のうち土木・造園工事について記載しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円)
|
前年同期比(%) |
|
産業素材事業 |
37,938 |
△0.9 |
|
特殊素材事業 |
22,098 |
0.3 |
|
生活商品事業 |
16,940 |
0.6 |
|
報告セグメント計 |
76,977 |
△0.2 |
|
その他 |
1,483 |
△12.2 |
|
合計 |
78,460 |
△0.5 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
||
|
販売高(百万円) |
割合(%) |
販売高(百万円) |
割合(%) |
|
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三菱商事株式会社 |
16,221 |
20.6 |
15,944 |
20.3 |
3 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(1)組織活性化
平成28年4月1日に代表取締役社長をはじめとした経営体制の大幅な刷新を図りました。
新経営体制の発足にあたり、経営方針「ユニークな中堅メーカーとしての強みを生かして、顧客満足度の最大化を推進し、利益の最大化を目指す」を掲げ、その実現に向けてスタートしております。
当社グループが中堅メーカーとしての強みを活かすための重要なキーワードとして「小回り・スピード・ニッチ・横のコミュニケーション・全社一丸」の5項目を掲げ、経営方針の達成に向けてカンパニー制を導入しました。これまでの3事業グループ制を3事業カンパニー制に改編すると共に、従来以上の責任と権限をカンパニーCEOに移譲することにより、経営のスピードアップを図ってまいります。
また、「技術と品質の特種東海製紙」を標榜し、顧客からの信頼を確立すべく、カンパニーには属さない品質保証センターを設置し、横断的な品質監視体制を推進してまいります。さらに、「新商品の開発」「新規事業の推進」「新市場としての海外展開」を実現するため、フィブリック事業本部・研究開発センター・海外事業本部を加えた2事業本部2センターを社長直轄としております。
(2)新商品の開発
当社グループでは、4つのフューチャーテクノロジー(ナノテクノロジー・偽造防止技術・技術融合・新加工技術)をターゲットに定め、各頭文字をとり開発テーマ名を「NaSFA」と命名しております。このテーマのもと、増設したコーターヘッドの活用と低密度化技術の応用、産学連携による黒透かし技術の共同開発、グループ各社の多彩な技術の融合などによる新商品の開発に取り組んでまいります。また、大学・研究機関との連携強化、新設備の導入などによる新技術の探索にも取り組んでまいります。
(3)新規事業の推進
フィブリック(リチウムイオン二次電池用セパレータ)をはじめ、新たなシート状物の開発など製紙関連技術の応用に加え、新タオルマシンによるタオル製品のバリエーション強化と新たな高付加価値製品の模索、社有林の有効活用を目的とした「南アルプス事業本部」の設置など、新規分野への進出に取り組んでまいります。
(4)海外事業の推進
今後も高い成長が期待できるアジア地域を中心として、当社技術と現地製紙メーカーの設備や販売チャネルとを組み合わせることで新商品の開発・販売に取り組んでまいります。また、当社特有の技術を活かし、海外メーカーと紙以外の新しいシート状物の開発にも取り組んでまいります。
(5)他社・他産業との部分提携
当社は平成28年4月25日に日本製紙株式会社と、段ボール原紙及び重袋用・一般両更クラフト紙事業の更なる強化を実現すべく、島田工場の分社化及び新製造会社への日本製紙株式会社による出資並びに両社販売機能の統合に係る統合契約を締結し、平成28年10月の事業提携開始に向け準備を進めてまいります。シナジーを追求し、本事業における競争力強化と両社の本事業の成長および発展を図ってまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)製品市況の変動
当社グループは、紙パルプの製造販売及び加工を主な事業としており、これら産業素材事業、特殊素材事業及び生活商品事業の売上高の連結売上高に占める割合は、平成28年3月期に98.1%となっております。これらの製品市況が全て同時に変動するわけではありませんが、諸要因により、この製品市況に変動があった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)原燃料価格の変動
当社グループの主な事業である製紙事業の原燃料である古紙、チップ、パルプ及び重油等は、国際市況や国内需給の影響を大きく受けるため、その影響により原燃料価格が変動した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)取引先の信用リスク
当社グループの取引先の経営状況が、市場の変動や業界再編成などにより財務上の問題に直面した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)海外情勢の影響
当社グループは、原燃料であるチップ、パルプ及び重油の多くを海外より調達しております。このため、現地の政情や治安の不安定化、法令や政策の変更、経済状況の悪化等の事業環境に変化が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)為替の変動
当社グループは、海外より調達する原燃料の購入に際して為替変動による影響を受けます。このため、為替予約等のリスクヘッジを行い為替変動の影響を軽減すべく努めておりますが、影響を全て排除することは不可能であります。
(6)金利の変動
当社グループは、設備投資に関する資金及び運転資金を、主として金融機関からの借入により調達しており、総資産に対する有利子負債の比率が平成28年3月末では32.2%となっております。その有利子負債のうち変動金利分について、金利の上昇等があった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7)環境関連の法的規制
当社グループは、各種事業において環境関連の法規制の適用を受けております。このため、これらの規制の改定等に対応することにより、生産活動が制限されたり、高額な費用負担や環境対策設備の設置等、コストの増加につながることがあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8)災害や感染症及び事故による影響
当社グループは、製造ラインの突発的な中断による潜在的なマイナス影響を最小限にするため、定期的な予防保全を行っております。また、感染症や、災害事故等不測の事態発生に備え、影響を最小限にするための教育・訓練等を実施しており、特に地震対策については、当社内に緊急時の対応組織を設け、臨機応変に対応することにしております。しかし、これらの影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。また、当社グループの工場及び施設の多くは静岡県にあり、大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9)購入電力の価格による影響
平成23年3月11日に発生した東日本大震災の影響により、多くの原子力発電所が運転を停止したままであり、わが国における電力供給が震災前の安定感を取り戻したとは言えません。
当社グループの工場及び施設の多くは、東京電力及び中部電力の管轄内にあります。よって、これら電力会社からの購入電力価格の上昇等があった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社は平成27年10月7日に日本製紙株式会社(以下「日本製紙」といいます。)との間で、段ボール原紙及び重袋用・一般両更クラフト紙事業(以下「本事業」といいます。)の更なる強化を実現すべく、当社島田工場(以下「島田工場」といいます。)の分社化及び新製造会社(島田工場の分社化のために当社が設立した準備会社。以下「新製造会社」といいます。)への日本製紙による出資並びに本事業における当社及び日本製紙の販売機能の統合(上記一連の取引を以下「本事業提携」と総称します。)に係る基本合意書(以下「本基本合意書」といいます。)を締結いたしました。
本基本合意書に基づき、両社は対等の精神に則り、本事業提携の実現に向けて協議を重ねて参りましたが、両社は、平成28年4月25日に開催いたしました両社取締役会における決議を経て、同日付で、本事業提携に関連する諸条件を定めた統合契約及び新製造会社と新販売会社(平成28年8月中旬迄を目処に、両社の販売機能の統合のために日本製紙が設立する予定の準備会社。)を共同して運営することについて合意した株主間契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(注記事項) (重要な後発事象)」をご覧ください。
当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発活動は、原材料の開発、製品開発と生産工程に関わる技術開発に重点をおいて行っております。また、4つの技術力(NaSFA(①ナノテクノロジー(FIBLIC(リチウムイオン二次電池向けセパレータ)の開発、TT-除染シート(放射性物質吸着シート)セルロースナノファイバーの開発)、②偽造防止技術、③技術融合、④新規加工技術(エアラス(高級印刷用紙))、新規事業分野への進出に取り組んでおります。
現在の研究開発は当社のフィブリック事業本部及び総合開発センター研究開発本部において推進されております。研究開発スタッフは、グループ全員で44名にのぼり、これは総従業員の約3%に相当します。
当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は711百万円でありますが、セグメント別の研究開発費につきましては、特定のセグメントに区分することが困難なため、記載しておりません。
(1)産業素材事業
産業素材事業では、ライナー、中芯、クラフト紙の品質改善とコストダウンに注力しております。原材料・処方・設備などの全ての面で見直しを行っております。
(2)特殊素材事業
特殊素材事業では、新規加工技術による商品開発、新規事業分野進出に力をいれております。国内事業においては、主力商品のファンシーペーパー、高級印刷用紙、偽造防止用紙、圧着ハガキ用紙において、商品開発に力を注いでおります。今期は、昨年製品化に成功したエアラスの厚口の開発に成功しました。それ以外にも新規の情報用紙、新規のファンシーペーパー等、計3件の新商品開発に成功しました。放射性物質除去シート(TT-除染シート)は備蓄用土嚢として採用いただき、また最終処分場等でも継続的に使用いただいています。更に、福島第一原発の排水路に放射性物質漏洩防止フィルターとして試験的に設置されました。
(3)生活商品事業
生活商品事業では、新たに導入した新抄紙機(N2)へ対応すべく検討を進め、新抄紙機立ち上げに貢献しました。また、新抄紙機を含め、シート製造技術、加工技術の技術融合の一環として、新たな商品開発を進めています。
(4) 知的財産について
期間中に出願した特許等の知財の件数は31件(特許24件、商標7件)、登録された特許等の知財の件数は13件(特許8件、商標5件)となりました。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
(2)当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、126,945百万円となり、前連結会計年度末に比べて84百万円の増加となりました。主な要因は、有形固定資産の増加によるものであります。
負債は、62,410百万円となり、前連結会計年度末に比べて553百万円の減少となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金の減少によるものであります。
純資産は、64,535百万円となり、前連結会計年度末に比べて637百万円の増加となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものであります。自己資本比率は50.4%となり、前連結会計年度末に比べて0.3ポイント上昇しました。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」に記載のとおりであります。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(5)経営戦略の現状と見通し
「第2 事業の状況 3 対処すべき課題」に記載のとおりであります。
(6)資本の財源及び流動性についての分析
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(7)経営者の問題意識と今後の方針について
「第2 事業の状況 3 対処すべき課題」に記載のとおりであります。