第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在に判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当中間連結会計期間におけるわが国経済は、雇用環境や所得環境が改善に向かうなか、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、ウクライナ情勢の長期化による原材料価格の上昇に加え、円安の進行や物価の高騰など、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 教育界においては、現行の学習指導要領のもと、2024年度に小学校用教科書が改訂されました。「英語」では小中学校で従来の紙の教科書とあわせてデジタル教科書が導入され、教科書においてもデジタル化が浸透しつつあります。

 現在、教育現場では「個別最適な学び」や「協働的な学び」の一体的な充実を通して、現行の学習指導要領が目指す「主体的・対話的で深い学び」が実現されるよう授業研究・実践が進められております。その一方で、いじめや不登校、特別な配慮や支援が必要な児童・生徒への対応など、多種多様な課題への取り組みに追われております。さらに教師不足も重なり、教師の業務負担軽減への取り組みは解決すべき重要な課題の一つとなっております。このような状況について、中央教育審議会は8月に「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について」を文部科学大臣に答申しました。答申では「学校における働き方改革」や「教師の処遇改善」、「学校の指導・運営体制の充実」を一体的・総合的に推進することとしております。

 今後に向けては、次期学習指導要領の議論も本格化しつつあるなかで、「GIGAスクール構想」も第2期といわれる「NEXT GIGA」(ネクスト ギガ)の段階に入り、普及した教育インフラをさらに積極的に活用することで、児童・生徒の学力向上及び教師の業務負担軽減等の実現が期待されております。

 このような情勢を背景に、当社グループは、主力である小学校図書教材においては、定価や付録などの厳しい競争がさらに過熱するなか、基礎・基本の定着や活用する力の育成と評価を念頭に、紙とデジタルを効果的に活用しながら教育現場のニーズに応えられるよう小学校の新教科書に対応した教材改訂を進めてまいりました。また、教師の負担軽減にも寄与できるように、デジタルを活用した保護者と教師を繋ぐ連絡支援システムや児童・生徒の心のケアを図るシステムなど、教材以外のシステム開発も行ってまいりました。

 以上の結果、当中間連結会計期間の経営成績は、売上高8,357,149千円(前年同中間期比1.7%減)、経常利益1,786,478千円(前年同中間期比2.0%増)、親会社株主に帰属する中間純利益1,261,662千円(前年同中間期比3.4%増)となりました。

 なお、当社グループの売上高は、中間連結会計期間に1学期品と2学期品、上下刊品、年刊品の売上高が計上されますので、通常、中間連結会計期間の年間の売上高に占める割合は高くなります。また、年間の販売管理費の占める割合が年間の売上高に占める割合に対して低いため、中間連結会計期間の営業利益は通期の営業利益よりも多くなり、業績に季節的変動があります。

 

 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

①出版

 小学校図書教材においては、2024年度に使用される新教科書へ対応するため全面改訂を行いました。刻々と変化する教育現場の実態や動向を分析し、今求められる「知識及び技能」や「思考力・判断力・表現力等」を育み評価できる教材が教育現場に支持されました。

 評価教材では、「見方・考え方」を働かせながら、基礎・基本から活用までの学習内容を的確に評価できる企画と、二次元コードを活用して「自らの学び」をサポートするデジタル企画、教師の業務負担を軽減する企画が教育現場から好評を得ることができました。また、継続注文も順調に受注し、3学期制の教材から定価の高い上下刊の教材へ移行したことにより、売上高が増加いたしました。

 習熟教材では、自治体によるデジタルドリルが教育現場に導入されたことなどにより採用状況に変化が見受けられました。その一方で、基礎的な学習内容が確実に定着する企画に加え、学習用端末を活用する企画などの提案が受け入れられました。また、継続注文も順調に受注し、3学期制の教材から定価の高い上下刊の教材へ移行したことにより、売上高が増加いたしました。

 一方、社会科資料集では、学習用端末を活用した授業内容の変化などの影響により、売上高が減少いたしました。

 季刊物教材では、夏休み期間における学習方法の多様化などの影響により、採用が控えられ売上高が減少いたしました。

 中学校図書教材においては、前年以上に保護者負担軽減による採用制限があり、新学期教材と夏休み教材の採用が影響を受け、売上高が減少いたしました。

 この結果、当セグメントの売上高は6,304,005千円(前年同中間期比1.7%減)、営業利益は1,906,672千円(前年同中間期比1.7%増)となりました。

 

②教具

 小学校教材・教具においては、新しい教科書に対応した採用時期の変化や購入方法の多様化などにより、採用状況に変化が見受けられました。

 「書道セット」では、新製品の提案や長く使い続けられるデザインと機能性が教育現場に受け入れられ、売上高が増加いたしました。

 一方、「裁縫セット」や「画材セット」では、ネット購入などの購入方法が多様化した影響などにより、売上高が減少いたしました。

 中学校・高等学校向けの家庭科教材ブランド「クロッサム」では、新規採用校の増加や、新しいデザインと企画が受け入れられたことにより、売上高が増加いたしました。

 この結果、当セグメントの売上高は2,053,143千円(前年同中間期比1.6%減)、営業利益は348,084千円(前年同中間期比7.1%増)となりました。

 

(2)財政状態の分析

 当社グループの当中間連結会計期間末の財政状態は、前連結会計年度末と比較して、総資産は358,214千円減少して19,434,913千円、負債は1,388,841千円減少して3,570,717千円、純資産は1,030,627千円増加して15,864,195千円となりました。

 資産の主な増減は、現金及び預金の増加540,279千円、受取手形及び売掛金の増加1,097,642千円、有価証券の減少600,340千円、商品及び製品の減少1,416,126千円であります。

 受取手形及び売掛金が増加した主な要因は、7月から9月における小学校図書教材の売掛金の回収期限が学期末(12月末)精算を原則としていることによります。

 また、商品及び製品が減少した主な要因は、前連結会計年度末は4月に販売する1学期品及び上刊品の製品在庫を計上していますが、当中間連結会計期間末は小学校図書教材の2学期品及び下刊品の販売が終了し、製品在庫高が減少したことによります。

 負債の主な増減は、支払手形及び買掛金の減少535,650千円、電子記録債務の減少855,119千円、未払金(流動負債その他)の減少266,930千円、未払法人税等の増加354,818千円であります。

 支払手形及び買掛金、電子記録債務が減少した主な要因は、1学期品及び上刊品の製作に要した外注加工賃の精算によります。

 また、純資産の主な増減は、利益剰余金の増加1,088,327千円であります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して540,279千円増加して6,943,558千円となりました。

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金収支は461,150千円で、前年同中間連結会計期間と比較して113,725千円増加(前年同中間期の資金収支は347,425千円)となりました。営業活動によるキャッシュ・フローが増加した主な要因は、税金等調整前中間純利益が65,743千円増加、売上債権の増加額が228,278千円減少、棚卸資産の減少額が242,324千円減少、仕入債務の減少額が173,976千円減少、法人税等の支払額が31,794千円増加したことによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金収支は431,609千円で、前年同中間連結会計期間と比較して585,524千円増加(前年同中間期の資金収支は△153,915千円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローが増加した主な要因は、投資有価証券の取得による支出が100,000千円減少、投資有価証券の売却による収入が38,220千円増加、投資有価証券の償還による収入が400,000千円増加したことによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金収支は△352,480千円で、前年同中間連結会計期間と比較して23,775千円増加(前年同中間期の資金収支は△376,256千円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローが増加した主な要因は、短期借入金の純増減額が60,000千円増加、長期借入れによる収入が100,000千円減少、長期借入金の返済による支出が40,000千円減少、配当金の支払額が23,775千円減少したことによります。

 

(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

 該当事項はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。