当連結会計年度におけるわが国の経済は、輸出の持ち直しや雇用情勢の改善により緩やかな回復基調がみられたものの、海外では米国における金融政策の影響や英国のEU(欧州連合)離脱問題による影響などにより、引き続き先行き不透明な状況で推移しました。
印刷業界におきましては、印刷市場の縮小傾向が続き、IT化の進展による紙媒体の需要減少に加え、競争の激化による受注単価の下落が続くなど、経営環境は依然として厳しい状況が続きました。
当社はこのような情勢のもと、取引先の課題を解決するための提案(ソリューションサービスの提案)活動にシフトして、企画から物流までグループ全体の総合力を結集して受注増を図りました。また、生産部門は、生産性向上による社内生産量の拡大や計画的な生産体制の構築による内製化率の向上、省エネ設備の積極的な導入などにより、生産コストの一層の低減に努めるとともに、品質を一層向上させるため検査の機械化も進めました。
また、これまで培ってきた印刷技術によりカーボンナノチューブ透明導電膜の微細パターニング技術を開発し、幅広い用途への展開を図っています。
その結果、受注単価の下落などから売上高は微減となりましたが、前期末に収益構造の再構築を目指し実行しました希望退職の募集による人件費削減効果もあり、損益面では増益となりました。
以上により、当連結会計年度の売上高は173億77百万円(前年同期比1.1%減)となり、損益面では、営業利益5億98百万円(前年同期比126.5%増)、経常利益6億46百万円(前年同期比136.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3億28百万円(前年同期比52.5%増)となりました。
セグメント別の業績を示すと次のとおりです。
① 印刷事業
得意先のキャンペーン用チラシやPOPの売上増加はあったものの、伝票類や新聞関連の売上減少があり、売上高は158億5百万円(前年同期比2.3%減)となりましたが、人件費や動力費などのコスト削減により、セグメント利益(営業利益)4億84百万円(前年同期比108.9%増)となりました。
② 電子部品製造事業
エッチング精密製品の売上減少はありましたが、車載用静電容量タッチパネル製品の市場拡大に伴い、売上高は12億65百万円(前年同期比16.4%増)となり、コスト面では歩留りの向上に努めた結果、セグメント損失(営業損失)2億17百万円(前年同期は2億95百万円の損失)となりました。
③ 不動産賃貸等事業
売上高は4億53百万円(前年同期比0.3%減)、セグメント利益(営業利益)3億31百万円(前年同期比1.0%増)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3億62百万円減少し、当連結会計年度末には18億69百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、10億3百万円の収入超過(前年同期比7億円(41.1%)の減少)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益5億15百万円(前年同期比1億50百万円(41.1%)の増加)及び減価償却費11億72百万円(前年同期比2億36百万円(16.8%)の減少)の計上があったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、3億49百万円の支出超過(前年同期は1億64百万円の収入超過)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出3億75百万円(前年同期比2億30百万円(159.1%)の支出増加)があったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、10億17百万円の支出超過(前年同期比38百万円(3.9%)の支出増加)となりました。
これは主に、リース債務の返済による支出5億71百万円(前年同期比2億29百万円(28.7%)の支出減少)があったことなどによるものです。
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セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
|
印刷 |
15,681,916 |
△2.4 |
|
電子部品製造 |
1,262,640 |
14.5 |
|
不動産賃貸等 |
― |
― |
|
合計 |
16,944,556 |
△1.3 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 生産高は販売価額をもって表示したものです。
3 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
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セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
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印刷 |
15,806,877 |
△3.4 |
941,306 |
0.1 |
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電子部品製造 |
1,294,852 |
26.0 |
144,982 |
24.8 |
|
不動産賃貸等 |
― |
― |
― |
― |
|
合計 |
17,101,729 |
△1.6 |
1,086,288 |
2.8 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
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セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
印刷 |
15,805,449 |
△2.3 |
|
電子部品製造 |
1,265,979 |
16.4 |
|
不動産賃貸等 |
305,713 |
1.0 |
|
合計 |
17,377,142 |
△1.1 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
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相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
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販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
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株式会社読売新聞東京本社 |
5,945,091 |
33.8 |
5,584,194 |
32.1 |
|
ヤマト運輸株式会社 |
2,025,072 |
11.5 |
1,995,545 |
11.5 |
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものです。
当社グループは“美の再現”を原点にした印刷技術を核に、育んできた歴史と経験を活かしながら、「ともにつくり、ともに伝える。」を企業理念として、更なる事業領域の拡大を目指します。
当社グループを取り巻く経営環境は、印刷事業の縮小傾向が続き、IT化の進展による紙媒体の需要減少に加え、競争激化による受注単価の下落が続くなど、依然として厳しい状況が続いています。このような状況のなか当社グループは、期待を超える“サービス”の提供を通じて社会の発展と文化の向上に寄与する企業であり続けるべく、「変革、挑戦、顧客第一」を行動指針として、「事業の再構築」「収益力の向上」「社風の刷新」に取り組んでまいります。
印刷事業においては、当社グループの強みを生かす高級美術印刷、新聞輪転印刷、商業輪転印刷の強化とともに、顧客セグメント別のニーズに対応したソリューション提案営業の展開により、受注・売上確保を図ってまいります。印刷技術をベースにして、様々なメディアと連動した仕組みや、周辺業務を巻き込んだ仕組みの構築など、セールスプロモーション企画を展開することで、協業企業の開拓、受注範囲の拡大、新規受注の獲得に取り組みます。また、生産部門においては、受注生産管理システムの刷新、生産・進行管理機能の工場集約及び生産設備更新により、社内生産量拡大を図ることで収益力を向上させ、メイン事業の再構築に取り組んでまいります。
電子部品製造事業においては、市場拡大に伴い売上は増加しましたが、収益の改善が課題となっています。車載用静電容量タッチパネル製品、エッチング精密製品については既存取引先の量産案件獲得、主要取引先以外の需要を取り込むことで、収益の改善に努めます。更に、事業体制の改善に取り組み、次世代につなげる新技術を用いた新製品の開発・量産化により黒字体制の確立を図りますが、同時に、多方面から事業の将来性を精査し、あらゆる選択肢を前提とした検証を今後も重ねてまいります。
技術部門においては、カーボンナノチューブ透明導電膜の微細パターニング技術の様々な用途への展開を図るとともに、技術のライセンス提供や他社との協業等、多様な事業展開を視野に入れた取り組みも併せて検討してまいります。
不動産賃貸等事業においては、不動産をはじめとする現有資産の積極的な活用や、太陽光発電の安定運用を行い、利益の拡大に努めてまいります。
この他、事業の継続的な発展には、人材の確保と成長が不可欠であると考え、中長期的な教育・人事諸制度を整備し、個々の能力・スキル向上を推進しています。責任と権限を明確にした組織編制、若年層の積極的な登用、ジョブローテーション等を実施することにより、組織の活性化と進取の気性に富む企業風土を醸成し、当社グループ全体の人員活用を図ってまいります。
なお、企業の果たすべき社会的責任については、内部統制・コンプライアンス体制の確立に向けた社内整備を推進するとともに、環境面においては、地球環境と企業活動の調和を追求することが重要であるとの認識のもと、社会からの要請に応えていくことで企業価値の向上につなげていきます。
これらの施策により、翌連結会計年度の業績見通しにつきましては、売上高170億円、営業利益5億50百万円、経常利益6億円、親会社株主に帰属する当期純利益3億円を見込んでいます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。
(1) 原材料価格の変動
当社グループは、原材料の調達について、複数のメーカーや代理店から購買を行い、安定的な原材料の確保と価格の維持に努めています。しかし、原油価格の高騰や円安の進行などにより、一時的に需給バランスが崩れ、購入価格が著しく上昇する懸念もあります。そのような場合には、当社の顧客との交渉を行いますが、全てを顧客に転嫁することは困難であり、業績等に影響を与える可能性があります。
(2) 市場の変化
当社グループの印刷事業は安定的な事業活動を展開していますが、ペーパーレス化などの進展により、印刷需要が大きく変化した場合には業績等に影響を与える可能性があります。また、電子部品製造事業は成長性が見込まれる事業ですが、市場の急激な変化による大幅な需要の変動や単価の下落、得意先による生産調整などが発生した場合には、業績等に影響を与える可能性があります。
(3) 受注単価の下落
当社グループは多くの企業と競合関係にあり、そのため、受注単価の下落が進んでいます。付加価値の高い製品やコスト削減により利益の確保に努めていますが、競争の激化により更なる急激な受注単価の下落があった場合、業績等に影響を与える可能性があります。
(4) 特定取引先への依存
当社グループは、いくつかの特定取引先の売上に占める割合が高い傾向にあります。これら得意先との強固な信頼関係が当社グループの強みであると考えていますが、今後の特定取引先の経営成績や取引方針によっては業績等に影響を与える可能性があります。
(5) 債権回収
当社グループは、取引先の与信管理に努めており、必要な貸倒引当金を計上していますが、経済動向によっては、多額の貸倒により、業績等に影響を与える可能性があります。
(6) 個人情報の管理
当社グループは、個人情報の管理について、安全かつ正確に管理するとともに、紛失・改ざん・漏洩などの予防について厳重な対策を講じており、プライバシーマークの付与を受けていますが、万一個人情報が流出した場合は、信用の低下や対応コスト等により、業績等に影響を与える可能性があります。
(7) 製品の品質
当社グループは、徹底した品質管理のもとに製品を製造していますが、製造工程上の不備により製品の欠陥が生じた場合、再作成や信用の失墜により、業績等に影響を与える可能性があります。
(8) 情報システムとセキュリティ
当社グループは、草加工場における入退室システムなどの情報セキュリティ体制の高度化や社員教育などを通じてシステムとデータの保守・管理に万全を期し、サーバー類をデータセンターに設置することにより安全性の確保に努めていますが、万一システム障害が発生した場合は、業績等に影響を与える可能性があります。
(9) 法務・コンプライアンス
当社グループは、内部監査室及び顧問弁護士により、契約内容の確認や業務上の不正行為の防止活動を行っていますが、万一不利益な契約や不正行為が行われた場合は、業績等に影響を与える可能性があります。
(10) 災害の発生
当社グループは、主要施設に対する防火・耐震対策並びに川越工場における自家発電設備及び地下水ろ過システムの設置を行い、災害により生産活動の停止をきたすことのないように努めていますが、万一重大な被害を受けた場合は、業績等に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等は行われていません。
当社グループの研究開発活動は、社会に貢献する新商品の開発と、経済・社会性・環境に配慮したプロセス開発を、技術開発部と各事業部等の営業・生産部門が一体となって継続的に行っています。
当社は、印刷事業において長年にわたって蓄積してきた製版、印刷技術を応用し、電子部品製造事業においても新しい技術を確立しています。
技術本部において、当連結会計年度も新商品開発、新規事業開発、生産技術の改善、人材育成を積極的に進めています。
なお、当連結会計年度におきましては、1億16百万円を投資し、研究開発を行いました。
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりです。
(1) 印刷事業
情報のデジタル化とお客様のニーズに対応した製品開発を進め、「良いものを、早く安く」をモットーにお客様の要求に応えていきます。
主な研究開発の内容は次のとおりです。
① 印刷工程のデジタル化対応
② 短納期・小ロット生産システムの構築
③ デジタル化に対応した配送伝票の開発及び製品化
④ コピー防止効果と意匠性に優れた偽造防止製品の開発及び製品化
⑤ オフセット印刷方式による小ロット軟包装分野への参入
当連結会計年度における当事業の研究開発費の金額は14百万円です。
(2) 電子部品製造事業
市場のニーズを先取りした電子部品の開発を行い、お客様に満足いただく品質と価格の製品供給に努めています。
主な研究開発の内容は次のとおりです。
① 産業資材における高精細・薄膜印刷の開発
② ITO代替材料としてCNT(カーボンナノチューブ)関連技術の開発
③ 新素材を使ったメタル配線の開発
当連結会計年度における当事業の研究開発費の金額は1億1百万円です。
(1) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1億55百万円減少の272億24百万円となりました。これは、株価の上昇により投資有価証券が増加したものの、有形固定資産が減少したことなどによるものです。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ6億39百万円減少の94億75百万円となりました。これは、主にリース債務の減少によるものです。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ4億83百万円増加の177億49百万円となりました。これは、主にその他有価証券評価差額金の増加によるものです。
(2) 経営成績
当連結会計年度は、宣伝用印刷物や車載用タッチパネルの増加はあったものの、新聞関連や伝票類の減少により、売上高は173億77百万円(前年同期比1.1%減)となりましたが、前期末に収益構造の再構築を目指し実行しました希望退職の募集による人件費削減効果もあり、営業利益5億98百万円(前年同期比126.5%増)、経常利益6億46百万円(前年同期比136.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3億28百万円(前年同期比52.5%増)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
1 [業績等の概要](2) キャッシュ・フローの状況を参照下さい。