第2 【事業の状況】

 

以下各項目の記載金額は、消費税等抜きのものであります。

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

DNPグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、DNPグループが判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

DNPグループは、経営の基本方針として、「DNPグループは、人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する。」という企業理念を掲げ、長期を見据えて主体的な事業活動を展開し、企業価値を安定的に拡大していくよう努めています。事業ビジョンには、「P&Iイノベーションにより、4つの成長領域を軸に事業を拡げていく」ことを掲げ、独自の「P&I」(印刷と情報)の強みの掛け合わせとパートナーとの連携を通じた価値創出に努めています。こうした取り組みを通じてDNPグループは、持続可能なより良い社会と、より快適な人々の暮らしの実現に向けて、たゆまぬ歩みで「未来のあたりまえ」をつくり続けていきます。

DNPグループが開発・提供する価値は、社会課題を解決するものであり、また人々の期待に応えるものとして、人々の身近に常に存在する「あたりまえ」のものにしていきたいと考えています。こうした「欠かせない価値」を生み出し続けていく志を「未来のあたりまえをつくる。」というブランドステートメントに込めて、社内外に表明しています。そして、その実現のために、「価値の創造」「誠実な行動」「高い透明性(説明責任)」の3つを企業が果たすべき責任と捉え、その実践に注力しています。

 

例えば、近年特に注目されている環境に対する取り組みとして、2020年3月に策定した「DNPグループ環境ビジョン2050」に掲げる「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に向けて、新しい価値の創出を加速させていきます。喫緊の重要課題のひとつである気候変動への対応については、事業に関するリスクと機会の抽出、シナリオ分析による財務への影響評価を実施しています。また、省エネルギー活動、高効率機器の導入・更新、再生可能エネルギーの導入などにより、自社拠点での事業活動にともなう温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロにすることを目指すとともに、製品・サービスを通じて脱炭素社会の構築に貢献していきます。これらの取り組みについて、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の提言に沿った情報開示を進めていきます。

 

(2)目標とする経営指標

DNPグループは、経済・社会・環境が大きく変化し、人々の価値観なども変化していくなか、企業理念に基づき、自らが主体となって、新しい価値の開発・提供に取り組んでいます。DNPグループの強みを活かすことで事業を拡大していく「4つの成長領域」を設定し、長期を見据えた戦略を展開するとともに、いつまでに・何を・どの程度達成するかといった中間目標(マイルストーン)を具体的に設定しながら、成果を積み上げていきます。

2025年3月期の経営指標として「営業利益750億円、ROE5.0%以上」を設定し、その達成に向けて、まず2020年度から2022年度までの3か年の中期経営計画を推進しています。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

DNPグループは、2023年3月期を最終年度とする3か年の中期経営計画において、「P&Iイノベーションによる価値の創造」と「成長を支える経営基盤の強化」の2つを基本方針として、目標の達成に努めていきます。

 

 <基本方針1>P&Iイノベーションによる価値の創造
〔1-1:成長領域を中心とした価値の創出〕

DNPグループは、社会の課題や大きな潮流(メガトレンド)、人々の価値観の変化などを分析し、ステークホルダーの関心、DNPグループにおける重要度などを考慮して重要課題を設定しています。メガトレンドとしては、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」をはじめ、「データ経済化」「国内の人口減少と世界の人口増」「人類の長寿命化」「都市のスマート化」「脱炭素社会の構築」などが続いていくと捉えています。

こうした動向に対して、DNPグループ独自の強みによって創出できる価値を想定し、収益性と市場成長性の軸でそれらの価値を適切に評価して、「注力事業」を設定しています。「データ流通」「IoT・次世代通信」「モビリティ」「環境」関連の「注力事業」を中心に経営資源を最適に配分することで、バランスの取れた強靭な事業ポートフォリオを構築していきます。

 

 

〔1-2:各国・地域への最適な価値の提供〕

DNPグループは、それぞれの国・地域の特性や、そこで暮らす人々の課題・ニーズを的確に捉え、DNPグループの製品・サービスの価値をきめ細かく見極めながら、グローバルな事業展開を推進しています。リチウムイオン電池用バッテリーパウチ、有機ELディスプレイ製造用メタルマスク、ディスプレイ用光学フィルム、写真プリント用昇華型熱転写記録材など、世界トップシェアを獲得している事業のさらなる拡大に努めるほか、新規事業の創出にも取り組み、グローバル市場に対応していきます。

 

〔1-3:あらゆる構造改革による価値の拡大〕

強い事業ポートフォリオの構築に向けて、DNPグループ全体で多様な構造改革を推進していきます。例えば、情報コミュニケーション部門での紙メディア製造拠点の縮小、生活・産業部門での低付加価値製品の見直しと拠点の再編、エレクトロニクス部門でのカラーフィルター事業の縮小などを進めるとともに、これによって生み出した人的資源や土地・設備等を「注力事業」の開発・製造に振り向けることで、事業構造の転換を進め、事業競争力を強化していきます。

 

 <基本方針2>成長を支える経営基盤の強化
〔2-1:財務・非財務資本の強化〕

DNPグループは、中長期的な成長に向けて、財務資本と非財務資本を統合的に活かすことで経営基盤を強化していきます。事業の成長を支える資本政策を進めるほか、人的・知的・製造・自然・社会関係の各非財務資本の強化・拡大に努め、具体的な行動計画を策定・実行していきます。

資本政策については、<基本方針1>と連動させて、成長領域を中心とした「注力事業」への投資を進めています。これらの事業投資の財源として、自己資金だけでなく、他人資本の活用による成長資金の調達や、遊休資産の圧縮、政策保有株式の売却などを進めていきます。そのほか、資本効率の向上、財務基盤の安定化と株主還元の実施など、さまざまな資本政策を総合的に勘案して推進していきます。

人財・人権に関する取り組みとしては、グループ社員一人ひとりのあらゆる違いを尊重し、その多様性を強みとして掛け合わせ、新たな価値を創出するために、「多様な人材の育成」「多様な働き方の実現」「多様な人材が活躍できる風土醸成」を基本方針に掲げ、「ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包摂)」を引き続き推進していきます。DNPグループは2000年代の初めから女性活躍推進に力を入れており、女性社員のキャリア形成支援、働き方改革及び組織全体のマネジメント改革を進め、2021年度末までに女性管理職比率を7.0%以上、女性の管理職層・リーダークラスの人数を2016年2月時点の2倍とする目標を掲げています。

そのほか、社員の健康管理を経営の重要課題と捉え、戦略的に健康づくりを推進するとともに、活力の向上や組織の活性化につなげる「健康経営」を実践するため、2021年4月1日に「DNPグループ健康宣言」を策定しました。

 

〔2-2:コーポレート・ガバナンスの強化〕

DNPは経営の重要課題のひとつとして、コーポレート・ガバナンスの強化に努めています。迅速かつ的確な経営の意思決定や業務執行、及びそれらを監督・監査する強固な体制を構築して運用しています。

2021年6月の株主総会では、取締役12名のうち1名を女性とし、全体の3分の1となる4名を社外取締役とする議案や、監査役5名のうち1名を女性とする議案を上程し、承認可決されました。今後も取締役会及び監査役会の多様性の確保などに努めていきます。また、取締役会の実効性の分析・評価は年1回実施しており、分析結果を社外役員で議論するとともに、取締役会で共有しています。

社員一人ひとりについても、企業の社会的責任を果たしていくため、「DNPグループ行動規範」に基づいた行動を促進するとともに、さまざまな研修・教育を実施してコンプライアンス意識の醸成を図っています。

 

 

2 【事業等のリスク】

DNPグループは、「価値の創造」「誠実な行動」「高い透明性(説明責任)」の3つを企業として果たすべき責任(CSR)としており、その達成に向けた重点テーマを設定し、PDCAの観点で常に改善を行っています。また、企業理念に基づいて新しい価値を提供し続けていくために、環境(E=Environment)・経済及び社会(S=Social)に関する課題と、変動要素としてのリスクを正しく認識し、統合的なリスクマネジメントの取り組みを推進しています。さらに、企業統治(G=Governance)の強化に努め、迅速かつ的確な経営の意思決定や業務執行及び監督・監査の体制構築を進めています。

このようにCSRやESGを重視し、持続可能な社会の実現に向けた経営を通じて、リスクによるマイナスの影響を抑制するとともに、事業機会(チャンス)の拡大につなげていきます。DNPグループ独自の「P&I」の強みを掛け合わせ、社外のパートナーとも連携を深めて、事業環境の急激な変化に対応するだけでなく、より良い未来に向けて自らが主体となって変化を起こしながら、新しい価値の創出に取り組んでいきます。

直近では、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行が、国内外の経済・社会に大きな影響を与えるなか、「DNPグループ安全衛生憲章」に基づいて、社員と家族の健康と安全を最優先として、企業活動を推進しています。引き続き、政府・自治体の方針やDNPグループの対応方針に基づき、社内外での感染の抑止に努め、ニューノーマル(新常態)に即した働き方の推進など、必要な対応を迅速かつ的確に実施していきます。

 

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてDNPグループが判断したものであります。

 

(1)環境関連のリスク

○脱炭素社会/循環型社会/自然共生社会の実現に関する変化及び施策の加速
・地球環境の変動/気候の変動への対策の変化(規制・緩和・適応など)
・異常気象や自然災害による被害の顕在化・増大
・温室効果ガスの排出量削減の加速
・エネルギー関連施策の見直し、再生可能エネルギー使用の拡大、エネルギー価格の急激な変動
・各種感染症等の世界的な流行
・プラスチックによる海洋汚染や土壌等の汚染の悪化、水リスクの増大
・生物多様性の喪失/生態系の劣化/天然資源の枯渇の加速 (その他)

 

DNPグループは、事業活動と地球環境の共生に絶えず取り組んでいます。2020年3月には、長期を見据えた“2050年のありたい姿”を示すものとして、「DNPグループ環境ビジョン2050」を策定し、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に向けた取り組みを加速させています。社員一人ひとりが、環境との関わりを強く意識して、あらゆる企業活動を行うことで、「環境の保全と持続可能な社会の実現」に取り組んでいきます。

自然災害等への対応としては、製造設備その他の主要施設に防火・耐震・水害対策等を施すとともに、製造拠点や原材料調達先の分散を図り、生産活動の停止や製品供給の混乱を最小化する事業継続計画(BCP)を策定し、その適切なマネジメント(BCM)を推進しています。また、各種保険によるリスク移転も図っています。しかしながら、甚大な自然災害や各種感染症の流行など、社会インフラの大規模な損壊や機能低下、生産活動の停止にもつながるような予想を超える事態が発生した場合は、業績に大きな影響を与える可能性があります。

またDNPグループは、印刷用紙など森林資源からの原材料調達や、水・エネルギーを使用する製造工程など、事業活動のさまざまな場面で自然からの恩恵を受けています。さらに、多様な人財や資源の確保、グローバルなサプライチェーンの構築など、社会と密接に関係しながら事業活動を展開しています。こうした状況をグループ全体で明確に認識し、環境の持続性を確保しつつ、社会とともに持続的に成長するための取り組みを進めています。

国内外では、気候変動への対応や生物多様性の保全などに関する法的規制や国際規範の強化が進み、社会課題の解決に取り組む企業の姿勢を重視して企業価値を判断する傾向が高まっています。特に「脱炭素社会」への移行は、世界的な緊急課題となっており、各種インフラや事業構造の変革が求められています。こうした変化に遅れないようにするだけでなく、持続可能な社会・環境の実現に向けて主体的に変化を起こすことによって、業績や企業活動により良い影響を与えるように努めていきます。

 

(2)社会関連のリスク

○企業の社会的責任の遂行とレピュテーションリスクの回避
・コンプライアンス違反、大規模なデータの不正利用や漏えい、製品・サービスの品質不備の発生など

○人的資本の確保及び拡大

・ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包摂)の推進:人財の多様性を強みとして活かす施策、女性の社会進出、多様な国や地域・シニア・障がい者等の雇用促進ほか
・社員の健康管理・安全衛生の確保
・人財の流出・人財獲得状況の悪化などによる人財不足
・不適切な労働環境・労働条件などの発生

○社会やメガトレンドの大幅な変化にともなう課題の拡大

・社会的・政治的混乱、カントリーリスクの増大
・人口動態の変化(先進国等の少子化・高齢化、新興国の人口増大など)
・都市と地方、国や地域などにおける格差の拡大
・フードロス、安全・安心な食の確保
・情報化社会や共有経済(シェアリングエコノミー)などの社会変化の加速
・公衆衛生の確保の重要性拡大 (その他)

 

DNPグループは、社会を構成する多様な人々に望まれる多様な価値を開発・提供していくため、社員一人ひとりの多様性を強みとしていく「ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包摂)」を推進しています。個々の多様性を尊重して価値創造の基盤づくりを進めるとともに、人財の確保・育成に向けて、組織風土や人事諸制度の改革に取り組んでいます。

またDNPグループは常に、国連の「国際人権章典」「グローバル・コンパクト」「ビジネスと人権に関する指導原則」及び国際労働機関(ILO)の「労働の基本原則および権利に関する宣言」に基づいた企業活動を推進しています。2020年3月には、こうした取り組みをあらためて周知・徹底していくため、「DNPグループ人権方針」を策定しました。人類の尊厳を何よりも大切なものと考え、あらゆる人が固有に持つ文化・国籍・人種・民族・言語・宗教・価値観・性別・年齢・性自認・性的指向・障がいの有無などの多様性を尊重し、規律ある行動を取るという前提に立ち、社員の多様性に配慮した働き方と、健康で安全な活力ある職場の実現を目指します。しかしながら、雇用情勢の急激な変化にともない、高い専門性を有する人財や、変化に柔軟に対応しながら業務を遂行できる人財の確保・育成ができない場合、競争優位性の高い組織体制の構築が難しくなる可能性があります。

海外での事業活動については特に、多様な社会的・政治的・経済的変動要素が存在します。環境・社会関連等の法律や規制の予期しない変更、カントリーリスク、人財の採用や確保の困難さのほか、人権や紛争などにも関連する多様なリスクが顕在化することによって、欧米や東南アジア等を中心としたDNPグループの海外での事業活動に支障が生じ、業績に影響を与える可能性があります。

また、グループ全体で企業倫理の浸透、徹底を図り、すべての企業活動において社員一人ひとりが法令を守るだけでなく、社会の期待に応える高い倫理観を持ち、常に公正・公平な態度で、秩序ある自由な競争市場の維持・発展に寄与することで、社会からの信頼を得るべく努めています。しかしながら、国内外で訴訟が提起され、その結果罰金などを科される場合やレピュテーションが低下した場合などにおいては、業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)経済関連のリスク

○ニューノーマル(新常態)構築への取り組み:デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速、働き方・消費行動・教育環境・グローバルサプライチェーン等の変化の加速

○国内外の景気・消費動向・為替等の変化

・情報インフラ/社会インフラの老朽化、物流問題
・原材料調達の需給バランスの変化など

○技術革新の迅速化・多様化への対応、開発競争の激化

・知的財産の流出や侵害
・提携先における業績低下や内部統制の不備
・サイバー攻撃の増大 (その他)

 

国内外の景気と消費動向に関連し、DNPグループは、多様な業種の数万社に及ぶ企業等と取引を行っており、特定の業種や企業に偏らない事業基盤のもとで安定的な事業活動を展開しています。世界経済の動向とも連動して国内外の景気が変動し、個人消費などの内需が想定以上に低迷した場合には、生産量の減少や単価の下落など、業績等に影響を与える可能性があります。特に、エレクトロニクス関連の業界では、新興国での生産や需要の変化、世界規模での単価の下落などが起きやすく、大幅な市場動向の変化によってDNPグループの業績に影響を与える可能性があります。

世界各地での事業を推進していくなかで、為替の影響は、次第にその比重が増大していきます。現地生産化や為替予約などにより、相場の変動リスクをヘッジしていますが、急激な為替変動があった場合には、業績に影響を与える可能性があります。

DNPグループは、印刷技術や情報技術を応用・発展させ、社外のパートナーの強みとも組み合わせることで、新しい製品・サービスを提供しています。その開発においては、ニーズが多様化するなかで、今後、国内外でのさらなる開発競争の激化や新常態への対応の遅れ、予想を上回る商品サイクルの短期化、市場動向の変化などが業績に影響を与える可能性があります。

また、戦略的な事業・資本提携や企業買収については、提携先や買収先の企業、対象事業などを取り巻く事業環境が悪化し、当初想定していたような相乗効果が得られない場合、業績に影響を与える可能性があります。

新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけの一つとして、デジタルトランスフォーメーション(DX)がさらに進展し、人々の働き方や消費行動、教育や医療、グローバルサプライチェーンなどの変化が加速しており、これらへの対応が遅れた場合には、業績に影響を与える可能性があります。

原材料等の調達については、国内外の複数のメーカーから印刷用紙やフィルム材料を購入して安定的な数量の確保と最適な調達価格の維持に努めています。しかしながら、石油価格の大幅な変動や新興国市場での急激な需要の増加、天然資源の枯渇、気候変動の影響、サプライチェーンの労働環境における人権の問題などにより、需給バランスが崩れる懸念もあります。その際は、DNPグループの顧客企業や取引先との交渉を通じて対応していきますが、原材料等の調達が極めて困難になった場合や購入価格が著しく上昇した場合などは、業績に影響を与える可能性があります。

また、事業活動において、世界規模のコンピュータネットワークや情報システムを活用するなかで、ソフトウェアやハードウェアの不具合のほか、日々変化していくサイバー攻撃やコンピュータウイルスへの感染、個人情報の漏えいなどの発生リスクが高まっています。DNPグループは、情報セキュリティ及び個人情報を含む重要情報の保護を経営の最重要課題のひとつとして捉え、体制の強化や社員教育などを通じてシステムとデータの保守・管理に万全を尽くしていますが、万一、悪意のあるサイバー攻撃や重要情報に関連する事故などが発生した場合には、事業活動に影響を与える可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度におけるDNPグループの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるDNPグループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の影響により、人や物の移動が制限され、個人消費や企業活動が大きな影響を受けるなど、厳しい状況となりました。2020年の夏頃には各国・地域で経済活動が徐々に再開されたものの、秋から冬にかけて全世界で感染者の増加が見られました。2021年に入って、国内でも緊急事態宣言が発令されるなど、コロナ禍の収束までの見通しは不透明感を増しました。

こうした状況のなか、DNPグループは、持続可能なより良い社会とより快適な暮らしの実現に向けて、社会の課題を解決するとともに、人々の期待に応える新しい価値の創出に努めました。独自の「P&I」(印刷と情報)の強みを掛け合わせるとともに、多くのパートナーとの連携を深め、特に、高い収益性と市場成長性を見込む「データ流通」「IoT・次世代通信」「モビリティ」「環境」関連の「注力事業」に経営資源を最適配分しました。また、競争力強化のための構造改革にも取り組み、強い事業ポートフォリオの構築を推進しました。

当期はイベントや展示会、各種販促活動の自粛などにより、印刷物等の需要は落ち込んだものの、テレワークの進展、オンライン教育やオンライン診療の広がり、各種ネットサービスの普及加速にともない、DNPグループの高度な情報セキュリティ基盤を活かした情報サービスや情報機器関連製品などが拡大しました。また、地球環境への負荷低減に関する意識が世界的に高まるなか、環境に配慮した製品・サービスの需要が拡大しました。

さらに、DNPグループ全体の長期的な成長を支える経営基盤を強化するため、デジタルトランスフォーメーション(DX)などの大きな潮流(メガトレンド)を捉え、ICT活用による生産性の向上や社内情報システム基盤の強化、「環境」及び「人財・人権」の取り組みの加速などに努めました。

 

当期の主な事業展開としては、世界トップシェアを獲得しているリチウムイオン電池用バッテリーパウチ、有機ELディスプレイ製造用のメタルマスク、ディスプレイ用光学フィルムなどに注力するとともに、国内市場トップシェアのICカードのほか、人手不足の解消や働き方の改革につながる、企業等の業務を代行するBPO(Business Process Outsourcing)関連の事業の強化を図りました。

「注力事業」においては、「モビリティ」関連の事業では、環境負荷の低減やエネルギー効率の向上、より高い情報セキュリティや安全性・快適性が求められる「次世代のモビリティ社会」に向けた製品・サービスの開発に努めました。具体的には、電気自動車(EV)等に使用されるリチウムイオン電池用バッテリーパウチや、内外装材のデザイン性と機能をともに高める加飾フィルムとパネル、暗号化技術等を活かしたセキュリティソリューションなどを開発・提供しました。

「IoT・次世代通信」及び「データ流通」関連の事業では、より快適で安全な情報社会を支えるため、2020年3月に国内でサービスが始まった第5世代通信規格(5G)対応の透明アンテナフィルムや、スマートフォン用放熱部品であるベイパーチャンバー等の開発を進めました。また、全国の自治体や施設管理者と連携し、現実(リアル)の街・施設と並列(パラレル)で仮想(バーチャル)空間を開発・運用する「XR(eXtended Reality)コミュニケーション事業」を開始しました。これは、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)/MR(複合現実)等によってリアルとバーチャルを融合し、現実のエリアの価値や機能を拡張して生活者に新しい体験価値を提供し、地域創生などにつなげる「地域共創型XRまちづくりPARALLEL CITY(パラレルシティ)」を構築していく取り組みです。

「環境」関連の事業では、ドイツの真空断熱パネルメーカーであるva-Q-tec AG社の医薬品専用の高品質な断熱ボックス「va-Q-tec(バキュテック)」ボックス製品シリーズの本格販売を開始しました。本製品は、電源を必要とせず、マイナス20℃やマイナス70℃の超低温を長時間保持した状態での輸送を実現することができ、新型コロナウイルス用のワクチンの輸送でも利用可能です。
 

 

これらの結果、当連結会計年度のDNPグループの売上高は1兆3,354億円前期比4.7%減)、営業利益は495億円前期比12.0%減)、経常利益は599億円前期比6.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は250億円前期比63.9%減)となりました。また、DNPグループが収益性指標として採用する自己資本利益率(ROE)は2.6%となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

〔印刷事業〕

(情報コミュニケーション部門)

情報イノベーション事業は、国内の経済対策関連の需要増加もあって、マイナンバーカード等のIDカードやBPO関連事業が順調に拡大したものの、全国のイベントやキャンペーンの中止や減少にともない、パンフレットやカタログ等の需要が減少した影響が大きく、当事業全体では減収となりました。

イメージングコミュニケーション事業は、感染防止対策を講じながらイベントやアミューズメント施設の営業が徐々に再開され、写真の撮影・プリントのサービスの需要も戻りつつあるものの、全体では減収となりました。

出版関連事業は、外出自粛等によって自宅で過ごす時間が増えるなか、紙と電子の両方に対応したハイブリッド型総合書店「honto」の電子書籍販売が順調に推移したほか、電子図書館サービスや図書館運営業務の受託も増加しましたが、書籍・雑誌等の印刷受注の減少が続き、当事業全体では減収となりました。

その結果、部門全体の売上高は7,218億円前期比6.6%減)となり、営業利益は売上の減少によって191億円前期比36.9%減)になりました。

 

(生活・産業部門)

包装関連事業は、環境関連の市場において「DNP環境配慮パッケージング GREEN PACKAGING」の開発・販売に努めたほか、製造や業務の効率化などの構造改革が一定の成果を挙げたものの、外出自粛等によって土産品や飲食店向け等の業務用包材が減少して、当事業全体では減収となりました。

生活空間関連事業は、感染防止対策として、抗菌・抗ウイルスの機能を付与した製品のラインアップを拡充し、新たな需要の創出に努めました。第3四半期以降は国内外の自動車市場や国内の住宅市場に回復の兆しが見られ、加飾フィルムや住宅用内外装材などの引き合いも復調してきましたが、第2四半期までの住宅建築やリフォームの延期・休止による需要減の影響が大きく、当事業全体で減収となりました。

産業用高機能材関連事業は、リチウムイオン電池用バッテリーパウチが、環境負荷低減につながる電気自動車向けの需要が世界的に拡大していることに加え、テレワークの広がりなどによってタブレット端末やスマートフォン向けなども増加し、当事業全体で増収となりました。

その結果、部門全体の売上高は3,680億円前期比6.0%減)となりました。営業利益は、産業用高機能材関連事業の伸びや原材料価格の下落などもあり、139億円前期比25.3%増)となりました。

 

(エレクトロニクス部門)

ディスプレイ関連製品事業は、光学フィルム関連が、テレワークやオンライン授業の普及、自宅で過ごす時間の増加などによって、タブレット端末やモニター向け、テレビ向けとも好調に推移しました。また、スマートフォン向けの有機ELディスプレイの需要増によって、有機EL製造用メタルマスクも安定して推移しました。一方、液晶ディスプレイ用カラーフィルターは、事業構造を転換し、事業整理を進めたことにより減収となったものの、当事業全体では増収となりました。

電子デバイス事業は、テレワークやオンラインサービスの拡大、5Gの開始などを背景に需要が全般的に増加し、増収となりました。

その結果、部門全体の売上高は1,970億円前期比5.6%増)となり、営業利益は、売上の増加や事業構造改革の成果により、366億円前期比7.5%増)となりました。

 

 

〔飲料事業〕
(飲料部門)

外出自粛の影響から、観光地や飲食店等での需要が減少しましたが、「家飲み」需要の増加や、飲食店等でのテイクアウト需要の拡大など、コロナ禍による生活様式の変化に対応するよう努めました。

部門全体の売上高は、アルコール飲料「檸檬堂」の販売が増加したものの、外出自粛の影響や観光客・宿泊客の減少、外食産業を中心とした店舗の休業にともなう飲料需要の減少などにより、514億円前期比7.0%減)となりました。営業利益は、販売数量減少などにより、8億円前期比59.0%減)となりました。

なお、2019年10月に発売したアルコール飲料の販売増加にともない、前期まで「清涼飲料事業」及び「清涼飲料部門」としていた名称を、当期はそれぞれ「飲料事業」及び「飲料部門」に変更しております。

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末の資産、負債、純資産については、総資産は、投資有価証券の増加などにより、前連結会計年度末に比べ1,032億円増加し、1兆8,250億円となりました。

負債は、1年内償還予定の社債の減少などにより、前連結会計年度末に比べ267億円減少し、7,264億円となりました。

純資産は、その他有価証券評価差額金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ1,300億円増加し、1兆986億円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ731億円減少し、3,042億円となりました。

 
(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益464億円、減価償却費508億円などにより616億円の収入前連結会計年度は939億円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出509億円などにより562億円の支出前連結会計年度は1,910億円の収入)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出524億円、配当金の支払額185億円などにより782億円の支出前連結会計年度は412億円の支出)となりました。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

情報コミュニケーション部門

475,233

△8.5

生活・産業部門

296,367

△3.1

エレクトロニクス部門

190,767

+5.9

飲料部門

31,284

△20.4

合      計

993,652

△4.9

 

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

なお、飲料部門においては、受注を主体とした生産を行っていないため、受注状況の記載を省略しております。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

情報コミュニケーション部門

591,766

△9.9

106,837

△6.5

生活・産業部門

363,418

△5.1

73,353

△4.3

エレクトロニクス部門

200,048

+4.6

30,076

+12.3

合    計

1,155,233

△6.1

210,267

△3.4

 

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

情報コミュニケーション部門

719,476

△6.5

生活・産業部門

367,517

△5.8

エレクトロニクス部門

197,020

+5.6

飲料部門

51,425

△7.0

合      計

1,335,439

△4.7

 

(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点によるDNPグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

DNPグループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、前連結会計年度(以下「前期」)に比べて664億円減少し、1兆3,354億円前期比4.7%減)となりました。

売上原価は、前期に比べて505億円減少して1兆585億円前期比4.6%減)となり、売上高に対する比率は前期の79.1%から79.3%となりました。販売費及び一般管理費は、前期に比べて91億円減少して2,273億円前期比3.9%減)となり、この結果、営業利益は前期に比べて67億円減少して495億円前期比12.0%減)となりました。

営業外収益は、受取配当金の減少等により前期に比べて38百万円減少して156億円前期比0.2%減)となり、営業外費用は、寄付金の減少等により前期に比べて29億円減少して52億円(前期比35.6%減)となりました。この結果、経常利益は前期に比べて38億円減少して599億円(前期比6.1%減)となりました。

特別利益は、投資有価証券売却益の減少等により、前期に比べて787億円減少して29億円前期比96.4%減)となり、特別損失は、減損損失の減少等により前期に比べて263億円減少して164億円前期比61.5%減)となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は250億円前期比63.9%減)となりました。

 

DNPグループの経営成績に重要な影響を与えた要因は以下のとおりです。

当連結会計年度におけるDNPグループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の影響により、人や物の移動が制限され、個人消費や企業活動が大きな影響を受けるなど、厳しい状況となりました。2020年の夏頃には各国・地域で経済活動が徐々に再開されたものの、秋から冬にかけて全世界で感染者の増加が見られました。2021年に入って、国内でも緊急事態宣言が発令されるなど、コロナ禍の収束までの見通しは不透明感を増しました。 こうした中で、当期はイベントや展示会、各種販促活動の自粛などにより、印刷物等の需要は落ち込んだものの、テレワークの進展、オンライン教育やオンライン診療の広がり、各種ネットサービスの普及が加速したほか、地球環境への負荷低減に関する意識が世界的に高まるなか、環境に配慮した製品・サービスの需要が拡大しました。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。

情報コミュニケーション部門については、マイナンバーカード等のIDカードやBPO関連事業のほか、電子書籍の販売や電子図書館サービスは拡大したものの、書籍や雑誌、パンフレットやカタログ等の印刷受注に加え、イメージングコミュニケーション事業の売上が減少した結果、部門全体の売上高は前期比6.6%減7,218億円となりました。また、営業利益は、売上の減少によって前期比36.9%減191億円となりました。営業利益率は、前期の3.9%から1.2ポイント低下し、2.7%となりました。

生活・産業部門については、包装関連事業は、製造や業務の効率化などの構造改革が一定の成果を挙げたものの、土産品や飲食店向け等の業務用包材が減少しました。また、生活空間関連事業も第3四半期以降に復調の兆しが見られたものの、上半期の需要減少の影響が大きく減収となりました。一方、産業用高機能材関連事業は、リチウムイオン電池用バッテリーパウチがIT用、車載用ともに好調に推移し、収益性が向上しました。その結果、部門全体の売上高は前期比6.0%減3,680億円となりました。また、営業利益は、産業用高機能材関連事業の伸びや原材料価格の下落などもあり、前期比25.3%増139億円となりました。営業利益率は、前期の2.8%から1.0ポイント上昇し、3.8%となりました。

エレクトロニクス部門については、構造改革の推進により液晶ディスプレイ用カラーフィルターは減少しましたが、有機EL製造用メタルマスクが安定して推移したほか、光学フィルム関連も好調な伸びを見せました。また、フォトマスクや半導体パッケージが増収となった結果、部門全体の売上高は前期比5.6%増1,970億円となりました。また、営業利益は、売上の増加や事業構造改革の成果により、前期比7.5%増366億円となりました。営業利益率は、前期の18.3%から0.3ポイント上昇し、18.6%となりました。

 

飲料部門については、アルコール飲料の販売が増加したものの、観光客・宿泊客の減少や外食産業を中心とした店舗の休業にともなう飲料需要の減少により、部門全体の売上高は前期比7.0%減514億円となりました。また、営業利益は、販売数量の減少などにより、前期比59.0%減8億円となりました。営業利益率は、前期の3.7%から2.1ポイント低下し、1.6%となりました。

 

セグメント資産の状況については、情報コミュニケーション部門は前期末に比べて、1,019億円増加して8,987億円前期末比12.8%増)となりました。

生活・産業部門は前期末に比べて、194億円増加して4,433億円前期末比4.6%増)となりました。

エレクトロニクス部門は前期末に比べて、40億円増加して2,124億円前期末比1.9%増)となりました。

飲料部門は前期末に比べて、9億円減少して490億円前期末比1.9%減)となりました。

報告セグメント合計では前期末に比べて、1,245億円増加して1兆6,036億円前期末比8.4%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資本の流動性に係る情報

DNPグループの当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前期末に比べ731億円減少し、3,042億円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益464億円、減価償却費508億円などにより616億円の収入前期は939億円の収入)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出509億円などにより562億円の支出前期は1,910億円の収入)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出524億円、配当金の支払額185億円などにより782億円の支出前期は412億円の支出)となりました。

 

a.財務戦略の基本的な考え方

DNPグループは、社会課題を解決し、人々の期待に応える新しい価値の創出のため、成長領域を中心とした事業へ集中的に事業投資(研究開発投資、設備投資、戦略的提携やM&A投資)を行うとともに、それらを支える人財投資に経営資源を投入していきます。そのほか、資本効率の向上、財務基盤の安定化と株主還元の実施など、さまざまな資本政策を総合的に勘案して推進していきます。

 

b.DNPグループの資本の財源

DNPグループは、主に営業活動により確保されるキャッシュ・フローにより、成長を維持・発展させていくために必要な資金を確保しております。

設備投資資金などの資金需要については自己資金で賄うことを基本としておりますが、自己資金に加え、他人資本も活用し、成長投資資金を調達していきます。

 

c.DNPグループの経営資源の配分に関する考え方

DNPグループは、成長領域を中心とした注力事業への投資などを進めていきます。

重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源泉等については、「第3 設備の状況  3 設備の新設、除却等の計画 (1)新設等」に記載のとおりであります。

また、利益の配分については、「第4 提出会社の状況  3 配当政策」に記載のとおりであります。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

DNPグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

 

技術導入契約

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約の内容

対価

契約期間

北海道コカ・コーラ
ボトリング株式会社
(連結子会社)

ザ コカ・コーラカンパニー及び
日本コカ・コーラ株式会社

アメリカ

日本

北海道を対象地域としたコカ・コーラ製品の製造・販売及び商標使用等に関する権利供与

原液購入代金

2014年4月1日から
2024年3月31日まで

 

 

 

 

5 【研究開発活動】

DNPグループは、新規事業の創出・新製品開発から生産技術の開発に至るまで、幅広い研究開発活動を続けており、その活動は事業活動の原動力として機能しております。

DNPグループの研究開発は、研究開発センター、技術開発センター及び各事業分野の開発部門に加え、全社横断で新規事業開発を推進するAB(アドバンストビジネス)センターを中心に推進しております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は32,623百万円であり、3つの事業部門に関する研究開発費が11,305百万円、各事業部門に配分することができない本社開発部門等の費用が21,318百万円であります。

当連結会計年度における各事業部門の主な研究開発とその成果は次のとおりであります。

 

(1) 情報コミュニケーション部門

出版印刷分野では、デジタルメディアを活用して読者への提供価値を拡大することが課題になっています。そのため、出版のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める一環として、出版社がコンテンツをWEB記事として提供する月額課金制会員サービスを開発しました。本サービスでは、会員が登録した悩みや好みのデータを基に、AI(人工知能)が診断し、会員一人ひとりに最適な記事を抽出して提供します。

セールスプロモーション分野では、企業による各種発行物の校正・校閲、契約書・申込書の審査等の業務の負荷軽減が課題になっています。そのため、これら業務の負荷をAIの活用で軽減するSaaS型の「DNP AI審査サービス」を開発しました。デジタル化したワークフローで進捗等を管理するため、テレワーク対応など企業の働き方改革を推進します。

カード・セキュリティ分野では、新型コロナウイルスの影響で、衛生管理に対するニーズの高まりから、従来からの抗菌性能に加え、国内初となる抗ウイルス性能を兼ね備えた非接触ICカードを開発しました。新しい生活様式に対応したカード決済を実現するとともに、社員証や入館証を利用する従業員や施設利用者等の安全・安心を実現します。

BPO分野では、業務効率の向上と社員のビジネススキルの平準化が課題になっています。そのため、企業の業務文書を自然言語処理AIを用いて知識グラフ化し、これを活用する「DNP業務知識活用プラットフォーム」を開発しました。保険会社や金融機関等の加入申込審査やコールセンターのオペレーション業務を支援できるため、業務経験の浅い担当者でも専門的な業務知識を容易に導き出すことができます。

イメージングコミュニケーション分野では、感染リスクに対応した社会でも楽しい体験や感動をフォトで提供するため、センサーやタッチパネルを活用し、一人では撮影できない位置などから自動撮影し、利用者に体験価値の高いフォトを提供する自動撮影ソリューションを開発しました。アミューズメントパークやイベント施設等にこれらのサービスを販売していきます。

当部門に係る研究開発費は2,184百万円であります。

 

(2) 生活・産業部門

装分野では、環境に配慮したパッケージのニーズの高まりから、単一素材(モノマテリアル)で構成した「DNPモノマテリアル包材」の新グレードを開発しました。これまではなかったボイルやレトルトに対応ができるもので、今後もリサイクルしやすい包装容器のラインアップを拡充していきます。また、バリア性を有し、かつ、再生可能資源である紙を使用してプラスチック量を削減した「DNPスーパーハイバリア紙包材」を開発しました。

活空間分野では、建装材・フィルム製品として抗菌製品技術評議会(SIAA)から抗菌・抗ウイルス性能認証を得たEB(電子線硬化)オレフィンシートや不燃塩ビ壁装材を開発しました。EBオレフィンシートに簡単に貼り直しができる粘着加工を施し、デスク等を抗菌・抗ウイルス化できるデスクトップシートの提供を開始しました。今後、これまでの「健康」と「環境」に加え、「衛生」に配慮した空間提供を推進していきます

高機能マテリアル分野では、新型コロナウイルス用のワクチンなどを対象として、電源を必要とせず、超低温を長時間保持した輸送に対するニーズが高まっています。近年、酸素等の気体を通しにくいバリアフィルムを使った高い断熱性能を持つ真空断熱材が使われており、DNPの「ハイバリアフィルム」等も使用されています。今回、DNPは真空断熱材を使った「va-Q-tec(バキュテック)」社製の医薬品専用断熱ボックスの日本国内での販売を開始しました。本製品の提供により非電源で長距離超低温輸送が可能となり、新型コロナウイルス用のワクチン等の安全な輸送を支援していきます。

 

モビリティ分野では、スマートフォンを自動車のドア施錠等の操作に用いるデジタルキー導入の流れが加速していますが、電池切れにより機能しなくなるという課題がありました。そのため、ワイヤレス充電機能を一体化したデジタルキー認証モジュールを開発しました。近距離無線通信の国際規格の通信機能と、ワイヤレス充電の標準規格に準拠した充電機能を組合せ、2つの機能を集約したことで自動車の限られたスペースに組み込んで使用することができます。

当部門に係る研究開発費は1,610百万円であります。

 

(3) エレクトロニクス部門

コロナ禍でオンライン診療のニーズが高まる中、患者の画像はカメラや撮影環境から色調等が異なるため、医療現場のモニターに正確な情報を表示することが課題になっていました。これに対し、DNPは小型のカラーチャートを被写体と同時に撮影し、専用サーバー上で色調を整えることで、一定水準の色調に補正し表示するシステムを開発しました。今後は様々なカラーチャートを用いた色調調整に関するシステムをオンライン医療で役立てるため国際標準化を進め、サービスの質の向上と普及を加速します。

また、感染防止のマスクやフェイスシールドにより、医療・接客・手話通訳等の現場で表情が伝わりにくいことが課題になっています。そのため、ディスプレイ用のフィルムを活用し、反射による映り込みが少ない「DNP超低反射フェイスシールド」を開発しました。今後、同様の課題を有する業界に幅広く提供していきます。

当部門に係る研究開発費は7,510百万円であります。

 

(4) 飲料部門

該当事項はありません。