第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生または前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものです。

2024年3月1日に行われたIsometric Intermediate LLCおよびそのグループ会社との企業結合について、暫定的な会計処理を行っていましたが、当中間連結会計期間に確定したため、前中間連結会計期間および前連結会計年度末との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いています。

 

(1) 財政状態および経営成績の状況

当社グループはMissionに、「人材能力とコア技術の多様性」を成長の原動力として、高い競争力を有する特徴ある製品・サービスの創出によりお客さま価値を実現し、「人々の豊かな生活」の実現に寄与することを掲げています。

このMissionのもと、2030年のあるべき姿をサステナビリティビジョン(長期ビジョン)として定め、多様な技術や人材能力の結集・融合により、メディカル・モビリティ・環境に関わるグローバルな社会課題の解決に貢献することで、経済・社会価値の創出を目指しています。また、サステナビリティビジョンを起点にバックキャストして、2024年から2026年までの3年間で目指すべき中期計画とそこに至るための戦略を第8次中期経営計画として定め、運用しています。安定的な成長と資本効率性の向上を志向し、これまでに構築した事業ポートフォリオの強化を通じて、利益率の向上と安定化を実現します。

当中間連結会計期間のグローバル経済情勢は、アメリカの関税政策を巡る動向や地政学的リスクにより先行きに対する不確実性が高まったものの、景気持ち直しの動きとなりました。アメリカでは、関税政策に対する先行き不透明感の拡がりから、景気はやや減速したものの底堅いものとなりました。ヨーロッパでは、アメリカの追加関税実施前の駆け込み需要や個人消費の増加などを背景に景気持ち直しの動きが見られました。中国では、政策効果によりやや持ち直した一方で、外需低迷が継続し、景気回復は力強さを欠きました。わが国の経済については、外需低迷の影響などにより、緩やかな景気回復の動きに留まりました。

このような状況の下、当中間連結会計期間の業績については、産業資材事業およびメディカルテクノロジー事業において需要が継続し、医薬品向けで企業買収による業績貢献が始まりました。一方で、ディバイス事業のタブレット向けの需要は、アメリカの追加関税実施前の駆け込み需要により想定を上回ったものの、顧客の新製品により需要が堅調であった前年同期との比較では減少しました。これらに加え、その他の費用として為替差損を計上しました。

これらの結果、当中間連結会計期間の業績は、売上高は970億49百万円(前年同期比2.6%減)、利益面では営業利益は26億93百万円(前年同期比36.9%減)、親会社の所有者に帰属する中間利益は1億29百万円(前年同期比97.0%減)となりました。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりです。

 

産業資材

産業資材事業は、さまざまな素材の表面に付加価値を与える独自技術を有するセグメントです。プラスチックの成形と同時に加飾や機能の付与を行うIMD、IMLおよびIMEは、グローバル市場でモビリティ、家電製品などに広く採用されています。また、金属光沢と印刷適性を兼ね備えた蒸着紙は、飲料品や食品向けのサステナブル資材としてグローバルベースで業界トップのマーケットシェアを有しています。

当中間連結会計期間においては、加飾分野のモビリティ向けは底堅く推移し、家電向けおよびサステナブル資材分野の蒸着紙などの需要は堅調に推移しました。これら需要動向に伴い、売上高は前年同期比で増加しましたが、モビリティ向けの新製品に関連する先行費用などにより、営業利益は前年同期比で減少しました。

 

その結果、当中間連結会計期間の連結売上高は375億70百万円(前年同期比0.9%増)となり、セグメント利益(営業利益)は21億69百万円(前年同期比19.6%減)となりました。

 

ディバイス

ディバイス事業は、精密で機能性を追求した部品・モジュール製品を提供するセグメントです。主力製品であるフィルムタッチセンサーはグローバル市場でタブレット、業務用端末(物流関連)、モビリティ、ゲーム機などに幅広く採用されています。このほか、気体の状態を検知するガスセンサーなどを提供しています。

当中間連結会計期間においては、アメリカの追加関税実施前の駆け込み需要により、タブレット向けの需要が想定を上回ったものの、顧客の新製品により需要が堅調であった前年同期との比較では減少しました。生産体制の見直しなどにより効率性・生産性は改善したものの、売上高および営業利益は前年同期比で減少しました。

その結果、当中間連結会計期間の連結売上高は297億52百万円(前年同期比18.0%減)となり、セグメント利益(営業利益)は10億97百万円(前年同期比41.4%減)となりました。

 

メディカルテクノロジー

メディカルテクノロジー事業は、医療機器やその関連市場において高品質で付加価値の高い製品を提供し、人々の健康で豊かな生活に貢献することを目指すセグメントです。幅広い診療領域で使われる低侵襲医療用の手術機器や医療用ウェアラブルセンサーなどの製品を手がけており、現在は欧米中心に大手医療機器メーカー向けの開発製造受託(CDMO)を展開するとともに、医療機関向けに自社ブランド品を製造・販売しています。

当中間連結会計期間においては、主力の医療機器CDMOの堅調な需要や企業買収に伴う業績積み上げなどにより、売上高および営業利益は前年同期比で増加しました。

その結果、当中間連結会計期間の連結売上高は234億59百万円(前年同期比6.5%増)となり、セグメント利益(営業利益)は12億67百万円(前年同期比23.2%増)となりました。

 

当中間連結会計期間末における総資産は2,396億55百万円となり、前連結会計年度末(2024年12月期末)に比べ122億90百万円減少しました。

流動資産は1,128億59百万円となり、前連結会計年度末に比べ157億67百万円減少しました。主な要因は、現金及び現金同等物が131億22百万円、営業債権及びその他の債権が6億85百万円、棚卸資産が26億9百万円減少したこと等によるものです。

非流動資産は1,267億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ34億76百万円増加しました。主な要因は、有形固定資産が13億17百万円新規連結等によりのれんが10億42百万円、使用権資産が8億16百万円、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動等により、その他の金融資産が7億17百万円増加したこと等によるものです。

当中間連結会計期間末における負債は1,285億99百万円となり、前連結会計年度末に比べ81億34百万円減少しました。

流動負債は674億61百万円となり、前連結会計年度末に比べ34億79百万円増加しました。主な要因は、営業債務及びその他の債務が13億85百万円、その他の金融負債が17億48百万円、未払法人所得税等が19億6百万円減少した一方で、非流動負債からの振替等により社債及び借入金が100億31百万円増加したこと等によるものです。

非流動負債は611億38百万円となり、前連結会計年度末に比べ116億13百万円減少しました。主な要因は、流動負債への振替等により社債及び借入金119億59百万円減少したこと等によるものです。

当中間連結会計期間末における資本は1,110億55百万円となり、前連結会計年度末に比べ41億56百万円減少しました。主な要因は、非支配持分の変動により資本剰余金が7億38百万円増加した一方、剰余金の配当等により利益剰余金が10億60百万円、為替換算等の影響によりその他の資本の構成要素が42億72百万円減少したこと等によるものです。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ131億22百万円減少し、378億47百万円となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は30億75百万円(前年同期比71.7%減)となりました。これは税引前中間利益12億18百万円の計上に対して、営業債務及びその他の債務の減少額として20億90百万円、法人所得税の支払額として27億71百万円計上した一方、減価償却費及び償却費として48億35百万円、営業債権及びその他の債権の減少額として10億66百万円、棚卸資産の減少額として22億28百万円計上したこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は98億31百万円(前年同期比25.9%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得として31億91百万円、無形資産の取得として7億50百万円、子会社の取得として50億1百万円支出したこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は38億18百万円(前年同期は58億10百万円の獲得)となりました。これは主に短期借入れによる収入として15億18百万円計上した一方、短期借入金の返済による支出として10億88百万円、リース負債の返済による支出として10億43百万円、長期借入金の返済による支出として13億14百万円、親会社の所有者への配当金の支払として11億91百万円計上したこと等によるものです。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。

 

(4) 財務および事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針

当中間連結会計期間において、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針について重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当中間連結会計期間の研究開発費の総額は20億86百万円です。

なお、当中間連結会計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。