第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

DNPグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、DNPグループが判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

DNPグループは経営の基本方針として、「人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する。」という企業理念を掲げ、長期を見据えて、自らがより良い未来をつくり出すための事業活動を展開し、企業価値を安定的に拡大していくよう努めています。事業ビジョンには、「P&Iイノベーションにより、4つの成長領域を軸に事業を拡げていく。」ことを掲げ、独自の「P&I」(印刷と情報)の強みの掛け合わせとパートナーとの連携を通じた価値創出に努めています。

また、社会課題を解決するとともに、人々の期待に応える新しい価値の創出に努め、それらの価値を生活者の身近に常に存在する「あたりまえ」のものにしていくように努めています。人々にとって「欠かせない価値」を生み出し続けるDNPの取り組みを、「未来のあたりまえをつくる。」というブランドステートメントで社内外に表明しています。そして、その実現のために、「価値の創造」「誠実な行動」「高い透明性(説明責任)」という3つの責任を果たし続けていきます。

 

例えば、近年特に地球環境に対する負荷の低減が強く求められるなか、DNPグループは従来から常に、事業活動と地球環境との共生を絶えず考え、行動規範のひとつに「環境保全と持続可能な社会の実現」を掲げてきました。サステナブルな地球の上で初めて、健全な社会と経済、快適で豊かな人々の暮らしが成り立つと捉え、環境関連の課題を解決するとともに、人々の期待に応える価値の創出に注力しています。

2020年3月には「DNPグループ環境ビジョン2050」を策定し、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に向けた取り組みを加速させています。重要課題のひとつである気候変動対応については、事業に関するリスクと機会の抽出、シナリオ分析による財務への影響評価を実施しています。また、事業ポートフォリオの転換、省エネルギー活動の強化、再生可能エネルギーの導入などにより、自社拠点での事業活動にともなう温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロにすることを目指すとともに、製品・サービスを通じて脱炭素社会の構築などに貢献していきます。これらの取り組みについて、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の提言に沿った情報開示を進めるとともに、「自然関連財務情報開示タスクフォース」(TNFD: Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)への対応も視野に入れていきます。

 

(2)目標とする経営指標

DNPグループは、環境・社会・経済の動向や人々の価値観などが大きく変化するなかでも、企業理念に基づき、自らが主体となって、持続可能なより良い社会、より快適な暮らしの実現に向けて、新しい価値の創出に取り組んでいます。グループの強みを活かすことで事業を拡大していく「4つの成長領域」を設定して、長期を見据えた戦略を展開し、いつまでに・何を・どの程度達成するかといった中間目標(マイルストーン)を具体的に設定しながら、成果を積み上げていきます。

現在は、2025年3月期の経営指標として「営業利益750億円、営業利益率5.2%、ROE5.0%以上」を設定した上で、2020年度から2022年度までの3か年の中期経営計画を推進しています。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

DNPグループは、2023年3月期を最終年度とする3か年の中期経営計画において、「P&Iイノベーションによる価値の創造」と「成長を支える経営基盤の強化」の2つを基本方針として、目標の達成に努めていきます。

 

 <基本方針1>P&Iイノベーションによる価値の創造
〔1-1:成長領域を中心とした価値の創出〕

DNPグループは、社会の課題や大きな潮流(メガトレンド)、人々の価値観の変化などを分析し、ステークホルダーの関心、DNPグループの事業との関連における影響度などを考慮して重要課題を設定しています。メガトレンドとしては、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」をはじめ、「データ経済化」「国内の人口減少と世界の人口増」「人類の長寿命化」「都市のスマート化」「脱炭素社会の構築」などが続いていくと捉えています。

こうした動向に対して、DNPだからこそ創出できる価値を設計し、収益性と市場成長性の軸でそれらの価値を適切に評価して、「注力事業」を設定しています。「IoT・次世代通信」「データ流通」「モビリティ」「環境」という「注力事業」を中心に経営資源を最適に配分することで、バランスの取れた強靭な事業ポートフォリオを構築していきます。

 

〔1-2:各国・地域への最適な価値の提供〕

DNPグループは、それぞれの国・地域の特性や、そこで暮らす人々の課題・ニーズを的確に捉え、最適な製品・サービスを開発・提供することで、グローバルに事業を展開しています。リチウムイオン電池用バッテリーパウチ、有機ELディスプレイ製造用メタルマスク、ディスプレイ用光学フィルム、写真プリント用昇華型熱転写記録材など、世界トップシェアを獲得している事業のさらなる拡大に努めるほか、新規事業の創出にも取り組み、グローバル市場に新しい価値を提供していきます。

 

〔1-3:あらゆる構造改革による価値の拡大〕

強い事業ポートフォリオの構築に向けて、DNPグループ全体で多種多様な構造改革を推進していきます。例えば、情報コミュニケーション部門での紙メディア製造拠点の縮小、生活・産業部門での低付加価値製品の見直しと拠点の再編のほか、エレクトロニクス部門では、データ解析やロボット・AI活用による生産性の大幅な向上などを進めていきます。こうした取り組みによって生み出した人的資源や土地・設備などのリソースを「注力事業」の開発・製造に振り向けることで、事業構造の転換を進め、事業競争力をさらに強化していきます。

 

 <基本方針2>成長を支える経営基盤の強化
〔2-1:財務・非財務資本の強化〕

DNPグループは、中長期的な成長に向けて、財務資本と非財務資本を統合的に活かすことで経営基盤を強化していきます。事業の成長を支える資本政策を進めるほか、非財務資本(人的/知的/製造/自然/社会・関係の各資本)の強化・拡大に努め、具体的な行動計画を策定・実行していきます。

資本政策については、<基本方針1>と連動させて、「注力事業」を中心とした投資を進めています。これらの事業投資の財源として、自己資金だけでなく、他人資本の活用による成長資金の調達や、遊休資産の圧縮、政策保有株式の売却などを進めていきます。そのほか、資本効率の向上、財務基盤の安定化と株主還元の実施など、さまざまな資本政策を総合的に勘案して推進していきます。

非財務資本のうち、近年特に重要性を増している人的資本に関しては、行動規範のひとつに「人類の尊厳と多様性の尊重」を掲げるなど、従来から人財・人権を重視した企業活動を行っています。国連の「国際人権章典」「グローバル・コンパクト」「ビジネスと人権に関する指導原則」や国際労働機関(ILO)の「労働の基本原則および権利に関する宣言」等に基づいた活動を継続しており、2020年には「DNPグループ人権方針」を策定しています。

また、DNPグループは社員一人ひとりのあらゆる違いを尊重し、お互いの強みを掛け合わせ、新たな価値の創出につなげています。多様な人材の育成と働き方の実現、社員が活躍できる組織風土の醸成に向けて、「ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包摂:D&I)」の取り組みを推進し、特に意思決定層の多様性を高めるためにも、あらゆるジェンダーギャップの解消に努めているほか、職場の心理的安全性の向上に努め、障がいを持つ社員や各国・地域の社員、あらゆる年齢の社員やLGBTQ+の社員を含む全社員の活躍を支援する施策・制度の増強などに取り組んでいます。

例えば、「D&I」に関する全社員の当事者意識を醸成していく社内イベント「ダイバーシティウィーク」を2021年から開催しています。また、「働き方の変革」には2009年度から、「人事諸制度の再構築」には2019年度から集中的に取り組んでいます。社員一人ひとりの状況に合わせて選択できる多様な働き方の制度を構築し、コロナ禍前からテレワークを推進してきたほか、短時間勤務・短日勤務、ワーケーション、社外での副業や、社内の他の部署の仕事に携わる社内複業、人材公募制度を利用した他企業への出向など、さまざまな取り組みを全社に広げています。

女性社員に対しては、2000年代の初めからその活躍推進に力を入れており、研修等によるキャリア形成と管理職登用を促進しています。その結果、2021年度末に女性の管理職比率が7.4%となり、管理職層・リーダークラスの人数も2016年2月の2.2倍に増加して、2019年の設定目標を達成しました。また、2025年度末までに部長クラス以上を2021年度末の1.5倍に、課長クラスの割合を15%以上に、リーダークラスの割合を25%以上にする目標を新たに掲げ、その達成に努めていきます。

そのほか、社員の健康管理を経営の重要課題のひとつと捉え、2021年4月に策定した「DNPグループ健康宣言」に基づき、戦略的に健康づくりを推進し、活力の向上や組織の活性化につなげる「健康経営」を実践しています。

・外部評価

なでしこ銘柄選定、PRIDE指標GOLD、D&I award、健康経営ホワイト500選定。

 

 

〔2-2:コーポレート・ガバナンスの強化〕

DNPグループは経営の重要課題のひとつとして、コーポレート・ガバナンスの強化に努めています。迅速かつ的確な経営の意思決定や業務執行、及びそれらを監督・監査する強固な体制を構築して運用しています。

取締役は12名のうち1名が女性であり、また全体の3分の1となる4名が社外取締役です。監査役は5名のうち1名が女性であり、また全体の過半となる3名が社外監査役です。取締役会の実効性の分析・評価は年1回実施しており、分析結果を社外役員で議論するとともに、取締役会で共有しています。

2022年4月には、環境・社会・経済の持続可能性を高め、DNP自身の持続的な成長をさらに推進していくため、代表取締役社長を委員長、代表取締役専務を副委員長とし、本社の各部門を担当する取締役・執行役員を委員として構成した「サステナビリティ推進委員会」の体制を再編しました。当委員会は「企業倫理行動委員会」や「BCM推進委員会」とも連携し、環境・社会・ガバナンス(ESG)を重視した中長期的な企業活動のもとで、全社リスクを分析・管理していきます。また、リスクとして把握した変動要因は、同時に事業拡大の機会でもあるという認識に立って、多様な社会の多くの人々が期待し、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成にも貢献する新しい価値の創出につなげていきます。

社員に対しても、一人ひとりが企業としての社会的責任を果たしていくため、「DNPグループ行動規範」に基づいた行動を促すとともに、さまざまな研修・教育を実施してコンプライアンス意識の醸成をさらに図っていきます。

 

 

2 【事業等のリスク】

DNPグループは、地球環境の持続可能性を高め、健全な社会と経済、快適で豊かな人々の暮らしを実現していく新しい価値の創出に努めており、それによってDNP自身の持続的な成長を達成していきます。また、その実現に向けて、環境・社会・経済に関するさまざまな課題と、変動要素としてのリスクを正しく認識し、統合的なリスクマネジメントを行う取り組みに注力しています。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。DNPグループは、持続可能な社会の実現に向けて、リスクによるマイナスの影響を抑制するとともに、事業機会(チャンス)の拡大を図っていきます。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてDNPグループが判断したものであります。

 

(1)環境関連のリスク

○あらゆる企業活動の土台となる地球環境の持続可能性に関連する変動要素

・気候変動による自然災害の激化、生物多様性の損失の加速

・環境ポジティブな製品・サービスの市場拡大、技術革新の加速

○地球環境の危機に対する制度・ルールの変動

・気候変動リスクや自然関連情報等の開示の強化

・GHG排出量の規制強化、エネルギー関連施策の見直し

・循環経済への移行の加速 など

 

DNPグループは事業活動と地球環境の共生に絶えず取り組み、「DNPグループ環境ビジョン2050」に基づいて「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に向けた取り組みを加速させています。例えば、自然災害等への対応としては、製造設備その他の主要施設に防火・耐震・水害対策等を施すとともに、製造拠点や原材料調達先の分散を図り、生産活動の停止や製品供給の混乱を最小化する事業継続計画(BCP)を策定し、その適切なマネジメント(BCM)を推進しています。また、各種保険によるリスク移転も図っています。しかしながら、甚大な自然災害や感染症の流行など、社会インフラの大規模な損壊や機能低下、生産活動の停止につながるような予想を超える事態が発生した場合は、業績に大きな影響を与える可能性があります。

またDNPグループの事業は、印刷用紙など森林資源からの原材料調達や、水・エネルギーを使用する製造工程など、さまざまな形で自然の恩恵を受けています。さらに、グローバルなサプライチェーンの構築など、社会と密接に関係しながら事業活動を展開しています。こうした状況をグループ全体で明確に認識し、環境の持続性を確保しつつ、社会とともに持続的に成長するための取り組みを進めています。しかしながら、地球環境の急激な変動や生物多様性の損失の加速などによって、DNPが必要とする自然資本に想定以上の変動がある場合は、企業活動への影響が大きくなります。

国内外では、気候変動への対応や生物多様性の保全などに関する法的規制や国際規範の強化が進み、社会課題の解決に取り組む姿勢を重視して企業価値を判断する傾向が強まっています。特に「脱炭素社会」への移行は、世界的な緊急課題となっており、各種インフラや事業構造の変革が求められています。DNPグループはこうした変化を先取りすることに加え、自ら主体的に変化を起こすことによって、地球環境の持続可能性の増進と業績の拡大に対して、より良い影響を与えるように努めていきます。

 

 

(2)社会関連のリスク

○社会で生きる多様な人々の尊厳・権利に関する変動要素

・多様な社会で生きる多様な人々の尊厳に関する課題の変化

・あらゆる人が心地よく生きるための諸条件の変化(心身の健康・安全・衛生など)

・サプライチェーン/バリューチェーン全体における人権侵害等の加速

○健全な社会の構築に向けた制度・ルールの変動

・各国・地域の法制度・政治制度の変更

・地政学的リスク/カントリーリスクの拡大

・文化や制度・ルールの違いによる各種リスクの顕在化 など

 

「DNPグループ人権方針」等に基づき、社員の心理的安全性が高く健康で活力ある職場の実現に注力するほか、社員一人ひとりの状況に配慮した働き方を実現し、多様な強みを掛け合わせていく「ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包摂)」の取り組みを推進しています。しかしながら、国内外の雇用情勢の急激な変化にともない、高い専門性を有する人財や、変化に柔軟に対応しながら業務を遂行できる人財の確保・育成ができない場合など、競争優位性の高い組織体制の構築が難しくなる可能性があります。

近年は特に、海外での事業活動やグローバルに拡大するサプライチェーン/バリューチェーンに関して、多様な社会的・政治的・経済的変動要素が顕在化しています。世界各地での労働環境の適正化や人権への配慮がますます重要となるなか、社会的責任を果たし続けていくことが、企業として長期的に発展していくことの基盤となります。それに対して、各国・地域や経済圏などで、社会関連の法律や規制の予期しない制定や変更、地政学的リスクやカントリーリスクの拡大などが起きることによって、DNPグループの国内外の事業活動や原材料調達に支障が生じ、業績に影響を与える可能性があります。

DNPグループはまた、社員全員に対して企業倫理の浸透・徹底を図っています。すべての企業活動において法令等を守るだけでなく、高い倫理観を持ち、常に公正・公平な態度で、社会の維持・発展に寄与することで、将来にわたって信頼を得るべく努めています。しかしながら、企業としてのレピュテーションが低下するような事案が国内外で発生した場合など、業績への影響につながる可能性があります。

 

(3)経済関連のリスク

○各国・地域とグローバルな市場における経済活動の短期および中長期の変動要素

・ビジネスモデル/技術/製品・サービス等の開発の加速

・デジタルトランスフォーメーション(DX)やグローバルネットワーク等の加速

・各種経済指標の急激な変動

(国内外の景気・業界動向・消費意欲・物価・為替・GDP他)

○経済活動の基盤となる制度・ルールの変動

・資本主義の見直し、バーチャルな経済圏の確立等による金融インフラの変動

・情報インフラ関連の変動(GDPR等各種ルール・規制の強化/緩和、情報セキュリティへの脅威) など

 

DNPグループは、特定の業種に偏らない数万社の企業や、自治体・各種団体・生活者等と多様な事業活動を行っています。この強靭で安定的な事業基盤を強みにするとともに、独自の「P&I」(印刷と情報)の強みを掛け合わせ、社外のパートナーとの連携を強化しながら新しい価値の創出に努めています。しかしながら、国内外の景気や消費の動向などが想定以上に低迷した場合や、特に新興国での生産や需要の変化が大きい場合など、生産量の減少や単価の下落等によって業績が影響を受ける可能性があります。また、新規のビジネスモデルや技術、製品・サービスの開発において、さらなる競争の激化や変化に対する対応の遅れ、予想を上回る商品サイクルの短期化、市場動向の変化などが業績に影響を与える可能性があります。戦略的な事業・資本提携や企業買収は、事業拡大の迅速化や効果の拡大に有効ですが、提携先・買収先等を取り巻く事業環境が悪化し、当初想定していたような相乗効果が得られない場合、業績に影響を与える可能性があります。

 

原材料等の調達については、国内外の複数のメーカーから印刷用紙やフィルム材料を購入するなど、安定的な数量の確保と最適な調達価格の維持に努めています。しかしながら、石油価格や為替の大幅な変動や新興国での急激な需要の増加、天然資源の枯渇、気候変動の影響、サプライチェーンにおける人権の問題などにより、需給バランスが崩れる懸念もあります。また為替相場については、現地生産化や為替予約などによって変動リスクをヘッジしていますが、これらの状況が急激に変動する場合には、業績に影響を与える可能性があります。

また、事業活動において、世界規模のコンピュータネットワークなど情報システムを活用するなかで、ソフトウェアやハードウェアの不具合のほか、日々変化していくサイバー攻撃によるコンピュータウイルスへの感染、個人情報の漏えいなどの発生リスクが高まっています。特に、サイバー攻撃については、攻撃の増大と巧妙化が進んでおり更なる自社防御強化は必須です。DNPグループは、個人情報を含む重要情報の保護、つまり情報セキュリティを経営の最重要課題のひとつとして捉え、体制の強化や社員教育などを通じてシステムとデータの保守・管理に万全を尽くしていますが、万一、DNPグループのサプライヤーやパートナーがサイバー攻撃や重要情報に関連する事故などが発生した場合には、事業の停止等事業活動に影響を与える可能性があります。

事業活動において自社が保有する知的財産やノウハウ等を適切に保護、管理、活用することは不可欠です。DNPグループでは、自らの技術・ノウハウ等の流出を防止するための管理を厳重に行っていますが、不測の事態による外部流出の可能性があります。一方で他者の知的財産を必要とする事業や製品開発において当該知的財産を利用できない場合、事業拡大や業績に影響を与える可能性があります。また、他者の知的財産権を尊重し、侵害しないよう対応していますが、他者から訴訟等を提起され、差止請求や損害賠償請求を受ける可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度におけるDNPグループの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるDNPグループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の影響が続きましたが、ワクチンの普及などもあり、徐々に経済活動再開の動きも見られました。国内では働き方や生活様式の変化も続き、遠隔教育やオンライン診療、第5世代移動通信システム(5G)関連の需要が一層拡大しました。また、地球温暖化防止や環境負荷低減の取り組みが世界で広がるなか、脱炭素社会や循環経済の構築につながる環境配慮型の製品・サービスのニーズが高まりました。一方、期の後半には、ウクライナ情勢をはじめとする地政学リスク、原材料価格の一段の上昇、半導体不足の長期化など、2022年度にかけて影響が強まりました。

こうした状況のなか、DNPグループは、持続可能なより良い社会、より快適な暮らしの実現に向けて、社会の課題を解決するとともに、人々の期待に応える新しい価値の創出に努めました。DNPグループは常に、社会に貢献していくこと、人々の暮らしを豊かにしていくことを「志」として持ち続けており、「未来のあたりまえをつくる。」というブランドステートメントにその思いを込めています。独自の「P&I」(印刷と情報)の強みを掛け合わせ、多くのパートナーとの連携も深めて、人々や社会に必要とされる価値を提供することで、欠かせない会社としての「存在意義」の発揮に努めています。

 

当期は、高い市場成長性と収益性を見込む「注力事業」として、「IoT・次世代通信」「データ流通」「モビリティ」「環境」関連のビジネスを設定し、経営資源を重点的かつ最適に配分して事業の拡大に取り組みました。

「IoT・次世代通信」関連では、5G向けにナノインプリントリソグラフィによる次世代半導体製品の開発・供給を進めました。この技術は、半導体製造時の省電力化やコスト低減を実現し、脱炭素社会の実現にも貢献しています。

「データ流通」関連では、2021年10月に、高等教育の高度化への取り組みを目的として、NTT西日本及びNTT東日本との共同出資で株式会社NTT EDXを設立しました。電子教科書・教材事業を軸に、高等教育の課題解決に向けた各種サービスの提供や、出版社・書店の業務の電子化・効率化の支援に取り組みました。また証明写真機「Ki-Re-i」を活用したマイナンバーカードの電子申請サービスも提供し、行政サービスのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進して、新しい生活様式に対応した非接触での申請を可能にしました。

「モビリティ」関連では、環境負荷の低減やエネルギー効率の向上、より高い情報セキュリティや安全性・快適性が求められる「次世代のモビリティ社会」に向けた製品・サービスの開発に努めました。例えば、電気自動車(EV)等に使用するリチウムイオン電池用のバッテリーパウチや、内外装材のデザインと機能をともに高める加飾フィルムやパネルなどを開発・提供しました。

「環境」関連では、単一素材(モノマテリアル)のプラスチックで構成することでリサイクル性を高めた「モノマテリアル包材」の開発を強化しました。DNPグループの独自技術によって、酸素や水蒸気に対する高いバリア性に加えて、メタリック調の意匠・デザインを実現し、液体の内容物にも対応可能なポリプロピレン(PP)のフィルムパッケージを開発しました。この製品が2021年6月に世界的な消費財メーカーに採用され、東南アジア市場での販売がスタートしました。

そのほか、競争力強化のための構造改革にも取り組み、強い事業ポートフォリオの構築を推進しています。長期的成長を支える経営基盤の強化に向けて、DXなどの大きな潮流(メガトレンド)を捉え、ICT活用による生産性の向上や情報基盤の強化のほか、環境及び人財・人権の取り組みを加速させました。
 

 

これらの結果、当連結会計年度のDNPグループの売上高は1兆3,441億円前期比0.7%増)、営業利益は667億円前期比34.8%増)、経常利益は812億円前期比35.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、退職給付制度の改定をはじめ、補修対策引当金の見直し及び投資有価証券の売却に伴う特別利益の計上もあり、971億円前期比287.4%増)となりました。また、DNPグループが収益性指標の1つとしている自己資本利益率(ROE)は9.1%となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

〔印刷事業〕

(情報コミュニケーション部門)

情報イノベーション事業は、BPO(Business Process Outsourcing)の大型案件が減少したほか、ICカードもマイナンバーカードの需要拡大が一段落し、当事業全体で減収となりました。

イメージングコミュニケーション事業は、主力の米国市場や国内において、写真の撮影・プリント用の部材とサービスの需要が大幅に回復したほか、その他の地域での事業も順調に推移し、当事業全体で増収となりました。

出版関連事業は、電子書籍の販売が引き続き堅調に推移し、紙と電子の両方に対応したハイブリッド型総合書店「honto」の売上が増加したほか、電子図書館サービスや図書館運営業務が順調に推移しました。一方、雑誌の印刷が伸び悩むなどの影響も大きく、当事業全体で減収となりました。

その結果、政策関連大型BPOが昨年実績から減少したことなどにより、部門全体の売上高は6,989億円前期比3.2%減)となりましたが、営業利益はコスト構造改革の効果もあり276億円前期比43.9%増)となりました。

 

(生活・産業部門)

包装関連事業は、「DNP環境配慮パッケージング GREEN PACKAGING」の開発・販売に努めたほか、製造プロセスや業務の効率化などの構造改革が一定の成果を挙げました。紙器、軟包装がわずかに減少したものの、無菌充填システムの販売増加もあり、当事業全体で増収となりました。

生活空間関連事業は、住宅や自動車市場の需要回復により、住宅用内外装材や自動車内装用の加飾フィルムなどが増加しました。また、感染防止対策に有効な抗菌・抗ウイルス製品の需要も拡大し、当事業全体で増収となりました。

産業用高機能材関連事業は、世界的な半導体不足による、サプライチェーンにおける一時的な減産の影響を受けたものの、リチウムイオン電池用バッテリーパウチが、電気自動車の世界的な需要拡大により車載向けは増加、テレワークの広がり等によりタブレット端末やスマートフォン向け需要は堅調に推移し、当事業全体で増収となりました。

その結果、部門全体の売上高は3,870億円前期比5.2%増)となりました。営業利益は、産業用高機能材関連事業の拡大や、製造体制の最適化等によるコストダウンを進めましたが、原材料高の影響によって、136億円前期比2.4%減)となりました。

 

(エレクトロニクス部門)

ディスプレイ関連製品事業は、光学フィルム関連が巣ごもり消費需要の一巡による影響を受けたものの、全体では増加しました。また、有機ELディスプレイ製造用メタルマスクは、スマートフォン用のディスプレイ需要が堅調に推移し、当事業全体で増収となりました。

電子デバイス事業は、企業や自治体等のDXの加速などによって半導体需要が拡大し、通信や車載、データセンター向けの半導体製品の製造用フォトマスクが増加しました。また、半導体パッケージ用部材であるリードフレームなど各種関連製品も好調に推移し、当事業全体で増収となりました。

その結果、部門全体の売上高は2,110億円前期比7.1%増)となり、営業利益は売上の増加によって、464億円前期比26.7%増)となりました。

 

 

〔飲料事業〕
(飲料部門)

コロナ禍での生活様式の変化や環境負荷低減のニーズの拡大に対応して、商品名等のラベルを付けないPETボトル飲料のオンライン及び店頭での販売に注力しました。

部門全体の売上高は、家庭内消費が主力のスーパーやウェブサイトでの販売は増加したものの、外出自粛や行動制限の影響を受けて飲食店での販売が伸び悩んだことにより、497億円前期比3.4%減)となりました。営業利益は、シェア拡大に向けた販売促進費の増加や原材料・資材費の高騰の影響などにより、6億円前期比17.8%減)となりました。

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末の資産、負債、純資産については、総資産は、退職給付に係る資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ516億円増加し、1兆8,766億円となりました。

負債は、退職給付に係る負債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ18億円増加し、7,282億円となりました。

純資産は、利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ497億円増加し、1兆1,484億円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ108億円減少し、2,933億円となりました。

 
(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,268億円、減価償却費511億円などにより820億円の収入前連結会計年度は616億円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出536億円などにより392億円の支出前連結会計年度は562億円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出300億円、配当金の支払額176億円などにより577億円の支出前連結会計年度は782億円の支出)となりました。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

情報コミュニケーション部門

446,996

△5.9

生活・産業部門

312,479

+5.4

エレクトロニクス部門

202,719

+6.3

飲料部門

30,604

△2.2

合      計

992,799

△0.1

 

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

なお、飲料部門においては、受注を主体とした生産を行っていないため、受注状況の記載を省略しております。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

情報コミュニケーション部門

579,360

△2.1

112,157

+5.0

生活・産業部門

393,350

+8.2

81,046

+10.5

エレクトロニクス部門

216,590

+8.3

35,850

+19.2

合    計

1,189,302

+2.9

229,054

+8.9

 

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

情報コミュニケーション部門

696,910

△3.1

生活・産業部門

386,447

+5.2

エレクトロニクス部門

211,094

+7.1

飲料部門

49,694

△3.4

合      計

1,344,147

+0.7

 

(注)セグメント間取引については相殺消去しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点によるDNPグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

DNPグループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、前連結会計年度(以下「前期」)に比べて87億円増加し、1兆3,441億円前期比0.7%増)となりました。

売上原価は、前期に比べて73億円減少して1兆512億円前期比0.7%減)となり、売上高に対する比率は前期の79.3%から78.2%となりました。販売費及び一般管理費は、前期に比べて12億円減少して2,261億円前期比0.5%減)となり、この結果、営業利益は前期に比べて172億円増加して667億円前期比34.8%増)となりました。

営業外収益は、持分法による投資利益の増加等により前期に比べて29億円増加して185億円前期比18.7%増)となり、営業外費用は、寄付金の減少等により前期に比べて11億円減少して40億円(前期比22.0%減)となりました。この結果、経常利益は前期に比べて213億円増加して812億円(前期比35.6%増)となりました。

特別利益は、退職給付制度改定益の計上等により、前期に比べて516億円増加して545億円前期比1,747.1%増)となり、特別損失は、投資有価証券売却損の減少等により前期に比べて75億円減少して89億円前期比45.7%減)となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は971億円前期比287.4%増)となりました。

 

DNPグループの経営成績に重要な影響を与えた要因は以下のとおりです。

当連結会計年度におけるDNPグループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の影響が続きましたが、ワクチンの普及などもあり、徐々に経済活動再開の動きも見られました。国内では働き方や生活様式の変化も続き、遠隔教育やオンライン診療、第5世代移動通信システム(5G)関連の需要が一層拡大しました。また、地球温暖化防止や環境負荷低減の取り組みが世界で広がるなか、脱炭素社会や循環経済の構築につながる環境配慮型の製品・サービスのニーズが高まりました。一方、期の後半には、ウクライナ情勢をはじめとする地政学リスク、原材料価格の一段の上昇、半導体不足の長期化など、2022年度にかけて影響が強まりました。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。

情報コミュニケーション部門については、イメージングコミュニケーション事業のほか、電子書籍の販売やハイブリッド型総合書店「honto」、電子図書館サービスや図書館運営業務が拡大したものの、BPOの大型案件やマイナンバーカード等のICカードが減少したことに加え、雑誌の印刷が伸び悩んだ結果、部門全体の売上高は前期比3.2%減6,989億円となりました。営業利益は、コスト構造改革の効果などによって前期比43.9%増276億円となりました。営業利益率は、前期の2.7%から1.3ポイント上昇し、4.0%となりました。

生活・産業部門については、包装関連事業は、紙器や軟包装がわずかに減少したものの、無菌充填システムの販売増加もあり、増収となりました。また、生活空間関連事業も、住宅用内外装材や自動車内装用の加飾フィルムなどが増加したほか、抗菌・抗ウイルス製品の需要も拡大し、増収となりました。さらに、産業用高機能材関連事業は、リチウムイオン電池用バッテリーパウチが車載用を中心に好調に推移し、増収となりました。その結果、部門全体の売上高は前期比5.2%増3,870億円となりました。営業利益は、産業用高機能材関連事業の拡大や、製造体制の最適化等によるコストダウンを進めましたが、原材料高の影響によって、前期比2.4%減136億円となりました。営業利益率は、前期の3.8%から0.3ポイント低下し、3.5%となりました。

エレクトロニクス部門については、ディスプレイ関連事業は光学フィルム関連が増加したほか、有機ELディスプレイ製造用メタルマスクも堅調に推移し、増収となりました。また、電子デバイス事業も、フォトマスクや半導体パッケージ用部材であるリードフレームなど各種関連製品が好調に推移し、増収となった結果、部門全体の売上高は前期比7.1%増2,110億円となりました。また、営業利益は、売上の増加により、前期比26.7%増464億円となりました。営業利益率は、前期の18.6%から3.4ポイント上昇し、22.0%となりました。

 

飲料部門については、家庭内消費が主力のスーパーやウェブサイトでの販売は増加したものの、外出自粛や行動制限の影響を受けて飲食店での販売が伸び悩んだことにより、部門全体の売上高は前期比3.4%減497億円となりました。また、営業利益は、シェア拡大に向けた販売促進費の増加や原材料・資材費の高騰の影響などにより、前期比17.8%減6億円となりました。営業利益率は、前期の1.6%から0.2ポイント低下し、1.4%となりました。

 

セグメント資産の状況については、情報コミュニケーション部門は前期末に比べて、155億円減少して8,832億円前期末比1.7%減)となりました。

生活・産業部門は前期末に比べて、153億円増加して4,586億円前期末比3.5%増)となりました。

エレクトロニクス部門は前期末に比べて、230億円増加して2,355億円前期末比10.9%増)となりました。

飲料部門は前期末に比べて、23百万円増加して490億円前期末比0.0%増)となりました。

報告セグメント合計では前期末に比べて、228億円増加して1兆6,264億円前期末比1.4%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資本の流動性に係る情報

DNPグループの当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前期末に比べ108億円減少し、2,933億円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,268億円、減価償却費511億円などにより820億円の収入前期は616億円の収入)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出536億円などにより392億円の支出前期は562億円の支出)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出300億円、配当金の支払額176億円などにより577億円の支出前期は782億円の支出)となりました。

 

a.財務戦略の基本的な考え方

DNPグループは、社会課題を解決し、人々の期待に応える新しい価値の創出のため、成長領域を中心とした事業へ集中的に事業投資(研究開発投資、設備投資、戦略的提携やM&A投資)を行うとともに、それらを支える人財投資に経営資源を投入していきます。そのほか、資本効率の向上、財務基盤の安定化と株主還元の実施など、さまざまな資本政策を総合的に勘案して推進していきます。

 

b.DNPグループの資本の財源

DNPグループは、主に営業活動により確保されるキャッシュ・フローにより、成長を維持・発展させていくために必要な資金を確保しております。

設備投資資金などの資金需要については自己資金で賄うことを基本としておりますが、自己資金に加え、他人資本も活用し、成長投資資金を調達していきます。

 

c.DNPグループの経営資源の配分に関する考え方

DNPグループは、成長領域を中心とした注力事業への投資などを進めていきます。

重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源泉等については、「第3 設備の状況  3 設備の新設、除却等の計画 (1)新設等」に記載のとおりであります。

また、利益の配分については、「第4 提出会社の状況  3 配当政策」に記載のとおりであります。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

DNPグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

 

技術導入契約

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約の内容

対価

契約期間

北海道コカ・コーラ
ボトリング株式会社
(連結子会社)

ザ コカ・コーラカンパニー及び
日本コカ・コーラ株式会社

アメリカ

日本

北海道を対象地域としたコカ・コーラ製品の製造・販売及び商標使用等に関する権利供与

原液購入代金

2014年4月1日から
2024年3月31日まで

 

 

 

 

5 【研究開発活動】

DNPグループは、新規事業の創出・新製品開発から生産技術の開発に至るまで、幅広い研究開発活動を続けており、その活動は事業活動の原動力として機能しております。

DNPグループの研究開発は、研究開発・事業化推進センター、技術開発センター、AB(アドバンストビジネス)センター及び各事業分野の開発部門を中心に推進しております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は33,147百万円であり、3つの事業部門に関する研究開発費が11,219百万円、各事業部門に配分することができない本社開発部門等の費用が21,927百万円です。

当連結会計年度における各事業部門の主な研究開発とその成果は次のとおりです。

 

(1) 情報コミュニケーション部門

出版印刷分野では、マンガを楽しむ読者が世界的に増加しており、日本のコンテンツを多言語に翻訳する作業が課題になっています。そのため、マンガの話し言葉に特化して精度を高めたAI(人工知能)自動翻訳エンジンを開発しました。これにより、手作業の翻訳作業を大幅に効率化でき、出版社が保有するコンテンツの海外向け制作コストを削減します。

セールスプロモーション分野では、インターネット上での商取引サイトの普及によって、実店舗が商品販売の場から生活者の商品への興味や関心を探る空間に変化しています。そのため、実店舗に設置したカメラやマイクで取得した来店客の行動や会話から潜在的な購買要求などを可視化するサービスを開発しました。可視化したデータを実店舗での販促施策の改善や、店員接客スキルの平準化などに活用します。

カード・セキュリティ分野では、循環型社会の実現に向けたプラスチックの使用量削減やリサイクル推進のニーズが高まっています。そのため、リサイクル素材の使用率が約7割(重量比)となるICカードを日本で初めて開発しました。リサイクル素材を使用したICカードの生産体制を構築し、「脱炭素社会」、「循環型社会」の実現に取り組む金融機関、小売・流通企業などに提供します。

BPO分野では、企業活動の生産や人員計画など膨大な選択肢から最適な解を導き出す「組合せ最適化問題」において、高い計算能力を持つ専用ハードウェア投資が課題となっています。そのため、GPU(画像処理チップ)が持つ演算機能を活用し、従来パソコンでも「組合せ最適化問題」を高速で解くことを可能とするソフトウェアを開発しました。生産予測が必要な製造業や、配達業務の最適化を図る物流・交通分野、素材や材料の研究開発分野などに提供します。

イメージングコミュニケーション分野では、飲酒運転の取り締まりを強化する道路交通法施行規則改正に対応するため、「安全運転管理アプリケーションmamoru」の販売を開始しました。白地ナンバープレートの車両を保有する事業者に対しても目視のアルコールチェック(飲酒検知)が義務化されるため、営業・配送・保守などで車を利用する企業全般に向けて本システムを提供していきます。

当部門に係る研究開発費は2,215百万円です。

 

(2) 生活・産業部門

包装分野では、プラスチックを資源として再利用するリサイクルの取り組みが加速しています。そのため、リサイクルしやすい製品設計である単一素材(モノマテリアル)の包材を開発・提供しています。新たに、酸素や水蒸気等のバリア性を備え、液体の内容物に対応可能なポリプロピレンのモノマテリアルフィルム包材を開発しました。シャンプー等の日用品のほか、食品・粉末飲料等、多様な用途に使用できます。今後も、バリア性・耐熱性・耐久性などの機能を高めた製品を開発し、プラスチック使用量の削減やCO2排出量の削減に向けて、環境配慮製品・サービスを国内外に展開していきます。

活空間分野では、建具・床材などの空間設計時に関係者が非対面で情報共有できる方法が求められています。そのため、豊富な色柄の化粧シートをウェブサイトの仮想(VR)空間上に表示して360°見渡しながらシミュレーションできる「VRインテリアシミュレーターWeb」を開発しました。インテリアコーディネーターやデザイナー等に提供して生活空間の設計活動を支援することや、多様な製品を持つ建材・住宅設備・家具などのメーカー各社に販促支援ツールとして提供していきます

モビリティ分野では、電気自動車の普及のために簡便に充電できる方法が求められています。そのため、充電ケーブルの接続が不要なワイヤレス充電向けに薄型・軽量・低コストで11.1kWの大電力に対応できるシート型コイルを開発しました。同仕様の既存製品と比較して厚さ・重量とも約4分の1の見込みです。電気自動車や無人搬送車などの充電用途に展開し、将来は走行中充電にも展開していきます。

当部門に係る研究開発費は1,842百万円です。

 

(3) エレクトロニクス部門

先端半導体は性能向上のための微細化に伴い、製造時の消費電力が増大する課題があります。そのため、超微細な凹凸パターンを転写するナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術で、消費電力を約10分の1に低減することに成功しました。今後も、半導体の微細化ニーズに対応する開発を進めていきます。

5Gの高速大容量通信に使うミリ波帯の電波は建物の裏側などに届きにくいことが課題となっています。そのため、電波を必要な場所に届け通信環境を大幅に改善できる電波反射板(リフレクトアレイ)を開発しました。本製品は耐久性と意匠性を兼ね備え簡便に設置できるため、内装、外装、看板等で使用できます。今後、通信関連会社等と連携して本製品の検証を進め実用化を目指します。

また、オンラインでの買い物や遠隔医療などのニーズが高まっていますが、使う機器などによって表示される画像の色が異なる課題があります。そのため、色の基準となるカラーチャートを用い、パソコンで画像データを照合・解析・補正できるソフトウェアを開発しました。今後は、多様な業界での活用を目指します。

当部門に係る研究開発費は7,161百万円です。

 

(4) 飲料部門

該当事項はありません。