第2 【事業の状況】

 

以下各項目の記載金額は、消費税等抜きのものであります。

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、DNPグループが判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

DNPグループは、経営の基本方針として、「DNPグループは、人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する。」という企業理念を掲げ、積極的な事業活動を展開し、中長期にわたり事業を安定的に拡大していくよう努めていきます。

DNPグループの成長を持続的なものにし、中長期的に企業価値を向上していくため、企業としての社会的責任を常に認識し、あらゆるステークホルダーに新しい価値を提供していきます。その実現のために、「価値の創造」「誠実な行動」「高い透明性(説明責任)」の3つを企業が果たすべき責任と捉え、その実践に努めています。

これらの責任を果たすうえでも、「DNPグループ行動規範」に基づき行動するとともに、コーポレート・ガバナンスの充実に注力していきます。内部統制システムを整備して業務の適正性を確保し、的確で統合的な経営の 意思決定と、それに基づく適正かつ迅速な業務執行、そしてそれらの監督・監査を可能とする体制を構築・運用していきます。また、社員一人ひとりのコンプライアンス意識を高めるための研修や教育の徹底に努めていきます。

DNPグループは、株主の皆様や顧客企業、生活者、社員など、さまざまなステークホルダーから高い信頼を 得られるよう、誠実な企業活動の実践に努めていきます。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

① DNPグループのありたい姿

DNPグループの対処すべき課題は、社会や環境が大きく変化し、人々の価値観なども変化していくなか、企業理念に基づき、従来の「受け身の体質」から脱却し、自らが主体となって、人々の期待に応えるとともに、社会課題を解決する新しい価値を提供する企業へと変革することであると認識しています。DNPグループは、潜在的な「価値」を自ら発見し、最適な「ビジネスモデル」を構築していきます。その際、グループ全体の総合力を発揮し、「P&I」(印刷と情報)の独自の強みを掛け合わせ、さらに社外のパートナーと連携することで、継続的に「利益」を創出していきます。

 

② 中期経営計画の策定

DNPグループは、そのありたい姿の実現に向けて、5年後の2025年3月期には、安定的にROE5.0%以上を確保する経営体質の構築を目指しています。これを達成するために、2021年3月期からの3か年の中期経営計画を策定しました。「P&Iイノベーションによる価値の創造」と「成長を支える経営基盤の強化」の2つを基本方針として、その計画の達成に努めていきます。

 

<基本方針1:P&Iイノベーションによる価値の創造>

DNPグループは、社会や環境が大きく変化するなかで、収益性と市場成長性の2つの軸で、現在取り組んでいる事業が生み出す価値を見直し、今後注力していく事業領域を設定しています。これらの注力事業領域を中心に 経営資源を最適に配分して、強い事業ポートフォリオを構築していきます。

この方針に基づいて、「成長領域を中心とした価値の創出」「各国・地域への最適な価値の提供」「あらゆる 構造改革による価値の拡大」の3つの施策を推進していきます。

 

○成長領域を中心とした価値の創出:

生活者や社会に対する価値の提供と、その対価としての収益の拡大を目指し、複数の事業テーマを設定して、 重点的に事業を推進していきます。例えば、『データ流通関連事業』として、「情報銀行」関連のサービスをはじめ、高度な情報セキュリティ基盤で個人情報を扱う「BPO」、スマート健診といった「メディカル・ヘルスケア」等に注力していきます。また、『IoT・次世代通信関連事業』では、5G・6Gへの通信インフラの変革を先取りして、デジタル・トランスフォーメーションを支えるキーコンポーネンツ(主要部品)や、それを活用した新たなサービス等の開発を進めていきます。

 

○各国・地域への最適な価値の提供:

それぞれの国や地域での、特性やニーズを十分に把握し、きめ細かく対応して最適な価値を提供することで、 グローバル市場に対応していきます。

 

 

○あらゆる構造改革による価値の拡大:

強い事業ポートフォリオの構築に向けて、グループ全体で多様な構造改革を推進していきます。例えば、情報 コミュニケーション部門での紙メディア製造拠点の縮小、生活・産業部門での低付加価値製品の見直しと拠点の 縮小、エレクトロニクス部門でのカラーフィルター事業の縮小などを進めるとともに、これにより生み出された人的資源や土地、設備等を、注力事業の開発・製造に振り向けることで、事業構造の転換を進めていきます。

 

<基本方針2:成長を支える経営基盤の強化>

DNPグループは、中長期的な成長に向けて、財務資本と非財務資本を統合的に活かすことで経営基盤を強化していきます。特に、「資本政策」のほか、「環境」に対する取り組み、「人財・人権」に関する取り組みを強化し、具体的な行動計画を策定・実行していきます。これらの施策により、価値の創出に向けて、変革に挑戦していく組織風土を醸成して、DNPグループの持続可能な成長を支える基盤を形成していきます。

 

○資本政策:

基本方針1と連動させて、成長領域を中心とした注力事業への投資などを進め、今後3年間は、年間1,000億円規模の投資を計画しています。これらの事業投資の財源として、自己資金だけでなく、他人資本の活用による成長資金の調達や、遊休資産の圧縮などを進めていきます。そのほか、資本効率の向上、財務基盤の安定化と株主還元の実施など、さまざまな資本政策を総合的に勘案して推進していきます。

 

○環境に対する取り組み:

2020年3月に「DNPグループ環境ビジョン2050」を策定し、脱炭素社会・循環型社会・自然共生社会の実現に向けた価値創出の取り組みを一段と強化しました。特に、気候変動は世界的な影響の大きい変動要素(リスク)であり、こうした変化に先んじて対応していくことで、企業活動の持続可能性を高めることができます。自社だけでなくバリューチェーン全体に関わる活動を進め、環境負荷の低減につながる製品・サービスの開発・提供にも注力していきます。

 

○人財・人権に関する取り組み:

ダイバーシティの推進を一層強化することで、多様な人財が持つアイデアや技術の獲得と、新たな価値の創出に努めていきます。特にDNPグループでは2000年代の初めから女性活躍推進に力を入れてきており、女性社員の キャリア形成支援、働き方改革及び組織全体のマネジメント改革を進め、2021年度末までに女性管理職比率を  7.0%以上、また女性の管理職層・リーダークラスの人数を2倍とする目標を掲げています。

 

このように、DNPグループは、財務資本と非財務資本をそれぞれ充実させるとともに、強みの掛け合わせによって相乗効果を高めることで、「P&Iイノベーション」を支える経営基盤を強化していきます。

 

<具体的な経営目標>

DNPグループは、上記の取り組みを推進し、2025年3月期には安定的にROE5.0%以上を確保する経営体質の構築を目指します。また、2025年3月期の目標として、営業利益750億円、営業利益率5.1%を設定しました。

これらの目標設定においては、新型コロナウイルス感染症の影響を織り込んでいません。なお、新型コロナウイルス感染症が与える影響は次のとおりです。

 

<新型コロナウイルス感染症が事業に与える影響>

〔印刷事業〕
(情報コミュニケーション部門)

情報イノベーション事業は、オリンピック・パラリンピックの開催延期をはじめとする全国のイベント中止や、キャンペーン等の広告需要が減少しています。一方で、ネット通販等の利用拡大により、デジタルマーケティングやネット決済関連のサービスに対する需要増加が見込まれるほか、企業のBCP対策として業務のアウトソーシング化(BPO)に関する引合が増加しています。

イメージングコミュニケーション事業は、グローバル規模でのテーマパークや観光地の営業縮小により、写真の体験価値を高める「コトづくり」事業に影響が出ています。

出版関連事業は、ビジネス街の書店営業の一部自粛により売上が大幅減少となっていますが、外出自粛や学校 休校により自宅で過ごす機会が多いなか、「honto」事業での電子書籍販売や郊外書店における自宅学習教材の売上は順調に推移しています。

 

 

(生活・産業部門)

包装関連事業は、外出自粛により飲料や土産品、飲食店向けの業務用包材は減少していますが、医薬・衛生材料向け包材や家庭用の食品包材の需要は増加しています。

生活空間関連事業は、国内における住宅建築やリフォームの延期・休止の増加が影響しています。

産業資材関連事業は、グローバルでの自動車業界の操業停止により内装加飾部材等の需要減少が懸念されます。一方でタブレットやスマートフォン向けのリチウムイオン電池用バッテリーパウチは、テレワークやオンライン 消費の普及による需要増加が見込まれます。

 

(エレクトロニクス部門)

ディスプレイ関連製品事業は、得意先企業の操業短縮などによる需要の減少があるなか、ディスプレイが液晶 から有機ELへのシフトが進み、有機ELディスプレイ製造用のメタルマスクは、得意先企業の材料確保にともなう需要の増加が見られます。

電子デバイス事業は、半導体市況の先行きは不透明ですが、テレワークの進展などにより5GやIoTの広まりによる需要増加も期待できます。

 

〔清涼飲料事業〕
(清涼飲料部門)

外出自粛による観光地や飲食店等での需要減少が影響していますが、「家飲み」需要の増加で新製品のアルコール飲料「檸檬堂(れもんどう)」の販売増加が期待されます。

 

 

2 【事業等のリスク】

DNPグループは、企業理念に基づき新しい価値を提供し続けていくために、経済・社会・環境に関する課題とリスクを正しく認識し、統合的なリスクマネジメントの取り組みを推進しています。一方、リスクとして把握した変動要因は、同時に事業拡大の機会でもあり、これに対してDNPグループの強みを掛け合わせ、社外のパートナーと連携を深めていくことで、事業環境の急激な変化に対応しながら、新しい価値の創出を実現していきます。

 

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可
能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてDNPグループが判断したものであります。

 

(1)環境関連のリスク

・自然災害の発生や感染症の流行
・法的規制等の強化と緩和
・地球温暖化対策の強化
・天然資源の枯渇によるエネルギー施策の見直し
・エネルギー価格の急激な変動
・循環経済への移行促進
・海洋や土壌等の汚染の悪化、地球環境の持続性確保
・生態系の劣化、生物多様性の確保  など

 

自然災害への対応としてDNPグループは、製造設備をはじめとした主要施設に防火・耐震・水害対策などを施すとともに、製造拠点や原材料調達先の分散化を図り、災害などによる生産活動の停止や製品供給の混乱を最小限とするよう事業継続計画(BCP)を策定しています。また、各種保険によるリスク移転も図っています。しかしながら、大地震や気候変動にともなう暴風雨・洪水などの自然災害、感染症の流行など、社会インフラの大規模な損壊や機能低下、生産活動の停止にもつながるような予想を超える事態が発生した場合は、業績に大きな影響を与える可能性があります。

とりわけ、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行が、国内外の経済に極めて大きな影響を与えるなか、DNPグループは、社内外への感染被害抑止と、「DNPグループ安全衛生憲章」に基づく従業員の安全と健康の確保を最優先として、政府の方針及びDNPグループの対応方針に基づき、テレワークの推進など、必要な対応を実施していきます。

またDNPグループは、事業活動と地球環境との共生に絶えず取り組んでいます。2020年3月、“2050年のありたい姿”を示すものとして「DNPグループ環境ビジョン2050」を策定しました。社員一人ひとりが、あらゆる事業において環境とのかかわりを強く意識し、「環境保全と持続可能な社会の実現」を目指していきます。

DNPグループは、印刷用紙など森林資源からの原材料調達や、水・エネルギーを使用する製造工程など、事業活動のさまざまな場面で自然からの恩恵を受けています。また、人財や資源の確保、サプライチェーンの構築など、社会との密接な関係性の上で事業活動を展開しており、こうした状況を明確に認識し、環境の持続性を確保しつつ、社会とともに持続的に成長するため、さまざまな取り組みを進めています。しかしながら、気候変動への対応や生物多様性の保全などに関する国内外の法的規制や国際規範が強化されたり、企業価値の判断の際に、社会課題の解決に取り組む姿勢が重視されたりするといった変化が加速すると想定されます。こうした動きへの対応の遅れなどがあった場合、業績に影響を与える可能性があります。

一方で、規制緩和によって市場や業界の動向などが大きく変化し、対応を求められることも予想されます。そのような場合、事業活動に対する規制の変化に対応するための負荷やコストの増加などにより、DNPグループの事業活動に影響を与える可能性があります。

 

 

(2)経済関連のリスク

・国内外の景気・消費動向・為替等の変化
・技術革新の迅速化・多様化への対応、開発競争の激化
・知的財産の流出や侵害
・提携先における業績低下や内部統制の不備
・情報インフラ/社会インフラの構築・維持管理
・大規模なサイバー攻撃の増大
・原材料調達の需給バランスの変化  など
 

国内外の景気と消費動向に関連し、DNPグループは、幅広い業種の、非常に多くの顧客企業と取引を行っており、特定の業種や企業に偏らない事業基盤のもとで安定的な事業活動を展開しています。世界経済の動向とも連動して国内景気が変動し、個人消費などの内需が想定以上に低迷した場合には、生産量の減少や単価の下落など、業績等に影響を与える可能性があります。

また、国内外における各業界の市場動向の影響を直接、間接に受ける可能性もあります。特に、エレクトロニクス関連の業界では、新興国での生産や需要の変化、世界規模での単価の下落などが起きやすく、大幅な市場動向の変化によってDNPグループの業績に影響を与える可能性があります。

世界各地での事業を推進していくなかで、為替の影響は、次第にその比重が増していくと予想されます。現地生産化や為替予約などにより、相場の変動リスクをヘッジしていますが、急激な為替変動があった場合には、業績に影響を与える可能性があります。

DNPグループは、印刷技術や情報技術を応用・発展させ、社外のパートナーの強みとも組み合わせることで、新しい製品・サービスを提供しています。その開発においては、ニーズが多様化するなかで、今後、国内外でのさらなる開発競争の激化や、予想を上回る商品サイクルの短期化、市場動向の変化などが業績に影響を与える可能性があります。

また、戦略的な事業・資本提携や企業買収については、提携先や買収先の企業、対象事業などを取り巻く事業環境が悪化し、当初想定していたような相乗効果が得られない場合、業績に影響を与える可能性があります。

原材料等の調達については、国内外の複数のメーカーから印刷用紙やフィルム材料を購入するなど、安定的な数量の確保と最適な調達価格の維持に努めています。しかしながら、石油価格の大幅な変動や新興国市場での急激な需要の増加、天然資源の枯渇、気候変動の影響、サプライチェーンの労働環境における人権の問題などにより、需給バランスが崩れる懸念もあります。その際は、DNPグループの顧客企業や取引先との交渉を通じて対応していきますが、原材料等の調達が極めて困難になった場合や購入価格が著しく上昇した場合などは、業績に影響を与える可能性があります。

また、事業活動において、世界規模のコンピュータネットワークや情報システムを活用するなかで、ソフトウェアやハードウェアの不具合のほか、日々変化していくサイバー攻撃やコンピュータウイルスへの感染、個人情報の漏えいなどの発生リスクが高まっています。DNPグループは、情報セキュリティ及び個人情報を含む重要情報の保護を経営の最重要課題のひとつとして捉え、体制の強化や社員教育などを通じてシステムとデータの保守・管理に万全を尽くしていますが、万一、悪意のあるサイバー攻撃や重要情報に関連する事故などが発生した場合には、事業活動に影響を与える可能性があります。

 

 

(3)社会関連のリスク

・コンプライアンス違反
・大規模なデータの不正利用/漏えい
・製品・サービスの品質チェック事項の不備
・労働環境問題の発生
・人財流出、人財獲得の困難による人財不足
・社会的・政治的混乱、カントリーリスクの増大  など
 

DNPグループが欧米や東南アジア地域などを中心に行う海外の事業活動には、さまざまな社会的、政治・経済的なリスクが存在します。環境・社会関連等の法律や規制の予期しない変更、カントリーリスク、人財の採用や確保の困難さのほか、人権や紛争などにも関連する多様なリスクが顕在化することによって、海外での事業活動に支障が生じ、業績に影響を与える可能性があります。

また、グループ全体で企業倫理の浸透、徹底を図り、すべての企業活動において社員一人ひとりが法令を守るだけでなく、社会の期待に応える高い倫理観を持ち、常に公正・公平な態度で、秩序ある自由な競争市場の維持・発展に寄与することで、社会からの信頼を得るべく努めています。しかしながら、国内外で訴訟が提起され、その結果罰金などを科される場合などにおいては、業績に影響を与える可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度におけるDNPグループの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるDNPグループを取り巻く環境は、デジタル化の進展によりマーケティングや決済方法が多様化したほか、自動運転など次世代のモビリティ社会に向けた新製品開発の動きが活発化し、また、環境に配慮した製品・サービスへの需要も増大しました。

そうした状況のなかで、DNPグループは、「人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する。」という企業理念のもと、国内外でトップシェアを獲得している製品・サービスを中心に、収益性と市場成長性が高い重点事業を強化するとともに、事業部門やグループ会社の再編など競争力強化のための構造改革に取り組みました。

また、グローバルな社会課題や、今後の社会を形成する潮流(メガトレンド)に対する成長領域として、   「知とコミュニケーション」「食とヘルスケア」「住まいとモビリティ」「環境とエネルギー」の4つを設定し、「P&I」(印刷と情報)の独自の強みを掛け合わせて新しい価値を創出する「P&Iイノベーション」を推進しました。

 

第4四半期においては、新型コロナウイルス感染症の影響により世界的に経済活動が抑制され、足元の景気が急速に悪化し、世界経済の先行きが見通せない状況となりました。一方、感染防止に向けた外出自粛の要請で、自宅などで業務を行うテレワーク(在宅勤務)、教育ICT(情報通信技術)、オンライン診療、ネット通販、オンラインでの習い事やエンターテインメントなど、オンラインサービスの需要の高まりも見られるようになりました。

こうした社会の変化に対しても、DNPグループは、高度な情報セキュリティ基盤のほか、バリューチェーンや企業の業務プロセスの全体に関わっている強みを活かして、「なくてはならない価値」の提供に取り組みました。

 

当期の具体的な事業展開としては、国内市場のトップシェアを有するICカードや、世界トップシェアを獲得しているリチウムイオン電池用バッテリーパウチ、有機ELディスプレイ製造用のメタルマスク、写真プリント用熱転写記録材、ディスプレイ用光学フィルムなどをさらに強化しました。

市場別には、モビリティ関連の市場においては、環境負荷の低減やエネルギー効率の向上、より高い情報セキュリティや安全性・快適性が求められる「次世代のモビリティ社会」に向けた製品・サービスの開発に努めました。具体的には、電気自動車等に使うリチウムイオン電池用のバッテリーパウチや、内外装のデザイン性を損なわず機能を高める加飾フィルム・パネル、暗号化技術等を活かした各種セキュリティソリューションを提供しました。

また、2020年3月末に第5世代通信規格(5G)のサービスが国内で始まったIoT・次世代通信関連の市場においては、より快適な情報社会を支えるため、透明アンテナフィルムや、放熱部品のベーパーチャンバーなどの電子部品を提供したほか、場所や時間を問わず、臨場感のある体験を提供するVR(仮想現実)・AR(拡張現実)コンテンツや4K・8K映像配信、安全な自動運転やオンライン診療の実現に向けたサービス開発などにも取り組みました。

さらに、環境関連の市場においては、食品や日用品向けの包装材や太陽電池関連の部材、電気を使わずに長時間一定温度を維持できる「DNP多機能断熱ボックス」などの製品・サービスの開発、提供を推進しました。

当連結会計年度は、こうした取り組みにより収益性が向上し、DNPグループの売上高営業利益率は、前期比0.4ポイント増の4.0%となりました。

 

また、資産の有効活用と効率化のため、政策保有株式など保有資産の見直しを進めるとともに、資本効率の向上と株主還元を目的として、2,093万株、599億円の自己株式を取得しました。

さらに、強い事業ポートフォリオの構築に向けた取り組みの一環として、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、収益性が低下した事業用資産と今後使用見込みがない遊休資産について減損処理を行い、減損損失265億円を特別損失として計上しました。

 

 

これらの結果、当連結会計年度のDNPグループの売上高は1兆4,018億円前期比0.0%増)、営業利益は562億円前期比12.8%増)、経常利益は637億円前期比9.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は694億円前期は356億円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。また、DNPグループが収益性指標として採用する自己資本利益率(ROE)は7.3%となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

〔印刷事業〕

(情報コミュニケーション部門)

情報イノベーション事業は、パンフレットやカタログ等の紙媒体は減少しましたが、キャッシュレス化の進展にともない需要が拡大しているICカード、人手不足や働き方改革の対策として、企業等の業務を代行するBPO(Business Process Outsourcing)事業などの重点事業が順調に拡大し、当事業全体で増収となりました。

イメージングコミュニケーション事業は、グローバルに事業を展開するなか、円高の影響を受けたものの、観光地やイベント会場などで写真の体験価値を高める「コトづくり」事業が増加したほか、写真プリント用熱転写記録材の販売も堅調に推移し、前年並みを確保しました。

出版関連事業は、出版企画・広告・製造・流通・販売など、出版業界のサプライチェーン全般に関わる国内唯一の企業グループとして業界の課題解決に取り組みました。これにより、書店とネット通販、電子書籍販売を連動させた「honto」事業で電子書籍が順調に推移したほか、図書館運営業務の受託館数も増加し、前年を上回りました。出版市場は電子出版の市場は拡大傾向にあるものの、紙の出版物の減少が続いており、書籍・雑誌の印刷がともに減少し、当事業全体では減収となりました。

当部門の営業利益は、印刷用紙など原材料の値上がりの影響を受けたものの、情報イノベーション事業の拡大や、製造拠点の集約などのコスト削減効果によって増益となりました。

その結果、部門全体の売上高は7,730億円前期比1.4%増)、営業利益は304億円前期比22.4%増)となりました。

 

(生活・産業部門)

包装関連事業は、「持続可能な原料調達」「COの削減」「資源の循環」という3つの価値を提供する「環境配慮パッケージシリーズ  GREEN PACKAGING」の開発・販売に努めました。一方、収益性改善に向けて低付加価値製品の見直しを進めたため、当事業全体では減収となりました。

生活空間関連事業は、高度な画像処理技術や製版・印刷技術を活かした高い意匠性と、独自のEB(Electron Beam)コーティング技術を融合させた機能性の高い環境配慮製品の販売に取り組みましたが、国内の新設住宅着工戸数減少の影響が大きく、当事業全体で減収となりました。

産業資材関連事業は、電気自動車の普及にともない、車載用のリチウムイオン電池用バッテリーパウチが大幅に増加したほか、封止材、バックシートなどの太陽電池向け部材も増加し、当事業全体で増収となりました。

当部門の営業利益は、産業資材関連事業の拡大と、部門全体の構造改革の成果に加え、原材料価格の下落などにより、増益となりました。

その結果、部門全体の売上高は3,913億円前期比1.5%減)、営業利益は111億円前期比33.0%増)となりました。

 

 

(エレクトロニクス部門)

ディスプレイ関連製品事業は、スマートフォンのディスプレイが液晶から有機ELにシフトしつつあるなか、有機ELディスプレイ製造用のメタルマスクが増加しました。一方、液晶ディスプレイ用カラーフィルターは、需要減少にともない事業構造の見直しを進めたことにより、売上が減少しました。光学フィルム関連は、液晶テレビ向けは減少しましたが、有機ELディスプレイ向けが増加し、当事業全体で増収となりました。

電子デバイス事業は、半導体市況の悪化により、半導体製品用のフォトマスクが減少し、当事業全体で減収となりました。

当部門の営業利益は、売上の減少によって減益となりました。

その結果、部門全体の売上高は1,866億円前期比3.0%減)、営業利益は341億円前期比7.5%減)となりました。

 

〔清涼飲料事業〕
(清涼飲料部門)

「コカ・コーラ」など主力ブランドの新商品に加え、コカ・コーラグループ初のアルコール飲料「檸檬堂(れもんどう)」を発売したほか、自動販売機事業、量販店向けの販売促進活動などを強化し、既存市場におけるシェア拡大や新規の顧客獲得などに努めました。

部門全体の売上高は、北海道向けは増加したものの、本州の天候不順により北海道以外のボトラー向けの販売が減少した結果、552億円前期比1.3%減)となりました。また、営業利益は、販売数量減少などにより、20億円前期比3.5%減)となりました。

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末の資産、負債、純資産については、総資産は、投資有価証券の減少などにより、前連結会計年度末に比べ532億円減少し、1兆7,217億円となりました。

負債は、社債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ247億円増加し、7,531億円となりました。

純資産は、その他有価証券評価差額金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ780億円減少し、9,685億円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,435億円増加し、3,773億円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,027億円、減価償却費544億円などにより  939億円の収入前連結会計年度は689億円の収入)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の純減少額1,357億円、投資有価証券の売却による収入581億円などにより1,910億円の収入前連結会計年度は1,469億円の支出)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出600億円などにより412億円の支出前連結会計年度は321億円の支出)となりました。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

情報コミュニケーション部門

519,578

+1.6

生活・産業部門

305,989

△2.4

エレクトロニクス部門

180,129

△2.4

清涼飲料部門

39,283

△3.5

合      計

1,044,981

△0.5

 

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

なお、清涼飲料部門においては、受注を主体とした生産を行っていないため、受注状況の記載を省略しております。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

情報コミュニケーション部門

656,585

+2.3

114,243

+6.4

生活・産業部門

383,103

△5.1

76,682

△7.5

エレクトロニクス部門

191,184

+0.9

26,779

+22.4

合    計

1,230,872

△0.4

217,705

+2.6

 

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

情報コミュニケーション部門

769,749

+1.6

生活・産業部門

390,271

△1.2

エレクトロニクス部門

186,602

△3.0

清涼飲料部門

55,270

△1.3

合      計

1,401,894

+0.0

 

(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点によるDNPグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

DNPグループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、前連結会計年度(以下「前期」)に比べて3億円増加し、1兆4,018億円前期比0.0%増)となりました。

売上原価は、前期に比べて103億円減少して1兆1,090億円前期比0.9%減)となり、売上高に対する比率は前期の79.9%から79.1%となりました。販売費及び一般管理費は、前期に比べて43億円増加して2,365億円前期比1.9%増)となり、この結果、営業利益は前期に比べて63億円増加して562億円前期比12.8%増)となりました。

営業外収益は、持分法による投資利益の増加等により前期に比べて4億円増加して156億円前期比3.1%増)となり、営業外費用は、寄付金の増加等により前期に比べて13億円増加して81億円(前期比19.3%増)となりました。この結果、経常利益は前期に比べて55億円増加して637億円(前期比9.5%増)となりました。

特別利益は、投資有価証券売却益の増加等により、前期に比べて586億円増加して817億円前期比254.0%増)となり、特別損失は、補修対策引当金繰入額の減少等により前期に比べて572億円減少して427億円前期比57.2%減)となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は694億円(前期は356億円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

DNPグループの経営成績に重要な影響を与えた要因は以下のとおりです。

当連結会計年度のDNPグループを取り巻く環境は、デジタル化の進展によりマーケティングや決済方法が多様化したほか、自動運転など次世代のモビリティ社会に向けた新製品の開発が活発化し、また、環境に配慮した製品・サービスへの需要も増大しました。第4四半期においては、新型コロナウイルス感染症の影響により世界的に経済活動が抑制され、足元の景気が急速に悪化し、世界経済の先行きが見通せない状況となりました。一方、感染防止に向けた外出自粛の要請で、自宅などで業務を行うテレワーク(在宅勤務)、教育ICT(情報通信技術)、オンライン診療、ネット通販、オンラインでの習い事やエンターテインメントなど、オンラインサービスの需要の高まりも見られるようになりました。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。

情報コミュニケーション部門については、出版関連事業は減収減益となったほか、印刷用紙の値上がりなどのマイナス要因もありましたが、重点事業のICカード、BPOが順調に規模を拡大したことに加え、製造拠点の集約などのコスト削減を進めました。その結果、売上高は前期比1.4%増7,730億円となり、また、営業利益は、前期比22.4%増304億円となりました。営業利益率は、前期の3.3%から0.6ポイント上昇し、3.9%となりました。

生活・産業部門については、産業資材関連事業が車載用途のリチウムイオン電池用バッテリーパウチや太陽電池用部材の好調により増収となったことに加え、包装関連事業において低付加価値品の見直しを進めたことや原材料価格の下落もあり、収益性が向上しました。その結果、売上高は前期比1.5%減3,913億円となり、また、営業利益は、前期比33.0%増111億円となりました。営業利益率は、前期の2.1%から0.7ポイント上昇し、2.8%となりました。

エレクトロニクス部門については、中小型向け有機ELディスプレイの製造に使用するメタルマスクが好調だったほか、光学フィルム関連も用途が拡大し増収となったものの、需要減少により液晶ディスプレイ用カラーフィルターや半導体用フォトマスクが減収となりました。その結果、売上高は前期比3.0%減1,866億円となり、また、営業利益は、前期比7.5%減341億円となりました。営業利益率は、前期の19.2%から0.9ポイント低下し、18.3%となりました。

 

清涼飲料部門については、新商品の発売や積極的な販促活動により、既存市場におけるシェア拡大と新規顧客獲得に努めた結果、北海道向けは増加したものの、本州の天候不順により北海道以外のボトラー向けの販売が減少しました。その結果、売上高は前期比1.3%減552億円となり、また、営業利益は、前期比3.5%減20億円となりました。営業利益率は、前期の3.8%から0.1ポイント低下し、3.7%となりました。

 

セグメント資産の状況については、情報コミュニケーション部門は前期末に比べて、970億円減少して7,967億円前期末比10.9%減)となりました。

生活・産業部門は前期末に比べて、214億円減少して4,239億円前期末比4.8%減)となりました。

エレクトロニクス部門は前期末に比べて、166億円減少して2,083億円前期末比7.4%減)となりました。

清涼飲料部門は前期末に比べて、14億円増加して499億円前期末比3.1%増)となりました。

報告セグメント合計では前期末に比べて、1,336億円減少して1兆4,790億円前期末比8.3%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資本の流動性に係る情報

DNPグループの当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前期末に比べ2,435億円増加し、3,773億円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,027億円、減価償却費544億円などにより  939億円の収入前期は689億円の収入)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の純減少額1,357億円、投資有価証券の売却による収入581億円などにより1,910億円の収入前期は1,469億円の支出)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出600億円などにより412億円の支出前期は321億円の支出)となりました。

 

a.財務戦略の基本的な考え方

DNPグループは、社会課題を解決し、人々の期待に応える新しい価値の創出のため、成長領域を中心とした事業へ集中的に事業投資(研究開発投資、設備投資、戦略的提携やM&A投資)を行うとともに、それらを支える人財投資に経営資源を投入していきます。そのほか、資本効率の向上、財務基盤の安定化と株主還元の実施など、さまざまな資本政策を総合的に勘案して推進していきます。

 

b.DNPグループの資本の財源

DNPグループは、主に営業活動により確保されるキャッシュ・フローにより、成長を維持・発展させていくために必要な資金を確保しております。

設備投資資金などの資金需要については自己資金で賄うことを基本としておりますが、自己資金に加え、他人資本も活用し、成長投資資金を調達していきます。

 

c.DNPグループの経営資源の配分に関する考え方

DNPグループは、成長領域を中心とした注力事業への投資などを進め、2020年度から2022年度の3年間は、年間1,000億円規模の事業投資を計画しています。

なお、この計画は、新型コロナウイルス感染症の影響は織り込んでおりません。感染症の影響を踏まえ、適宜見直しを行います。

重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源泉等については、「第3 設備の状況  3 設備の新設、除却等の計画 (1)新設等」に記載のとおりであります。

また、利益の配分については、「第4 提出会社の状況  3 配当政策」に記載のとおりであります。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

DNPグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の貸借対照表計上金額並びに当連結会計年度における収益・費用の損益計算書計上金額に影響する判断、見積りを実施する必要があります。これらの見積り及び当該見積りに用いた仮定については、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。DNPグループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表  注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等  (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

 

技術導入契約

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約の内容

対価

契約期間

北海道コカ・コーラ
ボトリング株式会社
(連結子会社)

ザ コカ・コーラカンパニー及び
日本コカ・コーラ株式会社

アメリカ

日本

コカ・コーラ、ファンタ等の清涼飲料製品の製造・販売及び商標使用等に関する権利供与

原液購入代金

2014年4月1日から
2024年3月31日まで

 

 

なお、当連結会計年度において終了した技術供与契約は次のとおりであります。

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約の内容

対価

契約期間

大日本印刷株式会社
(当社)

東旭(昆山)顕示材料
有限公司

中国

液晶カラーフィルターの製造技術の供与に基づく同製品の製造販売権供与

一時金及び
製品販売高の一定率

2015年2月26日から
2019年7月26日まで

 

 

 

5 【研究開発活動】

DNPグループは、新規事業の創出・新製品開発から生産技術の開発に至るまで、幅広い研究開発活動を続けており、その活動は事業活動の原動力として機能しております。

DNPグループの研究開発は、研究開発センター、技術開発センター及び各事業分野の開発部門に加え、全社横断で新規事業開発を推進するAB(アドバンストビジネス)センターを中心に推進しております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は33,603百万円であり、3つの事業部門に関する研究開発費が12,123百万円、各事業部門に配分することができない本社開発部門等の費用が21,479百万円であります。

当連結会計年度における各事業部門の主な研究開発とその成果は次のとおりであります。

 

(1) 情報コミュニケーション部門

出版印刷分野では、新刊本の返品率が高いという業界全体の課題に対し、人工知能(AI)を活用して書店POSデータ等の分析精度を向上させるとともに、同分析結果と注文情報の組合せにより、読者に迅速に本を届けるサービスを構築しました。

セールスプロモーション分野では、不動産販売におけるモデルルームの施工費用削減や、部屋の間取りとインテリアなどをリアルに体感したいという要望があります。商品カタログ制作等で培った高度な画像処理や、仮想現実(VR)関連の実績やノウハウを活用し、生活者が居住空間を疑似体験できる「VRモデルルーム」システムを開発しました。

カード・セキュリティ分野では、本人確認がオンラインでできる仕組みが望まれているなか、企業等が自社アプリに組み込むだけで本人確認が可能となるソフトウェアの開発キット等、本人確認向けプラットフォームサービスの提供を開始しました。

イメージングコミュニケーション分野では、世界最軽量クラスのコンパクトな昇華型デジタルフォトプリンターの販売を開始しました。当社既存製品比で、容積を42%、重量を50%、消費電力を最大で35%削減したことで、イベント、アミューズメント、IDフォト等さまざまな場所や用途での活用が期待されます。

当部門に係る研究開発費は2,171百万円であります。

 

(2) 生活・産業部門

包装分野では、環境負荷が低い植物由来原料を一部に使用したバイオマスプラスチック製品群を継続的に開発し、販売を拡大しました。また、開封後の再封を可能にしたチャック付き紙容器や、食器として使用できる「DNP断熱紙カップ HI-CUP 電子レンジ対応」など、再生可能資源である紙を使用した製品を開発し、環境配慮と使いやすさを両立させたパッケージを提供しています。

生活空間分野では、海外におけるDNPブランドの価値を高めるため、イタリア・ミラノで開催された「ミラノデザインウィーク2019」に初出展しました。江戸小紋等の色彩や文様を活用したデザインと電子ペーパーの特性を活かした可変表示を組み合せた斬新な空間を開発、アピールしました。その結果、当展示に約3万人が来場し、大きな関心を集めました。今後、自社ブラントを強化しつつ、海外での認知度を上げていきます。

高機能マテリアル分野では、プラスチックや炭素繊維、金属等の異素材を接合するニーズに対応した「DNP粘接着フィルム」の新タイプを開発しました。ニーズが高い、モビリティ用部材、建築用部材、電子部品向けに本製品を販売していきます。

モビリティ分野では、高速充電が求められる電気自動車のワイヤレス充電システム向けに、充電時の漏洩磁界が少ないシート型コイルを開発しました。高速充電時に大電力を伝送しても漏洩磁界が少ないため、人体やペースメーカー等の機器への影響緩和が期待されます。

当部門に係る研究開発費は1,022百万円であります。

 

 

(3) エレクトロニクス部門

第5世代通信規格(5G)スマートフォンでは、データ処理量の増大に伴う筐体の過熱や、アンテナ設置スペース確保の課題があります。そのため、放熱性能と薄型化を両立した放熱部材「べーパーチャンバー」と、表示画面の視認性を損なわずにアンテナ機能を付与できる「透明アンテナフィルム」を開発しました。

また、車載用に採用が増加している画面面積効率の高いディスプレイには、高価な強化ガラスが使われていますが、通常のガラスでも破損しにくく飛散も防止できる「高機能ガラスカバー」を開発しました。

当部門に係る研究開発費は8,929百万円であります。

 

(4) 清涼飲料部門

該当事項はありません。