第2【事業の状況】

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、経営理念「印刷事業を核に、生活・文化・情報産業として社会に貢献する」のもと、将来ありたい姿として、グループ経営ビジョン「誠実なコミュニケーションと市場をリードする技術力でお客さまの思いをカタチにし、新たな価値を創出し続ける企業グループ」を掲げております。

その実現に向けて、現中期経営計画(2021年度から2024年度までの4ヵ年計画)では、方針及び目標数値を次のとおりとし、全社視点での重点施策と各事業における施策を遂行して計画達成に邁進しております。

 

■中期経営方針

  「豊かな社会と新たな価値を創造するために未来起点の変革に挑戦」

 

■経営目標数値(2024年度)

連結営業利益

ROE

配当性向

38億円

5.0%

30%以上

 

(2) 経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

2022年9月、当社グループは、優先的に取り組む重要課題(マテリアリティ)として、「多様なライフスタイル」「スマート社会」「循環型社会」「地球環境との共生」「価値創造人材の活躍」「責任ある企業行動」の6つを特定しました。同年11月に設置したサステナビリティ推進会議のもと、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上をめざす取組を強化しております。

当社グループを取り巻く経営環境は、エネルギーや原材料価格、物流コストの上昇圧力の高まりなど収益性の面でリスク増大が懸念され、予断を許さない状況が続くことが予測されます。こうした中、当社グループはマテリアリティへの取組を通じて持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するため、中期経営方針に則り、アフターコロナへの移行を含め各種施策に取り組んでおります。

情報系事業においては、紙媒体やセキュリティ領域で培ってきた技術や企画開発力を生かし、社会変化に対応した最適なコミュニケーションを提供する各種ソリューションを拡充させております。育児休業取得者向けの教育プログラムやライブ配信形式によるECサイト、法人向け健康管理サービスの提供に加え、飛行情報確認システム構築を通じたドローンの利活用促進へも寄与するなど、マテリアリティである「多様なライフスタイル」「スマート社会」への取組を進めて、生活者のより豊かな暮らしと安心・便利な社会の実現をめざします。

生活・産業資材系事業においては、環境に配慮した製品及び高機能包材の開発を進めるとともに、デジタル活用による生産工程の省力化やコスト低減で工場のスマート化に努め、マテリアリティの一つ「循環型社会」の実現に向けた取組を推進しております。特に、「フィルムレス紙包材」など、容器包装としての機能性と生活者の利便性を両立しつつプラスチック使用量の削減に寄与する製品の開発・提供に注力し、サステナブルな未来の実現と持続的な成長に取組みます。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般

社会・環境問題をはじめとするサステナビリティ課題について、当社グループはリスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、持続可能な社会の実現及び当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上をめざす「サステナビリティ経営」を推進しております。

SDGsをはじめとする社会課題の解決を通じた新たな価値創造に取組むとともに、価値創造の源泉となる人的資本への取組は、多様性の確保や労働環境の整備を柱に対応を進めております。また、環境や人権課題などESGへの取組はサプライチェーンへの展開を含め、着実に実行します。

 

ガバナンス及びリスク管理

《ガバナンス》

 サステナビリティ経営の実現に向け、取締役会による監督のもと、総合的施策を推進するサステナビリティ推進会議を中心とするガバナンス体制を構築しております。

 取締役会は、気候変動や人的資本への取組を含むサステナビリティ課題について年二回、サステナビリティ推進会議より取組方針や目標・計画の内容、各施策の進捗状況などの報告を受けることとし、審議・監督を行っております。

 サステナビリティ推進会議は、代表取締役社長を議長とし、常務執行役員以上で構成され、必要に応じて社外有識者等を招聘します。本会議では、外部から受ける経営への影響やインパクト評価、当社グループ全体のサステナビリティに関する重要な方針やマテリアリティ(重要課題)の特定、総合的施策等について協議・企画立案を行っております。取締役会への定期的な報告・提言を通じて、サステナビリティ経営推進の取組をグループ全体に反映しております。

 当社グループのサステナビリティ経営推進に関するガバナンス体制は、以下のとおりであります。

 

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≪リスク管理≫

 当社グループにおけるリスクの識別・評価は、外部から受ける経営への影響や、通常の業務を通じて特定した影響をもとにリスク及び機会の検討をおこないます。サステナビリティ推進会議では、識別されたリスクについて影響度を評価し、重要度に応じて対応策を検討・協議のうえ、取締役会に報告します。

 取締役会は、サステナビリティに係るグループに重大な影響を及ぼすリスクについて審議・決定し、関係部署及びグループ会社へ対応や目標設定を指示します。また、取締役会は、リスク管理の状況と対応について報告を受け、その監督を行います。

 

 戦略及び指標・目標

 当社グループでは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上をめざし、社会課題に与える影響を考慮したうえで、中長期的な価値創造能力に重要な影響を与えるものをマテリアリティとして特定いたしました。

 マテリアリティ特定にあたっては、まず将来的なメガトレンドや事業成長の機会としてのSDGs、事業へ著しい影響を及ぼすESG課題などの外部環境、自社の競争優位性や市場分析、経営方針などをもとに、課題の重要性評価を行いました。経営執行会議や取締役会において経営層による議論及び外部有識者の客観的視点による妥当性の検証のうえ、取締役会で決議しました。

 各マテリアリティ、マテリアリティ特定の経緯及び主な取組は以下のとおりであります。

 

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 今後は事業活動を通じたマテリアリティへの取組について、サステナビリティ推進会議を中心に議論を重ね、計画の具体化及び指標・目標策定を進めて各種ステークホルダーへ積極的に情報開示していきます。

 なお、世界的な情勢や社会の要請、または経営の観点から、特に気候変動への対応・人的資本への対応を拡充しております。

 

(2)気候変動への対応

 当社グループは「地球環境との共生」をマテリアリティの一つとして特定し、気候変動が及ぼす影響を重要な経営課題と捉え、脱炭素社会の実現に向けて2050年カーボンニュートラルを掲げております。2023年5月にはTCFD提言への賛同を表明し、TCFD提言に基づき気候変動が当社グループにもたらす影響を分析したうえで情報開示しております。

 

ガバナンス及びリスク管理

 気候変動に関するガバナンス及びリスク管理は、サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理に組み込まれております。詳細については、「(1)サステナビリティ全般 ガバナンス及びリスク管理」を参照ください。

 

戦略

当社グループでは、TCFD提言に基づく気候変動のシナリオ分析を、事業部門を対象に2つのシナリオ(1.5℃/2.0℃及び4.0℃)を用いて実施しました。今後想定されるリスクと機会を幅広く洗い出したうえで、経営層や各セグメントを中心とした協議・検討を経て、最終的に当社グループの事業にとって影響を及ぼす可能性が高い事象とその影響度合いの評価と、その評価に基づく対応策の検討・策定を行いました。

 

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シナリオ分析の結果、1.5℃/2.0℃シナリオでは炭素税の導入による操業コストや、エネルギー価格の変動による原材料コストへの影響が大きいことが確認できており、こちらに関しては温室効果ガス(GHG)排出量削減及び事業活動の効率化を進めます。一方で、環境配慮型製品・サービスの販売拡大など、環境負荷低減に貢献する新たな顧客需要を捉えることにより、事業成長につなげることが可能であることも確認しております。

また、4℃シナリオでは自然災害の激甚化に伴う物理リスクが事業継続の阻害要因となりますが、今回の分析の結果では、各生産拠点におけるリスクが比較的大きくないことが確認できました。今後もリスク分析の精緻化及び災害などへの事前対応を実施し、影響を最小化していきます。

2023年度以降も定期的かつ継続的にシナリオ分析を実施することでその精度を高め、想定されるリスクに柔軟に対応しながら、不確実な将来におけるいずれのシナリオにも耐えうるレジリエントな経営体制を構築していきます。機会については、気候変動の状況や市場動向、顧客との対話を重視しながら、持続的な企業価値向上につながるよう、柔軟に戦略を検討・展開していきます。

 

 

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期間  短期:2023~2030年頃まで 中期:2030~2050年頃まで

影響度 リスク:基準=営業利益に対する影響額 5億円超(大)/ 2億円超(中)/ 2億円未満(小)

 機会:基準=売上高に対する影響額   10億円超(大)/ 3億円超(中)/ 3億円未満(小)

 

指標・目標

当社グループでは、2023年4月にカーボンニュートラル宣言を掲げました。

2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、事業活動に伴うGHG排出量(Scope1、2)について、2030年に2022年度を基準とし42%削減する目標を掲げております。徹底した省エネルギー化や設備の高効率化を図るとともに、太陽光発電設備の導入・増設をはじめとする再生エネルギーの利活用で自社排出量の削減推進を図ります。

また、2021年度における算定結果では、総排出量に占めるScope3の割合が高く、特にカテゴリー1※1(58%)やカテゴリー12※2(14%)の占める割合が高いことが確認できました。サプライチェーン企業との対話による協働や、環境負荷を低減させる製品・サービスの開発、製造プロセスの改善など、さまざまな活動を行いながら、自社製品の魅力を発揮した上でのScope3削減をめざします。

現在、Scope3の算定範囲の拡大も順次進めており、2022年度分の算定においてはグループ全体での算定が完了する見込みです。これにあわせてSBT※3認定取得もめざします。

 

※1 カテゴリー1: 購入した製品・サービス(原材料・部品、容器・包装等が製造されるまでの活動に伴う排出)

※2 カテゴリー12: 販売した製品の廃棄(使用者(消費者・事業者)による製品の廃棄時の処理に伴う排出)

※3 SBT: 「Science Based Targets」の略、「科学的根拠に基づく目標」の意味。

SBT認証とは、パリ協定と整合性のある温室効果ガス排出削減目標を立てていることを示す国際認証です。

 

◆GHG排出量削減ロードマップ

 

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(3)人的資本への対応

「人材」は企業の競争優位性を高め、持続的な成長を実現するための重要な経営資源です。すべての従業員が、自律的に成長し挑戦する「価値創造人材」として活躍することで、企業の競争力を向上させ、持続的な成長を実現していきます。

 

ガバナンス及びリスク管理

人的資本に関するガバナンス及びリスク管理は、サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理に組み込まれております。詳細については、「(1)サステナビリティ全般 ガバナンス及びリスク管理」を参照ください。

 

戦略

当社グループでは、「価値創造人材の活躍」をマテリアリティとして特定し、めざすべきビジネスモデルや経営戦略に沿った多様な価値観を持つ人材の確保と活用、価値創造に向けた能力強化に取組むとともに、個が持つ能力を最大限に発揮できる職場環境を整備していきます。

 

◇人材育成及び社内環境整備方針

共同印刷グループは、TOMOWELの理念である「関わるすべてと共に良い関係であり、未来を創り拡げていく」を実現すべく、多様な人材が活躍できる環境の整備を行っていきます。

持続的な企業価値向上に向け、従業員一人ひとりがその能力や個性を生かし、自律的に成長するよう育成に取り組みます。

 

指標・目標

当社では、人材戦略において次の指標を用いております。本指標と目標は、すべての従業員にとって多様性が尊重され、働きがいを持てる組織になることで達成されるものであり、各施策の相乗効果によって得られると考えております。

項目

2022年度実績値

目標(2026年3月末までに)

女性管理職比率

7.3%

女性割合(幹部職員課長級以上)10%以上

男性育児休業取得率

82.9%

男性の育児休業取得率80%以上

※育児休業取得率は、当社独自の休暇制度である配偶者出産休暇取得者を含みます。

※当社グループではグループ全体の取組については整備を進めているところであり、本報告では、共同印刷単体の取組を公表いたします。

 

人的資本の拡充に向けた主な取組

多様な価値観の活用

多様な人材がその能力を最大限に発揮し、活躍できる環境整備の実現をめざします。

◆女性の積極登用

年に一度「ダイバーシティマネジメント研修」を全役員・幹部職員に実施し、優秀人材を積極的に登用する風土形成を推進しております。

◆仕事と家庭を両立できる制度整備

2022年度は、男性の育児参画を促進する制度整備に加え、「プレパパミーティング(配偶者が出産予定の従業員・職場上司・人事部の3者面談)」の開始や、社会課題となっている不妊治療や不登校児童の育児と仕事を両立できる「ライフサポート休業制度」を新設し、妊娠前から子の成人までの切れ目ない次世代育成支援を実現しております。

◆障がい者が活躍できる環境整備

障がいのある従業員が、心身が安定した中で能力を発揮できる環境をめざし、2022年に特例子会社を設立し、独自の人事制度(通院サポート休暇・キャリアアップ制度)を導入しております。

◆セカンドキャリア・再雇用制度の拡充

当社では、社会環境の変化を見据え、高年齢者の雇用継続施策に取り組んできました。高年齢者の更なる活用を促すべく、2022年に最長70歳まで雇用延長するとともに、セカンドキャリアにおける多様な働き方を支援するため、時短制度や副業制度を拡充しております。

価値創造人材の確保と強化

社会や事業環境の変化に柔軟に対応し、経営戦略に沿った価値創造人材の確保と育成の強化をめざします。

◆学び直し(リスキル)の支援

従業員の自律的なキャリア形成を後押しするため、会社が推奨する資格の取得者へ手当や一時金の支給などインセンティブの充実に取り組んでおります。特に、DX関連のスキル向上を目的に、対象推奨資格の範囲を拡大し、DX人材の育成を推進しております。また中核人材育成のため、マネジメント力の強化を目的としたマネジメント診断(多面評価)を導入しております。診断結果のフィードバック研修を通じて意識改革と行動変容を促進し、組織内の多様な価値観を尊重し、多様な人材を活用できる環境整備を推進しております。

◆多様な人材の確保

「人事キャリア面談」を実施し従業員のキャリア形成を支援するとともに、人材の有効配置やローテーションを活性化させ、価値創造人材の育成に努めております。また技術革新を生む機会創出を図る人材の確保のため、高度専門人材などのキャリア採用を積極的に推進しております。

能力を最大限発揮できる環境の整備

心身の健康増進とともに、労働生産性とエンゲージメント向上をめざします。

◆健康経営

従業員がいきいきと働き続けられる職場づくりをめざして健康経営に取り組んでおり、「健康経営優良法人2023」の認定を受けています。人事部・産業医・健康保険組合と連携し、健康意識の向上や疾病予防の施策を実施しております。

◆時間や場所にとらわれない働き方の構築

従業員の多様な価値観や生活スタイルに合わせた働き方を選択できるように、フレックス勤務のコアタイム廃止や時間単位年休、時短勤務の導入をはじめとする勤務制度の見直しを進めております。また、テレワーク勤務を有効活用する仕組みを整備し、効率的な業務運営につなげております。

◆チャレンジを支援する制度の充実

2022年度は、「役割等級制度」を改定し、処遇や報酬面でもやりがいを感じられる体制を整えました。また、年齢や勤続年数に拠らず、業績や役割に対する貢献により強く報いることを主として「退職金・年金制度」を改定しました。さらに、「キャリアチャレンジ制度(社内公募制度)」や「副業制度」では、従業員が自らの意思で挑戦する機会の創出と自律的なキャリア形成の実現を通じて、働きがいの向上につなげます。

 

3【事業等のリスク】

[方針]

当社グループのリスク管理体制は、取締役の監督のもと、通常の業務執行において各部門がリスクの顕在化を予防するための日常的なマネジメントを行うほか、「内部統制委員会」「品質保証委員会」「製品安全委員会」「情報セキュリティ委員会」「環境委員会」など担当執行役員を中心とした専門委員会が連携し、全社視点でのリスクの特定・分析・評価・対応を行い、課題解決に努めております。

また、不測の事態が発生した場合は「危機管理委員会」が中心となって情報管理・情報共有を図り、関連部門と連携しながら対応にあたります。代表的な危機局面における対応フローをまとめた「危機管理マニュアル」を策定し、事業環境の変化に応じた見直しを随時行いながら有事に備えております。

 

<リスク管理体制図>

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[個別のリスク]

当社グループの経営成績、株価及び財政状況に影響を及ぼす可能性のある事項については以下のようなものがあります。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。

なお、当該事項は、本書提出日現在において入手し得る情報にもとづいて判断したものであります。

 

(1)当面の注意を要するリスク

① 印刷需要の変化について

  当社グループは、企業・団体及び官公庁向けの印刷物を多く取り扱っております。昨今のペーパーレス化の進行などに対しては、比較的堅調な需要品目への対応強化のほか、電子書籍事業、Webサイトやコンテンツ制作などデジタル分野への注力等により売上確保を図るとともに、生産体制の再構築等による生産性の向上等に努めております。しかし、想定を上回るスピードで印刷需要が大きく変化した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 価格競争について

  当社グループが事業を展開する市場の一部は、競争の激化により受注価格の低下が進んでおります。当社グループは、付加価値の高い製品の開発による差別化やサービスの向上、コスト削減による利益の確保に努め、価格低下に対応していく方針でありますが、さらなる競争の激化により今後の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 法的規制・コンプライアンスについて

  当社グループが事業を行う上では、環境法、下請法、製造物責任法、独占禁止法等、さまざまな法的規制の適用を受けております。これら法的規制の遵守を徹底するため、当社グループでは、「グループ企業行動憲章」に基づき、法令遵守をCSR活動の主要テーマとして定め、従業員に対する教育や内部監査に努めております。しかし、規制の改廃や新設、適用基準等の変更があった場合、また、これらの法的規制に抵触するような事態が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

  なお、2022年3月に公正取引委員会から独占禁止法に基づく排除措置命令等を受けたことについては、この事実を厳正かつ真摯に受け止め、改めて、法令への理解促進や社内チェック体制の強化等に取組み、法令順守の徹底を図っております。再発防止策の実施状況については定期的に取締役会へ報告を行うこととしており、2022年度は有効に機能していることを確認しております。

④ 大規模災害・感染症等について

  当社グループでは、BCP基本方針を定めるとともに、データ処理事業を対象とした「事業継続マネジメントシステム(ISO22301)」の認証取得による事業継続体制の整備、建物や製造設備には防火・耐震対策を実施しております。こうした対策により経営への影響を最小限にとどめるよう努めておりますが、大規模地震や新たな感染症の発生などにより、事業所の設備や従業員等が予想を越える被害を受け、事業活動が停滞、又は製品供給に支障が生じた場合、設備等の修復にかかる多額の費用を含め、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)その他のリスク

① 業務提携、投資、企業買収の可否

  当社グループにとって業務提携、投資、企業買収等は事業の成長性向上のために重要な活動です。最大限の成果を上げるために、資本効率を含めさまざまな角度から検討し、その可否を決定するとともに、当該事業計画の進捗状況については定期的なモニタリングを実施しております。しかしながらその成果は提携先の動向、投資先の業績、買収先の財務内容等に依存する部分があり、当初の目的が果たせない場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 情報セキュリティの管理について

  当社グループでは、「プライバシーマーク」の認定や「情報セキュリティマネジメントシステム(ISO27001)」の認証取得に積極的に取組み、個人情報や機密情報を安全かつ正確に管理するとともに、危機管理委員会の下部組織である「TOMOWEL-CSIRT」を中心に、不正アクセス、情報の紛失・改ざん及び漏洩などの予防について万全な対策を講じております。しかしながら、万一情報が流出した場合には、当社グループに対する信用低下や事後対応などのコスト増加により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 製品の品質について

  当社グループは「共同印刷グループ品質方針」に基づき、ISO9001をはじめとする各種外部認証取得のほか、製品安全委員会を中心とした製品安全推進体制を基盤とし、徹底した品質管理のもとで製品を製造しております。しかしながら、設計上あるいは製造工程上の不備により製品に欠陥が生じた場合、損害賠償や売上の低下により業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 原材料の調達について

  当社グループの事業を維持するためには、原材料を安定的に調達することが求められます。しかし大幅な市況変動等により、主要原材料の価格が高騰し、原材料以外のコストの削減でカバーできない場合や販売価格へ適正に転嫁できない場合、また、調達先が災害などにより被害を受け、調達の遅延又は停止が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 技術動向への対応について

  当社グループは、技術開発による顧客価値提供を実現しているため、技術開発の遅れや技術動向の変化に対応できなかった場合、競争力の低下から受注減少につながり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。それに対しては、環境対応などの市場要請や法令改正等を含め、当社の事業領域に関連する技術動向の調査、分析など定点観測を行い、10年先を見据えた新機能や新製品の開発など、顧客価値創出を推進しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績の状況

当期におけるわが国経済は、ウィズコロナのもと行動制限の緩和や諸政策による効果もあり、景気持ち直しの動きが緩やかに続きました。しかし、ウクライナ侵攻が長期化する中、金融引き締めの影響による海外景気の減速懸念、エネルギー価格や物価の高騰など、国内景気の先行きは依然として十分注意を要する状況となっております。

印刷業界においても販促需要の回復など持ち直しの動きがありました。しかし、既存の印刷事業における紙媒体の需要減、エネルギーや原材料の価格高騰など、経営を取り巻く環境は厳しい状況で推移しました。

このような状況の中、共同印刷グループは、競争力のある事業領域の確立と高い利益率の実現をめざし、中期経営方針「豊かな社会と新たな価値を創造するために未来起点の変革に挑戦」に基づく各施策を推進しました。

情報系事業では、「印刷事業で培った強みを軸とし、新たな価値創出を実現」するため、コンテンツを生かした事業機会の獲得や、販促及び業務支援事業のデジタルシフトを支援する製品・サービスの提案など、注力領域の強化とデジタル領域の伸長に取組みました。

生活・産業資材系事業では、「パッケージソリューションベンダーの地位確立」に向け、環境配慮製品の開発や提案を強化するとともに、食品・日用品向けのパッケージやラミネートチューブの受注拡大を図りました。

また、2022年9月に当社グループが優先的に取り組む重要課題(マテリアリティ)として、「多様なライフスタイル」「スマート社会」「循環型社会」「地球環境との共生」「価値創造人材の活躍」「責任ある企業行動」の6つを特定しました。「価値創造人材の活躍」では、ダイバーシティ推進に向けた「ライフサポート休業制度」を新設しました。サステナビリティ経営の推進に向けた役員報酬制度の一部改定も実施し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上をめざす取組を進めました。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は、933億6千3百万円(前期比5.6%増)となり、営業利益は7億7千5百万円(前期比2.5%増)、経常利益は12億8千9百万円(前期比0.7%減)となりました。また、特別利益に投資有価証券売却益19億1千万円、退職給付制度改定益3億7千6百万円、特別損失に独占禁止法関連損失8億3千8百万円を計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は12億5千3百万円(前期比83.2%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

情報コミュニケーション部門

コンテンツ周辺領域の受注拡大や、著名な日本画家の未公開作品をNFTアートとして販売するなどリアルとデジタルを融合させた事業機会の創出に取組みました。また、一次データを活用した出版商業印刷物の製品別カーボンフットプリントの可視化支援など、サプライチェーン全体のGHG排出量削減に向けた取組も開始しました。

出版印刷は、コミックスや雑誌の付録、人気まんがの映画版等の販促物・グッズといったコンテンツ周辺領域が増加しました。しかし、発行部数の減少などで定期刊行物を中心に雑誌が低調、単行本なども伸び悩み、前期並みとなりました。

一般商業印刷は、経済活動の回復を受けた販売促進需要の増加で、POP等の店頭販促関連、カタログや情報誌が好調でした。Webサイトやコンテンツ制作などのデジタル分野も増加し、前期を上回りました。

以上の結果、部門全体の売上高は351億3千4百万円(前期比5.1%増)、営業損失は1億9千7百万円(前期は営業損失1億8千6百万円)となりました。

 

情報セキュリティ部門

専門的かつ煩雑な業務を効率化するWebサービスなど、金融機関や官公庁・自治体への提案推進による受注獲得に注力するとともに、在留外国人をターゲットとしたキャッシュレス決済サービスの提供を開始するなど、決済ソリューション事業の拡大に取組みました。

ビジネスフォームは、給付金など感染症対策に関連した自治体向けデータプリントに加え、各種試験関係やヘルスケア分野のBPOが好調で、前期を上回りました。証券類も、行動制限緩和による旅客需要の増加を受けた乗車券の回復傾向により、前期を上回りました。しかし、カードは交通系、金融系ともに前期を下回りました。

以上の結果、部門全体での売上高は259億4千3百万円(前期比3.0%増)、営業利益は7億5千8百万円(前期比17.0%増)となりました。

 

生活・産業資材部門

サステナブルな社会の実現をめざして、プラスチックフィルムを使わない紙仕様包材など、環境配慮と消費者の利便性を両立する包材の開発と拡販に取組みました。

紙器は、食品向けカートンやラップカートンが順調に推移し、前期を上回りました。軟包装は、即席麺向けのフィルム包材やフタ材の好調に加え、リキッドパッケージも「Tパウチ」や日用品向け商品が増加し、前期を上回りました。

チューブは、UVケア製品などの化粧品向けが回復し前期を上回った一方、調味料向けのブローチューブ・ブローボトルは、小売り価格値上げの反動減等で伸び悩み、前期並みとなりました。産業資材は、医薬品向けが好調で前期を上回りました。

以上の結果、部門全体での売上高は300億7千6百万円(前期比7.4%増)、営業利益は1億7千2百万円(前期比40.0%増)となりました。

 

その他

物流業務の堅調な推移と不動産賃貸収入の増加により、売上高は22億9百万円(前期比22.9%増)、営業利益は2億9千3百万円(前期は営業利益1千5百万円)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ16億9百万円増加し105億円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

  当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、234億1千3百万円(前年比179億9千1百万円増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益20億1百万円、減価償却費57億3千2百万円の計上、長期前受金の増加170億6千6百万円があった一方、売上債権の増加5億3千8百万円、棚卸資産の増加5億4千3百万円があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、44億2千万円(前期比22億1千2百万円減)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出70億5千3百万円と、投資有価証券の売却による収入26億1千9百万円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  当連結会計年度において財務活動により使用した資金は、173億5千9百万円(前期比147億4千1百万円増)となりました。これは主に、短期借入金の減少67億2千7百万円、長期借入金の減少82億8千9百万円、自己株式の取得による支出10億円、配当金の支払8億2千5百万円があったことによるものです。

 

生産、受注及び販売の状況

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

情報コミュニケーション部門

35,125

105.1

情報セキュリティ部門

26,291

107.1

生活・産業資材部門

30,204

108.3

その他

2,196

122.7

合計

93,817

107.0

(注)金額は販売価額によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

情報コミュニケーション部門

36,115

108.5

7,234

115.7

情報セキュリティ部門

27,255

110.2

7,837

120.1

生活・産業資材部門

30,877

107.9

8,200

110.8

その他

2,160

119.7

22

31.0

合計

96,408

109.0

23,294

115.0

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

情報コミュニケーション部門

35,134

105.1

情報セキュリティ部門

25,943

103.0

生活・産業資材部門

30,076

107.4

その他

2,209

122.9

合計

93,363

105.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.相手先別販売実績は、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はないため、記載を省略しております。

 

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

(1) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

①財政状態の分析

総資産は、1,234億7千1百万円(前連結会計年度末1,291億2千1百万円)となり、56億4千9百万円減少しました。これは主に、投資有価証券が45億9千9百万円減少したことによるものです。負債は、657億5千1百万円(前連結会計年度末678億4千3百万円)となり、20億9千2百万円減少しました。これは主に、本社土地活用に関する一般定期借地権設定契約締結により、長期前受金が170億6千6百万円増加した一方、借入金が150億1千9百万円、設備関係支払手形及び未払金が33億8千2百万円減少したことによるものです。純資産は、577億2千万円(前連結会計年度末612億7千7百万円)となり、35億5千7百万円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益12億5千3百万円に対し、配当金の支払8億2千5百万円、自己株式の取得10億円、その他有価証券評価差額金26億7千1百万円の減少があったことによるものです。

 

②経営成績の分析

当社グループは、情報コミュニケーション部門における出版印刷と商業印刷、情報セキュリティ部門におけるデータプリントやBPO受託、証券類やICカード製造、生活・産業資材部門におけるチューブ・軟包装・紙器等のパッケージ類と、産業資材等の製造を主な事業としております。

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ5.6%増の933億6千3百万円でした。市況の回復をうけたPOPなど店頭販促関連の増加や、自治体における新型コロナウイルス関連のデータプリント・BPOの継続受注等があったため、全体として前期を上回りました。

売上原価は前期比4.8%増の760億7千7百万円、対売上高比率は81.5%となり、前期の82.1%から0.7ポイント低下しました。

販売費及び一般管理費は前期比9.8%増の165億1千万円となりました。対売上高比率は17.7%で、本社社屋竣工による減価償却費の増加や、エネルギー価格が想定以上に高騰したことによる水道光熱費の増加等で、前期の17.0%から0.7ポイント上昇しました。この結果、営業利益は前期比2.5%増の7億7千5百万円となりましたが、売上高営業利益率は0.8%と、前期から0.1ポイント低下しました。

税金等調整前当期純利益は前期比43.6%増の20億1百万円となりました。これは、退職給付制度改定益や政策保有株式の売却益を計上したことや、独占禁止法関連損失を計上したことなどによるものです。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比83.2%増の12億5千3百万円となりました。また、自己資本利益率(ROE)は、前期の1.1%から2.1%へ1.0ポイント上昇しました。

なお、セグメントごとの経営成績については「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況 」に記載のとおりです。

 

(2) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものであります。

当社グループは、運転資金及び設備資金については、安定的な資金調達、調達コスト抑制及び調達方法の分散・多様化を基本方針としております。

当連結会計年度は、23ページ「5 経営上の重要な契約等」に記載の契約に伴う前受地代152億3千7百万円の入金があったことなどから、有利子負債を162億円返済しております。

なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は129億9千9百万円、現金及び現金同等物の残高は105億円となっております。

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針については、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

当社は、2022年5月25日開催の取締役会において、日鉄興和不動産株式会社と一般定期借地権設定契約を締結することを決議し、同年6月1日に同契約を締結しました。

一般定期借地権設定契約の概要は次のとおりであります。

 

(1) 目的

本社社屋建替えに伴い、現有敷地内に発生した活用可能な土地の効率的運用を図る。

 

(2) 一般定期借地権設定契約の内容

対象物件の所在地

東京都文京区小石川四丁目70番17号

賃貸面積

土地 12,487.08㎡

契約締結日

2022年6月1日

契約期間

2022年6月1日から2097年7月31日まで

 

 

6【研究開発活動】

  当連結会計年度の研究開発活動は、連結財務諸表提出会社の技術開発本部を中核として、技術部門の総合力を発揮できる体制のもと、新技術及び新素材の研究と蓄積技術を有機的に結びつけ、市場ニーズを先取りする新技術、新製品の開発に努めました。

  なお、セグメント別の主な研究開発活動を示すと次のとおりであり、当連結会計年度の研究開発費の総額は1,065百万円となりました。

 

情報コミュニケーション部門

・高付加価値印刷・加工技術の開発

・サステナブル印刷の開発

・教育メディア向けコンテンツ及びカリキュラムの開発

・プリプレス関連技術

・偽造防止などセキュリティ関連技術

について研究開発を行いました。研究開発費の金額は63百万円であります。

 

情報セキュリティ部門

・標章媒体の開発

・抽選券の応用開発

・生産工程の異常検知技術

・生産効率化技術

について研究開発を行いました。研究開発費の金額は136百万円であります。

 

生活・産業資材部門

・液体包材の開発

・高機能蓋材の開発

・チューブ製品の開発

・高機能材料の開発

・偽造防止などセキュリティ関連技術

について研究開発を行いました。研究開発費の金額は399百万円であります。

 

その他

・上記のほか、特定のセグメントに関連付けられないセグメント間に共通する基礎研究等の研究開発費の金額は465百万円であります。