以下各項目の記載金額は、消費税等抜きのものである。
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策や日銀の金融緩和政策を背景に企業収益や雇用情勢が改善するなど、緩やかな回復基調で推移したが、個人消費の伸び悩みや、中国をはじめとする海外経済の減速に加え、年初からの為替相場や株式市場の変動の影響もあり、本格的な回復には至らなかった。
印刷業界においては、出版印刷物をはじめとした紙媒体の需要減少に加え、競争激化による受注単価の下落などにより、引き続き厳しい経営環境にあった。
このような状況のなか、DNPは、経営の基本方針として平成13年に策定した「DNPグループ21世紀ビジョン」を見直し、昨年10月に「DNPグループビジョン2015」を定めた。このなかで、企業理念を「DNPグループは、人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する。」こととし、事業ビジョンに「P&Iイノベーションにより、4つの成長領域を軸に事業を拡げていく。」ことを掲げた。
4つの成長領域のうち、「知とコミュニケーション」の領域では、情報セキュリティ関連の製品・サービスの開発や提供を加速させるため、昨年5月、スマートフォンなどのアプリ改ざん防止用のソフトウェアを提供する「株式会社ハイパーテック」の全株式を取得した。今年3月には、増大する標的型サイバー攻撃への対策要員を訓練・養成するアカデミーの運営会社「株式会社サイバーナレッジアカデミー」を設立した。また、昨年8月には、さまざまなコンテンツの画像データの保管や加工、販売用ウェブサイトの運用、高画質プリントや配送などの機能を提供するサービス「DNPクラウド型画像販売ソリューション Imaging Mall(イメージング モール)」を開始した。
「食とヘルスケア」の領域では、高い光反射性で光合成を促し、適度な保湿性能と防汚性などで植物の育成を促進する「DNP農業用フィルム」など、DNPの材料加工技術を活かした製品開発による新規事業の開拓に注力した。また、医療用画像管理システム大手の「PSP株式会社」とは、平成26年12月の業務・資本提携に続いて、今年3月に株式を追加取得し、持分法適用会社とした。今後、病気の原因究明につながる画像解析技術の開発を加速させるなど、ライフサイエンス分野の事業拡大を目指している。
「住まいとモビリティ」の領域では、昨年8月に「田村プラスチック製品株式会社」の全株式を取得し、自動車分野向けに、同社の樹脂成形技術とDNPのハードコート転写フィルムや加飾フィルムなどの技術を組み合わせ、競争力の高い新製品開発を進めている。
「環境とエネルギー」の領域では、昨年10月に、窓からの太陽光を天井などに効果的に反射、拡散させて、室内全体を明るくする「DNP採光フィルム」を発売するなど、省エネやCO2排出量の削減に役立つ製品を開発・提供している。
この新たな経営の基本方針に基づき、4つの成長領域を中心に、グループを挙げて既存の事業の価値を高めるとともに新規ビジネスの開発に注力し、新しい価値の創造による事業拡大に努めた。
その結果、当連結会計年度の売上高は1兆4,559億円(前期比0.4%減)、営業利益は454億円(前期比5.6%減)、経常利益は526億円(前期比2.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は335億円(前期比24.8%増)となった。
セグメントごとの業績は、次のとおりである。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分方法を変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいている。
〔印刷事業〕
(情報コミュニケーション部門)
出版印刷関連は、出版市場の低迷が続くなか、積極的な営業活動によって書籍は前年を上回ったが、雑誌の減少の影響が大きく、全体としては前年を下回った。
商業印刷関連は、チラシやカタログなどの印刷物は低調に推移したが、POPなどの販促ツールが増加し、前年とほぼ同水準を確保した。
ビジネスフォーム関連は、社員や顧客の個人情報の安全かつ適切な管理に対する企業ニーズの高まりを背景に、パーソナルメール等のデータ入力・印刷・発送などを行うIPS(Information Processing Services)や電子マネー向けなどのICカードが増加した。このICカード事業では、平成26年3月に行ったベトナム最大手のカードメーカー「MK SMART社」との業務・資本提携に続き、当期は、インドネシアのキャッシュカード製造・販売最大手である「Wahyu Kartumasindo International(ワヒューカルトマシンドインターナショナル)社」と合弁会社を設立するなど、東南アジア地域における競争力強化を図り、グローバルな事業展開を加速させている。
イメージングコミュニケーション事業では、証明写真機「Ki-Re-i(キレイ)」を使って、顔写真の撮影から、高セキュリティな通信環境によるマイナンバーの個人番号カードの申請まで行えるサービスをスタートさせた。また、北米や東南アジアでの写真プリント用の需要拡大によって、昇華型熱転写記録材(カラーインクリボンと受像紙)が好調に推移し、前年を大きく上回った。
教育・出版流通事業は、書店での販売とネット通販、電子書籍販売サービスを連携させたハイブリッド型総合書店「honto」が順調に推移した。また、業務効率化や利用者向けサービスの向上に努める図書館サポート事業が、受託館数の増加によって拡大するなど、前年を上回った。
その結果、部門全体の売上高は8,216億円(前期比4.0%増)、営業利益は293億円(前期比32.3%増)となった。
(生活・産業部門)
包装関連は、紙カップやプラスチック成型品が増加したが、紙のパッケージやフィルムのパッケージのほか、ペットボトル用無菌充填システムの販売が減少したことにより、前年を下回った。
住空間マテリアル関連は、DNP独自のEB(Electron Beam)コーティング技術を活かした環境配慮製品などの販売や海外市場の開拓に注力したが、住宅建設需要の回復の遅れにより、前年を下回った。なお、一部の製品の不具合により、補修対策を実施した。
産業資材関連は、太陽電池用部材、リチウムイオン電池用部材がともに好調に推移し、前年を上回った。
その結果、部門全体の売上高は3,826億円(前期比1.5%減)、営業利益は125億円(前期比7.9%減)となった。
(エレクトロニクス部門)
ディスプレイ関連製品事業は、次世代ディスプレイとして期待される有機ELディスプレイの製造に使用する蒸着マスク(メタルマスク)が順調に推移したが、液晶ディスプレイ用カラーフィルターは、スマートフォンやタブレット端末向けの中小型品及びテレビ向けの大型品がともに減少し、前年を下回った。また、光学フィルムは主力の反射防止フィルムが減少し、前年を下回った。
電子デバイス事業は、半導体製品用フォトマスクは、海外向けは増加したものの国内向けが伸び悩み、またリードフレームも減少して、前年を下回った。
その結果、部門全体の売上高は1,993億円(前期比13.4%減)、営業利益は205億円(前期比20.8%減)となった。
〔清涼飲料事業〕
(清涼飲料部門)
清涼飲料業界では、価格競争によるメーカー間のシェア争いなどで厳しい市場環境が続いたが、新ボトル缶の投入やリニューアルによる主要ブランド商品の強化、エリアマーケティングを活かした自動販売機事業の推進など、既存市場でのシェア拡大と新規顧客の獲得に努めた。
その結果、新抽出技術を採用したコーヒー飲料や、主力ブランド「綾鷹」などのティー飲料が増加したが、北海道地域以外のグループボトラーへの販売減少に加え、「コカ・コーラ」やスポーツ飲料が減少し、部門全体の売上高は580億円(前期比2.6%減)、営業利益は9億円(前期比8.0%減)となった。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,755億円(前期比17.5%減)となり、前連結会計年度末より372億円減少した。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は726億円(前期比15.3%減)となった。これは、税金等調整前当期純利益548億円、減価償却費653億円等によるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は608億円(前期比20.5%増)となった。これは、有形固定資産の取得による支出644億円等によるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の減少は471億円(前期比97.6%増)となった。これは、配当金の支払額208億円、自己株式の取得200億円等によるものである。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
情報コミュニケーション部門 | 537,186 | 4.8% |
生活・産業部門 | 309,169 | 1.2% |
エレクトロニクス部門 | 185,719 | △12.5% |
清涼飲料部門 | 42,812 | 0.0% |
合 計 | 1,074,887 | 0.2% |
(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去している。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていない。
3.当連結会計年度より報告セグメントの区分方法を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後の区分に組み替えた数値で比較している。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
なお、清涼飲料部門においては、受注を主体とした生産を行っていないため、受注状況の記載を省略している。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
情報コミュニケーション部門 | 664,009 | 4.5% | 108,532 | 2.5% |
生活・産業部門 | 388,444 | △1.0% | 74,388 | 11.6% |
エレクトロニクス部門 | 193,862 | △15.9% | 17,567 | △21.8% |
合 計 | 1,246,315 | △1.0% | 200,488 | 2.8% |
(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去している。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていない。
3.当連結会計年度より報告セグメントの区分方法を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後の区分に組み替えた数値で比較している。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
情報コミュニケーション部門 | 816,875 | 4.1% |
生活・産業部門 | 381,647 | △1.5% |
エレクトロニクス部門 | 199,330 | △13.4% |
清涼飲料部門 | 58,062 | △2.6% |
合 計 | 1,455,916 | △0.4% |
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去している。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていない。
3.当連結会計年度より報告セグメントの区分方法を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後の区分に組み替えた数値で比較している。
今後の見通しについては、政府や日銀の各種施策の効果などによる企業業績の向上と雇用・所得環境の改善によって、景気は緩やかに回復するものと期待されている。一方、海外については依然として景気減速の影響などが懸念され、先行き不透明な状況が予想される。印刷業界においては、需要の伸び悩みや競争激化による受注単価の下落などが見込まれ、引き続き厳しい状況が予想される。
このような状況のなかで、DNPは「知とコミュニケーション」「食とヘルスケア」「住まいとモビリティ」「環境とエネルギー」という4つの成長領域において、DNPの強みである「P&I(Printing & Information)」を活かし、新しい価値の創造に注力している。
「知とコミュニケーション」では、情報化社会における安全・安心な情報伝達によって暮らしを支え、文化を育む取り組みを進める。情報メディアやコンテンツの制作だけでなく、必要な情報を必要なときに必要なカタチで安全・安心にやり取りできる情報プラットフォームの提供なども推進する。
「食とヘルスケア」では、超高齢社会において、安全で質の高い生活を支え、生涯にわたる健康維持をサポートする製品やサービスの開発に取り組む。食品や飲料、医薬品向けのパッケージに加え、再生医療などのライフサイエンスや農業などの分野にも事業を広げていく。
「住まいとモビリティ」では、住宅やオフィス、医療施設や自動車、鉄道車両などのさまざまな空間で、高い快適性と安全、安心な暮らしを実現するサービスを提供していく。
「環境とエネルギー」については、経済的発展と環境保全を両立させる持続可能な社会の実現に取り組む。省資源、省エネルギー、リサイクルを考慮した環境配慮製品や、エネルギーマネジメントなどのソリューションを提供していく。
これらの成長領域を中心に、DNPの強みを活かした製品・サービスや仕組みを提供して、事業の拡大を図っていく。
DNPは、企業としての社会的責任(CSR)を果たし、あらゆるステークホルダーに新しい価値を提供していくうえで、コーポレート・ガバナンスの充実が重要と考えている。的確な経営の意思決定と、それに基づく適正かつ迅速な業務執行、そしてそれらを監督・監査する体制を構築・運用するとともに、社員一人ひとりのコンプライアンス意識を高めるための研修や教育を徹底している。
またDNPは、「価値の創造」「誠実な行動」「高い透明性(説明責任)」を企業が果たすべき3つの責任と捉え、その実践に努めている。これらの責任を果たすため、「DNPグループ行動規範」に基づいた活動を徹底するとともに、内部統制システムを整備して業務の適正性を確保し、株主の皆様や顧客企業、生活者、社員など、さまざまなステークホルダーから高い信頼を得られるよう、誠実な企業活動に努めていく。
<各事業部門における取り組み>
〔印刷事業〕
(情報コミュニケーション部門)
当部門では、高度な印刷技術や情報セキュリティ技術などにより、情報の最適な表現と多様なメディアへの展開に取り組み、生活者と企業に新しい価値を提供していく。
出版関連事業においては、出版社との連携をさらに深め、各種出版物の企画から制作、流通・販売、コンテンツの二次利用や海外展開など、出版に関するあらゆるビジネスを推進していく。
情報イノベーション事業では、DNP柏データセンターや国内5箇所のBPO(Business Process Outsourcing)センターなど、高度な情報セキュリティ環境を備えたインフラを活用し、国際ブランドプリペイドや決済連動マーケティング関連のサービス、企業の業務プロセスを代行するBPOサービスなど、付加価値の高い多様なサービスを提供していく。今年4月には、情報ソリューション事業部とC&I(Communication & Information)事業部を統合し、新たに情報イノベーション事業部とした。これによって、マーケティングと決済サービスのさらなる融合をはじめ、ICT(Information Communication Technology)分野やBPO分野で連携を強化し、新たなビジネスモデルを開発していく。
イメージングコミュニケーション事業については、写真プリントやフォトアルバムなどの生活者ニーズの拡大に対応するほか、ITを活用して企業と生活者をつなぐ新たなサービスを提供していく。
なお、当部門における各事業について、その名称が事業内容や体制に、より一層即したものとするため、従来の表記を見直し、その一部を変更している。
(生活・産業部門)
当部門では、地球環境への配慮やユニバーサルデザインへの対応などを進め、企業や生活者の多様なニーズに的確に応える製品・サービスを国内外に提供していく。
包装事業では、水蒸気や酸素などに対するバリア性に優れた「DNP透明蒸着フィルム(IB〔Innovative Barrier〕フィルム)」シリーズや、植物由来の原料を使用した「DNPバイオマスプラスチック包材 バイオマテック」シリーズなどの高機能製品のシェア拡大を図っていく。特にASEAN市場では、昭和47年からインドネシアで包装材の製造・販売を行っており、日用品や食品などの分野で同国のトップシェアを獲得している。平成25年5月にはベトナム工場を開設しており、これらの拠点を活用して、海外進出する日系企業やグローバル企業に付加価値の高い製品とサービスを提供していく。
住空間マテリアル事業では、DNP独自のEB(Electron Beam)コーティング技術などを活用した高付加価値製品のほか、感性工学等を活用した心地よい空間の設計や居住環境の評価測定、より施工しやすい工法の開発など、快適な住空間の全てに関わる事業を展開していく。また新製品として、光を効果的に反射・拡散させて省電力を実現する金属パネルなどを開発していくほか、グローバルな販売網を活かし、欧米や新興国でのシェア拡大も図っていく。
(エレクトロニクス部門)
当部門では、保有技術の高度化と融合、新たなコア技術の開発などを進め、変化する企業や生活者のニーズを先取りするような製品やサービス、システムを提供していく。また、国内外の市場環境の変化を見極めて、製造設備の最適化や生産・開発体制の見直しなど、コスト構造改革を推進していく。
ディスプレイ関連製品事業では、高精細スマートフォンや4K・8Kテレビ、車載ディスプレイなどに向けて、 DNPが強みとする加工技術や材料技術を活用し、高精細と広色域、大型化と軽量・薄型化、省エネルギー化や高機能化などの多様なニーズに対応した新製品を開発していく。光学フィルムについては、クリーンな製造環境で素材を加工するコンバーティング技術を活かして、薄型ディスプレイ向けを中心とした新製品開発に注力していく。また、有機ELディスプレイ関連では、DNP独自の高度なフォトリソグラフィ技術やエッチング技術を活かした蒸着マスク(メタルマスク)について、需要の拡大に対応して生産能力を増強し、高い市場シェアを維持・向上していく。
電子デバイス事業では、半導体製品用フォトマスクについて、微細化や低コスト化という半導体メーカーのニーズに応え、ナノインプリントやEUV(Extreme Ultra Violet:極端紫外線)露光などの次世代微細加工技術の実用化に取り組み、10nm(ナノメートル)台の最先端品の開発・供給体制を整備していく。
〔清涼飲料事業〕
(清涼飲料部門)
清涼飲料業界では、シェア争いが激化するなかで、収益確保が厳しさを増していくと予想される。そのなかで、「グローバルレベルでのブランド力を持つコカ・コーラビジネスを通して、道産子企業としての地域密着力で競合を圧倒し、常に新しい価値やサービスを提供することで地元北海道に貢献し、持続的成長可能な経営基盤を実現する」というビジョンに基づき、「シェアアップ」「競合を圧倒する」「グループ総コスト削減」の3つの戦略を遂行していく。
<事業体制の強化>
DNPは、「対話と協働」を行動指針として掲げ、事業部門間の連携を一層強化してグループとしての総合力を高めるとともに、企業や生活者との対話を深めて、新しい価値の提供に努めていく。
事業拡大に向けて、今後も国内外を問わずさまざまな強みを持った企業との連携を推進していく。
また、事業ビジョンの一層の推進を目指して、東京・市谷地区の再開発を進めている。東京近郊に分散している各事業部門の企画や営業及び本社の機能をこの地区に集約するとともに、新規事業開発の強化や、製造・物流体制の見直しを進めていく。昨年8月には、この計画の中核となる「DNP市谷加賀町ビル」が完成するなど、「対話と協働」を促進して新しい価値を創造していくための基盤整備に力を入れている。
<事業継続計画(BCP)の強化>
DNPは、「DNPグループ災害対策基本規程」を定め、平時から防災計画に基づく予防対策を推進して、“災害に強いDNPグループ”の構築に取り組んでいる。東日本大震災後には、事業継続計画を見直し、製品のサプライチェーン全体を強化するため、物流や代替生産の体制整備、国内外の製造拠点の再配置などを実施し、災害や異常気象による事業への影響を最小限に抑えるよう努めている。また、節電の徹底や自家発電装置の導入なども進めていく。
<持続可能な社会の実現への貢献>
環境問題に関しては、気温の上昇や水不足など、世界的な気候変動に対する懸念が拡大している。DNPは、自然と共生する持続可能な社会の実現に向けて、独自の環境マネジメントシステムを構築し、地球温暖化防止、廃棄物の削減、水使用量削減、生物多様性の保全、揮発性有機溶剤の排出抑制や化学物質の管理の徹底、環境配慮製品・サービスの開発、グリーン購入などに積極的に取り組んでいる。
DNPは、地球温暖化防止の取り組みを一層進めるため、温室効果ガス排出量削減の2030年度目標を定めている。また、自社の製造段階だけでなく、間接的な排出も含めたサプライチェーン全体での温室効果ガス排出量(Scope3)を国内外で算定し、温室効果ガス排出量のグローバルな削減への取り組みを行っている。
生物多様性の保全に関しては、事業活動を行う上で生態系への依存と影響が大きく、気候変動や森林資源とも関わりが深い用紙について、調達のガイドラインを制定してサプライヤーと協働で取り組みを進めている。また、自社の敷地を活用して、その周辺と生き物がつながる緑地づくりを進めている。
このような取り組みが評価され、世界の機関投資家が関心を寄せているCDP*の最高評価「Aリスト」に2年連続で認定された(日本企業では8社が「Aリスト」に認定された)。
*CDP : 企業や都市の重要な環境情報を測定、開示、管理し、共有するためにグローバルシステムを提供するイギリスの国際的な非営利団体
株式会社の支配に関する基本方針
当社は、株式を上場して市場での自由な取引に委ねているため、会社を支配する者のあり方は、最終的には株主全体の意思に基づいて決定されるべきであり、会社の支配権の移転を伴う買収提案に応じるか否かの判断についても、最終的には、株主全体の意思に基づいて行われるべきものと考えている。
しかし、当社株式の大量買付行為の中には、大量買付者のみが他の株主の犠牲の上に利益を得るような大量買付行為、株主が買付けに応じるか否かの判断をするために合理的に必要な期間・情報を与えない大量買付行為、大量買付け後の経営の提案が不適切である大量買付行為、大量買付者の買付価格が不当に低い大量買付行為等、株主共同の利益を毀損するものもあり得る。
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方として、当社の企業理念を理解し、当社の様々なステークホルダーとの信頼関係を築きながら、企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保・向上させることができる者でなければならないと考えている。したがって、企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大量買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えている。
この基本方針に基づき、当社株式の大量買付けが行われる場合の手続を定め、株主が適切な判断をするために必要かつ十分な情報と時間を確保するとともに、大量買付者との交渉の機会を確保することで、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上に資するために、当社は、買収防衛策を導入しており、平成28年6月29日開催の当社第122期定時株主総会において継続の承認を得た(以下、継続後のプランを「本プラン」)。本プランの概要は次のとおりである。
株券等保有割合が20%以上となる当社株式の買付け等をする者(以下「買付者」)は、買付行為を開始する前に、本プランに従う旨の買付説明書、及び買付内容の検討に必要な、買付者の詳細、買付目的、買付方法その他の情報を、当社に提出するものとする。
下記(3)に記載された独立委員会(以下「独立委員会」)は、買付者より提出された情報が不十分であると判断した場合は、買付者に対して、回答期限(最長60日)を定めて、追加的に情報を提供するよう求めることがある。また、当社取締役会に対して、回答期限(最長30日)を定めて、買付けに対する意見、代替案等の提示を求めることがある。
独立委員会は、買付者及び当社取締役会から情報を受領した後60日間の評価期間をとり、受領した情報の検討を行う。なお、独立委員会は、買付者の買付け等の内容の検討、買付者との協議・交渉、代替案の作成等に必要とされる合理的な範囲内(最長30日)で期間延長の決議を行うことがある。
当社は、買付説明書が提出された事実及び買付者より提供された情報のうち独立委員会が適切と判断する事項等を、独立委員会が適切と判断する時点で株主に開示する。
独立委員会は、買付者が本プランに従うことなく買付け等を開始したと認められる場合、又は独立委員会における検討の結果、買付者の買付け等が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を害するおそれがあると判断した場合は、当社取締役会に対して、本プランの発動(新株予約権の無償割当て)を勧告する。なお、独立委員会は当該勧告にあたり、本プランの発動に関して事前に株主総会の承認を得るべき旨の留保を付すことがある。
当社取締役会は、独立委員会からの勧告を最大限尊重して、新株予約権の無償割当ての実施又は不実施に関して決議する。なお、当該決議を行った場合は、速やかに、当該決議の概要の情報開示を行う。
買付者は、当社取締役会が新株予約権の無償割当ての不実施を決議した後に、買付け等を開始するものとする。
本プランを適正に運用し、取締役の恣意性を排するためのチェック機関として、独立委員会を設置する。独立委員会の委員は3名以上とし、公正で客観的な判断を可能とするため、当社の業務執行を行う経営陣から独立している当社社外取締役、当社社外監査役、又は社外の有識者の中から選任するものとし、当社社外取締役の塚田忠夫氏及び宮島司氏並びに当社社外監査役の松浦恂氏が就任している。
本プランは、買収防衛策に関する指針等の要件を完全に充足していること、株主意思を重視するものとなっていること、経営陣から独立した独立委員会の判断が最大限尊重されること等の点で、合理性のあるプランとなっている。そのため、本プランは、当社の上記基本方針に沿い、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、かつ、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断している。
なお、本プランの詳細については、インターネット上の当社ウェブサイト参照。
(http://www.dnp.co.jp/ir/pdf/info_160629bouei.pdf)
DNPの業績などは、今後起こりうるさまざまな要因により、大きな影響を受ける可能性がある。これらのリスク発生の可能性を認識した上で、その影響を最小限にとどめるよう努めていく。
有価証券報告書提出日現在で、DNPがリスクと判断した主な事項は、次の通りである。
(1) 国内外の景気と消費動向
DNPは、幅広い業種の、非常に多くの顧客企業と取引を行っており、特定の顧客に偏らない事業基盤のもとで安定的な事業活動を展開している。その市場の多くは日本国内であるが、世界経済の動向とも連動して国内景気が変動し、個人消費などの内需が低迷した場合には、受注量の減少や受注単価の下落など、業績等に影響が生じる可能性がある。
また、国内外における各業界の市場動向の影響を直接、間接に受ける可能性もある。特に、エレクトロニクス関連の業界では、新興国での生産の拡大や需要の変化、世界規模での単価の下落などが起きやすく、大幅な市場動向の変化によってDNPの業績に影響を与える可能性がある。
(2) 海外での事業活動
DNPが、米州や欧州、東南アジア地域などで行う海外の事業活動には、法律や規制の予期しない変更、環境関連の法規制の強化、産業基盤の脆弱性、人材の採用や確保の困難さなどの経済的要因のほか、テロや戦争、その他の要因による社会的、政治的混乱などのリスクが存在する。こうしたリスクが顕在化することによって、海外での事業活動に支障が生じ、業績等に影響を与える可能性がある。
(3) 新しい製品・サービスの開発
DNPは、印刷技術や情報技術を応用して、企業や生活者、社会に新しい価値を提供する製品やサービスを開発している。これらの開発においては、技術革新のスピードが速まっており、ニーズの多様化も進んでいる。今後、国内外での開発競争の激化が想定されるなかで、予想を上回る商品サイクルの短期化や市場動向の変化によって、業績が大きく変動する可能性がある。
(4) 戦略的な事業提携・資本提携および企業買収
DNPが実施する戦略的な事業・資本提携や企業買収について、提携先や買収先の企業や対象事業などを取り巻く事業環境が悪化し、当初想定していたような相乗効果や成果が得られない場合、DNPの業績等に影響を与える可能性がある。
(5) 原材料調達の変動
原材料の調達については、国内外の複数のメーカーから印刷用紙やフィルム材料を購入するなど、安定的な数量の確保と最適な調達価格の維持に努めている。しかしながら、石油価格の大幅な変動や新興国市場での急激な需要増加、大規模災害の影響や天然資源の枯渇、気候変動などにより、需給バランスが崩れる懸念もある。その際は、当社の顧客企業や取引先との交渉を通じて対応していくが、原材料調達が極めて困難になった場合や購入価格が著しく上昇した場合などは、業績に影響が生じる可能性がある。
(6) 為替の変動
海外顧客との取引が拡大するなかで、為替の影響は、次第にその比重が増してくると予想される。為替予約などにより、相場の変動リスクをヘッジしているが、急激な為替変動があった場合には、業績への影響が大きくなる可能性がある。
(7) 環境保全及び環境関連の規制の強化
DNPは、省エネルギー対策、温室効果ガスの排出量削減などの気候変動対策、有害物質の使用削減、大気汚染防止、水質保全、廃棄物処理、製品リサイクルなどに関して国内外の法的な規制を受けており、今後これらの規制は強化、変更されると考えられる。また、例えば有害物質による土壌汚染が発生した際に、その調査と浄化の責任を負うことが求められるなど、万一このような事態に直面した場合は、経営に大きな影響を及ぼす可能性がある。
(8) 情報セキュリティ及び個人情報保護
事業活動において、グローバルなコンピュータネットワークや情報システムが不可欠となるなかで、ソフトウェアやハードウェアの不具合、コンピュータウィルスへの感染、個人情報の漏えいなどの発生リスクが高まっている。 DNPは、情報セキュリティ及び個人情報保護を経営の最重要課題のひとつとして捉え、体制の強化や社員教育などを通じてシステムとデータの保守・管理に万全を尽くしているが、万一これらの事故が発生した場合には、事業活動に影響が及ぶ可能性がある。
(9) 法的規制の変化への対応
法と社会倫理の遵守を基本として事業を進めるなかで、製造物責任法、独占禁止法、個人情報保護法、特許法のほか、税制や輸出入関連のルールなど、国内外のさまざまな法的規制等を受けており、今後その規制が強化されることも考えられる。一方で、規制緩和によって市場や業界の動向などが大きく変化することも予想される。そのような場合、事業活動に対する制約の拡大、規制の変化に対応するための負荷やコストの増加も予想され、DNPの事業活動に影響を及ぼす可能性がある。
(10) 災害の発生
製造設備をはじめとした主要施設に防火・耐震対策などを施すとともに、製造拠点の分散化を図り、災害などによる生産活動の停止や製品供給の混乱を最小限とするよう努めている。また、各種保険によるリスク移転も図っている。しかしながら、大地震や気候変動にともなう暴風雨・洪水などの自然災害、感染症の流行など、社会インフラの大規模な損壊や機能低下、生産活動の停止にもつながるような予想を超える事態が発生した場合は、業績に大きな影響を及ぼす可能性がある。
(11) 訴訟や罰金等の発生
DNPはグループ全体で企業倫理の浸透を図り、事業活動において社員一人ひとりが法令を守るだけでなく、社会が求める以上の高い倫理観を持ち、常に公正・公平な態度で、秩序ある自由な競争市場の維持・発展に寄与することで、社会からの信頼を得るべく努めている。しかしながら、国内外で訴訟が提起され、その結果罰金などを科される場合などにおいては、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
契約会社名 | 相手方の名称 | 国名 | 契約の内容 | 対価 | 契約期間 |
北海道コカ・コーラ | ザ コカ・コーラカンパニー及び | アメリカ 日本 | コカ・コーラ、ファンタ等の清涼飲料製品の製造・販売及び商標使用等に関する権利供与 | 原液購入代金 | 平成26年4月1日から |
契約会社名 | 相手方の名称 | 国名 | 契約の内容 | 対価 | 契約期間 |
大日本印刷株式会社 | 东旭(昆山)显示材料 | 中国 | 液晶カラーフィルターの製造技術の供与に基づく同製品の製造販売権供与 | 一時金及び | 平成27年2月26日から |
契約会社名 | 相手方の名称 | 契約年月日及び契約内容 |
大日本印刷株式会社 (当社) | 株式会社トゥ・ディファクト | 平成27年6月26日、当社及び当社子会社である株式会社トゥ・ディファクトは、当社が運営している電子書籍コンテンツ配信事業「まんがこっち」、「よみっち」及び「お約束写真館」について吸収分割を行い、同年10月1日付で、これを株式会社トゥ・ディファクトが承継することを内容とした分割契約を締結した。 本分割は、株式会社トゥ・ディファクトに対象事業を移管することによって、当社グループにおける電子書籍コンテンツ配信事業の運営体制を最適化するとともに、会員向けサービスを充実させることで事業競争力の強化を図ることを目的としたものである。 株式会社トゥ・ディファクトは、本分割の対象事業の継続に必要な一定の資産及び負債並びに対象事業に属する全ての取引先との契約関係(労働派遣会社との派遣契約を除く。)を承継した。 株式会社トゥ・ディファクトにおける現状の事業運営体制を継続するため、本分割の対価は金銭とした。 |
大日本印刷株式会社 (当社) | ライジング・ジャパン・ | 平成27年7月10日、当社は、ライジング・ジャパン・エクイティ第一号投資事業有限責任組合との間で、同組合が保有する田村プラスチック製品株式会社の全ての発行済普通株式を譲り受ける旨の株式売買契約を締結し、同年8月6日、当該契約に基づき当該株式を譲り受け、同社を完全子会社とした。 |
DNPは、新規事業の創出や新製品の開発から生産技術の開発に至るまで、幅広い研究開発活動を続けており、その活動は事業の原動力として機能している。
DNPの研究開発は、研究開発センター・技術開発センター、及び、各事業分野の開発部門に加え、全社横断で新規事業開発を推進するAB(アドバンストビジネス)センターを中心に推進されている。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は31,826百万円であり、各事業部門に関する研究開発費が18,055百万円、本社開発部門などで行っている基礎研究に関する各事業部門に配分できない費用が13,770百万円である。
当連結会計年度における各事業部門の主な研究開発とその成果は次のとおりである。
(1) 情報コミュニケーション部門
当部門ではまず、高精細画像による文化遺産や美術作品のデジタルアーカイブ化を世界各国の美術館・博物館と協働し、推進している。フランス国立図書館(BnF)が保有する貴重な天球儀・地球儀55点を、独自に開発した撮影ツールにより3Dデジタル化し、同図書館が運営する電子図書館「Gallica(ガリカ)」で公開した。また、多様な芸術文化に親しむため、最新の情報技術や画像処理のノウハウを駆使して新しい鑑賞方法の開発などを行い、その取り組みを一般に公開する展示会をDNP五反田ビルにて継続的に開催している。2016年2月からは、BnF保有の天球儀・地球儀の一部の実物を展示するとともに、3Dコンテンツを活用した新たな鑑賞システムを体験できる展示会を開催している。
セールスプロモーション分野では、インバウンド(訪日外国人)向けビジネスを視野に入れた製品・サービスの開発に取り組んでおり、タブレット端末を活用して、購入したい商品を多言語で簡単に選択できる免税品販売支援システムを開発した。また、地域振興に貢献するため、周遊中の旅行者に対し、現在位置に応じた地元情報や寄り道ルートを配信する「DNP旅の“よりみち”アプリ YORIP(ヨリップ)」を開発し、サービスを開始した。このほか、販促物の制作支援に向けて、商品情報を一元管理し、チラシやウェブサイトなどの複数のメディアに展開するオムニチャネルに対応した「DNP流通向け情報管理プラットフォーム、Retail Meister®(リテールマイスター)」を開発した。
ICカードや情報セキュリティの分野では、英国デラルー社と業務提携し、リップマンホログラムやエンボスホログラムなどの高度な偽造防止技術と、デラルー社のセキュリティ印刷技術を融合した新たなセキュリティソリューションの創出に取組んでいる。また、DNP柏データセンターのクラウド基盤サービス「MediaGalaxyクラウド」が、クラウド型サービスとして日本で初めてクレジット決済の国際的なセキュリティ基準PCI DSS*Ver3.1認証を取得し、サービスを開始した。
イメージングコミュニケーション分野では、写真の楽しさや利便性を生活者に提供する製品・サービスの拡充に向けた開発を継続している。新たな市場の拡大に向け、転写・剥離技術を活かし、新しい機能を有したメディアを開発して、新製品・サービスに展開している。また、DNPの証明写真機「Ki-Re-i(キレイ)」に通信機能を搭載し、顔写真の撮影からマイナンバー個人番号カードの交付申請まで行えるシステムを開発し、生活者の利便性を高めた。そのほか、コンサート会場などで当日撮影した画像と企業が保有するコンテンツ画像を合成し、即時プリントやネット注文で生活者に提供するウェブプラットフォーム「DNPクラウド型画像販売ソリューション Imaging Mall(イメージング モール)」を開発し、サービスを開始した。
当部門に係る研究開発費は9,058百万円である。
*PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standards)
(2) 生活・産業部門
包装分野では、材料・製品・システムの開発技術を基盤として、食品・飲料・日用品などの安全・安心な包装に関わる社会課題の解決に寄与する製品開発に取り組んでいる。また、パッケージなどに印刷されたQRコードを読み取ることにより、商品名や説明文などの記載情報を多言語で表示するインバウンド向けシステムや、購入した商品のパッケージにオリジナル画像やメッセージをその場で印刷できるシステムなどの開発を推進している。
住空間マテリアル分野では、DNP独自のEB(電子線:Electron Beam)技術を用い、「快適な住まい」を実現する様々な製品の開発に取り組んでいる。高齢化やバリアフリー、環境への配慮や、健康・快適への対応などの世の中のニーズに対応した、意匠性が高く機能性に優れた製品について、住宅や自動車の内外装材向けを中心に開発している。
高機能フィルム関連では、自動車や電子機器などの軽量化や薄型化に対応するため、プラスチックなどの軽量素材と金属などの異なる素材を簡易に接着できるフィルムを開発し、販売を開始した。また、プラスチック系の有機ガラスに転写することで耐候性・耐摩耗性を向上させる「DNP超耐候ハードコート転写フィルム」が、車両の窓向けに採用された。そのほか、窓から入る太陽光を天井などに効果的に反射、拡散させて、部屋全体を明るくする「DNP採光フィルム」や、光の反射性に優れ、透水性と防汚性が高いシートを通路に敷くことで作物の成長を促進させる「DNP農業用フィルム」も、住宅や施設園芸のビニールハウスなどでの採用が広がっている。
当部門に係る研究開発費は1,124百万円である。
(3) エレクトロニクス部門
電子デバイス分野では、半導体メーカ―各社が強力に推進しているナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術に対応し、NILの製造プロセスで必要なテンプレート(超微細賦型用の型)の量産化に向けて、新規材料や次世代露光技術などの研究開発を推進している。また、ナノインプリント技術を活かし、磁気記録媒体、発光ダイオード、有機EL、導光板、太陽電池などの各種電子材料、バイオ・医療関連材料など、さまざまな製品を提供していく超微細加工ビジネスを開始した。
ディスプレイ関連分野では、液晶ディスプレイに続く次世代ディスプレイとして、有機ELディスプレイへの注目度が高まっており、圧倒的な市場シェアを誇る当社独自の高精度蒸着マスクの開発を精力的に推進するとともに、有機ELディスプレイ関連の技術開発を進めている。
また、光学設計技術や微細なレンズ成型技術などを活かし、明るい部屋でも高コントラストな映像を表示できる大画面の反射型スクリーンを用いた「DNP超短焦点プロジェクター用ディスプレイシステム JETBLACK-STS」や、商品棚に内蔵した小型プロジェクターの映像を鮮やかに映し出せる透過型スクリーンを開発し、販売を開始した。光学フィルム関連ではこのほか、カーナビゲーションやスピードメーターなどの車載用液晶ディスプレイの視野角を制御して、フロントガラスへの映り込みを防止し、ドライバーから見た時の輝度を向上させた新型の車載ディスプレイ用視野角制御フィルムを開発した。
当部門に係る研究開発費は7,873百万円である。
(4) 清涼飲料部門
該当事項はない。
DNPの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されている。連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の貸借対照表計上金額並びに当連結会計年度における収益・費用の損益計算書計上金額に影響する判断、見積りを実施する必要がある。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しているが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。DNPの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載している。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度(以下「前期」)に比べて62億円減少し、1兆4,559億円(前期比0.4%減)となった。
売上原価は、前期に比べて97億円減少して1兆1,732億円(前期比0.8%減)となり、売上高に対する比率は前期の80.9%から80.6%となった。販売費及び一般管理費は、前期に比べて62億円増加して2,372億円(前期比2.7%増)となり、この結果、営業利益は前期に比べて27億円減少して454億円(前期比5.6%減)となった。
営業外収益は、持分法による投資利益の増加等により前期に比べて22億円増加して147億円(前期比17.7%増)となり、営業外費用は、前期に比べて6億円増加して75億円(前期比8.9%増)となった。この結果、経常利益は前期に比べて11億円減少して526億円(前期比2.1%減)となった。
特別利益は、投資有価証券売却益の増加等により、前期に比べて116億円増加して164億円(前期比240.4%増)となり、特別損失は、前期に比べて67億円増加して143億円(前期比89.6%増)となった。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は335億円(前期比24.8%増)となった。1株当たり当期純利益は、前期に比べて11.28円増加して53.09円となった。
当連結会計年度末(以下「当期末」)の財政状態については、総資産は、現金及び預金の減少等により、前連結会計年度末(以下「前期末」)に比べて908億円減少して1兆7,186億円(前期末比5.0%減)となった。
負債は、繰延税金負債の減少等により、前期末に比べて299億円減少して6,553億円(前期末比4.4%減)となった。
純資産は、退職給付に係る調整累計額の減少等により、前期末に比べて608億円減少して1兆632億円(前期末比5.4%減)となった。
この結果、自己資本比率は前期末の59.6%から59.2%となり、当期末の1株当たり純資産額は、前期末に比べて56.98円減少して1,618.65円となった。
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載している。なお、当期の期末配当金については、1株につき16円としたことにより、中間配当金16円とあわせて、年間配当金は1株につき32円となった。