第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

当中間連結会計期間におけるDNPグループを取り巻く状況は、国内のインバウンド需要の拡大や個人消費の持ち直しなどにより、景気に緩やかな回復が見られました。一方で、地政学リスクの長期化や米国をはじめとする各国・地域の政策動向、原材料や燃料等のコストや国内の物価の変動など、景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。また、地球環境や人権等の課題の解決が一層強く求められ、生成AIをはじめとする先進技術が進展するなど、ビジネス環境はより複雑かつ多様化し、競争も激化しています。

DNPグループは、こうした環境・社会・経済の変化やリスクに対応するだけでなく、自らが長期を見据えて変革を起こし、「より良い未来」をつくり出す事業活動を展開しています。独自の「P&I」(印刷と情報)の強みを掛け合わせ、多様なパートナーとの連携を深めて、事業領域の拡張と業績の向上に努めています。

現在は2023-2025年度の中期経営計画の最終年度として、「事業戦略」「財務戦略」「非財務戦略」に基づく取り組みを通じて、持続的な事業価値・株主価値の創出に注力しています。「事業戦略」では、中長期的に強みを発揮する事業ポートフォリオを構築するとともに、市場成長性と収益性が高い事業を中心に新しい価値の創出を加速させています。「財務戦略」では、創出したキャッシュを事業のさらなる成長投資と株主還元に適切に配分します。「非財務戦略」では、「人への投資の拡大」「知的資本の強化」「環境への取り組み」を中心に、サステナブルな成長を支える経営基盤の強化を図っていきます。

 

その結果、当中間連結会計期間のDNPグループの売上高は7,387億円前年同期比4.3%増)、営業利益は466億円前年同期比22.2%増)、経常利益は529億円前年同期比5.8%増)となりました。親会社株主に帰属する中間純利益は、投資有価証券の売却にともなう特別利益の計上もあり、603億円前年同期比32.7%減)となりました。

なお、来年4月にスタートさせる新しい3か年の中期経営計画についても準備を進めています。今年7月に実施した「IR-Day」などですでに発信していますが、“高いシェア・良好な収益性・持続的な成長性”を備える事業領域に注力し、全体でROE10%以上を、各事業で5%の営業利益の成長を目指していく計画です。詳細は、今後、適宜発表していきます。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

 

(スマートコミュニケーション部門)

イメージングコミュニケーション関連は、写真プリント用部材が欧米・アジア市場で好調に推移したほか、IDカード用インクリボンが市場回復などを背景に北米地域を中心に堅調に推移し、前年を上回りました。

情報セキュア関連は、デュアルインターフェイスのICカード(ICチップ1つで接触型と非接触型の規格に対応)が前年から減少したものの、BPO(Business Process Outsourcing)の大型案件の取り込みもあり、当事業全体では前年を上回りました。また、本人情報を登録・認証する政府向けID認証サービスをアフリカ中心に提供し、Laxton(ラクストン)ブランドで事業展開しているRubicon SEZC(ルビコン)の株式を取得し、2025年7月に連結子会社としました。

 

マーケティング関連は、長年培ったマーケティング施策の実績や知見とデジタルの強みを掛け合わせた価値の提供に努めましたが、紙媒体の市場縮小の影響もあり、前年を下回りました。また、マーケティング関連のセールスプロモーション分野において、これまで培ってきた専門性や機能を集約・統合し、グループ全体としての機能強化と事業運営の効率化、当事業分野の競争力のさらなる強化と持続的な成長を目的に、2025年10月に組織再編を実施しています。

出版関連は、雑誌等の市場縮小の影響を受けたものの、図書館運営業務が好調に推移し、前年を上回りました。

コンテンツ・XRコミュニケーション関連のうち、コンテンツ関連は、国内外で人気の知的財産(IP:Intellectual Property)を活用した巡回型イベントや物販、日本発IPの海外展開など、新たな価値の創出に努めました。XRコミュニケーション関連は、自治体職員の問い合わせ対応業務の負荷軽減や各種手続きの住民の待ち時間の縮減など、さまざまな課題の解決に向けて、当社の「メタバース役所」にAIチャットサービス「AI職員提供サービス+(プラス)」を実装して、提供を開始しました。

その結果、部門全体の売上高は3,579億円前年同期比3.3%増)となりました。営業利益は、人的資本や固定資産の適正化などの事業構造改革に加え、イメージングコミュニケーション関連の写真用プリント部材を中心とした売上増加もあり、147億円前年同期比16.9%増)となりました。

 

(ライフ&ヘルスケア部門)

モビリティ・産業用高機能材関連は、リチウムイオン電池用バッテリーパウチが、スマートフォンやタブレット端末の新機種用などの旺盛な需要に支えられてIT向けを中心に伸長しました。車載向けは、米国のEV向け補助金の終了決定以来、将来の市場動向に対する不透明さから顧客である電池メーカーが発注を抑制する動きがあるものの、2024年10月以降の市況回復に加え、電池メーカーの新工場立上げによる需要も取り込んだことで前年を上回りました。太陽電池関連は、米国の関税や為替変動などの影響を受けたものの、世界的な需要の高まりにより、前年を上回りました。自動車向け加飾フィルムは、内装用の販売が好調に推移しました。また、多様な成形品製造技術で独自の自動車用部品や産業機器用加飾部品等を手掛ける株式会社光金属工業所(現:株式会社DNP光金属(*))の完全親会社のHKホールディング株式会社を2025年1月に、二次電池外装材・包装材等を手掛ける株式会社レゾナック・パッケージング(現:株式会社DNP高機能マテリアル彦根)を2025年2月に、株式取得によって連結子会社としました。さらに、2025年10月には生活空間事業とモビリティ事業の統合を行い、モビリティと住まいがつながるスマート社会構築に貢献するなど、「オールDNP」で各社の強みを掛け合わせ、顧客への対応力と競争力をさらに高めていきます。

包装関連は、紙カップやレンジ包材が好調に推移したほか、PETボトル用無菌充填システムの販売も前年を上回りました。「DNP環境配慮パッケージング GREEN PACKAGING®」をはじめとする機能性包材の開発・販売にも注力したことにより、当事業全体で前年を上回りました。

生活空間関連は、国内の戸建住宅市場の縮小トレンドが続く中でも、建築基準法・建築物省エネ法の改正に関連する需要の増加を取り込んだことで、前年並みとなりました。

メディカル・ヘルスケア関連は、医療用パッケージが好調に推移したことに加え、国内での製剤事業も堅調に推移し、前年を上回りました。

飲料事業は、スーパーマーケット等の量販店、自動販売機やWebでの販売が好調に推移したほか、主要な販売チャネルでの価格改定の効果もあり、前年を上回りました。

その結果、部門全体の売上高は2,583億円前年同期比6.3%増)となりました。営業利益は、固定費等のコストダウン、固定資産の適正化などの事業構造改革により、181億円前年同期比100.4%増)となりました。

(*) 2025年7月1日付で、株式会社DNP光金属を存続会社、HKホールディング株式会社を消滅会社として吸収合併を行いました。

 

 

(エレクトロニクス部門)

デジタルインターフェース関連は、有機ELディスプレイ製造用メタルマスクが、スマートフォンでの有機ELディスプレイ採用拡大に加え、2024年5月に黒崎工場(福岡県)で生産を開始した第8世代(G8)サイズのガラス基板に対応した大型メタルマスクの寄与などにより、前年を上回りました。ディスプレイ用光学フィルムは、液晶テレビ用パネルの大型化にともなう出荷面積の拡大等により、堅調に推移しました。この結果、当事業全体で前年を上回りました。なお、テレビなどディスプレイの大型化に対する光学フィルムの生産効率向上に向けて、2,500mmの広幅対応のコーティング装置を三原工場(広島県)に導入し、2025年9月に稼働を開始しています。

半導体関連は、市況が堅調に推移する中で、概ね前年並みに推移しました。また、EUV(極端紫外線)マスクやナノインプリントなどの最先端領域への事業展開に取り組みました。

その結果、部門全体の売上高は1,237億円前年同期比3.4%増)となりました。営業利益は、デジタルインターフェース関連が注力事業の拡大により増加したものの、為替の影響に加え、半導体関連の戦略的な投資の影響を受け、266億円前年同期比4.2%減)となりました。

 

当中間連結会計期間末の資産、負債、純資産については、総資産は、現金及び預金、有価証券、のれんの増加や、受取手形、売掛金及び契約資産、投資有価証券の減少などにより、前連結会計年度末に比べ541億円増加し、1兆9,720億円となりました。

負債は、社債の増加や、未払法人税等の減少などにより、前連結会計年度末に比べ578億円増加し、7,669億円となりました。

純資産は、中間純利益による増加や、剰余金の配当、自己株式の取得、その他有価証券評価差額金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ36億円減少し、1兆2,050億円となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ62億円増加し、2,568億円となりました。

 
(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前中間純利益887億円、減価償却費237億円などにより252億円の収入前年同期は647億円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出360億円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出227億円、投資有価証券の売却による収入491億円などにより727億円の支出前年同期は392億円の収入)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出238億円、配当金の支払額99億円、社債の発行による収入1,000億円などにより563億円の収入前年同期は596億円の支出)となりました。

 

(3)研究開発活動

中間連結会計期間におけるDNPグループ全体の研究開発費は20,294百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(4)主要な設備

前連結会計年度末において実施中及び計画中であった主要な設備の新設、除却等の計画について、当中間連結会計期間に著しい変更があったものは、次のとおりであります。

 

黒崎工場のデジタルインターフェース関連製造設備の新設は、完成予定を2027年3月から2028年1月に変更しております。

 

 

3 【重要な契約等】

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約年月日及び契約内容

大日本印刷株式会社

(当社)

Enlightenment Capital

Solutions Fund

IV, L.P.

 

Lyle Laxton氏を含む

個人株主10名

ケイマン諸島

2025年6月17日、当社は、Enlightenment Capital Solutions Fund IV, L.P.及びLyle Laxton氏を含む個人株主10名との間で、Rubicon SEZCの発行済株式の75%を取得する株式譲渡契約を締結し、同年7月2日、当該契約に基づき、当該株式を取得し、同社を連結子会社としました。